JPH07247932A - インナカム式燃料噴射ポンプ装置 - Google Patents

インナカム式燃料噴射ポンプ装置

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JPH07247932A
JPH07247932A JP3733994A JP3733994A JPH07247932A JP H07247932 A JPH07247932 A JP H07247932A JP 3733994 A JP3733994 A JP 3733994A JP 3733994 A JP3733994 A JP 3733994A JP H07247932 A JPH07247932 A JP H07247932A
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fuel injection
cam
fuel
plunger
injection pump
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JP3733994A
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Inventor
Yoshimitsu Henda
良光 辺田
Naoyuki Tsuzuki
尚幸 都築
Shunsuke Anzai
俊介 安西
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明はディーゼル機関の燃料噴射装置とし
て好適なインナカム式燃料噴射ポンプ装置に関し、内燃
機関の運転状態に因らず燃料噴射終了時における燃料切
れのよい燃料噴射制御を実現することを目的とする。 【構成】 ロータ30にスピル弁62及び燃料噴射ノズ
ルに連通する燃料通路32を設ける。燃料通路32に連
通する加圧室34内にプランジャ40a,40bを挿入
する。プランジャ40a,40bに当接してローラ42
a,42bを設ける。ローラ42a,42bの外周に、
内周に所定間隔でカムを有するカムリング本体54と、
ローラ42a,42bのテーパに沿った傾斜を有するロ
ーラガイド52a,52bを設ける。機関の負荷が低い
場合は油圧室58a,58bに油圧を導いてプランジャ
40a,40bのストローク量を減少させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インナカム式燃料噴射
ポンプ装置に係り、特にディーゼル機関の燃料噴射装置
として好適なインナカム式燃料噴射ポンプ装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特開昭59−1880
46号公報に開示されるように、インナカム式燃料噴射
ポンプと電磁スピル弁とを組み合わせて構成したディー
ゼル機関の燃料噴射系が公知である。
【0003】ここに、インナカム式燃料噴射ポンプと
は、その半径方向に摺動可能なプランジャを備え、ドラ
イブシャフトと共に回転するロータと、内周面にカムを
備え、ロータの外周に、カム部分がプランジャと対向す
るように配設したカムリングとを主要部とする燃料ポン
プであり、ロータの回転に伴って、カムの作用によりプ
ランジャがストロークすることを利用して、燃料の吸入
・噴射を行うものである。
【0004】この構成の燃料ポンプは、燃料の吸入・噴
射を司る部材であるプランジャを比較的小型に構成する
ことができることから、そのストロークを大きく確保し
て高い燃料噴射能力を得ることができると共に、高速運
転特性に優れた燃料ポンプを実現することができる。
【0005】一方、電磁スピル弁は、ディーゼル機関の
燃料噴射時期を高精度に制御する目的で設けられる制御
弁であり、一般に燃料噴射ポンプの燃料噴射口近傍と所
定の低圧室とを連通するスピル通路の導通を制御すべく
配設される。
【0006】すなわち、例えば上記公報記載の装置にお
いて電磁スピル弁が存在しないと仮定すると、内燃機関
に燃料が噴射されるタイミングは、燃料ポンプの動作タ
イミングによって決定され、ドライブシャフトの回転と
同期した特定のタイミングに固定される。
【0007】これに対して電磁スピル弁を備える場合
は、電磁スピル弁を開弁している限り燃料ポンプの燃料
噴射口近傍の圧力が昇圧せず、従って燃料噴射がおこな
われない。つまり、電磁スピル弁を備える装置において
は、電磁スピル弁が閉弁している場合に限って燃料噴射
が行われることになり、事実上電磁スピル弁の開弁状態
を制御することにより燃料噴射タイミングを適当に制御
可能となる。
【0008】この場合、ディーゼル機関に対して、その
運転状態に応じた燃料噴射時期制御を施すことが可能と
なり、出力特性の向上、排出スモークの低減等を有効に
実現することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ディーゼル
機関において良好な燃焼性を実現してスモーク排出量の
低減を図るためには、燃料噴射の終了時期を精度良く制
御することが重要であることが従来より知られている。
【0010】従って、上記従来の装置の如く電磁スピル
弁を用いて燃料噴射時期制御を行う装置については、燃
料噴射を終了させるべく電磁スピル弁を開弁した際に、
十分な燃料がその内部を流通できることが必要である。
この流通量が不十分であると、燃料噴射切れの悪化が生
じ、完全燃焼ぜずに排出される燃料が増加するからであ
る。
【0011】しかしながら、電磁スピル弁の流通許容量
は、その体格等によって制限を受け、車両への搭載性等
の制約に適合させるためには十分な流通許容量が確保で
きない場合がある。このため、上記従来の装置の如く高
い圧送能力を有するインナカム式燃料噴射ポンプを採用
