JPH07256676A - 通気性フィルム及びその製造方法 - Google Patents

通気性フィルム及びその製造方法

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JPH07256676A
JPH07256676A JP6079420A JP7942094A JPH07256676A JP H07256676 A JPH07256676 A JP H07256676A JP 6079420 A JP6079420 A JP 6079420A JP 7942094 A JP7942094 A JP 7942094A JP H07256676 A JPH07256676 A JP H07256676A
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film
crazes
craze
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resin film
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English (en)
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Minoru Miwa
輪 實 三
Akiyoshi Takeno
野 明 義 武
Hiroshige Sano
野 博 成 佐
Fumiyo Ikehata
畑 富美代 池
Keizo Abe
部 桂 三 阿
Takahiro Ozu
津 孝 弘 小
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 通気性、透湿性、感触、強度、生産安定性に
優れ、かつ、透明性を有した通気性フィルムを提供す
る。 【構成】 高分子樹脂フィルムに縞状クレーズ領域を設
けたことを特徴とする通気性フィルム、並びに、緊張状
態に保持された高分子樹脂フィルム面に、該高分子樹脂
フィルムの分子配向方向と略平行方向に先端部が鋭角な
支持体を当接して、該フィルムを局部的に折り曲げ、そ
の折り曲げ変形域を、該高分子樹脂フィルムに対して相
対的に移動させることにより、移動方向と略直角の方向
に連続的な縞状のクレーズ領域を形成させることを特徴
とする通気性フィルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、通気性フィルム及びそ
の製造方法に関する。更に詳しくは、酸素等の気体を通
すが、水等の液体や固体を通さない通気性フィルム及び
その製造方法に関するものであって、この様な通気性フ
ィルムは、生鮮食品包装材料、衛生材料、医療材料、衣
料材料等として用いられものである。
【0002】
【従来の技術】従来、多孔性の通気性フィルムを得るた
めに、種々の方法が提案されている。その代表的な例と
しては、樹脂と充填剤からなる樹脂組成物から得られる
フィルムを一軸又は二軸の延伸加工を施すことにより、
フィルム中に微細な空孔を発生させて通気性フィルムを
得ることは良く知られている(例えば、特開昭58−1
49303号、特開昭58−15538号の各公報参
照)。しかし、この様な通気性フィルムは、延伸加工時
に、分散されている充填剤の粗大粒子に応力集中して、
場合によっては延伸切れを起こすことになったり、或い
は、切れないまでも延伸が均一に起こらないために、通
気性やフィルム強度において難点があった。また、延伸
物特有のゴワゴワ感がある等との種々の欠点があった。
そこで、この様な通気性フィルムの柔軟性を改良する目
的で、液状化合物を添加する提案がなされている。例え
ば、特開昭60−257221号公報には液状の炭化水
素重合体が、特開昭57−47334号公報には液状ポ
リブタジエンが、特開昭58−149925号公報には
液状ポリイソブチレンを添加することが記載されてい
る。しかし、この様な液状化合物は通気性フィルムの表
面へブリードしてくるため、ベタツキが起こり、フィル
ムとして使用するには問題があった。また、液状化合物
を添加すると、充填剤と樹脂の界面剥離が起きにくくな
り、通気性が低下するとの問題があった。
【0003】一方、延伸によらない通気性フィルムの製
造方法としては、特開平3−285930号公報にポリ
カプロラクトンを通気性を付与する目的でブレンドする
方法が提案されているが、該方法では通気性をコントロ
