JPH07251099A - 静電塗装方法およびその装置 - Google Patents

静電塗装方法およびその装置

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JPH07251099A
JPH07251099A JP6041218A JP4121894A JPH07251099A JP H07251099 A JPH07251099 A JP H07251099A JP 6041218 A JP6041218 A JP 6041218A JP 4121894 A JP4121894 A JP 4121894A JP H07251099 A JPH07251099 A JP H07251099A
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JP
Japan
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paint
coating
coated
edge
electrostatic
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JP6041218A
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Takakazu Yamane
貴和 山根
Yukifumi Taniguchi
幸文 谷口
Shigeo Mogi
茂男 茂木
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
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Publication of JPH07251099A publication Critical patent/JPH07251099A/ja
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    • B05BSPRAYING APPARATUS; ATOMISING APPARATUS; NOZZLES
    • B05B3/00Spraying or sprinkling apparatus with moving outlet elements or moving deflecting elements
    • B05B3/02Spraying or sprinkling apparatus with moving outlet elements or moving deflecting elements with rotating elements
    • B05B3/10Spraying or sprinkling apparatus with moving outlet elements or moving deflecting elements with rotating elements discharging over substantially the whole periphery of the rotating member, i.e. the spraying being effected by centrifugal forces
    • B05B3/1064Spraying or sprinkling apparatus with moving outlet elements or moving deflecting elements with rotating elements discharging over substantially the whole periphery of the rotating member, i.e. the spraying being effected by centrifugal forces the liquid or other fluent material to be sprayed being axially supplied to the rotating member through a hollow rotating shaft
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B05SPRAYING OR ATOMISING IN GENERAL; APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
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    • B05B5/025Discharge apparatus, e.g. electrostatic spray guns
    • B05B5/04Discharge apparatus, e.g. electrostatic spray guns characterised by having rotary outlet or deflecting elements, i.e. spraying being also effected by centrifugal forces
    • B05B5/0426Means for supplying shaping gas
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
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    • B05B5/025Discharge apparatus, e.g. electrostatic spray guns
    • B05B5/053Arrangements for supplying power, e.g. charging power

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 塗料が被塗物縁部に対して大量に塗着するこ
とを妨げ、エッジ溜を防止することによって、被塗物の
縁部で生じる塗料だれや色ムラを防ぐことができる静電
塗装方法およびその装置を提供すること。 【構成】 静電塗装装置20は、塗装機22を備え、そ
れが被塗物に対して回転ベル26から、負に帯電された
塗料を噴霧して塗装を行う。回転ベル26の周りには、
吹出ノズル42が配設され、そこには吹出口42aが形
成される。この吹出ノズル42には、その間にエア供給
系46とエア流通路44とが介されて、エアコンプレッ
サ48が接続される。また、エア供給系46には、プラ
ス高電圧発生器50が接続される。吹出ノズル42に
は、エアAが、エアコンプレッサ48から圧送されてエ
ア供給系46を通りながら、プラス高電圧発生器50に
よって正の極性に帯電されて、塗装機22内のエア流通
路44内を案内され導入される。導入されたエアAは、
吹出口42aから吹き出され、噴霧塗料に混入される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、帯電した塗料を、静電
気力を利用して被塗物に吸引付着させる静電塗装方法及
びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、自動車の車体等に対して行われる
塗装方法の1つとして静電塗装方法がある。この静電塗
装方法においては、噴出させる塗料が帯電されることか
ら、アースされた被塗物との間に静電気力が作用して、
帯電塗料が被塗物に吸引される。従って、噴出された塗
料は、被塗物に対し確実に塗着され、塗着効率が非常に
高くなるという特徴がある。図8は、塗装機2から帯電
された塗料を噴出させて、被塗物4に対して静電塗装を
行っているところを示したものである。ここで帯電され
る塗料は、一般的に負の極性に帯電されて、アースされ
た被塗物4に対して噴出される。ここで、塗料を噴出す
る塗装機2とアースされた被塗物4との間には、等電位
面6と、塗装機2から延びて各等電位面6に対して垂直
に交わり、被塗物4に達する電気力線8とから構成され
る静電界10が形成されている。このため、塗装機2か
ら噴出された塗料には、静電気力が作用し、電気力線8
に沿って被塗物4まで誘導されて、当該塗料が被塗物4
表面に塗着することになる。従って、塗装機2から噴出
された塗料は、これに働く静電気力によって被塗物4に
確実に塗着することから、塗料塗着効率が高くなり、周