する構成においては、特に電磁スピル弁の流通許容量不
足が生じ易く、スモークの増加を招くという問題を有し
ていた。
【0012】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、インナカム式燃料噴射ポンプの燃料噴射量を決
めるプランジャのストローク量を、内燃機関の運転状態
に応じて適正化することにより、又は電磁スピル弁を備
えるスピル通路に加え、特定の状況下で高圧燃料を低圧
室に開放するスピルポートをプランジャ側に設けること
により、電磁スピル弁の担うべき負荷を低減して上記の
課題を解決するインナカム式燃料噴射ポンプ装置を提供
することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、半径方向
に摺動可能に設けられたプランジャと該プランジャの摺
動に応じて容積が変化する加圧室とを備えるロータと、
内周面にカムを備え、前記ロータの外周に、前記カムが
前記プランジャと対向するように配設されるカムリング
とを有し、前記ロータと前記カムリングとの相対的な回
転に伴って前記加圧室の容積が増大する際に燃料を吸入
し、その容積が減少する際に燃料を噴射するインナカム
式燃料噴射ポンプと、該燃料噴射ポンプの前記加圧室に
連通するスピル通路の導通状態を制御するスピル弁とを
備え、所定のタイミングで該スピル弁を開弁又は閉弁し
て内燃機関の燃料噴射時期を制御するインナカム式燃料
噴射ポンプ装置において、内燃機関の負荷状態を検出す
る負荷状態検出手段と、内燃機関の負荷状態に応じて前
記プランジャのストロークを変更すべく前記カムリング
に組み込まれたプランジャストローク変更手段とを備え
るインナカム式燃料噴射ポンプ装置により達成される。
【0014】また、上記の構成においては、前記プラン
ジャと前記インナカムとの間にローラが介在し、前記プ
ランジャストローク変更手段は、前記インナカム式燃料
噴射ポンプに燃料を供給するフィードポンプから、前記
負荷状態検出手段の検出結果に応じた油圧の提供を受け
る油圧室と、前記ローラを前記インナカム側から支持す
る部材であって、前記油圧室の圧力に応じて前記インナ
カムの最大有効内径を変化させるローラガイドとからな
るインナカム式燃料噴射ポンプも有効である。
【0015】更に、上記の目的は、半径方向に摺動可能
に設けられたプランジャと該プランジャの摺動に応じて
容積が変化する加圧室とを備えるロータと、内周面にカ
ムを備え、前記ロータの外周に、前記カムが前記プラン
ジャと対向するように配設されるカムリングとを有し、
前記ロータと前記カムリングとの相対的な回転に伴って
前記加圧室の容積が増大する際に燃料を吸入し、その容
積が減少する際に燃料を噴射するインナカム式燃料噴射
ポンプと、該燃料噴射ポンプの燃料噴射口近傍に連通す
るスピル通路の導通状態を制御するスピル弁とを備え、
所定のタイミングで該スピル弁を開弁又は閉弁して内燃
機関の燃料噴射時期を制御するインナカム式燃料噴射ポ
ンプ装置において、前記プランジャに、所定のストロー
ク位置で前記加圧室を所定の低圧室に連通するスピルポ
ートを設けたインナカム式燃料噴射ポンプ装置によって
も達成される。
【0016】
【作用】本発明に係るインナカム式燃料噴射ポンプ装置
の第1の態様において、前記プランジャストローク変更
手段は、前記負荷状態検出手段の検出結果に基づいて、
前記プランジャのストローク量を変化させる。
【0017】前記プランジャのストローク量が変化する
と、前記カムリングと前記ロータとの相対的回動に伴う
前記加圧室の容積変化量が変動する。従って、前記イン
ナカム式燃料ポンプから噴射される燃料の量が、前記負
荷状態検出手段の検出結果、すなわち内燃機関の負荷状
態に応じて変化する。
【0018】その結果、内燃機関の負荷状態が変化し、
それに伴って消費される燃料の量が変化するにも関わら
ず、燃料噴射終了時期において前記スピル弁を流通させ
るべき燃料の量は、常に適正な量に抑制される。
【0019】また、本発明に係るインナカム式燃料噴射
ポンプ装置の第2の態様において、前記プランジャは、
前記ローラを介して前記カムリングの内壁に当接する。
また、前記カムリングの内壁には、前記カムに加え、前
記ローラガイドが形成されている。
【0020】従って、前記ローラは、前記カムにより形
成される有効内径が前記ローラガイドにより形成される
最大有効内径に比べて小さい領域では前記カムに当接
し、前記カムにより形成される有効内径が前記ローラガ
イドにより形成される最大有効内径に比べて大きい領域
では前記ローラガイドに当接する。
【0021】つまり、前記プランジャのストロークは、
前記ローラガイドの最大有効内径と前記カムの最小有効
内径との差分となり、前記油圧室の圧力変化に伴って前
記ローラガイドの最大有効内径が変化すると、それに伴
ってそのストローク長が変化する。
【0022】この際、前記油圧室には、前記フィードポ
ンプから所定の油圧が供給されるため、新たな油圧発生
源が不要であると共に、前記ローラと前記ローラガイド
とが当接する際に生ずる衝撃は、前記油圧室内の油液に
吸収される。
【0023】また、本発明に係るインナカム式燃料噴射
ポンプ装置の第3の態様において、前記プランジャが所
定のストローク位置に達すると、前記加圧室が前記スピ
ルポートによって所定の低圧室に連通される。従って、
当該タイミングにおいて前記加圧室に高圧の燃料が存在
する場合、その燃料は前記スピル弁を介さずに前記加圧
室から低圧室へ開放される。
【0024】
【実施例】図1は、本発明に係るインナカム式燃料噴射
ポンプ装置(以下、単にポンプ装置と称す)の全体構成
図を示す。また図2は、その要部であるインナカム式燃
