JPH07258631A - 蛍光体およびそれを用いた蛍光ランプ - Google Patents

蛍光体およびそれを用いた蛍光ランプ

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JPH07258631A
JPH07258631A JP4822794A JP4822794A JPH07258631A JP H07258631 A JPH07258631 A JP H07258631A JP 4822794 A JP4822794 A JP 4822794A JP 4822794 A JP4822794 A JP 4822794A JP H07258631 A JPH07258631 A JP H07258631A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高演色性を呈すると共に、高い発光効率を有
し、三波長域発光型蛍光ランプに適する赤色ないし深赤
色発光の蛍光体を提供する。 【構成】 (Gd1-x Eux 2 O 3 ・nMO (式中、 MはM
g、Ca、SrおよびBaから選ばれた少なくとも 1種の元素
を示し、 xは 0.005≦ x≦0.15を満足する数、 nは0<
n≦ 0.1を満足する数を示す)で実質的に表される蛍光
体であって、その結晶構造の主相が単斜晶系であり、か
つ紫外線励起による発光スペクトルの主ピーク波長が 6
20〜 630nmの範囲に存在する赤色ないし深赤色発光の蛍
光体である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Euを付活した赤色ない
し深赤色発光の蛍光体およびそれを用いた蛍光ランプに
係わり、さらに詳しくは発光効率が高く、かつ高演色性
を呈する三波長域発光型の蛍光ランプ用として好適な赤
色ないし深赤色発光の蛍光体、およびそれを用いた蛍光
ランプに関する。
【0002】
【従来の技術】一般照明用の蛍光ランプとしては、近
年、いわゆる三波長域発光型の蛍光ランプが主流になっ
てきている。この種の蛍光ランプでは、比較的狭帯域の
発光スペクトル分布を有する青色発光、緑色発光および
赤色発光の 3種の蛍光体を任意の割合で混合し、この混
合蛍光体で所要の蛍光膜(蛍光体層)を形成した構成を
採っている。また最近では、さらに演色性を高めるため
に、青緑色発光蛍光体や深赤色発光蛍光体を混合した混
合蛍光体を用いた三波長域発光型蛍光ランプも出現して
いる。
【0003】ところで、赤色発光の蛍光体としては、 3
価のユーロピウムで付活された希土類酸化物蛍光体、例
えば Y2 O 3 :Eu 、Gd2 O 3 :Eu 、(Y,Gd)2 O 3 :Eu 、
(Y,La)2 O 3 :Eu (特開昭 62-172085号公報参照)等が
知られている。これらのEu付活希土類酸化物蛍光体は、
紫外線励起により、赤色部に発光輝度および発光色に優
れた狭帯域発光スペクトルを持ち、そのピーク波長は 6
10〜 615nmの範囲に存在する。これらのうち、三波長域
発光型蛍光ランプの赤色発光蛍光体としては、一般に Y
2 O 3 :Eu が用いられている。
【0004】また、高演色性の三波長域発光型蛍光ラン
プに用いる深赤色発光蛍光体としては、一般にマンガン
付活ゲルマン酸塩蛍光体(3.5MgO・0.5MgF2 ・ GeO2
Mn)が使用されている。この蛍光体は、発光スペクトル
のピーク波長が 655nmと Y2O3 :Eu に比べて長波長側に
あり、これを使用することで演色性は向上するものの、
可視部に吸収があり発光輝度も低いため、この蛍光体を
用いた場合には蛍光ランプの発光効率が低下してしまう
という問題があった。また、演色性に関しても、上述し
