JPH07259918A - 減衰力調整式油圧緩衝器 - Google Patents

減衰力調整式油圧緩衝器

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JPH07259918A
JPH07259918A JP6074471A JP7447194A JPH07259918A JP H07259918 A JPH07259918 A JP H07259918A JP 6074471 A JP6074471 A JP 6074471A JP 7447194 A JP7447194 A JP 7447194A JP H07259918 A JPH07259918 A JP H07259918A
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cylinder
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compression
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隆 根津
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明 柏木
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 減衰力調整式油圧緩衝器において、ピストン
速度にかかわらず減衰力を直接制御するとともに高周波
入力に対して安定した減衰力を発生させる。 【構成】 シリンダ2内にピストン3を嵌装する。シリ
ンダ上室2aとシリンダ下室2bとを逆止弁10,11を有する
連通路9で連通させる。伸び側連通路12にポペット弁17
を設け、縮み側連通路13にポペット弁27を設ける。ポペ
ット17,27の上流と背圧室20,30とを背圧通路22,32で
連通させリリーフ弁25,34に接続する。ニードル39,41
と比例ソレノイド37のプランジャ42との間にばね部材4
4,45を介装する。比例ソレノイド37でリリーフ圧を調
整することによりシリンダ上下室2a,2bと背圧室20,30
の圧力に応じた開度でポペット弁17,27が開き減衰力を
直接制御できる。ばね部材44,45によりニードル39,41
の固有振動数が大きくなり、リリーフ弁25,34の応答遅
れを防止して高周波入力に対して安定した減衰力を発生
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等の車両の懸架
装置に装着される減衰力調整式油圧緩衝器に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車両の懸架装置に装着される
油圧緩衝器には、路面状況、走行状況等に応じて乗り心
地や操縦安定性をよくするために減衰力を適宜調整でき
るようにした減衰力調整式油圧緩衝器がある。
【0003】この種の油圧緩衝器は、一般に、油液を封
入したシリンダ内に、ピストンロッドが連結されたピス
トンを摺動可能に嵌装し、このピストンにより画成され
るシリンダ内の2室を主油液通路およびバイパス通路で
連通させ、主油液通路には大きな減衰力を発生させる減
衰力発生機構(オリフィス、ディスクバルブ等)を設
け、バイパス通路には小さな減衰力を発生させる減衰力
発生機構およびバイパス通路を開閉する減衰力調整弁を
設けた構成となっている。
【0004】この構成により、減衰力調整弁を開いた場
合、ピストンロッドの伸縮にともなうピストンの摺動に
よってシリンダ内の油液が主にバイパス通路を流通して
伸び側、縮み側共に小さな減衰力を発生し、減衰力特性
はソフト特性となる。また、減衰力調整弁を閉じた場
合、ピストンロッドの伸縮にともなうピストンの摺動に
よって、シリンダ内の油液が主油液通路のみを流通して
伸び側、縮み側共に大きな減衰力を発生し減衰力特性は
ハード特性となる。このように、減衰力調整弁を開閉す
ることにより減衰力特性を切換えることができる。
【0005】そして、車両の通常走行時にはソフト側の
減衰力特性を選択することにより、路面の凹凸による振
動を吸収して乗り心地を向上させることができ、また、
旋回時、加速時、制動時および高速走行時にはハード側
の減衰力特性を選択することにより車体の姿勢変化を抑
えて操縦安定性を向上させることができる。さらに、減
衰力調整式油圧緩衝器に制御装置およびアクチュエータ
を組合せて、路面状況、走行状況等に応じてリアルタイ
ムで減衰力を自動的に切換えることにより、乗り心地お
よび操縦安定性を向上させるようにしたサスペンション
制御装置がある。
【0006】ところで、上記のようなサスペンション制
御装置においては、油圧緩衝器の減衰力特性を伸び側と
縮み側とで大小異なる種類の組合わせ(例えば、伸び側
がハード特性のとき縮み側はソフト特性、伸び側がソフ
ト特性のとき縮み側がハード特性の組合せ)を設定でき
るようにすることにより、路面状況、走行状況の変化に
対して迅速に適切な減衰力が得られ、乗り心地および操
縦安定性を効果的に向上させることができることが知ら
れている。
【0007】そこで、従来、伸び側と縮み側とで異なる
2系統のバイパス通路を設け、それぞれのバイパス通路
の通路面積を調整することにより、伸び側と縮み側とで
大小異なる種類の減衰力特性を設定できるようにした減
衰力調整式油圧緩衝器が種々提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
この種の減衰力調整式油圧緩衝器では、減衰力調整弁に
よって設定されるバイパス通路の通路面積が固定されて
いるため、発生する減衰力はピストン速度の大きさに応
じて変化するので、減衰力調整は、ピストン速度を変数
とした減衰係数を調整することにより行われていた。し
たがって、減衰力を直接制御するためには、上記のよう
なサスペンション制御装置による減衰力の制御では、先
ず油圧緩衝器のピストン速度を検出し、そのピストン速
度の入力に対して所望の減衰力が生じるような減衰係数
を演算し、さらに、減衰力調整弁がこの演算された減衰
係数に相当する開度となるようにアクチュエータを駆動
するという手順をとらなければならない。このため、制
御回路の負担が大きく、路面状況、走行状況の変化に応
じた減衰力の迅速な切り換えが困難になるという問題が
ある。
【0009】そこで、本出願人は、特願平5−1414
37号において、ピストン速度にかかわらず減衰力を直
接制御することができるようにした減衰力調整式油圧緩
衝器を提案している。そして、本発明は、さらに、ピス
トン速度にかかわらず減衰力を直接制御するとともに、
ピストンロッドへの高周波入力に対しても安定した減衰
力を発生することができる減衰力調整式油圧緩衝器を提
供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、第1の発明の減衰力調整式油圧緩衝器は、油液が
封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に嵌装
され前記シリンダ内を2室に画成するピストンと、一端
が前記ピストンに連結され他端が前記シリンダの外部ま
で延ばされたピストンロッドと、前記シリンダ内の2室
を連通する連通路と、該連通路に設けられ一方向の油液
の流れにより開弁して減衰力を発生させる弁体を有する
減衰力調整弁と、前記連通路の前記減衰力調整弁より上
流側にオリフィスを介して連通する背圧室を有し該背圧
室の圧力によって前記減衰力調整弁の弁体の開弁圧を変
化させる開弁圧調整機構と、該背圧室の圧力を前記連通
路の前記減衰力調整弁の下流側にリリーフして調整する
リリーフ弁と、該リリーフ弁の弁体をばね手段を介して
付勢してリリーフ圧を調整する比例ソレノイドとを備え
てなることを特徴とする。
【0011】第2の発明の減衰力調整式油圧緩衝器は、
油液が封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能
に嵌装され前記シリンダ内を2室に画成するピストン
と、一端が前記ピストンに連結され他端が前記シリンダ
の外部まで延ばされたピストンロッドと、前記シリンダ