料噴射ポンプの斜視透視概観図を示す。以下、各図を参
照して本実施例のポンプ装置の構成について説明する。
尚、本実施例のポンプ装置は、4気筒式ディーゼル機関
の燃料噴射系を構成する装置である。
【0025】図1に示すインナカム式燃料噴射ポンプ1
0は、本実施例のポンプ装置の要部であり、ハウジング
12に固定されにシリンダ20、このシリンダ20内に
回動自在に挿入されたロータ30、ロータ30と共に回
動するプランジャ40a,40b及びその周辺部材、プ
ランジャ40a,40bの外周を取り巻いて設けられた
カムリング50により構成される。
【0026】シリンダ20には、フィードポンプ60に
連通する燃料吸入口22、スピル弁62に連通する燃料
スピル口24、及び図示しない燃料噴射ノズルに連通す
る燃料噴射口26が設けられている。
【0027】フィードポンプ60は、図示しない燃料タ
ンクから燃料を汲み上げてインナカム式燃料噴射ポンプ
10に供給すべく設けられたポンプである。また、スピ
ル弁62は、内蔵する電磁ソレノイドへの通電を制御す
ることにより開閉弁する電磁弁であり、燃料スピル口2
4を、フィードポンプ60の燃料噴射口側に連通、又は
遮断する。
【0028】ロータ30には、所定の回転位置において
それぞれ燃料吸入口22、燃料スピル口24、及び燃料
噴射口26に開口する分岐を有する燃料通路32が設け
られている。ここで、本実施例のポンプ装置は、上記し
たように4気筒式内燃機関に対応して設けられたもので
あり、インナカム式燃料噴射ポンプ10は、4つの気筒
それぞれに配設された燃料噴射ノズルに対して燃料を供
給すべく構成されている。
【0029】すなわち、上記した燃料スピル口24、及
び燃料噴射口26は、図2に示すようにシリンダ20の
4か所に開口して設けられている。また、ロータ30に
設けられた燃料通路32は、燃料吸入口22に対して順
次開口する4本の分岐32i、4か所の燃料スピル通路
24に対して順次開口する一の分岐32s、及び4か所
の燃料噴射通路26に対して順次開口する一の分岐32
oを有している。
【0030】ここで、ロータ30には、図1に示すよう
に内燃機関の運転と同期して回転するドライブシャフト
64が連結されており、内燃機関運転中は、その運転に
同期してロータ30が回転する。
【0031】この際、ロータ30に設けられた燃料通路
32の分岐32iと、シリンダ20に設けられた燃料吸
入口22とは、何れかの気筒において吸気工程が実行さ
れる直前に、図2(A)に示す如く導通状態となるよう
に形成されている。
【0032】また、ロータ30が有する分岐32s,3
2oと、燃料スピル口24,燃料噴射口26とは、その
後何れかの気筒で吸気工程が開始される際に、図2
(B)に示す如く、対応する燃料スピル口24及び燃料
噴射口26が連通されるように構成されている。
【0033】従って、内燃機関の運転中は、ロータ30
の回転に伴って図2(A)に示す状態が形成されるとフ
ィードポンプ60から燃料通路32内に燃料が流入し、
その後図2(B)に示す状態に移行すると、特定の気筒
に対する燃料スピル口24、及び燃料噴射口26に、燃
料が供給されることになる。
【0034】図1に示すように、プランジャ40a,4
0bは、ロータ30にその半径方向に摺動可能に挿入さ
れている。プランジャ40a,40bの間には、燃料通
路32に連通する加圧室34が形成されている。この加
圧室34は、プランジャ40a,40bの摺動に伴って
容積の変化する空間であり、プランジャ40a,40b
にロータ30の中心方向へ向かう外力が印加された場
合、その外力に応じて内圧を昇圧させる。
【0035】プランジャ40a,40bの外周側端部に
は、ローラ42a,42bを把持するシュー44a,4
4bが当接している。ローラ42a,42bは、その両
端にテーパ部を備えており、一方シュー44a,44b
は、図2に示すようにローラ42a,42bを把持する
窪みを備えている。
【0036】更に、ローラ42a,42b及びシュー4
4a,44bは、図1に示す如くロータ30に固定され
た保持プレート46a,46bによって摺動可能に保持
されている。従って、ローラ42a,42b及びシュー
44a,44bは、ロータ30の半径方向に変位するこ
とができ、またローラ42a,42bは、シュー44
a,44bの窪み内で安定に回動することができる。
【0037】図1に示すように、ローラ42a,42b
の外周には、カムリング50が配設されている。このカ
ムリング50は、2つのローラガイド52a,52bと
その中央に配設されるカムリング本体54、及びローラ
ガイド52a,52bとカムリング本体54との間に配
設されるスプリング56a,56bとから構成される。
【0038】ローラガイド52a,52bは、ローラ4
2a,42bを、その両端のテーパ部に沿って当接する
ように内周に傾斜が形成された一定内径のリング状部材
であり、ハウジング12及び14内に設けられた所定の
搭載位置に組み込まれている。カムリング本体54は、
その内周面所定の位置にカムとして機能するうねり(以
下、単にカムと称す)を有し、場所によって内径が変化
するリング状部材である。
【0039】ローラガイド52aとハウジング14との
間、及びローラガイド52bとハウジング12との間に
は、それぞれローラガイド52a,52bに対して図中
左右方向の推力を与えるべく所定の油圧が供給される油
圧室58a,58bが形成されている。
【0040】これらの油圧室58a,58bは、共に油
圧制御弁66、68に連通しており、油圧制御弁66が
開弁し、かつ油圧制御弁68が閉弁している場合には、
フィードポンプ60の燃料噴射口側に連通した状態とな
り、油圧制御弁66が閉弁し、かつ油圧制御弁68が開
弁している場合には、フィードポンプ60の燃料吸入口
