JPH07252605A - 切削性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼 - Google Patents
切削性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼Info
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- JPH07252605A JPH07252605A JP4006094A JP4006094A JPH07252605A JP H07252605 A JPH07252605 A JP H07252605A JP 4006094 A JP4006094 A JP 4006094A JP 4006094 A JP4006094 A JP 4006094A JP H07252605 A JPH07252605 A JP H07252605A
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Abstract
を有するフェライト系ステンレス鋼を提供する。 【構成】 重量%で、C:0.02%以下、Si:0.
5%以下、Mn:1%以下、S:0.05〜0.2%、
Cr:17〜25%、Mo:1.5〜2.5%、N:
0.02%以下、Ti:0.1〜0.2%、Nb:0.
1〜0.3%を含み、残部がFeおよび不可避不純物か
らなるフェライト系ステンレス鋼。 【効果】 Niの不添加が望まれる時計部品などの切削
性と耐食性が要求される用途に好適である。
Description
たフェライト系ステンレス鋼に関するものである。
鋼は安価であり、塩化物環境において応力腐食割れに免
疫であることから、化学プラントや家電製品から建築内
外装品に幅広く使用されている。また、近年、腕時計部
品にみられるように、Niアレルギーの問題からフェラ
イト系ステンレス鋼が望まれている。この時計部品を例
にとると、切削性と耐食性に加えて軟質であることが要
求され、その品質レベルは現在使用されているオーステ
ナイト系ステンレス鋼のSUS316Fと同等以上であ
る事が望まれている。
性を向上させるには、CrおよびMo量の増加が有効で
あり、更に溶接部の耐食性を向上させるにはCとNの低
減やTiやNb等のC,Nの安定化元素を添加すること
が有効であることが知られている。また、切削性を向上
させる方法には、Sを中心にPb,Se,Te添加が有
効であることが知られている。
ェライト系ステンレス鋼については、特開昭55−12
2857号公報、特開昭57−50377号公報、特開
昭63−86848号公報、特開平1−42557号公
報および電気製鋼第49巻第33号(1979.7)に
おいて開示されているが、これらには以下の問題点があ
る。
法ではTiやNbが添加されていないために、溶接部の
耐食性が十分でなく用途が限定されること、特開平1−
42557号公報に開示された方法では、SUS316
Fと同等以上の耐食性が得られなく、有害なPbが添加
されているなどの問題がある。
ステンレス鋼の特徴を損なうこと無く、SUS316F
と同等以上の切削性と耐食性を有し、かつ溶接部の耐食
性も兼ね備えたフェライト系ステンレス鋼を提供するも
のである。
決するフェライト系ステンレス鋼について鋭意研究を行
った結果、達成したものであり、その要旨とするところ
は、重量%で、C :0.02%以下、 Si:
0.5%以下、Mn:1%以下、 S :
0.05〜0.2%、Cr:17〜25%、 M
o:1.5〜2.5%、N :0.02%以下、
Ti:0.1〜0.2%、Nb:0.1〜0.3%を含
み、残部がFeおよび不可避不純物からなる高耐銹性フ
ェライト系ステンレス鋼にある。
成分についてに説明する。CrおよびMoは海塩粒子や
汗などに含まれる塩素イオンに対する耐孔食性を高めて
耐食性を向上させるのに有効な元素であり、これらの量
を高めるほど耐食性が向上する。一方、フェライト系ス
テンレス鋼に限らず、切削性向上のためにSを添加する
と耐食性が劣化することが知られており、S添加鋼にお
いては耐食性確保に必要なCr,Mo量が多く必要であ
る。
加材(0.2%S)において、目標とするSUS316
Fと同等以上の耐食性を確保するに必要なCr,Mo量
は、5%NaCl+0.2%H2 O2 溶液を35℃で2
4時間噴霧試験を行った結果によると、図1に示される
ように、Cr量は17%以上、Mo量は1.5%以上で
ある。一方、公知のように、Cr,Mo量の増加すると
これと共に靭性が低下して製造性が悪くなり、かつ硬質
となり、そして高価となる。これらのことから、ビッカ
ース硬さで190以下を得るためにCr量は17〜25
%、Mo量は1.5〜2.5%とした。
させる元素であり低い方が望ましいが、TiおよびNb
の添加により無害化し得る。しかしながら、CとN量の
増加に応じてTi,Nb量を高める必要があり、また、
C,Nは靭性を劣化させることから、通常の製鋼法で容
易に到達できるC量は0.02%以下、N量は0.02
0%以下としたが、望ましくは0.015%以下が良
い。
食性を改善する元素であるが、更に耐食性を改善するに
はCおよびNをTiやNbで固定することにより耐食性
が改善すること、更に、本発明者らがS添加鋼の耐食性
への効果について鋭意研究を行った結果によると、Ti
は不働態皮膜中への濃縮効果により耐食性を高める効果
に加え、非金属介在物がNb添加のみの場合には腐食の
起点となりやすいMnS系介在物となるが、Tiを0.
