JPH0725950A - 硬化性重合体の製造方法 - Google Patents

硬化性重合体の製造方法

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JPH0725950A
JPH0725950A JP19310593A JP19310593A JPH0725950A JP H0725950 A JPH0725950 A JP H0725950A JP 19310593 A JP19310593 A JP 19310593A JP 19310593 A JP19310593 A JP 19310593A JP H0725950 A JPH0725950 A JP H0725950A
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JP
Japan
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monomer
polymer
curable polymer
silyl group
radical
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JP19310593A
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Inventor
Akira Washimi
章 鷲見
Hideko Yamada
英子 山田
Kaoru Kimura
馨 木村
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Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 分子量が高くても低粘度の液体であるので作
業性が良好であり、かつ保存安定性が良好である硬化性
重合体を製造する方法が本発明により提供される。 【構成】 下記一般式(1) (式中、R1 は炭素数1〜6のアルキル基、R2 は炭素
数1〜6のアルキル基を、nは1、2または3を示す)
で表される加水分解性シリル基を有し、ラジカル重合性
二重結合を有する単量体(a)、及び加水分解性シリル
基を有さず、ラジカル重合性二重結合を有する単量体
(b)よりなる単量体混合物を、有機溶剤中でラジカル
重合させることからなる硬化性重合体の製造方法におい
て、単量体(a)として、一般式(1)における(R1
O)n のR1 及び/またはnが異なる2種以上の単量体
を使用し、かつ1分子中にメルカプト基を3個以上有す
る化合物(c)の存在下に重合させることを特徴とする
硬化性重合体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は加水分解性シリル基を有
する硬化性重合体の製造方法に関するものであり、得ら
れる硬化性重合体は、主として、硬化樹脂膜が求められ
る産業分野において塗料またはコーティング剤の被膜成
分として用いることができる。
【0002】
【従来の技術】室温硬化性重合体として、両末端に加水
分解性シリル基を有するテレケリックな重合体が知られ
ており(例えば特開昭59−78223)、また線状重
合体の側鎖に加水分解性シリル基を複数個有する重合体
が知られている(例えば特開昭55−129405)。
しかしながら、これらの重合体は分子量が高くなると粘
度が極端に高くなりひいては固状になり、塗料、接着剤
に用いる場合、作業性が低下するという問題がある。ま
た、これらの重合体の分子量が低くなると、液状を保つ
ことは可能であるが、硬化物の耐侯性が低下するという
別の問題が生じる。従って、特に塗料分野において、分
子量が大きくしかも低粘度の液体である硬化性重合体が
望まれている。
【0003】上記課題を解決するための一手段として、
1分子中にメルカプト基を3〜8個有する連鎖移動剤の
存在下に、加水分解性シリル基を有するエチレン系不飽
和単量体及び、必要に応じ、その他のラジカル重合性単
量体をラジカル重合させた硬化性重合体が提案されてい
る(特開平5-17536 号)。該硬化性重合体は、上記連鎖
移動剤に3〜8個の重合体が星形に結合した多分岐状重
合体であり、かかる構造を有するために高分子量でも粘
度が低いという性質を有している。しかしながら、上記
公報記載の硬化性重合体の内、塗料用に特に好適な加水
分解性シリル基含有単量体単位を1〜5モル%程度含む
硬化性重合体は、保存安定性に劣り、硬化剤不存在下で
も、室温下で短期間の内に硬化してしまうという問題点
があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は保存安
定性に優れ、かつ高分子量でも粘度が低い加水分解性シ
リル基含有硬化性重合体の製造方法を提供することを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題は下記一般式
(1) (式中、R1 は炭素数1〜6のアルキル基、R2 は炭素
数1〜6のアルキル基を、nは1、2または3を示す)
で表される加水分解性シリル基を有し、ラジカル重合性
二重結合を有する単量体(a)、及び加水分解性シリル
基を有さず、ラジカル重合性二重結合を有する単量体
(b)よりなる単量体混合物を、有機溶剤中でラジカル
重合させることからなる硬化性重合体の製造方法におい
て、単量体(a)として、一般式(1)における(R1
O)n のR1 及び/またはnが異なる2種以上の単量体
を使用し、かつ1分子中にメルカプト基を3個以上有す
る化合物(c)の存在下に重合させることを特徴とする
硬化性重合体の製造方法によって解決された。
【0006】本発明における単量体(a)としては一般
式(1)の加水分解性シリル基を有し、ラジカル重合性
二重結合を有する単量体であればいずれの単量体でもよ
いが、以下の式で表される単量体が好ましい。 〔式中、R1 、R2 及びnは前記と同義であり、R4
ビニル基またはアリル基を表すか、またはアルキレン部
分がエチレンまたはトリメチレンであるアクリロイルオ
キシ(もしくはメタクリロイルオキシ)アルキル基を表
す〕。
【0007】単量体(a)の好ましい具体例として、例
えば以下の化合物が挙げられる。ビニルトリメトキシシ
ラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシ
シラン、アリルトリエトキシシラン、2-アクリロイルオ
キシエチルトリメトキシシラン、3-アクリロイルオキシ
プロピルトリメトキシシラン、2-アクリロイルオキシエ
チルメチルジメトキシシラン、3-アクリロイルオキシプ
ロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリロイルオキシ
プロピルジメチルメトキシシラン、2-アクリロイルオキ
シエチルトリエトキシシラン、3-アクリロイルオキシプ
ロピルトリエトキシシラン、2-アクリロイルオキシエチ
ルメチルジエトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロ
ピルメチルジトリメトキシシラン、3-アクリロイルオキ
シプロピルジメチルエトキシシラン、2-メタクリロイル
オキシエチルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオ
キシプロピルトリメトキシシラン、2-メタクリロイルオ
キシエチルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロイル
オキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロ
イルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、2-メタク
リロイルオキシエチルトリエトキシシラン、3-メタクリ
ロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、2-メタクリ
ロイルオキシエチルメチルジエトキシシラン、3-メタク
リロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メ
タクリロイルオキシプロピルジメチルエトキシシラン。
【0008】本発明においては、一般式(1)における
(R1 O)n のR1 及び/またはnが異なる2種以上の
単量体(a)を使用する。かかる複数の単量体として
は、加水分解反応性の異なる複数の加水分解性シリル基
含有単量体(a)を選ぶのが好ましい。ここで加水分解
性シリル基の反応性は以下の通りである。 1 の炭素数の小さいもの>大きいもの 単量体(a)として2種用いる場合、加水分解反応性の
大なる単量体をa1、小なる単量体をa2とすると、a
1とa2の好ましい使用割合は一般にモル比でa1:a
2=1:0.1 〜5である。2種以上用いる場合は加水分
解性のもつとも大なる単量体をa1として他2者をa2
とし、両者の割合が上記と同様になるようにすればよ
