JPH07256681A - 厚肉成形品の製造方法 - Google Patents

厚肉成形品の製造方法

Info

Publication number
JPH07256681A
JPH07256681A JP5392494A JP5392494A JPH07256681A JP H07256681 A JPH07256681 A JP H07256681A JP 5392494 A JP5392494 A JP 5392494A JP 5392494 A JP5392494 A JP 5392494A JP H07256681 A JPH07256681 A JP H07256681A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold
temperature
molded product
resin
thick
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP5392494A
Other languages
English (en)
Inventor
Kinichi Okumura
欽一 奥村
Tsutomu Nishimura
務 西村
Noriaki Ide
昇明 井出
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP5392494A priority Critical patent/JPH07256681A/ja
Publication of JPH07256681A publication Critical patent/JPH07256681A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 成形品の全表面が平滑で、かつ内部に巣や空
洞のないノルボルネン系ポリマーからなる厚肉成形品を
生産性よく製造することを目的とする。 【構成】 メタセシス触媒を含有するノルボルネン系モ
ノマーを主成分とする液状樹脂を型枠内で塊状重合させ
厚肉成形品を製造するに際し、前記型枠温度より20℃以
下の温度に維持された液状樹脂を型枠内に完全に充填
し、塊状重合させて、成形品の表面温度が樹脂のガラス
転移温度以下で、かつ成形品の平均温度が樹脂のガラス
転移温度以上で、成形品を型枠から取り出すノルボルネ
ン系ポリマーからなる厚肉成形品の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ノルボルネン系ポリマ
ーからなる厚肉成形品の製造方法に関し、さらに詳しく
は、成形品の表裏全表面が平滑で、かつ内部に空孔がな
い成形品を生産性よく製造する厚肉成形品の製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、ジシクロペンタジエン(以下、D
CPという)に代表されるノルボルネン系モノマーを用
いた反応射出成形(以下、RIM成形という)が安価な
金型で比較的容易に厚肉成形品を提供できる方法として
注目を浴びている。厚肉製品としては、切削加工用素材
や大型樹脂ポンプ、排水処理用機器のフィルタープレス
用濾板や建設機器のクレーンの敷板などの大型の厚肉成
形品例が挙げられる。ここで厚肉成形品とは、厚みが少
なくとも10mm以上、好ましくは15mm以上のものをいう。
【0003】従来、DCPの厚肉成形では、アンプル中
でメタセシス触媒とDCPを混合して重合させ発熱させ
てポリマーを得るという本技術の初期の公知技術があ
る。その後、三環体以上のノルボルネン系ポリマーの厚
肉成形品(特開平5-239192号公報)やその製造方法(特
開平1-158031号公報、特開平2-239915号公報)が開発さ
れている。かかる従来技術においては、厚肉成形品はい
わゆる巣という空孔あるいは空隙が成形品に生じやすい
という問題がある。
【0004】この問題点を解決するために、従来は、最
大反応温度を 160℃以下に抑制する方法や、反応硬化後
の樹脂の冷却過程において型枠の占有時間を長くとっ
て、成形品内部の温度差を80℃以下にする方法が特開平
