JPH07245847A - 放射線防護用設備機器ボックス - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 レントゲン室などの壁面に埋め込み設置し
た、コンセントボックスなどの設備機器設置箇所から
の、放射線の室外漏洩を防止すると共に、機器設置時の
作業性の向上を図る。 【構成】 ボックス本体１の背面に沿わせて、鉛板３を
裏貼りする。配線パイプ２の連結面には裏貼りせず、こ
の面には、鉛板３を、ボックス本体の形状に合わせて延
出させたことによる、溝形の遮蔽壁４を形成する。鉛板
３の端縁にフランジ部５を設けて、壁の鉛ボードに重ね
合わせるようにして取付ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、レントゲン室の壁面な
どに埋込設置する、コンセントやスイッチなどの設備機
器のボックスに関する。

【０００２】

【従来の技術】レントゲン室などの、放射性物質を使用
する室では、放射線が室外に漏洩するのを完全に遮断す
る必要がある。特に、放射線は極く僅かな隙間からでも
漏出するので、例えば、壁面に埋込状に設置するコンセ
ントボックスやスイッチボックスなどの箇所も完全に放
射線防護しなければならない。コンセントボックスなど
に於ける従来の防護形態が図３、図４、図５に示されて
いる。図３は最も簡単な形態で、ボックス本体２１の後
方に、大きな鉛板２２を配したものである。図中、２３
は配線用パイプ、２４は室の壁面に取付ける鉛ボードで
ある。また、図４はボックス本体２１の壁面に沿わせて
鉛板２５を裏貼りしたものである。更に、図５は防護性
の向上を図った形態で、裏貼り鉛板２５にフランジ２６
を設けて、壁の鉛ボード２４に重ね合わせて取付けるよ
うにすると共に、パイプ２３の外側に鉛板２７を巻き込
んだものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、前記従来の
防護形態では、いずれにも防護性や施工性などに問題が
あって、実用上、充分とはいえない。第１に従来の防護
処置は全て現場施工で行われており、コンセントボック
スなどの設置時に、その場で鉛板を切ったり、曲げたり
して加工し、裏貼りなどの施工作業をしている。この
為、工作不良を原因とする放射線漏洩を起こし易い上
に、施工に時間がかかり、作業性が極めて悪い。

【０００４】例えば、図１のものでは、鉛板２２の大き
さが充分でないと、鉛板２２の周辺から放射線が洩れ出
るおそれがあり、また、図４のものでは、裏貼りの鉛板
２５と壁の鉛ボード２４との接合部Ａや、パイプ２３の
為の穿孔部Ｂなどに、工作不良による隙間などがある
と、ここから放射線漏洩を起こす。図５のものは、比較
的、放射線漏洩は少ないが、それでも、工作不良がある
と、穿孔部Ｂからの漏洩のおそれがあり、その上、この
図５のものは、パイプ２３に鉛板２７を巻き込まねばな
らず、工作が非常に面倒だという欠点がある。

【０００５】本発明はこのような点に鑑み、放射線の防
護が完全で、且つ、施工時の作業性に優れた設備機器用
のボックスを提供せんとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明のボックスの技術
的手段は、ボックス本体１と、ボックス本体１の背面に
一体的に裏貼りされた鉛板３とからなり、配線パイプ２
の連結面には鉛板３が裏貼りされずに鉛板３を延出させ
たことによる溝形の遮蔽壁４が形成されていることにあ
る。

【０００７】また、ボックス本体の複数の面に、遮蔽壁
を形成してもよい。

【０００８】

【作用】本発明のボックスは、ボックス本体と鉛板とが
工場生産で一体的に加工されて提供されるので、取付施
工時の取扱いが容易で、作業能率を向上できる。また、
配線パイプの連結面では、鉛板はボックス本体の形状に
合わせてそのまま延出させられ、溝形の遮蔽壁になって
いるので、配線パイプは単に溝内に通せばよく、鉛板を
切込んだりする加工が一切不要であり、かつ、配線パイ
プ連結部の外方を鉛板でカバーしているので、このパイ
プ連結部からの放射線の漏洩を完全に遮断できる。従っ
て、ボックス本体の背面壁への鉛板の裏貼りと相俟っ
て、コンセントなどの設備機器の設置箇所からの放射線
漏洩を完全に防止できる。

