JPH07258508A - ゴム変性スチレン系樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

ゴム変性スチレン系樹脂組成物及びその製造方法

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JPH07258508A
JPH07258508A JP5363794A JP5363794A JPH07258508A JP H07258508 A JPH07258508 A JP H07258508A JP 5363794 A JP5363794 A JP 5363794A JP 5363794 A JP5363794 A JP 5363794A JP H07258508 A JPH07258508 A JP H07258508A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 (A) スチレン系樹脂98〜80重量部と、該スチ
レン系樹脂中に分散するゴム状重合体2〜20重量部とか
らなり、特定の方法で算出される前記ゴム状重合体の分
散粒子の粒径分布係数が 0.8以上を示すゴム変性スチレ
ン系樹脂 100重量部と、(B1)チオジプロピオネート系化
合物0.02〜1.0 重量部と、(B2)有機ポリシロキサン 0.0
02〜0.8 重量部とからなるゴム変性スチレン系樹脂組成
物。前記ゴム状重合体をスチレン系単量体に溶解し、重
合反応を行い、スチレン系単量体の転化率が55重量%以
上に達した後、揮発分を除去し、ゴム変性スチレン系樹
脂を得る方法において、(B1)チオジプロピオネート系化
合物を前記重合反応工程の何れかで添加し、且つ、(B2)
有機ポリシロキサンをゴム状重合体が粒子化する相反転
前に添加することにより得られる。 【効果】 高度のアイゾット衝撃強度及び引張強度を保
有し、しかも面衝撃強度が一層向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ゴム変性スチレン系樹
脂組成物及びその製造方法に関し、特に、その樹脂成形
物が面衝撃強度に優れ、且つ、該樹脂成形物を再利用し
てなる製品等も良好な強度及び物性を有する耐衝撃性ゴ
ム変性ポリスチレン系樹脂組成物及びその製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、スチレン系樹脂の耐衝撃性を向上
させようとするのに、ポリスチレンとゴム状重合体とを
混練したり、ゴム状重合体をスチレン系単量体に溶解し
てグラフト重合反応を行ったりすることにより、ゴム状
グラフト重合体(分散相)とポリスチレン(マトリック
スの連続相)の混合状態を得る。上記によるゴム変性ス
チレン系樹脂は耐衝撃性が比較的良好であるので、耐衝
撃性スチレン系樹脂(以下、HIPSと略する)とも言
われている。一般に、このようにして得られた耐衝撃性
スチレン系樹脂の衝撃強度を測定する方法としては、よ
く圧縮成形又は射出成形により得られた試験片によりア
イゾット衝撃強度試験を行う。上記アイゾット衝撃強度
はスチレン系樹脂の機械的性質の一種であるが、製品に
対しては面衝撃強度も非常に重要な評価のパラメータで
あるので、近年、当業者がポリスチレン系樹脂について
アイゾット衝撃強度を重視する他、その面衝撃強度も同
様に要求して注目している。
【0003】しかしながら、従来の技術例えば特開昭57
−172948号、特開昭57−170949号及び特開昭57−187346
号等には、HIPSの耐衝撃強度を増加する手段とし
て、スチレン系樹脂に有機ポリシロキサンを少量添加す
る方法などが提案されているが、十分な面衝撃強度の向
上が得られない。
【0004】又、特公昭55−30525 号には、特殊なブタ
ジエンゴム(1,2 −ビニル結合15〜35%含有)をスチレ
ンに加えて重合反応を行うことにより、面衝撃強度良好
なHIPSを得る方法が開示されているが、この方法に
より製造したHIPSは、ゴムのグラフト率が 350%以
上と高く、流動性が悪いので、加工性が劣るという欠点
があり、その用途は限られている。
【0005】更に、 USP第3945976 号、第4294937 号及
び第4451612 号等には、連続式塊状又は溶液重合でHI
PSを製造する工程において、色相、熱安定性に優れる
樹脂を得るために、通常、スチレン単量体を仕込む時、
フェノール系又はリン系の酸化防止剤、例えば、2,6 −
ジ−第三ブチル−4−メチルフェノール、オクタデシル