い。a2の割合が前記比例式で 0.1未満であると、得ら
れる重合体は保存性に劣り、一方5を越えると、得られ
る重合体を硬化剤を併用して硬化させる際硬化速度が遅
くなる。もっとも好ましい併用はトリメトキシシリル基
含有単量体(a1)とジメトキシアルキルシリル基含有
単量体(a2)またはトリエトキシシリル基含有単量体
(a2)との併用であり、この場合の特に好ましい使用
割合はa1:a2=1:0.3 〜4である。
【0009】単量体(b)は加水分解性シリル基を有さ
ず、ラジカル重合性二重結合を有する単量体であるが、
これらの単量体はラジカル重合に通常用いられるエチレ
ン系単量体であって、スチレン系化合物、アクリル酸
(メタクリル酸)エステルをはじめとするビニル単量体
を包含する。好ましい具体例としては、例えば以下の化
合物が挙げられる。スチレン、p-ブロモスチレン、p-ク
ロロスチレン、ペンタフルオロスチレン、p-アミノスチ
レン、p-アミノメチルスチレン、メチル=アクリラー
ト、メチル=メタクリラート、エチル=アクリラート、
エチル=メタクリラート、2-ヒドロキシエチル=アクリ
ラート、2-ヒドロキシエチル=メタクリラート、プロピ
ル=アクリラート、プロピル=メタクリラート、ブチル
=アクリラート、ブチル=メタクリラート、シクロヘキ
シル=アクリラート、シクロヘキシル=メタクリラー
ト、1,1-ジメチルエチルアクリラート、1,1-ジメチ
ルエチルメタクリラート、N-ビニル- 2-ピロリドン、2-
ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、N-ビニルピペリド
ン、N-ビニルカプロラクタム、アクリロニトリル、アク
リルアミド、メタクリルアミド、2-ヒドロキシプロピル
=アクリラート、2-ヒドロキシプロピル=メタクリラー
ト、ポリエチレングリコールモノアクリラート、ポリエ
チレングリコールモノメタクリラート。
【0010】化合物(c)は連鎖移動剤であり、1分子
中にメルカプト基を3個以上、特に3〜6個有する脂肪
族または芳香族化合物(脂肪族チオール、芳香族チオー
ル)が用いられる。脂肪族チオールとしては下式 R5 −C(CH2 OH)3 〔式中、R5 は炭素数1〜4のアルキル基(特にメチ
ル、エチル基)、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基
(特にヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル基)また
は式 (HOCH2)3 C−CH2 −O−CH2 − の基である〕のアルコールと炭素数2〜6のメルカプト
アルカン酸とから形成される、メルカプト基を3〜6個
有するエステルが好ましい。炭素数2〜6のメルカプト
アルカン酸としては2-メルカプト酢酸、2-メルカプトプ
ロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、4-メルカプト
酪酸、5-メルカプト吉草酸、6-メルカプトカプロン酸が
例示される。2-メルカプト酢酸または3-メルカプトプロ
ピオン酸が好ましい。
【0011】脂肪族チオールの好ましい具体例として、
例えばペンタエリスリトール=テトラキス(2-メルカプ
トアセテート)、ペンタエリスリトール=テトラキス
(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロ
パン=トリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロ
ールプロパン=トリス(3-メルカプトプロピオネー
ト)、ジペンタエリスリトール=ヘキサキス(3-メルカ
プトプロピオネート)、N,N,N-トリス〔2-(2-メルカプ
トエチルカルボニルオキシ)エチル〕イソシアヌレート
が挙げられる。芳香族チオールの好ましい具体例として
はベンゼン-1,3,5- トリチオール、3,4,8,9-テトラメル
カプトテトラチアフルバレン、7-メチルトリチオ尿酸が
挙げられる。
【0012】単量体(a)及び単量体(b)の好ましい
共重合割合は、単量体(b)100 モルに対して、単量体
(a)が0.5 〜5モルの範囲、より好ましくは1〜5モ
ルの範囲である。単量体(a)の割合が 0.5モル未満で
あると、得られる重合体は硬化性に劣り、塗料用に用い
難くなり、他方5モルを越えると保存安定性に劣る。単
量体(b)に対するチオール(c)の好ましい配合割合
は、単量体(b) 100モルに対して、チオール(c)が