たような深赤色発光蛍光体を用いた三波長域発光型蛍光
ランプは、赤色成分の特殊演色評価数R9が20〜40程度
と、平均演色評価数Raや他の特殊演色評価数に比べて低
いことから、十分に満足のいくものではなかった。
【0005】さらに、高演色性の三波長域発光型蛍光ラ
ンプ作製用の赤色発光蛍光体として、 (Sr,Mg)3 (P
O4 2 が知られている。この蛍光体は、発光スペクト
ルのピーク波長が 620nm付近に存在するものの、広帯域
型の発光スペクトルを有するために、蛍光ランプの発光
効率を劣化させるという問題を有していた。
【0006】このようなことから、三波長域発光型蛍光
ランプの効率を低下させることなく、演色性を高めるた
めには、発光スペクトルが効率のよい狭帯域発光スペク
トルであると共に、そのピーク波長が 620〜 640nmに存
在する深赤色発光蛍光体を用いることが重要となる。
【0007】ところで、 (Gd,Eu)2 O 3 蛍光体は、焼成
温度により 2種類の結晶構造をとり、1250℃以下では低
温相の立方晶系となり、1250℃以上では高温相の単斜晶
系となる。 (Gd,Eu)2 O 3 の結晶構造が立方晶系の場
合、発光ピーク波長は 611nmであるが、単斜晶系の場合
には発光ピーク波長が 623nmとなる。このように、単斜
晶系の (Gd,Eu)2 O 3 蛍光体は、上記波長域にピーク波
長が存在すると共に、狭帯域発光スペクトルを有するも
のの、発光効率が(Y,Eu)2 O 3 の 20%程度と低く、三波
長域発光型蛍光ランプの深赤色発光蛍光体として用いた
場合には、明るさが大幅に低下してしまうという難点が
ある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の深赤色発光蛍光体を用いた三波長域発光型蛍光ランプ
は、赤色成分の特殊演色評価数R9が低く、かつ発光効率
も十分ではないという問題を有していた。また、赤色成
分の特殊演色評価数R9の向上に好適な発光スペクトル分
布を有する (Gd,Eu)2 O 3 蛍光体は、発光効率が低く、
この蛍光体を三波長域発光型蛍光ランプに用いた場合に
は、明るさが大幅に低下してしまうという問題がある。
【0009】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、高演色性を呈すると共に、高い発光
効率を有し、三波長域発光型蛍光ランプに適する赤色な
いし深赤色発光の蛍光体、およびそのような蛍光体を用
いた蛍光ランプを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の赤色ないし深赤
色発光の蛍光体は、 一般式:(Gd1-x Eux 2 O 3 ・nMO ……(1) (式中、 MはMg、Ca、SrおよびBaから選ばれた少なくと
も 1種の元素を示し、 xは 0.005≦ x≦0.15を満足する
数、 nは 0< n≦ 0.1を満足する数を示す)で実質的に
表される蛍光体であって、その結晶構造の主相が単斜晶
系であり、かつ、紫外線励起による発光スペクトルの主
ピーク波長が 620〜 630nmの範囲に存在することを特徴
としている。
【0011】本発明における第1の蛍光ランプは、ガラ
ス管内壁面に被着形成された蛍光体層を具備する蛍光ラ
ンプにおいて、前記蛍光体層は、上記本発明の蛍光体を
少なくとも赤色ないし深赤色発光成分として含有するこ
とを特徴としている。
【0012】また、第2の蛍光ランプは、ガラス管内壁
面に被着形成され、青色発光蛍光体と緑色発光蛍光体と
赤色ないし深赤色発光蛍光体とを含有する蛍光体層を具
備する蛍光ランプにおいて、前記蛍光体層は、前記赤色
ないし深赤色発光蛍光体として、上記本発明の蛍光体を
含有することを特徴としている。