−3−(3,5 −ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシ−フェ
ニル)プロピオネート、トリ(ノニルフェニル)ホスフ
ァイト等を少量添加する方法が記載されているが、この
加工方法によって、色相に優れる樹脂が得られるもの
の、HIPSの面衝撃強度にとっては少しも改善となっ
ていない。
【0006】一方、当業者にとって実際にHIPS製品
を大量生産する場合、不良品やスクラップが多少発生す
るのを免れず、コストを低減させるために、普通、上記
不良品やスクラップを改めて破砕して再生・成形する。
しかしながら、上記回収された樹脂は、その熱履歴及び
摩擦せん断応力の影響により製品の耐衝撃性は元来より
低下する。酸化防止剤を添加することによりアイゾット
衝撃強度を幾分かは補うことができるとは言え、面衝撃
強度の改善には効果が少ない。従って、現状では、HI
PS樹脂の製品には面衝撃強度がいま一つ足らないとい
う難点が存在している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、樹
脂製品のみならず、その不良品やスクラップからその組
成物を回収して再生した製品の場合でも、良好な面衝撃
強度及び物性がある耐衝撃性ポリスチレン系樹脂組成物
及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために、ゴム粒径分布及び特定の化合物との間
の関係について一層鋭意研究した結果、スチレン系樹脂
に、分散粒子の分散係数が0.8 以上となるようにゴム状
重合体を分散させて得られるスチレン系樹脂に、特定比
率でチオジプロピオネート系化合物及び有機ポリシロキ
サンを添加することにより、樹脂が高度のアイゾット衝
撃強度及び引張強度を保有すると共に、その製品のみな
らず、これを回収して再生品としたものについても面衝
撃強度を一層向上し得ることを見出し、本発明を完成し
た。
【0009】すなわち本発明は、(A) スチレン系樹脂98
〜80重量部と、該スチレン系樹脂中に分散するゴム状重
合体2〜20重量部とからなり、レーザー光散乱法で下記
式(I)により算出される前記ゴム状重合体の分散粒子
の粒径分布係数が 0.8以上を示すゴム変性スチレン系樹
脂 100重量部と、(B1)チオジプロピオネート系化合物0.
02〜1.0 重量部と、(B2)有機ポリシロキサン 0.002〜0.
8 重量部とからなることを特徴とするゴム変性スチレン
系樹脂組成物を提供するものである。
【0010】
【数1】
【0011】又、上記ゴム変性スチレン系樹脂組成物の
製造方法については、ゴム状重合体2〜20重量部をスチ
レン系単量体98〜80重量部に溶解し、90〜250 ℃で重合
反応を行い、スチレン系単量体の転化率が55重量%以上
に達した後、揮発分を除去するゴム変性スチレン系樹脂
組成物の製造方法において、前記ゴム状重合体と前記ス
チレン系単量体の合計100 重量部に対して、(B1)チオジ
プロピオネート系化合物0.02〜1.0 重量部を上記重合反
応工程の何れかにおいて添加し、且つ、前記ゴム状重合
体が粒子化する相反転前に、前記ゴム状重合体と前記ス
チレン系単量体の合計100 重量部に対して、(B2)有機ポ
リシロキサン0.002〜0.8 重量部を添加することを特徴
とする。
【0012】本発明でいうゴム変性スチレン系樹脂は、
ゴム状重合体をビニル基芳香族単量体に溶解させ、塊
状、溶液、或いは、溶液−懸濁又は塊状−懸濁二段式等
の重合方法により重合反応を行って得るものを指す。
【0013】本発明において(A) のゴム変性スチレン系
樹脂を構成するビニル芳香族単量体としては、例えば、
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、
p−メチルスチレン、2,4 −ジメチルスチレン、エチル
スチレン、p−第3ブチルスチレン等のアルキル置換の
スチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチ
ルスチレン等のα−アルキル置換のスチレン、ブロモス
チレン、ジブロモスチレン、及び2,4,6 −トリブロモス
チレン等が挙げられ、これらの一種又は二種以上が用い
られる。上記スチレン系単量体に、さらに共重合可能な
他の単量体を添加してもよい。この場合の共重合可能な
他の単量体としては、例えば、不飽和ニトリル類(例え
ばアクリロニトリル)、アクリレート類(例えば、メチ
