JPH07257913A - 原料希ガスの精製方法 - Google Patents

原料希ガスの精製方法

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JPH07257913A
JPH07257913A JP4027149A JP2714992A JPH07257913A JP H07257913 A JPH07257913 A JP H07257913A JP 4027149 A JP4027149 A JP 4027149A JP 2714992 A JP2714992 A JP 2714992A JP H07257913 A JPH07257913 A JP H07257913A
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雄二 土江
Noriyuki Toyomatsu
憲之 豊松
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和田  弘
Masaru Yatabe
勝 矢田部
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Abstract

(57)【要約】 【構成】水素吸蔵用合金に水素ガスを吸蔵させて活性化
処理を施し、微粉砕化したのち、合金から水素ガスを排
除する。この合金の微粉末に、不純ガス成分として窒素
を同伴するヘリウムガス又はアルゴンガスからなる原料
希ガスを加温状態で接触させる。そして窒素ガス成分を
微粉末合金に不可逆的に吸着させ、希ガス成分を合金微
粉末同士の間隙に通過せしめて選択的に取り出す。 【効果】従来のシリカゲルや活性炭等の物理的吸着剤を
用いた場合に比べて、原料ヘリウムガスやアルゴンガス
を高純度精製することができる。しかも、例えば極低温
で行なうPSA法に比べて極低温設備や冷熱供給源が不
要になり、精製処理を迅速且つ容易に行なえるうえ、処
理コストを低減できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、不純ガスとして窒素を
同伴する原料ヘリウムガス並びに原料アルゴンガスの精
製方法に関し、水素吸蔵用合金を利用してこれに上記各
種の原料ガスを接触させ、不純窒素ガス成分を当該合金
に吸着せしめるとともに、ヘリウムガス成分或はアルゴ
ンガス成分をそのまま通過させて各種原料ガスを高純度
に精製できるものを提供する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】ヘリウムガスやアルゴンガ
スはともに不活性な希ガス構造をとるので、鉄鋼業、半
導体関連工業を初め多くの工業分野で必需の環境ガスと
して拡く用いられるとともに、機器分析計、例えばガス
クロマトグラフのキャリヤーガスとして常用される。
【0003】しかしながら、工業的に供給される原料ヘ
リウムガス或はアルゴンガスには、窒素ガスを初め、酸
素ガス、二酸化炭素等の各種不純ガス成分が十数ppm〜
数百ppmの割合で混入しているのが実情である。
【0004】特に、窒素ガスが上記各原料ガスに混入す
ると、以下の弊害が出て来る。 (1) 原料ヘリウムガス或いはアルゴンガスを環境ガス
に使用する鉄鋼業においては、耐摩耗性を向上する目的
で鋼の表面に窒化処理を施す場合を除いて窒素ガスは有
害であり、主として温度条件によっては原料ガスに同伴
する窒素成分が種々の元素、例えばP、S、Ni、Cr
等と化学結合をつくり、鋼の特性を低下させてしまう。
【0005】因みに、原料ヘリウムガス或いはアルゴン
ガスは高価であるため、これらのガスを大量に使用する
当該鉄鋼業界ではその再生利用を検討しているが、再生
されたガスは当初の原料ガスに比較して窒素の含有量は
さらに増大しており、上記弊害を増々助長させることに
なる。
【0006】(2) 半導体工業用の超高純度水素の製造
に際しては、ガスクロマトグラフによってプロセスの連
続管理或いは品質管理を行なうが、このクロマトグラフ
のキャリヤーガスとして原料ヘリウムガス或いはアルゴ
ンガスを用いると、その窒素保証濃度は良品でも10pp
m以下の品質しか期待できないので、例えば窒素含有濃
度19.5ppmの試料ガスをこの程度のキャリヤーガスを
用いて測定した場合、同一極性のクロマトグラムは得ら
れるものの、クロマトグラムの面積感度は低下せざるを
得ない。
【0007】ましてや、窒素含有濃度7.7ppmの試料ガ
スを測定すれば、クロマトグラムは極性が反転してしま
って(−)3.8mmの反転クロマトグラムを示し、同一極
度での定量が不可能になってしまう。従って、水素ガス
中の窒素含有割合が10ppm以下になれば、当該クロマ
トグラムでは窒素の検出はきわめて不十分になるうえ、
特に、数ppm以下の場合にはほとんど検出不可能となっ
て、超高純度の水素を製造するという所期の目的を達成
できない。
【0008】そこで、これらの原料ガスから不純ガス成
分を除去しようとすれば、従来では、例えば、鉄とハロ
ゲン化金属を組み合わせた脱酸素剤を用いて酸素を除去
する技術、各種アルカリ溶液を用いて二酸化炭素を湿式
除去する技術があるが、窒素に関しては、例えば、(イ)