ールすることが困難であり、しかも、得られるブレンド
物は非相溶のブレンド物であるために機械的強度が劣る
との問題点を含んでいた。また、延伸によらない通気性
フィルムの別の製造方法として、特開昭48−6734
7号公報にエンボス法が提案されている。しかし、この
特開昭48−67347号公報に記載されるエンボス法
では、フィルムを砂面状の表面を有する二本のロール間
を圧力をかけながら通過させて、通気性のあるフィルム
を得る技術が開示されているが、一定の品質の製品を得
ることが困難であった。また、特開平4−279321
号公報には、高圧放電によりフィルムに孔を開ける方法
が開示されているが、設備投資が大きくなり、また均一
な品質が得られ難いとの問題点が有った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、この様な従来
の方法では、優れた通気性、透湿性、感触、強度を有す
る通気性フィルムを得ることは困難であった。更に、一
般に使用されている充填剤を添加したフィルムを延伸す
ることによって製造される通気性フィルムは、数ミクロ
ンの大きさの孔を有しているために、光を散乱して不透
明であることから、例えば、生鮮食料品の包装材料とし
て用いる場合でも、内容物が外部から見えず、通気性を
有したフィルムであっても商品価値が著しく低いもので
あった。そこで、本発明は、通気性、透湿性、感触、強
度、生産安定性に優れ、かつ、透明性を有した通気性フ
ィルムを提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
[発明の概要]本発明者らは、上記問題点に鑑みて鋭意
研究を重ねた結果、従来の技術に無い全く新しいユニー
クな思想に基づきなされたもので、フィルムの厚み方向
に、貫通したクレーズを形成させることによって通気性
を付与することができるとの知見に基づき本発明を完成
するに至ったものである。すなわち、本発明の通気性フ
ィルムは、高分子樹脂フィルムに縞状クレーズ領域を設
けたことを特徴とするものである。本発明のもう一方の
発明である通気性フィルムの製造方法は、緊張状態に保
持された高分子樹脂フィルム面に、該高分子樹脂フィル
ムの分子配向方向と略平行方向に先端部が鋭角な支持体
を当接して、該フィルムを局部的に折り曲げ、その折り
曲げ変形域を、該高分子樹脂フィルムに対して相対的に
移動させることにより、移動方向と略直角の方向に連続
的な縞状のクレーズ領域を形成させることを特徴とする
ものである。
【0006】[発明の具体的説明] [I] 通気性フィルム (1) 高分子樹脂フィルム (a) 素 材 本発明の通気性フィルムにおいて高分子樹脂フィルムの
素材として使用される高分子樹脂としては、フィルム或
いはシートの成形が可能な熱可塑性樹脂であれば特別に
制限されるものではない。その様な熱可塑性樹脂として
は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、スチ
レン系樹脂、ポリカーボネート、ハロゲン含有熱可塑性
樹脂、ニトリル樹脂等を挙げることができる。これらの
熱可塑性樹脂の中でも、フィルムやシートへの成形性や
経済性の観点から、ポリオレフィン、ポリエステル、ス
チレン系樹脂、ハロゲン含有熱可塑性樹脂を使用するこ
とが好ましく、中でもポリオレフィン、スチレン系樹
脂、ハロゲン含有熱可塑性樹脂を使用することが好まし
い。これらの熱可塑性樹脂は、高分子樹脂フィルムに透
明性を損なわない範囲で、単独で用いても、複合して組
成物として用いても、或いは、別の高分子樹脂をブレン
ドしたりしても良く、更には二種以上の樹脂を多層化し
て用いても良い。また、クレーズの形成の容易さから、
該熱可塑性樹脂のガラス転移温度が−45℃以上、好ま
しくは−30℃以上、特に好ましくは−15℃以上の樹
脂を使用することが望ましい。組成物として使用すると
きや多層化して使用するときは、主な構成成分である熱
可塑性樹脂のガラス転移温度が上記範囲内にあることが
好ましい。これより低いガラス転移温度を示す熱可塑性
樹脂の場合は、柔軟過ぎるためにクレーズの効率的な形
成が難しい。
【0007】ポリオレフィン 上記ポリオレフィンとしては、α−オレフィンの単独重
合体又は他のα−オレフィン及び/又はα−オレフィン
を主成分として、他のエチレン性不飽和単量体との共重
合体である。ここで共重合体とはブロック、ランダム、
グラフト等或いはこれらの複合物でも良い。該エチレン
