JPH07243167A - 凹凸を有する起毛布帛の製造方法 - Google Patents

凹凸を有する起毛布帛の製造方法

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JPH07243167A
JPH07243167A JP6035194A JP6035194A JPH07243167A JP H07243167 A JPH07243167 A JP H07243167A JP 6035194 A JP6035194 A JP 6035194A JP 6035194 A JP6035194 A JP 6035194A JP H07243167 A JPH07243167 A JP H07243167A
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JP
Japan
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fabric
shape
temperature
napped
copolyester
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Application number
JP6035194A
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English (en)
Inventor
Tsunekatsu Furuta
常勝 古田
Yoshiaki Kijima
由明 來島
Kazuhiro Komori
一廣 小森
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 均一な起毛が施され,かつ残留光沢がなく,
良好なボリューム感をもつ凹凸を有する起毛布帛の製造
方法を提供する。 【構成】 形状記憶能を有するコポリエステル繊維を主
体としてなる凹凸を有する布帛に熱処理を施して布帛に
凹凸形状を記憶させ,次に,低温カレンダー処理を行っ
て布帛を平坦化した後,起毛加工し,その後,コポリエ
ステル繊維のガラス転移点よりも高く,形状を記憶せし
めた温度よりも低い温度で熱処理を施して布帛の凹凸を
復元させる。 【効果】 従来の加工に見られるような凸部が起毛さ
れ,凹部が起毛されないという不均一な起毛ではなく,
凹部も起毛されて布帛のボリューム感を有し,光沢残留
のような現象も発生しない均一な起毛が施された凹凸を
有する起毛布帛を製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,均一に起毛された凹凸
を有する起毛布帛の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より,高級な表面感や触感を得る手
法の1つとして,布帛の表面を針布やサンドペーパーで
摩擦し,毛羽立たせる起毛加工が知られている。起毛加
工は,張力をかけ,拡布された布帛に回転する針布ロー
ルやサンドペーパーロール等を押しつけることにより,
表面の繊維の一部をカッティングし,毛羽立たせる加工
技術であるが,布帛の表面に凹凸があると,凸部のみが
起毛され,凹部は起毛されず,均一な起毛を施せないと
いう欠点を有していた。
【0003】この欠点を解消する方法として,凹凸を有
する布帛を起毛する前にカレンダー処理して布帛表面を
平滑にした後,起毛加工を行う方法が行われている。こ
の方法を用いると,布帛に均一な起毛加工を施すことは
できるが,布帛を平滑にするため,布帛のボリューム感
がなくなるとともに,光沢が残留するという問題があっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,このような
現状に鑑みて行われたもので,布帛の凹部も凸部も均一
に起毛されており,かつ布帛に光沢が残留せず,ボリュ
ーム感を有する凹凸のある起毛布帛を製造することを目