活性炭、(ロ)シリカゲル、(ハ)ゼオライト等のモルキュ
ーラー・シーブを吸着剤に用いて物理吸着せしめるPS
A法(Pressure Swing Adsorption法)があるにすぎ
ない。
【0009】しかしながら、一般に、物理吸着では、 (a)微量の窒素ガスを吸着させるにはこれに見合うよう
に固相側と気相側の平衡圧を小さく設定しなければなら
ない (b)平衡圧は温度によって規定されるので平衡圧を小さ
く保つには操作系全体を極低温に保つ必要がある。
【0010】従って、上記PSA法では、極低温設備及
び冷熱供給源が常時必要になるので、装置全体が複雑で
処理コストの上昇を招くうえ、なによりも、除去能力が
不十分であり、10ppm程度の窒素ガスがなお残留する
場合が少なくない。
【0011】
【問題点を解決するための手段】水素吸蔵用合金は、そ
の名前からも判るように、水素の貯蔵或いは運搬を主目
的として使用されるもので、適切な平衡圧の前・後で、
水素を金属格子内に安全且つ高密度で吸・脱着できる性
質を有する。
【0012】しかるに、本発明者等は、水素吸蔵用合金
に活性化処理を施してこれを微粉砕化し、この合金微粉
末に市販の水素ガスを流し続けたところ、合金に対する
水素ガスの吸着量が飽和状態に達したのちにも、市販ガ
ス中に含まれる微量の窒素成分が水素ガスに代わって当
該金属に吸着される現象を新たに発見し、この発見に基
づいて先に特願昭59−191120号に係る発明を完
成した(昭和59年9月12日出願)。
【0013】そこで、本発明者等は加熱温度を徐々に上
げながら、水素吸蔵用合金(TiMn1.2 、TiMn1.5
TiMn1.65 、TiMn2 TiMn0.6Cr0.9 、Ti0.3Zr
0.7Mn2.0 等を使用)に所定圧で100%窒素ガスを接
触させ、夫々の加熱温度における合金の単位重量当たり
の窒素吸着量を測定し、以下の知見を得た(図3参照)。
【0014】即ち、実験した合金のいずれもが窒素ガス
を吸着すること、温度を上げると吸着量は増大してゆく
こと、及びその吸着量は水素ガスに対する場合に比較し
ても少なくないことが判明した。
【0015】また、吸着量は合金を構成する成分元素の
相違によって異なるばかりでなく(例えば、TiMn1.5
TiMn0.6Cr0.9 を比較のこと)、成分元素が同じでも
合金組成が異なればやはり変化する(例えば、TiMn1.5
とTiMn2 を比較のこと)。特に、TiMn1.5 に着目す
ると、550℃に加熱した状態では194リットル/kgのN
2吸着量を示した。
【0016】従って、本発明者等は、水素吸蔵用合金が
窒素に対して示すこの予測外の特性を上記先行発明以外
にも拡大利用することを目的として、市販のヘリウムガ
ス、或はアルゴンガスを水素ガスに代えて水素吸蔵用合
金に適用し、種々の実験を重ねた結果、上記各ガス成分
の吸蔵は見られないものの、各ガスに夫々微量の割合で
同伴する窒素ガスについては確かに吸蔵されることを新
たに見い出した。
【0017】即ち、本発明は、この発見に基づくもの
で、水素吸蔵用合金に水素ガスを吸蔵させて活性化処理
を施し、これを微粉砕化して合金の表面積を増大させる
とともに、当該合金から水素ガスを排除したのちに、不
純ガス成分として窒素を同伴する原料ヘリウムガス或は
アルゴンガスを合金の微粉末に常温以上で接触させるこ
とにより、この窒素ガス成分を微粉末合金に吸着させ、
ヘリウムガス成分或はアルゴンガス成分を合金微粉末同
士の間隙に通過せしめて、窒素を原料ヘリウムガス或は
アルゴンガスから分離除去してヘリウムガス成分或はア
ルゴンガス成分を選択的に取り出すことを特徴とする。
【0018】上記水素吸蔵用合金は、水素を多量に吸蔵
して金属水素化物を生成する金属材料であって、(1)
Ca、Li、K、Ti、V、Mg、希土類元素等の一成分
系、(2) TiMn1.5 、TiMn2 、TiFe 、LaNi5
MgNi2 を初め、Ti−Co、Mg−Ni 、希土類元素−
Ni等の二成分系合金、(3) TiMn0.6Cr0.9 、Ti
0.3Zr0.7Mn2.0 を初め、Ti−Fe−Mn 、希土類元素
−Zr−Co、Ca−Ni−Mg 等の多成分系合金を任意に
選択することができる。
【0019】また、当該水素吸蔵用合金の活性化工程
は、合金中に水素ガスを常温若しくは高温で加圧して合
金表面の組織に変化を与え、いわば風通しを良くするこ
とを目的とする。この場合、当該合金は水素の吸・脱着
により微粉砕化され、その表面積を著しく増大させるこ
とになる。
【0020】こうして、窒素ガスを不純ガスとして同伴
する各種原料ガスを上記活性化処理済みの合金微粉末に
接触させると、ヘリウムガス成分或はアルゴンガス成分
は合金微粉末の表面と相互作用することなくその間隙を
通過してゆくが、原料ガス中の窒素ガスは当該合金の表
面に吸蔵されるので、結果的には高純度のヘリウムガス
成分或はアルゴンガス成分のみを選択的に取り出すこと
ができ、原料ガスの精製を円滑に達成できる。
【0021】
【発明の効果】
(1) 本発明は、水素吸蔵用合金が窒素を吸着するとい
う全く新たな特性を利用したもので、極微量の窒素をも
吸着することから、従来のシリカゲルや活性炭等の物理