1%以上添加することによって腐食起点となり難い(T
i,Mn)S系介在物となり、S添加による耐食性劣化
を抑制できることが判った。
じ易くなることから、Ti量は0.1〜0.2%とす
る。また、Nbは溶接が行われる場合の耐粒界腐食性確
保のために添加し、Ti量0.1%ではNb量は0.1
%以上必要であるが、Nbは高価であることから0.1
〜0.3%とする。
Cr−2%Mo−0.25%Nb系鋼の厚さ1mmの鋼板
に、耐食性ついては図1における塩水噴霧試験と同じ試
験を行い、また、切削性については切削ドリルにより穴
あけ加工を行い、切り粉の性状により評価し、SUS3
16Fと比較した結果である。SUS316Fと同等以
上の耐食性を確保するにはTi量0.2%ではS量が
0.2%以下であることが必要である。また、切削性は
S添加量の増加により向上するが、SUS316Fと同
等以上を得るには0.05%以上であることから、S添
加量は両特性を満足する0.05〜0.2%とした。
と共に硬くなることが知られており、そのために0.5
%以下とした。以上の鋼成分の組み合わせと限定によ
り、SUS316F以上の切削性と耐食性および溶接部
の耐食性を兼ね備えたフェライト系ステンレス鋼を得る
ことができる。
本発明鋼と比較鋼(SUS316F)の成分と切削性お
よび耐食性を示したものである。真空溶解炉にて溶解後
45kgのインゴットを鋳造し、熱間圧延にて板厚4mmの
熱延板とした後、1000℃で3分間保定後空冷の熱処
理を施した。引き続いて酸洗後1mm厚の冷延板とし、1
050℃で1分間保定の加熱後空冷する熱処理を行った
後、酸洗した。母材部の耐食性は#500エメリー研磨
仕上げを行った鋼板を、5%NaCl+0.2%H2 O
2 溶液,35℃,24時間の塩水噴霧試験を行い発銹状
況を6ランク評価し、溶接部の耐食性はTIGナメ付け
溶接後#500エメリー研磨仕上げを行いJIS G0
575の硫酸・硫酸銅腐食試験を行い、曲げ後の割れ有
無を評価した。
分断状況を3ランク評価により行った。また、同表には
断面のビッカース硬さを示した。本発明鋼の鋼番号1〜
12はSUS316Fと同等以上の切削性と耐食性を示
し、溶接部の耐食性も優れている。また、硬さもHv1
90以下である。
SUS316Fと同等以上であり、かつ溶接部の耐食性
に優れており、従来やむを得ず高価なNiを多量に含む
SUS316F等のオーステナイト系ステンレス鋼を使
用していた切削性が要求される用途に適用することが可
能となり、工業的な利益は極めて大きい。
(0.2%S)において、SUS316F以上の耐食性
を得るに必要なCr量とMo量を示した図。図中の数字
は表1に示す実施例の鋼No.を示す。
Ti量とS量の耐食性および切削性に及ぼす影響を示し
た図。図中の数字は表1に示す実施例の鋼No.を示
す。
Claims (1)
- 【請求項1】 重量%で、 C :0.02%以下、 Si:0.5%以下、 Mn:1%以下、 S :0.05〜0.2%、 Cr:17〜25%、 Mo:1.5〜2.5%、 N :0.02%以下、 Ti:0.1〜0.2%、 Nb:0.1〜0.3%を含み、残部がFeおよび不可
避不純物からなることを特徴とする切削性と耐食性に優
れたフェライト系ステンレス鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04006094A JP3205162B2 (ja) | 1994-03-10 | 1994-03-10 | 切削性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04006094A JP3205162B2 (ja) | 1994-03-10 | 1994-03-10 | 切削性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07252605A true JPH07252605A (ja) | 1995-10-03 |
JP3205162B2 JP3205162B2 (ja) | 2001-09-04 |
Family
ID=12570387
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP04006094A Expired - Lifetime JP3205162B2 (ja) | 1994-03-10 | 1994-03-10 | 切削性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3205162B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004031430A1 (de) * | 2002-10-04 | 2004-04-15 | Firth Ag | Ferritische stahllegierung |
EP3176653A1 (fr) * | 2015-12-03 | 2017-06-07 | Cartier International AG | Composant horloger ayant une fonction de blindage magnétique et comprenant un alliage d'acier |
-
1994
- 1994-03-10 JP JP04006094A patent/JP3205162B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004031430A1 (de) * | 2002-10-04 | 2004-04-15 | Firth Ag | Ferritische stahllegierung |
EP3176653A1 (fr) * | 2015-12-03 | 2017-06-07 | Cartier International AG | Composant horloger ayant une fonction de blindage magnétique et comprenant un alliage d'acier |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3205162B2 (ja) | 2001-09-04 |
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