内の2室を連通させ前記ピストンロッドの伸び行程時の
油液の流通を許容する伸び側連通路と、前記シリンダ内
の2室を連通させ前記ピストンロッドの縮み行程時の油
液の流通を許容する縮み側連通路と、前記伸び側連通路
の油液の流れにより開弁して減衰力を発生させる弁体を
有する伸び側減衰力調整弁と、前記縮み側連通路の油液
の流れにより開弁して減衰力を発生させる弁体を有する
縮み側減衰力調整弁と、前記伸び側連通路の前記伸び側
減衰力調整弁より上流側にオリフィスを介して連通する
伸び側背圧室を有し該伸び側背圧室の圧力によって前記
伸び側減衰力調整弁の弁体の開弁圧を変化させる伸び側
開弁圧調整機構と、前記縮み側連通路の前記縮み側減衰
力調整弁より上流側にオリフィスを介して連通する縮み
側背圧室を有し該伸縮み側背圧室の圧力によって前記縮
み側減衰力調整弁の弁体の開弁圧を変化させる縮み側開
弁圧調整機構と、前記伸び側背圧室の圧力を前記伸び側
連通路の前記伸び側減衰力調整弁の下流側にリリーフし
て調整する伸び側リリーフ弁と、前記縮み側背圧室の圧
力を前記縮み側連通路の前記縮み側減衰力調整弁の下流
側にリリーフして調整する縮み側リリーフ弁と、一側へ
の移動により前記伸び側リリーフ弁の弁体をばね手段を
介して閉弁方向に付勢し他側への移動により前記縮み側
リリーフ弁の弁体をばね手段を介して閉弁方向に付勢す
るプランジャを有する比例ソレノイドとを備えてなるこ
とを特徴とする。
【0012】第3の発明の減衰力調整式油圧緩衝器は、
油液が封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能
に嵌装され前記シリンダ内を2室に画成するピストン
と、一端が前記ピストンに連結され他端が前記シリンダ
の外部まで延ばされたピストンロッドと、前記シリンダ
内の一方の室と他方の室とを連通する連通路と、該連通
路に設けられ一方向の油液の流れにより開弁して減衰力
を発生する弁体を有する減衰力調整弁と、前記連通路に
前記減衰力調整弁より上流側で分岐して直列に配置され
た2つのオリフィスを介して連通する背圧室を有し該背
圧室の圧力を前記減衰力調整弁の弁体にばね手段を介し
て作用させて開弁圧を変化させる開弁圧調整機構と、前
記2つのオリフィスの間に接続され前記背圧室の圧力を
前記連通路の前記減衰力調整弁の下流側にリリーフして
調整するリリーフ弁とを備えてなることを特徴とする。
【0013】第4の発明の減衰力調整式油圧緩衝器は、
油液が封入されたシリンダと、該シリンダ内に摺動可能
に嵌装され前記シリンダ内を2室に画成するピストン
と、一端が前記ピストンに連結され他端が前記シリンダ
の外部まで延ばされたピストンロッドと、前記シリンダ
内の2室を連通させ前記ピストンロッドの伸び行程時の
油液の流通を許容する伸び側連通路と、前記シリンダ内
の2室を連通させ前記ピストンロッドの縮み行程時の油
液の流通を許容する縮み側連通路と、前記伸び側連通路
の油液の流れにより開弁して減衰力を発生させる弁体を
有する伸び側減衰力調整弁と、前記縮み側連通路の油液
の流れにより開弁して減衰力を発生させる弁体を有する
縮み側減衰力調整弁と、前記伸び側連通路に前記伸び側
減衰力調整弁より上流側で分岐して直列に配置された2
つの伸び側オリフィスを介して連通する伸び側背圧室を
有し該伸び側背圧室の圧力を前記伸び側減衰力調整弁の
弁体にばね手段を介して作用させて開弁圧を変化させる
伸び側開弁圧調整機構と、前記縮み側連通路に前記縮み
側減衰力調整弁より上流側で分岐して直列に配置された
2つの縮み側オリフィスを介して連通する縮み側背圧室
を有し該縮み側背圧室の圧力を前記縮み側減衰力調整弁
にばね手段を介して作用させて弁体の開弁圧を変化させ
る縮み側開弁圧調整機構と、前記2つの伸び側オリフィ
スの間に接続され前記伸び側背圧室の圧力を前記伸び側
連通路の前記伸び側減衰力調整弁の下流側にリリーフし
て調整する伸び側リリーフ弁と、前記2つの縮み側オリ
フィスの間に接続され前記縮み側背圧室の圧力を前記縮
み側連通路の前記縮み側減衰力調整弁の下流側にリリー
フして調整する縮み側リリーフ弁と、一側への移動によ
り前記伸び側リリーフ弁の弁体を閉弁方向に付勢し他側
への移動により前記縮み側リリーフ弁の弁体を閉弁方向
に付勢するプランジャを有する比例ソレノイドとを備え
てなることを特徴とする。
【0014】
【作用】第1の発明の減衰力調整式油圧緩衝器によれ
ば、ピストンロッドの伸びまたは縮み行程時、比例ソレ
ノイドに通電してリリーフ弁のリリーフ圧力を調整し、
この調整に応じて開弁圧調整機構の背圧室の圧力が変化
して、背圧室の圧力と連通路の圧力に応じて減衰力調整
弁の弁体の開度が決定されるので、ピストン速度にかか
わらず減衰力を直接制御することができる。また、リリ
ーフ弁の弁体と比例ソレノイドのプランジャとの間にば
ね手段が介装されているので、リリーフ弁の弁体の質量
を充分小さくして固有振動数を大きくすることができ、
ピストンロッドへの高周波の入力に対する応答性を向上
させることができる。
【0015】第2の発明の減衰力調整式油圧緩衝器によ
れば、ピストンロッドの伸び行程時には、比例ソレノイ
ドへの通電により、伸び側リリーフ弁のリリーフ圧を調
整し、この調整に応じて伸び側開弁圧調整機構の背圧室
の圧力が変化して、背圧室の圧力と伸び側連通路の圧力
に応じて伸び側減衰力調整弁の開度が決定されるので、
ピストン速度にかかわらず直接伸び側の減衰力を制御す
ることができ、縮み行程時には、縮み側リリーフ弁のリ
リーフ圧を調整し、この調整に応じて縮み側開弁圧調整
機構の側背圧室の圧力が変化して、背圧室の圧力と縮み
側連通路の圧力に応じて縮み側減衰力調整弁の開度が決
定されるので、ピストン速度にかかわらず直接縮み側の
減衰力を制御することができる。また、伸び側および縮
み側リリーフ弁の弁体と比例ソレノイドのプランジャと
の間にばね手段が介装されているので、リリーフ弁の弁
体の質量を充分小さくして固有振動数を大きくすること
ができ、ピストンロッドへの高周波の入力に対する応答
性を向上させることができる。さらに、比例ソレノイド
のプランジャの一側への移動により伸び側リリーフ弁の
リリーフ圧が高まり、他側への移動により縮み側への移
動により縮み側リリーフ弁のリリーフ圧が高まるので、
伸び側と縮み側とで大小異なる種類の減衰力特性を設定
することができる。
【0016】第3の発明の減衰力調整式油圧緩衝器によ
れば、ピストンロッドの伸びまたは縮み行程時、リリー
フ弁のリリーフ圧力を調整し、この調整に応じて開弁圧
調整機構の背圧室の圧力が変化して、背圧室の圧力と連
通路の圧力に応じて減衰力調整弁の弁体の開度が決定さ
れるので、ピストン速度にかかわらず減衰力を直接制御
することができる。また、ばね手段と一方のオリフィス
とによって背圧室は、リリーフ圧力の変化に対して1次
遅れ系となるので、ピストンロッドへの高周波の入力に
対して減衰力調整弁の応答遅れによる減衰力の増大を防
止することができる。
【0017】第4の発明の減衰力調整式油圧緩衝器によ
れば、ピストンロッドの伸び行程時には、比例ソレノイ
ドへの通電により、伸び側リリーフ弁のリリーフ圧を調
整し、この調整に応じて伸び側開弁圧調整機構の背圧室
の圧力が変化して、背圧室の圧力と伸び側連通路の圧力
に応じて伸び側減衰力調整弁の開度が決定されるので、
ピストン速度にかかわらず直接伸び側の減衰力を制御す
ることができ、縮み行程時には、縮み側リリーフ弁のリ
リーフ圧を調整し、この調整に応じて縮み側開弁圧調整
機構の側背圧室の圧力が変化して、背圧室の圧力と縮み
側連通路の圧力に応じて縮み側減衰力調整弁の開度が決
定されるので、ピストン速度にかかわらず直接縮み側の
減衰力を制御することができる。また、ばね手段と一方
のオリフィスとによって伸び側および縮み側背圧室は、
リリーフ圧力の変化に対して1次遅れ系となるのでピス
トンロッドへの高周波の入力に対して伸び側および縮み
側減衰力調整弁の応答遅れによる減衰力の増大を防止す
ることができる。さらに、比例ソレノイドのプランジャ
の一側への移動により伸び側リリーフ弁のリリーフ圧が
高まり、他側への移動により縮み側への移動により縮み