ルメタクリレート、ブチルアクリレート)、アクリル酸
類、無水マレイン酸、マレイミド類(例えばN−フェニ
ルマレイミド)等の単量体が挙げられる。
【0014】本発明に用いられるゴム重合体の種類は特
に制限はない。従来のHIPS系樹脂に用いられるゴム
が使用できる。例えば、天然ゴム、ポリブタジエン、ポ
リイソプレン、スチレン−ブタジエンゴム状重合体、ス
チレン−ポリイソプレンゴム状重合体、ブチルゴム、エ
チレン−プロピレンゴム等が挙げられ、これらの一種又
は二種以上を使用することができる。その内、ポリブタ
ジエンゴムはローシスポリブタジエンとハイシスポリブ
タジエンを含む。
【0015】本発明におけるHIPS樹脂 100重量部中
のゴム含有量は2〜20重量部であり、特に3〜15重量部
がより好ましい。上記ゴムの量が2重量部未満の場合で
は、面衝撃強度が不足し、20重量部を越える場合では、
流動性が低下し、引張強度も低下することもある。
【0016】(A) のゴム変性スチレン系樹脂を製造する
工程を次に示す。即ち、約2〜20重量部のゴム状重合体
をスチレン系単量体98〜80重量部に溶解して重合させる
ことにより、粒子状であってスチレン系重合体をグラフ
トしたゴム状グラフト重合体と、スチレン樹脂のマトリ
ックス連続相との混合状態とさせる。上記ゴム状グラフ
ト重合体の平均粒径は0.5 〜10μm の範囲で、0.6 〜5
μm の範囲が好ましく、特に 0.7〜3.0 μm の範囲がよ
り好ましい。ここで言うゴム粒子の平均粒径(Dave
は、レーザー光散乱法(LASER scattering)に基づいて各
粒子径(Di)に対応する粒子の数(ni)を測定した
後、ザウタ平均粒径(Sauter Mean Diamter)という平均
式により得られるものである。
【0017】
【数2】
【0018】本発明のHIPS樹脂(A) におけるグラフ
トゴム粒子の粒径分布係数は 0.8以上であり、好ましく
は 0.9より大きく、更に好ましくは 0.9〜2.8 の範囲で
ある。粒径分布係数が 0.8未満の場合では、HIPS樹
脂を回収・再利用してなるものは面衝撃強度が劣り、粒
径の分布係数が 2.8を越える場合では、HIPS樹脂の
引張強度が低下してなる。
【0019】前記粒径分布係数は、更に、重合反応の攪
拌速度、チオジプロピオネート系化合物(B1)と有機ポリ
シロキサン(B2)とを添加する量及び時期、反応温度等を
調整することにより得られる。
【0020】本発明におけるゴム状重合体粒子の粒径分
布係数は、前記レーザー光散乱法(LASER scattering)
に基づいて測定したものであり、その定義を下記の式
(I)のように示す。
【0021】
【数3】
【0022】〔但し、D(V,0.1 )はゴムの粒径を横
軸とし、粒子の累積重量%を縦軸とした小粒径から大粒
径までの累積分布曲線において、累積重量%が10%に対
応するゴム粒径であり、D(V,0.5 )はゴムの粒径を
横軸とし、粒子の累積重量%を縦軸とした小粒径から大
粒径までの累積分布曲線において、累積重量%が50%に
対応するゴム粒径であり、D(V,0.9 )はゴムの粒径
を横軸とし、粒子の累積重量%を縦軸とした小粒径から
大粒径までの累積分布曲線において、累積重量%が90%
に対応するゴム粒径である。〕。
【0023】前記レーザー光散乱測定方法は、0.1 gの
試料をメチルエチルケトン10ml中に十分溶解するまで振
動したのち、レーザー光散乱装置により、焦点を100mm
として測定を行うことにより、粒径分布図を得るか、或
いは 1.0gの試料をメチルエチルケトン10mlに十分溶解
するまでに振動したのち、レーザー光散乱装置により、
焦点を45mmとして測定を行うことにより、粒径分布図を
得る。これより上記の式からゴム状重合体粒子の粒径分
布係数を求める。即ち、粒径分布係数の数値が小さけれ
ば、粒径分布が狭くなり、逆に大きけれは、粒径分布が
広くなる。
【0024】本発明に使用されるチオジプロピオネート
系化合物(B1)としては、具体的に言えば、ジステアリル
チオジプロピオネート(DSTDPと称する)、ジラウ
リルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピ
オネート、ジミリスチルチオジプロピオネート等が挙げ
られる。その使用量はHIPS樹脂(A) 100 重量部に対
して0.02〜1.0 重量部であり、0.04〜0.4 重量部が好ま
しい。チオジプロピオネート系化合物(B1)の添加量が0.
