JPH0724403A - 建築用化粧板の塗装方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 板状体の表面の凸状部と目地用の凹状溝との
間に視覚的差異を現出させることにより立体感を強調す
ることができると共に、凸状部の表面にのみタイルや石
肌等の粒模様を装飾性良く現出させることができるよう
にする。 【構成】 まず、表面に凸状部１および目地用の凹状溝
２が形成された板状体３の表面に凸状部１と凹状溝２と
が異なった色調になるように不透明塗料を塗布する。次
に、板状体３の凸状部１にのみ、少なくとも１色の鱗片
状骨材が混入された透明又は半透明の樹脂液を接触型塗
布機により塗布する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、建築用化粧板の塗装方
法に関し、特に、板状体の表面が目地用の凹状溝で区画
されることにより凸状部が形成されたタイル貼り調や天
然石貼り調の立体感および装飾性を有する建築用化粧板
に対する塗装方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から建築物の内外装の仕上げに用い
られるタイル貼り仕上げや天然石貼り仕上げは、小片の
タイルや天然石を一枚づつ目地セメント等で貼り上げる
ことにより施工されている。従って、タイル貼り仕上げ
や天然石貼り仕上げは、高級な外観を呈することができ
る反面、非常な手間と熟練を要すると共に高価につくも
のである。

【０００３】そこで、板状体の表面にエンボス加工法、
ルーター切削加工法、型成形法等によって凸状部および
目地用の凹状溝を形成した後、凸状部および凹状溝に着
色塗装を施し、その後、凸状部の表面に斑点塗装を施し
たり、細石等の粒状物を散布により付着させたりするこ
とにより、板状体の表面にタイルや石材の細かな肌模様
を表現し、これによりタイル貼り調や天然石貼り調の建
築用化粧板を製造することが行われている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の凸状
部および目地用の凹状溝をスプレーコーターやフローコ
ーター等により均一に塗装すると、目地の色と凸状部の
色とが同一になってしまうので、装飾性に劣ると共に目
地用の凹状溝の深みが表現できない。

【０００５】また、塗装された板状体の表面に細石等を
散布により付着させたり、塗料をスプレーコータにより
斑点模様状に塗布したりすると、目地用の凹状溝にも凸
状部と同様の細石等の付着物や塗装による斑点模様が形
成されてしまうため、凸状部と凹状溝との区別が不明瞭
となってしまうので、深みのある立体感が表現できず装
飾性に劣るという問題がある。

【０００６】また、細石等を散布により付着させる場合
には、細石等が板状体の表面から脱落する恐れがあるの
で、これを避けるために、付着した細石の表面に樹脂液
によるクリアー塗装を施す必要があり、生産工程が複雑
になるという問題もある。

【０００７】また、塗料による斑点塗装を施す場合に
は、斑点の大きさを好ましい範囲に管理することは実際
上困難であるため、視覚的に識別しにくい程度に小さい
斑点が凸状部に付着し、凸状部の表面にぼやけた汚れの
ような部分が形成されるので、装飾性が低下するという
問題もある。

【０００８】本発明は、上記の各問題点を一挙に解決
し、板状体の表面の凸状部と目地用の凹状溝との間に視
覚的差異を現出させることにより立体感を強調すること
ができると共に、凸状部の表面にのみタイルや石肌等の
粒模様を装飾性良く現出させることができる建築用化粧
板の塗装方法を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、請求項１の発明は、凸状部と凹状溝とが異なった色
調になるように不透明塗料を塗布した後、鱗片状骨材が
混入された透明性樹脂液を板状体の凸状部にのみ接触型
塗布機によって塗布するものである。

【００１０】具体的に請求項１の発明が講じた解決手段
は、建築用化粧板の塗装方法を、表面に凸状部および目
地用の凹状溝が形成された板状体の表面に上記凸状部と
凹状溝とが異なった色調になるように不透明塗料を塗布
する第１の工程と、上記板状体の凸状部にのみ、少なく
とも１色の鱗片状骨材が混入された透明又は半透明の樹
脂液を接触型塗布機により塗布する第２の工程とを備え
ている構成とするものである。