1〜3モルの範囲である。チオール(c)の割合が1モ
ル未満であると、多分岐状の星形硬化性重合体の生成割
合が低くなり、高分子量でかつ低粘度の重合体が得られ
難く、他方3モルを越えると得られる重合体の分子量が
小さくなりすぎる。
【0013】本発明の硬化性重合体及びその硬化物の特
性は、上記範囲内において、使用方法、要求性能等に応
じて、上記単量体(a)及び(b)及びチオール(c)
の配合割合を変えることによって適宜制御することがで
きる。具体的には、例えば硬化物の架橋密度を高めるた
めには単量体(a)を多くするのが好ましく、また分子
量を高めるためにはチオールを少なくするのが好まし
い。
【0014】上記成分(a)及び(b)の重合は、重合
反応及び加水分解反応に不活性な有機溶媒中、成分
(c)の存在下にラジカル重合開始剤を用いて行うこと
ができる。反応方式に特に制限はないが、例えば単量体
(a)及び(b)の混合物と、チオール(c)、重合開
始剤及び有機溶媒の混合物とを反応容器内にそれぞれ滴
下して反応を行うことができる。
【0015】ラジカル重合開始剤としては従来より使用
されているものをいずれも使用することができる。好ま
しい具体例として、例えば以下のものが挙げられる。過
酸化クミル、過酸化tert−ブチル、過酸化ベンゾイル、
過酸化-2- クロロベンゾイル、過酸化3-クロロベンゾイ
ル、過酸化4-クロロベンゾイル、過酸化2,4-ジクロロベ
ンゾイル、過酸化4-ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラ
ウロイル、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、1-フェニル
-2- メチルプロピル-1- ヒドロキシペルオキシド等の過
酸化物;2,2'−アゾビスプロパン、2,2'−ジクロロ-2,
2'-アゾビスプロパン、1,1'−アゾ(メチルエチル)ジ
アセテート、2,2'−アゾビスイソブタン、2,2'−アゾビ
スイソブチルアミド、2,2'−アゾビスイソブチロニトリ
ル(AIBN)、2,2'−アゾビス-2- メチルプロピオン酸メチ
ル、2,2'−ジクロロ-2,2'-アゾビスブタン、2,2'−アゾ
ビス-2- メチルブチロニトリル、2,2'−アゾビスイソ酪
酸ジメチル、3,5-ジヒドロキシメチルフェニルアゾ-2-
メチルマロノジニトリル、2,2'−アゾビス-2- メチルバ
レロニトリル、2-(4-ブロモフェニルアゾ)-2- アリル
マロノジニトリル、4,4'−アゾビス-4- シアノ吉草酸ジ
メチル、2,2'−アゾビス-2,4- ジメチルバレロニトリル
等のアゾ化合物;1,4-ビス(ペンタエチレン1-2-テトラ
ゼン、ベンゼンスルホニルアジド及び1,4-ジメトキシカ
ルボニル-1,4-ジフェニル-2- テトラゼン等。ラジカル
重合開始剤の好ましい使用量は単量体(b)に対して0.
01〜0.1 モル%である。
【0016】重合反応に用いられる好ましい溶媒として
は、トルエン、メタノール、エタノール、ブタノール、
プロパノール、イソプロパノール、アセトン、2-ブタノ
ン、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニト
リル、アセトフェノン等が挙げられる。重合反応が好ま
しい温度は40〜150 ℃の範囲である。重合反応は通常4
〜12時間、多くの場合6〜8時間で終了する。反応終了
後、反応液からの硬化性重合体の単離は通常の重合反応
液からの重合体の単離に用いられる方法から適宜選択し
た方法を用いて行うことができる。例えば反応液を大量
の貧溶媒に注いでデカンテーションした後、上澄液を分
離し、ついで少量残る溶媒を蒸発させることにより硬化
性重合体を単離できる。
【0017】本発明によって得られる硬化性重合体の好
ましい分子量は3,000 〜20,000であり、さらに好ましく
は8,000 〜15,000である。またその好ましい粘度は分子
量等によって異なるが2,000 〜100,000cps、特に5,000
〜 20,000cpsである。本発明によって得られる硬化性重
合体は分子量が高くても低粘度であるので作業性が良好
であり、かつ保存安定性が良好である(硬化剤不存在下
及び密閉下で長期間硬化せず液状を保つ)という利点を
有する。本硬化性重合体の加水分解性 基同士は即座に縮合する。この縮合反応によって本重合
体は網目状構造を形成して硬化する。本硬化性重合体を
適当な溶剤に溶解する場合、前記高分子量でも低粘度の
