JPH07241091A - 進行波型超音波モータとその製造方法 - Google Patents

進行波型超音波モータとその製造方法

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JPH07241091A
JPH07241091A JP3037294A JP3037294A JPH07241091A JP H07241091 A JPH07241091 A JP H07241091A JP 3037294 A JP3037294 A JP 3037294A JP 3037294 A JP3037294 A JP 3037294A JP H07241091 A JPH07241091 A JP H07241091A
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JP
Japan
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stator
piezoelectric
traveling wave
atmosphere
ultrasonic motor
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JP3037294A
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English (en)
Inventor
Tsumiaki You
楊  積彬
Masakazu Watarai
正和 渡会
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Publication date
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  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動車等の様な高熱の環境においても劣化す
ることなく耐久性を保持することができ、したがって、
信頼性を向上させることができる進行波型超音波モータ
とその製造方法を提供する。 【構成】 本願発明の進行波型超音波モータは、下部に
圧電体12が接合され、この圧電体12の発生する振動
を伝搬するステータ11と、ステータ11に加圧接触さ
れるロータとを備え、圧電体12とステータ11とを拡
散接合により接合したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高トルクが要求される
自動車等に用いて好適な進行波型超音波モータとその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の進行波型超音波モータとしては、
例えば、図2に示すようなものが知られている。図にお
いて、1はエンドプレート、2はエンドプレート1上に
ネジ等により固定された円板状のステータ、3はリング
状の圧電素子(圧電体)、4はステータ2に加圧接触さ
れる円板状のロータ、5はロータ4を加圧するスプリン
グ、6はシャフト、7はハウジングである。圧電素子3
は、図3に示す様にステータ2の下部に耐熱性を有する
合成樹脂製の接着剤8により接合されている。ステータ
2は、例えば、Cu−Sn系、Cu−Sn−P系等の銅
を主成分とする焼結体により構成されている。また、圧
電素子3は、例えば、圧電セラミックスとして知られて
いるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)またはチタン酸ジ
ルコン酸ランタン鉛(PLZT)のいずれか1種を主成
分とする焼結体により構成されている。
【0003】この進行波型超音波モータは、圧電素子6
に高周波電圧を印加することによりステータ2表面に超
音波振動を発生させ、該超音波振動が加圧接触するロー
タ3を回転させるもので、従来の電磁モータと比べて巻
線が無く、構造が簡単、小型、軽量、変速機構がなくと