側リリーフ弁のリリーフ圧が高まるので、伸び側と縮み
側とで大小異なる種類の減衰力特性を設定することがで
きる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。
【0019】第1実施例を図1および図2を用いて説明
する。減衰力調整式油圧緩衝器1は、油液が封入された
シリンダ2内にピストン3が摺動可能に嵌装されてお
り、このピストン3によってシリンダ2内がシリンダ上
室2aとシリンダ下室2bの2室に画成されている。ピスト
ン3には、ピストンロッド4の一端が連結されており、
ピストンロッド4の他端は、シリンダ2の端部に設けら
れたロッドガイドおよびシール部材(図示せず)に挿通
されてシリンダ2の外部まで延ばされている。
【0020】ピストン3には、シリンダ上室2aとシリン
ダ下室2bとを連通させる伸び側通路5および縮み側通路
6が設けられている。伸び側通路5には、シリンダ上室
2a内が所定圧力を越えたときシリンダ上室2a側からシリ
ンダ下室2b側への油液の流通を許容して減衰力を発生さ
せるディスクバルブ等の調圧弁7が設けられており、ま
た、縮み側通路6には、シリンダ下室2b内が所定圧力を
越えたときシリンダ下室2b側からシリンダ上室2a側への
油液の流通を許容して減衰力を発生させるディスクバル
ブ等の調圧弁8が設けられている。
【0021】シリンダ2の外部にシリンダ上室2aとシリ
ンダ下室2bとを連通させる連通路9が設けられている。
連通路9には、シリンダ上室2a側からシリンダ下室2b側
への油液の流通のみを阻止する逆止弁10およびシリンダ
下室2b側からシリンダ上室2a側への油液の流通のみを阻
止する逆止弁11が設けられている。そして、連通路9に
は、逆止弁10をバイパスする伸び側連通路12と、逆止弁
11をバイパスする縮み側連通路13とが設けられている。
また、連通路9には、ピストンロッド4の伸縮にともな
うシリンダ2内の容積変化をガスの圧縮、膨張によって
補償するリザーバ14(アキュムレータ)が、互いに並列
に配置されたオリフィス15および逆止弁16を介して接続
されている。
【0022】伸び側連通路12には、伸び側減衰力調整弁
としてポペット弁17が設けられている。ポペット弁17
は、ガイド18内に弁体であるポペット19が摺動可能に嵌
装されており、ポペット19の移動によって伸び側通路12
の通路面積を調整するようになっている。ポペット19
は、伸び側連通路12内の上流側(シリンダ上室2a側)の
圧力を受けて開弁方向に移動するようになっている。ま
た、ガイド18内のポペット19の背面側には、開弁圧調整
機構を構成する背圧室20が設けられており、背圧室20内
の圧力がポペット19を閉弁させる方向に作用するように
なっている。背圧室20内には、ポペット19を閉弁方向に
付勢するばね21が設けられている。
【0023】背圧室20は、背圧通路22によって伸び側通
路12のポペット弁17の上流側(シリンダ上室2a側)に連
通されている。背圧通路22には、オリフィス23が設けら
れている。背圧通路22のオリフィス23の下流側は、後述
する電磁式比例制御弁24の伸び側リリーフ弁25に接続さ
れ、さらに、リリーフ通路26を介して伸び側通路12のポ
ペット弁17の下流側(リザーバ14側)に連通されてい
る。
【0024】同様に、縮み側連通路13には、縮み側減衰
力調整弁としてポペット弁27が設けられている。ポペッ
ト弁27は、ガイド28内に弁体であるポペット29が摺動可
能に嵌装されており、ポペット29の移動によって縮み側
通路13の通路面積を調整するようになっている。ポペッ
ト29は、縮み側連通路13の上流側(シリンダ下室2b側)
の圧力を受けて開弁方向に移動するようになっている。
また、ガイド28内のポペット29の背面側には、開弁圧調
整機構を構成する背圧室30が設けられており、背圧室30
内の圧力がポペット29を閉弁させる方向に作用するよう
になっている。背圧室30内には、ポペット29を閉弁方向
に付勢するばね31が設けられている。
【0025】背圧室30は、背圧通路32によって縮み側連
通路13のポペット弁27の上流側(シリンダ下室2b側)に
連通されている。背圧通路32には、オリフィス33が設け
られている。背圧通路32のオリフィス33の下流側は、電
磁式比例制御弁24の縮み側リリーフ弁34に接続され、さ
らに、リリーフ通路26を介して縮み側通路13のポペット
弁27の下流側(リザーバ14側)に連通されている。
【0026】次に、電磁比例制御弁24について図2を用
いて説明する。図2に示すように、電磁式比例制御弁24
は、背圧通路22に接続される通路35をリリーフする伸び
側リリーフ弁25と、背圧通路32に接続される通路36をリ
リーフする縮み側リリーフ弁34と、伸び側リリーフ弁25
および縮み側リリーフ弁34のリリーフ圧を調整する比例
ソレノイド37とから概略構成されている。
【0027】伸び側リリーフ弁25は、通路35とリリーフ
室38との連通路を弁体であるニードル39によって開閉す
るニードル弁であり、同様に、縮み側リリーフ弁34は、
通路36とリリーフ室40との連通路を弁体であるニードル
41によって開閉するニードル弁である。ニードル39,41
は、比例ソレノイド37のプランジャ42に連結された作動
ロッド43の両端部に、それぞればね手段としてのばね部
材44,45を介して連結されている。そして、作動ロッド
43の移動により、ばね部材44またはばね部材45を圧縮し
て伸び側リリーフ弁25および縮み側リリーフ弁34のどち
らか一方のリリーフ圧を高くすると他方のリリーフ圧が
低くなるようになっている。ここで、ニードル39,40
は、質量を充分小さく(約1g以下)してあり、ばね部
材44,45と組合せた振動系の固有振動数が充分高く(kH
z オーダー)なるようになっている。
【0028】比例ソレノイド37には、作動ロッド43を縮
み側リリーフ弁34側へ付勢するばね46が設けられてい
る。比例ソレノイド37は、通電電流に応じてプランジャ
42を介して作動ロッド43をばね46の付勢力に抗してリリ
ーフ弁35側へ移動させる方向の力を発生するようになっ
ている。そして、通電電流に応じてばね部材45の圧縮量
を変化させて縮み側リリーフ弁34のリリーフ圧力を調整
し、さらに、通電電流を大きくして作動ロッド43を伸び
側リリーフ弁25側へ移動させ、ばね部材44を圧縮して伸
び側リリーフ弁25のリリーフ圧力を調整できるようにな
っている。
【0029】リリーフ室38とリリーフ室40とは、比例ソ
レノイド37内の通路47を介して互いに連通されており、
これらはリリーフ通路26を介してリザーバ14側に接続さ
れている。
【0030】以上のように構成した第1実施例の作用に
ついて次に説明する。
【0031】ピストンロッド4の伸び行程時には、ピス
トン3の摺動によってシリンダ上室2a側の油液が連通路
9を通ってシリンダ下室2b側へ流れ、このとき、逆止弁
10が閉じて逆止弁11が開くので、油液が伸び側連通路12
を流れることによってポペット弁17により減衰力が発生
する。このとき、ピストンロッド4がシリンダ上室2aか
ら退出した分の油液は、逆止弁を開いてリザーバ14から
シリンダ下室2b側へ円滑に補給されるので、シリンダ下
室2b側が過度に負圧となることがなく、気泡の混入を防
止することができる。
【0032】ポペット弁17では、シリンダ上室2a側の圧
力が作用してポペット19が開弁方向に移動しようとす
る。一方、背圧室20には、背圧通路22を介してシリンダ
上室2a側の圧力が作用してポペット19を閉弁方向に移動
させようとする。背圧室20の圧力が電磁式比例制御弁24
の伸び側リリーフ弁25の設定圧を越えるとニードル39が
ばね部材44の弾性力に抗して移動して、背圧通路22の油
液がリリーフ通路26へリリーフされるので、背圧室20の
圧力は電磁式比例制御弁の伸び側リリーフ弁25の設定圧
によって任意に設定することができる。そして、ポペッ
ト19は、シリンダ上室2a側の圧力と伸び側リリーフ弁25
の設定圧およびばね21の付勢力とがバランスする位置ま
で移動する。したがって、シリンダ上室2aの圧力に応じ
た開度でポペット弁17が開弁して減衰力が決定される。