側に連通した状態となる。
【0041】油圧制御弁66、68は、上記したスピル
弁62と同様に、電子制御装置(ECU)70によって
駆動される。ここで、本実施例においては、ECU70
には内燃機関のスロットル開度を検出するスロットル開
度センサ72、及び内燃機関の回転角に応じたパルス信
号を発するカム角パルスセンサ74が接続されている。
【0042】ECU70は、これらスロットル開度セン
サ72、及びカム角パルスセンサ74の出力値に基づい
て内燃機関の負荷状態を検出し、その検出結果に応じて
油圧制御弁66,68を駆動する。この意味で、本実施
例においてはスロットル開度センサ72、及びカム角パ
ルスセンサ74が前記した負荷状態検出手段に相当して
いる。
【0043】本実施例に示すインナカム式燃料噴射ポン
プ10においては、ロータ30の回転に伴って燃料通路
32内への燃料の吸入と、燃料スピル口24及び燃料噴
射口26への燃料供給とが順次実行されることは前記し
た通りであるが、かかる燃料の吸入・供給は、プランジ
ャ40a,40bの摺動と同期して行われる。
【0044】すなわち、ローラガイド52a,52bの
内径は常に一定であるのに対して、カムリング本体54
の内径は、所定位置に形成されたカムのために一定では
ない。このため、本実施例のカムリング50とローラ4
2a,42bとの関係においては、ローラガイド52
a,52bの有効内径がカムリング本体54の有効内径
に比べて小さい場合、ローラ42a,42bはローラガ
イド52a,52bに沿って同一の円周内を移動する。
【0045】一方、ローラガイド52a,52bの有効
内径がカムリング本体54の有効内径に比べて大きい場
合、ローラ42a,42bの位置はカムリング54の内
径に規制されることになり、その結果ローラ42a,4
2bはロータ30の中心方向に向かって変位を示す。
【0046】この場合、ローラ42a,42bの変位
は、プランジャ40a,40bの変位を伴い、従って加
圧室34の容積変化を引き起こす。そして、本実施例に
おいては、かかる加圧室34の容積変化が、各気筒へ燃
料を噴射すべきタイミングで生ずるように、カムリング
本体54内周のカムを形成している。
【0047】このため、本実施例のインナカム式燃料噴
射ポンプ10によれば、個々の気筒で吸気工程が行われ
る際には、図2(B)に示すように燃料通路32の分岐
32s,32oが適当な燃料スピル口24,燃料噴射口
26にそれぞれ連通すると共に、それら燃料スピル口2
4、燃料噴射口26に対して昇圧された燃料が供給され
ることになる。
【0048】また、カムリング本体54内周のカムは、
燃料吸入口22が燃料通路32の分岐32iと連通する
際に、そのカムの高さが減少するように形成されてい
る。このため、図2(A)に示すように燃料通路32が
燃料吸入口22に連通し、フィードポンプ60が発する
油圧が加圧室34に供給されると、その油圧がプランジ
ャ40a,40bに作用して、加圧室34の容積を増大
させつつ燃料の吸入が行われる。
【0049】ところで、インナカム式燃料噴射ポンプ1
0が上記の如く動作すると、燃料噴射口26にはカムリ
ング本体54のカム位置に応じたタイミングで燃料が圧
送される。従って、単に燃料噴射口26に供給される燃
料を各気筒に配設された燃料噴射ノズルに供給する構成
では、燃料噴射時期に制御を施す自由度がなく、内燃機
関の運転状態に応じた最適な燃料噴射時期を実現するこ
とが困難である。
【0050】本実施例のインナカム式燃料噴射ポンプ1
0は、カムリング本体54に所望の回転を与えて噴射時
期を調整すべくタイマスライドピン76を備えている
が、このタイマスライドピン76を制御するだけでは燃
料噴射の開始時期、及び終了時期を高精度に制御するこ
とができないことは同様である。
【0051】上記したスピル弁62は、かかる点に着目
して内燃機関の運転状態に応じた適切な燃料噴射時期を
実現すべく設けられたものである。この場合、プランジ
ャ40a,40bの摺動に伴って燃料が圧送されても、
スピル弁62が開弁している限り燃料噴射口26付近の
圧力が昇圧されることがなく、事実上スピル弁62を閉
弁させている間だけが燃料噴射期間となる。
【0052】従って、ECU70が内燃機関の運転状態
に応じて適切に燃料噴射時期を設定し、その時期に応じ
てスピル弁62を駆動すれば、理論的には高精度な燃料
噴射時期制御を実現することができる。
【0053】ところで、かかる燃料噴射時期制御を実行
するに当たっては、スピル弁62開弁時における流通許
容量を十分に確保して燃料噴射終了時における燃料切れ
の悪化を防止する必要のあることは前記した通りであ
る。ここで、本実施例のポンプ装置は、比較的流通許容
量の少ないスピル弁62により常に上記の要求を満たす
べく機能する点に特徴を有している。
【0054】以下、図3〜図6を参照して、本実施例の
ポンプ装置に特有の動作について説明する。
【0055】図3は、インナカム式燃料噴射ポンプ10
において、油圧制御弁66を閉弁し、かつ油圧制御弁6
8を開弁した状態を示す。尚、図3(B)は、図3
(A)中のB−B断面を示す。
【0056】同図に示す状態においては、油圧室58
a,58bにはフィードポンプ60からの油圧が供給さ
れない。従って、ローラガイド52a,52bにはスプ
リング56a,56bの付勢力のみが作用し、その結果
ローラガイド52a,52bは共に両変位端に位置す
る。この場合、ローラガイド52a,52bの内周には
傾斜が設けられていることから、ローラ42a,42b
に対するローラガイド52a,52bの有効内径は最大
の状態となる。
【0057】ここでローラ42a,42bは、ローラガ
イド52a,52bの内径、及びカムリング本体54の