性不飽和単量体としては、例えば、メタクリル酸、メタ
クリル酸メチル、マレイン酸等の不飽和カルボン酸又は
無水物等を挙げることができる。有用なポリオレフィン
の具体例としては、低密度分岐ポリエチレン、高密度線
状ポリエチレン、低密度線状ポリエチレン、アイソタク
チックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピ
レン、ポリ(1−ブテン)、ポリ(4−メチル−1−ペ
ンテン)等を挙げることができる。
【0008】ポリアミド ポリアミドとしては、芳香族又は/及び脂肪族アミド基
を有する繰り返しユニットを必須成分として含む縮合生
成物である。有用なポリアミドとしては、ナイロン−
4、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−4,
6、ナイロン−12、非晶性ナイロン等を挙げることが
できる。中でも、好ましいポリアミドは、ナイロン−
6、ナイロン−6,6、非晶性ナイロンである。
【0009】ポリエステル ポリエステルとしては、例えば、その一つとして、通常
の方法に従って、ジカルボン酸又はその低級アルキルエ
ステル、酸ハライド若しくは酸無水物誘導体とグリコー
ル又は二価フェノールとを縮合させて製造した熱可塑性
ポリエステルを挙げることができる。これらポリエステ
ルの中でも飽和ポリエステル、特にポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリナフタレ
ンテレフタレートを使用することが好適である。
【0010】スチレン系樹脂 スチレン系樹脂としては、ビニル芳香族化合物の重合体
であり、該ビニル芳香族化合物の具体例としては、スチ
レン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ビニ
ルトルエン、ビニルキシレン等を挙げることができ、ス
チレン系樹脂は、これらビニル芳香族化合物のホモポリ
マー及び共重合体である。これらの中でもポリスチレン
が好ましく、更に、ゴムグラフトポリスチレン(HIP
S)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合
体を用いることが好適である。
【0011】ポリカーボネート ポリカーボネートは、芳香族ポリカーボネート、脂肪族
ポリカーボネート、脂肪族・芳香族ポリカーボネート等
を挙げることができる。これらの中でも、2,2−ビス
(4−オキシフェニル)アルカン系、ビス(4−オキシ
フェニル)エーテル系、ビス(4−オキシフェニル)ス
ルフォン、スルフィド又はスルフォキサイド系のビスフ
ェノール類からなる芳香族ポリカーボネートを用いるこ
とが好適である。
【0012】ハロゲン含有熱可塑性樹脂 ハロゲン含有熱可塑性樹脂は、テトラフルオロエチレ
ン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエ
チレン、ビニリデンフルオライド、ビニルフルオライド
等のホモ重合体及び共重合体を挙げることができる。こ
の他にも、ビニリデンクロライドから導かれたホモ重合
体及び共重合体を挙げることができる。これらの中でも
好ましいハロゲン含有熱可塑性樹脂は、ポリ弗化ビニリ
デンのホモ重合体及びテトラフルオロエチレン、ヘキサ
フルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレンとの
共重合体並びビニリデンクロライドを挙げることができ
る。
【0013】ニトリル樹脂 ニトリル樹脂としては、α,β−オレフィン系不飽和モ
ノニトリルを50重量%以上含むものである。これらの
不飽和モノニトリルの中でも、アクリロニトリル及びメ
タクリロニトリル及びそれらの混合物を使用することが
好ましい。
【0014】(b) フィルム又はシート成 形 上記熱可塑性樹脂を用いて得られる高分子樹脂フィルム
又はシートは、その製造方法において特別な制約はな
く、各種の成形方法を適用することにより得ることがで
きるが、一般に広く行なわれているTダイ押出成形法や
ブローアップを行なうインフレーション成形法を適用し
て得られたものが工業的には有利である。 厚 み また、高分子樹脂フィルムの厚みは、一般に0.5〜
1,000μm、好ましくは1〜800μm、特に好ま
しくは2〜500μmのものが使用される。
【0015】(c) 配 向 上記高分子樹脂フィルムは、配向度が、複屈折率で0.