的吸着剤を用いた場合に比べて、原料ヘリウムガス或は
アルゴンガスを高純度(具体的には、常温処理で数ppm以
下、加熱処理で1ppm以下)に精製することができる。従
って、鉄鋼製造においては、市販或いは再生の原料ヘリ
ウムガス、アルゴンガスを本発明方法で精製し、これを
環境ガスに用いても、窒素による鋼への影響はなく、鋼
の特性を高く維持できる。また、本発明方法を用いて精
製したヘリウムガス或いはアルゴンガスをガスクロマト
グラフのキャリヤーガスに使用すれば、同一極性におい
ても極微量の窒素検出ができるうえ、クロマトグラフの
検出感度も高まるので高純度水素の製造に際して、水素
に含有される窒素ガスの濃度を高い感度でモニターでき
る。
【0022】(2) 活性化処理により微粉砕化された水
素吸蔵用合金に原料ガスを常温以上で接触させるだけ
で、窒素成分を合金微粉末表面に吸蔵して原料ガスから
分離除去できるので、例えば、極低温で行なうPSA法
に比べて、極低温設備や冷熱供給源が不要になり、精製
処理を迅速且つ容易に行なえるうえ、処理コストを低減
できる。特に、加温状態で原料ガスを水素吸蔵用合金に
接触させて合金の化学吸着を促進すれば、窒素ガス成分
を合金微粉末表面に不可逆的に吸着することができ、従
来の物理的吸着量の限界を克服して、窒素ガス成分の吸
着容量の増大をもたらすので、既述したように、鉄鋼業
界等における再生ヘリウムガス或いはアルゴンガスの大
量精製処理に好適である。
【0023】
【実施例】以下、原料ガスの精製装置の機構を概説する
とともに、この装置に原料ヘリウムガス或はアルゴンガ
スを各々通して行なった精製実験結果を逐次述べる。
【0024】(原料ガス精製装置)図2は原料ガス精製装
置の概略系統図であって、当該精製装置は立型の原料ガ
ス精製塔1の下端から原料ガスライン2を導出し、その
上流側に入口弁4、原料ガス仕切弁5及び圧力調整弁6
を順次介して原料ガス供給源7を接続する。
【0025】また、原料ガス精製塔1の上端から精製ガ
スライン8を導出し、その下流側に出口弁10、精製ガ
ス仕切弁11、流量調整弁12及び流量計13を順次接
続する。
【0026】精製塔1は上述のように立型構造をとり、
水素吸蔵用合金をこれに収容して活性化処理を施し、水
素ガスを除去したのち、塔内の下方から上方に原料ガス
を流せば、合金微粉末層に高い効率で当該原料ガスを接
触通過させることができる。
【0027】この精製塔1の外側壁をシース型の加熱装
置14で囲繞し、精製塔1の外壁に装着した熱電対15
を加熱装置14と接続した温度制御装置16に連動し、
熱電対15で検知した塔外壁温度に基づいて制御装置1
6を作動せしめることにより、精製塔1を自動的に所定
温度に保持する。
【0028】原料ガスを上記圧力調整弁6で所定圧力に
調圧して精製塔1に流通せしめるとともに、精製ガスラ
イン8のうち、出口弁10の上流側を分岐して圧力計1
7を接続し、精製操作時の圧力を指示せしめる。
【0029】また、仕切弁11及び流量調整弁12で上
記精製ガスライン8の流量を制御することにより、精製
塔1内の滞留時間を設定する。
【0030】原料ガスライン2の入口弁4の上流側及び
精製ガスライン8の出口弁10の下流側から各々ガス採
取ライン18・19を分岐し、これらを三方弁20を介
してガスモニター21に接続する。
【0031】三方弁20を原料ガスライン2の方に切換
えると、原料ライン中のガスの組成を測定でき、精製ガ
スライン8の方に切換えると、精製ライン中のガスの組
成、例えば不純ガスとしての窒素濃度を測定できる。
尚、符号3及び22は水素吸蔵用合金の流出を防止する
ためのフィルターである。
【0032】斯くしてなる原料ガス精製装置の精製塔1
に水素吸蔵用合金を収容し、圧力35kg/cm2 、温度2
5℃で8時間水素ガスを接触させて活性化処理を施し、
合金の表面積を増大させたのち、加温減圧下で水素ガス
を合金微粉末から放出排除する。
【0033】上記水素吸蔵用合金には、既述の100%
窒素吸着試験において顕著な吸着能を示すTiMn1.5
金を使用する。そして、窒素ガスを不純ガス成分として
同伴する原料ヘリウムガス或はアルゴンガスを各々当該
精製装置に流すことにより、以下の実験を順次行なっ
た。
【0034】(原料ヘリウムガスの精製実験) (a) 実験例1 107.5ppm の富化不純N2ガスを含む原料ヘリウムガ
スを、操作圧力40kg/cm2 、滞留時間12.8分、通
過ガス流量45.5リットル/kg−metal・Hr 、加熱温度1
80℃の精製条件で精製塔1に流し続けて、精製ガスラ
イン8に含まれる残留N2ガス濃度をモニター21で測
定し、その経時変化を観察した。
【0035】 経過時間 残留N2ガス濃度 15分 14.6ppm 30分 4.1ppm 45分 1.8ppm 60分 痕 跡
【0036】上記によれば、15分経過時点で既に残留
2濃度は14.6ppm(加熱によってガスラインの管壁等
から一時的に放出されたN2も加重されていると思われ
るので、実際に精製塔から出るガス中のN2濃度はこれ
より低い値になると推定される)に低下し、原料ガスに
含まれるN2ガスの大部分をTiMn1.5 合金が吸蔵する
ことが判る。
【0037】時間経過に伴い、残留N2ガス濃度は徐々