液体であるという特質から、高濃度に溶解することがで
き、溶媒使用量、貯蔵・輸送コストの低減を可能にす
る。また本硬化性重合体溶液を種々の基材に塗布する
と、基材に強固に密着した塗膜が得られ、該塗膜は表面
硬度、表面光沢等に優れている。
【0018】本発明の硬化性重合体及びその硬化物の上
記特質・利点から、本重合体は、そのまままたは有機溶
媒中の溶液の形態で、塗料またはコーティング剤として
好適に用いることができる。かかる塗料・コーティング
剤には、硬化反応を促進する目的で、使用直前に慣用さ
れる硬化触媒を常用量添加することが好ましい。好まし
い硬化触媒の例としてアルキルチタン酸塩、オクチル酸
錫、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。また、か
かる塗料、コーティング剤は、さらに、合成樹脂塗料に
通常用いられる種々の添加剤、例えば充填剤(シリカ
類、炭酸カルシウム、ガラス繊維等)、顔料(二酸化チ
タン、酸化第二鉄等)、UV吸収剤等を、それぞれの目
的を達成する常用量、含有していてもよい。溶剤型塗料
を得るための有機溶剤としてはメチルイソブチルケトン
等が用いられる。本硬化性重合体の有機溶媒中の濃度は
特に制限ないが、通常50% (w/v)以上が適当である。な
お、本硬化性重合体を単離後、塗料・コーティング剤に
形成してもよいが、重合溶液に、必要に応じ、前記添加
剤を加えたものをそのまま塗料・コーティング剤として
用いてもよい。
【0019】かかる塗料・コーティング剤を慣用的な方
法、例えば浸漬、刷毛塗り、ローラ塗布または噴霧によ
り、金属、ガラス、プラスチック、木材等の基材に塗布
し、ついで溶媒を蒸発させ、被覆を硬化させることによ
り、基材に強固に密着した、表面硬度、表面光沢等に優
れた塗膜が得られる。上記硬化は室温で十分な速度で進
行するが、加温(例えば60℃)して硬化を早めてもよ
い。
【0020】
【実施例】以下に実施例、比較例を掲げて本発明をさら
に具体的に説明する。 実施例1 温度計、玉入り冷却管、及び側管付き滴下漏斗を2個取
り付けた500ml の四つ口フラスコに、ブチル=アクリラ
ート244mmol 、3-メタクリロイルオキシプロピルメチル
ジメトキシシラン3.05mmol及び3-メタクリロイルオキシ
プロピルトリメトキシシラン3.05mmolの混合物を一方の
滴下漏斗にいれ、ラジカル重合開始剤AIBN(ブチル=ア
クリラートに対して0.086mol%)、ペンタエリスリトー
ル=テトラキス(3-メルカプトプロピオネート)6.25mm
ol及びトルエン25mlの混合溶液を他方の滴下漏斗に入れ
た。反応温度を60℃に保ちつつ、両者の溶液を同時に反
応器内に滴下した。6時間後反応液を多量のメタールに
注ぎ、デカンテーションを繰り返した後、ロータリーエ
バポレーターを用いてメタノールを蒸発させることによ
り液状の重合物を単離した。重合物の分子量は、標準ポ
リスチレン換算のGPC測定の結果から3200であった。
また、その液状重合物の回転粘度は0.20×10 4cpsであっ
た。 実施例2及び3 実施例1と同様にして、表1に示した条件で重合体を合
成した。得られた重合体のキャラクタリゼーションの結
果を表2に示した。
【0021】
【表1】 表1.実施例の重合条件 ──────────────────────────────────── 実施例 単量体 単量体 単量体 チオール トルエン 温度時間 収率 (a) (a) (b) (c) mmol mmol mmol mmol ml hr % ──────────────────────────────────── 1 (1)3.05 (2)3.05 (3)244 (4)6.25 25 6 99 2 (1)7.21 (2)2.41 (3)384 (4)6.25 40 6 87 3 (1)3.13 (2)9.39 (3)500 (4)6.25 50 6 95 ──────────────────────────────────── AIBN、単量体(b) に対して0.086 mol %. (1) 3-メタクリロイルオキシプロピルメチルジメト
キシシラン (2) 3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシ
シラン (3) ブチル=アクリラート (4) ペンタエリスリトール=テトラキス(3-メルカ
プトプロピオネート)
【0022】
【表2】
【0023】比較例1 温度計、玉入り冷却管、及び側管付き滴下漏斗を2個取