5×10-3以上、好ましくは1×10-3以上、特に好ま
しくは1.5×10-3以上にある分子配向度を有するこ
とが、クレーズの形成には有効である。この複屈折率が
上記範囲外の分子配向を有するフィルムでは、目的とす
るクレーズを容易に形成され難い。配向度は、該フィル
ムの成形時の、樹脂温度、引き取り速度、冷却速度、樹
脂の分子量、分子量分布、タクティスティ等の分子構造
を、特にTダイ法であればドロー比を、特にインフレー
ション法であればブローアップ比を、等を変えることに
より制御することができるので、これらを適当に制御し
て目的とする好ましい範囲の配向度のフィルムを製造す
ることができる。ここで言う複屈折率とは、主屈折率間
の差として表現されるもので、例えば、フィルムの成形
方向の屈折率(n1)とそれと直角方向の屈折率(n
2)の差(n1−n2)であり、分子配向の程度を表現
するインデックスの一つである。これら複屈折率は、実
際には、偏光顕微鏡とコンペンセーターを用いることに
より測定することができ、この値が大きいほど異方性が
大きくなり、クレーズが生じ易くなる。
【0016】(2) 縞状クレーズ領域 (a) クレーズの形状 本発明の通気性フィルムには、縞状のクレーズ領域が設
けられている。該縞状のクレーズは、基本的に、高分子
樹脂フィルムの分子配向の方向と略平行に、幅が一般に
0.5〜100μm、好ましくは1〜50μmのもので
ある。この縞状クレーズが、フィルムの厚み方向に貫通
しているクレーズの数の割合が全クレーズの数に対して
10%以上、好ましくは20%以上、特に好ましくは4
0%以上必要であり、貫通している割合が上記範囲未満
であると十分な通気性が得られ難くなる。該クレーズを
分子配向の方向と略平行の方向に形成するのは、分子鎖
の配向の方法と直角の方向に引っ張ることによってクレ
ーズが形成され、分子鎖の配向の方法と直角の方向にク
レーズを形成することが難しいからである。ここで言う
クレーズとは、高分子樹脂フィルムの表面に現れる表面
クレーズと内部に発生する内部クレーズを含むものであ
って、微細なひび状の模様を有する領域を言う。このク
レーズは分子束(フィブリル)とミクロボイドから構成
されており、この部分で各種ガスの通気性が生じること
になる。
【0017】(b) クレーズの量 上記クレーズは高分子樹脂フィルムに形成されるクレー
ズは、一般に0.1〜1,000μm、好ましくは1〜
800μmの間隔で形成され、縞状の領域として認識で
きる程度の量である。
【0018】(3) 通気性フィルムの性能 上記の様な通気性フィルムは、用いる樹脂の種類により
異なるが、例えばポリ弗化ビニリデンのホモ重合体を用
いると、酸素及び窒素ガスのガス透過度で一般に0.3
〜100,000×104 cm3 /m2 ・24hr・a
tmの範囲内のものに、透湿度で一般に10〜100,
000×104 g/m2 ・24hrの範囲内のものに、
透明性が一般に1〜99.5ヘイズ、好ましくは2〜9
0ヘイズ、特に好ましくは5〜80ヘイズの範囲内のも
のに、引張強度で一般に50〜500kg/cm2 、好
ましくは60〜500kg/cm2 、特に好ましくは7
5〜500kg/cm2 の範囲内のものにすることがで
きる。
【0019】[II] 通気性フィルムの製造 (1) 縞状のクレーズ領域の形成 (a) 製造法 本発明の通気性フィルムを製造するには、上記高分子樹
脂フィルムを引っ張って緊張状態に保持し、この高分子
樹脂フィルムの表面に先端部が鋭角な支持体を該高分子
樹脂フィルムの分子配向方向と略平行に当接して、該フ
ィルムを局部的に折り曲げ、その折り曲げ角度が140
度以下、好ましくは120度以下の変形域とし、該フィ
ルム中にクレーズの帯を形成した後、該高分子樹脂フィ
ルムを順次相対的に徐々に移動させることにより、移動
方向と略直角の方向に連続的な縞状のクレーズ領域を形
成させるものである。上記通気性フィルムを製造するの