も低速回転が可能、高トルク、エネルギー変換効率が良
い(30〜40%)等の優れた特徴を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来の進行波型超音波モータにおいては、ステータ2と圧
電素子3とを合成樹脂製の接着剤8により接合している
ものであるから、該接合部は高々200℃程度までの耐
熱性を有するものでしかなく、該進行波型超音波モータ
を、例えば自動車に搭載した場合、エンジン等から放出
される高熱に加えて、ステータ2とロータ4との間に摩
擦熱が生じ、これらの熱により前記接着剤8が劣化する
という問題点があった。前記接着剤8が劣化した場合、
ステータ2と圧電素子3との間の接合強度が低下し耐久
性が無くなるという問題点があり、また、接着剤が熱硬
化型でない場合、圧電素子3から発生する振動エネルギ
ーが軟化した接着剤により吸収されてしまい、エネルギ
ー変換効率が低下するという問題点も生じ、したがっ
て、該進行波型超音波モータの信頼性が低下するという
問題点がある。
【0005】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あって、自動車等の様な高熱の環境においても劣化する
ことなく耐久性を保持することができ、したがって、信
頼性を向上させることができる進行波型超音波モータと
その製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は次の様な進行波型超音波モータとその製造
方法を採用した。すなわち、請求項1記載の進行波型超
音波モータは、下部に圧電体が接合され、該圧電体の発
生する振動を伝搬するステータと、該ステータに加圧接
触されるロータとを備え、前記圧電体とステータとを拡
散接合により接合したことを特徴としている。
【0007】また、請求項2記載の進行波型超音波モー
タは、請求項1記載の進行波型超音波モータにおいて、
前記圧電体をチタン酸ジルコン酸鉛またはチタン酸ジル
コン酸ランタン鉛のいずれか1種を主成分とする焼結体
とし、前記ステータを鉄、タングステンまたは銅のいず
れか1種を主成分とする焼結体としたことを特徴として
いる。
【0008】また、請求項3記載の進行波型超音波モー
タの製造方法は、金型に圧電材粉末とステータ材粉末と
を層状に充填して加圧成形し、得られた成形体を吸熱性
変成雰囲気、還元性雰囲気、不活性雰囲気または真空の
いずれかの雰囲気中で、加圧しつつ所定の温度で所定の
時間焼成し焼結体とすることを特徴としている。
【0009】また、請求項4記載の進行波型超音波モー
タの製造方法は、圧電材粉末を加圧成形して圧電成形体
とするとともに、ステータ材粉末を加圧成形してステー
タ成形体とし、これらの成形体を重ね合わせて層状成形
体とし、この層状成形体を吸熱性変成雰囲気、還元性雰
囲気、不活性雰囲気または真空のいずれかの雰囲気中
で、加圧しつつ所定の温度で所定の時間焼成し焼結体と
することを特徴としている。
【0010】また、請求項5記載の進行波型超音波モー
タの製造方法は、ステータ材粉末を加圧成形し、得られ
た成形体を圧電体に密着させた後、吸熱性変成雰囲気、
還元性雰囲気、不活性雰囲気または真空のいずれかの雰
囲気中で、加圧しつつ所定の温度で所定の時間焼成し、
ステータ材からなる焼結体と圧電体とを接合することを
特徴としている。
【0011】また、請求項6記載の進行波型超音波モー
タの製造方法は、請求項3,4または5記載の進行波型
超音波モータの製造方法において、前記圧電材料の主成
分を、チタン酸ジルコン酸鉛またはチタン酸ジルコン酸
ランタン鉛のいずれか1種とし、前記ステータ材の主成
分を、鉄、タングステンまたは銅のいずれか1種とする
ことを特徴としている。
【0012】
【作用】本発明の請求項1記載の進行波型超音波モータ
では、前記圧電体とステータとを拡散接合により接合し
たことにより、従来用いていた有機性接着剤や他のろう
材等を介在することなく、前記圧電体とステータとの間
にこれら圧電体とステータとの中間の組成を有する中間
