JPH07250666A - 喫煙用品用フィルターおよび紙巻き煙草 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 主流煙中の揮発性物質量を選択的に削減でき
る喫煙用品用フィルターを提供する。 【構成】 白金を被覆した粒子を組み入れた喫煙用品用
フィルターである。このフィルターは、通過する喫煙用
品の主流煙の揮発性物質量を選択的に削減する。白金
は、通常別の金属被覆の上に被覆された、連続被覆また
は不連続被覆のものでよい。そして、この被覆は粒子基
体を包み込んできる。基体は低活性の活性炭素でよい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、紙巻き煙草等の喫煙用
品および喫煙用品用フィルターに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】喫煙用品のフィルター中に遷移金属を使
用する点に関しては、ある量の先行技術が存在する。そ
の先行技術の大部分は、そのような金属の存在の触媒効
果といわれている効果を強調して、それらの金属に出来
るだけ活性な形状を与えるように努力している。

【０００３】このような実例の１つは、ＵＳ−Ａ−４，
３１７，４６０に見られ、また「修正紙巻き煙草フィル
ターの使用による酸素窒素混合体から一酸化炭素を除去
する実験の結果」と題する「The Research Laboratorie
s of Eastman Chemical Products」の論文中にもある
が、後者の論文は１９７８年３月に公開されたようであ
る。これらの公開論文は触媒酸化による一酸化炭素の除
去に主眼を置いたものであった。ＵＳ−Ａ−４，３１
７，４６０では、使用される担体は触媒に特有のミクロ
細孔担体、すなわち、アルミナまたはゼオライトである
が、この開示では担体材料の中と外全体における採用金
属の分布の重要性を強調するとともに、予含浸処理ペレ
ットをつぶすことによって活性表面を生成することの重
要性もまた強調している。

【０００４】言及されている金属の1つは白金である
が、これは他の金属との混合体、特にロジウム、レニウ
ムまたはスズとの混合体の中の白金である。このような
混合体は密接混合体であり、担体の中で出来る限り均一
に分布している。「・・・実験の結果」の論文の中で、
その著者は二酸化マンガンやパラジウム等の種々の酸化
性触媒の効果を研究した。この研究はキャリヤーが制御
因子であると結論し、白金がアルミナ上に付着した時は
パラジウムとほぼ同じ結果を生じるが、他の材料上に付
着した時は活性は観測されなかったと報告している。

【０００５】ＪＰ−Ｂ−８２−０１１６３０では、紙巻
き煙草フィルターは１層のパラジウムまたは白金を有す
るが、このパラジウムまたは白金の層は接着剤と粉末活
性炭素との複合体上に支持されるともに、それぞれ活性
炭素と酸化物から成る第２および第３の層によって被覆
されている。このフィルターは紙巻き煙草の煙から一酸
化炭素と窒素酸化物とを除去するといわれている。この
ように、遷移金属上での酸化によりフィルター中の紙巻
き煙草の煙のガス成分を触媒的に処理するための巧妙で
費用のかかる様々な提案に対する図式が出てくる。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明では、特に「活
性」と認められない形状であるが、思いがけず有益で選
択的な効果があると判明した形状で白金を含んだ用品が
提供される。本発明に係る喫煙用品フィルターは、白金
金属で被覆された細粒状基体から成る粒子を含有する。
この基体は炭素、「Ｓｅｐｉｏｌｉｔｅ」（商標）等の
ケイ酸マグネシウム、またはプラスチックやセラミック
スやガラスのビーズでかまわない。基体が炭素の場合、
低活性の活性炭素を用いることができるが、それはこの
基体が滑らかで従って反射性の且つ引力性の被覆物でよ
り容易に被覆されるからである。白金被覆は包み込み性
のある被覆物かもしれないが、基体を包み込む銅、銀、
スズ、金または他の適当な金属等から成る別の被覆物上
に重ね合わされることが好ましいであろう。白金被覆は
電気化学的に達成するのが好ましいかもしれないが、ス
パッタリングによる物理的処理も可能である。白金塩か
ら化学的に白金被覆を生成することも可能である。電気
化学的析出では生成を容易にするため、銅基盤上に金お
よび／または銀の中間層の存在が必要になることが普通
である。

【０００７】これらの過程のどれかが基体の材料の活性
度に影響するであろうが、それはこれが表面処理である
とともに、粒子をこれ以上分解することが（偶然以外
に）予想できないからである。実際、白金だけの金属被
覆であろうと白金と他の金属との被覆であろうと存在す
れば、基体粒子の望ましくない分解を防止するのに効果
があるであろう。

