JPH07237935A - ガラス成形体及びその製造方法 - Google Patents

ガラス成形体及びその製造方法

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JPH07237935A
JPH07237935A JP4984294A JP4984294A JPH07237935A JP H07237935 A JPH07237935 A JP H07237935A JP 4984294 A JP4984294 A JP 4984294A JP 4984294 A JP4984294 A JP 4984294A JP H07237935 A JPH07237935 A JP H07237935A
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JP
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glass molded
compound
thin film
coating agent
molded body
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JP4984294A
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Ryoji Yamada
亮治 山田
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C17/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating
    • C03C17/006Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with materials of composite character
    • C03C17/008Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with materials of composite character comprising a mixture of materials covered by two or more of the groups C03C17/02, C03C17/06, C03C17/22 and C03C17/28
    • C03C17/009Mixtures of organic and inorganic materials, e.g. ormosils and ormocers

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  • Materials Engineering (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【構成】金属アルコキシド化合物及び/又は金属アセテ
ート化合物と、該化合物に基づいた部分縮合重合体と、
特定の有機化合物と、を含有してなるコーティング剤が
塗布され、その後焼成されてなる薄膜が加工処理面に設
けられたガラス成形体及びその製造方法。 【効果】本発明のガラス成形体は、飛躍的に高められた
強度を発現し、強化効果を担う薄膜は、低温焼成で形成
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガラス成形体の特定の
加工処理に起因して低下した衝撃強度を高める強化方法
と、かかる強化方法を施されて高い衝撃強度を持つに至
ったガラス成形体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラス表面に何らかのコーティングを施
すことにより、衝撃強度等の力学特性が高められること
は、よく知られていた。
【0003】B.D.Fabes等は、シリカガラス表
面にSiO2 やTiO2 の薄膜を設けて800℃以上の
温度で焼成し、破壊応力を飛躍的に高めたと報告[J.
Non−Cryst.Solids82,349(19
86)]している。しかし同じ報告の中で、400℃以
下の温度で焼成したのでは何ら顕著な効果は見られなか
ったことにも触れている。
【0004】同様に、G.D.Soraru[J.No
n−Cryst.Solids100,440(198
8)]、A.Maddalena[J.Non−Cry
st.Solids100,461(1988)]、U
SP2,831,780、USP3,004,863、
USP5,162,136等もガラス表面に金属酸化物
等からなる薄膜を設け、耐クラック性や強度を高めたと
