JPH07252458A - 建築内装材固定用両面粘着テープ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 内装材と粘着剤層との界面に浮きが生ずるこ
となく、下地材及び内装材に対して初期接着性にすぐれ
た建築内装材固定用両面粘着テープを提供する。 【構成】 ポリエチレン発泡体２（発泡倍率１０倍，厚
み１ｍｍ）の片面に厚み２５μｍのポリエチレンテレフ
タレートフィルム（ＰＥＴ）３がドライラミネートされ
た発泡シートの両面に、表面張力が４０ｄｙｎ／ｃｍと
なるようにコロナ放電処理を施した。アクリル系粘着剤
を上記発泡シートの両面に塗布・乾燥してそれぞれ厚み
１００μｍの粘着剤層４、４１を形成してなる両面粘着
テープ１を作製した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、建物内部の壁や天井の
内装材を下地材に固定するための両面粘着テープに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】建築物のシャワー室やクリーンルームな
どの壁や天井に用いられる化粧板等の建築内装材は、コ
ンクリート壁や鉄骨に取付けられた石膏ボードに接着剤
を用いて貼り合わされている。これは、釘やボルトを使
用すると室内の外観が悪くなり、錆や埃の発生原因とな
るからである。

【０００３】しかし、接着剤には有機溶剤が使用されて
いるので引火の危険性や人体への毒性の問題があり、或
る程度の接着力が得られるまで仮押さえが必要である。
このため、接着剤と両面粘着テープとを併用して建築内
装材を下地材に貼り付けることが行われている。例えば
特開平４−３１２６７１号公報には、発泡体を基材とす
る両面粘着テープで化粧板を下地材に仮固定し、無溶剤
マスチック型接着剤で永久固定する化粧板の接着方法が
記載されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記公報記載の接着方
法のように、併用した接着剤による接着力が十分に得ら
れるまで両面粘着テープで仮固定しておくには、石膏ボ
ードや合板等からなる内装材の裏面に存在する無数の微
少な凹凸に粘着剤を入り込ませることによる十分な投錨
性を発揮させる必要がある。

【０００５】従来用いられている発泡体の表面にも細か
な凹部が一面に形成されており、これに粘着剤を塗布す
るとこの凹部内に粘着剤が入り込むので、その分だけ発
泡体表面に形成される粘着剤層の有効厚みが少なくなっ
て内装材の有する粗面との接着性が低下する。その結
果、内装材自体の重みにより内装材と粘着剤層との界面
が離れて浮きが生じ、壁面または天井面が所定の位置に
収まらないという問題が発生する。従って、粘着剤層の
所定の有効厚みを得ようとすると粘着剤を多く塗布する
必要がある。

【０００６】本発明は上記従来の問題点を解消し、内装
材と粘着剤層との界面に浮きが生ずることなく、下地材
及び内装材に対して初期接着性にすぐれた建築内装材固
定用両面粘着テープを提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明建築内装材固定用
両面粘着テープは、発泡体の一方の面に厚みが５０μｍ
以下であるシートが積層された積層体の両面に、アクリ
ル系粘着剤層がそれぞれ厚み７０〜１５０μｍで設けら
れてなることを特徴とするものである。

【０００８】両面粘着テープの基材となる発泡体として
は、ポリエチレン、ポリウレタン、アクリル、塩化ビニ
ル等が挙げられ、発泡倍率は２〜２０倍のものが好まし
い。発泡倍率が２倍よりも低いと粗面に対するなじみが
悪く、２０倍よりも高いと強度が低くなる。又、発泡体
の厚みは０．５〜２ｍｍ程度が好ましい。０．５ｍｍよ
りも薄いと被着体表面の凹凸に対してなじみ難く、２ｍ
ｍを超えると内装材の仕上がり精度が悪く、外観を損ね
ることになり、また、内装材の接着に多量の接着剤が必
要となる。

【０００９】発泡体の一方の面に積層されるシートとし
ては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテ
レフタレートなどの合成樹脂フィルム、上質紙、コート
紙等の紙が挙げられ、厚みが５０μｍ以下のものであ
る。厚みが５０μｍを超えるとシートが硬くて内装材裏
面の凹凸になじみ難くなることがある。又、このシート
は発泡体に貼り付けたとき外側となる面が平滑であるこ
とが好ましい。

【００１０】発泡体に上記シートを積層するには、溶剤
型接着剤を用いたドライラミネート、ホットメルト接着
剤を用いたラミネート、ポリエチレン等の溶融樹脂を介
した押出しラミネート等、通常行われている方法が採用
される。