【0013】さらに、第3の蛍光ランプは、ガラス管内
壁面に被着形成され、青色発光蛍光体と緑色発光蛍光体
と赤色発光蛍光体と深赤色発光蛍光体とを含有する蛍光
体層を具備する蛍光ランプにおいて、前記蛍光体層は、
前記深赤色発光蛍光体として、上記本発明の蛍光体を含
有することを特徴としている。
【0014】本発明の蛍光体は、結晶構造の主相がEu付
活酸化ガドリニウム蛍光体の高温相である単斜晶系から
なるものであり、この単斜晶系のEu付活酸化ガドリニウ
ム蛍光体 1モルに対し、Mg、Ca、SrおよびBaから選ばれ
た少なくとも 1種の M元素の酸化物を 0.1モル以下の範
囲で含有させたものである。
【0015】ここで、本発明によるEu付活酸化ガドリニ
ウム蛍光体は、結晶構造の主相が単斜晶系であればよ
く、具体的には 50%以上が単斜晶系であればよい。すな
わち、結晶構造のうちの 50%以上が単斜晶系であれば、
低温相の立方晶系を一部含んでいてもよい。Eu付活酸化
ガドリニウム蛍光体の使用用途にもよるが、結晶構造の
70%以上が単斜晶系であることがより好ましく、さらに
好ましくは結晶構造の全てを実質的に単斜晶系とするこ
とである。結晶構造の主相が単斜晶系からなるEu付活酸
化ガドリニウム蛍光体は、紫外線励起による発光スペク
トル分布において、主ピーク波長が 620〜 630nmの範囲
に存在し、赤色ないし深赤色に発光する。また、低温相
の立方晶系を含む場合には、上記発光スペクトル分布に
おいて副ピーク波長が 605〜 615nmの範囲に存在する
が、主ピーク波長が上記条件を満足していれば特に問題
はない。
【0016】上述した M元素の酸化物は、単斜晶系を主
相とするEu付活酸化ガドリニウム蛍光体の発光効率の向
上に寄与する成分であり、その含有組成比が本発明にお
いては重要となる。 M元素の酸化物の含有量がEu付活酸
化ガドリニウム蛍光体 1モルに対して 0.1モルを超える
と、紫外線による劣化が生じやすくなり、蛍光ランプで
の光束維持率が低下するため、 M元素の酸化物の含有量
は 0.1モル以下とする。また、 M元素の酸化物は、極少
量の添加でも発光効率の向上に寄与するが、Eu付活酸化
ガドリニウム蛍光体 1モルに対して0.0001モル未満で
は、十分な輝度が得られにくく、また安定した発光効率
も得にくいため、 M元素の酸化物はEu付活酸化ガドリニ
ウム蛍光体 1モルに対して0.0001モル以上含有させるこ
とが好ましい。よって、好ましい M元素の酸化物の含有
範囲は0.0001〜 0.1モルの範囲であり、さらに好ましく
は0.0001〜0.05モルの範囲である。
【0017】上記 M元素としては、Mg、Ca、SrおよびBa
から選ばれた少なくとも 1種の元素を用いれば上記した
ような効果を得ることができるが、これらのうちでも特
にBaが蛍光ランプの点灯中の蛍光膜面に発生する黒化が
少ないこと等から好ましい。また、付活剤であるEuの組
成も、単斜晶系を主相とするEu付活酸化ガドリニウム蛍
光体の発光効率に大きく影響し、上記 (1)式中の xの値
が 0.005未満では十分な発光効率が得られず、また逆に
0.15を超えると濃度消光により発光効率が低下してしま
う。従って、Euの組成は (1)式中の xの値として 0.005
〜0.15の範囲とする。より好ましい xの値は0.01〜 0.1
の範囲である。
【0018】本発明による赤色ないし深赤色発光の蛍光
体は、立方晶系の結晶構造をとりやすいため、製造方法
も重要である。特に、蛍光体合成時の焼成温度が重要で
あり、1250℃以下では結晶構造は全て立方晶系となり、
1250〜1300℃では立方晶系と単斜晶系とが共存する。よ
って、本発明においては、少なくとも1250℃以上の温度
で焼成し、より好ましくは1300℃以上で焼成する。1300