層が形成されることとなり、該中間層が前記圧電体とス
テータとの熱膨張係数の差に起因する熱応力及び界面接
合応力を大幅に緩和する。したがって、該接合部の耐熱
性が向上し高熱により劣化する等の虞がなくなる。ま
た、該接合部の機械的強度が向上することにより、圧電
体から発生する振動エネルギーは効率良くステータに伝
搬され、エネルギー変換効率が向上する。したがって、
進行波型超音波モータとしての信頼性が向上する。
【0013】また、請求項2記載の進行波型超音波モー
タでは、前記圧電体をチタン酸ジルコン酸鉛またはチタ
ン酸ジルコン酸ランタン鉛のいずれか1種を主成分とす
る焼結体とし、前記ステータを鉄、タングステンまたは
銅のいずれか1種を主成分とする焼結体としたことによ
り、前記圧電体とステータとの接合部の接合強度及び耐
熱性が大幅に向上する。
【0014】前記チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)は、
PbZrO3とPbTiO3の固溶体で、PbZrxTi
1-x3(0.5≦x≦0.6)で表わされるものであ
る。このPZTはxが約0.53のMPB(Morphotrop
ic Phase Boundary)付近で圧電特性が最大となる。ま
た、例えば、Pb0.97Bi0.02(Zn1/3Nb2/30.15
Ti0.405Zr0.4453の様に、このPZTに五酸化ニ
オブ(Nb25)、酸化マグネシウム(MgO)、三酸
化ビスマス(Bi23)、酸化亜鉛(ZnO)等の酸化
物を適量添加すれば、圧電特性及びエネルギー変換効率
が更に向上する。
【0015】また、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(P
LZT)は、前記チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)のP
bの一部を希土類元素のLaで置き換えたもので、Pb
xLa1-x(ZryTi1-y1-x/43で表わされる固溶体
である。ここで、Laを他の希土類元素(Ce,Pr,
Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,E
r,Tm,Yb,Lu)に置き換えても同様に高い圧電
性を示す。また、このPLZTに五酸化ニオブ(Nb2
5)、酸化マグネシウム(MgO)、三酸化ビスマス
(Bi23)、酸化亜鉛(ZnO)等の酸化物を適量添
加しても良い。これらの酸化物を添加することにより圧
電特性及びエネルギー変換効率が更に向上する。
【0016】一般に、圧電素子は、圧電定数d33、電気
機械結合定数Kr及び機械的品質係数Qmにより特性評価
がなされる。例えば、前記PZT及びPLZTでは、1
250℃付近の温度で焼成した場合に前記圧電特性が最
大となる。また、その焼結密度は1250℃以上の焼成
温度で7.6〜7.7g/cm3とほぼ一定の値とな
る。前記PZT及びPLZTは、1250℃より低い温
度で焼成すると、液相焼結が十分に進まないため焼結性
が不十分となり、また、1300℃より高い温度で焼成
すると、蒸気圧の高いPbが蒸発し易く焼結体の組成が
化学量論的組成からずれてPb欠損型のPZT及びPL
ZTとなる。したがって、その焼成温度は、1250℃
以上、かつ1300℃以下が好ましい。前記焼結体の化
学量論的組成からのずれを極力小さくするには、焼成時
の雰囲気をPb過剰の雰囲気とすればよい。
【0017】また、鉄を主成分とする焼結体は、前記P
ZT及びPLZTと拡散接合が可能な焼結体で、その組
成は、例えば、Fe100wt%の純鉄の外に、Cuが
2〜5wt%−Cが0.2〜1.0wt%−残部がFe
及び不可避不純物等のFe−Cu−C系、Niが1〜5
wt%−Moが0〜4wt%−Cが0.2〜1.0wt
%−Cuが2〜3wt%−残部がFe及び不可避不純物
等のFe−Ni−Mo−C−Cu系等が好適である。
【0018】また、タングステンを主成分とする焼結体
は、前記PZT及びPLZTと拡散接合が可能な焼結体
