JPH09140370A - たばこエレメントおよびその製造方法 - Google Patents

たばこエレメントおよびその製造方法

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JPH09140370A
JPH09140370A JP7327989A JP32798995A JPH09140370A JP H09140370 A JPH09140370 A JP H09140370A JP 7327989 A JP7327989 A JP 7327989A JP 32798995 A JP32798995 A JP 32798995A JP H09140370 A JPH09140370 A JP H09140370A
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filter
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Nobuyuki Oji
信之 大路
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 たばこ煙中の一酸化炭素を有効に除去し、喫
煙者の口腔内への一酸化炭素流入量を低減する。 【解決手段】 たばこを構成する要素(葉たばこ又はた
ばこ煙用フィルター)に、担体とこの担体に担持された
金触媒(金微粒子)とで構成された触媒成分を添加す
る。前記たばこ煙用フィルターは、さらに吸着剤を含ん
でいてもよい。前記触媒成分は、酸化鉄、酸化コバルト
および酸化ニッケルなどの遷移金属酸化物から選択され
た担体と平均粒径0.1〜10nmの微粒子状の金触媒
とで構成され、金原子の担持量は、触媒成分の金属成分
全体に対して、0.1〜15%程度である。紙巻きたば
こ(シガレット)は、葉たばこ部と、この葉たばこ部に
装着されたたばこ煙用フィルターとで構成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、喫煙者の口腔内へ
の一酸化炭素流入量を低減し、喫煙者の健康に及ぼす悪
影響を軽減できるたばこエレメント(葉たばこやたばこ
煙用フィルター)およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、健康に及ぼすたばこの影響との関
連から、先進諸国を中心に喫煙時の口腔内への有害成分
の流入量(デリバリー量と称する場合がある)を低減さ
せるための種々の検討がなされている。たばこ煙成分の
うち、たばこの燃焼時に発生する一酸化炭素成分は、血
液中のヘモグロビンとの結合力が強く、人体への悪影響
が懸念される成分の1つである。そのため、たばこ煙中
の一酸化炭素成分を除去することが重要な課題である。
【0003】一酸化炭素を除去する方法として、特開昭
53−39266号公報には、たばこ煙用フィルター内
にゼオライトを添加し、たばこの主たる流煙中に含まれ
る一酸化炭素成分を吸着除去する方法が開示されてい
る。この方法は、室温付近での二酸化炭素成分に対する
吸着能は高いものの、一酸化炭素に対する吸着能が小さ
い。そのため、たばこ煙中の一酸化炭素を効率よく除去
することが困難である。
【0004】特開昭58−216684号公報には、た
ばこ煙フィルター内に、クロレラと、過炭酸塩、過ホウ
酸塩及び過硫酸塩から選ばれた少くとも一種とを添加す
ることにより、たばこ煙中の一酸化炭素を吸着除去する
方法が提案されている。この方法は、一酸化炭素成分に
対して比較的高い除去性能を示すものの、たばこ煙フィ
ルターを長時間放置すると、時間の経過とともにクロレ
ラが変色し、ついには異臭を発生させるので、たばこ自
体の喫味を損なう虞がある。
【0005】一方、特開昭60−216843号公報に
は、酸化アルミニウム粒子の表面に白金やパラジウムを
担持させた触媒を用いて、たばこ煙中の一酸化炭素を二