り付けた500ml の四つ口フラスコに、ブチル=アクリラ
ート146mmol 、3-メタクリロイルオキシプロピルメチル
ジメトキシシラン1.83mmol及び3-メタクリロイルオキシ
プロピルトリメトキシシラン1.83mmolの混合物を一方の
滴下漏斗に入れ、AIBN(ブチル=アクリラートに対して
0.5mol%)、及びトルエン10mlの混合溶液を他方の滴下
漏斗に入れた。反応温度を60℃に保ちつつ、両者の溶液
を同時に反応器内に滴下した。6時間後反応液を多量の
メタールに注ぎ、デカンテーションを繰り返した後、ロ
ータリーエバポレーターを用いてメタノールを蒸発させ
ることにより液状の重合物を単離した。重合物の分子量
は、標準ポリスチレン換算のGPC測定の結果から9500
であった。また、その液状重合物の回転粘度は 123×10
4cpsであった。 比較例2および比較例3 比較例1と同様にして、表3に示した条件で重合体を調
製した。得られた重合体のキャラクタリゼーションの結
果を表4に示した。
【0024】
【表3】 表3.比較例の重合条件 ──────────────────────────────────── 比較例 単量体 単量体 単量体 チオール AIBN トルエン 収率 (a) (a) (b) (c) 化合物 mmol mmol mmol mmol mol% ml % ──────────────────────────────────── 1 (1)1.83 (2)1.83 (3)146 無し 0.5 10 80 2 (1)2.75 (2)0.91 (3)146 無し 1.0 10 80 3 ─ (2)12.5 (3)500 (4)3.13 0.086 60 ── ──────────────────────────────────── 温度、60℃. 時間、6時間
【0025】
【表4】 表4.比較例の重合体のキャラクタリゼーション ─────────────────────────── 比較例 分子量 回転粘度 cps ─────────────────────────── 1 9500 123 ×104 2 6200 64.8 ×104 3 メタノール蒸発時に硬化 ───────────────────────────
【0026】上記表2及び4の結果を比較すればわかる
ように、本発明の加水分解性シリル基を有する硬化性重
合体は高分子量であるにも拘らず、低粘度の液状である
のに対し、比較例1及び2で得られた重合体は回転粘度
が極めて大きく、従って高固形分で低粘度の塗料・コー
ティング剤は得られない。実施例1〜3及び比較例1及
び2で得られた硬化性重合体をガラス瓶中に密封した状
態で室温下保管した場合、1か月以上経ても液状のまま
であった。
【0027】
【発明の効果】分子量が高くても低粘度の液体であるの
で作業性が良好であり、かつ保存安定性が良好である硬
化性重合体を製造する方法が本発明により提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 馨 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成化学工業株式会社名古屋総合研究所 内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) (式中、R1 は炭素数1〜6のアルキル基、R2 は炭素
    数1〜6のアルキル基を、nは1、2または3を示す)
    で表される加水分解性シリル基を有し、ラジカル重合性
    二重結合を有する単量体(a)、及び加水分解性シリル
    基を有さず、ラジカル重合性二重結合を有する単量体
    (b)よりなる単量体混合物を、有機溶剤中でラジカル
    重合させることからなる硬化性重合体の製造方法におい
    て、単量体(a)として、一般式(1)における(R1
    O)n のR1 及び/またはnが異なる2種以上の単量体
    を使用し、かつ1分子中にメルカプト基を3個以上有す
    る化合物(c)の存在下に重合させることを特徴とする
    硬化性重合体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP0835909A2 (en) * 1996-10-08 1998-04-15 Rohm And Haas Company Acrylic polymer composition
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