【０００８】いずれにしても、得られる生成物は、少な
くとも１つの金属から成るとともに白金を含む本質的に
連続した層を外表面上のみに有する生成物である。しか
し、もし１つ以上の金属が存在すれば、それらの金属は
別々の分離した層の中にあるが、密接した原子混和材の
中にはないであろう。粒子の表面は少なくとも１つの金
属によって表面全体で連続していることが好ましいが、
その場合、白金材料の価格のために、銅、金または銀等
の他の金属の連続被覆、そしてその表面への白金のスパ
ッタリング付着物または電気化学析出物が恐らく存在す
る可能性があろう。

【０００９】フィルターの中で、白金の付着した粒子は
従来の酢酸セルロース中または他の繊維状フィルター材
中で一般的な混和体の中に存在させることができる。或
いは、これら粒子は従来の未処理活性炭素粒子または他
の従来の粒子フィルター成分と前記混和体の中で混和さ
せることができる。或いは、このような白金処理粒子は
フィルターの長手領域内または断面領域内で軸線方向ま
たは半径方向に偏在させて、フィルターの他の要素また
は部分との共同作用によって煙に特定の影響を与えるこ
とができる。前記他の要素または部分として、例えば、
通常の活性炭素またはケイ酸マグネシウムまたは紙を含
む帯域等がある。更に、フィルターを通り且つフィルタ
ー中の特定の帯域の中へ入り或いはそこから外へ出る煙
の流れを物理的に巧みに処理する目的で、フィルター材
に溝、管、または同様のものを含ませることができる。
もちろん、煙の化学的および物理的構成は、内部の種々
の部分で種々の処理をされているこのようなフィルター
を通る際に、色々変化する。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。図
１において、フィルター１は酢酸セルロースから成る長
手方向連続の帯域２と、黒アセテート繊維素（カーボン
・ブラックを組み込んだ酢酸セルロース）３と、紙４
と、そして中に活性炭素粒子を混和した酢酸セルロース
短繊維から成る帯域５とを有する。このような帯域５は
「ダルマチアン」(Dalmatian) として知られる場合があ
る。

【００１１】前記活性炭素粒子の大きさは平均粒径が
０．２５〜０．４５ｍｍの細粒、もしくは平均長さ３ｍ
ｍで平均半径０．８ｍｍの棒状物であり、その表面を全
体的にまたは部分的に覆うとともに表面／重量比を減少
させる目的でスパッタリングまたは電気化学処理によっ
て白金で被覆されている。この処理法はまた、より高い
活性炭素に加えて低活性炭素（例えば、四塩化炭素数３
５−４５）に渡金を行うために用いられる。細粒の大き
さは０．５ｍｍ以下から３ｍｍ以上に亙る。

【００１２】白金の量は約０．０２％から約２％以上ま
での範囲、好ましくは１から１．５％、最も好ましくは
被覆基体の重量で約１．１％でよい。図２で、フィルタ
ー１０は異なる媒体から成る長手方向に連続した帯域を
有する。帯域１１、１３、１５は紙または酢酸セルロー
スを有する。帯域１２、１４は活性炭素粒子を有する。
帯域１２と１４の片方もしくは両方中で、炭素粒子を
「Ｓｅｐｉｏｌｉｔｅ」（商標）粒子と置き換えるか、
混和してもよい。これら炭素粒子には先ず、１０μｍ以
下の厚み、望ましくは０．３μｍの厚みまで電気化学的
に金属（ここでは銅）の基層を被覆するが、この層によ
り粒子表面は有効に完全に閉鎖される。次に、必要であ
れば、銀と金の連続層を電気化学的に付着させる。

【００１３】次に、白金金属を、１０μｍ以下の厚み、
望ましくは０．３μｍの厚みまで電気化学的にこの外部
層上に被覆させるが、約０．００３μｍ以下の白金厚み
を生成することも可能である。別の方法として、このフ
ィルターに３個の帯域だけ（例えば、１１、１２および
１３）を持たせてもよい。

【００１４】図３で、フィルター２０は４個の帯域２
１、２２、２３および２４を有する。帯域２１は酢酸セ
ルロースである。帯域２２と２３はそれぞれ異なる直径
で、図１の帯域５のように白金被覆の炭素粒子を含有す
る特別な核心部分を有する。帯域２４は炭素含浸紙また
は炭素粒子含有の黒アセテートセルロースから成る。

【００１５】図４で、フィルター３０は、０．０５〜
０．３ｍｍの範囲の直径の炭素粒子を環状に含有する帯
域３１を有するが、この帯域は重量で２％未満まで、望
ましくは約０．０２〜１．１％の範囲白金を含有する金
属で被覆される。更に他の実施例で、この環状含有物
は、予想される使用法に従って、例えば「ダルマチア
ン」サイズの０．０５〜０．４５ｍｍや、或いは０．５
〜１．５ｍｍの大きさの３倍空洞に従って、約０．５以
下〜３ｍｍ以上の範囲の大きさの金属被覆炭素粒子を含
んでいてもよい。