に下がり、60分経過時点では、もはや痕跡しか示さ
ず、実質的に純粋のヘリウムガス成分のみが精製ガスラ
イン8から導出されることになる。
【0038】(b) 実験例2 低濃度のN2ガス17.9ppmを含む原料ヘリウムガス
を、上記実験例1と同じ精製条件(即ち、加熱温度は1
80℃である)で精製塔1に流して、精製ガスライン8
の残留N2ガス濃度の経時変化を観察した。
【0039】 経過時間 残留N2ガス濃度 20分 13.7ppm 30分 4.8ppm 60分 N.D. 120分 N.D.(小反転) 150分 N.D.(小反転) 180分 反転クロマトグラム
【0040】上表によれば、20分経過時点で、N2
ス濃度は原濃度17.9ppmから13.7ppmに少し低減し
ただけであるが、30分経過時点では4.8ppmに下が
り、続く60分経過以後にはN.D.を示す。
【0041】従って、180℃の加熱温度下で微量のN
2ガスを含む原料ヘリウムガスをTiMn1.5 合金微粉末
層に流せば、60分以後には従来技術に比較してN2
スを十分に排除できることが判る。
【0042】(c) 実験例3 極微量のN2ガス1.5ppm以下を含む原料ヘリウムガス
を、19℃の常温、操作圧力7kg/cm2 、滞留時間8
分、通過ガス流量15.9リットル/kg−metal・Hrの精製
条件で、精製塔1に流したところ、60分経過時点で残
留N2ガス濃度は反転クロマトグラムに移行した。従っ
て、処理温度が常温で、且つ、原料ヘリウムガスに含ま
れるN2ガス濃度が極微量でも、この原料ガスをTiMn
1.5 合金微粉末層に通せば検出限界以下にN2ガスを排
除することができる。
【0043】(原料アルゴンガスの精製実験) (a)実験例1 加熱温度を常温(20℃)、100℃、150℃の三段階
に変化させ、130.5ppm の富化不純N2ガスを含む原
料アルゴンガスを、操作圧力6.5kg/cm2 、滞留時間
5.6分、通過ガス流量34.4リットル/kg−metal・Hrの
条件で精製塔1に流して、精製ガスライン8中の残留N
2ガス濃度が温度に対して示す変化を測定した。
【0044】 加熱温度 残留N2ガス濃度 常温 110ppm 100℃ 18ppm 150℃ N.D.
【0045】上表によれば、常温下の残留N2ガス濃度
は110ppmであるが、100℃では18ppmと大幅に低
減し、さらに、150℃では検出限界以下の値を示すこ
とが判る。即ち、TiMn1.5 合金層を加熱することによ
って化学吸着が促進され、その結果N2ガスの吸着が活
性化して著しい温度効果を示したものと推定できる。
【0046】(b) 実験例2 操作圧力を2kg/cm2に保ち、加熱温度を20℃(常
温)、滞留時間を5分に当初設定するとともに、以下の
(1)〜(5)の条件により加熱温度及び滞留時間を逐次変
化させて精製ガスライン中の残留N2ガス濃度を測定し
た。
【0047】(1) 原料アルゴンガスのN2濃度は10
8ppmとする。
【0048】(2) 加熱温度は、常温→100℃→12
5℃→150℃→180℃の5段階に変化させた。
【0049】(3) 滞留時間は、5分→1分→33秒→
12秒→6秒→4秒の6段階に変化させた。この場合、
通過ガス流量は滞留時間に対応して次のように変化させ
た。 5分時: 10リットル/kg−metal・Hr 1分時: 50リットル/kg−metal・Hr 33秒時: 91リットル/kg−metal・Hr 12秒時:250リットル/kg−metal・Hr 6秒時:500リットル/kg−metal・Hr 4秒時:750リットル/kg−metal・Hr
【0050】(4) 温度を常温に保持したまま滞留時間
を5分から逐次短縮してゆき、反転クロマトグラムから
痕跡以上に残留N2ガス濃度が上昇移行すれば、その時
点で加熱温度を1段階上げ、そのうえでこの温度(即
ち、100℃)を維持しながらさらに滞留時間を下げて
ゆく。そして、残留N2ガス濃度が再び上昇移行を示せ
ば、加熱温度を上げて上記操作を繰り返してゆく。
【0051】(5) 滞留時間を一定に保持しながら加熱
温度を逐次下げてゆき、残留N2ガス濃度が反転クロマ
トグラムから痕跡以上に上昇移行する温度を測定して、
2ガス排除能力を十分に満たす最低の加熱温度を調べ
る。
【0052】図1はその結果を示すもので、加熱温度を
常温→100℃→180℃に上昇させる際には(4)の操
作を行ない、加熱温度を150℃→125℃→100℃
に低下させる際には(5)の操作を行なった。
【0053】N2ガス108ppmを含む原料アルゴンガス
をTiMn1.5 合金で精製すれば、常温−滞留時間1分
(N2吸着量0.167リットル/kg)、加熱温度100℃−滞
留時間12秒(N2吸着量0.661リットル/kg)及び加熱温
度125℃−滞留時間4秒(N2吸着量1.039リットル/k
g)の各条件で十分にN2ガス成分を排除し得ることが判
る。
【0054】特に、加熱温度を125℃、滞留時間を4
秒に設定すれば、ランニングコストを制御しながら迅速
に原料ガスの精製ができる。
【図面の簡単な説明】
図1は窒素ガスを含有する原料アルゴンガスの精製実験
結果を示す図表、図2は本発明に係る精製実験装置の概