【００１１】粘着剤としてゴム系のものは主成分である
ゴムの分子量が高すぎて０℃以下の低温域において粘着
剤自体の流動性がなくなり、充分な接着力を得ることが
できない。そこで本発明ではアクリル系粘着剤が用いら
れる。粘着剤は初期接着力を重視した設計によるもの
で、ブチルアクリレート（ＢＡ）、２エチルヘキシルア
クリレート（２ＥＨＡ）等のアクリル酸アルキルエステ
ルの共重合体を主成分とするものであり、該共重合体に
アクリル酸やヒドロキシエチルメタクリレート等の官能
性モノマーが０．５〜１０％程度含有される。

【００１２】粘着力を上げるために添加する粘着付与樹
脂は、比較的低軟化点を有し常温において液状のものは
０℃付近という低温域での接着性を阻害しないので好ま
しいが、通常用いられている軟化点７０〜１２０℃のロ
ジン系、石油樹脂系等のものを使用すると粘着剤のＴｇ
が上昇するので上記低温域における初期接着性が低下す
るので好ましくない。

【００１３】上記粘着付与樹脂の添加量は共重合体１０
０重量部に対して１０重量部以下であることが好まし
い。１０重量部を超えると低温域での接着性が悪くな
り、又、凝集力も低下する。

【００１４】上記粘着剤に添加する架橋剤として、２官
能以上のアジリジンを用いることが好ましく、添加量は
共重合体１００重量部に対して０．１〜１重量部が好ま
しい。架橋剤として通常用いられているイソシアネート
系のものは共重合体の平均分子量が７０万以下の領域で
は充分な凝集力が得られず、仮接着に必要な保持力を発
現することができない。

【００１５】上記粘着剤は粘弾性スペクトルのｔａｎδ
のピーク値が−２０℃以下のものが好ましい。この値が
−２０℃を超えると、０℃付近の低温時における接着性
が悪くなる。しかし、上記ｔａｎδのピーク値が−２０
℃以下であっても共重合体の平均分子量が７０万以上に
なると低温域において粘着剤の流動性が阻害され、充分
な初期接着力が得られないので、共重合体の平均分子量
が３０万〜７０万であることが好ましい。平均分子量が
３０万よりも小さいと仮接着に必要な保持力が得られな
い。

【００１６】内装材側の粘着剤は内装材裏面の凹凸によ
くなじみ、且つ、表面に付着したほこりを包み込んで高
い初期接着力を発現できるように粘着剤の厚みを確保す
ることが必要である。従って、粘着剤が発泡体表面の凹
部に沈まないように、発泡体に積層されたシート面に粘
着剤層が設けられる。

【００１７】粘着剤層の厚みは７０μｍ以上、１５０μ
ｍ以下とする。７０μｍよりも薄いと内装材裏面にほこ
りが多量に付着している場合に初期粘着性が悪くなり、
１５０μｍを超えると粘着剤層自体が受ける荷重が大と
なり、厚み方向へ伸びたりして保持力が不足する。

【００１８】又、下地材が石膏ボードのように表面が紙
である場合には、紙に対する強い粘着力は得られるが、
基材である発泡体と粘着剤層との投錨性を強くする必要
があり、このため下地材側の粘着剤層はシートが積層さ
れていない発泡体面に設けることにより粘着剤の一部は
発泡体表面の細かな凹部内に入り込み、発泡体に対する
投錨効果が得られる。

【００１９】図２は上記両面粘着テープの使用方法を示
す斜視図であり、内装材６の裏面周囲に両面粘着テープ
１、１、・・・を貼り付け、それに囲まれた部分に例え
ば無溶剤マスチック型接着剤７、７、・・・を塗布し、
この面を下地材（図示せず）に貼り付ける。図３は上記
両面粘着テープ１の使用状態を示す断面図であり、下地
材８には発泡体２に直接設けられた粘着剤層４１を、内
装材６側は発泡体２に積層されたシート３面の粘着剤層
４を貼り付ける。

【００２０】

【作用】内装材に貼り付ける粘着剤層は基材発泡体のシ
ート積層面に設けることにより粘着剤層の有効厚みは確
保され、内装材裏面にほこりがあってもこれを包み込
み、且つ、内装材裏面の凹凸に粘着剤がなじんで有効接
着面積が増加し、内装材に対する高い接着力が得られ
る。下地材に貼り付ける粘着剤層は発泡体面に直接設け
られるので、粘着剤の発泡体に対する投錨性がよく確実
な接着力が得られる。