1-158031号公報に提示されている。しかし、この方法
は、成形に要する時間が、型枠の中で反応が開始する時
間だけでも10分以上という長時間を要し、成形作業上や
経済的にも実用的ではなく、生産性の非常に悪いもので
あり、改善する必要がある。また、原料樹脂の温度を型
枠温度より高温にして型内に注入後、型枠内を加圧する
方法が特開平2-239915号公報に提示してある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】かかる方法は巣の発生
防止には効果があるが、成形品表面の状態については、
なんら触れられておらず、実際、本発明者らが追試した
ところ、型表面の転写性は不十分であり、成形品表面が
凹凸したいわゆる「ひけ」のある状態になりやすいとい
う問題点があることが分かった。この現象は薄肉の成形
品の場合には一般的なものであり、RIM成形ではキャ
ビティ面の金型温度をコア面より高く維持して成形し、
成形品キャビティ面(ショー面)側の平滑性を確保する
代わりに、その裏面はざらざらした「ひけ」の多い面と
し、成形品の表裏ともに平滑な面にすることは不可能で
あった。また、厚肉成形品に薄肉成形品で行われる成形
方法をそのまま応用しても、内部に巣がなく表裏ともに
平滑な面を有する成形品を入手することは不可能であっ
た。
【0006】本発明は上記の問題点を解決するためにな
されたもので、型枠内に注入する液状樹脂の量と温度を
規制し、さらに塊状重合させた成形品の表面温度が樹脂
のガラス転移温度以下で、かつ成形品の平均温度が樹脂
のガラス転移温度以上で、成形品を型から取り出し、成
形品の温度分布を均一にして冷却することにより、成形
品の全表面が平滑で、かつ内部に巣や空洞のないノルボ
ルネン系ポリマーからなる厚肉成形品を生産性よく製造
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
は、メタセシス触媒を含有するノルボルネン系モノマー
を主成分とする液状樹脂を型枠内で塊状重合させて厚肉
成形品を製造するに際し、前記型枠温度より20℃以下の
温度に維持された液状樹脂を型枠内に完全に充填し、塊
状重合させて、成形品の表面温度が樹脂のガラス転移温
度以下で、かつ成形品の平均温度が樹脂のガラス転移温
度以上で、成形品を型枠から取り出すノルボルネン系ポ
リマーからなる厚肉成形品の製造方法である。
【0008】
【作用】型枠に注入するときの原料であるノルボルネン
系液状樹脂の温度は、型枠の温度よりも20℃以下とす
る。その理由は以下のとおりである。原料である液状樹
脂は硬化すると収縮し、体積が減少するが、DCPの場
合その値は 5〜7 容量%である。比容積換算では、一例
では、1.03ml/gの液状樹脂が0.97ml/gの硬化樹脂とな
る。本発明はかかる容量の減少分だけ余分な容量の液状
樹脂を、予め型枠内に注入することにより、樹脂体積収
縮に伴う型表面と樹脂面との剥離や空洞の発生を抑制
し、成形品全表面の平滑性と成形品内部の巣を改善しよ
うとするものである。
【0009】ところで、従来、肉厚が10mm以下の薄肉成
形品を熱伝導性の悪い型枠、例えばFRPからなる型枠
を用いて成形すると、比較的成形品表裏面の平滑性の良
いものが得られることが分かっているが、金属のごとき
熱伝導性の良い型枠で成形すると成形品の裏面は平滑性
に欠ける。これは、液状樹脂温度を型枠温度より低くし
て型枠内部により多くの樹脂を注入しようとしても、注
入する際に、樹脂が型枠表面からの熱を注入中に容易に
受入れ膨張し、そのため、液状樹脂を型枠内に成形収縮
分に見合う量だけ注入することができないためである。
【0010】薄肉成形に比べて、厚肉成形では液状樹脂
が型枠の熱を貰って、反応および膨張する以前に、液状
樹脂を型内へ注入することは容易ではあるが、巣の発生
防止や平滑な外観を得るための条件は見出されていなか
った。本発明者らは、原料である液状樹脂温度と型枠温
度との差を20℃以上(液状樹脂温度を型枠温度より20℃
以下)にして樹脂を型枠に注入することが巣の発生防止
や平滑な外観を得るために効果があることを見出した。