酸化炭素に酸化して除去する方法が提案されている。こ
の触媒は、比較的高温のたばこ煙が触媒に接触すると、
一酸化炭素に対する酸化能が発現するものの、室温付近
では一酸化炭素に対する酸化能が低下し、たばこ煙中の
一酸化炭素を効率よく除去することが困難である。ま
た、一酸化炭素の除去能が喫煙時の外部環境、特に外気
温に大きく左右される。
【0006】さらに、特開昭60−28823号公報に
は、マンガン酸化物にパラジウム微粒子を担持させた触
媒粉末を充填したたばこホルダーを用い、たばこ煙中の
一酸化炭素を二酸化炭素に酸化して除去する方法が開示
されている。この方法は、一酸化炭素に対する酸化能が
室温程度でも比較的高い。また、この先行文献にはフィ
ルターやシガレットホルダーに充填使用するたばこ煙中
COの低減用に使用でこることが記載されている。しか
し、前記触媒成分を用いる方法では、たばこの喫味が損
なわれる虞がある。
【0007】さらには、葉たばこ部の燃焼速度により燃
焼温度を調製し、一酸化炭素の発生を抑制し、一酸化炭
素のデリバリー量を低減することも考えられる。しか
し、この方法では、葉たばこ部の燃焼速度を小さくする
のに限界があるので、必然的に一酸化炭素の生成量の抑
制にも限界がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、たばこ煙中の一酸化炭素を有効に除去できる、葉た
ばこやたばこ煙用フィルターなどのたばこエレメント及
びその製造方法を提供することにある。本発明の他の目
的は、たばこ煙中の一酸化炭素を高い触媒活性で効率よ
く二酸化炭素に酸化して除去でき、喫煙者の口腔内への
一酸化炭素流入量を著しく低減できるたばこエレメント
及びその製造方法を提供することにある。本発明のさら
に他の目的は、喫味を改善できるとともに、喫煙者の健
康に悪影響を及ぼす虞のある一酸化炭素量を軽減できる
たばこエレメント及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討の結果、担体に触媒活性成分と
しての金触媒が担持された触媒成分を葉たばこ又はフィ
ルター素材に添加すると、喫煙により生成する一酸化炭
素を高い効率で除去できることを見いだし、本発明を完
成した。
【0010】すなわち、本発明のたばこエレメントは、
たばこを構成する要素に触媒成分が添加されたエレメン
トであって、前記触媒成分が担体とこの担体に担持され
た金触媒とで構成されている。たばこを構成する要素
は、葉たばこ又はたばこ煙用フィルターであってもよ
い。前記触媒成分は、担体と、この担体に担持された金
微粒子とで構成することができる。さらに、前記たばこ
煙用フィルターは、さらに吸着剤を含んでいてもよい。
【0011】本発明には、セルロースエステル繊維を
含むフィルターロッドに、たばこ煙中の一酸化炭素を酸
化する触媒成分が含まれているフィルターであって、前
記触媒成分が、酸化鉄、酸化コバルトおよび酸化ニッケ
ルから選択された少なくとも一種の担体と、この担体に
担持された金触媒とで構成されているたばこ煙用フィル
ターや、葉たばこに、たばこ煙中の一酸化炭素を酸化
する触媒成分を添加したシガレットであって、前記触媒
成分が、酸化鉄、酸化コバルトおよび酸化ニッケルから
選択された少なくとも一種の担体と、この担体に担持さ
れた金触媒とで構成されているシガレットも含まれる。
このシガレットにおいて、葉たばこ部には、たばこ煙用
フィルターが装着されていてもよい。
【0012】本発明のたばこエレメントは、担体とこの
担体に担持された金触媒とで構成されている触媒成分
を、たばこを構成する要素に添加することにより製造で
きる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明のたばこエレメントは、ロ
ッド状たばこを構成する種々の要素(例えば、葉巻たば
こ、紙巻きたばこ(シガレット)、たばこ煙用フィルタ