内径に沿って移動し、その内径変化に応じてロータ30
の半径方向にストロークすることから、図3に示す如く
ローラガイド52a,52bの有効内径が最大となれ
ば、ローラ42a,42bのストローク量も最大とな
る。
【0058】一方、図4は、油圧制御弁66を開弁し、
かつ油圧制御弁68を閉弁した状態を示す。尚、図4
(B)は、図4(A)中B−B断面を示す。
【0059】この場合、油圧室58a,58bには、フ
ィードポンプ60の油圧が供給され、その結果ローラガ
イド52a,52bには、スプリング56a,56bの
付勢力に抗う抗力が伝達される。このため、2つのロー
ラガイド52a,52bは、共にカムリング本体54側
に変位することになり、ローラ42a,42bに対する
有効内径が小径化する。
【0060】このため、図4(B)に示すように、ロー
ラ42a,42bは、カムリング本体54の内周にカム
が存在しない領域においてはカムリング54の内周から
離間することになり、ロータ30の回転に伴うローラ4
2a,42bのストローク、すなわちプランジャ40
a,40bのストロークが、実質的に減少することにな
る。
【0061】このように、本実施例のインナカム式燃料
噴射ポンプ10においては、油圧制御弁66、68の開
弁状態の制御を通じてローラガイド52a,52bの位
置を制御することにより、プランジャ58a,58bの
ストロークを所定の範囲内で任意に変更することができ
る。尚、この意味で、本実施例の油圧室40a,40b
及びローラガイド52a,52bは前記したプランジャ
ストローク変更手段に相当する。
【0062】そして、このようにプランジャ40a,4
0bのストローク量が変化する場合、それに伴ってロー
タ30の回転に伴って加圧室34に生ずる容積変化量、
すなわちインナカム式燃料噴射ポンプ10の燃料噴射能
力に変化が生じ、インナカム式燃料噴射ポンプ10によ
り噴射量可変の燃料ポンプが実現されることになる。
【0063】従って、油圧制御弁66,68を駆動する
ECU70が内燃機関の負荷状態に応じてその燃料噴射
量を適切に変更設定することとすれば、負荷状態に応じ
て内燃機関で消費される燃料の量が変化するにもかかわ
らず、スピル弁62を介してフィードポンプ60側へ開
放すべき燃料(以下、スピル燃料と称す)の量を常にほ
ぼ一定量とすることができる。
【0064】また、そのようにスピル燃料の量をほぼ一
定とすることができれば、内燃機関において多量の燃料
が消費される高負荷時を基準にスピル弁62の流通許容
量を設定すれば足りることから、スピル弁62に対して
多大な能力が要求されることがなく、言い換えれば比較
的小型のスピル弁62によって内燃機関の全運転領域に
おいて優れた燃料切れを示す燃料噴射時期制御を実現す
ることができる。
【0065】図5は、上記の機能を実現すべくECU7
0が実行する油圧制御弁駆動ルーチンの一例のフローチ
ャートを示したものである。
【0066】すなわち、同図に示すルーチンが起動する
と、先ずステップ100においてスロットル開度センサ
72の出力信号を読み込む。次いで、ステップ102で
は、カム角パルスセンサ74の出力信号を読み込み、そ
のパルス周期に基づいて機関回転数を演算する。
【0067】次にステップ104では、上記の如く読み
込み、又は演算したスロットル開度及び機関回転数に基
づいて、内燃機関の負荷状態を推定し、その後ステップ
106では、推定された負荷状態に応じた燃料供給を行
い得る値としてプランジャ40a,40bのストローク
を演算する。
【0068】尚、スロットル開度と機関回転数に基づい
て負荷を推定する方法は、公知の手法、例えば予め当該
内燃機関について設定したマップを参照する手法等によ
り実現することができる。また、負荷状態からプランジ
ャ40a,40bのストロークを求める場合も、内燃機
関の負荷が高いほど長いストロークが設定されるように
予めマップを設定しておくことで容易に実現することが
できる。
【0069】そして、ステップ108において、上記の
如く演算したプランジャストロークを実現すべく油圧制
御弁66,68を駆動して今回の処理を終了する。
【0070】図6は、ECU70が、内燃機関の高負荷
時、中負荷時、及び低負荷時において上記の処理を実行
した際の状況を示すタイムチャートである。同図に示す
ように、高負荷時には吸入ストローク、及び圧送ストロ
ークが共に長期に渡って確保され、低負荷時にはそれら
が共に短期に設定されることになる。
【0071】この場合、スピル弁62の能力は内燃機関
の全運転領域において十分に保証されることになり、如
何なる負荷状態であっても、特に内燃機関において消費
される燃料が少量である低負荷時においても、燃料噴射
終了時において優れた燃料切れが実現でき、スモーク排
出量を有効に抑制することができる。
【0072】尚、図6(B)に示すスピル弁駆動パルス
の発生時期は、同図(C)に示すカム角パルスを基準と
して設定するのが通常であるが、カム角パルスが離散信
号であることから、そのパルスのエッジのみを捕らえた
のではパルスの発生周期以下の精度を実現できない。
【0073】このため、パルスエッジが検出された後、
所定時間が経過した際にスピル弁駆動パルスを発生、又
は遮断するいわゆる余り角制御が従来行われているが、
本実施例においては、スピル弁駆動パルスの立ち下がり
時期をパルス周期に同期させ、余り角制御をスピル弁駆
動パルスの立ち上がり時にのみ行うこととしている。
【0074】この結果、カムリフト量が大きく、単位時
間当たりに圧送される燃料が多量である噴射終了時期を
精度良く所望の時期とすることができ、噴射終了時期に
おいて余り角制御を行う場合に比べて高精度な燃料噴射
量制御が実現されている。
【0075】ところで、本実施例のポンプ装置において