略系統図、図3は水素吸蔵用合金の窒素ガスに対する吸
着挙動を示す加熱温度−吸着量関係図である。
【符号の説明】
1…原料ガス精製塔、2…原料ガスライン、6…圧力調
整弁、7…原料ガス供給源、8…精製ガスライン、12
…流量調整弁、14…加熱装置、16…温度制御装置、
18・19…ガス採取ライン、21…ガスモニター。
【手続補正書】
【提出日】平成4年2月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 原料希ガスの精製方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、不純ガスとして窒素を
同伴するヘリウムガス又はアルゴンガスからなる原料希
ガスの精製方法に関し、水素吸蔵用合金を利用してこれ
に上記原料希ガスを接触させ、不純窒素ガス成分を当該
合金に吸着せしめるとともに、ヘリウムガス成分或はア
ルゴンガス成分をそのまま通過させて原料希ガスを高純
度に精製できるものを提供する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】ヘリウムガスやアルゴンガ
スはともに不活性な希ガス構造をとるので、鉄鋼業、半
導体関連工業を初め多くの工業分野で必需の環境ガスと
して拡く用いられるとともに、機器分析計、例えばガス
クロマトグラフのキャリヤーガスとして常用される。
【0003】しかしながら、工業的に供給される原料ヘ
リウムガス或はアルゴンガスには、窒素ガスを初め、酸
素ガス、二酸化炭素等の各種不純ガス成分が十数ppm
〜数百ppmの割合で混入しているのが実情である。
【0004】特に、窒素ガスが上記各原料希ガスに混入
すると、以下の弊害が出て来る。 (1) 原料ヘリウムガス或いはアルゴンガスを環境ガ
スに使用する鉄鋼業においては、耐摩耗性を向上する目
的で鋼の表面に窒化処理を施す場合を除いて窒素ガスは
有害であり、主として温度条件によっては原料希ガス
同伴する窒素成分が種々の元素、例えばP、S、Ni、
Cr等と化学結合をつくり、鋼の特性を低下させてしま
う。
【0005】因みに、原料ヘリウムガス或いはアルゴン
ガスは高価であるため、これらのガスを大量に使用する
当該鉄鋼業界ではその再生利用を検討しているが、再生
された希ガスは当初の原料希ガスに比較して窒素の含有
量はさらに増大しており、上記弊害を増々助長させるこ
とになる。
【0006】(2) 半導体工業用の超高純度水素の製
造に際しては、ガスクロマトグラフによってプロセスの
連続管理或いは品質管理を行なうが、このクロマトグラ
フのキャリヤーガスとして原料ヘリウムガス或いはアル
ゴンガスを用いると、その窒素保証濃度は良品でも10
ppm以下の品質しか期待できない。この結果、例えば
窒素含有濃度19.5ppmの試料ガスをこの程度のキ
ャリヤーガスを用いて測定した場合、同一極性のクロマ
トグラムは得られるものの、クロマトグラムの面積感度
は低下せざるを得ない。
【0007】ましてや、窒素含有濃度7.7ppmの試
料ガスを測定すれば、クロマトグラムは極性が反転して
しまって定量が不可能になってしまう。従って、水素ガ
ス中の窒素含有割合が10ppm以下になれば、当該ク
ロマトグラムでは窒素の検出はきわめて不十分になるう
え、特に、数ppm以下の場合にはほとんど検出不可能
となって、超高純度の水素を製造するという所期の目的
を達成できない。
【0008】そこで、これらの原料希ガスから不純ガス
成分を除去しようとすれば、従来では、例えば、鉄とハ
ロゲン化金属を組み合わせた脱酸素剤を用いて酸素を除
去する技術、各種アルカリ溶液を用いて二酸化炭素を湿
式除去する技術があるが、窒素に関しては、例えば、
(イ)活性炭、(ロ)シリカゲル、(ハ)ゼオライト等
のモルキューラー・シーブを吸着剤に用いて物理吸着せ
しめるPSA法(Pressure Swing Ad
sorption法)と、例えば、特開昭57−156
314号公報に示すように、水素吸蔵用合金を用いて可
逆的に吸着させる方法がある。
【0009】しかしながら、一般に、物理吸着では、 (a)微量の窒素ガスを吸着させるにはこれに見合うよ
うに固相側と気相側の平衡圧を小さく設定しなければな
らない (b)平衡圧は温度によって規定されるので平衡圧を小
さく保つには操作系全体を極低温に保つ必要がある。
【0010】従って、上記PSA法では、極低温設備及
び冷熱供給源が常時必要になるので、装置全体が複雑で
処理コストの上昇を招くうえ、なによりも、除去能力が
不十分であり、10ppm程度の窒素ガスがなお残留す
る場合が少なくない。
【0011】一方、水素吸蔵用合金を用いる方法では、
合金に原料希ガスを接触させるだけであるため、PSA
法に比べて精製処理を迅速且つ容易に行なえるうえ、処
理コストを低減できるが、合金の吸着性能を容易に再生
できるよう窒素ガスを可逆的に吸着させていることか
ら、合金への窒素ガスの吸着が未だ十分ではない。この
結果、精製希ガス中には数ppm程度の不純窒素ガスが
残ることになり、希ガスを高純度に精製することができ
なかった。
【0012】
【問題点を解決するための手段】水素吸蔵用合金は、そ
の名前からも判るように、水素の貯蔵或いは運搬を主目