ーなど)と、喫煙にともなって生成する一酸化炭素を有
効に除去するため、前記要素に添加された触媒成分とで
構成されている。以下に、前記ロッド状たばこの構成要
素と触媒成分について説明する。
【0014】[たばこ構成要素]葉たばこ 葉たばこは、紙巻きたばこ、葉巻たばこのいずれであっ
てもよいが、刻みたばこなどのたばこ葉を巻紙を用いて
ロッド状に成形した紙巻きたばこ(シガレット)に有効
に適用される。シガレットの葉たばこ部(たばこ本体)
は、たばこ煙用フィルターを備えていないシガレット全
体を構成してもよい。
【0015】フィルター 本発明は葉たばこ部に装着されるたばこ煙用フィルター
にも好適に適用される。葉たばこ部の口元に装着される
たばこ煙用フィルターは、慣用のフィルター素材、例え
ば、セルロース(フィブリル化されていてもよい木材パ
ルプやリンターパルプなど)、再生セルロース(ビスコ
ースレーヨン、銅アンモニアレーヨンなど)、セルロー
スエステル、合成高分子(ポリエステル、ポリウレタ
ン、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)
などの繊維や粉粒体で構成できる。これらの繊維や粉粒
体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ま
しいフィルター素材には、セルロース繊維及び/又はセ
ルロースエステル繊維が含まれ、喫味を向上させるため
少くともセルロースエステル繊維を含む場合が多い。セ
ルロースエステル繊維としては、例えば、セルロースア
セテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチ
レートなどの有機酸エステル(例えば、炭素数2〜4程
度の有機酸とのエステル);セルロースアセテートプロ
ピオネート、セルロースアセテートブチレートなどの混
酸エステル;およびポリカプロラクトングラフト化セル
ロースエステルなどのセルロースエステル誘導体などが
例示される。これらのセルロースエステル繊維も、単独
でまたは二種以上混合して使用できる。
【0016】セルロースエステルの平均重合度(粘度平
均重合度)は、例えば、50〜900、好ましくは20
0〜800程度の範囲から選択でき、セルロースエステ
ルの平均置換度は、例えば、1.5〜3.0程度の範囲
から選択できる。
【0017】好ましいセルロースエステルには、例え
ば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネー
ト、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロ
ピオネート、セルロースアセテートブチレート、特にセ
ルロースアセテートが含まれる。
【0018】繊維の断面形状は、特に制限されず、例え
ば、円形、楕円形、異形(例えば、Y字状、X字状、I
字状、R字状、H字状など)や中空状などのいずれであ
ってもよい。繊維径及び繊維長は、繊維の種類に応じて
選択でき、例えば、繊維径0.01〜100μm、好ま
しくは0.1〜50μm程度、繊維長50μm〜5c
m、好ましくは100μm〜3cm程度の範囲から選択
する場合が多い。セルロースエステルの繊度は、1〜1
6デニール、好ましくは1〜10デニール程度の範囲か
ら選択できる。セルロースエステル繊維などの繊維は、
非捲縮繊維又は捲縮繊維のいずれであってもよい。繊維
は、例えば、3,000〜1,000,000本、好ましくは5,000〜1
00,000本程度のセルロースエステル繊維の単繊維(フィ
ラメント)を束ねることにより形成されたトウ(繊維
束)の形態で使用できる。
【0019】フィルター素材で形成されたたばこ煙フィ
ルターは、フィルターロッドに適度な硬度を発現させる
ため、慣用のバインダー成分を含んでいてもよい。バイ
ンダー成分としては、繊維の種類に応じて、可塑剤(ト
リアセチンなど)、樹脂(天然高分子、半合成高分子、