【００１６】隣接する帯域には高密度の酢酸セルロース
核心３２を有するが、この核心はより低密度の酢酸セル
ロース３３に囲まれている。図５および図７はフィルタ
ー４０と５０が酢酸セルロース・フィルターの中に図４
の帯域３１の含有物と類似した螺旋形態の白金被覆の細
粒含有物４１、または複数隣接環５１として、どのよう
に有しているかを示している。図６で、フィルター６０
は低密度核心６１と高密度外部層６２とを有する帯域を
持つ。重量で２％以下まで、適度には約０．０２％〜
１．１％の範囲で白金を電気化学的またはスパッタリン
グで被覆した活性炭素粒子は黒アセテート帯域６３の中
に混和される。

【００１７】図８はフィルター７０を示すが、このフィ
ルターの中では、以前に図４で説明した金属被覆炭素粒
子（炭素との混和物の中にあってもよい）が、酢酸セル
ロース・フィルターまたは紙フィルター７２内で長手方
向に配置される細線７１へ接着されている。この細線は
同心的にも、偏心的にも配置することができる。この材
料は他の多重帯域フィルターの実施例、例えば図９に示
す実施例の内部の１つの部分として含有してもよい。図
９は、この型の部分８１と酢酸セルロース或いは紙の吸
い口８２とを組み込んだそのようなフィルター８０を図
解している。

【００１８】図１０で、フィルター９０は栓包みの外部
帯域を有するが、この外部帯域の中では、以前に図４で
説明した金属被覆炭素粒子９１（炭素と混和してもよ
い）が、フィルター形成に先立って栓包み９２の表面へ
接着される。この表面は形成後にフィルター材料に接触
する内部表面となる。粒子状の金属被覆炭素または混合
物は、フィルターの長手方向に沿った連続線形態（図１
０）を構成してもよいし、或いはフィルター１００（図
１１）と同様に栓包み９２へ断続的に接着して区画１０
１を形成してもよい。

【００１９】図１２および図１３は、フィルター１１０
と１２０の中で、図１０および図１１で説明した接着粒
子状材料から成る部分を他の多重帯域フィルター実施例
へどのように組み込んだらよいかを示している。例え
ば、フィルター１１０と１２０は外部栓包み１０４によ
ってそのような部分１０２と１０３へ取り付けた酢酸セ
ルロースまたは紙の吸い口８２を組み込む。

【００２０】図１４で、紙巻き煙草１２１は先端取付紙
１２３によってフィルター１２４へ接合される煙草棒１
２２を有するが、このフィルターは本発明のどの実施例
であってもよい。上述した実施例のいずれにも適用可能
な特に適切な金属被覆は、銅、銀、金および白金から成
る一連の層を具備する。適切な厚みは、それぞれ０．３
μｍ、２５．５μｍ、０．８μｍ、および０．３μｍで
あり、それぞれ重量％で０．５、５１．０、３．１、お
よび１．１である。他の構成では、一連の銅、銀、金お
よび白金の厚みはそれぞれ約４〜６μｍ、０．２５〜２
５．５μｍ、０．１〜２．０μｍ、および０．００１〜
０．３μｍの範囲であり、それぞれ重量％で約５０〜７
０、３．４〜５１、０．６〜１４．３、および０．００
３〜１．１でよい。また、必要であれば、白金は銀層の
上に直接付着させ、従って金の段階を省略してよい。

【００２１】煙の主流の化学分析によれば、蒸気相成分
の減少は１５〜７０メッシュの大きさの低活性炭素を通
す濾過後には殆ど或いは全く起こらないということが分
かった。しかし、添付の表によれば、少なくとも紙巻き
煙草フィルター内の温度でほぼ完全に不活性なフィルタ
ー成分と考えられるような物質が、実際に非常に驚くべ
き選択的な活性度をどのようにして有するかということ
が分かる。

【００２２】煙草棒からの煙は４種の主要な成分帯を有
する。つまり、永久気体、蒸発体（すなわち、蒸発した
液体）、準蒸発体、そして非蒸発体であるが、後の２つ
は合わせて微粒子と考えられる。従来の技術の触媒活性
は、一酸化炭素および窒素酸化物等の永久気体に関して
観測されたと言われている。本結果によれば、使用温
度、すなわち室温または少し高めの温度で、本フィルタ
ーの白金含浸粒子は永久気体に観測可能な影響を及ぼさ
ないが、フィルターを通過する蒸発体の量を非常に著し
く減少させるということが分かっている。準蒸発煙成分
であるニコチンに対する影響は全く観測されなかった。