で、その組成は、例えば、Niが1〜6wt%−Cuが
1〜4wt%−残部がW及び不可避不純物等のW−Ni
−Cu系、Niが1〜6wt%−Cuが1〜4wt%−
Feが1〜10wt%−残部がW及び不可避不純物等の
W−Ni−Cu−Fe系等が好適である。上記Fe系焼
結体及びW系焼結体は、高い弾性率(ヤング率)及び耐
摩耗性等の優れた機械的特性を有するばかりでなく、最
適焼結条件も前記PZT及びPLZTとほぼ一致してい
ることが、拡散接合により圧電体とステータとの直接接
合を可能にした重要な点である。
【0019】また、請求項3記載の進行波型超音波モー
タの製造方法では、金型の形状は圧電材粉末とステータ
材粉末の焼結時の収縮率の違いを考慮して設定される。
該金型に圧電材粉末とステータ材粉末とを層状に充填し
て加圧成形し、得られた成形体を、例えば、放電プラズ
マ焼結(PSA)、等方性加圧焼結法(HIP)または
ホットプレス(HP)等の加圧焼結法を用いて吸熱性変
成雰囲気、還元性雰囲気、不活性雰囲気または真空のい
ずれかの雰囲気中で、加圧しつつ所定の温度で所定の時
間焼成し焼結体とする。この焼成プロセスの間に、前記
成形体は焼結されると同時に圧電材料とステータ材料と
の境界領域において拡散接合により互いに接合され、一
体化した焼結体となる。したがって、圧電体とステータ
との接合部の接合強度及び耐熱性が向上した焼結体を得
ることが可能になる。
【0020】前記吸熱性変成雰囲気とは、CO,H2
2が所定の容積比で混合された吸熱型ガスにより形成
される雰囲気で、前記吸熱型ガスの組成としては、例え
ば、CO+2H2+2N2,3CO+4H2+6N2,4C
O+5H2+8N2等が好適である。
【0021】また、請求項4記載の進行波型超音波モー
タの製造方法では、圧電成形体とステータ成形体とを重
ね合わせて層状成形体とする。この場合、圧電成形体と
ステータ成形体の形状は焼結時の収縮率の違いを考慮し
て設計される。次いで、この層状成形体を、例えば、放
電プラズマ焼結(PSA)、等方性加圧焼結法(HI
P)またはホットプレス(HP)等の加圧焼結法を用い
て吸熱性変成雰囲気、還元性雰囲気、不活性雰囲気また
は真空のいずれかの雰囲気中で、加圧しつつ所定の温度
で所定の時間焼成し焼結体とする。この焼成プロセスの
間に、圧電成形体とステータ成形体とは焼結されると同
時に圧電成形体とステータ成形体との接触部において拡
散接合により互いに接合され、一体化した焼結体とな
る。したがって、圧電体とステータとの接合部の接合強
度及び耐熱性が向上した焼結体を得ることが可能にな
る。
【0022】また、請求項5記載の進行波型超音波モー
タの製造方法では、ステータ材粉末を加圧成形し、得ら
れたステータ成形体を圧電体に密着させた後、例えば、
放電プラズマ焼結(PSA)、等方性加圧焼結法(HI
P)またはホットプレス(HP)等の加圧焼結法を用い
て吸熱性変成雰囲気、還元性雰囲気、不活性雰囲気また
は真空のいずれかの雰囲気中で、加圧しつつ所定の温度
で所定の時間焼成する。この焼成プロセスの間に、ステ
ータ成形体は焼結されると同時に圧電体との接触部にお
いて拡散接合により互いに接合され、一体化される。し
たがって、圧電体とステータとの接合部の接合強度及び
耐熱性が向上した焼結体を得ることが可能になる。
【0023】また、請求項6記載の進行波型超音波モー
タの製造方法では、前記圧電材料の主成分を、チタン酸
ジルコン酸鉛またはチタン酸ジルコン酸ランタン鉛のい
ずれか1種とし、前記ステータ材の主成分を、鉄、タン
グステンまたは銅のいずれか1種とすることにより、焼
成プロセス時に前記圧電体とステータとを一体化するこ
とが容易になり、前記圧電体とステータとの接合部の接
合強度及び耐熱性が大幅に向上する。
【0024】
【実施例】以下、本発明の各実施例について説明する。 (実施例1)図1は本発明の実施例1の進行波型超音波
モータの圧電素子(圧電体)とステータとの接合部を示
す側面図であり、図において、11はステータ、12は
ステータ11の下部に拡散接合された圧電素子、13は
