JPH07256123A - 実験室用冷蔵庫、特に低温孵化器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 利用空間を取り囲む内殻（１０）が、外殻
（２０）により取り囲まれている効率のよい低温孵化器
を提供する。 【構成】 利用空間の空気は内殻（１０）と外殻（２
０）との間に形成された側室（２６）を循環し、内殻
（１０）の側壁（１８）にある空孔（３８）を通って、
利用空間内に再流入する。循環空気を調節するために、
側室（２４）内に加熱体（４４）が、また外殻（２０）
の側壁（２４）の外側にラビリンス式気化板（４６）が
配置される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【技術分野】本発明は実験室用冷蔵庫、特に請求項１の
概念に適合した循環空気調節器付き低温孵化器に係るも
のである。

【０００２】

【背景技術】既知のこの種の低温孵化器では、利用空間
の空気が内殻と外殻の間に形成された側室を通って、送
風機により循環する。空気調節のために、側室内には一
方で加熱体が、他方では冷却集合体の気化器が配置され
ている。気化器は空気循環式の薄箔気化器に類した構成
である。薄箔気化器の薄箔は熱交換表面積が広いから、
循環空気の冷却効果を強化し得る。薄箔を過密に配置す
ると清掃が困難で、低温孵化器で処理された生物質が封
じ込まれた場合に特に問題となることがある。その他、
鋭角の薄箔は清掃に際して傷害の危険を生ずる。薄箔気
化器の内管上には特に凝縮が生じ易いから、循環空気の
除湿には具合が悪い。薄箔気化器では、熱容量が比較的
低値に過ぎないから、その温度変動が激しく、更に利用
空間の空気温度を時間的にも空間的にも不正確なもとす
る。

【０００３】利用空間内の空気の除湿を避けるために、
利用空間を密閉外皮で取り囲み、その中で空気を調節し
循環せしめる（低温孵化器 ＢＫ ６１６０ Ｈｅｒａ
ｅｕｓ社）が知られている。この場合利用空間と外皮と
の間では空気の交流が起こらないから、利用空間の空気
も又冷却集合体の気化器と直接接触せず、殆ど除湿され
ない。

【０００４】この既知の低温孵化器の場合、利用空間を
取り囲む外皮内の空気のみが直接に調節される。利用空
間内の空気は、外皮内の空気との熱交換のみによって、
内殻の壁を通して調節される。これは気化器または加熱
体と利用空間との間のエネルギー移行が良くないことを
意味しており、従って利用空間内での温度制御が緩慢に
なる。低温孵化器の扉を開けると回復に長時間を要する
から、安定した温度条件下で低温孵化器内に貯蔵物を保
つことは不可能である。

【０００５】

【発明の開示】本発明の基礎となる課題は実験室用冷蔵
庫、特に低温孵化器に関するもので、利用空間の空気に
有効な冷却と軽い除湿及び高い温度精度と安定性を賦与
することである。先ず前記の発明に適合した種類の実験
室用冷蔵庫、特に低温孵化器に就いて、この課題は請求
項１の特徴部分により解決される。請求の背景に基づ
き、発明の有効な実施法に就いて述べる。

【０００６】発明の基本概念は、利用空間の空気を調節
するために、内殻と外殻の間に形成された側室を循環す
る低温孵化器に関するもので、冷却集合体の気化器が平
坦なラビリンス式気化板の形で外殻の外側に設備されて
いる。側室内を循環する空気は、広い面積で気化板と熱
接触し、直立する外殻に沿って流れるから、結果的に良
好な熱移行と広い熱交換表面が得られる。広い熱交換表
面及び良好な熱移行の故に、循環空気と気化器との間の
温度差が比較的僅かでも、所要のエネルギー移送には充
分である。従って、循環空気と接触する外殻の内側での
露点低下は生じないから、循環空気は極めて僅かしか除
湿されない。気化板は大容積で大熱容量を有している。
それ故、熱交換表面の温度変動が結果的に極めて僅かと
なり、従って空気温度の高精度と安定性が得られる。

【０００７】内側を角落としして作られた外殻の外側に
はラビリンス式気化板が配置されているから、内殻を取
り出せば外殻を簡単且つ適切に清浄することが出来る。
有効に実施するために、ラビリンス式気化板は外殻の外
側に溶接された薄板から構成されている。従って、外殻
自体が気化板の内側板を形成している。これにより、製
造コストが低減すると同時に特に側室に流入した循環空
気から気化器へ、最適の熱移行が達成される。