囲に飛散することが妨げられ塗料無駄が防止される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この静電塗
装方法によって、被塗物の縁部に対して塗装を行うと、
この部分だけが、他に比べて、多く塗料が付着してしま
う傾向があり、塗料だれ等の問題を生じている。これは
エッジ溜と呼ばれていて、車体に深み感を持たせるため
に用いられる染料を含んだ塗料を使用する場合に、特に
問題となっている。すなわち、縁部における塗膜の膜厚
が厚く形成されると、その部分の色が他に比べて際だっ
て濃く見えることから、塗装ムラとして看取されるとい
う問題を生じていた。
【0004】このエッジ溜の原因は、図9に示すよう
に、被塗物縁部を塗装する際、塗装機2と被塗物4との
間に形成される静電界10において、塗料を誘導する電
気力線8が、塗装機2から延出されると被塗物4の縁部
12で、外側に大きく廻り込むように歪み、縁部12に
集中することにある。このため、上述したように、塗料
は、電気力線8に誘導される関係上、その縁部12に大
量に集中して付着してしまっていた。殊に、一般的に知
られている回転ベル型塗装機で塗装した場合では、その
塗料噴出速度がスプレー式の塗装ガン等と比べて極めて
遅いため、噴出塗料に大きく静電気力が働くことにな
り、上記エッジ溜が顕著に現れていた。特に、自動車の
車体においては、開口部等によって縁部や角部が至る所
に多く存在するため、塗料だれや塗装ムラを生じる箇所
が極めて多くなり、塗装品質が著しく低下してしまって
いた。
【0005】なお、現在、上記問題を解決するためにい
くつかの方法が提案されている。その一つとして、特開
平3−72977号公報に開示されているように、予め
被塗物の縁に沿って、外方に突出させて導電性のマスキ
ング材を貼り付けることで、そのマスキング材を擬似的
に被塗物縁部に見せかけて塗装する方法で、被塗物縁部
は他の箇所と変わらず塗装できる。しかしながら、自動
車の車体等のように、縁部を多く有していると、このマ
スキング材の貼り付け作業に大変手間がかかってしまう
という問題が生じてしまう。
【0006】また、特開平1−11669号公報に開示
されているように、噴出塗料に対して断続的に電荷を帯
電させ、被塗物の縁部を塗装する際には帯電させないで
塗装する方法がある。しかしながら、縁部を塗装する際
には、その周辺の部分にも影響が出て、その部分の塗着
率を低下させてしまうという問題が生じてしまう。さら
に、この塗着率低下を解決するために、この縁部だけに
限定して、塗料を帯電させないで塗装を行おうとする
と、塗装ガンからの短時間あたりの噴霧量を減らさなけ
ればならず、それだけ塗装時間が長くなるという問題が
生じていた。
【0007】本発明は、上記事情を鑑みてなされたもの
であって、その目的は、エッジ溜の発生を防止すること
によって、被塗物の縁部で生じる塗料だれや色ムラを防
ぎ、均一な塗装を行うことができる静電塗装方法および
その装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る静電塗装方法では、塗装機から帯電さ
れた塗料を噴霧して、被塗物を塗装するようにした静電
塗装方法において、上記被塗物縁部を塗装するに際し、
上記噴霧された塗料に、その帯電電荷量を減少させるべ
く、反対の極性に帯電させた流体を混入させることを特
徴とする。
【0009】また、前記塗装機が、回転駆動されて、供
給される塗料を霧化させる回転ベルと、霧化された上記
塗料を噴出する噴出口と、噴出された上記噴霧塗料の周
りに吹き付けられてその噴霧形状を成形するシェーピン
グエアの吹き出し口とを備える回転ベル型塗装機である
ことを特徴とする。
【0010】また、前記流体として、シェーピングエア
を用いることを特徴とする。
【0011】また、前記流体が、前記被塗物上での前記
塗料の流速を、前記縁部とそれ以外の部分とでほぼ同じ
速度となるように、該縁部における該塗料の流速を増大
させることを特徴とする。
【0012】また、前記塗装機が、前記噴出口周りに複
数の前記吹き出し口を備え、反対の極性に帯電された流
体を、前記縁部近傍に相対向する該吹き出し口から吹き
出す前記回転ベル型塗装機であることを特徴とする。
【0013】また、前記噴霧塗料が染料を含むことを特
徴とする。
【0014】また、塗装機から帯電された塗料を噴霧し
て、被塗物を塗装するようにした静電塗装方法におい
て、上記被塗物の縁部を塗装するに際し、上記噴霧塗料
の帯電電荷量を減少させるために、該縁部近傍に、反対
の極性に帯電させた流体の雰囲気を形成することを特徴
とする。
【0015】また、前記塗装機が、回転駆動されて、供
給される塗料を霧化させる回転ベルと、霧化された上記
塗料を噴出する噴出口と、噴出された上記噴霧塗料の周
りに吹き付けられてその噴霧形状を成形するシェーピン
グエアの吹き出し口とを備える回転ベル型塗装機である
ことを特徴とする。
【0016】また、前記流体が、前記被塗物上での前記
塗料の流速を、前記縁部とそれ以外の部分とでほぼ同じ
速度となるように、該縁部における該塗料の流速を増大
させることを特徴とする。
【0017】また、前記噴霧塗料が染料を含むことを特
徴とする。
【0018】他方、本発明に係る静電塗装装置は、帯電
された塗料を、被塗物に対して噴霧する塗装機を備えた
静電塗装装置において、上記被塗物縁部を塗装するに際
し、上記噴霧された塗料に対して、反対の極性に帯電さ
れた流体を混入させる流体混入手段を備えたことを特徴
とする。
【0019】また、前記塗装機が、回転駆動されて、供
給される塗料を霧化させる回転ベルと、霧化された上記
塗料を噴出する噴出口と、噴出された上記噴霧塗料の周
りに吹き付けられてその噴霧形状を成形するシェーピン
グエアの吹き出し口とを備える回転ベル型塗装機である
ことを特徴とする。
【0020】また、前記流体がシェーピングエアである
ことを特徴とする。
【0021】また、前記流体混入手段が、前記被塗物上
での前記塗料の流速を、該縁部とそれ以外の部分とでほ
ぼ同じ速度になるように、その流体混入量を増加させ
て、該縁部における該塗料の流速を増大させることを特
徴とする。
【0022】また、前記塗装機が、前記噴出口周りに複
数配設される前記吹き出し口と、該吹き出し口に対して
反対の極性に帯電された流体を供給する供給手段と、前
記縁部近傍に相対向する該吹き出し口を選択し、これに
対応した該供給手段を作動させて流体を供給する制御手
段とを備えた前記回転ベル型塗装機であることを特徴と
する。
【0023】また、前記噴霧塗料が染料を含むことを特
徴とする。
【0024】また、帯電された塗料を、被塗物に対して
噴霧する塗装機を備えた静電塗装装置において、上記被
塗物縁部を塗装するに際し、該縁部近傍に、反対の極性
に帯電させた流体の雰囲気を形成する形成手段を備えた
ことを特徴とする。
【0025】また、前記塗装機が、回転駆動されて、供
給される塗料を霧化させる回転ベルと、霧化された上記
塗料を噴出する噴出口と、噴出された上記噴霧塗料の周
りに吹き付けられてその噴霧形状を成形するシェーピン
グエアの吹き出し口とを備える回転ベル型塗装機である
ことを特徴とする。
【0026】また、前記形成手段が、前記雰囲気を形成
するために前記流体を吹き出して、前記被塗物上での前
記塗料の流速を、該縁部とそれ以外の部分とでほぼ同じ
速度になるように、該縁部における該塗料の流速を増大
させることを特徴とする。
【0027】また、前記噴霧塗料が染料を含むことを特
徴とする。
【0028】
【作用】本発明に係る静電塗装方法の作用について述べ
ると、塗装機から帯電された塗料を噴霧して、被塗物を
塗装するようにした静電塗装方法において、塗装機から
噴霧される塗料に対して、反対の極性に帯電させた流体
を混入すると、噴霧された塗料は上記流体と接触し、こ
の塗料に帯電している電荷が、流体に帯電している、塗
料とは反対の極性の電荷によって消失されるため、噴霧
塗料の帯電電荷量を減少させることができる。このこと
から、被塗物縁部を塗装するに際し、その噴霧塗料の帯
電電荷量が減少されれば、電気力線によって導かれる塗
料量は少なくなり、被塗物縁部に塗着される塗料量を減
少させることができる。そして、被塗物に形成される塗
料の膜厚が均一に形成されて、塗料だれや色ムラが生じ
ることを防止することができる。
【0029】また、上述した塗装機が、回転駆動され
て、供給される塗料を霧化させる回転ベルと、霧化され
た上記塗料を噴出する噴出口と、噴出された噴霧塗料の