報告している。これらの場合も焼成温度は400℃以上
であって、350℃以下の温度では何ら顕著な効果は発
現されないものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
上記問題の解決のためになされたものであり、低温焼成
で形成できる密着性良好な透明な無機質の薄膜が設けら
れ、成形体の強度等が飛躍的に高められ、高い衝撃強度
を持つガラス成形体の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、加工処理が施
され、該加工処理面に薄膜が設けられたガラス成形体に
おいて、該薄膜は、金属アルコキシド化合物及び/又は
金属アセテート化合物と、該化合物に基づいた部分縮合
重合体と、及び、窒素、酸素、硫黄から選ばれる少なく
とも1種を1分子中に含有し、その含有量が合計量で2
7重量%以上であるところの有機化合物と、を含有して
なるコーティング剤が塗布され、その後焼成されたもの
であることを特徴とするガラス成形体及びその製造方法
を提供する。
【0007】本発明を構成する加工処理の施されたガラ
ス成形体には、種々の加工処理体が適用される。なかで
も加工処理によって素板の強度を低下させてしまうよう
な成形体にあっては、本発明は特に有効である。かかる
加工処理としては、フロスト加工、スリ加工、穴あけ加
工、その他が挙げられる。
【0008】本発明における薄膜は透明な無機質の薄膜
であり、種々の無機系材料から調製された薄膜を用いる
ことができる。しかし、金属アルコキシド化合物及び/
又は金属アセテート化合物と、該化合物に基づいた部分
縮合重合体と、及び、窒素、酸素、硫黄から選ばれる少
なくとも1種を1分子中に含有し、その含有量が合計量
で27重量%以上であるところの有機化合物と、を含有
してなるコーティング剤が塗布され、その後焼成されて
形成される薄膜が、密着性の高い強固な薄膜が得られる
点でより好ましい。
【0009】上記のようにかかるコーティング剤には、
第1成分として、金属アルコキシド化合物及び/又は金
属アセテート化合物が含まれる。本発明にはかかる化合
物の単体、混合体あるいはこれらから派生した誘導体等
が、好ましく用いられる。
【0010】本発明におけるコーティング剤に含まれる
第2の成分は、第1の成分に基づいた部分縮合重合体で
ある。かかる成分は、焼成温度が低くてもしっかりした
被膜を形成する等の点で好ましく用いられる。
【0011】前記化合物に用いられる金属としては、ケ
イ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ナトリウ
ム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、銅、イットリ
ウム、インジウム、スズ、アンチモン、バリウム、ラン
タン、タングステン、鉛等が具体的に例示でき、さら
に、ここに例示された以外の金属を用いることも可能で
ある。なかでも、取扱容易で安定なコーティング剤が得
られるとともに強固な被膜が得られること等から、ケイ
素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、及びバナジ
ウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であること
が好ましい。
【0012】またこれら金属の化合物の含有量は特に限
定されないが、焼成後に残存するかかる金属由来の固形
成分に換算して、本発明のコーティング剤中に0.1〜
25重量%含有されるのが好ましい。
【0013】本発明のコーティング剤に含まれる第3の
成分は、窒素、酸素、硫黄から選ばれる少なくとも1種
を1分子中に含有し、その含有量が合計量で27重量%
以上であるところの有機化合物である。特に100℃以
上の沸点を有するものは、さらに密着性の高い強固な被
膜を形成できる点でより好ましい。
【0014】かかる有機化合物としては、例えばアルド
ール、ジアセトンアルコール等のアルデヒドやケトンの
誘導体、コハク酸エチル等のカルボン酸誘導体、ホルム
アミド、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、メチル
ホルムアミド、コハク酸アミド等の酸アミド類及びその
誘導体、カルバミン酸メチル、カルバミン酸エチル等の
炭酸誘導体、エチレンジアミン、エタノールアミンとい
ったアルカノールアミン類等のアミン類やアミン誘導
体、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等の
スルホキシド類、ジエチルスルホン、テトラメチレンス