【0011】すなわち、型枠への注入時の液状樹脂温度
をいくらにすればよいかを、液状樹脂の比容積と温度と
の関係から求めた。図1は、ノルボルネン系モノマーの
代表例として、質量比で、DCP:エチリデンノルボル
ネン:ブチル化ヒドロキシルトルエンが80:18:2 であ
る混合物の比容積と温度との関係を示したものである。
先述の硬化収縮の容積、1.03ml/gの液状樹脂が0.97ml/g
に減少する分に見合う量は、図1から液状樹脂が10℃の
とき、型枠温度は70℃のときである。実際、実験で確認
したところ、液状樹脂温度の成形品外観の平滑性を許容
できる範囲は、型枠温度より20℃以下でよく、好ましく
は30℃以下で十分であることが確認できた。なお、型枠
への注入時の液状樹脂そのものの温度は、作業性や加熱
費用などを考慮して、40℃より低い温度が選択され、下
限は作業性や経済性の点から 0℃までである。
【0012】原料の重合硬化速度は少なくとも型枠に液
状樹脂を注入している間は大きな発熱がなく、注入終了
と同時に硬化発熱が始まるように調整されたものが好ま
しい。一般に、型への注入時間は 5〜100 秒であるの
で、これ以上の時間で重合硬化する樹脂がよい。一方、
硬化発熱の開始時間が注入時間に対して遅すぎると、型
内での反応開始時間が遅くなり成形に長時間を要し好ま
しくない。最も好ましい硬化速度は、液状樹脂が型内に
注入終了後、数秒内に反応が開始し、大きく発熱するも
のがよい。硬化速度は公知の原料中の触媒の活性を調整
または型枠温度を変えることにより制御できる。
【0013】液状樹脂を型枠に注入する際には、型枠内
の気体を追い出しながら樹脂を流入させ、型内の空間に
液状樹脂を充填する。液状樹脂が型枠内に充満すること
が必須である。型内に気層と液状樹脂が混在すると、樹
脂の膨張による圧力が気層に吸収され十分に圧力が発生
せず、また樹脂全体に均一に圧力が伝わらない。したが
って、成形品の全表面が型に押しつけられず平滑な表面
にならないばかりか、内部に巣が発生しやすい。気層量
は液状樹脂量に対して 1%以下であれば、実質的にこの
影響は無視できる。
【0014】液状樹脂注入開始から成形終了までの型内
の圧力変化および樹脂の表面と厚み中央の温度変化の代
表例を図2に示す。圧力変化は型枠内面に取り付けた圧
力センサーで、温度変化は型枠内面と型枠内厚み中央に
取り付けた温度センサーで測定した。図2では、液状樹
脂が型枠内へ注入されてから、30秒後に液状樹脂が充満
したことによる注入圧力の発生が認められる。型内の温
度は当初70℃の型温が注入樹脂温度の影響により25℃ま
で冷えたのち、型の温度調節機能により温度は上昇して
くる。同時に、樹脂の重合発熱も始まり、圧力、温度と
もに上昇し、 100秒に重合発熱に伴うピーク圧力を示
す。樹脂表面温度もこの時ピーク温度を示すが、樹脂中
心部温度はやや遅れて、 230℃まで急激に重合発熱ピー
ク温度を示す。その後、圧力、温度ともに降下する。型
内圧力は樹脂の硬化収縮により急激に低下するが、圧力
センサーと樹脂の密着性がよいために負圧を示す。圧力
センサー表面から樹脂が外れると、ほぼ0MPaの状態を示
す。
【0015】液状樹脂を型内に充満させるには、充填終
了の際に数秒間発生する高い圧力を検出することにより
液状樹脂の注入量を制御することが好ましい。この際好
ましいことは、型枠が後述するように、内部の気体は洩
れるが、樹脂は洩れにくいという気密性を持つことであ
る。このような型枠にあっては、図2に示す注入圧力で
ある型枠内の樹脂の圧力が0.02MPa 以上になる。この圧
力は、型枠の気密性が良好な場合に観察できるものであ
り、気密性が悪いと、この圧力は発生しないか、また非
常に低い値となる。すなわち、この圧力が低いとせっか
く成形硬化収縮分の余分な容量の樹脂を型内に注入した
にもかかわらず、硬化発熱に伴う樹脂の体積膨張分が型
内から漏れることになり、本発明の効果が現れないだけ
でなく、ばりの発生や樹脂の損失となる。注入圧力の上
限は、型枠の耐圧強度や、型締機、注型機の能力により
決まり、通常は0.5MPa以下である。
【0016】液状樹脂の型内への注入方法は特に制約は