合成高分子から選択された水溶性高分子又は水不溶性高
分子)、デンプンやデンプン誘導体などの多糖類などが
使用でき、樹脂は、溶液、分散液などの液状又は半固形
状、粉粒状、繊維状などの固形、溶融状などで使用でき
る。
【0020】たばこ煙フィルターは、フィルター特性を
損なわない範囲の通気抵抗および密度、例えば、長さ1
0cm、直径7.8mmφのフィルターにおいて、通気
抵抗200〜600mmWG(ウォーターゲージ)、好
ましくは300〜500mmWG程度であり、密度は
0.20〜0.50g/cm2 、好ましくは0.25〜
0.45g/cm2 (例えば、0.30〜0.45g/
cm2 )程度である場合が多い。
【0021】[触媒成分]前記たばこ要素に添加する触
媒成分は、担体と、この担体に担持された触媒活性成分
としての金触媒とで構成されており、金触媒は微粒子状
で担持されている場合が多い。前記触媒活性成分を担持
する担体は、前記金触媒の活性が有効に発現する限り特
に制限されず、例えば、活性炭、シリカゲル、ゼオライ
ト、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、ニッケル−
アルミナなどであってもよいが、遷移金属の酸化物であ
るのが好ましい。遷移金属の酸化物には、例えば、S
c,Y、ランタノイド金属やアクチノイド金属などの周
期表3A族金属、Ti,Zrなどの周期表4A族金属、
Vなどの周期表5A族金属、Mo,Wなどの周期表6A
族金属、Mnなどの周期表7A族金属、Cu,Agなど
の周期表1B族金属、Znなどの周期表2B族金属、F
e,Ru,Co,Rh,Ni,Pd,Ptなどの周期表
8族金属から選択された金属の酸化物が含まれる。これ
らの担体は単独又は二種以上使用できる。好ましい担体
は、喫煙時又は喫煙後も固形を維持できる不燃性を有
し、喫煙により有害成分を生成しない担体である。特に
好ましい担体には周期表8族金属(例えば、鉄,コバル
ト,ニッケルなど)の酸化物が含まれる。担体の比表面
積は、広い範囲、例えば、1〜3000m2 /g、好ま
しくは10〜2000m2 /g(例えば、100〜15
00m2 /g)程度の範囲から選択できる。
【0022】触媒担体に担持された金微粒子の粒径は、
触媒活性を有効に発現できる範囲、例えば、金原子のサ
イズから30nm程度の範囲から選択できる。金微粒子
の粒径は、例えば、30nm以下(例えば、0.5〜3
0nm程度)、好ましくは20nm以下(例えば、1〜
20nm)、さらに好ましくは1〜10nm(例えば、
1〜5nm)程度である場合が多い。触媒活性成分の担
持量は、金触媒の活性が発現する範囲、例えば、触媒担
体と触媒活性成分とを合せた触媒成分に対して、金原子
0.1〜15%、好ましくは1〜10%、さら好ましく
は2〜8%(例えば、3〜6%)程度である。金原子の
担持量が0.1%未満では、一酸化炭素を酸化除去能が
小さく、15%を越えても金原子同士が近接しすぎて凝
集し、粗大粒子となる可能性があり、一酸化炭素除去能
がさほど向上しない場合が多い。なお、金触媒は、触媒
担体に微粒子状で均一に高分散して担持されているのが
好ましい。
【0023】なお、金原子の担持量「%」は、触媒成分
の全金属成分に対する金原子の割合を意味し、次のよう
にして算出することができ、上記金属成分には、炭素も
含まれる。例えば、触媒成分が、nモルの金属酸化物F
23からなる担体と、この担体に担持された金m
(g)とで構成されている場合[すなわちAu m
(g)/(n×Fe23)]である場合、金原子の個数
NAu=m(g)÷197(金の原子量)×N(アボガド
ロ数)、触媒担体の鉄金属原子の個数Ns=n×2×N
で表されるから、計算式NAu/(NAu+Ns)×100
(%)で算出できる。
【0024】触媒成分の粒径は、一酸化炭素の除去効率
を低下させず、巻上げ作業性を損なわない範囲で選択で