的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は,上記目的を達
成するもので,次の構成よりなるものである。すなわ
ち,本発明は「形状記憶能を有するコポリエステル繊維
を主体としてなる凹凸を有する布帛に,熱処理を施して
該布帛に凹凸形状を記憶せしめる第1工程,低温カレン
ダー処理を行って布帛を平坦化する第2工程,起毛加工
を行う第3工程,コポリエステル繊維のガラス転移点よ
りも高く,形状を記憶せしめた温度よりも低い温度で熱
処理を施し,布帛の凹凸を復元させる第4工程よりなる
ことを特徴とする凹凸を有する起毛布帛の製造方法」を
要旨とするものである。
【0006】以下,本発明を詳細に説明する。
【0007】本発明では,形状記憶能を有するコポリエ
ステル繊維を主体としてなる凹凸を有する布帛を用い
る。ここでいう形状記憶能とは,任意の形状Aに成形し
て,その形状を熱処理により固定,記憶させ,次いで,
その形状Aとは異なる形状Bに外力により一旦変形し,
その後,ガラス転移点よりも高く,形状を記憶せしめた
温度よりも低い温度で加熱することにより形状Aに回復
する機能をいう。
【0008】本発明で用いる形状記憶能を有するコポリ
エステルは,形状を記憶するに際して固定部となるセグ
メント(以下,ハードセグメントという。)と形状の変
形や回復に際して可動部となるセグメント(以下,ソフ
トセグメントという。)を有する必要があり,このよう
なコポリエステルを得る方法としては,芳香族ポリエス
テルセグメント(ハードセグメント)と脂肪族ポリエス
テルセグメント(ソフトセグメント)とを適度な割合で
共重合してポリマーとする方法や,芳香族ポリエステル
セグメント(ハードセグメント)とポリアルキレングリ
コールセグメント(ソフトセグメント)とを適度な割合
で共重合してポリマーとする方法等を挙げることができ
る。
【0009】本発明で用いる芳香族ポリエステルセグメ
ントとは,ポリエステルの繰り返し単位に少なくとも1
つの芳香環を有するポリエステルセグメントをいい,脂
肪族ポリエステルセグメントとは,ポリエステルの繰り
返し単位が脂肪族化合物のみからなるポリエステルセグ
メントをいう。
【0010】ハードセグメントを構成する芳香族ポリエ
ステル成分としては,例えば,テレフタル酸,イソフタ
ル酸,ビスフェノールA,P−オキシ安息香酸等のジカ
ルボン酸とエチレングリコール,ブタンジオール,ヘキ
サンジオール等のジオールとの縮合物を挙げることがで
きる。
【0011】ソフトセグメントを構成する脂肪族ポリエ
ステルとしては,例えば,アジピン酸,アゼライン酸,
ドデカン二酸,エイコサン二酸等のジカルボン酸とエチ
レングリコール,ブタンジオール,ヘキサンジオール等
のジオールとの縮合物を挙げることができる。また,ポ
リエチレングリコール,ポリテトラメチレングリコール
等のポリアルキレングリコールもソフトセグメント成分
として機能し得る。
【0012】本発明で用いるコポリエステルは,前述の
ハードセグメントとソフトセグメントのみよりなるコポ
リエステルでも十分な形状記憶能を有するが,さらに分
子間架橋が可能な分子構造を導入すれば,ゴムが加硫に
より形状を記憶する原理と同様に,ポリエステルの分子
間を要所で架橋させ,固定点として機能し得るため,よ
り一層有用な形状記憶能を有するコポリエステルを得る
ことができる。分子間架橋が可能な分子構造としては,
不飽和結合を有するモノマー成分を共重合し,ポリエス
テルの主鎖に不飽和結合を導入してなる構造を挙げるこ
とができる。この不飽和結合を形状記憶する際に適当な
手段で開裂させることにより,分子間架橋が可能とな
る。
【0013】ポリエステルに共重合が可能で,不飽和結
合を有するモノマー成分としては,例えば,無水マレイ
ン酸,マレイン酸,クロロマレイン酸,イタコン酸,フ
マル酸,シトラコン酸,ヘット酸,無水ヘット酸等の不
飽和ジカルボン酸や,2−ブテン−1,4−ジオール,3
−ブテン−1,2−ジオール等の不飽和ジオール等を挙げ