的として使用されるもので、適切な平衡圧の前・後で、
水素を金属格子内に安全且つ高密度で吸・脱着できる性
質を有する。即ち、水素吸蔵用合金は、冷却状態や加圧
状態で水素ガスを吸蔵し、加熱状態や減圧状態で水素ガ
スを放出する。また、水素吸蔵用合金は、水素ガス以外
にも、希ガス中に不純ガス成分として含まれる酸素ガス
や窒素ガスを可逆的に吸・脱着できる性質を有する。
【0013】そこで、本発明者等は加熱温度を徐々に上
げながら、水素吸蔵用合金(TiMn1.2、TiMn
1.5、TiMn1.65、TiMn、TiMn
0.6Cr0.9、Ti0.3Zr0.7Mn2.0
を使用)に所定圧で100%窒素ガスを接触させ、夫々
の加熱温度における合金の単位重量当たりの窒素吸着量
を測定し、以下の知見を得た(図3参照)。
【0014】即ち、実験した合金のいずれもが窒素ガス
を吸着するが、その吸着量は温度を上げると急激に増大
してゆくこと、及びその増大した吸着量は水素ガスに対
する場合に比較しても少なくないことが判明した。
【0015】また、窒素吸着量は合金を構成する成分元
素の相違によって異なるばかりでなく(例えば、TiM
1.5とTiMn0.6Cr0.9を比較のこと)、
成分元素が同じでも合金組成が異なればやはり変化する
(例えば、TiMn1.5とTiMnを比較のこ
と)。特に、TiMn1.5に着目すると、550℃に
加熱した状態では194リットル/kgのN吸着量を
示した。
【0016】従って、本発明者等は、水素吸蔵用合金が
窒素に対して示すこの加温状態での特性を利用すること
を目的として、市販のヘリウムガス、或はアルゴンガス
を水素ガスに代えて水素吸蔵用合金に適用し、種々の実
験を重ねた結果、上記各希ガス成分の吸蔵は見られない
ものの、各希ガスに夫々微量の割合で同伴する窒素ガス
については十分に吸着されることを新たに見い出した。
【0017】即ち、本発明は、この発見に基づくもの
で、水素吸蔵用合金に水素ガスを吸蔵させて活性化処理
を施し、これを微粉砕化して合金の表面積を増大させる
とともに、当該合金から水素ガスを排除し、不純ガス成
分として窒素を同伴するヘリウムガス又はアルゴンガス
からなる原料希ガスを上記合金の微粉末に接触させるこ
とにより、この窒素ガス成分を合金微粉末に吸着させ、
希ガス成分を合金微粉末同士の間隙に通過させる原料希
ガスの精製方法において、加温状態で原料希ガスを合金
微粉末に接触させることにより、窒素ガス成分の化学吸
着を促進させて不可逆的に吸着せしめ、合金微粉末同士
の間隙を通過した希ガス成分を選択的に取り出すことを
特徴とする。
【0018】上記水素吸蔵用合金は、水素を多量に吸蔵
して金属水素化物を生成する金属材料であって、(1)
Ca、Li、K、Ti、V、Mg、希土類元素等の一
成分系、(2) TiMn1.5、TiMn、TiF
e、LaNi、MgNiを初め、Ti−Co、Mg
−Ni、希土類元素−Ni等の二成分系合金、(3)
TiMn0.6Cr0.9、Ti0.3Zr0.7Mn
2.0を初め、Ti−Fe−Mn、希土類元素−ZrC
o、Ca−Ni−Mg等の多成分系合金を任意に選択す
ることができる。
【0019】また、当該水素吸蔵用合金の活性化工程
は、合金中に水素ガスを常温若しくは高温で加圧して合
金表面の組織に変化を与え、いわば風通しを良くするこ
とを目的とする。この場合、当該合金は水素の吸・脱着
により微粉砕化され、その表面積を著しく増大させるこ
とになる。
【0020】こうして、窒素ガスを不純ガスとして同伴
する原料希ガスを上記活性化処理済みの合金微粉末に接
触させると、ヘリウムガス成分或はアルゴンガス成分は
合金微粉末の表面と相互作用することなくその間隙を通
過してゆくが、加温状態下で合金の化学吸着が促進され
ることから、原料希ガス中の窒素ガスは当該合金の表
に不可逆的に吸着され、従来の物理的吸着量の限界を克
服して、窒素ガス成分の吸着容量の大幅な増大をもたら
す。
【0021】
【発明の効果】本発明は、水素吸蔵用合金が窒素を不可
逆的に吸着するという全く新たな特性を利用したもの
で、極微量の窒素をも確実に吸着するうえ、その吸着容
量が大きいことから、結果的に高純度のヘリウムガス成
分或はアルゴンガス成分のみを選択的に取り出すことが
でき、従来のシリカゲルや活性炭等の物理的吸着剤を用
いた場合や水素吸蔵用合金を用いて可逆的に吸蔵させる
場合に比べて、原料ヘリウムガス或はアルゴンガスの高
純度(具体的には1ppm以下)精製を円滑達成でる。
【0022】従って、鉄鋼製造においては、市販或いは
再生の原料へリウムガス、アルゴンガスを本発明方法で
精製し、これを環境ガスに用いても、窒素による鋼への
影響はなく、鋼の特性を高く維持できる。
【0023】また、本発明方法を用いて精製したヘリウ
ムガス或いはアルゴンガスをガスクロマトグラフのキャ
リヤーガスに使用すれば、同一極性においても極微量の
窒素検出ができるうえ、クロマトグラフの検出感度も高
まるので高純度水素の製造に際して、水素に含有される
窒素ガスの濃度を高い感度でモニターできる。
【0024】
【実施例】以下、原料希ガスの精製装置の機構を概説す
るとともに、この装置に原料ヘリウムガス或はアルゴン
ガスを各々通して行なった精製実験結果を逐次述べる。