に用いられる高分子樹脂フィルムは、前記複屈折率の範
囲で表わされる配向度、並びに、ガラス転移温度が上記
範囲の熱可塑性樹脂が使用される。また、高分子樹脂フ
ィルムを緊張状態に保持するよう1kg/cm2 以上の
張力で引っ張って、その表面に先端部が鋭角な支持体を
該高分子樹脂フィルムの分子配向方向と略平行に当接し
て、該フィルムを折り曲げ角度140度以下、好ましく
は120度以下にて局部的に折り曲げる。そして、該フ
ィルム中にクレーズの帯を形成した後、該高分子樹脂フ
ィルムを上記クレーズの縞の間隔で順次相対的に徐々に
移動させることにより、縞状のクレーズ領域を形成させ
ることができる。このときに、上記折り曲げ角度が大き
いほど、又、引っ張り張力の大きいほど、全クレーズに
対するフィルムの厚み方向に貫通しているクレーズの割
合が多くなり、通気性の良好なフィルムが得られ易い。
しかし、クレーズの幅が大きすぎるとフィルムが破断し
易くなる。
【0020】(b) 製造装置 上記クレーズを形成させるための具体的な製造方法とし
ては、例えば、図1に示す様な、先端部が鋭角な部分を
有する支持体2と折り曲げ押圧部3と引張機(図示せ
ず)からなる基本的な構成装置によって製造することが
できる。すなわち、緊張状態に保持された高分子樹脂フ
ィルム1の表面に、先端部2aが鋭角(50度以下がク
レーズ生成の観点から好ましい)な支持体2を分子配向
方向と略平行に当接して、該フィルム1を矢印αの方向
に引っ張って局部的に折り曲げ、その折り曲げ角度θが
140度以下、好ましくは120度以下、特に好ましく
は110度以下となる様な屈曲変形域を形成して、該フ
ィルム中にクレーズ4を形成した後、該高分子樹脂フィ
ルム1を矢印αの方向に相対的に徐々に移動させること
により巻き取って、移動方向と略直角の方向に連続的な
縞状のクレーズ領域を形成させることができる。この操
作は、効率の面から一般的には室温で行なうが、場合に
よっては低温で行なっても良い。この折り曲げ角度θは
基本的には制限はないが、クレーズ4の生成の容易さか
ら、140度以下、好ましくは120度以下、特に好ま
しくは110度以下である。この操作は、効率の面から
一般的には室温で行なうが、場合によっては低温で行な
っても良い。
【0021】(2) 通気性の機能 本発明の通気性樹脂フィルムは、上記縞状のクレーズを
有していることから、通気性、透湿性の機能を有してい
る。その機構は、図2に示す如く、縞状に形成されたク
レーズ4が、フィルムやシートの厚み方向を貫通するこ
とにより、酸素や窒素或いは水蒸気等の気体5がこのク
レーズ帯域を拡散することにより通過して通気性が発現
する。更に、クレーズ中に存在するボイドが光の波長に
比べて顕著に小さいため、光の散乱は起こらず、従っ
て、充填剤を添加した樹脂組成物を延伸して細孔を設け
た従来技術における通気性フィルムが不透明であるのに
対して、本発明の通気性フィルムは透明性を損なわずに
通気性を付与した点に最大の特徴を備えたものである。
【0022】(3) 通気性の調節 上記本発明の通気性樹脂フィルムの通気性の程度は、高
分子樹脂フィルム中に形成されたクレーズの幅、クレー
ズ間の隔たり、クレーズの貫通された数の割合を変える
ことで調節することができる。具体的には、高分子樹脂
フィルムの分子配向の度合いやクレーズを形成させる時
の温度、高分子樹脂フィルムの緊張度(緊張状態におけ
る張力)、フィルムの折り曲げ角度等を調節すること
で、容易に通気性をコントロールすることができ、使用
目的に応じた通気性フィルムを提供することができる。
例えば、クレーズを形成させる時の緊張度を増大させた
り、折り曲げ角度を小さくすると、生成するクレーズの
間隔は小さくなり、クレーズの貫通された数の割合が増
大し、その結果、通気性は増大する。この様なクレーズ
の幅、クレーズ間の隔たり、貫通されたクレーズの割合
を変えることで調節された通気性樹脂フィルムは、前記
酸素及び窒素ガスのガス透過度、透湿度、透明性、引張