ステータ11と圧電素子12の中間の組成からなる拡散
接合層である。
【0025】ここでは、ステータ11は、例えば、Fe
が100wt%の純Fe焼結体、Cuが2〜5wt%−
Cが0.2〜1.0wt%−残部がFe及び不可避不純
物のFe−Cu−C系、Niが1〜5wt%−Moが0
〜4wt%−Cが0.2〜1.0wt%−Cuが2〜3
wt%−残部がFe及び不可避不純物のFe−Ni−M
o−C−Cu系、Niが1〜6wt%−Cuが1〜4w
t%−残部がW及び不可避不純物のW−Ni−Cu系、
Niが1〜6wt%−Cuが1〜4wt%−Feが1〜
10wt%−残部がW及び不可避不純物のW−Ni−C
u−Fe系の焼結体のいずれかにより構成されている。
【0026】ここでは、Fe−Cu−C系としてはFe
−3wt%Cu−0.7wt%Cを、Fe−Ni−Mo
−C−Cu系としてはFe−4wt%Ni−0.5wt
%Mo−1.5wt%Cu−0.8wt%Cを、また、
W−Ni−Cu−Fe系としてはW−3wt%Ni−2
wt%Cu−1.5wt%Feを用いた。
【0027】また、圧電素子12は、例えば、PbZr
0.53Ti0.473+0.75mol%Nb25、Pb
0.97Bi0.02(Zn1/3Nb2/30.15Ti0.405Zr
0.4453等で示で示される様なPbZrxTi1-x
3(PZT:0.5≦x≦0.6)を主成分とする焼結
体、または、PbxLa1-x(ZryTi1-y1-x/4
3(PLZT)を主成分とする焼結体、のいずれかによ
り構成されている。
【0028】この実施例のステータ11では、圧電素子
12とステータ11とを拡散接合により接合したことに
より、接合部13が圧電素子12とステータ11との熱
膨張係数の差に起因する熱応力及び界面接合応力を大幅
に緩和するので、該接合部13の耐熱性が向上し高熱に
より劣化する等の虞がなくなる。しかも圧電素子12と
ステータ11との間に合成樹脂等が介在しないので、接
合部13の機械的強度が大幅に向上する。したがって、
圧電素子12から発生する振動エネルギーは効率良くス
テータ11に伝搬されることとなり、エネルギー変換効
率が大幅に向上する(変換効率:40〜50%)。これ
より、進行波型超音波モータとしての信頼性が向上す
る。
【0029】次に、上記ステータ11の製造方法につい
て説明する。金型に、表1に示す組成の圧電材粉末とス
テータ材粉末とを順次層状に充填し、2.5t/cm2
の成形圧で成形し、この成形体を、放電プラズマ焼結
(PSA)を用いて加圧焼成し、形状寸法が60mmφ
×15mmの焼結体を得た。また、圧電体とステータと
を接着剤により接着したものも同時に作製し、従来例と
した。
【0030】
【表1】
【0031】前記放電プラズマ加圧焼結の条件は表2の
通りとした。
【表2】
【0032】次いで、これらの試料(No.1a〜8
a,11,12)の圧電体とステータとの間の接合強
度、トルク、耐熱温度をそれぞれ測定し、これらの結果
を表3に示した。接合強度は、前記試料(No.1a〜
8a,11,12)から同一形状かつ同一寸法の試験片
を切り出し、その曲げ強度を測定した。
【0033】トルクは、駆動周波数、共振周波数、回転
速度(10rpm)を一定にしたときの試料各々の駆動
電流ILを求め、該駆動電流ILと出力電圧EL及び回転
数Nから下記の式によりトルクTを求めた。 T=(2・EL・IL)/N 耐熱温度は、モータ内部(ステータ表面)の温度上昇に
伴う超音波モータの出力トルクの減衰を測定し評価し
た。ここでは、トルクの減衰が70%に達した際の温度
を耐熱温度の上限とした。
【0034】
【表3】
【0035】表3から明かなように、本実施例のステー
タ(No.1a〜8a)では、接合強度が20kgf/
mm2以上、トルクが10kg・cm以上、耐熱温度が
300℃以上であるのに対し、従来例(No.11,1
2)では接合強度が5kgf/mm2以下、トルクが5
kg・cm以下、耐熱温度が120℃以下であり、本実
施例1のステータは従来例と比べて、接合強度、トル