このようにして、シリンダ上室2aの圧力に応じてポペッ
ト弁17の通路面積が変化してピストン速度にかかわらず
所定の減衰力が発生する。
【0033】ピストンロッド4の縮み行程時には、ピス
トン3の摺動によってシリンダ下室2b側の油液が連通路
9を通ってシリンダ上室2a側へ流れ、このとき、逆止弁
10が開いて逆止弁11が閉じるので、油液が縮み側連通路
13を流れることによってポペット弁27により減衰力が発
生する。このとき、ピストンロッド4がシリンダ上室2a
内に侵入した分の油液がリザーバ14に吸収される。ここ
で、オリフィス15によってリザーバ14への油液の流れに
対して適度な抵抗が付与されるので、シリンダ上室2a側
が過度に負圧になることがなく、気泡の混入を防止する
ことができる。
【0034】ポペット弁27では、上記伸び側のポペット
弁17と同様に、ポペット29がシリンダ下室2b側の圧力と
電磁式比例制御弁24の縮み側リリーフ弁34の設定圧およ
びばね31とがバランスする位置まで移動し、シリンダ下
室2bの圧力に応じた開度で開弁して減衰力が決定され
る。このようにして、シリンダ下室2bの圧力に応じてポ
ペット弁27の通路面積が変化してピストン速度にかかわ
らず所定の減衰力が発生する。
【0035】そして、電磁式比例制御弁24の比例ソレノ
イド37に通電して作動ロッド43を縮み側リリーフ弁34側
に位置させて縮み側リリーフ弁34のリリーフ圧を調整す
ることにより、ポペット弁27の開度が調整され、縮み側
の減衰力を制御することができる。このとき、伸び側リ
リーフ弁25のリリーフ圧は低くなるので、ポペット弁17
の開度が大きくなり、伸び側の減衰力が小さくなる。し
たがって、減衰力特性は、縮み側がハード特性となり、
伸び側がソフト特性となる。
【0036】さらに、比例ソレノイド37への通電電流を
大きくして作動ロッド43を伸び側リリーフ弁25側へ移動
させ、ばね部材44を圧縮して伸び側リリーフ弁25のリリ
ーフ圧を調整することにより、ポペット弁17の開度が調
整され、伸び側の減衰力を制御することができる。この
とき、縮み側リリーフ弁34のリリーフ圧は低くなるの
で、ポペット弁27の開度が大きくなり、縮み側の減衰力
が小さくなる。したがって、減衰力特性は、伸び側がハ
ード特性となり、縮み側がソフト特性となる。
【0037】このようにして、比例ソレノイド37への通
電電流を調整することにより、縮み側の減衰力を特性を
ハード側からソフト側へ連続的に変化させるとともに伸
び側の減衰力特性をソフト側からハード側へ連続的に変
化させることができる。このとき、伸び側と縮み側とで
大小異なる種類の減衰力が発生されることになり、サス
ペンション制御に適した減衰力特性を得ることができ
る。
【0038】なお、伸び行程時にシリンダ上室2aの圧力
が所定以上となった場合には、ピストン3の調圧弁7が
開いてシリンダ上室2aの油液が伸び側通路5を通って直
接シリンダ下室2bへ流れることにより減衰力が発生す
る。同様に、縮み行程時にシリンダ下室2bの圧力が所定
以上となった場合には、ピストン3の調圧弁8が開いて
シリンダ下室2bの油液が縮み側通路6を通って直接シリ
ンダ上室2aへ流れることにより減衰力が発生する。
【0039】また、電磁式比例制御弁24のニードル39,
41は、その質量を充分小さくしてばね部材44,45と組合
せた振動系の固有振動数を充分大きくしているので、背
圧通路22,32の圧力の急激な上昇に対して、ばね部材4
4,45が撓むことにより応答遅れなく開弁して背圧通路2
2,32内の油液の脈動による背圧の上昇を抑制すること
ができる。そして、脈動による背圧の上昇を1ミリ秒以
内に抑えることができる。さらに、ニードル39,41の開
弁時に作動ロッド43およびプランジャ42の移動を伴わな
いので、その慣性質量および固体摩擦による応答遅れを
防止することができる。よって、高い周波数のピストン
速度(ピストンロッドへの入力速度)の変化に対して脈
動による背圧の上昇を抑制して適切な減衰力を発生する
ことができ、車両の乗り心地の悪化を防止することがで
きる。
【0040】なお、比例ソレノイド37への通電電流によ
る伸び側リリーフ弁25および縮み側リリーフ弁34のリリ
ーフ圧の制御は、作動ロッド43によってばね部材44,45
を撓ませることによって行うので、ばね要素により数十
ミリ秒程度の応答後れが生じることがあるが、通常のサ
スペンション制御におけるばね上およびばね下振動に対
する減衰力調整は、1〜10Hz程度の振動数について行わ
れるので、ばね要素による応答後れが問題となることは
ない。
【0041】次に、本発明の第2実施例について図3を
用いて説明する。
【0042】図3に示すように、減衰力調整式油圧緩衝
器48は、シリンダ49の外側に内筒50を設け、さらに、内
筒50の外側に外筒51を設けた3重筒構造になっており、
シリンダ49と内筒50との間には環状通路52が形成され、
内筒50と外筒51との間にはリザーバ室53が形成されてい
る。
【0043】シリンダ49内には、ピストン54が摺動可能
に嵌装されており、このピストン54によってシリンダ49
内がシリンダ上室49a とシリンダ下室49b との2室に画
成されている。ピストン54には、ピストンロッド55の一
端がナット56によって連結されており、ピストンロッド
55の他端側は、シリンダ49の上端部に設けられたロッド
ガイド57およびシール部材58を貫通してシリンダ49の外
部まで延ばされている。シリンダ49の下端部には、ベー
スバルブ59が設けられており、このベースバルブ59を介
してシリンダ下室49b とリザーバ室53とが適度な流通抵
抗をもって連通されている。そして、シリンダ49内には
油液が封入され、リザーバ室53内には油液およびガスが
封入されており、ピストンロッド55の伸縮によるシリン
ダ49内の容積変化をリザーバ室53内のガスの圧縮、膨張
によって補償するようになっている。
【0044】ピストン54には、シリンダ上室49a とシリ
ンダ下室49b とを連通させる伸び側通路60および縮み側
通路61が設けられている。伸び側通路60には、シリンダ
上室49a 内の圧力が所定値を越えたときシリンダ上室49
a 側からシリンダ下室2b側への油液の流通を許容して減
衰力を発生させるディスクバルブ62が設けられており、
縮み側通路61には、シリンダ下室49b 内の圧力が所定値
を越えたときシリンダ下室49b 側からシリンダ上室49a
側への油液の流通を許容して減衰力を発生させるディス
クバルブ63が設けられている。
【0045】シリンダ49の下端部よりの外周には、略円
筒状の通路部材64が嵌合されており、内筒50および外筒
51の下端部が通路部材64の上端部に嵌合されている。そ
して、シリンダ49と通路部材64の間に環状通路52が延ば
されており、通路部材64の側壁を軸方向に貫通するリザ
ーバ通路65によってリザーバ室53がベースバルブ59を介
してシリンダ下室49b に連通されている。
【0046】通路部材64の側面部には、環状通路52を介
してシリンダ上室49a とシリンダ下室49b とを連通させ
る伸び側連通路を構成する伸び側減衰力調整機構66およ
び環状通路52を介してシリンダ上室49a とシリンダ下室
49b とを連通させる縮み側連通路を構成する縮み側減衰
力調整機構67が設けられている。伸び側減衰力発生機構
66は、通路部材64の側壁に有底筒状のバルブケース68の
底部が結合されており、バルブケース68の開口部に有底
筒状のプラグ69が螺着されてバルブケース68内にバルブ
室68a が形成されている。バルブケース68の底部には、
通路部材64の側壁に設けられた通路70を介してバルブ室
68a と環状通路52とを連通させるバルブ通路71およびガ
イド孔72が設けられており、環状通路52は、シリンダ49
の上端部付近の側壁に設けられた通路73によってシリン
ダ上室49a に連通されている。さらに、バルブケース68
の底部には、通路部材64の側壁に設けられた通路74およ
びシリンダ49の下端部付近の側壁に設けられた通路75を
介してシリンダ下室49b とバルブ室68a とを連通させる
