JPH07247971A

JPH07247971A - 圧縮機

Info

Publication number: JPH07247971A
Application number: JP4158494A
Authority: JP
Inventors: Keiichi Ishida; 田啓一石; Katsuhiro Tsuchiya; 屋勝博土
Original assignee: Aisin Seiki Co Ltd
Current assignee: Aisin Corp
Priority date: 1994-03-11
Filing date: 1994-03-11
Publication date: 1995-09-26

Abstract

(57)【要約】【目的】製作上の寸法精度をさほど高く要求されない
で済み、又圧縮機の耐久性の向上が可能となると共に、
高効率で低コストな公転ロータ式圧縮機を提供すること
を目的とする。【構成】一端がハウジング１０に支持され自由端を成
す他端が軸方向溝３１に緩挿されてロータ２５の自転を
阻止するセパレータ３３とロータの外周面２５ｂ及びハ
ウジングの内周面１０ａの間とで圧縮室を区画形成する
構成により、自転を阻止し且つ圧縮室を区画するセパレ
ータ３３が一枚で済むので、圧縮機の構造が簡素にな
り、軸方向溝の側壁とセパレータとの間に設ける気密部
のため寸法上の精度もさほど高く要求されず、又、偏荷
重も生じないためセパレータに耐久上の問題も生じるこ
となく、更に一つのロータで複数の圧縮室の吸入・吐出
を行うために、吐出圧脈動や軸のトルク変動を減少でき
る圧縮機。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、圧縮機に関するもの
で、更に詳しくは、シリンダ空間内にシリンダロータが
偏心状態で支持されて公転し、ハウジング内周面とロー
タ外周面との間で圧縮室を形成して、媒体を圧縮する形
式の公転ロータ式圧縮機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、特開昭６３−２５３１９２号公報
に開示されるようなロータが偏心軸回りに回転し且つ一
つのロータで一つの圧縮室の吸入・吐出を行う回転ロー
タ式圧縮機が知られているが、この技術では、ハウジン
グ内周面とロータ外周面との摺動により摩耗や騒音が激
しい問題があった。又、この問題を解決すべく、ハウジ
ング内周面とロータ外周面との間に所定のクリアランス
を設けることが考えられるが、この場合、圧縮工程側に
ある媒体がクリアランスを通って吸入工程側に流入して
効率が悪くなったり、軸やロータの真円度及びハウジン
グ内周面の寸法精度等で高精度が要求されることになり
コストアップとなる。又、圧縮機自身や媒体の配管等の
振動、騒音の原因となる媒体の吐出圧脈動や軸のトルク
変動を減少させるため、一般的にツインロータ式にする
ことが行われるが、構造が複雑になったり、重量の増加
を招くといった不具合を生じる。

【０００３】一方、ＵＳＰ４６９２１０４号公報に開示
される技術では、回転ロータ式圧縮とは異なり摺動部分
が殆ど無い公転ロータ式圧縮機が知られている。図５は
この圧縮機の軸と直交方向の断面図である。同図におい
て、ハウジング１００は、シリンダ空間１０１を区画
し、このシリンダ空間１０１内にはシリンダ空間１０１
よりも径の小さなシリンダ状の偏心ロータ１０２が配設
されており、偏心ロータ１０２の外周面１０２ａは一方
の側においてハウジング１００の内周面１００ａと近接
して狭い圧縮空間を形成し、シリンダ中心軸に関して対
向する側において広い圧縮空間を形成している。偏心ロ
ータ１０２には、円周方向に等間隔に５枚のベーン１０
３が摺動自在に配設され、偏心ロータ１０２はベーン１
０３によってシリンダ空間１０１内を五つの圧縮室に区
画しながら矢印方向に公転する。シリンダ空間１０１内
には媒体入口となる吸入口１０４、媒体出口となる吐出
口１０５が設けられている。

【０００４】ベーン１０３は、偏心ロータ１０２の外周
面１０２ａに形成された軸方向溝１０６内に収容されて
おり、溝底部から付勢するスプリング１０７によってハ
ウジング内周面１００ａ側に押しつけられながら軸方向
溝内を摺動可能である。ベーン１０３の先端部には、ハ
ウジング内周面１００ａとの間にシール部１０８が配設
され、各シール部１０８によって圧縮室相互がそれぞれ
気密的に区画されている。

【０００５】媒体は、各吸入口１０４よりシリンダ空間
１０１の各圧縮室内に導入され、時計方向に公転する偏
心ロータ１０２のため各圧縮室内で圧縮されて吐出口１
０５より排出される。偏心ロータ１０２内部には、軸方
向に三つのスリーブ状のガイド溝１０９が形成され、各
ガイド溝１０９はシリンダ空間１０１の中心と同心円上
に中心を有する。ガイド溝１０９内部にはハウジング１
００に支持される軸方向の案内ピン１１０が設けられて
いる。ガイド溝１０９と案内ピン１１０との間には、偏
心ロータ１０２の公転を許容するための遊びが設けられ
ている。

