JPH07242053A

JPH07242053A - インクジェット記録シート

Info

Publication number: JPH07242053A
Application number: JP6064538A
Authority: JP
Inventors: Noriko Kasahara; 典子笠原
Original assignee: Sony Corp
Current assignee: Sony Corp
Priority date: 1994-03-07
Filing date: 1994-03-07
Publication date: 1995-09-19

Abstract

(57)【要約】【目的】画像形成後に耐水性処理を行うことなく、形
成された画像が優れた耐水性を有する様になるインクジ
ェット記録シートを提供する。【構成】インクジェット記録シートのシート基材中に
水溶性ポリアミド又はカチオン性ポリマーを含有させ
る。あるいは、シート基材の表面に、水溶性ポリアミド
又はカチオン性ポリマーを塗工する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、高い耐水性を有するイ
ンクジェット記録シートに関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、記録時の騒音の発生が少なく、高
速印字や多色印字にも対応可能であり、普通紙にも記録
可能な記録方法として、インクジェット記録方法が注目
されている。

【０００３】インクジェット記録方法においては、熱、
圧力などを駆動源としてノズルのオリフィスからインク
を微小な液滴として吐出させ、その液滴を記録シート上
に付着させることにより記録が行われる。この場合、イ
ンクジェット記録用インクは、記録シートとして普通紙
を用いることができるように、普通紙に吸収されやすい
水溶性のものが一般的に用いられており、従って、用い
る染料も水溶性の直接染料や酸性染料などが用いられて
いる。

【０００４】しかし、これらの水溶性染料を含有するイ
ンクジェット記録用インクから記録シートに形成された
染料画像は、染料が水溶性であるために耐水性が不十分
であるという問題があった。従って、画像に水が接触す
ると染料が滲んだり溶出したりし、結果として画像のボ
ケや消失が起こる。また、画像を高湿条件下で保存した
場合にも画像が不鮮明となり易い。

【０００５】このため、画像の耐水性を高める目的で、
画像が形成された記録シートに対し、染料とイオン結合
もしくは配位結合することにより水不溶性のレーキを形
成できる耐水化剤を塗布することが提案されている（特
開昭５５−１５０３９６号公報）。また、水溶性染料を
不水溶性とすることのできる水溶性金属塩で、記録紙の
表面を画像形成前に予め処理しておくことが提案されて
いる（特開昭５５−５３５９１号公報）。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
５５−１５０３９６号公報に開示された技術の場合、記
録シートに形成された画像に耐水性を付与するための処
理を、記録を行った後に行うこととなるために、インク
ジェット記録装置にそのような耐水性処理用デバイスを
組み込む必要が生じるので、装置自体が大型化し、ま
た、処理工程が繁雑となるという問題があった。

【０００７】また、特開昭５５−５３５９１号公報に開
示された技術の場合、特開昭５５−１５０３９６号公報
に開示された技術のように、形成後の画像に耐水性付与
処理を行うのではなく、画像の耐水性を高める処理を、
画像形成前に予め記録シートに行うために、特開昭５５
−１５０３９６号公報に開示された技術の欠点は解消さ
れる。しかし、形成された画像について、満足すべき耐
水性が実現されないという問題があった。

【０００８】本発明は、上述の問題点を解決しようとす
るものであり、画像形成後に耐水性処理を行うことな
く、形成された画像が優れた耐水性を有する様になるイ
ンクジェット記録シートを提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明者は、水溶性染料
を記録シートに定着させる成分として水溶性ポリアミド
又はカチオン性ポリマーを使用することにより上述の目
的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至
った。

【００１０】即ち、本発明は、シート基材と水溶性ポリ
アミド又はカチオン性ポリマーとを含んでなることを特
徴とするインクジェット記録シートを提供する。

【００１１】以下、本発明を詳細に説明する。

【００１２】本発明においては、水溶性ポリアミド又は
カチオン性ポリマーを使用する。これらは、水溶性の直
接染料又は酸性染料の親水性基とイオン結合又は配位結
合することができるアミド基又はカチオン性基を有して
いる。従って、これらを使用することにより、水溶性の
直接染料又は酸性染料を記録シート上で強固に固定し、
染料画像の耐水性を大きく向上させることができる。

【００１３】本発明において使用できる水溶性ポリアミ
ドとしては、アミノ基が挿入された変性ナイロン、例え
ばアミノ変性６−ナイロン、アミノ変性６，６−ナイロ
ン、アミノ変性６，１０−ナイロン等を好ましく例示す
ることができる。

【００１４】一方、カチオン性ポリマーとしては、式
（１）

【００１５】

【化２】（式中、Ｒ^１及びＲ^２は独立的にアルキル基であり、Ｘ
⁻は対アニオンであり、ｎは５〜１０，０００の数であ
る。）で表される第４級アンモニウム型カチオン性ポリ
マーを例示することができる。