02重量部未満の場合では、面衝撃強度の向上効果が少な
く、逆に、その添加量が 1.0重量部を越える場合では、
面衝撃強度が劣るばかりでなく、ゴムの粒径分布係数が
3.0以上にして、引張強度を更に低下させる。
【0025】本発明に使用される有機ポリシロキサン(B
2)としては、下記の構造式により示されるものとする。
【0026】
【化1】
【0027】〔但し、m 、n は整数であり、R1〜R4はア
ルキル又はアリール基である。〕上記有機ポリシロキサ
ン(B2)の25℃における動的粘度は10〜10,000センチスト
ークスで、特に20〜2,000 センチストークスがより好ま
しい。HIPS樹脂(A)100 重量部に対し、上記有機ポ
リシロキサン(B2)の添加量は 0.002〜0.8 重量部の範囲
で、特に0.04〜0.3 重量部が好ましい。上記有機ポリシ
ロキサン(B2)の添加量が0.002 重量部未満の場合では、
樹脂の面衝撃強度が劣り、逆に、その添加量が0.8 重量
部を越える場合では、HIPS樹脂の引張強度が低下す
るし、樹脂成形品の二次加工(例えば、化学接着性、印
刷性、塗装性等)を施し難くなる。
【0028】本発明に有機ポリシロキサン(B2)を添加す
る時期としては、HIPS樹脂の重合反応時において、
ゴム状重合体が粒子化する相反転前に添加しなければな
らず、好ましくは、重合反応におけるゴム成分が相反転
をまだ完成せず、且つ、スチレン系単量体の転化率が12
重量%に達する前とする。ここで「相反転」とは、ゴム
とスチレン系単量体との混合溶液が重合の最初の段階に
おいてはゴム相は連続相の状態で存在しているが、スチ
レン系単量体の転化率が次第に増加し、且つ、反応系も
攪拌されるに伴って、ついにゴム成分が逆にスチレン系
単量体及びその重合体に囲まれて、分散粒子の状態(不
連続相)になり、他方、スチレン系単量体及びその重合
体が連続相に逆転する現象を言う。なお、本発明では、
樹脂の面衝撃強度を著しく向上させるためには、チオジ
プロピオネート系化合物(B1)が重合反応工程中に添加し
て、且つ、及び有機ポリシロキサン(B2)が重合反応の相
反転前に添加しなければならない。又、必要に応じて、
反応速度やゴムのグラフト状態をも適切に調整し、更に
は、適当な攪拌によりゴムの粒径分布係数をコントロー
ルすることができる。上記チオジプロピオネート系化合
物(B1)及び有機ポリシロキサン(B2)のいずれが欠けて
も、十分な面衝撃強度を得ることができない。
【0029】本発明で使用するチオジプロピオネート系
化合物(B1)及び有機ポリシロキサン(B2)はそれぞれ計量
ポンプで反応槽へ仕込むことができる。又、(B1)又は(B
2)を、反応単量体及び/又は溶媒とゴム状重合体とから
なる溶液に添加した後、反応槽に仕込んでもよい。特
に、良好な面衝撃強度を得るために、有機ポリシロキサ
ン(B2)の添加時期は重合反応の相反転前に行わなければ
ならない。従って、有機ポリシロキサン(B2)の添加方法
は特別に考慮する必要がある。例えば、プラグフロー式
反応槽を相反転ゾーンとする場合には、(B2)を単量体及
び/又は溶媒とゴムに入れて混合してからなる仕込混合
物を前記反応槽に添加してもよいし(その添加時期を単
量体の転化率が0重量%と称する)、単量体の転化率が
所定の値に達する反応ゾーンに添加してもよい。一方、
完全混合式の反応槽を相反転ゾーンとする場合には、(B
2)を単量体及び/又は溶媒とゴムに入れて混合してから
なる仕込混合物を前記反応槽に添加しなければならない
(その添加時期を単量体の転化率が0重量%と称す
る)。
【0030】本発明のHIPS樹脂の製造方法は、塊
状、溶液、或いは、溶液−懸濁又は塊状−懸濁等の重合
方法により重合反応を行うことができるが、好ましくは
塊状又は溶液重合を使用する。その重合温度は、90〜25
0 ℃が好ましく、特に95〜210℃がより好ましい。本発
明に用いる反応槽は限定されない。例えば、完全混合式
又はプラグ式のいずれかの反応槽又はそれらの組合せを
使用してもよく、或いは、反応槽を数個並列又は直列し
て使用してもよい。また上記反応槽は攪拌器付きのもの
でもよい。攪拌器が付く時はその攪拌速度は5〜55rpm