ないが、市販の注入機で行うことができる。例えば、R
IM成形で一般に用いられている高圧衝突混合機やギア
ーポンプとダイナミックミキサーまたはスタティックミ
キサーとを組み合わせた注型機などがある。液状樹脂の
注入速度は注型機の能力により制約されるが、特に限定
されるものではなく、通常は 0.1〜5 リットル/秒であ
る。また、液状樹脂を型内へ注入する前に、メタセシス
触媒の活性に影響のある酸素や水分は窒素やヘリウムな
どの不活性ガスで型内からパージしておくことが好まし
い。
【0017】液状樹脂は注入後、型からの熱および反応
熱により温度が上昇し、これに伴い樹脂の体積は膨張し
型内の圧力は上がる(図2において重合発熱に伴うピー
ク圧力を参照)。本発明において、重要なことは、この
時に示す最高圧力は0.05MPa、好ましくは0.1MPa以上に
到達することである。この過程において、樹脂は型枠表
面と密着し、表裏両面とも平滑な成形品面を形成するこ
とができる。また、この圧力が不足すると、硬化収縮過
程において成形品に巣や空洞あるいは型内面と成形品と
の間に空隙が発生する。
【0018】この圧力を0.05MPa 以上にするには、後述
する気密性のある型枠を用いることおよび樹脂充填後の
キャビティ内に気層を形成しないことが必要である。型
内に窒素ガスを注入して加圧して圧力を0.05MPa 以上に
高めることが考えられるが、この方法は、巣の発生防止
に対しては効果があるが、成形品表面を平滑にすること
に対しては効果がないので好ましくない。
【0019】成形品は型への液状樹脂の注入終了後、数
秒から数十秒の間に反応が始まり硬化する。樹脂の温度
は重合発熱ピーク温度(図2参照)を示した後、徐々に
低下する。本発明では、成形品の表面温度が樹脂のガラ
ス転移温度以下で、かつ平均温度がガラス転移温度以上
で、成形品を型枠から取り出すことが必須である。成形
品表面温度が樹脂のガラス転移温度以上の状態で、成形
品を型枠から取り出すことは、成形品表面が十分硬化し
ておらず変形しやすく、良い成形品は得られない。
【0020】一方、従来技術のごとく成形品の中心部の
温度が樹脂のガラス転移温度まで冷却した後に成形品を
型から取り出すと、成形品の表裏のどちらかの表面に
「ひけ」が多く、全表面が平滑な面にはならない。しか
し、成形品の平均温度が樹脂のガラス転移温度以上の状
態で成形品を型から取り出すと、成形品は厚み中心部の
顕熱が表面に伝達され表面温度は昇温し、中心部と表面
部との温度差が小さくなり、その状態で徐々に冷却する
ことにより、巣の発生を防止することができる。型から
取り出した後の成形品の冷却は空気中で行うことが好ま
しい。
【0021】なお、成形品の平均温度は、厳密には成形
品の肉厚方向の温度分布を測定して求めることができる
が、実施例で述べるように、近似的には中心部の温度と
表面部の温度に肉厚を考慮して簡単に求めることができ
る。かかる温度に到達する時間は、成形ショットごとに
求める必要はなく、原料樹脂の反応性と成形品の厚み、
型枠温度範囲が一度固定されると、成形品を型から取り
出す時間を決めることができる。また、実際の成形では
成形品の表面温度を検出し、樹脂の重合発熱ピーク検出
直後に成形品を型から取り出すことにより簡便に操作で
きる。
【0022】従来技術では、型内で成形品を樹脂のガラ
ス転移温度まで冷却することが行われるが、この方法は
寸法安定性の上では好ましいが、型枠内での長い成形時
間を要し、生産性を低下させ経済的でないばかりか、
「ひけ」の増加をもたらし品質上も好ましくない。本発
明の製造条件によれば、短い成形時間で、全表面が平滑
で、かつ内部に巣のない成形品が得られる。また、成形
品を型から取り出し、型外で冷却しても実用上問題のな
い寸法精度を維持できる。厳しい寸法精度を要求される
場合は、別に冷却のための治具を使用することもでき
る。
【0023】成形時の型枠温度は30〜100 ℃である。型
枠温度が低いと成形品の表面の硬化が不十分で、軟らか
い表面となり、また硬化不良による液状樹脂の残りによ
るべたつきが発生する場合もある。一方、型枠温度が高