【０００９】

【実施例】本発明のボックスを図面の実施例について説
明する。１はボックス本体で、長方体形状であり、前面
は開放されている。このボックス本体１内には、スイッ
チやコンセントなどの装置が組み込まれ、前面開放部に
は蓋が被せられる。２は配線パイプで、ボックス本体１
の側面に連結される。なお、パイプ２は、ボックス本体
１の４面のどの面にも連結される可能性があり、複数の
面に連結させる可能性もある。また、各面当たりのパイ
プの連結本数も定まらない。

【００１０】３は鉛板で、ボックス本体１の背面形状に
沿わせて成形加工されており、かつ、ボックス本体１に
接着剤などを用いて貼り付け固定される。ただし、パイ
プ２が連結される面には、鉛板を折り曲げて裏貼りせ
ず、ここでは鉛板３は、ボックス本体１の大きさに合わ
せて底面や隣面２側面のものをそのまま延出させ、溝形
の遮蔽壁４にしてある。遮蔽壁４の長さは、ボックス本
体１の大きさを考慮して定めるが、放射線防護上は長い
ほどよく、少なくともボックス本体１の深さに比し、そ
の同長以上は必要である。

【００１１】５は鉛板３の端縁に設けられたフランジ部
で、このフランジ部５は壁の鉛ボード６に重ね合わせて
取付ける。なお、ボックス本体１と鉛板３とは、工場で
成形加工され、一体となった状態で提供される。この
為、施工現場では、室の壁に埋込状に取付けるだけでよ
いから、作業が極めて楽である。

【００１２】本発明のボックスは、前記実施例に限定さ
れるものではなく、特許請求の範囲の記載の範囲内で自
由に変形実施可能である。特に、遮蔽壁４はパイプの連
結方向に設けるのであるから、ボックスのどの面に遮蔽
壁４を設けるか、或いは、１面だけでなく２面以上に設
けるか、などは使用態様に合わせて自由に定めることが
できる。また、ボックス本体１と鉛板３とを別体で提供
し、現場で組み合わせて用いるようにすることも可能で
ある。

【００１３】

【発明の効果】本発明のボックスでは、ボックス本体へ
の鉛板の取付け加工が全て工場生産で行われ、一体物と
して提供されるので、施工時の取扱いが簡単で、作業性
に富み、かつ、製造時の加工不良や、施工時の工作不良
を起こしにくい。また、本発明では、パイプの連結面
は、鉛板をボックス本体の形状に合わせてそのまま延出
させた溝形の遮蔽壁になっているので、配線パイプはそ
のまま溝に通せばよく、鉛板切込などの加工は一切不要
で、工作が楽であり、工作不良のおそれがなく、その
上、パイプ連結部の外を溝形の遮蔽壁が覆っているた
め、この箇所からの放射線を完全に遮断できる。このよ
うに本発明のボックスは、放射線の防護性が高い他、施
工時の作業性が良く、更に製造が簡単で、廉価に提供で
きるなど、実使用上、極めて有益である。

【００１４】請求項２のものは、複数面方向に配線する
場合に都合が良い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のボックスの斜視図。

【図２】図１のボックスの断面図。

【図３】従来のボックスの断面図。

【図４】従来の他のボックスの断面図。

【図５】従来の更に他のボックスの断面図。

【符号の説明】

１ ボックス本体 ２ 配管パイプ ３ 鉛板 ４ 溝形遮蔽壁 ５ フランジ部 ６ 壁の鉛ボード

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ボックス本体１と、ボックス本体１の背
   面に一体的に裏貼りされた鉛板３とからなり、配線パイ
   プ２の連結面には鉛板３が裏貼りされずに、鉛板３を延
   出させたことによる溝形の遮蔽壁４が形成されている放
   射線防護用設備機器ボックス。
2. 【請求項２】 ボックス本体１の複数の面に、鉛板３に
   よる遮蔽壁４が形成されている請求項１記載の放射線防
   護用設備機器ボックス。