℃以上で焼成することにより、実質的に単斜晶系からな
るEu付活酸化ガドリニウム蛍光体が得られる。具体的に
は、まず上記 (1)式で表される蛍光体の各出発原料をそ
れぞれ用意する。ここで、Gd源としてはその酸化物や水
酸化物、炭酸塩等の高温において容易にGd酸化物となる
化合物等を用い、またEu源としては酸化物や炭酸塩等を
用いる。また、 M元素の酸化物源としては、酸化物その
ものや硼酸塩、もしくは M元素の単体金属等を用いる。
【0019】これらの出発原料を所定量秤量し、十分に
混合する。このとき、蛍光体合成反応の促進および蛍光
体の収率向上等の理由から、各混合量は必ずしも化学量
論組成とする必要はない。ちなみに、原料中の各元素の
組成比と合成後の蛍光体における各元素の組成比とは、
必ずしも一致するものではない。また、蛍光体母体中に
おける付活剤であるEuを均質に分散させて発光効率を向
上させるために、希土類化合物原料を予め化学的に混合
してもよい。すなわち、上述したようなGd源とEu源の所
定量を塩酸や硝酸に溶解して、この溶液にシュウ酸やシ
ュウ酸ジメチル水溶液を加えて、GdとEuの共沈シュウ酸
塩沈殿を生成し、この共沈シュウ酸塩沈殿を濾過、乾燥
後、空気中で 700〜1100℃程度の温度で加熱分解して混
合希土類酸化物とする。そして、この混合希土類酸化物
に M元素の酸化物源をボールミル等の物理的な方法によ
り混合する。
【0020】次に、上記したような方法により得た原料
混合物をるつぼ等の耐熱容器に収容し、空気中にて上記
したように1250℃以上の温度で、より好ましくは1300℃
以上の温度で、 2〜10時間程度焼成する。この焼成物を
粉砕、篩別、分散、洗浄、濾過、乾燥、篩別等すること
によって、本発明の蛍光体が得られる。
【0021】本発明の蛍光ランプは、上記 (1)式で実質
的な組成が表される単斜晶系を主相とするEu付活酸化ガ
ドリニウム蛍光体を、少なくとも赤色ないし深赤色発光
成分として含有する蛍光体層を有するものである。
【0022】また、本発明の蛍光ランプを三波長域発光
型蛍光ランプに適用する際には、青色発光蛍光体と緑色
発光蛍光体と共に、赤色ないし深赤色発光蛍光体として
本発明の蛍光体を用いてもよいし、また赤色発光蛍光体
として従来の蛍光体を用い、かつ深赤色発光蛍光体とし
て本発明の蛍光体を用いてもよい。三波長域発光型蛍光
ランプの高発光効率を満足させた上で、演色性を高める
ためには、本発明の蛍光体を深赤色発光蛍光体として用
いることが好ましい。この場合、深赤色発光蛍光体は、
蛍光体全体の 5〜 20%程度として用いることが好まし
い。
【0023】本発明の蛍光ランプを三波長域発光型蛍光
ランプに適用する際の青色発光蛍光体および緑色発光蛍
光体、また赤色発光蛍光体としては、各種の公知の蛍光
体を使用することができ、さらに演色性を高めるため
に、他の発光成分として例えば青緑色発光蛍光体等を加
えることもできる。
【0024】
【作用】本発明の赤色ないし深赤色発光の蛍光体は、高
演色性を発揮するのに好適な発光スペクトル分布を有
し、かつ付活剤であるEuの組成比を最適化していると共
に、少量の M元素の酸化物を含有させているため、安定
的に高い発光効率が得られる。このような赤色ないし深
赤色発光の蛍光体は、蛍光ランプの蛍光体層とした場合
も優れた発光効率および高演色性を呈し、特に赤色成分
の特殊演色評価数R9に対して大幅な改善効果を示す。よ
って、高発光効率と高演色性を共に満足する蛍光ランプ
を得ることができる。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0026】実施例1 まず、酸化ガドリニウムを326.3gと酸化ユーロピウムを