き、例えば、平均粒径1〜1000μm(例えば、10
〜1000μm)、好ましくは20〜700μm(例え
ば、30〜500μm)、さらに好ましくは50〜50
0μm(例えば、30〜350μm)程度である。
【0025】なお、前記担体や触媒成分は、葉たばこや
フィルターへの添加に際して分散液として使用する場合
には分散性を向上させるため、分散剤などにより表面処
理されていてもよく、分散剤などの添加剤を含んでいて
もよい。また、燃焼時に比表面積が減少するのを抑制す
るため、担体には酸化処理などの表面処理を施してもよ
い。
【0026】葉たばこやフィルターに対する触媒成分の
添加量は、触媒成分の種類や使用形態などに応じて選択
でき、ロッド状たばこの構成要素(葉たばこ又はフィル
ター)100重量部に対して1〜100重量部、好まし
くは5〜80重量部(例えば、5〜50重量部)、さら
に好ましくは10〜70重量部程度である。触媒成分の
添加量が少いと、たばこ煙中の一酸化炭素に対する除去
効率が低下し、多過ぎると喫味やフィルターの巻上げ作
業性を損なう虞がある。
【0027】なお、担体に対する金触媒の担持は、慣用
の方法、例えば、ハロゲン化物、シアン化物、錯体化合
物、錯塩、有機金化合物などの金化合物を、担体に含
浸、浸漬などの方法で適用し、加熱又は還元処理した
り、pH調整などにより金化合物を担体上に沈澱(沈
着)させた後、加熱又は還元処理することにより金を析
出させる方法、蒸着などの物理的方法により行なうこと
ができる。担体として金属酸化物を用いる場合、具体的
には、次のような担持方法が採用できる。 共沈法:塩化金酸(HAuCl4)と、金属酸化物に
対応する金属の無機酸塩(硝酸塩など)との混合水溶液
を、アルカリ金属炭酸塩(炭酸ナトリウム)などの無機
塩基の水溶液に加え、生成する共沈物を水洗、乾燥した
後、焼成する方法。 クエン酸マグネシウム添加法:予め調製した金属酸化
物粉末を懸濁した塩化金酸水溶液に、クエン酸マグネシ
ウム(Mg3(C6572)を添加し、熟成した後、
水洗、乾燥し、空気中で焼成する方法。また、上記共沈
法において、共沈した後、クエン酸マグネシウムを添加
し、金を超微粒子状に担持する方法。
【0028】滴下析出担持法:金属酸化物を浸漬した
水溶液中に、pHをほぼ一定に保持しながら、塩化金酸
水溶液とアルカリ金属炭酸塩(炭酸ナトリウム)などの
無機塩基の水溶液とを適宜滴下し、水酸化金を析出させ
て担持した後、水洗乾燥した後、空気中で焼成する方
法。この方法は、金を少量担持する場合に有効であり、
ハニカムやビーズ状担体などの成形体に金属酸化物を含
浸担持させ、得られた担体に金触媒を担持させることも
できる。上記より明らかなように、水酸化金を沈澱また
は析出させた後、焼成することにより、金の(超)微粒
子を担持させる場合が多い。
【0029】本発明において、前記触媒成分は、常温付
近においても一酸化炭素に対して高い触媒活性(酸化活
性)を示す。紙巻きたばこ(シガレット)が、葉たばこ
部と、この葉たばこ部の口元に装着されたたばこ煙用フ
ィルターとで構成されている場合、葉たばこ部及びたば
こ煙用フィルターの少くとも一方の要素に触媒成分が添
加されていればよいが、葉たばこ部及びたばこ煙用フィ
ルターの双方に触媒成分を添加すると、喫煙に伴って生
成する一酸化炭素をさらに有効に除去でき、喫煙者の健
康に及ぼす悪影響を顕著に軽減できる。
【0030】また、たばこ煙用フィルターは、気相成分
を選択的に除去して喫味を向上させたり、一酸化炭素の
除去効率をさらに高めるため、吸着剤、例えば、活性
炭、ゼオライト(天然又は合成ゼオライト)、アルミ
ナ、シリカなどを含んでいてもよい。吸着剤の比表面積
は、フェノール類などの有害成分の除去効率を損なわな
い範囲で選択でき、例えば、200〜4000m2
g、好ましくは300〜3000m2 /g、さらに好ま
しくは500〜2500m2 /g程度である場合が多