いと液状樹脂の型内への注入が終了するまでに、成形品
表面が反応を開始し、樹脂溶融流れ跡(ウエルド)の発
生や巣の発生が起こりやすくなる。
【0024】型枠のキャビ型とコア型の温度は同一であ
っても、差をつけてもどちらでもよい。型枠は樹脂型、
電鋳型、低融点金属型、鉄やアルミからなる型、それら
の組み合わせ型など、特に制約はないが、圧力に耐える
だけの剛性があればよい。また形状も特に制約はなく、
円筒、円柱、平板、複雑形状など目的に応じて任意の形
状にすることができる。型枠には温度調節機能を設ける
ことが好ましい。
【0025】型枠の圧力を制御するため、型に圧力セン
サーを取り付け、圧力を測定することが好ましい。しか
し、型枠に気密性を保持できる機能が保証されていれ
ば、型内圧力を測定しなくても十分型内圧力を維持でき
ることが分かっており、圧力センサーは必ずしも必要で
はない。すなわち、成形品を取り出すための開口部(い
わゆるパーティング部)には、ゴムや樹脂などによるシ
ール材を使用し、また液状樹脂注入口やガスベントには
気密機能を有するバルブや栓などを設ける。あるいは、
ガスベントに 1mm以下の隙間を設け、ガスはこの隙間か
ら逃がし、液状樹脂はこの隙間で即座に硬化するため、
樹脂にシール材の機能を持たせてもよい。気密性の確認
は、成形前に予め、圧力計を取り付けた配管から窒素ガ
スや空気を加圧して密閉系を形成した後、数分間圧力の
低下しないことを確認するだけでよい。
【0026】ノルボルネン系液状樹脂は、公知のノルボ
ルネン系モノマーと触媒、酸化防止剤、衝撃改良剤、顔
料、フィラーなどを含有する液状樹脂を用いる。樹脂の
流動温度はDCPの場合、その融点が34℃であるが、エ
チリデンノルボルネンやトリシクロペンタジエン、ノル
ボルネンなどのノルボルネン系モノマーとの混合や、各
種配合剤を添加して融点を降下させて 0℃以下に下げる
ことができる。樹脂の粘度は 0.001〜数Pa・s である。
また、硬化後の樹脂のガラス転移温度は、50〜250 ℃で
ある。
【0027】
【実施例】以下に、本発明の実施例について説明する。
型枠は、成形品の大きさが350 ×450 ×65mm(厚さ)に
なるキャビ型とコア型からなる亜鉛合金製の型枠を使用
した。型枠には温度調節機能やゲートなどを有してい
る。また、パーティング面にはゴム製のシールを用い、
さらに成形品先端(ゲートとは反対の先端部)には、液
溜まりと、その上部にガスベント配管を設け型内のガス
が外部に出る構造にし、ガスベント配管の途中にはバル
ブを設け型内の圧力を制御できるようにしてある。型枠
のキャビ型の表面には、表面温度と型内圧力を測定する
ために、温度センサーと圧力センサーを装着固定し、成
形品中央部の温度を測定するために、成形品中央部に相
当する位置になるように、型内空間部には金属製の保護
管で保護された熱電対を設置した。
【0028】RIM成形は、ジシクロペンタジエンを主
成分とするノルボルネン系RIM用原料(市販品名「メ
トン」帝人ハーキュレス社製)を高圧衝突型注型機を用
いて、表1の所定の型枠温度に予熱された前記型枠に注
入し、重合、硬化させ成形品を得た。樹脂注入後、型内
圧力と表面温度、中心部の温度を経時的に測定した。樹
脂の反応性はn-ブチルアルコールを添加することにより
原料温度が30℃とした際の重合発熱のピーク温度到達時
間が 160秒となるように調節した。
【0029】注入の際の液状樹脂温度や充填量、型内発
生圧力などは表1にしたがって変化させた。液状樹脂温
度の調節は温度調節機能を有する液状樹脂保管容器で行
った。また、充填量は成形品体積に対して未充填の体積
の比をパーセントで示し、注型機の作動時間を変えるこ
とにより変化させた。型内圧力は図2における重合発熱
に伴うピーク圧力(最大発生圧力)をいうが、これを制
御するには型締め圧力を変えるか、またはガスベント配
管のバルブを開いたり、あるいはパーティング面のゴム
シールの一部を除去し型内発生圧力を漏らして制御し
た。
【0030】
【表1】
【0031】表1に示した所定時間(脱型時間)後、型
枠を開き成形品を取り出し空冷後、成形品の外観および