35.2gと硼酸バリウムを1.5gを十分に混合し、この混合
物を空気中にて1400℃で 3時間焼成した。得られた焼成
物を粉砕、篩別後、水洗、濾過、乾燥、篩別を行って、
目的とする蛍光体を得た。
【0027】このようにして得た蛍光体の組成分析を行
ったところ、(Gd0.90Eu0.102 O3 ・0.005BaOで示さ
れる組成を有していることを確認した。また、本発明と
の比較のために、硼酸バリウムを混合しない以外は、上
記実施例と同様にして、(Gd0.90Eu0.102 O 3 蛍光体
を作製した。
【0028】上記実施例による(Gd0.90Eu0.102 O 3
・0.005BaO蛍光体の 253.7nmの紫外線で励起し、発光輝
度を測定したところ、比較例の蛍光体の発光輝度を100%
とすると160%に達した。また、従来の深赤色発光蛍光体
(3.5MgO・0.5MgF2 ・ GeO2:Mn)と比べると140%の発
光輝度を示した。
【0029】次に、上記実施例による蛍光体の 253.7nm
の紫外線励起による発光スペクトル分布を測定した。得
られた発光スペクトル分布を図1に実線で示す。また、
図1中の破線は、上記実施例で調製した混合物を空気中
にて1200℃で焼成した後、同様に処理した蛍光体の発光
スペクトル分布である。図1から明らかなように、実施
例による蛍光体は、主ピーク波長が 623nmであるのに対
し、1200℃で焼成した蛍光体は主ピーク波長が 611nmで
あった。また、 BaOを含有させたことによる発光スペク
トル分布の変化は特に見られず、赤色成分の特殊演色評
価数R9の向上に好適な発光スペクトル分布を有している
ことを確認した。
【0030】また、上記実施例による蛍光体のX線回折
を行った。その測定結果を図2に示す。図2から明らか
なように、上記実施例による蛍光体の結晶構造は、典型
的な単斜晶系であることが分かる。また、上記実施例で
調製した混合物を空気中にて1280℃で焼成した後、同様
に処理した蛍光体のX線回折結果を図3に、上記1200℃
で焼成した蛍光体のX線回折結果を図4に示す。図3か
ら明らかなように、1280℃で焼成した蛍光体の結晶構造
は単斜晶系と立方晶系との混合系であり、本発明の蛍光
体として使用することができる。一方、1200℃で焼成し
た蛍光体の結晶構造は、図4から明らかなように立方晶
系であった。
【0031】実施例2 酸化ガドリニウムを344.4gと酸化ユーロピウムを 17.6g
とを硝酸に完全に溶解した後、この溶液にシュウ酸を加
えて、GdとEuの共沈シュウ酸塩沈殿を生成した。この共
沈シュウ酸塩沈殿を濾過、乾燥後、空気中にて 800℃の
温度で焼成して加熱分解し、混合希土類酸化物とした。
得られた焼成物を粉砕、篩別し、これにフッ化マグネシ
ウムを1.4g加えて十分に混合した後、空気中にて1300℃
で 3時間焼成した。得られた焼成物を粉砕、篩別後、水
洗、濾過、乾燥、篩別を行って、目的とする蛍光体を得
た。
【0032】このようにして得た蛍光体の組成分析を行
ったところ、(Gd0.95Eu0.052 O3 ・0.02MgO で示さ
れる組成を有していることを確認した。また、本発明と
の比較のために、フッ化マグネシウムを混合しない以外
は上記実施例と同様にして、(Gd0.95Eu0.052 O 3
光体を作製した。
【0033】上記実施例による(Gd0.95Eu0.052 O 3
・0.02MgO 蛍光体を 253.7nmの紫外線で励起し、発光ス
ペクトル分布と発光輝度を測定した。その結果、発光ス
ペクトルは実施例1と同様に赤色成分の特殊演色評価数
R9の向上に好適な発光スペクトルを有しており、また発
光輝度は比較例の蛍光体の発光輝度を100%とすると170%
に達した。また、従来の深赤色発光蛍光体(3.5MgO・0.