ルホン等のスルホン類、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、トリエチレングリコール、プロピレング
リコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、
グリコールメチルエーテル、セロソルブ、セロソルブア
セテート、カルビトール、グリセリン、ポリエチレング
リコール等のグリコール類及びその誘導体、ヒドラジ
ン、ブチロラクトン、などが挙げられる。
【0015】本発明にはかかる有機化合物をそれぞれ単
独で、あるいは2種以上の混合系として用いることがで
きる。
【0016】なお上記例示中のジメチルホルムアミドや
エチレングリコールをゾル・ゲル系に添加する試みは従
来もあった。かかる化合物を添加するとクラックの発生
が抑えられ、バルク成形体の製造が容易になると考えら
れたためである。しかしこれらの化合物をコーティング
剤に添加し、基材との密着性を高める目的で用いた報告
はない。
【0017】本発明のコーティング剤中にこれらの有機
化合物は、焼成後に残存する固形成分に対して少なくと
も5重量%添加されることが望ましい。さらに好ましく
は、少なくとも10重量%添加されることが、より強靱
で良く密着した被膜が得られる点で望ましい。また、か
かる有機化合物が常温で液体状態を呈するものの場合に
は、これらを直接、本発明のコーティング剤の溶媒及び
/又は分散媒として用いることもできる。より硬度の高
い被膜を得るためには、かかる有機化合物は、溶媒及び
/又は分散媒中に多くとも68重量%であることが望ま
しい。
【0018】さらに本発明のコーティング剤には、その
他の成分を添加できる。本発明のコーティング剤に添加
できるその他の成分の第1は、金属アルコキシド化合物
及び/又は金属アセテート化合物等を溶解及び/又は分
散させるための溶媒及び/又は分散媒である。
【0019】具体的には、ヘキサン、シクロヘキサン、
ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、
トルエン、キシレン、スチレン、テトラリン等の芳香族
炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、
ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等のアルコー
ル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジアセトンアル
コール等のケトン類及びその誘導体、酢酸メチル、酢酸
エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン等のエーテル類、クロロホルム、塩化メチレン、トリ
クロロトリフロロエタン等のハロゲン化合物類、酸類、
アルカリ類、ジアセトンアルコール、ニトロベンゼン、
水等といった化合物、及び前述したアミド類やその誘導
体、炭酸誘導体、アミン類やアミン誘導体、スルホキシ
ド類、スルホン類、グリコール類やグリコール誘導体、
その他が例示できる。
【0020】本発明のコーティング剤にはかかる化合物
の全てが、単独で、あるいは2種以上の混合体として、
使用できる。またこれら以外からも自由に選択して使用
できる。
【0021】本発明のコーティング剤に添加できるその
他の成分の第2は、前記金属化合物の加水分解と縮合重
合を制御する触媒と水である。かかる触媒としては酸触
媒、塩基触媒、その他が用いられる。一般的には加水分
解触媒として酸触媒が用いられ、重合触媒として塩基触
媒が用いられる。酸触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸等
の鉱酸類、酢酸、シュウ酸、ギ酸、プロピオン酸、マレ
イン酸、クエン酸、安息香酸、グリコール酸、トルエン
スルホン酸等の有機酸が例示できる。
【0022】また、アルミニウムアセチルアセトネート
等のアルミニウムキレート化合物等、その他も加水分解
触媒として役立つことが知られていて、これらも用い得
る。塩基触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化アン
モニウム、アミン類、第4級アンモニウム塩類、ホルム
アミド類等、その他が例示できる。なお、シュウ酸には
重合触媒としても有効であると考えられている。
【0023】酸触媒の添加は、通常反応系のpHを3以
下にすることをめどに加えられる。しかし本発明にあっ
ては、触媒を加えなくとも実質上の問題にならないこと
が多い。ただし反応速度の異なる複数の成分からなる系
である場合には、反応速度の大きな偏りを抑える目的
で、加水分解される官能基1当量に対して少なくとも1
000分の1当量添加されるのが好ましく、さらには少