【０００８】有効な実施法として、低温孵化器は、気化
板を別とすれば、その他は基本的にＤＥ ４１ １６
５００ Ａｌ製冷蔵庫用として既知のものと類似の構成
である。この実施に際しては、循環空気は内殻側壁の空
孔を通って利用空間に入り込む。ラビリンス式気化板は
外殻の側壁に設置されている。そのために内殻側壁の空
孔を覆う空気導板が備えられているから、空気が内殻側
壁の空孔に到達し利用空間に流入する前に、全ての循環
空気は側室内に配置された加熱体及び気化板に沿って流
れざるを得なくなる。従って、場所を取らず充実した構
成で、利用空間に環流する循環空気の全量が加熱体と気
化装置の熱交換器表面の傍を完全に流れる筈で、同様な
方式で調節される。側壁に設置された気化板に加え、更
に広い気化板を外殻の底部の外側に準備するか、或いは
また気化板を一つだけ底部の外側に備える事も勿論可能
である。

【０００９】

【実施例】次に図面に示した実施例により、本発明を詳
細に説明する。低温孵化器には利用空間を取り囲み、角
隅部を角落としした直方体形状の特殊鋼製内殻（１０）
がある。内殻（１０）は底部（１２）、天井（１４）、
背壁（１６）及び側壁（１８）から成っている。前面側
は開いており、そこから利用空間が拡がっている。特に
同様に特殊鋼で作られた外殻（２０）が内殻（１０）の
底部と側壁をＵ字形に取り囲んでいる。外殻（２０）の
底部（２２）及び側壁（２４）は内殻（１０）の底部
（１２）若しくは側壁（１８）から距離を置いており、
従って内殻（１０）と外殻（２０）の間に、内殻（２
０）をＵ字形に取り囲む側室（２６）が形成されてい
る。側室（２６）は前正面が閉じられている。内殻（１
０）の背壁（１６）の後に前室（２８）が配置されてお
り、側室（２６）の後正面も閉じられている。

【００１０】外殻（２０）は断熱材（３０）で取り囲ま
れている。外箱（３２）は低温孵化器全体を取り囲んで
いる。低温孵化器の前面側は断熱扉（３４）で閉じられ
ている。前室（２８）内の、内殻（１０）背壁（１６）
の空孔の後方には、送風機（３６）が配置されている。
前室（２８）は、内殻（１０）の底部（１２）の下方に
ある側室（１２）の領域に向かって開いている。内殻
（１０）の側壁（１８）内にはラスター状に分布した空
孔（３８）が準備され、側室（２６）と利用空間の間を
結んでいる。内殻（１０）の側壁（１８）の外側に、空
気導板（４０）が側壁（１８）と平行に、間隔を置いて
設置されることがある。空気導板（４０）は、その角隅
部及び両垂直側縁部で、側壁（１８）とかしめ付けされ
ているから、空気導板（４０）と側壁（１８）との間
で、流入間隙（４２）が時折開放状態になるのは、空気
導板（４０）の上縁部だけになる。

【００１１】送風機（３６）は利用空間の空気を循環さ
せる。これに加え、送風機（３６）は空気を内殻（１
０）の利用空間から前室（２８）に吸い込む。循環空気
は前室（２８）から側室（２６）の底部領域に入り、底
部領域から内殻（１０）の両側にある側室（２６）の上
方に向かって流れる。側室（２６）の上方ではその後、
側壁（１８）と空気導板（４０）との間にある流入間隙
（４２）を通って循環空気が進入し、空孔（３８）を通
って内殻（１０）の利用空間に到達する。側室（２６）
には電気加熱体（４４）が配置され、特に蛇行しながら
側室（２６）の底部領域を通り、両側の垂直側部領域に
伸びている。

【００１２】外殻（２０）外壁（２４）の外側に、余分
なものは何も付いていない冷却集合体のラビリンス式気
化板（４６）が配置されている。気化板（４６）は側壁
（２４）の全面積、或いは少なくとも出来るだけ広い側
壁（２４）の表面領域に拡がる。気化板（４６）は内側
板としての外殻（２０）側壁（２４）及び外側板として
の側壁（２４）外部に溶接された薄板（４８）から構成
される。側壁（２４）に対応する矩形の薄板（４８）
は、その縁を環状に走るロール溶接線（５０）により側
壁（２４）と密着、接合している。気化板（４６）の垂
直な背面角隅部の上部と下部には継ぎ板がシール溶接さ
れ、気化冷媒の供給及び誘導に供されている。