強度等をコントロールすることができる。
【0023】
【実施例】以下に示す実験例によって本発明を更に具体
的に説明するが、本発明はこれら実験例によって限定さ
れるものではない。 [I] 評価方法フィルムの複屈折率: 製膜したフィルムから小片を切り
出し、日本光学工業(株)製の偏光顕微鏡(X−PO
L)とセナルモンコンベンセーターを用い、フィルムの
成形方向とそれと直角の方向の屈折率の差を複屈折率と
して測定した。クレーズの形状: クレーズを形成したフィルムから小片
を切り出し、日本光学工業(株)製の生物顕微鏡(X
F)を用いて観察した。また、クレーズの貫通の割合は
クレーズを生成させたフィルムの断面を観察して全クレ
ーズに対する厚みを貫通しているクレーズの比率、すな
わち、分割割合を求めた。気体透過率試験: JIS−K7126に準拠し、差圧法
により、酸素及び窒素ガスのガス透過度をcm3 /m2
・24hr・atmの差でもとめた。透湿性試験: JIS−K7129に準拠し、g/m2
24hrの単位で求めた。透明性の変化: JIS−K6714に準じ、積分球式透
過率測定装置(東洋精機(株)製)により、全透過光線
量と拡散光線量を測定し、クレーズ生成前後におけるヘ
イズの変化を測定した。フィルムの引張強度: JIS−Z1702に準拠し、イ
ンストロン引張試験機を用いて引張試験を行ない、破断
点強度を求めた。
【0024】[II] 使用材料 分子量の異なるポリプロピレンホモポリマー(PP−
1、PP−2、PP−3)、ゴムグラフトポリスチレン
(PS)、ポリ弗化ビニリデン(PVDF)を用いた。
これら各ポリマーの物性等の詳細な説明事項を表1に示
した。
【0025】[III] 製 膜 フィルムは、表1に示した各ポリマーを35mm径のT
ダイを備えた押出機を用い、樹脂温度を表2に示した温
度に設定し、溶融成形して製膜した。作成されたフィル
ムの特性を表2に示す。
【0026】[IV] 実験例 実施例1〜10 実施例1〜9は、表2に示したフィルムを用いて、図1
に示した装置を用い、クレーズを折り曲げ角度(θ)1
40度として形成した通気性フィルムを製造した結果で
あり、その構造並びに物性を評価した結果を表3に示
す。実施例5及び実施例8のクレーズを形成させた後の
フィルムを、日本光学社製の生物顕微鏡(XF)で観察
した結果を図3(実施例5)及び図4(実施例8)とし
て示す。図3及び図4からフィルムの配向方向と略平行
の方向にクレーズが形成されているのが観察された。実
施例10は、折り曲げ角度(θ)を120度とし、これ
を2回繰り返す以外は実施例9と同様に行なった。な
お、フィルム1の配向方向と支持体2との関係は、図1
で示す様に、樹脂フィルムの分子配向方向と略直角の方
向に張力をかけ、この方向に支持体を移動させたもので
ある。表3から理解できる様に、クレーズを形成したフ
ィルムは、該クレーズを形成させる前のフィルムや、ク
レーズを形成させてもその貫通するクレーズの数が含ま
れている割合が小さいフィルムに比較して、気体透過性
の非常に大きなフィルムとしたり、小さな気体透過性を
示すフィルムとしたり、広範囲に変化させることができ
る。従って、その用途や目的に合った気体透過性を示す
通気性フィルムを簡便に製造することができ、更に、該
通気性フィルムは従来のフィルムのように透明性を損な
うことがない。これらのフィルムの透水性を測定するた
め、濾紙の上にフィルムを載せ、該フィルムの上に水滴
を1滴落として、この水滴がフィルムを通過して、濾紙
にどの程度吸収されるのかを観察したが、いずれのフィ
ルムにおいても通水することはなかった。
【0027】比較例1〜5 表4に比較例1〜5を示す。なお、比較例1〜3は、実
施例5、6及び9のクレーズ形成前のフィルムの物性値
を示したものである。また、比較例4は、フィルムの分
子配向が不足しているため、クレーズの形成は起こら
ず、比較例5はクレーズの形成は確認されたものの、そ