【００１１】請求項２の発明は、請求項１の構成に、上
記第２の工程は上記凸状部に塗布された不透明塗料と塗
装しようとする樹脂液との積層塗膜層の光沢度が上記凹
状溝に塗布された不透明塗料の塗膜層の光沢度よりも高
くなるような樹脂液を塗布する工程であるという構成を
付加するものである。

【００１２】請求項３の発明は、請求項１又は２の構成
に、上記板状体の凸状部の表面には上記凹状溝の深さよ
りも浅い深さを有する凹状模様が形成されているという
構成を付加するものである。

【００１３】

【作用】請求項１の構成により、板状体の表面に凸状部
と凹状溝とが異なった色調になるように不透明塗料を塗
布した後、凸状部にのみ、少なくとも１色の鱗片状骨材
が混入された透明又は半透明の樹脂液を接触型塗布機に
より塗布すると、凸状部にのみ鱗片状骨材による明瞭な
粒模様が現出する。このため、凸状部と凹状溝とが異な
る色調になるように塗布された不透明塗料の塗膜層と、
凸状部にのみ塗布された粒模様の塗膜層との相乗効果に
より、自然感に富んだ立体感のある建築用化粧板を得る
ことができる。この場合、鱗片状骨材が混入された透明
又は半透明の樹脂液を接触型塗布機により凸状部の表面
に塗布すると、凹状溝には樹脂液が塗布されないので、
凸状部の表面にのみ効率良く塗装することができる。

【００１４】請求項２の構成により、凸状部に塗布され
た不透明塗料と樹脂液との積層塗膜層の光沢度が凹状溝
に塗布された不透明塗料の塗膜層の光沢度よりも高くな
るように樹脂液を塗布するため、凸状部の方が目地用の
凹状溝よりも光沢が低くなるので、いっそう立体感およ
び自然感のある化粧板を得ることができる。

【００１５】請求項３の構成により、凸状部の表面には
目地用の凹状溝の深さよりも浅い深さを有する凹状模様
が形成されており、凹状模様をしぼ模様の細かな凹状模
様にすると焼成タイルの地肌を表現でき、凹状模様を深
みのある大柄の凹状模様とすると石の地肌を表現でき
る。

【００１６】

【実施例】以下、本発明の一実施例に係る建築用化粧板
の塗装方法について説明する。

【００１７】まず、表面に凸状部１および目地用の凹状
溝２が形成された板状体３を準備する。

【００１８】表面に凸状部１および目地用の凹状溝２が
形成された板状体３としては、例えば木材片にセメント
等の水硬性結合材および水を混合した後、エンボスプレ
ートによりタイル模様等の凸状部１と凹状溝２とを形成
し、その後、養生硬化させたものを使用する。この場
合、養生硬化させた板状体３の表面にシーラー塗装等の
下地塗装を施しておくこともできる。

【００１９】板状体３としては、上記のようなもののほ
かに、ガラス繊維強化セメント板、石綿セメント板、炭
酸マグネシウム板、パルプセメント板、スラグセメント
板、ケイ酸カルシウム板等の無機質系材料からなるもの
を用いることができ、これら無機質系材料からなるもの
は、タイルや石材の質感を有すると共に耐久性に優れて
いるので好ましい。

【００２０】また、板状体３としては、無機質系材料か
らなるもののほかに木質材料や合成樹脂材料等からなる
ものを用いることもできる。

【００２１】また、板状体３の表面に凸状部１および凹
状溝２を形成する方法としては、上記のエンボスプレー
トによる方法のほかに、ルーターによる切削法や型成形
法等を採用することができる。

【００２２】さらに、凸状部１の表面に、凹状溝２の深
さよりも浅い深さを有する凹状模様４、例えば焼成タイ
ルの素地肌を表現するようなしぼ状の細かな凹状模様
や、石肌を表現するような深くて大柄な凹状模様等が形
成されている板状体１を用いることが特に好ましい。こ
のように、凸状部１の表面に凹状模様４を形成する場合
には、エンボスプレートによる方法が最も生産性が良
い。