なくとも1000分の5当量添加されるのがより好まし
い。また加水分解される官能基1当量に対し1当量より
多い触媒を加えることに何ら有効性があるとは考えにく
いことから、好ましくは1当量以下であることが望まし
い。
【0024】塩基触媒の添加は、加水分解後、反応系の
pHを7〜7.5あるいは7.5以上とするのに必要な
量だけ加えられるのが一般的である。本発明においても
同様にして塩基触媒を添加することができる。ただし本
発明においては、第3成分のの有機化合物や第2成分の
部分縮合重合体がクラックの発生を有効に防止すること
から、塩基触媒を加えなくとも何ら実用上の問題とはな
らない。したがって酸性サイドでも重合は支障なく進行
し、良好な被膜が形成される。
【0025】第1成分の金属化合物の加水分解を進める
ためには、水も必要となる。水は1当量のアルコキシド
及び/又はアセテートに対して1当量必要である。しか
し水を1当量よりも少なく添加した反応系においても、
加水分解と縮合重合をほぼ完結させることができる。こ
のような条件においては加水分解速度を遅延させること
ができることから、コーティングプロセスをより取扱い
やすくできると考えられている。
【0026】一方、水を1当量よりもさらに多く添加し
て反応を進めることもできる。この場合多量に加えられ
た水は、被膜をより透明にする効果があると考えられて
いる。したがって水の添加量については一概に限定し得
ないが、一般的には加水分解される官能基1当量に対し
100分の1〜100当量の範囲で添加されている。本
発明においてもかかる割合で添加するのに何ら支障はな
い。
【0027】さらに本発明のコーティング剤中には、任
意にその他の成分を配合することができる。かかる成分
としては、例えば、チタン酸カリウム、窒化ケイ素等の
ウィスカー、SiO2 、Al23 、TiO2 、Zr0
2 、Sn02 等といった金属酸化物のコロイド、粒子、
微粒子、超微粒子、各種染料、フタロシアニン、キナク
リドン等の有機顔料、コバルト、クロム、鉄等の無機顔
料、各種界面活性剤類、カップリング剤類、紫外線吸収
剤等の安定剤類、その他が挙げられる。
【0028】次に、本発明のコーティング剤の製造方法
と、かかるコーティング剤を用いて成される透明な無機
質薄膜の製造方法について説明する。本発明のコーティ
ング剤は、いわゆるゾル・ゲル法の手法を用いて低温焼
成されて透明な無機質薄膜に成形される。したがって本
発明のセラミックコーティング剤は、ゾルに相当する段
階のものを指しているとも見ることができる。
【0029】本発明のコーティング剤を製造する1つの
方法は、適当な溶媒及び/又は分散媒に前記の成分とそ
の他の配合可能な成分を加えて混合し、コーティング剤
とする方法である。またかかる成分を反応容器内に仕込
み、室温〜百数十度の温度範囲で撹拌・混合して一体化
し、加水分解と部分縮合を起したゾルとして、コーティ
ング剤とする方法も可能である。
【0030】配合可能な成分をそれぞれ個別に、あるい
はそれぞれの一部を分割して独立に、反応系に順次加え
て、逐次に加水分解と部分縮合を進めていく方法を採用
することもできる。この方法の場合、反応速度の大きく
異なる複数成分を含有する場合には有効であり、反応速
度の速い成分を後から添加する等の操作で反応速度を調
整できる。さらに一度ゲル化された全部あるいは一部の
成分を溶媒中で超音波照射するなどした後粉砕し、ゾル
とする方法も採用できる。かかる方法で得られたゾルか
ら再びゲル化されて調製された被膜は、クラックの発生
が抑制され、より強靱となることが認められる。
【0031】かくして調製されたコーティング剤は、被
コート材に適用され、焼成されて、透明な無機質の薄膜
に仕上げられる。
【0032】本発明では、ガラス成形体の加工処理面上
に透明な無機質の薄膜が、密着性良く形成されているこ
とが必要であり、密着性については数1で評価した。
【0033】
【数1】 密着性(%)=[G(3)−G(1)]/[G(2)−G(1)]×100
【0034】ここで、G(1)はガラス成形体加工処理
面の光沢、G(2)は透明な無機質薄膜を設けたガラス
成形体の初期光沢、G(3)は透明な無機質薄膜を設け
たガラス成形体を沸騰水中に6時間置いた後の光沢を示
す。
【0035】本発明においては、数1で示される密着性
が45%以上のものを有効に使用することができる。
【0036】本発明のコーティング剤を被コート材へ適
用する方法は種々考えられるが、ロールコート、フロー
コート、スプレー、浸漬等の方法で行われるのが一般的
である。本発明においてもかかる手法を用いて適用する
ことができる。またその他の手法を用いて適用しても、
本発明には何ら支障ない。
【0037】被コート材に設けられた本発明のコーティ