ることができる。
【0014】本発明におけるコポリエステルは,必要に
応じて,本発明の目的を損なわない範囲であれば,他の
副原料が共重合されていてもよく,また,種々の添加剤
等が含まれていてもよい。
【0015】本発明に用いるコポリエステルを構成する
モノマーの構成成分及びその共重合割合は,広範囲に選
択し得るが,経済性,汎用性,物性等を考慮すれば,例
えば次のようなものが好ましい。すなわちジカルボン酸
としてテレフタル酸を50〜95モル%,好ましくは6
0〜90モル%,ドデカン二酸を5〜50モル%,好ま
しくは10〜40モル%使用し,ジオールとしてエチレ
ングリコールを100モル%の割合で使用したコポリエ
ステルである。この例においては,エチレングリコール
とテレフタル酸からなる繰り返し単位がハードセグメン
ト,エチレングリコールとドデカン二酸からなる繰り返
し単位がソフトセグメントとなる。
【0016】本発明で用いるコポリエステルのガラス転
移点は,30℃以上,80℃以下にするのが好ましい。
ガラス転移点が30℃より低いと,容易に変形できる
が,変形した形状を固定することが難しく,ガラス転移
点が80℃を超えると,記憶した形状を回復するのに要
する温度が高すぎるため,実用的ではない。
【0017】また,コポリエステルの融点は,150℃
以上であることが望ましい。融点が150℃未満では,
繊維の加熱時に収縮を防ぐための熱セットや高温染色が
しにくくなり,実用的ではない。
【0018】本発明で用いるコポリエステル繊維は,通
常の汎用のポリエステル繊維と同様の溶融紡糸法で製造
すればよい。
【0019】上述の形状記憶能を有するコポリエステル
繊維を主体としてなる凹凸を有する布帛は,前述のコポ
リエステル繊維を100%使用してもよいが,形状記憶
能を阻害しない範囲であれば,形状記憶能を有しない通
常のポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフ
タレート等のポリエステル繊維,ナイロン繊維等の合成
繊維,レーヨン繊維等の再生繊維,ウール,木綿,麻等
の天然繊維と混繊,混紡,交織,交編したものであって
も一向に差し支えない。
【0020】本発明で用いる凹凸を有する布帛は,通常
の方法で単に起毛しても,その凹部を起毛することがで
きず,布帛全面にわたって均一な起毛加工を施すことが
できない組織や表面形状を有する布帛をいい,その凹凸
を表す方法の1つとしては,例えば表面粗度というもの
がある。ここでいう表面粗度とは,触針式の表面粗さ測
定計によって2次元で描かれた織編物の断面形状から算
出するもので,織編物の断面形状において基準線を設定
し,最大山高さ(dm)と最大谷深さ(dr)を読み取
り,下記(1)式によって算出するものである。 表面粗度=dm+dr(μm)────(1)
【0021】この表面粗度で表した場合,布帛の有する
凹凸は,織編物の組織や表面形状によっても異なるが,
通常は50μm以上のものをいう。表面粗度が50μm
より小さい織編物は,均一な起毛加工を施すことがで
き,たとえ不均一な起毛であっても,その差異が小さく
判別できないほどの加工差となるので,本発明方法の加
工の対象外となる。
【0022】本発明で用いる凹凸を有する布帛は,汎用
の織機や編機で布帛化し,必要に応じて精練,染色等を
行うことにより得られる。
【0023】本発明では,第1工程として,上述の凹凸
を有する布帛に熱処理を施して,布帛に凹凸や表面形状
を記憶せしめる。熱処理は,乾燥機やヒートセッター等
を用いて常法にて行えばよいが,布帛の凹凸や表面形状
が記憶形状回復時に顕著に発現することが好ましく,こ
の点から,例えば,テンションレスのネットコンベアー
型熱風乾燥機を用いると好適である。
【0024】布帛の熱処理温度は,形状を記憶せしめる
ための固定点を生じさせる必要上,コポリエステル中の
結晶部分の絡み合いや分子間架橋を促進するのに十分な
温度である必要があり,このためには,布帛を構成する