連通路76が設けられている。
【0047】バルブケース68の底部の内側には、バルブ
通路71のシリンダ上室49a 側からバルブ室68a 側への油
液の流通のみを許容して減衰力を発生させる減衰力調整
弁としてディスクバルブ77が設けられている。ガイド孔
72には、プランジャ78の先端側の小径部が摺動可能に嵌
合され、このプランジャ78の基端側の大径部はプラグ69
に設けられたガイド穴79に摺動可能に嵌合されており、
ガイド穴79内に開弁圧調整機構を構成する背圧室79a が
形成されている。プランジャ78には、その軸心に沿って
背圧通路80が貫通されており、背圧通路80にはオリフィ
ス81が設けられている。そして、オリフィス81によって
背圧通路80へ流れる油液を減圧して後述するリリーフ弁
82の負担が小さくなるようにしている。
【0048】プラグ69には、背圧室79a 内の圧力をリリ
ーフするリリーフ弁82が設けられている。リリーフ弁82
は、プラグ69の開口部に比例ソレノイド83が取付けられ
てプラグ69内に形成されたリリーフ室84と背圧室79a と
を連通させる連通路85を比例ソレノイド83の作動ロッド
83a にばね手段としてのばね部材83b を介して連結され
た弁体であるニードル86によって開閉するニードル弁で
ある。比例ソレノイド83は、作動ロッド83a を通電電流
に応じた力で付勢してばね部材83b を圧縮することによ
りニードル86の開弁圧を変化させてリリーフ弁82のリリ
ーフ圧を調整するようになっている。リリーフ室84は、
リリーフ通路87によってバルブ室68a に連通されてい
る。ここで、ニードル86は、質量を充分小さく(約1g
以下)してあり、ばね部材83b と組合せた振動系の固有
振動数が充分高く(kHz オーダー)なるようになってい
る。
【0049】プランジャ78には、ディスクバルブ77の背
面側に当接する押圧部材88が連結され、プランジャ78が
背圧室79a から受ける圧力によりディスクバルブ77を閉
弁方向に押圧するようになっており、この押圧によりデ
ィスクバルブ77の開弁圧を調整するようになっている。
【0050】縮み側減衰力調整機構67は、通路部材64の
側壁に有底筒状のバルブケース89の底部が結合されてお
り、バルブケース89の開口部に有底筒状のプラグ90が螺
着されてバルブケース89内にバルブ室89a が形成されて
いる。バルブケース89の底部には、シリンダ49の下端部
付近の側壁に設けられた通路91および通路部材64の側壁
に設けられた通路92を介してバルブ室89a とシリンダ下
室49b とを連通させるバルブ通路93およびガイド孔94が
設けられている。さらに、バルブケース89の底部には、
通路部材64の側壁に設けられた通路95を介してバルブ室
89a を環状通路52に連通させる連通路96が設けられてい
る。
【0051】バルブケース89の底部の内側には、バルブ
通路93のシリンダ下室49b 側からバルブ室89a 側への油
液の流通のみを許容して減衰力を発生させる減衰力調整
弁としてディスクバルブ97が設けられている。ガイド孔
94には、プランジャ98の先端側の小径部が摺動可能に嵌
合され、このプランジャ98の基端側の大径部はプラグ90
に設けられたガイド穴99に摺動可能に嵌合されており、
ガイド穴99内に開弁圧調整機構を構成する背圧室99a が
形成されている。プランジャ98には、その軸心に沿って
背圧通路100 が貫通されており、背圧通路100 にはオリ
フィス101 が設けられている。そして、オリフィス101
によって背圧通路100 へ流れる油液を減圧して後述する
リリーフ弁102 の負担が小さくなるようにしている。
【0052】プラグ90には、背圧室99a 内の圧力をリリ
ーフするリリーフ弁102 が設けられている。リリーフ弁
102 は、プラグ90の開口部に比例ソレノイド103 が取付
けられてプラグ90内に形成されたリリーフ室104 と背圧
室99a とを連通させる連通路105 を比例ソレノイド103
の作動ロッド103aにばね手段としてのばね部材103bを介
して連結された弁体であるニードル106 によって開閉す
るニードル弁である。比例ソレノイド103 は、作動ロッ
ド103aを通電電流に応じた力で付勢してばね103bを圧縮
することによりニードル106 の開弁圧を変化させてリリ
ーフ弁102 のリリーフ圧力を調整するようになってい
る。リリーフ室104 は、リリーフ通路107によってバル
ブ室89a に連通されている。ここで、ニードル106 は、
質量を充分小さく(約1g以下)してあり、ばね103bと
組合せた振動系の固有振動数が充分高く(kHz オーダ
ー)なるようになっている。
【0053】プランジャ98には、ディスクバルブ97の背
面側に当接する押圧部材108 が連結され、プランジャ98
が背圧室99a から受ける圧力によりディスクバルブ97を
閉弁方向に押圧するようになっており、この押圧により
ディスクバルブ97の開弁圧を調整するようになってい
る。
【0054】以上のように構成した第2実施例の作用に
ついて次に説明する。
【0055】ピストンロッド55の伸び行程時には、ピス
トン54の摺動によってシリンダ上室49a 側の油液が通路
73、環状通路52を通り、さらに、伸び側減衰力調整機構
66の通路70、バルブ通路71、バルブ室68a 、連通路76、
通路74、通路75を通ってシリンダ下室49b 側へ流れる。
そして、シリンダ上室49a 側の油液の圧力によりディス
クバルブ77が開弁してバルブ通路71の通路面積を調整す
ることによって減衰力が発生する。このとき、ディスク
バルブ77は、押圧部材88により閉弁方向に押圧されるの
で、この押圧荷重に比例した減衰力が発生する。一方、
縮み側減衰調整機構67では、シリンダ上室49a 側の圧力
によってディスクバルブ97およびリリーフ弁102 が閉じ
るので油液が流通しない。
【0056】押圧部材88による押圧荷重は、シリンダ上
室49a 側の油液がプランジャ78の背圧通路80を介して背
圧室79a に伝わり、背圧室79a 内の油液の圧力がプラン
ジャ78の大径部の受圧面に作用することによって生じ
る。このとき、背圧室79a の圧力がリリーフ弁82の設定
圧を越えるとリリーフ弁82が開き背圧室79a の油液がリ
リーフ室84へリリーフされ、リリーフ通路87を通ってシ
リンダ下室49b 側のバルブ室68a へ流れるので、背圧室
79a の圧力はリリーフ弁82によって任意に設定すること
ができる。したがって、比例ソレノイド83への通電電流
により、ばね部材83b の圧縮量を変化させニードル86の
開弁圧を調整してリリーフ弁82のリリーフ圧力を設定す
ることにより減衰力を直接制御することができ、シリン
ダ上室49aの圧力に応じてディスクバルブ77の開度が変
化してピストン速度にかかわらず所定の減衰力が発生す
る。
【0057】なお、シリンダ上室49a の圧力が所定以上
となった場合には、ピストン54のディスクバルブ62が開
いてシリンダ上室49a の油液が伸び側通路60を通って直
接シリンダ下室49b へ流れることにより減衰力が発生す
る。
【0058】ピストンロッド55の縮み行程時には、ピス
トン54の摺動によってシリンダ下室49b 側の油液が通路
91を通り、縮み側減衰力調整機構67の通路92、バルブ通
路93、バルブ室89a 、連通路96、通路95、環状通路52、
通路73を通ってシリンダ上室49a へ流れる。そして、シ
リンダ下室49b 側の油液の圧力によりディスクバルブ97
が開弁してバルブ通路93の通路面積を調整することによ
って減衰力が発生する。このとき、ディスクバルブ97
は、押圧部材108 により閉弁方向に押圧されるので、こ
の押圧荷重に比例した減衰力が発生する。一方、伸び側
減衰調整機構66では、シリンダ下室49b 側の圧力によっ
てディスクバルブ77およびリリーフ弁82が閉じるので油
液が流通しない。
【0059】押圧部材108 による押圧荷重は、シリンダ
下室49b 側の油液がプランジャ98の背圧通路100 を介し
て背圧室99a に伝わり、背圧室99a 内の油液の圧力がプ
ランジャ98の大径部の受圧面に作用することによって生