周りに吹き付けられてその噴霧形状を成形するシェーピ
ングエアの吹き出し口とを備えた回転ベル型塗装機であ
れば、噴出口から噴出された塗料は、その周りに沿って
シェーピングエアが吹き付けられて噴霧形状が成形さ
れ、塗料塗着箇所が特定されるため、周囲へ飛散するこ
とを防止できる。殊に、塗料の噴出速度がスプレー式等
の他の塗装機に比べて遅いために、その噴霧塗料が静電
気力に大きく作用され易い、当該回転ベル型塗装機にお
いては、被塗物に対して従来と遜色のない塗着率を確保
することができる一方で、噴霧塗料に上記反対の極性に
帯電させた流体を混入させることで、被塗物縁部に塗着
される塗料量を減少させることができる。
【0030】また、上記流体として、シェーピングエア
を用いれば、すなわち被塗物縁部を塗装するに際し、こ
のシェーピングエアを塗料とは反対の極性に帯電させ
て、噴霧塗料の周りに吹き付けることによって、上記塗
料の噴霧形状を成形することができる上に、噴霧塗料の
帯電電荷量を減少させて、被塗物縁部の塗料塗着量を減
少させることができる。
【0031】また、上述した流体が、被塗物上での塗料
の流速を、被塗物縁部とそれ以外の部分とでほぼ同じ速
度となるように、それ以外の部分に比べ低くなりがちな
縁部における塗料の流速を増大させることによって、縁
部において、その塗料の流速低下が原因となって生じて
いたエッジ溜りを防止することができる。
【0032】また、上述した塗装機が、その噴出口の周
りに複数の前記吹き出し口を備え、反対の極性に帯電さ
れた流体を、被塗物縁部近傍に相対向する吹き出し口か
ら吹き出す回転ベル型塗装機として構成されれば、被塗
物縁部以外の部分を塗装していても、縁部近傍に相対向
する吹き出し口から上記流体を吹き出すことによって、
縁部に付着しようとする噴霧塗料だけに特定して、その
帯電電荷量を減少させることができる。このことから、
被塗物に対し従来と何ら遜色なく塗装することができる
とともに、被塗物縁部に対しては、塗料塗着量を減少さ
せることができる。
【0033】また、噴霧塗料が、形成された塗膜の膜厚
の違いによって、色の濃淡が顕著に現れる染料を含んで
いても、被塗物縁部に塗着される塗料量を減少させるこ
とができるため、被塗物において塗料の膜厚が均一に形
成されて、色ムラが生じることを防止することができ
る。
【0034】また、塗装機から帯電された塗料を噴霧し
て、被塗物を塗装するようにした静電塗装方法におい
て、被塗物縁部近傍に、反対の極性に帯電させた流体の
雰囲気を形成すると、噴霧された塗料は、被塗物縁部に
塗着する前に上記流体の雰囲気中を通過して、この塗料
に帯電している電荷が反対の極性の電荷によって消失さ
れるため、噴霧塗料の帯電電荷量を減少させることがで
きる。このことから、被塗物縁部を塗装するに際し、そ
の噴霧塗料の帯電電荷量が減少されれば、電気力線によ
って導かれる塗料量は少なくなり、被塗物縁部に塗着さ
れる塗料量を減少させることができる。そして、被塗物
に形成される塗料の膜厚が均一に形成されて、塗料だれ
や色ムラが生じることを防止することができる。
【0035】また、前記塗装機が、回転駆動されて、供
給される塗料を霧化させる回転ベルと、霧化された塗料
を噴出する噴出口と、噴出された上記噴霧塗料の周りに
吹き付けられてその噴霧形状を成形するシェーピングエ
アの吹き出し口とを備えた回転ベル型塗装機であれば、
シェーピングエアによって塗料の噴霧形状が成形され、
塗料塗着箇所が特定されるため、周囲へ飛散することを
防止できる。殊に、塗料の噴出速度がスプレー式等の他
の塗装機に比べて遅いために、その噴霧塗料が静電気力
に大きく作用され易い、当該回転ベル型塗装機において
は、被塗物に対して従来と遜色のない塗着率を確保する
ことができる一方で、上記反対の極性に帯電させた流体
の雰囲気を被塗物縁部に形成することで、被塗物縁部に
塗着される塗料量を減少させることができる。
【0036】また、上述した流体が、被塗物上での塗料
の流速を、被塗物縁部とそれ以外の部分とでほぼ同じ速
度となるように、それ以外の部分に比べ低くなりがちな
縁部における塗料の流速を増大させることによって、縁
部において、その塗料の流速低下が原因となって生じて
いたエッジ溜りを防止することができる。
【0037】また、噴霧塗料が、形成された塗膜の膜厚
の違いによって、色の濃淡が顕著に現れる染料を含んで
いても、被塗物縁部に塗着される塗料量を減少させるこ
とができるため、被塗物において塗料の膜厚が均一に形
成されて、色ムラが生じることを防止することができ
る。
【0038】また、本発明に係る静電塗装装置の作用に
ついて述べると、帯電された塗料を、被塗物に対して噴
霧する塗装機を備えた静電塗装装置において、被塗物縁
部を塗装するに際し、噴霧された塗料に対して、反対の
極性に帯電された流体を混入させる流体混入手段を備え
ると、この流体混入手段が、縁部に対して噴霧された塗
料を、これと反対の極性に帯電された流体と接触させ
て、その帯電電荷量を減少させる。これによって、電気
力線によって導かれる塗料量は少なくなり、被塗物縁部
に塗着される塗料量を減少させることができ、被塗物に
形成される塗料の膜厚が均一に形成されて、塗料だれや
色ムラが生じることを防止することができる。
【0039】また、上述した塗装機が、回転駆動され
て、供給される塗料を霧化させる回転ベルと、霧化され
た塗料を噴出する噴出口と、噴出された上記噴霧塗料の
周りに吹き付けられてその噴霧形状を成形するシェーピ
ングエアの吹き出し口とを備える回転ベル型塗装機であ
れば、吹き出し口から吹き出されたシェーピングエアが
塗料の飛散方向を規制し、塗料塗着箇所を特定するた
め、塗料が被塗物周囲へ飛散することを防止できる。殊
に、塗料の噴出速度がスプレー式等の他の塗装機に比べ
て遅いために、その噴霧塗料が静電気力に大きく作用さ
れ易い、当該回転ベル型塗装機においては、被塗物に対
して従来と遜色のない塗着率を確保することができる一
方で、噴霧塗料に上記反対の極性に帯電させた流体を混
入させることで、被塗物縁部に塗着される塗料量を減少
させることができる。
【0040】また、上記流体として、シェーピングエア
を用いれば、すなわち被塗物縁部を塗装するに際し、こ
のシェーピングエアを塗料とは反対の極性に帯電させ
て、噴霧塗料の周りに吹き付けることによって、上記塗
料の噴霧形状を成形することができる上に、噴霧塗料の
帯電電荷量を減少させて、被塗物縁部の塗料塗着量を減
少させることができる。
【0041】また、流体混入手段が、被塗物上での前記
塗料の流速を、その縁部とそれ以外の部分とでほぼ同じ
速度になるように、その流体混入量を増加させると、縁
部における塗料の流れは、増加された流体に引きずられ
て、その流速が増大することから、縁部における塗料の
流速低下が原因となって生じていたエッジ溜りを防止す
ることができる。
【0042】また、上述した塗装機が、噴出口の周りに
複数配設される吹き出し口と、その吹き出し口に対して
反対の極性に帯電された流体を供給する供給手段と、被
塗物縁部近傍に相対向する吹き出し口を選択し、これに
対応した供給手段を作動させる制御手段とを備えれば、
制御手段が被塗物縁部近傍に相対向する吹き出し口を選
択して、その吹き出し口に対して、これに対応する供給
手段を作動させることができる。これによって、縁部に
付着しようとする噴霧塗料だけに特定して、その帯電電
荷量を減少させることができる。このことから、被塗物
に対し従来と何ら遜色なく塗装することができるととも
に、被塗物縁部に対しては、塗料塗着量を減少させるこ
とができる。
【0043】また、噴霧塗料が、形成された塗膜の膜厚
の違いによって、色の濃淡が顕著に現れる染料を含んで
いても、被塗物縁部に塗着される塗料量を減少させるこ
とができるため、被塗物において塗料の膜厚が均一に形
成されて、色ムラが生じることを防止することができ
る。
【0044】また、帯電された塗料を、被塗物に対して
噴霧する塗装機を備えた静電塗装装置において、上記被
塗物縁部を塗装するに際し、該縁部近傍に、反対の極性
に帯電させた流体の雰囲気を形成する形成手段を備えた
ことによって、噴霧塗料が被塗物縁部に塗着する前にこ
の流体の雰囲気中を通過し接触するため、その帯電電荷
量を減少させることができる。これによって、電気力線
によって導かれる塗料量は少なくなり、被塗物縁部に塗
着される塗料量を減少させることができ、被塗物に形成
される塗料の膜厚が均一に形成されて、塗料だれや色ム
ラが生じることを防止することができる。