【００２１】

【実施例】以下に本発明建築内装材固定用両面粘着テー
プの実施例を図面を参照して説明する。 （実施例１）図１は本発明建築内装剤固定用両面粘着テ
ープの実施例を示す断面図であり、ポリエチレン発泡体
２（積水化学工業社製，商品名：ソフトロン，発泡倍率
１０倍，厚み１ｍｍ）の片面に厚み２５μｍのポリエチ
レンテレフタレートフィルム（ＰＥＴ）３がドライラミ
ネートされた発泡シートの両面に、表面張力が４０ｄｙ
ｎ／ｃｍとなるようにコロナ放電処理を施した。

【００２２】アクリル系粘着剤（綜研化学社製，商品名
「ＳＫダイン８０１Ｂ」１００重量部に、架橋剤として
日本ポリウレタン社製，商品名「コロネートＬ−５５」
を１重量部配合したもの）を上記発泡シートの両面に塗
布・乾燥してそれぞれ厚み１００μｍの粘着剤層４、４
１を形成してなる両面粘着テープ１を作製した。更に、
該粘着剤層４１面に剥離紙５を積層した。

【００２３】（実施例２）ＰＥＴの代わりに同じ厚みの
延伸ポリプロピレンフィルム（ＯＰＰ）を用いた以外は
実施例１と同様の両面粘着テープを作製した（図示
略）。

【００２４】（実施例３）ポリエチレン発泡体の代わり
にポリウレタン発泡体（東洋クオリテイワン社製，商品
名：Ｃライト，厚み２ｍｍ）と、厚み５０μｍのＰＥＴ
とを用いた以外は実施例１と同様の両面粘着テープを作
製した（図示略）。

【００２５】（比較例１）発泡体にＰＥＴを積層しなか
った以外は実施例１と同様の両面粘着テープを作製した
（図示略）。

【００２６】（比較例２）厚み７５μｍのＰＥＴを熱ラ
ミネートした以外は実施例１と同様の両面粘着テープを
作製した（図示略）。

【００２７】上記実施例及び比較例のものにつき、初期
粘着力を測定、又、実用性の評価を行った。 初期粘着力： 両面粘着テープを幅２０ｍｍとし、内装
材としてのケイ酸カルシウム板（積水化学工業社製，商
品名：アスベール）に貼り付け、この上を５００ｇのロ
ーラーで１回圧着した後、すぐに引張速度３００ｍｍ／
分で９０度剥離したときの剥離力を測定。貼り付け及び
剥離ともに０℃の雰囲気下で行った。

【００２８】実用性の評価： 幅２０ｍｍの上記両面粘
着テープを大きさが９０ｃｍ×１８０ｃｍである上記と
同じ内装材裏面に貼り付けた後、天井と平行面に固定し
た石膏ボードの表面紙に貼り付け、２４時間後に粘着剤
層の下地材からの浮き上がり状態を観察した。以上の結
果を表１に示す。

【００２９】

【表１】

【００３０】表１から明らかなように、実施例１〜３の
ものは内装材に対する初期接着力が大きいので内装材の
浮き上がりが無かったが、比較例のものは初期接着力が
低く、浮き上がりが発生した。

【００３１】

【発明の効果】本発明の建築内装材固定用両面粘着テー
プは以上の構成であり、内装材に貼り付ける粘着剤層の
有効厚みは確保され、内装材に対する高い接着力が得ら
れる。又、下地材に貼り付ける粘着剤層は発泡体面に直
接設けられるので、粘着剤の発泡体に対する投錨性がよ
く、粘着剤層が発泡体から浮き上がることがない。

【００３２】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の建築内装材固定用両面粘着テープの実
施例を示す断面図。

【図２】本発明の建築内装材固定用両面粘着テープの使
用方法を示す斜視図。

【図３】本発明の建築内装材固定用両面粘着テープの使
用状態を示す断面図。

【符号の説明】

１ ：両面粘着テープ ２ ：発泡体 ３ ：シート ４，４１：粘着剤層 ５ ：剥離紙 ６ ：内装材 ７ ：接着剤 ８ ：下地材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｅ０４Ｆ 13/08 １０１ Ｋ 9127−2Ｅ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 発泡体の一方の面に厚みが５０μｍ以下
   であるシートが積層された積層体の両面に、アクリル系
   粘着剤層がそれぞれ厚み７０〜１５０μｍで設けられて
   なることを特徴とする建築内装材固定用両面粘着テー
   プ。