じる。このとき、背圧室99aの圧力がリリーフ弁102 の
設定圧を越えるとリリーフ弁102 が開き背圧室99a の油
液がリリーフ室104 へリリーフされ、リリーフ通路107
を通ってシリンダ上室49a 側のバルブ室89a へ流れるの
で、背圧室99a の圧力はリリーフ弁102 によって任意に
設定することができる。したがって、比例ソレノイド10
3 への通電電流によりばね103bの圧縮量を変化させニー
ドル106 の開弁圧を調整してリリーフ弁102 のリリーフ
圧力を設定することにより減衰力を直接制御することが
でき、シリンダ下室49b の圧力に応じてディスクバルブ
97の開度が変化してピストン速度にかかわらず所定の減
衰力が発生する。
【0060】なお、シリンダ下室49b の圧力が所定以上
となった場合には、ピストン54のディスクバルブ63が開
いてシリンダ下室49b の油液が縮み側通路61を通って直
接シリンダ上室49a へ流れることにより減衰力が発生す
る。
【0061】このように、比例ソレノイド83,103 への
通電電流によりリリーフ弁87,102のリリーフ圧を調整
することにより、伸び側と縮み側の減衰力をそれぞれピ
ストン速度にかかわらず直接制御することができる。ま
た、第1実施例と同様に、ニードル86,106 およびばね
部材83b ,103bの固有振動数を充分大きくしているの
で、リリーフ弁の応答遅れによる背圧の上昇を抑制して
車両の乗り心地の悪化を防止することができる。
【0062】なお、上記第2実施例では、伸び側および
縮み側減衰力調整機構66,67の両方を設けた例を示した
が、軽量化や仕様の簡素化のためにどちらか一方のみを
設けるようにしてもよい。
【0063】次に、本発明の第3実施例について図4お
よび図5を用いて説明する。なお、第3実施例は、図1
および図2に示す第1実施例に対して、ポペット弁およ
びリリーフ弁が異なるのみであるから、以下、第1実施
例と同様の部材には同一の番号を付して異なる部分につ
いてのみ詳細に説明する。
【0064】図4に示すように、第2実施例の減衰力調
整式油圧緩衝器109 では、伸び側通路12に設けられたポ
ペット弁17は、ガイド18内のポペット19の背面側にピス
トン110 が摺動可能に嵌装されており、ポペット19とピ
ストン110 との間にばね手段としてのばね部材111 が介
装されている。そして、ピストン 110の背面側に開弁圧
調整機構を構成する背圧室20が形成されている。
【0065】同様に、縮み側通路13に設けられたポペッ
ト弁27は、ガイド28内のポペット29の背面側にピストン
112 が摺動可能に嵌装されており、ポペット19とピスト
ン112 との間にばね手段としてのばね部材113 が介装さ
れている。そしてピストン112 の背面側に開弁圧調整機
構を構成する背圧室30が形成されている。
【0066】背圧通路20には、オリフィス23の下流側に
オリフィス115 が設けられ、2つのオリフィス23,115
の間にリリーフ弁114 が接続されている。リリーフ弁11
4 は、リリーフ圧を任意に設定できるようになってお
り、リリーフされた油液はリリーフ通路26によって伸び
側通路12のポペット弁17の下流側(リザーバ14側)へ流
れるようになっている。また、オリフィス23によって背
圧通路22へ流れる油液を減圧してリリーフ弁114 の負担
が小さくなるようにしている。
【0067】同様に、背圧通路32には、オリフィス33の
下流側にオリフィス117 が設けられ、2つのオリフィス
33,117 の間にリリーフ弁116 が接続されている。リリ
ーフ弁117 は、リリーフ圧を任意に設定できるようにな
っており、リリーフされた油液はリリーフ通路26によっ
て縮み側通路13のポペット弁27の下流側(リザーバ14
側)へ流れるようになっている。また、オリフィス33に
よって背圧通路32へ流れる油液を減圧してリリーフ弁11
7 の負担が小さくなるようにしている。
【0068】以上のように構成した第3実施例の作用に
ついて次に説明する。
【0069】第3実施例の減衰力調整式油圧緩衝器109
では、ピストンロッド4の伸び側は、リリーフ弁114 の
リリーフ圧によりポペット弁19の背圧室20の圧力を任意
に設定することができる。そして、ポペット19は、シリ
ンダ上室2a側の圧力と、背圧室20の圧力すなわちリリー
フ弁114 設定圧とがバランスする位置まで移動する。し
たがって、シリンダ上室2aの圧力に応じた開度でポペッ
ト弁17が開弁して減衰力が決定される。このようにし
て、シリンダ上室2aの圧力に応じてポペット弁17の通路
面積が変化してピストン速度にかかわらず所定の減衰力
が発生する。
【0070】ピストンロッド4の縮み側は、リリーフ弁
116 のリリーフ圧によりポペット弁27の背圧室30の圧力
を任意に設定することができる。そして、ポペット29
は、シリンダ下室2b側の圧力と、背圧室30の圧力すなわ
ちリリーフ弁116 の設定圧とがバランスする位置まで移
動する。したがって、シリンダ下室2bの圧力に応じた開
度でポペット弁27が開弁して減衰力が決定される。この
ようにして、シリンダ下室2bの圧力に応じてポペット弁
27の通路面積が変化してピストン速度にかかわらず所定
の減衰力が発生する。
【0071】このように、リリーフ弁114 ,116 のリリ
ーフ圧を調整することにより、伸び側と縮み側の減衰力
をそれぞれピストン速度にかかわらず直接制御すること
ができる。
【0072】また、ピストン110 ,112 およびばね部材
111 ,113 によって背圧室20,30が体積弾性を有するよ
うにしているので、背圧通路22,32から背圧室20,30に
流入する油液の量ΔVと背圧室20,30内の圧力の増加Δ
Pとの関係は、 ΔP/ΔV=1/(V0 /KV +S2 /KS )=K V0 :背圧室の体積、KV :油液の体積弾性係数、S:
ピストンの断面積、KS :ばね部材のばね定数、K:背
圧室の体積弾性率 となる。ここで、ばね部材111 ,113 として通常の金属
ばねを用いた場合、式の分母の第2項(S2 /KS
は、第1項(V0 /KV )に対して充分大きく(100
倍以上)なるため、背圧室の体積弾性率Kを充分小さく
設定することができる。また、油液に気泡が混入、分離
することによる油液の体積弾性係数KV の変動による影
響は充分小さくなり、体積弾性率Kは安定した値とな
る。
【0073】そして、背圧通路22,32には、オリフィス
115 ,117 が設けられており、リリーフ弁114 ,116 の
リリーフ圧Pi と、オリフィス115 ,117 を介して背圧
室20,30へ流れる油液の流量qと、背圧室20,30の圧力
0 との関係は、オリフィスによる(圧力損失−流量)
特性を線形近似(抵抗係数R)することにより次式で表
すことができる。 Pi (t)−P0 (t)=Rq(t)
【数1】 ラプラス変換により伝達関数P0 (s)/Pi (s)は
次式のようになる。 G(s)=P0 (s)/Pi (s)=1/(1+s・R/K) 上式で示されるように、リリーフ圧Pi に対して背圧室
の圧力P0 は、1次遅れ系となり、その時定数がτ=R
/Kにより決定されるローパスフィルタが形成される。
したがって、ピストンロッド4への高周波数の入力によ
るリリーフ弁114 ,116 のサージングや自励振動によっ
て背圧通路22,32中の油液に脈動が発生しても背圧室2
0,30の圧力の上昇が緩やかに減衰されるので、ポペッ
ト弁17,27の背圧の過度の上昇を防止して適切な減衰力
を発生させることができる。
【0074】この場合、ピストン速度周波数ωとポペッ
ト弁17,27による減衰力Fとの関係を図7に示すように
なる。図7において、はハード特性(最大減衰力)を
示し、はソフト特性(最小減衰力)を示している。そ
して、ω1 は当該減衰力調整式油圧緩衝器109 が装着さ
れた車両のばね上共振周波数、ω2 は時定数τによって
決まるカットオフ周波数を示しており、ばね上共振周波
数ω1 付近では充分大きな減衰力を発生させることがで
き、サスペンション制御装置によって減衰力を制御する
ことにより効果的に姿勢制御および制振を行うことがで