い。なお、吸着剤は葉たばこに添加してもよい。吸着剤
の粒径は、有害成分に対する除去効率を損なわず、喫味
を改善できるとともに、巻上げ操作性を損なわない範囲
で選択でき、例えば、平均粒径10〜1000μm、好
ましくは20〜500μm(例えば、50〜500μ
m)、さらに好ましくは30〜350μm程度である。
吸着剤の添加量は、フィルター素材100重量部に対し
て1〜100重量部、好ましくは5〜80重量部(10
〜50重量部)、さらに好ましくは10〜70重量部程
度の範囲から選択できる。
【0031】触媒成分や吸着剤は、たばこの構成要素
(葉たばこ又はフィルター)内に全体に亘り均一に分布
(散在)していてもよく、不均一又は部分的に存在して
いてもよい。また、触媒成分や吸着剤は、たばこの構成
要素のうち同一の部位又は異なる部位に存在していても
よい。例えば、紙巻きたばこ(シガレット)では、巻紙
の片面又は両面に均一又は不均一に触媒成分を保持させ
てもよく、部分的にコーティングしてもよい。また、た
ばこ煙用フィルターでは、触媒成分や吸着剤は、一般の
たばこ煙用フィルターの構造に応じて種々の態様で添加
でき、例えば、デュアルフィルターやトリプルフィルタ
ーなどにおいては、複数のフィルターチップ間の間隙部
に充填してもよい。
【0032】なお、たばこ煙用フィルターやフィルター
素材は、種々の添加剤、例えば、白色度改善剤(例え
ば、酸化チタン、好ましくはアナターゼ型酸化チタ
ン)、カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カル
シウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナなどの無
機微粉末;アルカリ金属やアルカリ土類金属の塩などの
熱安定化剤;着色剤;油剤;歩留まり向上剤;活性炭な
どの吸着剤;生分解促進剤;光分解促進剤などを含んで
いてもよい。
【0033】本発明のたばこエレメントは、触媒成分
を、たばこを構成する要素に添加することにより製造で
き、触媒成分や吸着剤が前記構成要素に添加可能である
限り、特に制限されない。例えば、葉たばこ部は、粉粒
状の触媒成分と葉たばことを混合し、巻紙でロッド状に
巻上げる方法、水などに触媒成分を分散させた分散液
(スラリーなど)と葉たばことを混合し、巻紙で巻上げ
た後、溶媒を除去する方法、巻紙で葉たばこを巻上げた
後、触媒成分の分散液(スラリーなど)をロッド部に適
用し、溶媒を除去する方法などにより得ることができ
る。なお、ロッド状に巻上げられた葉たばこは、必要に
応じて所定の長さに切断される。
【0034】また、たばこ煙用フィルターは、フィルタ
ー素材に、必要に応じてバインダー成分とともに、触媒
成分や吸着剤を添加しながら、巻紙でロッド状に巻き上
げることにより製造できる。フィルターの製造におい
て、触媒成分及び吸着剤の添加には、たばこ煙用フィル
ターの製造に利用されている活性炭添加装置などをその
まま利用できる。例えば、フィルター素材として繊維を
用いる場合、繊維束(トウ)を開繊幅5〜50cm程度
に開繊して触媒成分や吸着剤を添加しながら、巻紙でロ
ッド状に巻き上げることにより製造できる。また、フィ
ルター素材に触媒成分や吸着剤を添加して、抄紙などの
方法により紙様のシート状に成型した後、シートを巻紙
でロッド状に巻き上げることによってもフィルターを得
ることができる。巻上げられたロッド状のフィルター
は、通常、所定の長さに切断され、フィルターチップと
する場合が多い。
【0035】なお、一酸化炭素デリバリー量をより有効
に低減するため、葉たばこ部の燃焼速度を調整(遅延)
させたり、ベンチレーション機能を有するフィルターと
組み合わせて使用してもよい。
【0036】
【発明の効果】本発明のたばこエレメント(葉たばこや
たばこ煙用フィルター)は、触媒成分によりたばこ主煙
中の一酸化炭素を二酸化炭素へ効率よく酸化して除去で
きる。そのため、喫煙者の口腔内への一酸化炭素流入量