成形品を切断して内部に発生する巣や空洞を観察した。
切断は 350×450mm 面の各辺の中央位置で行い、4等分
された切断片の切断面(65mm厚さ)を観察した。その結
果を表1に併記した。成形品平均温度は表1の備考に示
したように、中央部の温度と表面部の温度から肉厚を考
慮して求めた平均温度である。また、脱型時間は液状樹
脂の型枠への注入終了から成形品がキャビ型とコア型か
ら外れるまでの時間をいう。ここで巣や空洞とは直径 1
mm以上の肉眼で観察できる大きさのものをいう。なお、
樹脂(成形品)のガラス転移温度はすべて 143〜150 ℃
であった。
【0032】表1に示すように、本発明例1〜5は、原
料温度(液状樹脂温度)が金型温度(型枠温度)よりも
20℃以下で、原料の金型への充填量も十分であり、また
型からの成形品の取り出し温度(脱型直前の成形品温
度)も、表面温度が樹脂のガラス転移温度以下で、平均
温度が樹脂のガラス転移温度以上であるため、成形品の
内部には巣や空洞がなく、表面も平滑なノルボルネン系
ポリマーからなる厚肉成形品が得られた。
【0033】比較例1は、原料温度と金型温度との差が
10℃であるため、型内への樹脂注入量が反応硬化収縮に
見合う量に対して不足することになり、金型内での冷却
固化に伴い金型表面と樹脂面の剥離が早く生じることと
なり、成形品のキャビ面とコア面に大きい面積の浅い窪
みが発生している。
【0034】比較例2は、原料の金型への充填量が90%
であるため、成形品表面は平滑であるものの、成形品内
部に大きな巣が発生している。
【0035】比較例3は、パーティング面から樹脂を洩
れやすくして、金型内最大圧力が0.04MPa と低くしたた
め、成形品内部は巣や空洞はないものの、成形品のキャ
ビ面には浅い窪みが散在し、コア面にはしわ状の「ひ
け」が多く発生している。
【0036】比較例4は、金型内から成形品を取り出す
時間を3900秒と十分長くとり、樹脂の温度を冷却した。
型からの成形品の取り出し温度が、表面温度は樹脂のガ
ラス転移温度以下であるものの、平均温度が樹脂のガラ
ス転移温度以下であるため、成形品のキャビ面中央部に
大きい面積の浅い窪みが発生している。
【0037】
【発明の効果】以上述べたところから明らかなように、
本発明によれば、型枠の占有時間がみじかく、生産性よ
く、成形品の全表面が平滑で、かつ内部に巣や空洞のな
いノルボルネン系ポリマーからなる厚肉成形品を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ノルボルネン系モノマーの代表例として、質量
比で、DCP:エチリデンノルボルネン:ブチル化ヒド
ロキシルトルエンが80:18:2 である混合物の比容積と
温度との関係を示す図である。
【図2】液状樹脂注入開始から成形終了までの型内の圧
力変化と樹脂の表面と厚み中央の温度変化の代表例を示
す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタセシス触媒を含有するノルボルネン
    系モノマーを主成分とする液状樹脂を型枠内で塊状重合
    させて厚肉成形品を製造するに際し、前記型枠温度より
    20℃以下の温度に維持された液状樹脂を型枠内に完全に
    充填し、塊状重合させて、成形品の表面温度が樹脂のガ
    ラス転移温度以下で、かつ成形品の平均温度が樹脂のガ
    ラス転移温度以上で、成形品を型枠から取り出すことを
    特徴とするノルボルネン系ポリマーからなる厚肉成形品
    の製造方法。
JP5392494A 1994-03-24 1994-03-24 厚肉成形品の製造方法 Withdrawn JPH07256681A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5392494A JPH07256681A (ja) 1994-03-24 1994-03-24 厚肉成形品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5392494A JPH07256681A (ja) 1994-03-24 1994-03-24 厚肉成形品の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07256681A true JPH07256681A (ja) 1995-10-09