であり、特に8〜45rpm がより好適である。なお、反応
物を仕込む時、或いは、反応進行中において、必要に応
じて分子量調整剤、重合開始剤、酸化防止剤、可塑剤、
滑剤、溶媒等を添加してもよい。重合反応が相反転まで
に達した後、引き続き、スチレン系単量体の転化率が55
重量%以上、好ましくは70重量%以上になるように反応
させるが、その後、重合体溶液を予熱器に送り、 180〜
300 ℃までに加熱し、真空脱気槽に排出して未反応の残
留単量体、溶媒及びその他の揮発分を除去させる。又、
回収された溶媒、単量体等は適当な割合で反応槽に仕込
んで使用する。かかる脱気過程により得られた重合体に
おける残留揮発分は1重量%以下にして、通常、ギアポ
ンプにより連続的に押出し、粒状の樹脂を製造する。
【0031】本発明に適用する分子量調整剤としては、
n−ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレン二量
体、t−ドデシルメルカプタン、1−フェニルブチル−
2−フルオレン、ジペンテン、四塩化炭素等、メルカプ
タン、テルペン類、ハロゲン化炭化水素等が挙げられ
る。
【0032】又、本発明に適用する重合開始剤として
は、1,1 −ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサ
ン等のパーオキシケタール類、ジクミルパーオキサイ
ド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパー
オキサイド類、ジベンゾイルパーオキサイド等のジアシ
ルパーオキサイド類、ジミリスチルパーオキシジカーボ
ネート等のパーオキシジカーボネート、t−ブチルパー
オキシイソプロピルカーボネート等のパーオキシエステ
ル類、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパー
オキサイド類、p−メンタハイドロパーオキサイド等の
ハイドロパーオキサイド類等が挙げられ、上記重合開始
剤の使用量は普通 0.6重量%以下を使用する。
【0033】本発明に用いられる可塑剤としては、鉱
油、ポリブテン等が挙げられる。又、用いられる滑剤と
しては、ステアリン酸、亜鉛ステアレート、カルシウム
ステアレート、ステアリルアミド、N,N'−エチレン−ビ
ス(ステアリルアミド)等が挙げられる。酸化防止剤と
しては、2,6 −ジ−t−ブチル−4−メチルフェノー
ル、オクタデシル−3−(3,5 −ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート等のフェノール
系化合物、及びトリス(ノニルフェニル)ホスファイ
ト、トリ(2,4 −ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイ
ト等のリン系化合物が挙げられる。不活性溶媒として
は、エチルベンゼン、トルエン、キシレン、メチルエチ
ルケトン、ベンゼン、イソプロピルベンゼン等が挙げら
れ、その添加量は必要に応じて最高40重量%まで添加可
能である。
【0034】更に、本発明のHIPS樹脂においては、
必要に応じ、滑剤、酸化防止剤、可塑剤、難燃剤、光安
定剤、着色剤、ガラス繊維、無機充填剤等を添加しても
よく、なお、その他の重合体、例えばPPO(ポリフェ
ニレンオキシド樹脂)、ナイロン−11、ナイロン−12、
ナイロン−6、PC(ポリカーボネート樹脂)、ABS
樹脂、AS樹脂、PE(ポリエステル樹脂)、PP(ポ
リプロピレン樹脂)等と合わせて使用してもよい。
【0035】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0036】実施例1 本実施例の処方は下記のように示される。 (成分) (使用量) スチレン 83.0 重量部 エチルベンゼン 10.0 重量部 ポリブタジエン 6.0 重量部 DSTDP 0.2 重量部 ポリジメチルシロキサン 0.004 重量部 重合開始剤(Trigonox D-E50) 0.02 重量部 (但し、Trigonox D-E50は2,2-ジ(t−ブチルパーオキ