は、機関回転数が低い領域では負荷が小さいとして油圧
制御弁66が開弁、かつ油圧制御弁68が閉弁された状
態となる。従って、内燃機関の始動時にも同様の状況が
形成され、例えばアイドリング時には、インナカム式燃
料ポンプ10の噴射能力が低く設定される。
【0076】ところで、内燃機関の始動直後において
は、フィードポンプ60から供給される油圧が低圧であ
るため、油圧制御弁66,68の状態に関わらず油圧室
58a,58bは低圧となり、プランジャ40a,40
bには大きなストロークが与えられることになる。
【0077】このことは、内燃機関の始動時において
は、燃料が増量噴射されることを意味するが、その結
果、当該ポンプ装置を備える内燃機関においては、冷間
時においても良好な始動性を確保することができ、かつ
その後機関回転数の上昇に伴って適正な燃料噴射量を実
現できることになる。
【0078】また、かかる構成においては、内燃機関を
緊急停止させる必要がある場合には、油圧制御弁66,
68を制御して燃料噴射量を低減させ、それと同時にス
ピル弁62を開弁すれば、即座に燃料噴射ノズルへの燃
料供給を停止することができ、ディーゼル機関を速やか
に停止させることができるという効果をも併せ持ってい
る。
【0079】図7は、本実施例のポンプ装置に好適なカ
ムリングの第2の実施例の断面構成図を示す。尚、同図
において上記図1と同一の構成部分については、同一の
符号を付してその説明を省略する。
【0080】すなわち、図7に示すカムリング80は、
カムリング本体81とローラガイド82a,82bとの
間に油圧室83a,83bを設け、ローラガイド82
a,82bをカムリング本体81側に付勢すべくスプリ
ング84a,84bを配設した構成である。
【0081】この場合、油圧制御弁66を開弁し、かつ
油圧制御弁68を閉弁すると燃料噴射量が増大し、油圧
制御弁66を閉弁し、かつ油圧制御弁68を開弁すると
燃料噴射量が減少する。すなわち上記図1に示す実施例
と逆の動作を示すものである。
【0082】このため、本実施例の構成によっても、上
記図1に示すカムリング50と同様の機能を実現するこ
とができ、内燃機関の全運転領域において優れた燃料切
れを伴う燃料噴射時期制御を実現することができる。
【0083】尚、この構成は、内燃機関始動当初からイ
ンナカム式燃料ポンプ10の燃料噴射能力を低下させて
おくことが可能であり、始動性の面では上記図1に示す
実施例に劣るものの、始動当初のスモーク量抑制に効果
的である。また、緊急時においディーゼル機関を速やか
に停止に導くことができる点は、上記図1に示す実施例
と同様である。
【0084】図8は、本実施例のポンプ装置に好適なカ
ムリングの第3の実施例の断面構成図を示す。尚、同図
において上記図1と同一の構成部分については、同一の
符号を付してその説明を省略する。
【0085】すなわち、図8に示すカムリング90は、
カムリング本体91とローラガイド92a,92bとの
間に、油圧制御弁68に連通する油圧室93a,93b
を設けると共に、ローラガイド92a,92bとハウジ
ング14,12との間に油圧制御弁66に連通する油圧
室94a,94bを設け、更に油圧室93a,93b内
にスプリング95a,95bを、油圧室94a,94b
内にスプリング96a,96bを配設した構成である。
【0086】そして、油圧室93a,93bにはフィー
ドポンプ60に通じるオリフィス97を、油圧室94
a,94bにはフィードポンプ60に通じるオリフィス
98が、それぞれ連通している。
【0087】この場合、油圧制御弁66を開弁し、かつ
油圧制御弁68を閉弁すると、オリフィス98の流通抵
抗により油圧室94a,94bの内圧が上昇してローラ
ガイド92a,92bの間隔が接近し、従ってインナカ
ム式燃料噴射ポンプ10の燃料噴射能力が低下する。
【0088】一方、油圧制御弁66を閉弁し、かつ油圧
制御弁68を開弁すると、オリフィス97の流通抵抗に
より油圧室93a,93bの内圧が上昇してローラガイ
ド92a,92bの間隔が離間し、従ってインナカム式
燃料噴射ポンプ10の燃料噴射能力が向上する。
【0089】このため、本実施例の構成によっても、上
記図1に示すカムリング50と同様の機能を実現するこ
とができ、内燃機関の全運転領域において優れた燃料切
れを伴う燃料噴射時期制御を実現することができる。
【0090】尚、本実施例の構成によれば、内燃機関始
動当初においてインナカム式燃料ポンプ10に適当な燃
料噴射能力を与えておくことが可能であり、始動性及び
始動当初のスモーク量抑制に共に効果的である。また、
緊急時においディーゼル機関を速やかに停止に導くこと
ができる点は、上記図1に示す実施例と同様である。
【0091】図9は、本実施例のポンプ装置に好適なカ
ムリングの第4の実施例の断面構成図を示す。尚、同図
において上記図1と同一の構成部分については、同一の
符号を付してその説明を省略する。
【0092】すなわち、図9に示すカムリング100
は、カムリング本体101とローラガイド102a,1
02bとの間に油圧室103a,103bを設け、その
油圧室103a,103b内にスプリング104a,1
04bを配設すると共に、ローラガイド102a,10
2bとハウジング14,12との間に油圧室105a,
105bを設けた構成である。
【0093】油圧室105a,105bには、フィード
ポンプ60の燃料噴射口側に通じるオリフィス106が
連通しており、また油圧室103a,103bには、油
圧制御弁68と、フィードポンプ60の燃料吸入口側に
通じるオリフィス107とが連通している。
【0094】この場合、油圧制御弁68が開弁している
場合は、オリフィス107の流通抵抗により油圧室10