【００１３】気化器の冷却媒体を出来るだけ均一に気化
板（５６）の全表面に分散せしめる為に、幅広の水平な
ロール溶接線（５４）が作られ、図３から明らかな様
に、薄板（４８）の垂直な背面角隅部及び垂直な前面角
隅部から出発し、反対側の角隅部に置かれたロール溶接
線（５０）の近く迄交互に伸びる。水平方向のロール溶
接線（５４）は薄板（４８）と側壁（２４）とを密着、
接合しているから、気化冷媒用の蛇行状ラビリンス通路
は、結果的に上部及び下部継ぎ板（５２）の間を通る。
また、この蛇行状の通路の領域内の気化冷媒を、側壁
（２４）表面上に更に均一に分布せしめるために、薄板
（４８）に追加のホブ孔（５６）を備える事も可能で、
図３の薄板（４８）の右上隅部に示す様に、均一なラス
ター状で薄板（４８）に分布している。このホブ孔（５
６）の領域内で、薄板（４８）は側壁（２４）と境を接
しており、また場合によっては、このホブ孔（５６）の
領域内で側壁（２４）と点溶接する事によっても接合可
能である。

【００１４】利用空間の循環空気は、調節のために側室
（２６）を送風機（３６）により環流する。その際、循
環空気が流入間隙（４２）及び空孔（３８）を通り内殻
（１０）の利用空間に再び到達する以前に、全部の側室
（２６）内を循環する循環空気の全量が、加熱体（４
４）の全長及び側壁（２４）により形成された気化板
（４６）の熱交換全表面に沿って完全に流れる必要があ
る事を、空気導板（４０）が保証する。

【図面の簡単な説明】

【図１】図２の線分１−１に対応する垂直断面におけ
る、低温孵化器の内殻及び外殻の正面図を示す。

【図２】図１の線分２−２に対応する水平断面を示す。

【図３】低温孵化器の側面図を示す。但し、外箱及び断
熱材は省略した。

【図４】外殻を一部取り外して見た内殻及び外殻の俯瞰
図を示す。

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【手続補正書】

【提出日】平成７年４月６日

【手続補正１】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】全図

【補正方法】変更

【補正内容】

【図１】

【図２】

【図３】

【図４】

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 空気を送風機により利用空間から排出
   し、内殻と外殻との間に形成された側室内で調節し、内
   殻壁の空孔を通って利用空間に再導入せしめる様に、利
   用空間を取り囲む内殻とその内殻を取り囲む外殻、並び
   に循環空気気化器を取り付けた冷却集合体を有し、少な
   くとも１個の平面状気化板（４６）を備え、その領域内
   に外殻（２０）の外側と面接触して熱伝導する側室（２
   ６）が配置され、且つ外殻（２０）と外殻（２０）の外
   側を通って溶接された薄板（４８）から構成されること
   を特徴とする実験室用冷蔵庫、特に循環空気調節器付き
   低温孵化器
2. 【請求項２】 気化板（４６）がラビリンス式気化板と
   して形成されることを特徴とする請求項１に記載の実験
   室用冷蔵庫。
3. 【請求項３】 循環空気が内殻の利用空間に備えられた
   空孔（３８）に到達する以前に、側室（２６）内の循環
   空気の全量が気化板（４６）の熱交換表面に沿って導か
   れることを特徴とする請求項１に記載の基づく実験室用
   冷蔵庫。
4. 【請求項４】 空孔（３８）が内殻（１０）の側壁（１
   ８）に配置されていること、外殻（２０）の対応する側
   壁（２４）の外側に気化板（４６）が配置されているこ
   と、及び空孔（３８）が内殻（１０）の側壁（１８）に
   平行に間隔を置いて配置された空気導板（４０）により
   遮断された時でも、これと側壁（１８）との間にある導
   板（４０）の下流側端部付近の循環空気流だけに循環空
   気が流入し得ることを特徴とする請求項３に記載の実験
   室用冷蔵庫。
5. 【請求項５】 内殻（１０）にも外殻（２０）にも接触
   しない様に、側室（２６）内に加熱体（４４）が配置さ
   れることを特徴とする請求項１に記載の実験室用冷蔵
   庫。
6. 【請求項６】 側室（２６）内の加熱体（４４）が空気
   導板（４０）と外殻（２０）との間に伸びていることを
   特徴とする請求項４又は５に記載の実験室用冷蔵庫。
7. 【請求項７】 薄板（４８）の外周と外殻（２０）と
   が、回転ロール溶接線（５０）により、密着、接合して
   いることを特徴とする請求項１に記載の実験室用冷蔵
   庫。
8. 【請求項８】 蛇行しながら噛み合ったロール溶接線
   （５４）により、内面の薄板（４８）が外殻（２０）と
   接合していることを特徴とする請求項２又は７に記載の
   実験室用冷蔵庫。
9. 【請求項９】 ロール溶接線（５０，５４）間の領域内
   の薄板（４８）が、ラスター状に分布したホブ孔（５
   ６）と外殻（２０）に境を接していることを特徴とする
   請求項８に記載の実験室用冷蔵庫。