【0045】また、前記塗装機が、回転駆動されて、供
給される塗料を霧化させる回転ベルと、霧化された塗料
を噴出する噴出口と、噴出された上記噴霧塗料の周りに
吹き付けられてその噴霧形状を成形するシェーピングエ
アの吹き出し口とを備える回転ベル型塗装機であれば、
吹き出し口から吹き出されたシェーピングエアが塗料の
飛散方向を規制し、塗料塗着箇所を特定するため、塗料
が被塗物周囲へ飛散することを防止できる。殊に、塗料
の噴出速度がスプレー式等の他の塗装機に比べて遅いた
めに、その噴霧塗料が静電気力に大きく作用され易い、
当該回転ベル型塗装機においては、被塗物に対して従来
と遜色のない塗着率を確保することができる一方で、上
記反対の極性に帯電させた流体の雰囲気を被塗物縁部に
形成することで、被塗物縁部に塗着される塗料量を減少
させることができる。
【0046】また、上述した形成手段が、上記雰囲気を
形成するために流体を吹き出すことによって、被塗物上
での塗料の流速を、その縁部とそれ以外の部分とでほぼ
同じ速度になるように、縁部における塗料の流速を増大
させることができることから、縁部における塗料の流速
低下が原因となって生じていたエッジ溜りを防止するこ
とができる。
【0047】また、噴霧塗料が、形成された塗膜の膜厚
の違いによって、色の濃淡が顕著に現れる染料を含んで
いても、被塗物縁部に塗着される塗料量を減少させるこ
とができるため、被塗物において塗料の膜厚が均一に形
成されて、色ムラが生じることを防止することができ
る。
【0048】
【実施例】以下に、本発明に係る静電塗装方法及びその
装置の好適な実施例について、添付図面に基づき詳述す
る。この静電塗装方法とは、一般に、塗料を負の極性に
帯電させて、アースされた被塗物に向けて噴出し、静電
界の電気力線によって誘導させて、被塗物に対して塗着
させる塗装方法である。他方、静電塗装装置は、上記塗
料を噴出する塗装機を備える。そして、塗装機から噴出
された塗料の殆どは、塗装機と被塗物との間の空間に滞
留することなく、静電気力によって被塗物に誘導され、
確実に付着されるため、静電気的作用が働かない場合に
比べると、塗料の塗着効率が飛躍的に向上する。
【0049】本発明に係る静電塗装方法及びその装置の
実施例においては、上述したような静電塗装の特長を保
持しながら、静電界の電気力線の歪みが原因となり生じ
ていたエッジ溜を防止し、塗料だれや塗装ムラなどの様
々な問題を解消しようとするものである。まず、本発明
の請求項1〜6に係る静電塗装方法及び、請求項11〜
16に係る静電塗装装置の実施例を第一実施例として以
下に説明する。この第一実施例の静電塗装方法は、上述
したように塗装機から帯電された塗料を噴霧して被塗物
を塗装するようにした静電塗装方法であって、特に被塗
物縁部を塗装するに際し、噴霧された塗料に対しその帯
電電荷量を減少させるべく、反対の極性に帯電された流
体を混入させるものである。また、この静電塗装方法を
実施するために、静電塗装装置には、上記反対の極性に
帯電された流体を噴霧塗料に混入させる流体混入手段が
備えられる。
【0050】図1は、この第一実施例の静電塗装装置2
0全体の概略構成と、これに用いられる塗装機22の縦
断面を示したものである。ここで示されている塗装機2
2は、一般的に知られた回転ベル型塗装機で、図示しな
い被塗物に対して、並行に相対移動されながら、塗料を
噴出して塗装を行う。この回転ベル型の塗装機22は、
スプレー式の塗装ガン等と比べて塗料の噴出速度が遅い
代わりに、塗料に対して静電気力が大きく作用し、塗着
効率が極めて高い塗装機である。そして、この塗装機2
2には、塗料を噴出するために、回転駆動されて、供給
された塗料を霧化させる回転ベル26が設けられ、さら
にその回転ベル26には、霧化された塗料を噴出する噴
出口39が形成される。
【0051】まず、回転ベル26は、塗装機22の下端
部に配設され、中空半球体状に形成された外殻体32
と、この外殻体32内に中空室26aを区画形成する円
盤状の閉塞盤34とから構成される。この回転ベル26
の上側には、塗装機22の中心部に上下方向に沿って塗
料供給路28が配設される。この塗料供給路28は、そ
の上端部に塗料供給源30が接続されており、また、そ
の下端部に回転ベル26の中空室26aに開口された供
給口24が形成される。この塗料供給源30から供給さ
れる塗料には、被塗物に深み感を持たせる染料が含まれ
る。そして、塗料供給源30から供給される塗料は、塗
料供給路28を介して、供給口24から中空室26a内
に噴射される。また、回転ベル26の外殻体32には、
その頂部に開口部32aが形成されている。他方、塗料
供給路28の外側には、これを囲繞して、塗料供給路2
8に沿って長い中空筒体状に形成された回転シャフト3
8が配設される。この回転シャフト38は、その上部に
エアタービン36が設けられ、これによって、塗料供給
路28の回りを回転駆動される。また、回転シャフト3
8は、その下端外縁部が外殻体32の開口部32a内縁
に接合され、その回転駆動に合わせて、回転ベル26を
回転駆動させる。ここでは、回転ベル26が30000
rpm程度で回転駆動される。この回転ベル26の回転
駆動によって、中空室26a内に導入された塗料は、遠
心力の作用によって微粒子となり霧化される。他方、閉
塞盤34の外縁部には、周方向に沿って複数の噴出口3
9が穿設され、この各噴出口39から、中空室26a内
で霧化された塗料が噴出されるようになっている。ま
た、回転シャフト38及び回転ベル26は導電性を有
し、これにはマイナスの高電圧を発生するマイナス高電
圧発生器40が接続され、回転シャフト38を介して、
回転ベル26に対しマイナスの高電圧を印加する。ここ
では、回転ベル26に対して−90kVの高電圧を印加
する。このように、回転ベル26がマイナスの高電圧に
印加されることによって、噴霧される塗料が負の極性に
帯電される。
【0052】特に、本実施例に係る静電塗装装置20
は、この噴霧塗料に対して、これとは反対の正の極性に
帯電された流体を混入させる流体混入手段を有する。こ
の流体混入手段とは、主に、流体としてエアAを供給す
るエアコンプレッサ48と、このエアコンプレッサ48
から供給されたエアAを正の極性に帯電させるプラス高
電圧発生器50と、帯電されたエアAを吹き出す吹出ノ
ズル42とから構成される。
【0053】まず、エアコンプレッサ48は、塗装機2
2に搭載されたり、外部に設置され、塗装機22に対し
てエアAを圧送し供給する。エアコンプレッサ48と塗
装機22との間には、エア供給系46が介設され、エア
コンプレッサ48から圧送されたエアAは、このエア供
給系46を流通し、塗装機22に供給される。このエア
供給系46には、エアレギュレータ46aが設けられ、
エア圧を調節する。また、エア供給系46には、エアレ
ギュレータ46aと塗装機22との間において、プラス
高電圧発生器50が接続される。また、このプラス高電
圧発生器50には、コントローラ52が接続され、これ
によってプラス高電圧発生器50は作動制御される。こ
のような構成から、このプラス高電圧発生器50は、コ
ントローラ52によって作動され、エア供給系46中を
流通するエアAに対して高電圧を印加し、それを正の極
性に帯電させる。ここでは、プラス高電圧発生器50
は、+50kVの高電圧で印加する。
【0054】他方、塗装機22内部には、上下方向に沿
ってエア流通路44が配設され、この一端に上記エア供
給系46が接続されて、エアAがこのエア流通路44内
に導入される。このエア流通路44は、塗装機22の下
端部に位置する吹出ノズル42まで延び、導入されたエ
アAを吹出ノズル42まで案内する。また、このエア流
通路44は、その中を流通するエアAが帯電されている
ことから、塗装機22の他部分に対して電気的に絶縁さ
れた構造で、エアAが流通する際にその帯電電荷が逃げ
ないようになっている。吹出ノズル42は、回転ベル2
6の外周側に配設される。この吹出ノズル42の下端面
には、回転ベル26の噴出口39外側近傍に位置し、噴
出口39から噴霧された塗料に対し臨ませるように開口
されて、吹出口42aが形成される。そして、吹出ノズ
ル42の内部には、この吹出口42aとエア流通路44
を連通させるノズル流路42bが形成され、このノズル
流路42b内には、エア流通路44からエアAが流入さ
れる。こうして流入されたエアAは、このノズル流路4
2bを通り、吹出口42aから吹き出される。本実施例
における塗装機22には、この吹出ノズル42が回転ベ