コポリエステル繊維の構成成分,物性等によって異なる
とはいえ,通常は使用コポリエステル繊維の結晶化温度
より高く,融点より低い温度である必要がある。
【0025】熱処理にて形状を記憶せしめた凹凸を有す
る布帛に,本発明では,低温カレンダー処理を行って布
帛の表面を平坦化する第2工程を行う。ここでいう布帛
表面の平坦化とは,布帛表面の凹凸が均一に起毛加工を
施すことができる程度に平滑化された状態をいう。前述
の表面粗度で表すと,5μm以上,50μm以下である
ことが好ましい。表面粗度が50μmを超えると,表面
の凹凸が強く,均一な起毛を施しにくくなり,逆に表面
粗度が5μmより小さいと,起毛加工時に布帛表面で針
布やサンドペーパーが滑り,良好な起毛加工を施しにく
くなる。
【0026】上述の低温カレンダー処理は,通常の艶出
し加工や目つぶし加工等に用いられる加熱金属ロールと
コットンロール,プラストロール,ゴムロール等との組
合せで構成されるカレンダー加工機を用いて,加圧加熱
することにより行うことができる。
【0027】低温カレンダー処理時の熱プレス圧力は,
布帛の凹凸が均一な起毛加工を施すことができるように
平坦化される程度でよく,カレンダー処理温度や布帛の
凹凸の度合いによって異なるものの,一般には5〜80
kg/cmの範囲であることが好ましい。熱プレス圧が5kg
/cmより小さいと,布帛表面の凹凸が平坦化されず,8
0kg/cmを超えると,起毛加工時に布帛表面で針布やサ
ンドペーパーが滑り,良好な起毛加工を施すことが困難
になる。
【0028】低温カレンダー処理の温度は,形状を変形
させるコポリエステル中のソフトセグメントを軟化ある
いは流動化するのに十分な温度で,かつ形状を記憶した
固定点を消失させない温度を選択する。通常は,布帛を
構成するコポリエステル繊維の構成成分,物性等によっ
て異なるが,使用するコポリエステル繊維のガラス転移
点より高く,形状を記憶させた温度より低い温度範囲を
選択するとよい。
【0029】次に低温カレンダー処理にて平坦化された
布帛に,本発明では,第3工程として起毛加工を施す。
この工程の起毛に際しては,針布ロールやサンドロー
ル,サンドベルト等を使用した起毛機を使用する。起毛
の程度は,得ようとする起毛布帛の表面状態,毛羽の状
態,毛羽の長さ,毛羽の密度等に応じて,布帛の張力,
サンドペーパーの粒度あるいは針布の針頭数,起毛回数
等の起毛条件を適宜調節し,求める起毛状態となるよう
にすればよい。
【0030】この起毛加工工程でサンドロールやサンド
ベルトを用いた起毛機を使用する場合には,使用するサ
ンドペーパーは,市販ペーパーの粒度#150〜600
のものが望ましく,針布ロールを用いた起毛機を使用す
る場合には,針布は,針頭数220〜600本/吋2
度のものが望ましい。
【0031】また,起毛工程でエメリー起毛を施す場合
には,染色加工より先に起毛を行う方が望ましい。染色
加工より後でエメリー起毛加工を行うと,毛羽先が白く
なる現象が発生して,起毛布帛の品位を低下させる原因
となる。
【0032】起毛加工の後,本発明では第4工程として
布帛にコポリエステル繊維のガラス転移点よりも高く,
形状を記憶せしめた温度よりも低い温度で熱処理を施
し,第1工程で布帛に記憶させた凹凸を復元させる。こ
の工程の熱処理は,乾燥機等を用いて常法にて行えばよ
いが,布帛に記憶されている凹凸や表面形状を顕著に復
元させるため,外力のかからない状態で熱処理すること
が望ましく,例えばテンションレスのネットコンベアー
型熱風乾燥機等を用いて行うことが好ましい。
【0033】熱処理温度は,変形された形状から固定点
にて記憶した形状を復元させるのに十分な温度,いいか
えれば,コポリエステル中のソフトセグメントを軟化あ
るいは流動化するのに十分な温度が必要である。そのた
めには,布帛を構成するコポリエステル繊維の構成成
分,物性等に注意しつつ,使用したコポリエステル繊維
のガラス転移点よりも高く,形状を記憶せしめた温度よ