【０００６】偏心ロータ１０２には、公転中にハウジン
グ内周面１００ａと偏心ロータ外周面１０２ａとの間に
作用する摩擦力並びに圧縮圧と吸入圧との差圧によりロ
ータ軸回りにモーメントが生じて自転力が与えられる
が、偏心ロータ１０２は同心円上に配置される各ガイド
溝１０９と案内ピン１１０とにより回転については拘束
されており、偏心ロータ１０２の自転は阻止される。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の圧縮機にお
いては、偏心ロータ１０２に形成された同心円上のガイ
ド溝１０９とこれに緩挿された案内ピン１１０とによ
り、偏心ロータ１０２の公転を許容しながら回転を阻止
し、且つ偏心ロータ外周面１０２ａとハウジング内周面
１００ａとの近接を許容する構造のため、その構成の複
雑さはもとより、各ガイド溝１０９と案内ピン１１０と
の間の寸法差の精度並びにガイド溝相互間の位置及び各
溝の寸法精度要求が高いという問題がある。又、公転中
にガイド溝１０９から案内ピン１１０にかかる偏荷重の
ため案内ピン１１０の強度上及び耐久上の問題があり、
圧縮機の寿命に影響する恐れもある。

【０００８】又、圧縮室の容積増大時においては、吸入
口１０４が開口するまでの間負圧となって吸入口１０４
が開口すると同時に媒体を一気に吸い込む現象が生じ、
振動や騒音の原因になったり、ロータの回転抵抗が増大
して大きな軸トルクが必要となる一方、圧縮室の容積減
少時においては、吸入口１０４の閉口時期が遅いと媒体
が吸入口側に戻される量が多くなるために、圧縮機の効
率が悪くなる問題がある。

【０００９】本発明は、上記従来の公転ロータ式圧縮機
の問題を解決し、製作上の寸法精度をさほど高く要求さ
れないで済み、又圧縮機の耐久性の向上が可能となり、
比較的簡単な構造で製作が容易であり、寿命が長く、振
動や騒音が少なく、大きな軸トルクを必要とすることな
く、高効率で、更にロータを複数個設ける必要がない公
転ロータ式圧縮機を提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記した技術的課題を解
決するため請求項１の発明において講じた技術的手段
は、内部にシリンダ空間を形成するハウジングと、シリ
ンダ空間内に偏心状態に支持されシリンダ空間の中心軸
回りに公転駆動されて外周面とハウジングの内周壁との
間で圧縮室を形成するロータと、ロータの外周部に軸線
と平行に設けられた軸方向溝と、一端がハウジングに支
持され自由端を成す他端が軸方向溝に緩挿されてロータ
の自転を阻止するセパレータを備えた圧縮機において、
ロータの外周面を摺動すると共にハウジング内を半径方
向に移動可能で圧縮室を複数の室に分けるベーンと、吸
入空間と連通しそれぞれの室に開口した吸入口と、吐出
空間と連通しそれぞれの室に開口した吐出口とを備えた
ことである。

【００１１】更に好ましくは、吸入口はシリンダ空間の
周壁に沿うように半三日月形状を呈していることであ
る。

【００１２】

【作用】本発明においては、一端がハウジングに支持さ
れ自由端を成す他端が軸方向溝に緩挿されてロータの自
転を阻止するセパレータとロータの外周面及びハウジン
グの内周面の間とで圧縮室を区画形成する構成により、
自転を阻止し且つ圧縮室を区画するセパレータが一枚で
済むので、従来のベーン方式による圧縮室の区画並びに
ガイド溝及び案内ピンによる自転阻止に比して圧縮機の
構造が簡素になり、軸方向溝の側壁とセパレータとの間
に設ける気密部のため寸法上の精度もさほど高く要求さ
れず、又、偏荷重も生じないためセパレータに耐久上の
問題も生じない。更に、一つのロータで複数の圧縮室の
吸入・吐出を行うために、吐出圧脈動や軸のトルク変動
を減少できる。

【００１３】又、本発明では、吸入口がシリンダ空間の
周壁の沿うように半三日月形状を呈しているために、圧
縮室の容積増大時での開口開始時期及び容積減少時での
閉口時期が早く、吸入口から勢いよく媒体を吸い込む現
象が防止され、振動や騒音が防止されると共に軸トルク
の増大を防止でき、並びに媒体が吸入口側に戻される量
を少なくできて高効率である。