き、ばね下共振周波数よりも高い周波数ω3 に対しては
減衰力特性の設定にかかわらず減衰力が低下することに
より、ばね下の振動を絶縁して乗り心地を向上させるこ
とができる。
【0075】なお、図4の減衰力調整式油圧緩衝器109
において、リリーフ弁114 ,116 の代わりに図5に示す
電磁式比例制御弁118 を用いることもできる。電磁式比
例制御弁118 は、図2に示す電磁式比例制御弁24に対し
て、ばね44,45を省略してニードル119 ,120 とロッド
121 とを一体に形成し、ソレノイド37の推力により伸び
側リリーフ弁25および縮み側リリーフ弁34のリリーフ圧
を直接制御するようにしたものである。このようにした
場合、第1実施例と同様に、比例ソレノイド37への通電
電流を調整することにより、縮み側の減衰力を特性をハ
ード側からソフト側へ連続的に変化させるとともに伸び
側の減衰力特性をソフト側からハード側へ連続的に変化
させることができる。このとき、伸び側と縮み側とで大
小異なる種類の減衰力が発生されることになり、サスペ
ンション制御に適した減衰力特性を得ることができる。
【0076】次に、本発明の第4実施例について図6を
用いて説明する。なお、第4実施例は、図3に示す第2
実施例に対して、リリーフ弁82, 102のニードル弁構造
およびディスクバルブ77,97の開弁圧調整機構のみが異
なるので、以下、図3に示すものと同様の部材には同一
の番号を付し異なる部分についてのみ詳細に説明する。
【0077】図6に示すように、第4実施例の減衰力調
整式油圧緩衝器122 では、図3に示す減衰力調整式油圧
緩衝器48に対してリリーフ弁82,102 のばね部材83b ,
103bを省略して比例ソレノイド83の作動ロッド83a とニ
ードル86とを、また、比例ソレノイド103 の作動ロッド
103aとニードル106 とを一体に形成し、比例ソレノイド
83,103 の推力によりリリーフ弁82,102 のリリーフ圧
を直接制御するようにしている。
【0078】伸び側減衰力発生機構66では、バルブケー
ス68に設けられたガイド孔72に、プラグ69から延ばされ
た背圧通路123 が嵌合されており、背圧通路123 の先端
部にオリフィス 124が設けられている。プラグ69のガイ
ド穴79には、プランジャ125が摺動可能に嵌装されてガ
イド穴79内に開弁圧調整機構を構成する背圧室79a が形
成されており、プランジャ125 には背圧通路123 が貫通
されている。背圧通路123 は、オリフィス126 を介して
背圧室79a に連通されている。そして、2つのオリフィ
ス124 ,126 の間に接続されたリリーフ弁82によって背
圧通路123 の圧力すなわち背圧室79a の圧力をリリーフ
するようになっている。なお、オリフィス124 は、シリ
ンダ上室49a 側から背圧通路123 へ流れる油液を減圧し
てリリーフ弁82の負担が小さくなるようにしている。
【0079】プランジャ125 には、ばね座127 が取付け
られており、ばね座 127とディスクバルブ77との間にば
ね部材128 が介装されている。そして、プランジャ125
が背圧室79a から受ける圧力によりディスクバルブ77を
閉弁方向に押圧して通路面積を調整するようになってお
り、ばね手段としてのばね部材128 の弾性力により背圧
室79a が体積弾性を有するようになっている。
【0080】同様に、縮み側減衰力発生機構67では、バ
ルブケース89に設けられたガイド孔94には、プラグ90か
ら延ばされた背圧通路129 が嵌合されており、背圧通路
129の先端部にオリフィス130 が設けられている。プラ
グ90のガイド穴99には、プランジャ131 が摺動可能に嵌
装されてガイド穴99内に開弁圧調整機構を構成する背圧
室99a が形成されており、プランジャ131 には背圧通路
129 が貫通されている。背圧通路129 は、オリフィス13
2 を介して背圧室99a に連通されている。そして、2つ
のオリフィス130 , 132の間に接続されたリリーフ弁10
2 によって背圧通路129 の圧力すなわち背圧室99a の圧
力をリリーフするようになっている。なお、オリフィス
130 は、シリンダ下室49b 側から背圧通路129 へ流れる
油液を減圧してリリーフ弁102 の負担が小さくなるよう
にしている。
【0081】プランジャ131 には、ばね座133 が取付け
られており、ばね座133 とディスクバルブ97との間にば
ね手段としてのばね部材134 が介装されている。そし
て、プランジャ131 が背圧室99a から受ける圧力により
ディスクバルブ97を閉弁方向に押圧して通路面積を調整
するようになっており、ばね部材134 の弾性力により背
圧室99a が体積弾性を有するようになっている。
【0082】以上の構成により、図3に示す第2実施例
と同様に、比例ソレノイド83,103への通電電流により
リリーフ弁87, 102のリリーフ圧を調整することによ
り、伸び側と縮み側の減衰力をそれぞれピストン速度に
かかわらず直接制御することができる。
【0083】また、第3実施例と同様に、ばね128 ,13
4 により背圧室79a ,99a に体積弾性を設定し、背圧通
路123 ,134 と背圧室79a ,99a とをオリフィス126 ,
132を介して連通させたことにより、背圧室79a ,99a
の圧力をリリーフ弁87, 102のリリーフ圧に対する1次
遅れ系としたローパスフィルタが形成されるので、ピス
トンロッド4への高周波数の入力によるリリーフ弁87,
102のサージングや自励振動によって背圧通路123 ,13
4 中の油液に脈動が発生しても背圧室79a ,99a の圧力
の上昇が緩やかに減衰されるので、ディスクバルブ77,
97の背圧の過度の上昇を防止して適切な減衰力を発生さ
せることができる。
【0084】なお、上記第4実施例では、伸び側および
縮み側減衰力調整機構66,67の両方を設けた例を示した
が、軽量化や仕様の簡素化のためにどちらか一方のみを
設けるようにしてもよい。
【0085】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の減衰力調
整式油圧緩衝器によれば、ピストンロッドの伸びまたは
縮み行程時、リリーフ弁のリリーフ圧力を調整し、この
調整に応じて開弁圧調整機構の背圧室の圧力が変化し
て、背圧室の圧力と連通路の圧力に応じて減衰力調整弁
の弁体の開度が決定されるので、ピストン速度にかかわ
らず減衰力を直接制御することができる。そして、第
1、第2の発明の減衰力調整式油圧緩衝器では、リリー
フ弁の弁体と比例ソレノイドのプランジャとの間にばね
手段が介装されているので、リリーフ弁の弁体の質量を
充分小さくして固有振動数を大きくすることができ、ピ
ストンロッドへの高周波の入力に対する応答性を向上さ
せることができる。さらに、第2の発明の減衰力調整式
油圧緩衝器では、比例ソレノイドのプランジャの一側へ
の移動により伸び側リリーフ弁のリリーフ圧が高まり、
他側への移動により縮み側への移動により縮み側リリー
フ弁のリリーフ圧が高まるので、伸び側と縮み側とで大
小異なる種類の減衰力特性を設定することができる。ま
た、第3、第4の発明の減衰力調整式油圧緩衝器では、
ばね手段と一方のオリフィスとによって背圧室は、リリ
ーフ圧力の変化に対して1次遅れ系となるので、ピスト
ンロッドへの高周波の入力に対して減衰力調整弁の応答
遅れによる減衰力の増大を防止することができる。さら
に、第4の発明の減衰力調整式油圧緩衝器では、比例ソ
レノイドのプランジャの一側への移動により伸び側リリ
ーフ弁のリリーフ圧が高まり、他側への移動により縮み
側への移動により縮み側リリーフ弁のリリーフ圧が高ま
るので、伸び側と縮み側とで大小異なる種類の減衰力特
性を設定することができる。その結果、ピストン速度に
かかわらず減衰力を直接制御することができるのでピス
トン速度を検出する必要がなくコントローラの負担を軽
減でき、また、ピストンロッドへの高周波入力に対して
も安定した減衰力を発生することができるので減衰力調
整弁の応答遅れによる乗り心地の悪化を防止することが
できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の減衰力調整式油圧緩衝器
の回路図である。
【図2】図1の装置の電磁式比例制御弁の側面の縦断面
図である。
【図3】本発明の第2実施例の減衰力調整式油圧緩衝器
の側面の縦断面図である。
【図4】本発明の第3実施例の減衰力調整式油圧緩衝器
の回路図である。
【図5】図4の装置のリリーフ弁の他の実施例である電
磁式比例制御弁の側面の縦断面図である。
【図6】本発明の第4実施例の減衰力調整式油圧緩衝器
の側面の縦断面図である。
【図7】図4および図6の装置のピストンロッドへ入力
周波数に対する減衰力特性を示す図である。
【符号の説明】
1 減衰力調整式油圧緩衝器 2 シリンダ 2a シリンダ上室 2b シリンダ下室 3 ピストン 4 ピストンロッド 9 連通路 12 伸び側連通路 13 縮み側連通路 17,26 ポペット弁(減衰力調整弁) 20,30 背圧室(開弁圧調整機構) 23,32 オリフィス 25 伸び側リリーフ弁 34 縮み側リリーフ弁 37 比例ソレノイド 39,41 ニードル(弁体) 44,45 ばね部材(ばね手段) 48 減衰力調整式油圧緩衝器 49 シリンダ 49a シリンダ上室 49b シリンダ下室 54 ピストン 55 ピストンロッド 66 伸び側減衰力調整機構(連通路) 67 縮み側減衰力調整機構(連通路) 77,97 ディスクバルブ(減衰力調整弁) 79a,99a 背圧室(開弁圧調整機構) 81,101 オリフィス 82,102 リリーフ弁 83b,103b ばね部材(ばね手段) 86,106 ニードル(弁体) 111,113 ばね部材(ばね手段) 114,116 リリーフ弁 115,117 オリフィス 124,126 オリフィス 130,132 オリフィス

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油液が封入されたシリンダと、該シリン
    ダ内に摺動可能に嵌装され前記シリンダ内を2室に画成
    するピストンと、一端が前記ピストンに連結され他端が
    前記シリンダの外部まで延ばされたピストンロッドと、
    前記シリンダ内の2室を連通する連通路と、該連通路に
    設けられ一方向の油液の流れにより開弁して減衰力を発
    生させる弁体を有する減衰力調整弁と、前記連通路の前
    記減衰力調整弁より上流側にオリフィスを介して連通す
    る背圧室を有し該背圧室の圧力によって前記減衰力調整
    弁の弁体の開弁圧を変化させる開弁圧調整機構と、該背
    圧室の圧力を前記連通路の前記減衰力調整弁の下流側に
    リリーフして調整するリリーフ弁と、該リリーフ弁の弁
    体をばね手段を介して付勢してリリーフ圧を調整する比
    例ソレノイドとを備えてなることを特徴とする減衰力調
    整式油圧緩衝器。
  2. 【請求項2】 油液が封入されたシリンダと、該シリン
    ダ内に摺動可能に嵌装され前記シリンダ内を2室に画成
    するピストンと、一端が前記ピストンに連結され他端が
    前記シリンダの外部まで延ばされたピストンロッドと、
    前記シリンダ内の2室を連通させ前記ピストンロッドの
    伸び行程時の油液の流通を許容する伸び側連通路と、前
    記シリンダ内の2室を連通させ前記ピストンロッドの縮
    み行程時の油液の流通を許容する縮み側連通路と、前記
    伸び側連通路の油液の流れにより開弁して減衰力を発生
    させる弁体を有する伸び側減衰力調整弁と、前記縮み側
    連通路の油液の流れにより開弁して減衰力を発生させる
    弁体を有する縮み側減衰力調整弁と、前記伸び側連通路
    の前記伸び側減衰力調整弁より上流側にオリフィスを介
    して連通する伸び側背圧室を有し該伸び側背圧室の圧力
    によって前記伸び側減衰力調整弁の弁体の開弁圧を変化
    させる伸び側開弁圧調整機構と、前記縮み側連通路の前
    記縮み側減衰力調整弁より上流側にオリフィスを介して
    連通する縮み側背圧室を有し該伸縮み側背圧室の圧力に
    よって前記縮み側減衰力調整弁の弁体の開弁圧を変化さ
    せる縮み側開弁圧調整機構と、前記伸び側背圧室の圧力
    を前記伸び側連通路の前記伸び側減衰力調整弁の下流側
    にリリーフして調整する伸び側リリーフ弁と、前記縮み
    側背圧室の圧力を前記縮み側連通路の前記縮み側減衰力
    調整弁の下流側にリリーフして調整する縮み側リリーフ
    弁と、一側への移動により前記伸び側リリーフ弁の弁体
    をばね手段を介して閉弁方向に付勢し他側への移動によ
    り前記縮み側リリーフ弁の弁体をばね手段を介して閉弁
    方向に付勢するプランジャを有する比例ソレノイドとを
    備えてなることを特徴とする減衰力調整式油圧緩衝器。
  3. 【請求項3】 油液が封入されたシリンダと、該シリン
    ダ内に摺動可能に嵌装され前記シリンダ内を2室に画成
    するピストンと、一端が前記ピストンに連結され他端が
    前記シリンダの外部まで延ばされたピストンロッドと、
    前記シリンダ内の一方の室と他方の室とを連通する連通
    路と、該連通路に設けられ一方向の油液の流れにより開
    弁して減衰力を発生する弁体を有する減衰力調整弁と、
    前記連通路に前記減衰力調整弁より上流側で分岐して直
    列に配置された2つのオリフィスを介して連通する背圧
    室を有し該背圧室の圧力を前記減衰力調整弁の弁体にば
    ね手段を介して作用させて開弁圧を変化させる開弁圧調
    整機構と、前記2つのオリフィスの間に接続され前記背
    圧室の圧力を前記連通路の前記減衰力調整弁の下流側に
    リリーフして調整するリリーフ弁とを備えてなることを
    特徴とする減衰力調整式油圧緩衝器。
  4. 【請求項4】 油液が封入されたシリンダと、該シリン
    ダ内に摺動可能に嵌装され前記シリンダ内を2室に画成
    するピストンと、一端が前記ピストンに連結され他端が
    前記シリンダの外部まで延ばされたピストンロッドと、
    前記シリンダ内の2室を連通させ前記ピストンロッドの
    伸び行程時の油液の流通を許容する伸び側連通路と、前
    記シリンダ内の2室を連通させ前記ピストンロッドの縮
    み行程時の油液の流通を許容する縮み側連通路と、前記
    伸び側連通路の油液の流れにより開弁して減衰力を発生
    させる弁体を有する伸び側減衰力調整弁と、前記縮み側
    連通路の油液の流れにより開弁して減衰力を発生させる
    弁体を有する縮み側減衰力調整弁と、前記伸び側連通路
    に前記伸び側減衰力調整弁より上流側で分岐して直列に
    配置された2つの伸び側オリフィスを介して連通する伸
    び側背圧室を有し該伸び側背圧室の圧力を前記伸び側減
    衰力調整弁の弁体にばね手段を介して作用させて開弁圧
    を変化させる伸び側開弁圧調整機構と、前記縮み側連通
    路に前記縮み側減衰力調整弁より上流側で分岐して直列
    に配置された2つの縮み側オリフィスを介して連通する
    縮み側背圧室を有し該縮み側背圧室の圧力を前記縮み側
    減衰力調整弁にばね手段を介して作用させて弁体の開弁
    圧を変化させる縮み側開弁圧調整機構と、前記2つの伸
    び側オリフィスの間に接続され前記伸び側背圧室の圧力
    を前記伸び側連通路の前記伸び側減衰力調整弁の下流側
    にリリーフして調整する伸び側リリーフ弁と、前記2つ
    の縮み側オリフィスの間に接続され前記縮み側背圧室の
    圧力を前記縮み側連通路の前記縮み側減衰力調整弁の下
    流側にリリーフして調整する縮み側リリーフ弁と、一側
    への移動により前記伸び側リリーフ弁の弁体を閉弁方向
    に付勢し他側への移動により前記縮み側リリーフ弁の弁
    体を閉弁方向に付勢するプランジャを有する比例ソレノ
    イドとを備えてなることを特徴とする減衰力調整式油圧
    緩衝器。
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