ル26の噴出口39周りに、周方向に沿って90度おき
に4カ所取り付けられる。そして、これら各吹出ノズル
42には、それぞれに対応させて、エア流通路44と、
エア供給系46と、プラス高電圧発生器50と、エアコ
ンプレッサ48とが設けられる。このことから、本実施
例における塗装機22は、1つの吹出ノズル42を構成
要素とした帯電エア系が、4系統配設されることにな
る。
【0055】従って、エアAは、エアコンプレッサ48
から圧送されて、エア供給系46を流通し、途中、エア
レギュレータ46aによって、その圧力が調節されて、
塗装機22のエア流通路44に導入される。このとき、
このエアAは、エア供給系46において、プラス高電圧
発生器50によって正の極性に帯電される。正の極性に
帯電されたエアAは、エア流通路44を通り、吹出ノズ
ル42の吹出口42aから噴霧塗料に向けて吹き出され
る。こうして吹き出されたエアAは、負の極性に帯電さ
れた噴霧塗料に混入される。このため、正の極性に帯電
されたエアAは、負の極性に帯電された噴霧塗料と接触
し、その負の帯電電荷と互いに打ち消し合い、噴霧塗料
の帯電電荷量は減少される。これによって、被塗物縁部
を塗装するに際し、その帯電電荷量が減少されれば、電
気力線によって導かれる塗料量は少なくなり、被塗物縁
部に塗着される塗料量を減少させることができる。
【0056】また、エアAが吹き出される吹出口42a
は、回転ベル26の周りに位置し、そこから噴出された
噴霧塗料に対して臨ませられる。このため、ここから吹
き出されるエアAは、噴霧塗料の周りに吹き付けられ、
それを囲繞するエアカーテンが形成される。このエアカ
ーテンは、噴霧塗料の飛散方向を規制し、その噴霧形状
を成形することから、このエアAはシェーピングエアと
しても機能する。従って、このエアAによって、被塗物
における噴霧塗料の塗着箇所が特定されるとともに、噴
霧塗料が被塗物の塗装面以外へ拡散してしまうことを防
止することができる。
【0057】他方、この第一実施例における静電塗装装
置20の塗装機22は、図1で示した回転ベル型のもの
以外の、吹付塗装を行う塗装ガンであっても良い。図2
は、第一実施例における静電塗装装置20の塗装機22
が塗装ガン54である場合を示したものである。この塗
装ガン54は、吐出ノズル56から図示されてない被塗
物に対して、回転ベル型の塗装機22と同様に負の極性
に帯電された塗料を吐出して塗装を行う。この塗装ガン
54の下端部には、吐出口56aが形成された吐出ノズ
ル56が配設され、ここから負の極性に帯電された塗料
を吐出する。その吐出口56aの周りには、シェーピン
グエアBを吹き出すシェーピングエア吹出ノズル58が
配設される。ここから吹き出されたシェーピングエアB
は、吐出口56aから吐出された塗料の周りに吹き付け
られて、吐出塗料の吐出方向を規制する。
【0058】またさらに、この塗装ガン54には、流体
混入手段として、正の極性に帯電された帯電エアDを吹
き出し、吐出塗料に混入させる帯電エア吹出機60が取
り付けられる。この帯電エア吹出機60は、塗装ガン5
4の外周側面上に、その周方向に沿って等間隔おきに4
カ所配設される。1つの帯電エア吹出機60は、図1と
殆ど同様な構成で、図示外のエアコンプレッサに接続さ
れるエア供給系46と、高圧ケーブル64を介して高電
圧を印加するプラス高電圧発生器50と、塗装ガン54
の外面にブラケット55を介して取り付けられ、上記エ
ア供給系46と高圧ケーブル64が接続され、供給され
たエアを正の極性に帯電させるエア帯電部62と、その
帯電されたエアが吹き出される吹出ノズル42とから構
成される。吹出ノズル42には、吐出口56a周りに位
置し、吐出塗料に臨ませて開口された吹出口42aが形
成され、ここから帯電エアDが吹き出される。このよう
にして、正の極性に帯電され、吹出口42aから吹き出
された帯電エアDは、吐出塗料に混入されるため、吐出
塗料に帯電された負の帯電電荷量を減少される。これに
よって、被塗物縁部を塗装するに際し、その帯電電荷量
が減少され、電気力線によって導かれる塗料量は少なく
なり、被塗物縁部に塗着される塗料量を減少させること
ができる。
【0059】また、上述した静電塗装装置20におい
て、シェーピングエアとして作用するエアA及び帯電エ
アDは、被塗物上での塗料の流速を、被塗物縁部とそれ
以外の部分とでほぼ同じ速度になるように、縁部におけ
る塗料流の流速を増大させることができるようになって
いる。図3においては、塗装機22として回転ベル型の
ものを示し、そのエア流通路44を簡略化して示してあ
る。そして、シェーピングエアAが被塗物66の縁部6
6aにおける塗料流C1 の流速を増大させるところを模
式化して示したものである。
【0060】図3において、塗装機22は被塗物66の
上方に位置し、並行に移動されながら、その被塗物66
に対して塗料を噴霧する。噴霧された塗料は、塗装機2
2の吹出口42aから吹き出されているシェーピングエ
アAによって、その噴霧形状が成形される。ここで、こ
の本実施例の回転ベル型塗装機22が、被塗物66の縁
部66a近傍を塗装すべく、その被塗物66内側部分か
ら外側へと並行に相対移動されて、図3に示すように被
塗物66の縁部66a上方付近に接近する。このとき
に、この塗装機22の4カ所の吹出口42aの内、縁部
66a近傍に対向する位置にある吹出口42a1 から吹
き出されているシェーピングエアA1 の吹出圧を、他の
吹出口42a2 等から吹き出るシェーピングエアA2
比べて高くする。つまり、シェーピングエアA1 を吹き
出す吹出口42a1 に対応したエア供給系46におい
て、そこに設けられたエアレギュレータ46aによっ
て、そのエア供給系46のエア圧を高くすれば、シェー
ピングエアA1 の吹出圧を高くすることができる。
【0061】回転ベル26から噴霧された噴霧塗料は、
下方に位置する被塗物66上で塗料流を形成する。この
塗料流において、その縁部66aにおける塗料流C
1 は、シェーピングエアA1 の吹出圧が高められたた
め、このシェーピングエアA1 に引きずられて、その流
速が増大させられる。ここで、吹き出されるシェーピン
グエアA1 の圧力は、塗料流の流速を、被塗物66の縁
部66aにおける塗料流C1とそれ以外の部分における
塗料流C2 とでほぼ同じ速度になるように設定されるた
め、塗料流C1 は、被塗物66の縁部66a以外におけ
る塗料流C2 の流速を越えることはない。
【0062】従って、塗料流の流速は、縁部66aにお
ける塗料流C1 とそれ以外の部分における塗料流C2
で比べた場合、低くなりがちである塗料流C1 の流速が
増大されて、被塗物66の縁部66aにおける塗料流C
1 とそれ以外の部分における塗料流C2 とをほぼ同じ流
速にすることができる。このことから、縁部66aにお
いて、その塗料流C1 の流速が低いことによって生じる
エッジ溜を防止することができる。
【0063】次に、図4は、上述した静電塗装装置20
の塗装機22が被塗物66の縁部66aに対して塗料を
噴霧しているところを示した模式図である。この図4に
おいても、図3と同様に図1の回転ベル型の塗装機22
が簡略化されて示されている。この塗装機22は、図3
の場合と同様に被塗物66の上方に位置し、並行に相対
移動されながら、その被塗物66に対して塗料を噴霧す
る。また、その噴霧された塗料は、シェーピングエアA
によって、その噴霧形状が成形される。
【0064】この塗装機22は、上述したように回転ベ
ル26の周りに吹出ノズル42を備え、この吹出ノズル
42に対応したエア供給系46と、エア流通路44と、
プラス高電圧発生器50とによって構成される帯電エア
系を、4系統分備えている。このことから、この塗装機
22においては、通常、塗料を噴霧し、シェーピングエ
アAを吹出ながら塗装を行う際、4つのプラス高電圧発
生器50の中で、任意のものだけを作動させれば、それ
に対応した吹出口42から吹き出されているシェーピン
グエアAだけに限定して、帯電させることができる。こ
のことから、この塗装機22が、相対移動されて、縁部
66a上方付近に接近した時に、4カ所の吹出口42a
の内、縁部66a近傍に対向する吹出口42a1 に対応
するプラス高電圧発生器50のみを作動させれば、そこ
から吹き出ているシェーピングエアA3 だけが正の極性
に帯電される。従って、塗装機22から噴霧されている
塗料の内、縁部66aに塗着しようとするものに対して
のみ、帯電されたシェーピングエアA3 が混入されるた
め、その噴霧塗料の負の帯電電荷量は減少される。これ