ング剤の層は、いわゆるゾル・ゲル法の手法を用いて乾
燥され、焼成されて、透明な無機質薄膜に成形される。
本発明のコーティング剤は、この焼成を345℃以下の
温度で行うことができる。また345℃以上の温度で焼
成することも、被コート材及び添加剤等に影響ない限
り、支障ない。
【0038】本発明のコーティング剤から形成される薄
膜の厚さは1nm〜500μmであるのが一般的であ
る。なかでも10nm以上であるのがムラがなく、また
100μm以下であるのがクラックのない均質な薄膜が
得られることから望ましい。
【0039】本発明の透明な無機質薄膜は、本質的に連
続膜からなる及び/又は平均粒径0.1μm以下の粒子
凝集体からなるものであることが好ましく、特に粒径が
小さく、連続膜に近いものほど、強化効果が高まること
から望ましい。
【0040】
【作用】本発明は前述の如く、加工処理の施されたガラ
ス成形体に密着性の高い本質的に連続体と見ることので
きる透明な無機質薄膜を設け、成形体の強度を飛躍的に
高めることを可能にしたものである。しかも本発明の透
明な無機質薄膜は、345℃以下の低温で焼成し、形成
できるものである。かかる事実がいかなる作用機構から
達成されているのか必ずしも明確ではないが、次のよう
に考えられる。
【0041】すなわち、本発明の透明な無機質薄膜を形
成するためのコーティング剤中に含まれる部分縮合体
は、バインダー的に機能してしっかりした被膜を形成す
る働きを担っていると考えられる。またコーティング剤
中に含有される特定の有機化合物は、分子量、官能基、
活性等の大きく異なった各成分を、均質に分散させる働
きを担っている。しかも基材とコーティング剤界面にあ
っては、かかる化合物は基材表面の官能基をあたかも溶
解する如くしてコーティング剤の反応系に引込み、相互
の均質な反応を促している。こうした機構で本発明のコ
ーティング剤からは、低温焼成でも、密着性の高い強固
な薄膜が製造できるものと判断される。
【0042】また低温焼成であっても密着性の良い本質
的に連続と見ることのできる薄膜がガラス成形体上に設
けられるため、かかる薄膜がガラス表面の傷やクラック
を埋めてあたかも接着する如くに機能し、大きな補強効
果を発現するにいたったものと判断している。
【0043】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げて具体的に説明
するが、これらの説明によって本発明が何ら限定される
ものではない。
【0044】[実施例1]イソプロピルアルコール20
重量%を含有するテトラヒドロフラン溶液10gと3m
molのHClを含有する水1.75gとに、10gの
テトラエトキシシランを加えて混合溶解した後、80℃
にて2時間撹拌後、室温に静置した。2日後、これにプ
ロピレングリコール7.5重量%、ジメチルアセトアミ
ド4.5重量%をそれぞれ含有するイソプロピルアルコ
ール溶液68gを加え、さらに10.73gのテトラエ
トキシシランを加えて混合撹拌し、コート液Aを得た。
【0045】次に市販の2mm厚スリ板ガラスを洗浄、
乾燥した後、65℃に加熱してから、スリ面にコート液
Aを1m2 当り3.5gスプレーコートした。これを1
00℃にて20分間乾燥させてから250℃にて40分
間焼成し、加工ガラス成形体1を得た。この成形体のS
EM写真を図1に、諸性能を表1に示した。
【0046】なお、図1の写真の下部には縮尺が示して
あり、11個の白点の左端から右端までが3μmであ
る。図2〜4においても同様である。
【0047】[実施例2]市販無機コーティング剤アト
ロンNSi−500[日本曹達(株)製]90gにプロ
ピレングリコール6g、ジメチルアセトアミド4gを加
えて撹拌混合し、コート液Bを得た。このコート液Bを
用いた点を除き、実施例1と同様にして加工ガラス成形
体2を得た。この成形体のSEM写真を図2に、諸性能
を表1に示した。
【0048】[比較例1]市販の2mm厚スリ板ガラス
を洗浄、乾燥した後、100℃にて20分、続いて25
0℃にて40分間熱処理し、加工ガラス成形体3を得
た。この成形体の諸性能を表1に示した。
【0049】[比較例2]市販無機コーティング剤アト
ロンNSi−500をそのまま用いた点を除き、実施例
2と同様にして加工ガラス成形体4を得た。この成形体
のSEM写真を図3に、諸性能を表1に示した。
【0050】[比較例3]市販無機コーティング剤NT
−L2102[日産化学工業(株)製]30g、エタノ
ール58g、ヘキシレングリコール10g、ジメチルホ
ルムアミド2gを撹拌混合し、コート液Cを得た。この
コート液Cを用いた点を除き、実施例1と同様にして加
工ガラス成形体5を得た。この成形体のSEM写真を図