3a,103bの内圧が上昇し、インナカム式燃料噴射
ポンプ10に高い燃料噴射能力が設定され、油圧制御弁
68を閉弁すると、オリフィス106を介して油圧室1
05a,105bに油圧が供給されて燃料噴射能力が低
下される。
【0095】従って、内燃機関の運転状態に応じて油圧
制御弁68を制御すれば、上記図1に示す実施例と同様
の機能を実現することができる。尚、始動時において油
圧制御弁68を閉弁することとすれば、優れた始動性と
始動後のスモーク抑制とが両立される点、油圧制御弁6
8を閉弁してスピル弁62を開弁すれば速やかにディー
ゼル機関を停止に導くことができる点では、上記図1に
示す実施例と同様である。一方、本実施例のカムリング
100は、単一の油圧制御弁実現でき、構成が簡単であ
るため、低コスト化に有利であるという利点を備えてい
る。
【0096】ところで、上記した各実施例は、内燃機関
の運転状態を検出し、その検出結果に基づいてインナカ
ム式燃料噴射ポンプ10の燃料噴射能力を適宜調整して
所望の特性を得る構成である。
【0097】これに対して図10に示すポンプ装置は、
燃料噴射終了時期においてスピルすべき燃料を、スピル
弁の他にプランジャ内に設けたスピル通路をも介して開
放することにより、スピル弁の負荷軽減を図るものであ
る。尚、図10中、上記図1と同一の構成部分について
は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0098】すなわち、図10においてロータ110
は、内部に燃料通路32を備えると共に、所定の回転角
でシリンダ112の燃料吸入口22に連通するスピル通
路114を備えている。このスピル通路114は、プラ
ンジャ116に所定のストロークが与えられると、図1
0(C)に示すようにプランジャ116内部に設けられ
たスピルポート118と連通して加圧室34を燃料吸入
口22に開口する。
【0099】従って、本実施例によれば、図11に示す
ようにカムリフト量が所定のストロークに達するまでは
加圧室34の内圧が昇圧されるが、カムストロークが所
定量を越える領域(図11中に斜線で示す領域)におい
ては、もはや加圧室34の内圧が昇圧することはなく、
仮に燃料噴射終了時において、スピル弁62の能力不足
により加圧室34内に高圧燃料が残留している場合で
も、その燃料がスピルポート118及びスピル通路11
4を介して燃料吸入通路22側へ開放され、燃料切れの
よい燃料噴射制御が実現されることになる。
【0100】尚、上記図11に示す実施例は、プランジ
ャ116のストローク量が所定量を越える領域において
機械的に燃料をスピルさせる構成であるが、図12に示
す如くロータ120の所定位置にスピル通路122を設
け、またプランジャ124に、所定ストロークが生ずる
まで上記のスピル通路122に開口する溝126と、こ
の溝126と加圧室34とを連通するスピルポート12
8とを設ける構成によれば、所定ストロークに達するま
での間燃料をスピルさせる機能を実現することができ
る。
【0101】すなわち、かかる構成によれば、プランジ
ャ124に対していわゆるプレストロークを与えること
ができ、プランジャ124が安定した速度で変位する領
域のみを燃料の圧送工程として利用することが可能とな
る。
【0102】尚、上記した各実施例においては、ロータ
30内に2つのプランジャ40a,40bを配設する構
成に限定しているが、これに限るものではなくその数は
任意に設定可能である。
【0103】
【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれ
ば、インナカム式燃料噴射ポンプの燃料噴射能力を、内
燃機関の負荷状態に応じて適正に変化させ、常に過不足
のない燃料噴射能力を維持することができる。このた
め、内燃機関の運転状態に因らず燃料噴射終了時期にお
いて多量の燃料をスピル弁に流通させる必要がなく、小
型のスピル弁により相対的に十分な能力を確保すること
ができる。
【0104】従って、本発明に係るインナカム式燃料噴
射ポンプ装置によれば、従来の装置の如く特定の運転状
態下で燃料切れの悪化によるスモークの増加を引き起こ
すことがなく、優れた排気特性を実現することができる
という特長を有している。
【0105】請求項2記載の発明によれば、インナカム
式燃料噴射ポンプに対して燃料を供給する燃料フィード
ポンプを駆動源としてプランジャストローク変更手段を
実現することができ、簡易な構成で、安価に所望の機能
を実現することができる。
【0106】また、本発明に係るインナカム式燃料噴射
ポンプにおいては、ローラがカムと当接している状況か
らローラガイドに当接する状況に移行する際に、移行に
伴う衝撃を生ずるが、その衝撃が油圧室により吸収され
るため、大きな衝撃音の発生が抑制でき、また優れた耐
久性を維持できる等の特長をも有している。
【0107】そして、請求項3記載の発明によれば、プ
ランジャに所定のストロークが与えられると、前記加圧
室が所定の低圧室に開放される。従って、プランジャに
所定のストロークが与えられた際に、インナカム式燃料
ポンプの燃料噴射能力がスピル弁の流通許容量に対して
過剰となった場合は、加圧室から低圧室へ燃料が高圧燃
料が開放されて加圧室の圧力は急激に低下する。
【0108】このように、本発明に係るインナカム式燃
料噴射ポンプ装置によれば、燃料噴射終了時期において
スピル弁が担うべき燃料流通量を低下させることがで
き、比較的流通許容量の少ないスピル弁を用いて燃料切
れの悪化を伴うことのない燃料供給系を実現することが
できるという特長を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインナカム式燃料噴射ポンプ装置
の一実施例の全体構成図である。