シ)ブタンである。)。上記処方を40リットル/hrの流
量で攪拌機付の第一反応槽(当該反応槽は容積が100 リ
ットルで、温度は 100〜120 ℃の範囲とし、攪拌速度が
40rpm である。)に連続的に仕込んだ。スチレン単量体
の転化率が14重量%の程度に達した際、相反転が生じ
た。第一反応槽の出口の転化率はほぼ22重量%になり、
その後、それを後続の反応槽に送って重合反応を行いな
がら、重合温度を 125〜220 ℃の範囲に制御し、重合体
の転化率が80重量%程度に達した後、その重合体溶液を
脱気槽に送って揮発分を除去し、それから、ギアポンプ
を用いて、ダイより樹脂ペレットを製造した。
【0037】得られたペレットは下記の方法により物性
を測定した。 アイゾット衝撃強度:ASTM D−256 引張強度:ASTM D−638 粒径分布係数:レーザー光散乱法 面衝撃強度:ASTM D−3763の落球衝撃試験に
よって測定した。
【0038】回収・再生品の面衝撃強度:HIPS樹脂
ペレットを二軸スクリューの押出機で2回繰り返して押
出した後、射出して試験片を成形し、試験片の面衝撃強
度を測定した。
【0039】(実施例2)実施例2は実施例1と同様に
ペレットを製造し、試験を行ったが、反応槽へのポリジ
メチルシロキサン及びDSTDPの添加時期は、スチレ
ン転化率が4重量%に達した際であり、又、添加量はそ
れぞれDSTDP 0.05 重量部に、ポリジメチルシロキ
サン0.25重量部に換えた。
【0040】(実施例3)反応槽にポリジメチルシロキ
サン及びDSTDPを加える時期をスチレン転化率が8
重量%に達した際に、又、DSTDPの添加量を 0.6重
量部、ポリジメチルシロキサンの添加量を 0.5重量部に
換える他、実施例1と同様にペレットを製造し、試験を
行った。
【0041】(比較例1)反応槽にポリジメチルシロキ
サン及びDSTDPを加える時期をスチレン転化率が10
重量%に達した際に、又、DSTDPの添加量を1.2 重
量部、ポリジメチルシロキサンの添加量を 0.1重量部に
換える他、実施例1と同様にペレットを製造し、試験を
行った。
【0042】(比較例2−1)反応槽にポリジメチルシ
ロキサン及びDSTDPを加える時期をスチレン転化率
が80重量%に達した際に、又、DSTDPの添加量を
0.4重量部、ポリジメチルシロキサンの添加量を0重量
部に換える他、実施例1と同様にペレットを製造し、試
験を行った。
【0043】(比較例2−2)DSTDPの添加量を0
重量部、ポリジメチルポリシロキサンの添加量を1.2重
量部に換える他、比較例2−1と同様にペレットを製造
し、試験を行った。
【0044】(実施例4)本実施例の処方は下記に示し
たものとする。
【0045】 (成分) (使用量) スチレン 83.0 重量部 エチルベンゼン 8.0 重量部 ポリブタジエン 8.0 重量部 DSTDP 0.15重量部 ポリジメチルシロキサン 0.4 重量部 重合開始剤(Tx 29A) 0.01 重量部 (但し、Tx 29A は 1,1−t−ブチルパーオキシ−3,3,5
−トリメチルシクロヘキサンである。)上記処方を36リ
ットル/hrの流量で攪拌機付の第一反応槽(当該反応
槽は体積が100 リットルで、温度を 105〜130 ℃の範囲
とし、攪拌速度が30rpm である。)に連続的に仕込ん
だ。スチレン単量体の転化率が17重量%の程度に達した
際、相反転が生じた。第一反応槽の出口の転化率は約28
重量%になり、その後、それを後続の反応槽に送って重
合反応を行わせながら、重合温度を 135〜220 ℃の範囲
に制御し、重合体の転化率が87重量%に達した後、その
重合体溶液を脱気槽に送って揮発分を除去する処理を行
った。次には実施例1と同様にペレットを製造し、試験
を行った。
【0046】(実施例5)反応槽にポリジメチルシロキ
サン及びDSTDPを加える時期をスチレン転化率が10
重量%に達した際に、又、DSTDPの添加量を 0.4重
量部に、ポリジメチルシロキサンの添加量を 0.1重量部
に換える他、実施例4と同様にペレットを製造し、試験
を行った。
【0047】(実施例6)反応槽にDSTDPを加える
時期をスチレン転化率が55重量%に達した際に、又、D