【0025】(原料ガス精製装置)図2は原料希ガス精
製装置の概略系統図であって、当該精製装置は立型の原
料ガス精製塔1の下端から原料ガスライン2を導出し、
その上流側に入口弁4、原料ガス仕切弁5及び圧力調整
弁6を順次介して原料ガス供給源7を接続する。
【0026】また、原料ガス精製塔1の上端から精製ガ
スライン8を導出し、その下流側に出口弁10、精製ガ
ス仕切弁11、流量調整弁12及び流量計13を順次接
続する。
【0027】精製塔1は上述のように立型構造をとって
おり、水素吸蔵用合金をこれに収容して活性化処理を施
し、水素ガスを除去したのち、塔内の下方から上方に原
希ガスを流せば、合金微粉末層に高い効率で当該原料
ガスを接触通過させることができる。
【0028】この精製塔1の外側壁をシース型の加熱装
置14で囲繞し、精製塔1の外壁に装着した熱電対15
を加熱装置14と接続した温度制御装置16に連動し、
熱電対15で検知した塔外壁温度に基づいて制御装置1
6を作動せしめることにより、精製塔1を自動的に所定
温度に保持する。
【0029】原料希ガスを上記圧力調整弁6で所定圧力
に調圧して精製塔1に流通せしめるとともに、精製ガス
ライン8のうち、出口弁10の上流側を分岐して圧力計
17を接続し、精製操作時の圧力を指示せしめる。
【0030】また、仕切弁11及び流量調整弁12で上
記精製ガスライン8の流量を制御することにより、精製
塔1内の滞留時間を設定する。
【0031】原料ガスライン2の入口弁4の上流側及び
精製ガスライン8の出口弁10の下流側から各々ガス採
取ライン18・19を分岐し、これらを三方弁20を介
してガスモニター21に接続する。
【0032】三方弁20を原料ガスライン2の方に切換
えると、原料ライン中のガスの組成を測定でき、精製ガ
スライン8の方に切換えると、精製ライン中のガスの組
成、例えば不純ガスとしての窒素濃度を測定できる。
尚、符号3及び22は水素吸蔵用合金の流出を防止する
ためのフィルターである。
【0033】斯くしてなる原料希ガス精製装置の精製塔
1に水素吸蔵用合金を収容し、圧力35kg/cm
温度25℃で8時間水素ガスを接触させて活性化処理を
施し、合金の表面積を増大させたのち、加温減圧下で水
素ガスを合金微粉末から放出排除する。
【0034】上記水素吸蔵用合金には、既述の100%
窒素吸着試験において顕著な吸着能を示すTiMn
1.5合金を使用する。そして、窒素ガスを不純ガス成
分として同伴する原料ヘリウムガス或はアルゴンガスを
各々当該精製装置に流すことにより、以下の実験を順次
行なった。
【0035】(原料ヘリウムガスの精製実験) a) 実験例1 107.5ppmの富化不純Nガスを含む原料ヘリウ
ムガスを、操作圧力40kg/cm、滞留時間12.
8分、通過ガス流量45.5リットル/kg−meta
l・Hr、加熱温度180℃の精製条件で精製塔1に流
し続けて、精製ガスライン8に含まれ残留Nガス濃度
をモニター21で測定し、その経時変化を観察した。
【0036】 経過時間 残留Nガス濃度 15分 14.6ppm 30分 4.1ppm 45分 1.8ppm 60分 痕 跡
【0037】上記によれば、15分経過時点で既に残留
濃度はま14.6ppm(加熱によってガスライン
の管壁等から一時的に放出されたNも加重されている
と思われるので、実際に精製塔から出るガス中のN
度はこれより低い値になると推定される)に低下し、原
ヘリウムガスに含まれるNガスの大部分をTiMn
1.5合金が吸蔵することが判る。
【0038】時間経過に伴い、残留Nガス濃度は徐々
に下がり、60分経過時点では、もはや痕跡しか示さ
ず、実質的に純粋のヘリウムガス成分のみが精製ガスラ
イン8から導出されることになる。
【0039】(b) 実験例2 低濃度のNガス17.9ppmを含む原料ヘリウムガ
スを、上記実験例1と同じ精製条件(即ち、加熱温度は
180℃である)で精製塔1に流して、精製ガスライン
8の残留Nガス濃度の経時変化を観察した。
【0040】 経過時間 残留Nガス濃度 20分 13.7ppm 30分 4.8ppm 60分 N.D. 120分 N.D.(小反転) 150分 N.D.(小反転) 180分 反転クロマトグラム
【0041】上表によれば、20分経過時点で、N
ス濃度原濃度17.9ppmから13.7ppmに少し
低減しただけであるが、30分経過時点では4.8pp
mに下がり、続く60分経過以後にはN.D.を示す。
【0042】従って、180℃の加熱温度下で微量のN
ガスを含む原料ヘリウムガスをTiMn1.5合金微
粉末層に流せば、60分以後には従来技術に比較してN
ガスを十分に排除できることが判る。
【0043】(原料アルゴンガスの精製実験) (a)実験例1実験 温度を常温(20℃)と、加温状態である100
℃、150℃の三段階に変化させ、130.5ppmの
富化不純Nガスを含む原料アルゴンガスを、操作圧力
6.5kg/cm、滞留時間5.6分、通過ガス流量
34.4リットル/kg−metal・Hrの条件で精
製塔1に流して、精製ガスライン8中の残留Nガス濃
が温度に対して示す変化を測定した。
【0044】 実験温度 残留Nガス濃度 常温 110ppm 100℃ 18ppm 150℃ N.D.