5MgF2 ・Ge O2 :Mn)と比べると150%の発光輝度を示し
た。さらに、この実施例による蛍光体のX線回折を行っ
たところ、実施例1と同様に単斜晶系であった。
【0034】実施例3 酸化ガドリニウムを358.9gと酸化ユーロピウムを3.5gと
を硝酸に完全に溶解した後、この溶液にシュウ酸を加え
て、GdとEuの共沈シュウ酸塩沈殿を生成した。この共沈
シュウ酸塩沈殿を濾過、乾燥後、空気中にて 900℃の温
度で焼成して加熱分解し、混合希土類酸化物とした。得
られた焼成物を粉砕、篩別し、これに塩化カルシウムを
0.04g加えて十分に混合した後、空気中にて1300℃で 3
時間焼成した。得られた焼成物を粉砕、篩別後、水洗、
濾過、乾燥、篩別を行って、目的とする蛍光体を得た。
【0035】このようにして得た蛍光体の組成分析を行
ったところ、(Gd0.99Eu0.012 O3 ・0.0003CaO で示
される組成を有していることを確認した。また、本発明
との比較のために、塩化カルシウムを混合しない以外は
上記実施例と同様にして、(Gd0.99Eu0.012 O 3 蛍光
体を作製した。
【0036】上記実施例による(Gd0.99Eu0.012 O 3
・0.0003CaO 蛍光体を 253.7nmの紫外線で励起し、発光
スペクトル分布と発光輝度を測定した。その結果、発光
スペクトルは実施例1と同様に赤色成分の特殊演色評価
数R9の向上に好適な発光スペクトルを有しており、また
発光輝度は比較例の蛍光体の発光輝度を100%とすると13
0%に達した。また、従来の深赤色発光蛍光体(3.5MgO・
0.5MgF2 ・Ge O2 :Mn)と比べると120%の発光輝度を示
した。さらに、この実施例による蛍光体のX線回折を行
ったところ、実施例1と同様に単斜晶系であった。
【0037】実施例4 青色発光蛍光体として (Sr,Ca,Ba,Eu)10 (PO4 6 C
l2 、緑色発光蛍光体として(La,Ce,Tb)PO4 、赤色発光
蛍光体として(Y,Eu)2 O3 を用い、さらに深赤色発光蛍
光体として前述した実施例1による(Gd0.90Eu0.102
O 3 ・0.005BaO蛍光体を用いて、三波長域発光型蛍光ラ
ンプ(直管型 20W蛍光ランプFL20SS)を通常の方法によ
り作製した。また、本発明との比較のために、深赤色発
光蛍光体として BaOを含まないEu付活酸化ガドリニウム
蛍光体を用いた蛍光ランプと、深赤色発光蛍光体を用い
ない蛍光ランプを作製した。
【0038】これら実施例および比較例による蛍光ラン
プの初期全光束を測定したところ、深赤色発光蛍光体を
用いない蛍光ランプの値を 100とすると、実施例による
蛍光ランプは 100、 BaOを含まないEu付活酸化ガドリニ
ウム蛍光体を用いた蛍光ランプは70であった。また、赤
色成分の特殊演色評価数R9を測定したところ、実施例に
よる蛍光ランプのR9の値は50であり、 BaOを含まないEu
付活酸化ガドリニウム蛍光体を用いた蛍光ランプのR9の
値は35、深赤色発光蛍光体を用いない蛍光ランプのR9の
値は30であった。この実施例の三波長域発光型蛍光ラン
プによれば、初期全光束を低下させることなく、特殊演
色評価数R9を20ポイント向上させることができた。
【0039】実施例5 青色発光蛍光体として (Sr,Ca,Ba,Eu)10 (PO4 6 C
l2 、緑色発光蛍光体として(La,Ce,Tb)PO4 、赤色発光
蛍光体として(Y,Eu)2 O3 、青緑色発光蛍光体として(S
r,Ba,Ca,Mg,Eu)10 (PO4 6 Cl2 を用い、さらに深赤色
発光蛍光体として、前述した実施例2による(Gd0.95Eu
0.052 O 3 ・0.02MgO 蛍光体を用いて、三波長域発光
型蛍光ランプ(直管型 20W蛍光ランプFL20SS)を通常の
方法により作製した。また、本発明との比較のために、
深赤色発光蛍光体として MgOを含まないEu付活酸化ガド
リニウム蛍光体を用いた蛍光ランプと、深赤色発光蛍光
体として3.5MgO・0.5MgF2 ・Ge O2 :Mnを用いた蛍光ラ
ンプを作製した。
【0040】これら実施例および比較例による蛍光ラン
プの初期全光束を測定したところ、深赤色発光蛍光体と
して3.5MgO・0.5MgF2 ・Ge O2 :Mnを用いた蛍光ランプ
の値を 100とすると、実施例による蛍光ランプは 110、
MgOを含まないEu付活酸化ガドリニウム蛍光体を用いた
蛍光ランプは60であった。また、赤色成分の特殊演色評
価数R9を測定したところ、実施例による蛍光ランプのR9
の値は55であり、 MgOを含まないEu付活酸化ガドリニウ
ム蛍光体を用いた蛍光ランプのR9の値は37、3.5MgO・0.