Family

ID=12956279

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5392494A Withdrawn JPH07256681A (ja) 1994-03-24 1994-03-24 厚肉成形品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07256681A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102300067B1 (ko) * 2020-06-02 2021-09-08 (주) 폴리텍 전이온도를 이용하여 공동성 기포 발생을 방지하는 사출 방법

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102300067B1 (ko) * 2020-06-02 2021-09-08 (주) 폴리텍 전이온도를 이용하여 공동성 기포 발생을 방지하는 사출 방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5730926A (en) Method for the non-resin fluid-assisted injection molding of a resin
CA2477149C (en) Method for expansion injection molding
JPH0788025B2 (ja) 偏肉補強部構造を有する合成樹脂成形品の製造法
US3777000A (en) Method of producing a thick-walled cured plastics moulding
JPS6169421A (ja) 発泡成形体の成形方法
JPWO2004048067A1 (ja) 型内被覆成形方法及び型内被覆成形品
JPH0952262A (ja) 型内被覆成形法用の金型
JPH07256681A (ja) 厚肉成形品の製造方法
US20100187727A1 (en) Method of void free for molding product
US4164531A (en) Injection molding of ultra high molecular weight polyethylene
JPH01168425A (ja) 中空成形品の製法
JP2004122146A (ja) 厚肉製品の高圧鋳造法
US4182843A (en) Method for producing castings by activated anionic polymerization of lactams
JP2001062862A (ja) 非晶性熱可塑性樹脂の射出成形法
USRE28498E (en) Method of producing a thick-walled cured plastics moulding
JP3376286B2 (ja) ポリアミド樹脂成形体の製造方法
JP3486782B2 (ja) 樹脂成形型におけるシール面圧調整方法
JPH05329868A (ja) ノルボルネン系樹脂成形品の製造方法
JP2008006590A (ja) 反応射出成形方法
JP3123121B2 (ja) 成形品の製造方法および反応成形用金型
JP4286750B2 (ja) 型内被覆成形方法
JPH04329112A (ja) プラスチックのインモ−ルドコ−ティング法
JP3734623B2 (ja) ポリアミド樹脂成形体の製造方法
JPH09300392A (ja) 樹脂成形品の成形方法
JP2530197B2 (ja) プラスチックロ―ルの成形法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20010605