りも低い温度で熱処理を行わなければならない。熱処理
温度がコポリエステル繊維のガラス転移点より低い場合
には,コポリエステル中のソフトセグメントの軟化ある
いは流動化が起こらないため,記憶された形状の発現が
なされず,また,逆に形状を記憶せしめた温度よりも高
い温度で熱処理すると,コポリエステル中のソフトセグ
メントが軟化あるいは流動化するだけではなく,形状を
記憶した固定点も消失してしまうため,記憶された形状
の復元は不可能になるので,注意を要する。
【0034】本発明は,以上の構成よりなるものであ
る。
【0035】
【作 用】本発明のごとく,形状記憶能を有するコポリ
エステル繊維を使用して凹凸を有する布帛を形成し,こ
れに使用されたコポリエステル繊維の結晶化温度以上,
融点以下の温度で熱処理を施すと,コポリエステル中で
結晶化の促進,結晶化部分の絡み合いあるいは分子間架
橋が引き起こされて,記憶すべき形状を固定する固定点
が生じ,この形状を記憶した布帛に低温カレンダー処理
を施すと,潜在的に形状回復能を有しながら布帛表面が
平坦化される。このように平坦化された布帛に起毛加工
を施すと,凸部が起毛され,凹部が起毛されないという
現象も発生せず,穴が開いたり,布帛の強度が著しく低
下したりするという問題も発生せず,均一な起毛を施す
ことができる。ここで,この起毛布帛に使用したコポリ
エステル繊維のガラス転移点より高く,形状を記憶せし
めた温度よりも低い温度で熱処理を施すと,コポリエス
テル中のソフトセグメントが軟化あるいは流動化して,
固定点により記憶した形状を復元させるため,低温カレ
ンダー処理前の状態に布帛が戻り,その結果,凹部にも
均一な起毛が施され,かつ布帛のボリューム感も良好
で,光沢の残留もない凹凸を有する起毛布帛が得られる
ようになる。
【0036】
【実施例】以下,実施例によって本発明をさらに具体的
に説明するが,実施例におけるコポリエステルの融点,
ガラス転移点,結晶化温度の測定は,下記(1)により
行い,また,起毛布帛については,形状を記憶させるた
めの熱処理後(以下,賦形処理後という。),低温カレ
ンダー処理後(以下,変形処理後という。)および記憶
された形状を復元させるための熱処理後(以下,形状回
復後という。)の各々の試料について,下記(2)〜
(4)により測定,評価を行った。さらに,形状回復後
の最終加工布帛について,下記(5)により起毛の均一
性を評価した。 (1)コポリエステルの融点,ガラス転移点,結晶化温
度 示差走査熱量計(パーキンエルマー社製,DSC−2
型)を用いて,昇温速度20℃/min で測定した。 (2)表面粗度 表面粗さ測定器(株式会社小坂研究所製,SE−3A
K)を用いて,Y軸倍率100倍,Z軸倍率500倍,
ピッチ倍率200倍の測定条件にて走査距離を1cmと
し,試料における任意の5点の平均により算出した。 (3)布帛の厚み JIS L−1096に準じて測定,評価を行った。 (4)布帛表面の光沢 未加工試料と加工試料を肉眼判定により比較し,次の2
段階の相対評価を行った。 ○ 光沢無 × 光沢有 (5)起毛の均一性 肉眼判定により,起毛状態を相対的に次の2段階評価し
た。 ○ 均一性良好 × 均一性不良
【0037】実施例1 テレフタル酸とエチレングリコールのエステル化反応に
より得られたビスβ−ヒドロキシエチルテレフタレート
およびそのオリゴマー45.0kgに,ドデカン二酸5.8k
g,マレイン酸0.4kg,エチレングリコール9.0kgおよ
び触媒としてテトラブチルチタネート26gを加え,2
50℃にて窒素ガス制圧下(3.6kg/cm2)で2時間のエ
ステル化反応を行い,ドデカン二酸の共重合割合10モ
ル%,マレイン酸の共重合割合1.5モル%のエステル化
物を得た。得られたエステル化物を重縮合反応器に移し
て,280℃,0.4トルで3時間の重縮合反応を行い,
コポリエステルAを得た。得られたコポリエステルA
は,ガラス転移点49℃,融点232℃,結晶化温度1
37℃であった。