【００１４】

【実施例】以下、本発明に係る一実施例を図面に基づい
て説明する。

【００１５】図１は本実施例の圧縮機の断面図、図２は
図１のＡ−Ａ断面矢示図である。両図において、ハウジ
ング１０とスチールプレート１１とフロントボス１２と
によりシリンダ空間１３が形成され、尚スチールプレー
ト１１はリヤボス１４とハウジング１０との間に狭持さ
れている。ハウジング１０には、シリンダ空間１３に開
口した吐出口１５、１６を介してシリンダ空間１３に連
通される吐出空間１７、１８が形成され、この吐出空間
１７、１８には圧縮機が吐出工程にあるときだけ開く吐
出弁１９が配設されている。リヤボス１４には、マフラ
ーハウジング２０が取り付けられていて、リヤボス１４
とマフラーハウジング２０との間でマフラー空間２１を
形成すると共に、連通孔２０ａが設けられて、それぞれ
の吐出空間１７、１８とマフラー空間２１とを連通して
いる。

【００１６】エンジン（図示省略）に連動され中心軸と
なる偏心シャフト２２は、この圧縮機のフロントボス１
２とリヤボス１４によってボールベアリング２３及びニ
ードルベアリング２４を介して支持され、シリンダ空間
１３内にそれぞれ配設されているロータ２５を偏心部分
２２ａでニードルベアリング２６を介して支持してい
る。更に、偏心シャフト２２とフロントボス１２との間
には、金属製のシールリング３４、３５と、ゴムからな
るシールリング３６とが配設され、これらはＯリング３
７により図２中の状態に固定されている。又、偏心シャ
フト２２には、バランスウェイト２７、２８が固定され
て一体的に回転するようになっている。

【００１７】シリンダ空間１３には、吸入空間２９とシ
リンダ空間１３との間を連通し媒体を導くための吸入口
３０が開口し、この吸入孔３０は図１中に示すように半
三日月形状を呈している。

【００１８】ロータ２５は、シリンダ空間１３の中心を
中心としてシリンダ空間１３内を図１中時計回りに公転
する中空円筒形状として形成され、その外周面２５ｂ上
の１箇所に軸方向溝３１が形成されている。軸方向溝３
１は、半円柱形状を呈した摺動部材３２を介してセパレ
ータ３３に当接している。セパレータ３３は、一端をハ
ウジング１０内に支持され、他端をハウジング内周面１
０ａからシリンダ空間１３内に突出している。

【００１９】ハウジング１０のセパレータ３３と対向す
る位置には、ハウジング１０に設けられた摺動溝１０ｂ
内を摺動可能で、スプリング３７によりロータ外周面２
５ｂに押し付けられ、更にシリンダ空間１３内を二つの
圧縮室に分けるベーン３８が設けられている。

【００２０】次に、本実施例の作動について説明する。
図３は、ロータ２５の公転によって生ずるロータ２５の
各公転位置におけるセパレータ３３と軸方向溝３１との
関係を示す略図である。先ず、ロータ２５が、同図
（ａ）の公転各０°の位置において、軸方向溝３１はセ
パレータ３３のほぼ中心に位置する。ロータ２５が公転
し、同図（ｂ）の公転各３０°位置に達すると、ロータ
２５はシリンダ空間１３の図中下方に移動し、軸方向溝
３１はセパレータ３３の先端方向に僅かに移動するが、
ロータ２５の自転はセパレータ３３により阻止されてい
るため、ロータ２５は僅かに左下がりに傾いた状態に留
まる。次に、同図（ｃ）の公転各６０°位置においてロ
ータ２５はセパレータ３３の先端方向に更に近づき、圧
縮室（図３中）１３ａが負圧となっていく。そして、ロ
ータ２５が９０°位置に来ると吸入口３０と圧縮室１３
ａとが始めて連通し、圧縮室１３ａ内に媒体が流入し始
める。

【００２１】更にロータ２５が同図（ｅ）１２０°、同
図（ｄ）１５０°、同図（ｆ）１８０°まで公転するに
連れて、ロータ２５がセパレータ３３の先端方向に移動
し、圧縮室１３ａの容積が増加して媒体が流入する。こ
こまでが、圧縮機の吸入工程における作動を示してい
る。

【００２２】一方、図４は、図３と同様にロータ２５の
各公転位置におけるセパレータ３３と軸方向溝３１との
関係を示している。ロータ２５が、同図（ｈ）の公転角
１８０°の位置から同図（ｉ）２１０°、同図（ｊ）２
４０°、同図（ｋ）２７０°と同図（ｌ）３００°との
間までは吸入口３０が開口しているために、圧縮室１３
ａ内の媒体は吸入口３０に戻される。又、ロータ２５は
上記回転に伴い図中上方に移動しすることにより軸方向
溝３１がセパレータ３３の根元方向に移動するが、上述
したようにロータ２５の自転はセパレータ３３により阻
止されているため、ロータ２５は右上がりに傾いた状態
に留まる。一方、ロータ２５が、同図（ｌ）の公転角３
００°の位置に示されるような吸入口３０を閉口する位
置に来ると、始めて媒体の圧縮が開始される。これによ
り、圧縮室１３ａ内の圧力が上昇して吐出弁１９が開か
れ、吐出空間１７に媒体が流入される。ここまでが、圧
縮機の吐出公転における作動をしめしている。