5MgF2 ・Ge O2 :Mnを用いない蛍光ランプのR9の値は35
であった。この実施例の三波長域発光型蛍光ランプによ
れば、従来の深赤色発光蛍光体である3.5MgO・0.5MgF2
・Ge O2 :Mnを用いた蛍光ランプに比べて初期全光束を
10%向上させた上に、特殊演色評価数R9を20ポイント向
上させることができた。
【0041】実施例6〜19 前述した実施例2と同様にして、表1に組成を示すEu付
活酸化ガドリニウム蛍光体をそれぞれ作製した。これら
各蛍光体を 253.7nmの紫外線で励起して、発光輝度をそ
れぞれ測定した。また、実施例5と同様にしてそれぞれ
蛍光ランプを作製し、初期全光束と赤色成分の特殊演色
評価数R9を測定した。それらの測定結果を併せて表1に
示す。なお、発光輝度および初期全光束は、3.5MgO・0.
5MgF2 ・Ge O2 :Mnを100%とした値として示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
安定的に高い発光効率を有し、かつ高演色性を発揮する
のに最適な発光スペクトル分布を有する赤色ないし深赤
色発光の蛍光体を提供することができる。本発明の蛍光
体は、蛍光ランプの蛍光体層とした場合にも優れた発光
効率および高演色性を呈し、特に赤色成分の特殊演色評
価数R9に対して大幅な改善効果を示すことから、高発光
効率と高演色性を共に満足する蛍光ランプを提供するこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例による蛍光体の発光スペク
トル分布を示す図である。
【図2】 本発明の一実施例による蛍光体のX線回折結
果を示す図である。
【図3】 本発明の他の実施例による蛍光体のX線回折
結果を示す図である。
【図4】 比較例による蛍光体のX線回折結果を示す図
である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式:(Gd1-x Eux 2 O 3 ・nMO (式中、 MはMg、Ca、SrおよびBaから選ばれた少なくと
    も 1種の元素を示し、 xは 0.005≦ x≦0.15を満足する
    数、 nは 0< n≦ 0.1を満足する数を示す)で実質的に
    表される蛍光体であって、その結晶構造の主相が単斜晶
    系であり、かつ、紫外線励起による発光スペクトルの主
    ピーク波長が 620〜 630nmの範囲に存在することを特徴
    とする蛍光体。
  2. 【請求項2】 ガラス管内壁面に被着形成された蛍光体
    層を具備する蛍光ランプにおいて、 前記蛍光体層は、請求項1記載の蛍光体を少なくとも赤
    色ないし深赤色発光成分として含有することを特徴とす
    る蛍光ランプ。
  3. 【請求項3】 ガラス管内壁面に被着形成され、青色発
    光蛍光体と緑色発光蛍光体と赤色ないし深赤色発光蛍光
    体とを含有する蛍光体層を具備する蛍光ランプにおい
    て、 前記蛍光体層は、前記赤色ないし深赤色発光蛍光体とし
    て、請求項1記載の蛍光体を含有することを特徴とする
    蛍光ランプ。
  4. 【請求項4】 ガラス管内壁面に被着形成され、青色発
    光蛍光体と緑色発光蛍光体と赤色発光蛍光体と深赤色発
    光蛍光体とを含有する蛍光体層を具備する蛍光ランプに
    おいて、 前記蛍光体層は、前記深赤色発光蛍光体として、請求項
    1記載の蛍光体を含有することを特徴とする蛍光ラン
    プ。
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