【0038】このコポリエステルAのチップを減圧乾燥
した後,通常の溶融紡糸装置を用いて溶融し,孔形○形
状の紡糸孔数24の紡糸口金を通し,紡糸温度270℃
で溶融紡糸しながら1500m/min で捲き取った。次
に,温度90℃,倍率3.2倍にて延伸し,150℃でヒ
ートセットして,75d/24fの延伸糸Aを得た。糸
切れ等に問題は発生せず,良好な製糸性であった。
【0039】得られた延伸糸Aを用いて経糸密度135
本/吋,緯糸密度76本/吋のピッケ組織の織物を製織
し,凹凸を有する布帛を得た。この布帛粗度は176μ
m,布帛の厚みは0.54mmであった。
【0040】得られた布帛に常法にてリラックス精練,
乾燥を行った後,ヒートセッターを用いて,190℃で
1分間の熱処理を行い,その形状を記憶させた。
【0041】次に,金属ロールとコットンロールの組合
せで構成されたカレンダー加工機を用いて,加工温度1
20℃,プレス圧60kg/cm,加工速度17m/min の
条件で低温カレンダー処理を行った。
【0042】続いて,直径200mmのロール6本の表面
に各々粒度240番のサンドペーパー(理研ノートン社
製)を捲きつけたエメリー起毛機を用いて,ロール回転
数が1000rpm ,布帛との接触圧力8.7g/cm2 ,加
工速度20m/min の条件にて起毛加工を行った。得ら
れた布帛は,穴開きなく,均一で良好な起毛が施されて
いた。
【0043】この起毛加工を施した布帛を Kayalon Pol
yester Blue 2R−SE(日本化薬株式会社製,分散染
料)1%owf で染色し,乾燥した後,ネットコンベアー
型乾燥機にて170℃で5分間の熱処理を行って本発明
方法による加工布帛を得た。
【0044】本発明との比較のため,本実施例において
コポリエステルAに代えてガラス転移点69℃,融点2
58℃,結晶化温度163℃のポリエチレンテレフタレ
ートを用いるほかは,本実施例とまったく同一の方法に
より比較用の加工布帛(比較例1とする。)を得た。ま
た,本発明との比較のため,本実施例において低温カレ
ンダー処理工程を省く以外は,本実施例とまったく同一
の方法により比較用の加工布帛(比較例2とする。)を
得た。
【0045】本発明および比較用の加工布帛の性能を測
定,評価し,その結果を併せて表1に示した。
【表1】
【0046】表1より明らかなごとく,本発明の布帛
は,均一な起毛を施されており,かつ記憶形状の復元に
より,残留光沢がなく,良好なボリューム感を有してい
た。これに対して,比較例1の加工布帛は,本実施例と
同様に低温カレンダー処理により布帛表面の凹凸がつぶ
れて平坦化し,均一で良好な起毛が得られたが,その後
の熱処理により凹凸が復元せず,ボリューム感に欠けて
おり,しかも光沢にも難点があった。また,比較例2の
加工布帛は,起毛が不均一であり,しかも布帛の凸部に
穴傷が発生していた。
【0047】実施例2 上記実施例1において,マレイン酸を添加せず,ドデカ
ン二酸の共重合割合を15モル%に変更すること以外
は,実施例1と全く同一の方法により,ガラス転移点3
8℃,融点221℃,結晶化温度144℃のコポリエス
テルBを得た。
【0048】得られたコポリエステルBを用い,孔形△
形状の紡糸孔数48の紡糸口金を用い,延伸ヒートドラ
ム温度を120℃とすることのほかは,実施例1と全く
同一の方法により150d/48fの延伸糸Bを得た。
この延伸糸Bの製造に際しても,糸切れ等の問題は発生
せず,良好な製糸性を示していた。
【0049】得られた延伸糸Bに対し,通常のナイロン
延伸糸40d/68fを79:21(延伸糸B:ナイロ
ン延伸糸)の割合で混繊し,この混繊糸を用いて,経糸
密度132本/吋,緯糸密度76本/吋で,柄部をサテ
ン組織とした花柄のジャカード織物を製織し,柄部が凸
状の凹凸を有する布帛を得た。この布帛の表面粗度は1
14μm,厚みは0.36mmであった。
【0050】得られた布帛を常法でリラックス精練, プ
レセット後 , Suminol Fast Yellow2GP(住友化学株