ク、耐熱温度共に、大幅に向上していることがわかる。
【0036】また、等方性加圧焼結法(HIP)及びホ
ットプレス(HP)によりステータ11を作製した後に
評価を行い、上記放電プラズマ加圧焼結と同様の結果が
得られることを確認した。
【0037】以上説明した様に、上記実施例1の進行波
型超音波モータによれば、ステータ11の下部に圧電素
子12が拡散接合により接合されているので、該接合部
の接合強度、トルク、耐熱温度共に向上させることがで
き、圧電素子12から発生する振動エネルギーを効率良
くステータ11に伝搬させることができ、エネルギー変
換効率を大幅に向上させることができる。したがって、
進行波型超音波モータとしての信頼性を大幅に向上させ
ることができる。
【0038】また、上記実施例1のステータ11の製造
方法によれば、金型に圧電材粉末とステータ材粉末とを
層状に充填して加圧成形し、得られた成形体を放電プラ
ズマ焼結(PSA)、等方性加圧焼結法(HIP)、ホ
ットプレス(HP)等により吸熱性変成雰囲気、還元性
雰囲気、不活性雰囲気または真空のいずれかの雰囲気中
で、加圧しつつ所定の温度で所定の時間焼成し焼結体と
するので、圧電素子12とステータ11との接合部の接
合強度及び耐熱温度が向上した焼結体を容易に作製する
ことができる。
【0039】(実施例2)この実施例2は、実施例1の
ステータ11の製造方法を変えたものである。ここで、
ステータ11の製造方法について説明する。金型に、表
1に示す組成の圧電材粉末を充填し、2.5t/cm2
の成形圧で成形し圧電成形体とし、また、表1に示す組
成のステータ材粉末を充填し、2.5t/cm2の成形
圧で成形しステータ成形体とし、これら圧電成形体とス
テータ成形体とを互いに重ね合わせて層状成形体とし
た。次いで、この層状成形体を、放電プラズマ焼結(P
SA)を用いて加圧焼成し、形状寸法が60mmφ×1
5mmの焼結体(No.1b〜8b)を得た。前記放電
プラズマ焼結の条件は上記実施例1と同一とした。ま
た、従来例についても上記実施例1と同一とした。
【0040】次いで、これらの試料(No.1b〜8
b)の圧電体とステータとの間の接合強度、トルク、耐
熱温度をそれぞれ測定し、これらの結果を表4に示し
た。なお、測定方法については、上記実施例1と同一と
した。
【0041】
【表4】
【0042】表4から明かなように、本実施例2のステ
ータ(No.1b〜8b)では、接合強度が19kgf
/mm2以上、トルクが10kg・cm以上、耐熱温度
が380℃以上であるのに対し、従来例(No.11,
12)では接合強度が5kgf/mm2以下、トルクが
5kg・cm以下、耐熱温度が120℃以下であり、本
実施例2のステータは従来例と比べて、接合強度、トル
ク、耐熱性共に、大幅に向上していることがわかる。
【0043】また、等方性加圧焼結法(HIP)及びホ
ットプレス(HP)によりステータ11を作製した後に
評価を行い、上記放電プラズマ加圧焼結と同様の結果が
得られることを確認した。
【0044】以上説明した様に、上記実施例2のステー
タ11の製造方法によれば、圧電成形体とステータ成形
体とを重ね合わせて層状成形体とし、次いで、この層状
成形体を、放電プラズマ焼結(PSA)、等方性加圧焼
結法(HIP)、ホットプレス(HP)等により吸熱性
変成雰囲気、還元性雰囲気、不活性雰囲気または真空の
いずれかの雰囲気中で、加圧しつつ所定の温度で所定の
時間焼成し焼結体とするので、圧電素子12とステータ
11との接合部の接合強度及び耐熱性が向上した焼結体
を容易に作製することができる。
【0045】(実施例3)この実施例3は、実施例1,
2のステータ11の製造方法を変えたものである。ここ
で、ステータ11の製造方法について説明する。まず、
金型に、表1に示す組成の圧電材粉末を充填し、2.5
t/cm2の成形圧で成形し、この成形体を、大気中に
おいて1250℃で2時間焼成し、形状寸法が60mm
φ×15mmの焼結体からなる圧電体を得た。また、表
1に示す組成のステータ材粉末を充填し、2.5t/c