【００２３】次に、板状体３の表面に、凸状部１と凹状
溝２とが異なった色調になるように着色不透明塗料を塗
布する。

【００２４】このように凸状部１と凹状溝２とが異なる
色調になるように着色不透明塗料を塗布する方法は、特
に限定されるものでないが、例えば、板状体３の表面を
全面に亘ってスプレーコーターやフローコーター等によ
り目地の色に塗装した後、凸状部１のみをロールコータ
ーにより別色に塗装したり又は凹状溝２をマスキング材
で隠蔽して凸状部１のみをスプレーコーターにより別色
に塗装したりすることができる。逆に、板状体３の表面
を全面に亘ってスプレーコーター等により凸状部１の色
に塗装した後、凹状溝２のみを別色に塗装するようにし
てもよい。

【００２５】ここで用いる着色不透明塗料は、いわゆる
エナメル塗料と称するもので、例えば、ウレタン樹脂
系、アクリル樹脂系又はアミノアルキッド樹脂系等の樹
脂成分に有機質又は無機質の着色顔料が混入されたもの
を主成分とする塗料である。

【００２６】凸状部１および凹状溝２に塗布する着色不
透明塗料の色調としては、ＪＩＳ−Ｚ−８７２２に準じ
て測定した場合、色差で△Ｅ＞１．０以上あることが好
ましく、△Ｅ＞２．０以上の色差があることがより好ま
しい。

【００２７】次に、板状体３の凸状部１にのみ、少なく
とも１色の鱗片状骨材が混入された透明又は半透明の樹
脂液を接触型塗布機により塗布する。

【００２８】この透明又は半透明の樹脂液としては、ウ
レタン系樹脂、アルキッド系樹脂、ポリエステル系樹
脂、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂又はフッ素系樹脂
等を含む樹脂液であって透明又は半透明に着色されたも
のを用いることができる。

【００２９】また、適度な半透明性を持たせるために着
色顔料等の顔料を添加したものも、本発明の樹脂液とし
て用いることができる。

【００３０】この場合、凸状部１に塗布された不透明塗
料とこれから塗装しようとする樹脂液との積層塗膜層の
光沢度が凹状溝２に塗布された不透明塗料の塗膜層の光
沢度よりも高くなるような透明又は半透明の樹脂液を用
いることが望ましい。

【００３１】ここで、半透明とは、塗布乾燥後に上記着
色不透明塗料の塗布層が僅かに若しくは明瞭に透けて見
える状態、或いは凹状模様が形成されている場合のよう
に、凹状模様の凹部に部分的に塗料が厚く溜まりこの部
分は不透明にその他の部分は上記僅かに若しくは明瞭に
透けて見える状態を言う。

【００３２】具体的に、このような光沢度としては、Ｊ
ＩＳ−Ｚ−８７４１の光沢度測定方法により前者の光沢
度が後者の光沢度の１．５倍以上になるようにすると、
立体感をさらに強調できるものである。

【００３３】また、鱗片状骨材とは、プラスチック製、
セラミック製、雲母、金属製、紙製等であり、球状や角
柱状のように立体的なものではなく、厚さに比べて面積
が大きな偏平状のものである。

【００３４】鱗片状骨材としては、その径が０．０４ｍ
ｍ〜５ｍｍ程度のものを使用することが好ましい、その
理由は、径が０．０４ｍｍよりも小さくなると斑点模様
として目立たなくなるためであり、径が５ｍｍよりも大
きくなったり偏平状以外のものになったりすると、接触
型塗布機により樹脂液を均一に塗布することが困難にな
るためである。このような観点から、鱗片状骨材の径と
して０．２ｍｍ〜２ｍｍのものを選択すると装飾性およ
び塗布性がいっそう向上する。