に対して、縁部66aに対向していない吹出口42a2
等から吹き出されるシェーピングエアA4 は、正の極性
に帯電されずに吹き出されるため、縁部66a以外へ塗
着しようとする塗料は、その負の帯電電荷がシェーピン
グエアA4 によって失われることはない。こうして、縁
部66aに塗着しようとする塗料だけが限定されて、そ
の帯電電荷量が減少されれば、電気力線によって縁部6
6aに向かって導かれ、縁部66aに塗着される塗料量
を減少させることができる。他方、縁部66a以外へ塗
着しようとする塗料は、静電界の電気力線によって導か
れて、被塗物66に対して確実に付着される。
【0065】以上から、上述した第一実施例の静電塗装
方法及びその装置20の作用について述べると、塗装機
22が負の極性に帯電された塗料を噴霧して、被塗物6
6の縁部66aを塗装するに際し、噴霧塗料に対して正
の極性に帯電させたエアAを吹き出して混入させる。こ
れによって、負の極性に帯電された塗料は、正の極性に
帯電されたエアAと接触し、その帯電電荷量が減少され
る。このため、静電界の電気力線によって縁部66aへ
と導かれる塗料量は少なくなり、縁部66aに塗着され
る塗料量は減少されて、エッジ溜りを防止することがで
きる。このことから、縁部66aにおける塗料だれを防
止できるとともに、縁部66aの塗膜だけが他と比べて
厚くなることはなく、被塗物66の塗膜厚を均一化で
き、被塗物66に色ムラが生じることを防止することが
できる。
【0066】また、本実施例で用いられる塗装機22
が、その塗料噴出速度が図2に示したスプレー式の塗装
ガン54等の他の塗装機に比べて遅い回転ベル型のもの
であっても、塗料の帯電電荷量は減少されて、縁部66
aに塗着される塗料量が減少される。このことから、塗
装機22の塗料噴出速度が遅くても、その噴出速度とは
無関係にエッジ溜を防止することができる。
【0067】また、上記エアAがシェーピングエアとし
て機能すれば、噴霧塗料の帯電電荷量を減少させて、縁
部66aの塗料塗着量を減少させることができる上、噴
霧塗料の噴霧形状の成形することができる。
【0068】また、図3に示したように、塗装機22が
被塗物66の縁部66a上方付近に位置すると、その縁
部66aと対向する吹出口42a1 から吹き出されてい
るシェーピングエアA1 の吹出圧を高くすることによっ
て、縁部66aにおける塗料流C1 は、シェーピングエ
アA1 によって引きずられ、その流速が増大される。こ
れによって、被塗物66上における塗料流の流速を、被
塗物66の縁部66aにおける塗料流C1 とそれ以外の
部分における塗料流C2 とでほぼ同じ速度にすることが
できる。従って、塗料流C1 の流速低下が原因となって
生じていたエッジ溜りを防止することができる。
【0069】また、上述した塗装機22は、回転ベル型
のもので、その回転ベル26の周りに吹出ノズル42を
備え、この吹出ノズル42に対応したエア供給系46
と、エア流通路44と、プラス高電圧発生器50とによ
って構成される帯電エア系を、4系統分備えている。従
って、図4に示すように、通常、被塗物66に対して塗
装を行い、その縁部66aの上方付近に位置した際に
は、縁部66a近傍に相対向する吹出口42a1 に対応
したプラス高電圧発電器50のみを作動させれば、その
吹出口42a1 から、正の極性に帯電されたシェーピン
グエアA3 が吹き出され、縁部66aに付着しようとす
る噴霧塗料のみの帯電電荷量が減少される。このことか
ら、縁部66aに対しては塗料塗着量を減少させること
ができる一方で、被塗物66の縁部66a以外の部分に
対しては、従来と何ら遜色なく塗装することができる。
【0070】また、図1の塗料供給源30から供給され
る塗料が、形成された塗膜の膜厚の違いによって色の濃
淡が顕著に現れる染料を含んでいても、縁部66aに塗
着される塗料量は減少され、被塗物66において塗料の
膜厚が均一に形成されて、被塗物66における色ムラが
生じるを防止することができる。
【0071】次いで、本発明の請求項7〜10に係る静
電塗装方法及び請求項17〜20に係る静電塗装装置を
第二実施例として以下に説明する。この第二実施例の静
電塗装方法においては、被塗物縁部を塗装するに際し、
その縁部近傍に、噴霧塗料とは反対の極性に帯電させた
流体の雰囲気を形成するようにするものである。また、
この静電塗装方法を実施するために、その静電塗装装置
には、上記流体の雰囲気を形成する形成手段を備えたも
のである。図5は、この静電塗装装置68全体を示した
概略構成図である。また、図6は、塗装機22が被塗物
66の縁部66aに対して塗料を噴霧するところを示し
たものである。
【0072】図5に示された静電塗装装置68の塗装機
22は、第一実施例で示された図1の回転ベル型のもの
で、被塗物66の上方に位置して、それに向かって塗料
を噴霧する。そして、この塗装機22の塗料供給路に
は、外部に設置された塗料供給源30が接続され、塗料
が送給される。また、塗料が噴霧される回転ベルには、
マイナス高電圧発生器40が接続され、噴霧塗料を負の
極性に帯電させる。また、この塗料供給源30から供給
される塗料には、被塗物66に深み感を持たせる染料が
含まれる。塗装機22のエア流通路44には、エア供給
系69を介してエアコンプレッサ48が接続され、シェ
ーピングエアBは、エアコンプレッサ48から圧送され
て吹出口42aから吹き出される。しかしながら、図1
の場合と異なり、エア供給系69にはプラス高電圧発生
器が接続されないため、シェーピングエアBは正の極性
に帯電されずに吹出口42aから吹き出される。
【0073】他方、この静電塗装装置68は、塗装機2
2の他に、噴霧塗料とは反対の極性に帯電させた流体の
雰囲気Eを形成する形成手段として、図5に示すような
帯電エア吹出機70を備える。この帯電エア吹出機70
には、エア供給系80を介して、エアコンプレッサ82
が接続されるとともに、プラス高電圧発生器50が接続
される。そして、この帯電エア吹出機70は、吹出口7
0aを有し、そこから帯電された帯電エアDを吹き出
す。また、この帯電エア吹出機70は、ロボット72の
アーム部72aに取り付けられ、被塗物66上を自在に
移動され、アーム部72aの作動によって、その吹出口
70aの向きが変向されて、帯電エアDの吹き出し方向
が自在に変更される。そして、帯電エア吹出機70は、
その吹出口70aを被塗物66に対向させて、正の極性
に帯電された帯電エアDを吹き出すことによって、帯電
エアDを被塗物66面に押し当て、そこに帯電エアDの
雰囲気Eを形成する。
【0074】そして、図6において、上述した帯電エア
吹出機70は、その吹出口70aをその縁部66aに対
向されて、そこに向かって帯電エアDを吹き出し、縁部
66a近傍に帯電エアDの雰囲気Eを形成する。これに
よって、縁部66aに塗着しようとする噴霧塗料は、塗
着前に帯電エアDの雰囲気E中を通過し、これに帯電し
ている負の電荷が、帯電エアDに帯電している正の電荷
と打ち消し合って、その負の帯電電荷量が減少される。
このことから、塗装機22と被塗物66との間に形成さ
れる静電界の電気力線によって導かれる塗料量は少なく
なり、縁部66aに塗着される塗料の塗着量を減少させ
ることができる。
【0075】また、上記帯電エア吹出機70において、
その吹出口70aから吹き出される帯電エアDは、被塗
物66上における塗料流の流速を、縁部66aにおける
塗料流C1 とそれ以外の部分における塗料流C2 とでほ
ぼ同じ速度になるように、縁部66aにおける塗料流C
1 の流速を増大させることができる。図7は、帯電エア
Dが被塗物66の縁部66aにおける塗料流C1 の流速
を増大させるところを模式化して示したものである。図
7において、塗装機22が、図6の場合と同様に、被塗
物66上を相対移動されて、縁部66a上方付近に位置
すると、帯電エア吹出機70は、帯電エアDを縁部66
aに向かって吹き出し、そこに雰囲気Eを形成する。そ
こで、エアコンプレッサ82から供給されるエア圧を、
縁部66aにおける塗料流C1 と、それ以外の部分にお
ける塗料流C2 とでほぼ同じ速度になるように高くす
る。これによって、図3と同じように塗料流C1 は帯電
エアDによって引きずられ、その流速が増大される。従
って、エアコンプレッサ82から供給されるエア圧を高
くすれば、塗料流C1 の流速低下が原因となって生じて
いたエッジ溜りを防止することができる。
【0076】以上のことから、上述した第二実施例の静