【００１６】なお、式（１）のポリマーにおいて、Ｒ^１
及びＲ^２のアルキル基としては、好ましくはメチル、エ
チル、イソプロピル、シクロヘキシルなどの直鎖、分岐
あるいは環状の低級アルキル基を例示することができ
る。また、これらのアルキル基は、クロロ基、ヒドロキ
シル基、低級アルコキシル基などの置換基を有していて
もよい。Ｘ⁻としては、記録シートや画像形成に支障が
ない限り、種々のアニオンを使用することができ、例え
ば、クロロイオン、ブロモイオンなどのハロゲンイオ
ン、硝酸イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、安息香酸
イオンなどを好ましく使用することができる。中でも入
手容易性の点からハロゲンイオンを使用することが好ま
しい。また、ｎは、少すぎると耐水性が不十分となる傾
向があり、多すぎると溶液状態での粘度が高くなり作業
性が低下する傾向があるので、好ましくは５〜１０，０
００、より好ましくは１０〜１，０００とする。

【００１７】インクジェット記録シート中の水溶性ポリ
アミド又はカチオン性ポリマーの含有量は、使用するポ
リマーの種類、染料の種類や使用量、シート基材の種類
などにより異なるが、一般には０．１〜２０ｇ／ｍ^２と
する。

【００１８】なお、本発明のインクジェット記録シート
において、水溶性ポリアミド又はカチオン性ポリマーの
存在態様としては、シート基材の全体に均一に分布して
存在していてもよく、あるいはシート基材の表面に層状
に存在してもよい。

【００１９】本発明のインクジェット記録シートにおい
て使用するシート基材としては、通常のインクジェット
記録シートにおいて用いられているものを使用すること
ができる。例えば、上質紙、アート紙、コート紙、表面
にインク受容層を設けた合成紙もしくはプラスチックペ
ーパーなどを使用することができる。

【００２０】本発明のインクジェット記録シートは公知
の方法により簡便に製造することができる。例えば、シ
ート基材として上質紙を使用する場合には、水溶性ポリ
アミド又はカチオン性ポリマーを、パルプの叩解工程で
パルプ懸濁液に加え、常法により抄紙することにより製
造することができる。また、叩解工程で添加することな
く、常法により抄紙してシート基材とし、そのシートを
水溶性ポリアミド又はカチオン性ポリマー含有液に浸漬
することにより製造することができる。あるいは、シー
ト基材とした後に、その表面に水溶性ポリアミド又はカ
チオン性ポリマー含有液を、ロールコーター法、ブレー
ドコーター法などにより塗工することにより製造するこ
とができる。

【００２１】なお、本発明のインクジェット記録シート
には、公知のインクジェット記録シートにおいて通常用
いられるは種々の添加剤、例えば、クレー、ケイ酸ナト
リウムなどの無機顔料類、ポリビニルアルコール、ポリ
ビニルピロリドンなどの水溶性ポリマー、ポリビニルブ
チラールなどの有機溶剤可溶性樹脂類、ｐＨ調整剤、防
腐剤、界面活性剤などを添加することができる。

【００２２】上述した本発明のインクジェット記録シー
トに対し、スルホン酸基などの親水性基を有する水溶性
の直接染料や酸性染料を含有するインクを使用して公知
のインクジェット記録方法を実施することにより、耐水
性の高い染料画像をそのシートに形成することができ
る。この場合、本発明のインクジェット記録シートに適
した水溶性の直接染料や酸性染料としては、Ｃ．Ｉ．Ｄ
ｉｒｅｃｔＹｅｌｌｏｗ２７、２８、３３、３９、
５８、８６、８７及び１００；Ｃ．Ｉ．Ｄｉｒｅｃｔ
Ｒｅｄ６３、７５、７９、８０、８３、９９、２２
０、２２４及び２２７；Ｃ．Ｉ．ＤｉｒｅｃｔＶｉｏ
ｌｅｔ４７、４８、５１、９０及び９４；Ｃ．Ｉ．Ｄ
ｉｒｅｃｔＢｌｕｅ１、８、７１、７６、７８、８
０、８６、９０、１０６、１０８、１２３、１６３、１
６５及び１９９；Ｃ．Ｉ．ＤｉｒｅｃｔＢｌａｃｋ
１９、３８、７１、７４、７５、１１２、１１７及び１
５４；Ｃ．Ｉ．ＡｃｉｄＹｅｌｌｏｗ１７、１９、
２３、２５、２９、３８、４９、５９、６１及び７２；
Ｃ．Ｉ．ＡｃｉｄＲｅｄ１、８、３２、３５、３
７、４２、５２、５７、１１５、１１９、１３１、１３
３、１３４、１５４、１８６、２４９、２５４及び２５
６；Ｃ．Ｉ．ＡｃｉｄＶｉｏｌｅｔ１１、３４及び
７５；Ｃ．Ｉ．ＡｃｉｄＢｌｕｅ９、２９、１２
６、１７１、１７５及び１８３；Ｃ．Ｉ．ＡｃｉｄＢ
ｌａｃｋ１、２４、２６、４８、５２、５８、６０、
１０７、１０９及び１１９などを例示することができ
る。