式会社製,酸性染料)0.5%owf ,Kayalon Polyester
Blue2R−SE(日本化薬株式会社製,分散染料)2%
owf にてコポリエステル繊維とナイロン繊維を異色に染
色し,乾燥した後,ショートループ型乾燥機を用いて1
70℃で5分間の熱処理を行い,その形状を記憶させ
た。
【0051】次に,金属ロールとコットンロールの組合
せで構成されたカレンダー加工機を用いて,加工温度1
00℃,プレス圧60kg/cm,加工速度20m/min の
条件で低温カレンダー処理を行った。
【0052】続いて,直径200mmのロール24本の表
面に各々針頭数280本/吋2 の針布(金井重要工業株
式会社製)を捲きつけた油圧式針布起毛機を用いて,ロ
ール回転数820rpm ,加工速度20m/min の条件に
て3回起毛加工を行った。得られた布帛は,均一で良好
な起毛が施されていた。
【0053】この起毛加工を施した布帛にネットコンベ
アー型乾燥機にて130℃で5分の熱処理を行って本発
明による加工布帛を得た。この加工布帛は,凹凸が復元
し,良好な起毛布帛であった。
【0054】本発明との比較のため,本実施例において
コポリエステルBに代えてガラス転移点69℃,融点2
58℃,結晶化温度163℃のポリエチレンテレフタレ
ートを用いるほかは,本実施例2とまったく同一の方法
により比較用の加工布帛(比較例3とする。)を得た。
また,本発明との比較のため,本実施例において低温カ
レンダー処理を省くほかは,本実施例とまったく同一の
方法により比較用の加工布帛(比較例4とする。)を得
た。
【0055】本発明および比較用の加工布帛の性能を測
定,評価し,その結果を併せて表2に示した。
【表2】
【0056】表2より明らかなごとく,本発明の布帛
は,均一な起毛を施されており,かつ記憶形状の復元に
より,残留光沢がなく,良好なボリューム感を有してい
た。これに対して,比較例3の加工布帛は,本実施例2
と同様に低温カレンダー処理により布帛表面の凹凸がつ
ぶれて平坦化し,均一で良好な起毛が得られたが,その
後の熱処理により凹凸が復元せず,平坦なままで,ボリ
ューム感に欠けており,しかも光沢にも難点があった。
また,比較例4の加工布帛は,起毛が不均一であった。
【0057】
【発明の効果】本発明方法によれば,均一に起毛され,
かつ残留光沢がなく,良好なボリューム感を有した凹凸
を有する起毛布帛を製造することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 形状記憶能を有するコポリエステル繊維
    を主体としてなる凹凸を有する布帛に,熱処理を施して
    該布帛に凹凸形状を記憶せしめる第1工程,低温カレン
    ダー処理を行って布帛を平坦化する第2工程,起毛加工
    を行う第3工程,コポリエステル繊維のガラス転移点よ
    りも高く,形状を記憶せしめた温度よりも低い温度で熱
    処理を施し,布帛の凹凸を復元させる第4工程よりなる
    ことを特徴とする凹凸を有する起毛布帛の製造方法。
JP6035194A 1994-03-03 1994-03-03 凹凸を有する起毛布帛の製造方法 Pending JPH07243167A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103582727A (zh) * 2011-06-23 2014-02-12 花王株式会社 复合片及其制造方法
US20220091056A1 (en) * 2016-01-14 2022-03-24 Jamlet MONASELIDZE Differential scanning microcalorimeter device for detecting disease and monitoring therapeutic efficacy

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