を著しく低減できる。また、喫味を改善できるととも
に、喫煙者の健康に及ぼす悪影響を軽減できる。
【0037】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。 実施例1 断面Y字状のフィラメント(2.2デニール)で構成され
たセルロースアセテート繊維のトウ(トータルデニール
40000)を幅約20cmに開繊し、たばこ煙用チャコー
ルフィルター製造用巻上げ機(ドイツ,ハウニ社製,KD
F2/AC1/AF1)の活性炭粉末添加装置を用いて、開繊した
トウ100重量部に対して、触媒活性成分として金微粒
子(平均粒径5nm)を5%担持した酸化ニッケル粉末
(平均粒径250μm)50重量部をフィルター巻上げ
時に均一に散布し、トウを紙巻装置に供給し、巻取紙を
用いてトウを巻上げ速度400m/分で巻上げ、得られ
たフィルターロッドをカッターで長さ102mmに切断
した。得られたフィルターをさらに長さ25mmに切断
し、フィルターサンプルを作製した。
【0038】実施例2及び3 酸化ニッケルに代えて触媒担体として酸化鉄(実施例
2)、酸化コバルト(実施例3)を用いた金微粒子担持
触媒成分を用い、実施例1と同様にしてフィルターサン
プルを作製した。
【0039】実施例4 触媒成分を添加することなく、実施例1と同様にして巻
上げたフィルターを長さ14mmと長さ10mmに切断
し、これらの2つのフィルター間の間隙1mmに、トウ
100重量部に対して、触媒活性成分として金微粒子
(平均粒径5nm)を5%担持した酸化ニッケル粉末
(平均粒径250μm)50重量部となるように充填
し、全長が25mmとなるように巻取紙で再度巻上げ、
フィルターサンプルを作製した。
【0040】比較例1 触媒成分を添加することなく、実施例1と同様にしてフ
ィルターサンプルを調製した。
【0041】比較例2 金粒子を担持していない酸化ニッケル粉末を添加する以
外、実施例1と同様にしてフィルターサンプルを調製し
た。
【0042】比較例3〜5 酸化ニッケル粉末に白金微粒子(比較例3)、ロジウム
微粒子(比較例4)又はパラジウム微粒子(比較例5)
を担持した触媒成分を用いる以外、実施例1と同様にし
てフィルターサンプルを調製した。
【0043】そして、実施例及び比較例において、たば
こ主煙中の一酸化炭素デリバリー量を、次のようにして
測定した。 一酸化炭素デリバリー量:フィルターサンプルに、日本
たばこ産業(株)製の商品名「ピースライト」の葉たば
こ部を接続してシガレットサンプルを調製し、ピストン
タイプの定容量型自動喫煙機(ドイツ,ボルグワルド社
製,RM20/CS)を用い、流量17.5ml/秒,喫煙時
間2秒/回、喫煙頻度1回/分の条件でシガレットサン
プルを喫煙した。そして、喫煙後の主流煙から全粒子成
分を除去した気相成分を、非分散赤外線式一酸化炭素測
定器(ドイツ,ボルグワルド社製,ULTRAMAT-1)を用い
て分析した。なお、比較例1における一酸化炭素デリバ
リー量を「1.00」とし、シガレットサンプルの一酸
化炭素デリバリー量を相対値として評価した。一酸化炭
素デリバリー量の評価は、温度23℃、相対湿度65%
の雰囲気中で約24時間放置して調湿したたばこ試料に
ついて行なった。結果を表1に示す。
【0044】
【表1】 表1に示されるように、比較例に比べて、実施例で得ら
れたシガレットサンプルは、一酸化炭素デリバリー量が
3倍程度小さく、一酸化炭素を効率よく除去できる。
【0045】実施例5 葉たばこ100重量部に対して、触媒活性成分として金
微粒子(平均粒径5nm)を5%担持した酸化ニッケル
粉末(平均粒径250μm)50重量部を均一に混合
し、巻紙を用いてロッド状に巻上げ、得られた葉たばこ
をカッターで長さ59mmに切断し、葉たばこサンプル
を調製した。
【0046】実施例6及び7 酸化ニッケルに代えて触媒担体として酸化鉄(実施例