電塗装方法及びその装置68の作用について述べると、
図7に示したように、塗装機22から負の極性に帯電さ
れた塗料を噴霧して、被塗物66の縁部66aを塗装す
るに際し、帯電エア吹出機70から正の極性に帯電され
た帯電エアDを縁部66aに対し吹き出し、その近傍に
帯電エアDの雰囲気Eを形成する。このことによって、
負の極性に帯電された塗料は、縁部66aに塗着する前
に上記雰囲気E中を通過し、その負の帯電電荷が雰囲気
E中の正の電荷に打ち消されて、その帯電電荷量が減少
される。従って、電気力線によって導かれる塗料量が減
少され、縁部66aに塗着される塗料量は減少されるた
め、エッジ溜りを防止することができる。このことか
ら、縁部66aにおける塗料だれを防止できるととも
に、縁部66aの塗膜だけが他と比べて厚くなることは
なく、被塗物66全体に亘って塗膜厚が均一化でき、被
塗物66において色ムラが生じることを防止できる。
【0077】また、本実施例で用いられる塗装機22
が、その塗料噴出速度が他の塗装機に比べて極めて遅い
回転ベル型のものであっても、塗料の帯電電荷量は減少
されて、縁部66aに塗着される塗料量が減少される。
このことから、塗装機22の塗料噴出速度が遅くても、
その噴出速度とは無関係にエッジ溜を防止することがで
きる。
【0078】また、図7に示したように、塗装機22が
縁部66a上方付近に位置するに際し、帯電エア吹出機
70から吹き出される帯電エアDの吹出圧を高くするこ
とによって、縁部66aにおける塗料流C1 は帯電エア
Dに引きずられて、その速度が増大されて、それ以外の
部分における塗料流C2 とほぼ同じ速度となる。これに
よって、その塗料流C1 の流速低下が原因となり生じて
いたエッジ溜りを防止することができる。
【0079】また、図5の塗料供給源30から供給され
る塗料が、形成された塗膜の膜厚の違いによって、色の
濃淡が顕著に現れる染料を含んでいても、被塗物66の
縁部66aに塗着される塗料量は減少されて、被塗物6
6において塗料の膜厚が均一に形成されて、被塗物66
において色ムラが生じることを防止することができる。
【0080】
【発明の効果】以上要するに本発明の静電塗装方法によ
れば、被塗物縁部を塗装するに際し、塗装機から噴霧さ
れる塗料に対して、反対の極性に帯電させた流体を混入
すると、噴霧された塗料は、その帯電電荷量が減少され
て、電気力線によって導かれる塗料量が少なくなり、被
塗物縁部に塗着する塗料量が減少される。このことか
ら、エッジ溜りが防止されて、縁部における塗料だれを
防止できるとともに、他の部分と比べて縁部の塗膜だけ
が厚くなることはなく、被塗物の塗膜厚が均一化でき、
色ムラが生じることを防止することができる。
【0081】また、前記塗装機が、塗料を霧化させて噴
出し、且つ、その噴霧形状を成形するシェーピングエア
を吹き出す回転ベル型塗装機であれば、シェーピングエ
アによって、塗装面周囲へ飛散することが防止される上
に、塗料噴出速度が遅い当該回転ベル型塗装機において
も、噴霧塗料の帯電電荷量が減少され、被塗物縁部の塗
料塗着量が減少されるため、縁部における塗料だれや色
ムラが生じることを防止できる。
【0082】また、上記流体としてシェーピングエアを
用いれば、塗料の噴霧形状を成形できる上、被塗物縁部
を塗装するに際し、噴霧塗料の帯電電荷量が減少され
て、縁部における塗料塗着量を減少させることができ
る。
【0083】また、上述した流体が、被塗物上の縁部に
おける塗料の流速を増大させることによって、縁部にお
いて、その塗料の流速低下によって生じていたエッジ溜
りを防止することができる。
【0084】また、上述した塗装機が、その噴出口の周
りに複数の吹き出し口を備え、流体を被塗物縁部近傍に
相対向する吹き出し口から吹き出す回転ベル型塗装機で
あれば、被塗物縁部以外の部分を塗装しながら、縁部に
塗着する塗料だけを特定して、その帯電電荷量を減少さ
せることができるため、被塗物縁部の塗料塗着量を減少
させることができる。
【0085】また、噴霧塗料に、形成された塗膜の膜厚
によって、色の濃淡が顕著に現れる染料が含まれていて
も、被塗物においてエッジ溜りが防止されて塗料の膜厚
が均一に形成されるため、色ムラが生じることを防止す
ることができる。
【0086】他方、被塗物縁部近傍に、反対の極性に帯
電させた流体の雰囲気を形成すると、噴霧された塗料
が、被塗物縁部に塗着される前に雰囲気中を通過し、そ
の帯電電荷量が減少されるため、被塗物縁部に塗着する
塗着量が減少される。このことから、エッジ溜りが防止
されて、縁部における塗料だれを防止できるとともに、
他の部分と比べて縁部の塗膜だけが厚くなることはな
く、被塗物の塗膜厚が均一化でき、色ムラが生じること
を防止することができる。
【0087】また、前記塗装機が、塗料を霧化させて噴
出し、且つ、その噴霧形状を成形するシェーピングエア
を吹き出す回転ベル型塗装機であれば、シェーピングエ
アによって、塗装面周囲へ飛散することが防止される上
に、塗料噴出速度が遅い当該回転ベル型塗装機において
も、噴霧塗料の帯電電荷量が減少され、被塗物縁部の塗
料塗着量が減少されるため、縁部における塗料だれや色
ムラが生じることを防止できる。
【0088】また、上述した流体が、被塗物上の縁部に
おける塗料の流速を増大させることによって、縁部にお
いて、その塗料の流速低下によって生じていたエッジ溜
りを防止することができる。
【0089】また、噴霧塗料に、形成された塗膜の膜厚
によって、色の濃淡が顕著に現れる染料が含まれていて
も、被塗物においてエッジ溜りが防止されて塗料の膜厚
が均一に形成されるため、色ムラが生じることを防止す
ることができる。
【0090】他方、本発明に係る静電塗装装置によれ
ば、被塗物縁部を塗装するに際し、噴霧塗料に対して、
反対の極性に帯電された流体を混入させる流体混入手段
を備えることによって、その噴霧塗料の帯電電荷量は減
少され、被塗物縁部に塗着する塗料量が減少される。こ
のことから、エッジ溜りが防止されて、縁部における塗
料だれを防止できるとともに、他の部分と比べて縁部の
塗膜だけが厚くなることはなく、被塗物の塗膜厚が均一
化でき、色ムラが生じることを防止することができる。
【0091】また、前記塗装機が、塗料を霧化させて噴
出し、且つ、その噴霧形状を成形するシェーピングエア
を吹き出す回転ベル型塗装機であれば、シェーピングエ
アによって、塗装面周囲へ飛散することが防止される上
に、塗料噴出速度が遅い当該回転ベル型塗装機において
も、噴霧塗料の帯電電荷量が減少され、被塗物縁部の塗
料塗着量が減少されるため、縁部における塗料だれや色
ムラが生じることを防止できる。
【0092】また、上記流体がシェーピングエアであれ
ば、塗料の噴霧形状を成形できる上、被塗物縁部を塗装
するに際し、噴霧塗料の帯電電荷量が減少されて、縁部
における塗料塗着量を減少させることができる。
【0093】また、流体混入手段が、被塗物上の縁部に
おける塗料の流速を増大させることによって、縁部にお
いて、その塗料の流速低下によって生じていたエッジ溜
りを防止することができる。
【0094】また、前記塗装機が、噴出口の周りに複数
配設される吹き出し口と、その吹き出し口に対して反対
の極性に帯電された流体を供給する供給手段と、被塗物
縁部近傍に相対向する吹き出し口を選択し、供給手段を
作動させる制御手段とを備えれば、制御手段が吹き出し
口を選択して、当該吹き出し口から流体を吹き出すこと
によって、被塗物縁部以外の部分を塗装しながら、縁部
に塗着する塗料だけを特定して、その帯電電荷量を減少
させることができるため、被塗物縁部の塗料塗着量を減
少させることができる。
【0095】また、噴霧塗料に、形成された塗膜の膜厚
によって、色の濃淡が顕著に現れる染料が含まれていて
も、被塗物においてエッジ溜りが防止されて塗料の膜厚
が均一に形成されるため、色ムラが生じることを防止す
ることができる。
【0096】また一方で、上記被塗物縁部を塗装するに
際し、縁部近傍に、反対の極性に帯電させた流体の雰囲
気を形成する形成手段を備えたことによって、噴霧塗料
の帯電電荷量が減少され、被塗物縁部に塗着される塗料
量が減少される。このことから、エッジ溜りが防止され
て、縁部における塗料だれを防止できるとともに、他の
部分と比べて縁部の塗膜だけが厚くなることはなく、被
塗物の塗膜厚が均一化でき、色ムラが生じることを防止
することができる。
【0097】また、上述した塗装機が、塗料を霧化させ
て噴出し、且つ、その噴霧形状を成形するシェーピング