【００３５】また、このような鱗片状骨材としては、一
色のものを使用してもよいが、異なった色に着色された
複数の鱗片状骨材を混ぜ合わせて使用すると、複雑な混
合色からなる斑点模様を表現できるので装飾的価値を高
めることができる。

【００３６】鱗片状骨材が混入された樹脂液を凸状部１
にのみ塗布する接触型塗布機としては、ロールコーター
を使用するのが通常であり、スクリーン又は凸版等の印
刷機を使用することもできる。凸状部１の表面に凹状模
様４が形成されている場合には、凹状模様４に応じてロ
ールコーターにおける塗布ロールの硬軟の程度を選定す
ることができる。

【００３７】このような樹脂液を凸状部１にのみ塗布す
ることによって、鱗片状骨材同士の間から目地用の凹状
溝２の色と異なる色調の不透明着色塗膜層が現出する立
体感および装飾性に優れた建築用化粧板が得られる。こ
のような観点から、樹脂液における鱗片状骨材の密度と
しては、鱗片状骨材が凸状部１の表面積の５％〜８０％
を隠蔽する程度にすることが好ましい。

【００３８】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１の発明に
係る建築用化粧板の塗装方法によると、板状体の表面に
凸状部と凹状溝とが異なった色調になるように不透明塗
料を塗布した後、凸状部にのみ、少なくとも１色の鱗片
状骨材が混入された透明又は半透明の樹脂液を接触型塗
布機により塗布するため、凸状部にのみ鱗片状骨材によ
る明瞭な斑点模様が現出し、明瞭な斑点模様と該斑点模
様同士の間から現出する目地色と異なる色調の塗膜層と
が相乗して、自然感に富んだ立体感のある建築用化粧板
を形成することができる。

【００３９】また、樹脂液には鱗片状の骨材を混入する
ため、樹脂液に骨材が混入されているにも拘らず接触型
塗布機による塗装が容易である。

【００４０】請求項２の発明に係る建築用化粧板の塗装
方法によると、凸状部に塗布された不透明塗料と塗装し
ようとする樹脂液との積層塗膜層の光沢度が凹状溝に塗
布された不透明塗料の塗膜層の光沢度よりも高くなるよ
うな樹脂液を塗布するため、目地用の凹状溝の方が凸状
部よりも光沢が低くなるので、いっそう立体感および自
然感のある建築用化粧板を得ることができる。

【００４１】請求項３の発明に係る建築用化粧板の塗装
方法によると、凸状部の表面には目地用の凹状溝の深さ
よりも浅い深さを有する凹状模様が形成されているた
め、凸状部に焼成タイルの地肌や石の地肌を表現できる
ので、請求項１又は２の効果と相俟って建築用化粧板の
装飾性をいっそう向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る建築用化粧板の塗装方
法に用いる板状体の斜視図である。

【符号の説明】

１ 凸状部 ２ 凹状溝 ３ 板状体 ４ 凹状模様

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 表面に凸状部および目地用の凹状溝が形
   成された板状体の表面に上記凸状部と凹状溝とが異なっ
   た色調になるように不透明塗料を塗布する第１の工程
   と、上記板状体の凸状部にのみ、少なくとも１色の鱗片
   状骨材が混入された透明又は半透明の樹脂液を接触型塗
   布機により塗布する第２の工程とを備えていることを特
   徴とする建築用化粧板の塗装方法。
2. 【請求項２】 上記第２の工程は、上記凸状部に塗布さ
   れた不透明塗料と塗装しようとする樹脂液との積層塗膜
   層の光沢度が上記凹状溝に塗布された不透明塗料の塗膜
   層の光沢度よりも高くなるような樹脂液を塗布する工程
   であることを特徴とする請求項１に記載の建築用化粧板
   の塗装方法。
3. 【請求項３】 上記板状体の凸状部の表面には上記凹状
   溝の深さよりも浅い深さを有する凹状模様が形成されて
   いることを特徴とする請求項１又は２に記載の建築用化
   粧板の塗装方法。