6)、酸化コバルト(実施例7)を用いた金微粒子担持
触媒成分を用い、実施例5と同様にして葉たばこサンプ
ルを調製した。
【0047】比較例6 触媒成分を添加することなく、実施例5と同様にして葉
たばこサンプルを調製した。
【0048】比較例7 金粒子を担持していない酸化ニッケル粉末を添加する以
外、実施例5と同様にして葉たばこサンプルを調製し
た。
【0049】そして、実施例1の一酸化炭素デリバリー
量の測定方法において、実施例5〜7,比較例6及び7
の葉たばこサンプルに、日本たばこ産業(株)製の「ピ
ースライト」のフィルター部を接続してシガレツトサン
プルを作製する以外、前記試験方法と同様にして一酸化
炭素デリバリー量を測定した。結果を表2に示す。
【0050】
【表2】 表2に示されるように、比較例に比べて、実施例で得ら
れたシガレットサンプルは、一酸化炭素除去能が極めて
高い。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 たばこを構成する要素に触媒成分が添加
    されたエレメントであって、前記触媒成分が担体とこの
    担体に担持された金触媒とで構成されているたばこエレ
    メント。
  2. 【請求項2】 たばこを構成する要素が葉たばこ又はた
    ばこ煙用フィルターである請求項1記載のたばこエレメ
    ント。
  3. 【請求項3】 触媒成分が、担体と、この担体に担持さ
    れた金微粒子とで構成されている請求項1記載のたばこ
    エレメント。
  4. 【請求項4】 金微粒子の平均粒径が0.1〜10nm
    である請求項3記載のたばこエレメント。
  5. 【請求項5】 担体が遷移金属の酸化物である請求項1
    又は3記載のたばこエレメント。
  6. 【請求項6】 担体が、周期表8族金属の酸化物である
    請求項1,3又は5記載のたばこエレメント。
  7. 【請求項7】 担体が、酸化鉄、酸化コバルトおよび酸
    化ニッケルから選択された少なくとも一種である請求項
    1,3,5又は6記載のたばこエレメント。
  8. 【請求項8】 触媒成分に対する金原子の割合が0.1
    〜15%である請求項1記載のたばこエレメント。
  9. 【請求項9】 触媒成分の割合が、たばこを構成する要
    素100重量部に対して、1〜100重量部である請求
    項1記載のたばこエレメント。
  10. 【請求項10】 たばこ煙用フィルターが、さらに吸着
    剤を含む請求項2記載のたばこエレメント。
  11. 【請求項11】 吸着剤が、活性炭、天然又は合成ゼオ
    ライトから選ばれた少なくとも一種である請求項10記
    載のたばこ煙用フィルター。
  12. 【請求項12】 セルロースエステル繊維を含むフィル
    ターロッドに、たばこ煙中の一酸化炭素を酸化する触媒
    成分が含まれているフィルターであって、前記触媒成分
    が、酸化鉄、酸化コバルトおよび酸化ニッケルから選択
    された少なくとも一種の担体と、この担体に担持された
    金触媒とで構成されているたばこ煙用フィルター。
  13. 【請求項13】 葉たばこに、たばこ煙中の一酸化炭素
    を酸化する触媒成分を添加したシガレットであって、前
    記触媒成分が、酸化鉄、酸化コバルトおよび酸化ニッケ
    ルから選択された少なくとも一種の担体と、この担体に
    担持された金触媒とで構成されているシガレット。
  14. 【請求項14】 葉たばこ部に、たばこ煙用フィルター
    が装着されている請求項13記載のシガレット。
  15. 【請求項15】 担体とこの担体に担持された金触媒と
    で構成されている触媒成分を、たばこを構成する要素に
    添加するたばこエレメントの製造方法。
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