【００２３】

【作用】本発明のインクジェット記録シートは、水溶性
ポリアミド又はカチオン性ポリマーを含有する。この水
溶性ポリアミド又はカチオン性ポリマーは、インクジェ
ット記録インク中の水溶性の直接染料又は酸性染料のス
ルホン酸基などの親水性基と配位結合又はイオン結合
し、水溶性の直接染料又は酸性染料を難水溶性又は非水
溶性とする。従って、本発明のインクジェット記録シー
ト上に形成された染料画像の耐水性を高めることが可能
となる。

【００２４】

【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。

【００２５】実施例１叩解したパルプ（ＲＥＳＴＩＧＯＵＣＨＥＢＬＥＡＣ
ＨＥＤＳＵＬＰＨＩＴＥＥ；ＣＳＦ２７０ｃｃ）１０
０ｃｃと水１００ｃｃとをビーカーに入れ、この混合物
を軽く撹拌しながら、その中にサイズ剤としてマコーベ
ル１２（ディックハーキュレス社製）０．０６ｇと、定
着剤としてカイメン５５７−Ｈ（ディックハーキュレス
社製）０．１２ｇとを水に溶解させた水溶液を添加し
た。この混合液を抄紙機で抄紙し、乾燥して坪量８０ｇ
／ｍ^２の原紙を得た。

【００２６】得られた原紙に、第４級アンモニウム型カ
チオン性ポリマーとしてシャロールＤＣ−９０２Ｐ（第
一工業製薬株式会社製）を乾燥固形分換算で３ｇ／ｍ^２
の割合で含浸させ、本発明のインクジェット記録シート
を得た。

【００２７】実施例２坪量６５ｇ／ｍ^２、サイズ度３５秒の市販の上質紙に、
水溶性ポリアミド（コーフロックＫ−３００、昭和高分
子株式会社製）を含有する表１の組成の塗工液を、ブレ
ードコーター法により乾燥塗工量が１２ｇ／ｍ^２となる
ように塗工し、乾燥して本発明のインクジェット記録シ
ートを得た。

【００２８】

【表１】比較例１第４級アンモニウム型カチオン性ポリマーを含浸させな
い以外は実施例１と同様にしてインクジェット記録シー
トを得た。

【００２９】比較例２水溶性ポリアミドを用いない以外は実施例２と同様にし
てインクジェット記録シートを得た。

【００３０】（耐水性試験）実施例及び比較例において
得られたインクジェット記録シートに対し、表２の組成
のイエロー（Ｙ）、シアン（Ｃ）、マゼンタ（Ｍ）、ブ
ラック（ｋ）の各色のインク液を用いてインクジェット
プリンターによりインクジェット記録を行った。

【００３１】

【表２】次に、染料画像が形成されたインクジェット記録シート
を水に１時間浸漬した。そして、画像の耐水性を、浸漬
の前後の画像濃度をマクベス光学濃度計で測定し、それ
らの測定値を比較することにより評価した。その結果、
本発明のインクジェット記録シートは、水への浸漬の前
後でも形成された画像の光学濃度が大きく変化しなかっ
た。従って、本発明のインクジェット記録シートを使用
することにより、高い耐水性のインクジェット記録画像
を得ることができる。

【００３２】

【発明の効果】本発明によれば、高い耐水性のインクジ
ェット記録画像を得ることができる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】シート基材と水溶性ポリアミド又はカチ
オン性ポリマーとを含んでなることを特徴とするインク
ジェット記録シート。
【請求項２】水溶性ポリアミドが、アミノ基が導入さ
れた変性ナイロンである請求項１記載のインクジェット
記録シート。
【請求項３】カチオン性ポリマーが式（１）【化１】（式中、Ｒ^１及びＲ^２は独立的にアルキル基であり、Ｘ
⁻は対アニオンであり、ｎは５〜１０，０００であ
る。）である請求項１記載のインクジェット記録シー
ト。
【請求項４】Ｒ^１及びＲ^２が低級アルキル基であり、
対アニオンがハロゲンイオンであり、ｎが１０〜１，０
００である請求項３記載のインクジェット記録シート。