【００２３】尚、上記作動の説明においては、圧縮室１
３ａについてのみ説明したが、もう一方の圧縮室１３ｂ
においても同様な作動が成されている。

【００２４】本実施例においては、セパレータ３３と、
ロータの外周面２５ｂ及びハウジングの内周面１０ａの
間とで圧縮室を区画形成する構成により、自転を阻止し
且つ圧縮室を区画するセパレータ３３が一枚で済むの
で、圧縮機の構造が簡素になり、軸方向溝３１の側壁と
セパレータ３３との間に設ける気密部のため寸法上の精
度もさほど高く要求されず、又、偏荷重も生じないため
セパレータ３３に耐久上の問題も生じない。更に、一つ
のロータ２５で複数の圧縮室の吸入・吐出を行うため
に、吐出圧脈動や軸のトルク変動を減少できる。

【００２５】又、吸入口３０が半三日月形状を呈してい
るために、圧縮室の容積増大時での開口開始時期及び容
積減少時での閉口時期が早く、吸入口から勢いよく媒体
を吸い込む現象が防止され、振動や騒音が防止されると
共に軸トルクの増大を防止され、並びに媒体が吸入口３
０側に戻される量を少なくできて高効率である。更に、
吸入口３０は図に示されるように半三日月形状を呈して
いることによって、圧縮室の容積減少時における吸入孔
３０の開口面積の減少速度が速いために、吸入口３０側
に戻される媒体の量を減少できて、更に高効率である。

【００２６】

【発明の効果】本発明においては、自転を阻止し且つ圧
縮室を区画するセパレータが一枚で済むので、従来のベ
ーン方式による圧縮室の区画並びにガイド溝及び案内ピ
ンによる自転阻止に比して圧縮機の構造が簡素になり、
軸方向溝の側壁とセパレータとの間に設ける気密部のた
め寸法上の精度もさほど高く要求されず、又、偏荷重も
生じないためセパレータに耐久上の問題も生じない。更
に、一つのロータで複数の圧縮室の吸入・吐出を行うた
めに吐出圧脈動や軸のトルク変動を減少できて、ツイン
ロータ化する必要がなくなるため構造が単純、且つ重量
増加を防止することができる。

【００２７】又、吸入口から勢いよく媒体を吸い込む現
象が防止され、振動や騒音が防止されると共に軸トルク
の増大を防止でき、並びに媒体が吸入口側に戻される量
を少なくできて高効率である。更に、吸入口が半三日月
形状を呈していることによって、圧縮室の容積減少時に
おける吸入孔の開口面積の減少速度が速いために、吸入
口側に戻される媒体の量を減少できて、更に高効率であ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明に係る圧縮機の断面図を示す。

【図２】図１のＡ−Ａ断面矢示図を示す。

【図３】ロータの公転によって生ずるロータの各公転位
置におけるセパレータと軸方向溝との関係を示す略図を
示す。

【図４】ロータの公転によって生ずるロータの各公転位
置におけるセパレータと軸方向溝との関係を示す略図を
示す。

【図５】従来の圧縮機の断面図を示す。

【符号の説明】

１０・・・ハウジング１３・・・シリンダ空間１７、１８・・・吐出空間２２・・・偏心シャフト２５・・・ロータ２９・・・吸入空間３０・・・吸入口３１・・・軸方向溝３３・・・セパレータ３８・・・ベーン

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】内部にシリンダ空間を形成するハウジン
グと、前記シリンダ空間内に偏心状態に支持され前記シ
リンダ空間の中心軸回りに公転駆動されて外周面と前記
ハウジングの内周壁との間で圧縮室を形成するロータ
と、前記ロータの外周部に軸線と平行に設けられた軸方
向溝と、一端が前記ハウジングに支持され自由端を成す
他端が前記軸方向溝に緩挿されて前記ロータの自転を阻
止するセパレータを備えた圧縮機において、前記ロータ
の外周面を摺動すると共に前記ハウジング内を半径方向
に移動可能で前記圧縮室を複数の室に分けるベーンと、
吸入空間と連通し夫々の前記室に開口した吸入口と、吐
出空間と連通し夫々の前記室に開口した吐出口とを備え
たことを特徴とする圧縮機。
【請求項２】前記吸入口は前記シリンダ空間の周壁に
沿うように半三日月形状を呈していることを特徴とする
請求項１記載の圧縮機。