2の成形圧で成形しステータ成形体とした。次いで、
このステータ成形体を前記圧電体に載置し密着させた
後、プラズマ焼結(PSA)を用いて加圧焼成し、形状
寸法が60mmφ×15mmの焼結体(No.1c〜8
c)を得た。前記放電プラズマ焼結の条件は上記実施例
1と同一とした。また、従来例についても上記実施例1
と同一とした。
【0046】次いで、これらの試料(No.1c〜8
c)の圧電体とステータとの間の接合強度、トルク、耐
熱温度をそれぞれ測定し、これらの結果を表5に示し
た。なお、測定方法については、上記実施例1,2と同
一とした。
【0047】
【表5】
【0048】表5から明かなように、本実施例のステー
タ(No.1c〜8c)では、接合強度が20kgf/
mm2以上、トルクが10kg・cm以上、耐熱温度が
400℃以上であるのに対し、従来例(No.11,1
2)では接合強度が5kgf/mm2以下、トルクが5
kg・cm以下、耐熱温度が120℃以下であり、本実
施例3のステータは従来例と比べて、接合強度、トル
ク、耐熱性共に、大幅に向上していることがわかる。
【0049】また、等方性加圧焼結法(HIP)及びホ
ットプレス(HP)によりステータ11を作製した後に
評価を行い、上記放電プラズマ加圧焼結と同様の結果が
得られることを確認した。
【0050】以上説明した様に、上記実施例3のステー
タ11の製造方法によれば、ステータ材粉末を加圧成形
し、得られたステータ成形体を圧電体に密着させた後、
放電プラズマ焼結(PSA)、等方性加圧焼結法(HI
P)、ホットプレス(HP)等により吸熱性変成雰囲
気、還元性雰囲気、不活性雰囲気または真空のいずれか
の雰囲気中で、加圧しつつ所定の温度で所定の時間焼成
し焼結体とするので、圧電素子12とステータ11との
接合部の接合強度及び耐熱性が向上した焼結体を容易に
作製することができる。
【0051】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明の請求項1記
載の進行波型超音波モータによれば、下部に圧電体が接
合され、該圧電体の発生する振動を伝搬するステータ
と、該ステータに加圧接触されるロータとを備え、前記
圧電体とステータとを拡散接合により接合したので、該
接合部の接合強度及び耐熱性を向上させることができ、
圧電体から発生する振動エネルギーを効率良くステータ
に伝搬させることができ、エネルギー変換効率を大幅に
向上させることができる。したがって、進行波型超音波
モータとしての信頼性を大幅に向上させることができ
る。
【0052】また、請求項2記載の進行波型超音波モー
タによれば、前記圧電体をチタン酸ジルコン酸鉛または
チタン酸ジルコン酸ランタン鉛のいずれか1種を主成分
とする焼結体とし、前記ステータを鉄、タングステンま
たは銅のいずれか1種を主成分とする焼結体としたの
で、前記圧電体とステータとの接合部の接合強度及び耐
熱性を大幅に向上させることができる。
【0053】また、請求項3記載の進行波型超音波モー
タの製造方法によれば、金型に圧電材粉末とステータ材
粉末とを層状に充填して加圧成形し、得られた成形体を
吸熱性変成雰囲気、還元性雰囲気、不活性雰囲気または
真空のいずれかの雰囲気中で、加圧しつつ所定の温度で
所定の時間焼成し焼結体とするので、圧電体とステータ
との接合部の接合強度及び耐熱性が向上した焼結体を得
ることができる。
【0054】また、請求項4記載の進行波型超音波モー
タの製造方法によれば、圧電材粉末を加圧成形して圧電
成形体とするとともに、ステータ材粉末を加圧成形して
ステータ成形体とし、これらの成形体を重ね合わせて層
状成形体とし、この層状成形体を吸熱性変成雰囲気、還
元性雰囲気、不活性雰囲気または真空のいずれかの雰囲
気中で、加圧しつつ所定の温度で所定の時間焼成し焼結
体とするので、圧電体とステータとの接合部の接合強度
及び耐熱性が向上した焼結体を得ることができる。
【0055】また、請求項5記載の進行波型超音波モー
タの製造方法によれば、ステータ材粉末を加圧成形し、