の貫通率が極めて小さく、気体透過性の向上は殆ど観察
されなかった。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
【発明の効果】本発明の通気性を有する高分子樹脂フィ
ルム或いはシートは、充填剤を添加することなく、ま
た、特別な成形加工を施すことなく、また、樹脂の種類
に限定されることなく、非常に簡単な方法で通気性を有
する高分子樹脂フィルム或いはシートを製造することが
できる。更に、従来技術の通気性フィルムと比較して、
非常に安価で製造することができ、かつ通気性や透湿性
が任意にコントロールすることが延伸フィルムのような
ゴワゴワ感もなく透明性が失われることなく、非常に高
性能な通気性フィルムを得ることができるものである。
本発明の通気性フィルムは、通気性、透湿性、感触、強
度、生産安定性に優れ、かつ、透明性を有したものであ
り、生鮮食料包装材料、医療材料、医療材料、衛生材料
等の多方面での応用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の通気性フィルムにおいて、ク
レーズを形成させるための具体的な製造装置の概略図で
ある。
【図2】図2は、本発明の通気性フィルムが、通気性を
発現することができる理由を説明するための説明図であ
る。
【図3】図3は、実施例5にて製造された本発明の通気
性フィルムのポリマー結晶中のクレーズの構造を表わす
写真(200倍)である。
【図4】図4は、実施例8にて製造された本発明の通気
性フィルムのポリマー結晶中のクレーズの構造を表わす
写真(200倍)である。
【符号の説明】
1 高分子樹脂フィルム 2 支持体 2a 先端部 3 折り曲げ押圧部 4 クレーズ 5 気体 6 クレーズ形成フィルム(通気性フィルム) 7 通気性高分子樹脂フィルム製造装置 8 螺子 9 スプリング α 矢印 θ 折り曲げ角度
フロントページの続き (72)発明者 三 輪 實 岐阜県岐阜市柳戸1番1 岐阜大学 工学 部内 (72)発明者 武 野 明 義 岐阜県岐阜市柳戸1番1 岐阜大学 工学 部内 (72)発明者 佐 野 博 成 三重県四日市市東邦町1番地 三菱油化株 式会社四日市総合研究所内 (72)発明者 池 畑 富美代 三重県四日市市東邦町1番地 三菱油化株 式会社四日市総合研究所内 (72)発明者 阿 部 桂 三 三重県四日市市東邦町1番地 三菱油化株 式会社四日市総合研究所内 (72)発明者 小 津 孝 弘 三重県四日市市東邦町1番地 三菱油化株 式会社四日市総合研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高分子樹脂フィルムに縞状クレーズ領域を
    設けたことを特徴とする通気性フィルム。
  2. 【請求項2】高分子樹脂フィルムが複屈折率で0.5×
    10-3以上の範囲を示す分子配向のものであり、かつ、
    縞状のクレーズが該分子配向方向と略平行に設けられて
    いる請求項1に記載の通気性フィルム。
  3. 【請求項3】縞状クレーズが、フィルムの厚み方向に貫
    通している数の割合が、全クレーズの数の10%以上で
    ある請求項1に記載の通気性フィルム。
  4. 【請求項4】緊張状態に保持された高分子樹脂フィルム
    面に、該高分子樹脂フィルムの分子配向方向と略平行方
    向に先端部が鋭角な支持体を当接して、該フィルムを局
    部的に折り曲げ、その折り曲げ変形域を、該高分子樹脂
    フィルムに対して相対的に移動させることにより、移動
    方向と略直角の方向に連続的な縞状のクレーズ領域を形
    成させることを特徴とする通気性フィルムの製造方法。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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