STDPの添加量を 0.2重量部、ポリジメチルシロキサ
ンの添加量を0.2重量部、第一反応槽の攪拌速度は30rpm
に換える他、実施例1と同様にペレットを製造し、試
験を行った。
【0048】(比較例3)反応槽にポリジメチルシロキ
サン及びDSTDPを加える時期をスチレン転化率が50
重量%に達した際に、又、ポリジメチルシロキサンの添
加量を0.004 重量部、エチルベンゼンの使用量を10重量
部、反応槽の攪拌速度を45rpm に換える他、実施例4と
同様にペレットを製造し、試験を行った。
【0049】(比較例4)DSTDPの添加量を0重量
部、ポリジメチルシロキサンの添加量を 0.4重量部に換
える他、実施例4と同様にペレットを製造し、試験を行
った。
【0050】(比較例5)DSTDPの成分をトリスノ
ニルフェニルホスファイト(TNPPと略する)0.15重
量部、ポリジメチルシロキサンの添加量を 0.6重量部に
換える他、実施例4と同様にペレットを製造し、試験を
行った。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 83:04)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A) スチレン系樹脂98〜80重量部と、該ス
    チレン系樹脂中に分散するゴム状重合体2〜20重量部と
    からなり、レーザー光散乱法で下記式(I)により算出
    される前記ゴム状重合体の分散粒子の粒径分布係数が
    0.8以上を示すゴム変性スチレン系樹脂 100重量部と、
    (B1)チオジプロピオネート系化合物0.02〜1.0 重量部
    と、(B2)有機ポリシロキサン 0.002〜0.8 重量部とから
    なることを特徴とするゴム変性スチレン系樹脂組成物。 【数1】
  2. 【請求項2】 前記ゴム状重合体の粒径分布係数が 0.9
    〜2.8 の範囲である請求項1に記載のゴム変性スチレン
    系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 上記チオジプロピオネート系化合物がジ
    ステアリルチオジプロピオネートである請求項1に記載
    のゴム変性スチレン系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 ゴム状重合体2〜20重量部をスチレン系
    単量体98〜80重量部に溶解し、90〜250 ℃で重合反応を
    行い、スチレン系単量体の転化率が55重量%以上に達し
    た後、揮発分を除去してゴム変性スチレン系樹脂組成物
    を製造する方法において、 前記ゴム状重合体と前記スチレン系単量体の合計100 重
    量部に対して、(B1)チオジプロピオネート系化合物0.02
    〜1.0 重量部を上記重合反応工程の何れかにおいて添加
    し、且つ、前記ゴム状重合体が粒子化する相反転前に、
    前記ゴム状重合体と前記スチレン系単量体の合計100 重
    量部に対して、(B2)有機ポリシロキサン0.002〜0.8 重
    量部を添加することを特徴とするゴム変性スチレン系樹
    脂組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記(B2)有機ポリシロキサンは、スチレ
    ン系単量体の転化率が12重量%に達する前に添加するこ
    とを特徴とする請求項4に記載のゴム変性スチレン系樹
    脂組成物の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007176976A (ja) * 2005-12-27 2007-07-12 Nippon A & L Kk リサイクル用補強材およびリサイクル製品
JP2007326964A (ja) * 2006-06-08 2007-12-20 Toyo Styrene Co Ltd 芳香族ビニル化合物系樹脂組成物及びその製造方法

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