【００２３】各実験では、基体に活性炭素を含有する市
販のフィルター付き紙巻き煙草を用いた。フィルター内
に空洞を形成して試験材料を装入した。実験結果では、
対照標準ＡおよびＢを試験した際に認められた蒸発体の
増加を掲載したが、その理由はこれらの対照標準が高活
性炭素をいくらかの量だけ非被覆低活性炭素と置き換え
たからである。本発明の実施例であるフィルターに対す
る結果Ｃで達成された蒸発体の減少は顕著である。結果
は以下の通りである。なお、表１中において（＊１）は
２８種の主流蒸発体の平均収量変化を示し、（＊２）は
厚み約０．３μｍまでの白金被覆（重量で１．１％の白
金被覆）を施した平均長さ３ｍｍ、平均半径０．８ｍｍ
の白金被覆炭素棒である。

【００２４】

【表１】

【００２５】表１によれば、試料ＡおよびＢのフィルタ
ーは、１．５〜１０．３％の蒸発体の主流収量の平均増
加から明らかなように、蒸発体の除去に関して基体より
効率が悪かった。その原因は、フィルター空洞内に組み
込まれた低活性炭素にあり、基体ほどの蒸発体濾過効率
が得られない。空洞内の炭素重量を倍に増やしても（試
料Ｂ）、平均蒸発体収量は基体と比較して１．５％増加
するだけである。これらの実験は、低活性炭素が主流蒸
発体成分の除去に及ぼす影響は極微であるということを
示している。

【００２６】しかし、空洞に低活性炭素に加えて白金被
覆炭素添加物を含む試料Ｃでは、基体と比較して主流蒸
発体物質の平均収量が２３．１％も減少することによっ
て分かるように、主流蒸発体に対する濾過効率は大きく
増大する。２８種の成分に関して主流蒸発体を採取し
た。そのうちの主たる成分とその変化率とを表２および
表３に示す。

【００２７】

【表２】

【００２８】

【表３】

【００２９】表２および表３の結果より、永久気体とニ
コチン（準蒸発体）に対する影響はゼロまたは無視でき
るということが分かる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る喫煙用品用のフィルターの一実施
例を示す斜視図である。

【図２】本発明のフィルターの他の実施例を示す斜視図
である。

【図３】本発明のフィルターのさらに他の実施例を示す
斜視図である。

【図４】本発明のフィルターのさらに他の実施例を示す
斜視図である。

【図５】本発明のフィルターのさらに他の実施例を示す
斜視図である。

【図６】本発明のフィルターのさらに他の実施例を示す
斜視図である。

【図７】本発明のフィルターのさらに他の実施例を示す
斜視図である。

【図８】本発明のフィルターのさらに他の実施例を示す
斜視図である。

【図９】本発明のフィルターのさらに他の実施例を示す
斜視図である。

【図１０】本発明のフィルターのさらに他の実施例を示
す斜視図である。

【図１１】本発明のフィルターのさらに他の実施例を示
す斜視図である。

【図１２】本発明のフィルターのさらに他の実施例を示
す斜視図である。

【図１３】本発明のフィルターのさらに他の実施例を示
す斜視図である。

【図１４】本発明に係る紙巻き煙草の一実施例を示す斜
視図である。

【符号の説明】

１，１０，２０，３０，４０，５０，６０，７０，８
０，９０，１００，１１０，１２０ 喫煙用品用フィル
ター １２，１４，２２，２３，３１ 白金被覆された炭素粒
子を含む帯域 ４１ 白金被覆の細粒含有物

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被覆白金を外部表面に含浸する基体を具
   備する粒子を具備することを特徴とする喫煙用品用フィ
   ルター。
2. 【請求項２】 前記基体が被覆層中に包まれていること
   を特徴とする請求項１記載の喫煙用品用フィルター。
3. 【請求項３】 前記包み層が被覆白金から成ることを特
   徴とする請求項２記載の喫煙用品用フィルター。
4. 【請求項４】 前記包み層が白金以外の金属から成ると
   ともに、前記包み層の表面上に白金を被覆したことを特
   徴とする請求項２記載の喫煙用品用フィルター。
5. 【請求項５】 前記粒子が滑らかで反射するような外観
   を有することを特徴とする請求項１記載の喫煙用品用フ
   ィルター。
6. 【請求項６】 前記基体が炭素であることを特徴とする
   請求項１記載の喫煙用品用フィルター。
7. 【請求項７】 前記炭素が低活性の活性炭素であること
   を特徴とする請求項６記載の喫煙用品用フィルター。
8. 【請求項８】 請求項１記載のフィルターを組み込んだ
   紙巻き煙草。
9. 【請求項９】 喫煙用品による主流煙中の蒸発体を選択
   的に削減するために被覆白金を表面に含浸した粒子を前
   記喫煙用品用フィルター中に使用する方法。
10. 【請求項１０】 喫煙用品の主流煙中の蒸発体を選択的
    に削減する方法であって、請求項１記載のフィルター中
    に前記主流煙を通過させることを具備する方法。