得られた成形体を圧電体に密着させた後、吸熱性変成雰
囲気、還元性雰囲気、不活性雰囲気または真空のいずれ
かの雰囲気中で、加圧しつつ所定の温度で所定の時間焼
成し、ステータ材からなる焼結体と圧電体とを接合する
ので、圧電体とステータとの接合部の接合強度及び耐熱
性が向上した焼結体を得ることができる。
【0056】また、請求項6記載の進行波型超音波モー
タの製造方法によれば、前記圧電材料の主成分を、チタ
ン酸ジルコン酸鉛またはチタン酸ジルコン酸ランタン鉛
のいずれか1種とし、前記ステータ材の主成分を、鉄、
タングステンまたは銅のいずれか1種とするので、焼成
プロセス時に前記圧電体とステータとを容易に一体化す
ることができ、前記圧電体とステータとの接合部の接合
強度及び耐熱性を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の進行波型超音波モータの圧
電素子(圧電体)とステータとの接合部を示す側面図で
ある。
【図2】従来の進行波型超音波モータを示す分解斜視図
である。
【図3】従来の進行波型超音波モータの圧電素子(圧電
体)とステータとの接合部を示す側面図である。
【符号の説明】
11 ステータ 12 圧電素子(圧電体) 13 拡散接合層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下部に圧電体が接合され、該圧電体の発
    生する振動を伝搬するステータと、該ステータに加圧接
    触されるロータとを備えた進行波型超音波モータにおい
    て、 前記圧電体とステータとを拡散接合により接合したこと
    を特徴とする進行波型超音波モータ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の進行波型超音波モータに
    おいて、 前記圧電体をチタン酸ジルコン酸鉛またはチタン酸ジル
    コン酸ランタン鉛のいずれか1種を主成分とする焼結体
    とし、前記ステータを鉄、タングステンまたは銅のいず
    れか1種を主成分とする焼結体としたことを特徴とする
    進行波型超音波モータ。
  3. 【請求項3】 金型に圧電材粉末とステータ材粉末とを
    層状に充填して加圧成形し、得られた成形体を吸熱性変
    成雰囲気、還元性雰囲気、不活性雰囲気または真空のい
    ずれかの雰囲気中で、加圧しつつ所定の温度で所定の時
    間焼成し焼結体とすることを特徴とする進行波型超音波
    モータの製造方法。
  4. 【請求項4】 圧電材粉末を加圧成形して圧電成形体と
    するとともに、ステータ材粉末を加圧成形してステータ
    成形体とし、これらの成形体を重ね合わせて層状成形体
    とし、この層状成形体を吸熱性変成雰囲気、還元性雰囲
    気、不活性雰囲気または真空のいずれかの雰囲気中で、
    加圧しつつ所定の温度で所定の時間焼成し焼結体とする
    ことを特徴とする進行波型超音波モータの製造方法。
  5. 【請求項5】 ステータ材粉末を加圧成形し、得られた
    成形体を圧電体に密着させた後、吸熱性変成雰囲気、還
    元性雰囲気、不活性雰囲気または真空のいずれかの雰囲
    気中で、加圧しつつ所定の温度で所定の時間焼成し、ス
    テータ材からなる焼結体と圧電体とを接合することを特
    徴とする進行波型超音波モータの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項3,4または5記載の進行波型超
    音波モータの製造方法において、 前記圧電材料の主成分を、チタン酸ジルコン酸鉛または
    チタン酸ジルコン酸ランタン鉛のいずれか1種とし、前
    記ステータ材の主成分を、鉄、タングステンまたは銅の
    いずれか1種とすることを特徴とする進行波型超音波モ
    ータの製造方法。
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