【0045】上表によれば、常温下の残留Nガス濃度
は110ppmであるが、100℃では18ppmと大
幅に低減し、さらに、150℃では検出限界以下の値を
示すことが判る。即ち、TiMn1.5合金層を加熱す
ることによって化学吸着が促進され、その結果Nガス
の吸着が活性化して著しい温度効果を示したものと推定
できる。
【0046】(b)実験例2 操作圧力を2kg/cmに保ち、実験温度を20℃
(常温)、滞留時間を5分に当初設定するとともに、以
下の(1)〜(5)の条件により加熱温度及び滞留時間
を逐次変化させて精製ガスライン中の残留Nガス濃度
を測定した。
【0047】(1) 原料アルゴンガスのN濃度は1
08ppmとする。
【0048】(2) 加熱温度は、常温→100℃→1
25℃→150℃→180℃の5段階に変化させた。
【0049】(3) 滞留時間は、5分→1分→33秒
→12秒→6秒→4秒の6段階に変化させた。この場
合、通過ガス流量は滞留時間に対応して次のように変化
させた。 5分時: 10リットル/kg−metal・Hr 1分時: 50リットル/kg−metal・Hr 33秒時: 91リットル/kg−metal・Hr 12秒時:250リットル/kg−metal・Hr 6秒時:500リットル/kg−metal・Hr 4秒時:750リットル/kg−metal・Hr
【0050】(4) 温度を常温に保持したまま滞留時
間を5分から逐次短縮してゆき、反転クロマトグラムか
ら痕跡以上に残留Nガス濃度が上昇移行すれば、その
時点で加熱温度を1段階上げ、そのうえでこの温度(即
ち、100℃)を維持しながらさらに滞留時間を下げて
ゆく。そして、残留Nガス濃度が再び上昇移行を示せ
ば、加熱温度を上げて上記操作を繰り返してゆく。
【0051】(5) 滞留時間を一定に保持しながら加
熱温度を逐次下げてゆき、残留Nガス濃度が反転クロ
マトグラムから痕跡以上に上昇移行する温度を測定し
て、Nガス排除能力を十分に満たす最低の加熱温度を
調べる。
【0052】図1はその結果を示すもので、加熱温度を
常温→100℃→180℃に上昇させる際には(4)の
操作を行ない、加熱温度を150℃→125℃→100
℃に低下させる際には(5)の操作を行なった。
【0053】Nガス108ppmを含む原料アルゴン
ガスをTiMn1.5合金で精製すれば、常温−滞留時
間1分(N吸着量0.167リットル/kg)の場合
に比べて、加熱温度100℃−滞留時間12秒(N
着量0.661リットル/kg)及び加熱温度125℃
−滞留時間4秒(N吸着量1.039リットル/k
g)の各加熱条件下の場合、短時間で十分Nガス成分
を排除し得ることが判る。
【0054】特に、加熱温度を125℃、滞留時間を4
秒に設定すれば、ランニングコストを制御しながら迅速
に原料ガスの精製ができる。
【図面の簡単な説明】 図1は窒素ガスを含有する原料アルゴンガスの精製実験
結果を示す図表、図2は本発明に係る精製実験装置の概
略系統図、図3は水素吸蔵用合金の窒素ガスに対する吸
着挙動を示す加熱温度−吸着量関係図である。
【符号の説明】 1…原料ガス精製塔、2…原料ガスライン、6…圧力調
整弁、7…原料ガス供給源、8…精製ガスライン、12
…流量調整弁、14…加熱装置、16…温度制御装置、
18・19…ガス採取ライン、21…ガスモニター。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土江 雄二 兵庫県西宮市今津曙町2番9号 松葉荘18 号 (72)発明者 豊松 憲之 大阪府枚方市養父丘2丁目9番4号 (72)発明者 和田 弘 兵庫県西宮市今津曙町2番9号 (72)発明者 矢田部 勝 兵庫県西宮市一ケ谷町3番2−711号

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素吸蔵用合金に水素ガスを吸蔵させて
    活性化処理を施し、これを微粉砕化して合金の表面積を
    増大させるとともに、当該合金から水素ガスを排除した
    のちに、不純ガス成分として窒素を同伴する原料ヘリウ
    ムガスを合金の微粉末に常温以上で接触させることによ
    り、この窒素ガス成分を微粉末合金に吸着させ、ヘリウ
    ムガス成分を合金微粉末同士の間隙に通過せしめて、窒
    素を原料ヘリウムガスから分離除去してヘリウムガス成
    分を選択的に取り出すことを特徴とする原料ヘリウムガ
    スの精製方法。
  2. 【請求項2】 加温状態で原料ヘリウムガスを合金微粉
    末に接触させることにより、化学吸着を促進せしめるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の原料ヘリウムガスの精
    製方法。
  3. 【請求項3】 水素吸蔵用合金に水素ガスを吸蔵させて
    活性化処理を施し、これを微粉砕化して合金の表面積を
    増大させるとともに、当該合金から水素ガスを排除した
    のちに、不純ガス成分として窒素を同伴する原料アルゴ
    ンガスを合金の微粉末に常温以上で接触させることによ
    り、この窒素ガス成分を微粉末合金に吸着させ、アルゴ
    ンガス成分を合金微粉末同士の間隙に通過せしめて、窒
    素を原料アルゴンガスから分離除去してアルゴンガス成
    分を選択的に取り出すことを特徴とする原料アルゴンガ
    スの精製方法。
  4. 【請求項4】 加温状態で原料アルゴンガスを合金微粉
    末に接触させることにより、化学吸着を促進せしめるこ
    とを特徴とする請求項3に記載の原料アルゴンガスの精
    製方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110608367A (zh) * 2019-09-30 2019-12-24 苏州苏净保护气氛有限公司 一种氩气循环利用系统及方法

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JPS61107919A (ja) * 1984-10-30 1986-05-26 Taiyo Sanso Kk ガス精製装置

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