4に、諸性能を表1に示した。
【0051】なお、耐汚染性については、市販の油性マ
ジックインクでマークした後室温に静置し、24時間
後、フェルトにエタノールを2g/分の速度で供給しな
がら100g/cm2 の面圧で100サイクルふき取
り、この時の残存量を、未マーク時との色差として求め
て、耐汚染性を評価した。
【0052】また、衝撃破壊高さについては、厚さ2m
mで305×305mm角の試験体5枚で評価した。す
なわち、JIS R 3206における落球試験用支持
枠に近似させ、上記試験体に適用できる支持枠を調製し
た。この支持枠に、加工処理面の裏面側を加撃面として
水平に取付け、固定した。この試験体の中央に、外径2
2.25mmで重量44.77gの鋼球を落下させ、破
壊する高さを求めて各々平均し、衝撃破壊高さとした。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】本発明の加工ガラス成形体は、スリ加
工、フロスト加工、穴あけ加工、面取り加工等、ガラス
成形体の衝撃強度等を大きく損ねてしまう粗面加工が施
されてあっても、飛躍的に高められた強度を発現する効
果を有している。またこの強化効果を担う薄膜は、低温
焼成で形成できる効果を持つことから、エネルギー消費
量、高温炉設置等の費用を削減する効果も有している。
さらにこの薄膜が透明な無機質であることから、ガラス
本来の持つ感触、高い硬度、耐久性、耐候性、耐汚染性
等の特性を、全く損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係るガラス成形体の表面組織を表し
たX線写真。
【図2】実施例2に係るガラス成形体の表面組織を表し
たX線写真。
【図3】比較例2に係るガラス成形体の表面組織を表し
たX線写真。
【図4】比較例3に係るガラス成形体の表面組織を表し
たX線写真。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加工処理が施され、該加工処理面に薄膜が
    設けられたガラス成形体の製造方法において、該薄膜
    は、金属アルコキシド化合物及び/又は金属アセテート
    化合物と、該化合物に基づいた部分縮合重合体と、及
    び、窒素、酸素、硫黄から選ばれる少なくとも1種を1
    分子中に含有し、その含有量が合計量で27重量%以上
    であるところの有機化合物と、を含有してなるコーティ
    ング剤が塗布され、その後焼成され形成されることを特
    徴とするガラス成形体の製造方法。
  2. 【請求項2】加工処理が施され、該加工処理面に薄膜が
    設けられたガラス成形体において、該薄膜は、金属アル
    コキシド化合物及び/又は金属アセテート化合物と、該
    化合物に基づいた部分縮合重合体と、及び、窒素、酸
    素、硫黄から選ばれる少なくとも1種を1分子中に含有
    し、その含有量が合計量で27重量%以上であるところ
    の有機化合物と、を含有してなるコーティング剤が塗布
    され、その後焼成されたものであることを特徴とするガ
    ラス成形体。
  3. 【請求項3】前記ガラス成形体が、フロスト加工ガラ
    ス、スリ加工ガラス、又は、穴あけ加工ガラスであるこ
    とを特徴とする、請求項2に記載のガラス成形体。
  4. 【請求項4】前記コーティング剤に含まれる金属が、ケ
    イ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、及びバナ
    ジウムの群から選ばれる少なくとも1種であることを特
    徴とする請求項2又は3に記載のガラス成形体。
  5. 【請求項5】前記有機化合物が、水より高い沸点を有す
    るものであることを特徴とする請求項2〜4のいずれか
    1項に記載のガラス成形体。
  6. 【請求項6】前記焼成がガラス成形体のアニーリング温
    度よりも低い温度での焼成であることを特徴とする請求
    項2〜5のいずれか1項に記載のガラス成形体。
  7. 【請求項7】前記焼成が345℃よりも低い温度での焼
    成であることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項
    に記載の加工ガラス成形体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005247587A (ja) * 2004-03-01 2005-09-15 Central Glass Co Ltd ガラス基材の曲げ強度の向上方法

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