【図2】本実施例のインナカム式燃料噴射ポンプの要部
構成を表す斜視透視図である。
【図3】本実施例のインナカム式燃料噴射ポンプの動作
を説明するための図(その1)である。
【図4】本実施例のインナカム式燃料噴射ポンプの動作
を説明するための図(その2)である。
【図5】本実施例において実行するルーチンの一例のフ
ローチャートである。
【図6】本実施例のインナカム式燃料噴射ポンプの動作
を説明するためのタイムチャートである。
【図7】本実施例のインナカム式燃料噴射ポンプに好適
なカムリングの第2の実施例である。
【図8】本実施例のインナカム式燃料噴射ポンプに好適
なカムリングの第3の実施例である。
【図9】本実施例のインナカム式燃料噴射ポンプに好適
なカムリングの第4の実施例である。
【図10】本実施例のインナカム式燃料噴射ポンプ装置
の第2の実施例の要部構成図である。
【図11】第2の実施例の動作を説明するためのタイム
チャート図である。
【図12】本実施例のインナカム式燃料噴射ポンプ装置
の第3の実施例の要部構成図である。
【符号の説明】
10 インナカム式燃料噴射ポンプ 20 シリンダ 30 ロータ 40a,40b プランジャ 42a,42b ローラ 50 カムリング 52a,52b ローラガイド 54 カムリング本体 56a,56b スプリング 60 フィードポンプ 62 スピル弁 66,68 油圧制御弁 70 電子制御装置(ECU) 72 スロットル開度センサ 74 カム角パルスセンサ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半径方向に摺動可能に設けられたプラン
    ジャと該プランジャの摺動に応じて容積が変化する加圧
    室とを備えるロータと、内周面にカムを備え、前記ロー
    タの外周に、前記カムが前記プランジャと対向するよう
    に配設されるカムリングとを有し、前記ロータと前記カ
    ムリングとの相対的な回転に伴って前記加圧室の容積が
    増大する際に燃料を吸入し、その容積が減少する際に燃
    料を噴射するインナカム式燃料噴射ポンプと、 該燃料噴射ポンプの前記加圧室に連通するスピル通路の
    導通状態を制御するスピル弁とを備え、所定のタイミン
    グで該スピル弁を開弁又は閉弁して内燃機関の燃料噴射
    時期を制御するインナカム式燃料噴射ポンプ装置におい
    て、 内燃機関の負荷状態を検出する負荷状態検出手段と、 内燃機関の負荷状態に応じて前記プランジャのストロー
    クを変更すべく前記カムリングに組み込まれたプランジ
    ャストローク変更手段とを備えることを特徴とするイン
    ナカム式燃料噴射ポンプ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のインナカム式燃料噴射ポ
    ンプ装置において、 前記プランジャと前記インナカムとの間にローラが介在
    し、 前記プランジャストローク変更手段は、前記インナカム
    式燃料噴射ポンプに燃料を供給するフィードポンプか
    ら、前記負荷状態検出手段の検出結果に応じた油圧の提
    供を受ける油圧室と、前記ローラを前記インナカム側か
    ら支持する部材であって、前記油圧室の圧力に応じて前
    記インナカムの最大有効内径を変化させるローラガイド
    とからなることを特徴とするインナカム式燃料噴射ポン
    プ。
  3. 【請求項3】 半径方向に摺動可能に設けられたプラン
    ジャと該プランジャの摺動に応じて容積が変化する加圧
    室とを備えるロータと、内周面にカムを備え、前記ロー
    タの外周に、前記カムが前記プランジャと対向するよう
    に配設されるカムリングとを有し、前記ロータと前記カ
    ムリングとの相対的な回転に伴って前記加圧室の容積が
    増大する際に燃料を吸入し、その容積が減少する際に燃
    料を噴射するインナカム式燃料噴射ポンプと、 該燃料噴射ポンプの燃料噴射口近傍に連通するスピル通
    路の導通状態を制御するスピル弁とを備え、所定のタイ
    ミングで該スピル弁を開弁又は閉弁して内燃機関の燃料
    噴射時期を制御するインナカム式燃料噴射ポンプ装置に
    おいて、 前記プランジャに、所定のストローク位置で前記加圧室
    を所定の低圧室に連通するスピルポートを設けたことを
    特徴とするインナカム式燃料噴射ポンプ装置。
JP3733994A 1994-03-08 1994-03-08 インナカム式燃料噴射ポンプ装置 Pending JPH07247932A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE19737912C2 (de) * 1996-08-29 2002-07-18 Bosch Automotive Systems Corp Verteilerartige Kraftstoffeinspritzvorrichtung mit Innennockensystem für einen Verbrennungsmotor

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE19737912C2 (de) * 1996-08-29 2002-07-18 Bosch Automotive Systems Corp Verteilerartige Kraftstoffeinspritzvorrichtung mit Innennockensystem für einen Verbrennungsmotor

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