エアを吹き出す回転ベル型塗装機であれば、シェーピン
グエアによって、塗装面周囲へ飛散することが防止され
る上に、塗料噴出速度が遅い当該回転ベル型塗装機にお
いても、噴霧塗料の帯電電荷量が減少され、被塗物縁部
の塗料塗着量が減少されるため、縁部における塗料だれ
や色ムラが生じることを防止できる。
【0098】また、形成手段が、上記雰囲気を形成する
ために流体を吹き出し、被塗物上の縁部における塗料の
流速を増大させることによって、縁部において、その塗
料の流速低下によって生じていたエッジ溜りを防止する
ことができる。
【0099】また、噴霧塗料に、形成された塗膜の膜厚
によって、色の濃淡が顕著に現れる染料が含まれていて
も、被塗物においてエッジ溜りが防止されて塗料の膜厚
が均一に形成されるため、色ムラが生じることを防止す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る静電塗装装置の第一実施例を示し
た概略構成図と、その塗装機の縦断面図である。
【図2】塗装機の第二実施例を示した平面図である。
【図3】流体が被塗物縁部における塗料の流速を増大さ
せるところを示した模式図である。
【図4】第一実施例の静電塗装装置において、その塗装
機が被塗物縁部に対して塗料を噴霧しているところを示
した模式図である。
【図5】本発明に係る静電塗装装置の第二実施例を示し
た概略構成図である。
【図6】第二実施例の静電塗装装置において、その塗装
機が被塗物縁部に対して塗料を噴霧しているところを示
した模式図である。
【図7】流体が被塗物縁部における塗料流の流速を増大
させるところを示した模式図である。
【図8】従来の静電塗装方法またはその装置において、
その静電界の様子を示した模式図である。
【図9】従来の静電塗装方法またはその装置において、
その静電界の様子を示した模式図である。
【符号の説明】
20 静電塗装装置 22 塗装機 26 回転ベル 39 噴出口 42a 吹出口 48 エアコンプレッサ 50 プラス高電圧発生器 66 被塗物 66a 縁部 70 帯電エア吹出機
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B05D 5/06 G 7717−4D

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塗装機から帯電された塗料を噴霧して、
    被塗物を塗装するようにした静電塗装方法において、 上記被塗物縁部を塗装するに際し、上記噴霧された塗料
    に、その帯電電荷量を減少させるべく、反対の極性に帯
    電させた流体を混入させることを特徴とする静電塗装方
    法。
  2. 【請求項2】 前記塗装機が、回転駆動されて、供給さ
    れる塗料を霧化させる回転ベルと、霧化された上記塗料
    を噴出する噴出口と、噴出された上記噴霧塗料の周りに
    吹き付けられてその噴霧形状を成形するシェーピングエ
    アの吹き出し口とを備える回転ベル型塗装機であること
    を特徴とする請求項1に記載の静電塗装方法。
  3. 【請求項3】 前記流体として、シェーピングエアを用
    いることを特徴とする請求項2に記載の静電塗装方法。
  4. 【請求項4】 前記流体が、前記被塗物上での前記塗料
    の流速を、前記縁部とそれ以外の部分とでほぼ同じ速度
    となるように、該縁部における該塗料の流速を増大させ
    ることを特徴とする請求項1〜3いずれかの項に記載の
    静電塗装方法。
  5. 【請求項5】 前記塗装機が、前記噴出口周りに複数の
    前記吹き出し口を備え、反対の極性に帯電された流体
    を、前記縁部近傍に相対向する該吹き出し口から吹き出
    す前記回転ベル型塗装機であることを特徴とする請求項
    2〜4いずれかの項に記載の静電塗装方法。
  6. 【請求項6】 前記噴霧塗料が染料を含むことを特徴と
    する請求項1〜5いずれかの項に記載の静電塗装方法。
  7. 【請求項7】 塗装機から帯電された塗料を噴霧して、
    被塗物を塗装するようにした静電塗装方法において、 上記被塗物の縁部を塗装するに際し、上記噴霧塗料の帯
    電電荷量を減少させるために、該縁部近傍に、反対の極
    性に帯電させた流体の雰囲気を形成することを特徴とす
    る静電塗装方法。
  8. 【請求項8】 前記塗装機が、回転駆動されて、供給さ
    れる塗料を霧化させる回転ベルと、霧化された上記塗料
    を噴出する噴出口と、噴出された上記噴霧塗料の周りに
    吹き付けられてその噴霧形状を成形するシェーピングエ
    アの吹き出し口とを備える回転ベル型塗装機であること
    を特徴とする請求項7に記載の静電塗装方法。
  9. 【請求項9】 前記流体が、前記被塗物上での前記塗料
    の流速を、前記縁部とそれ以外の部分とでほぼ同じ速度
    となるように、該縁部における該塗料の流速を増大させ
    ることを特徴とする請求項7又は8に記載の静電塗装方
    法。
  10. 【請求項10】 前記噴霧塗料が染料を含むことを特徴
    とする請求項7〜9いずれかの項に記載の静電塗装方
    法。
  11. 【請求項11】 帯電された塗料を、被塗物に対して噴
    霧する塗装機を備えた静電塗装装置において、上記被塗
    物縁部を塗装するに際し、上記噴霧された塗料に対し
    て、反対の極性に帯電された流体を混入させる流体混入
    手段を備えたことを特徴とする静電塗装装置。
  12. 【請求項12】 前記塗装機が、回転駆動されて、供給
    される塗料を霧化させる回転ベルと、霧化された上記塗
    料を噴出する噴出口と、噴出された上記噴霧塗料の周り
    に吹き付けられてその噴霧形状を成形するシェーピング
    エアの吹き出し口とを備える回転ベル型塗装機であるこ
    とを特徴とする請求項11に記載の静電塗装装置。
  13. 【請求項13】 前記流体がシェーピングエアであるこ
    とを特徴とする請求項12に記載の静電塗装装置。
  14. 【請求項14】 前記流体混入手段が、前記被塗物上で
    の前記塗料の流速を、該縁部とそれ以外の部分とでほぼ
    同じ速度になるように、その流体混入量を増加させて、
    該縁部における該塗料の流速を増大させることを特徴と
    する請求項11〜13いずれかの項に記載の静電塗装装
    置。
  15. 【請求項15】 前記塗装機が、前記噴出口周りに複数
    配設される前記吹き出し口と、該吹き出し口に対して反
    対の極性に帯電された流体を供給する供給手段と、前記
    縁部近傍に相対向する該吹き出し口を選択し、これに対
    応した該供給手段を作動させて流体を供給する制御手段
    とを備えた前記回転ベル型塗装機であることを特徴とす
    る請求項12〜14いずれかの項に記載の静電塗装装
    置。
  16. 【請求項16】 前記噴霧塗料が染料を含むことを特徴
    とする請求項11〜15いずれかの項に記載の静電塗装
    装置。
  17. 【請求項17】 帯電された塗料を、被塗物に対して噴
    霧する塗装機を備えた静電塗装装置において、上記被塗
    物縁部を塗装するに際し、該縁部近傍に、反対の極性に
    帯電させた流体の雰囲気を形成する形成手段を備えたこ
    とを特徴とする静電塗装装置。
  18. 【請求項18】 前記塗装機が、回転駆動されて、供給
    される塗料を霧化させる回転ベルと、霧化された上記塗
    料を噴出する噴出口と、噴出された上記噴霧塗料の周り
    に吹き付けられてその噴霧形状を成形するシェーピング
    エアの吹き出し口とを備える回転ベル型塗装機であるこ
    とを特徴とする請求項17に記載の静電塗装装置。
  19. 【請求項19】 前記形成手段が、前記雰囲気を形成す
    るために前記流体を吹き出して、前記被塗物上での前記
    塗料の流速を、該縁部とそれ以外の部分とでほぼ同じ速
    度になるように、該縁部における該塗料の流速を増大さ
    せることを特徴とする請求項17または18に記載の静
    電塗装装置。
  20. 【請求項20】 前記噴霧塗料が染料を含むことを特徴
    とする請求項17〜19いずれかの項に記載の静電塗装
    装置。
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