JPH07236785A - 刺繍データ作成装置における図柄画像データ読取方法及びその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 用意する原画の枚数を少なくすることによっ
て、刺繍を行う際の準備作業を簡単にする。 【構成】 原画用紙には刺繍の元となる原画の外形線や
境界線等がスキャナーで読取不可能な赤色で描かれてお
り、その原画の一部がそれらの線に沿ってスキャナーで
読取可能な黒色で色塗される。同一の糸で刺繍される部
分領域を色塗された原画がスキャナーで読取られると、
前回読取った原画に比べ追加して色塗された部分を検出
し、検出された部分を刺繍する刺繍データが自動的に作
成される。そして、次の部分領域が同一の原画用紙上で
黒色で色塗りされ、原画が読取られ、次の部分領域の刺
繍データが作成される。こうして、一枚の原画用紙で、
異なる糸で刺繍される複数の部分領域に対する刺繍デー
タが作成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、刺繍ミシンの動作に必
要なデータを作成する刺繍データ作成装置における、刺
繍されるべき１以上の部分図柄からなる図柄の画像デー
タを読取るための、刺繍データ作成装置における図柄画
像データ読取方法及びその装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、例えば工業用刺繍ミシンの分
野においては、マイコンを利用して、精度の高い刺繍デ
ータを短時間で作成することができる刺繍データ作成装
置が供されている。この刺繍データ作成装置は、例えば
汎用のパーソナルコンピュータシステムに、イメージス
キャナやハードディスクドライブ等を接続して構成され
ており、任意の刺繍図柄の原画から、多色縫いの刺繍デ
ータを簡単に作成することができるようになっている。

【０００３】ところで、近年では、需要者の嗜好の多様
化，高級化、刺繍ミシンの性能の向上等の事情により、
家庭用の刺繍ミシンにあっても、予め記憶されている刺
繍データに基づく図柄の刺繍形成だけでなく、使用者の
所望する図柄の刺繍を形成することを可能とする比較的
安価で操作が簡単な刺繍データ作成装置が要望されてい
る。特に、複数色の刺繍糸を用いる多色図柄の刺繍デー
タの作成を可能とすることが望まれるのである。

【０００４】このような要望に応えるため、例えば特開
平４−１７４６９９号公報に開示されるような刺繍デー
タ作成装置が考えられている。この刺繍データ作成装置
は、マイコンを内蔵し小形のディスプレイや数個の操作
キーを有するコンパクトな本体に、白黒二値のイメージ
スキャナを接続して構成されている。そして、複数色の
刺繍糸を用いる多色図柄の刺繍データを作成する場合に
は、次のようにして図柄画像データを読取るようになっ
ている。

【０００５】即ち、今、図５に示すような「花」の図柄
Ａを例とすると、この図柄Ａは、「花の中央」の部分Ａ
１，「花びら」の部分Ａ２，「茎」の部分Ａ３，左右２
枚の「葉」の部分Ａ４及びＡ５の５つの閉領域から成
り、同図にハッチングの形態を変えて示すように、閉領
域Ａ４及びＡ５のみを同色としその他は相互に異なる色
の刺繍糸（計４色）により刺繍したいものとする。この
ような場合には、使用者は、図７に示すように、色毎の
図柄（部分図柄）に分割されたこの場合４枚の分割原画
Ｂ１〜Ｂ４を作成し、それを順次イメージスキャナに読
取らせるものである。これにて、各部分図柄毎の別個の
刺繍データが作成されるようになっている。

【０００６】具体的には、まず、図５に示す原画Ｂ（あ
るいはそのコピー原画）と例えば赤色（イメージスキャ
ナでは読取り不能）のカーボン紙とを用いて、分割原画
Ｂ１の原紙（白紙）に閉領域Ａ１の輪郭線を複写する。
そして、その原紙に複写された輪郭線の内部部位を黒
（イメージスキャナで読取り可能）のペンで塗潰すこと
により、図７（ａ）に示す分割原画Ｂ１（便宜上塗潰し
部分をハッチングを付して示す）を作成する。引続い
て、各閉領域Ａ２，Ａ３についても、同様の作業を夫々
別の原紙に対して行い、分割原画Ｂ２，Ｂ３（図７
（ｂ），（ｃ）参照）を作成する。また、１個の部分図
柄となる閉領域Ａ４及びＡ５については、１枚の原紙を
用いて分割原画Ｂ４（図７（ｄ）参照）を作成する。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の多色の刺繍に係る図柄画像データの読取方法で
は、使用者が複数枚の分割原画Ｂ１〜Ｂ４を作成しなけ
ればならず、読取りの準備作業を行うにあたっての使用
者の手間がかかるると共に、費用も大きくなるという不
具合があった。尚、この場合、例えば一般家庭向けに供
される装置としては、さほど高価なものとなることは望
ましくなく、イメージスキャナ自体や、画像処理のため
のハード的，ソフト的な構成を、比較的簡単で安価に抑
えることが要求されるといった事情もある。

【０００８】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的は、１以上の部分図柄からなる図柄に係る
図柄画像データを読取るにあたっての使用者の作業の簡
単化を図ることができる刺繍データ作成装置における図
柄画像データ読取方法及びその装置を提供するにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の刺繍データ作成装置における図柄画像デー
タ読取方法は、図柄を構成する各部分図柄を段階的に塗
潰した１以上の加工原画から順次加工画像データを読取
る行程と、各加工画像データの相違部分に基づいて各部
分図柄を認識する認識行程とを実行するところに特徴を
有している。

【００１０】そして、本発明の刺繍データ作成装置にお
ける図柄画像データ読取装置は、原画の画像を読取るた
めの画像読取手段と、図柄を構成する各部分図柄を段階
的に塗潰した１以上の加工原画を前記画像読取手段によ
り順次読取ることにより得られる１以上の各加工画像デ
ータを記憶する加工画像データ記憶手段と、前記各加工
画像データの相違部分に基づいて各部分図柄を認識する
部分図柄認識手段とを具備する構成に特徴を有するもの
である。

【００１１】

【作用】本発明の刺繍データ作成装置における図柄画像
データ読取方法によれば、加工画像データを読取る行程
においては、図柄を構成する各部分図柄毎に段階的に塗
潰しあるいは印付けされた加工原画の画像データが読取
られる。ここでは、１回目の読取り行程において、１番
目の部分図柄部分が塗潰された加工原画が用いられてそ
の加工画像データが読取られ、２回目以降の読取り行程
においては、前回使用した加工原画に対して次の部分図
柄部分の塗潰しを付加した加工原画が用いられてその加
工画像データが順次読取られる。

【００１２】そして、認識行程においては、前記各加工
画像データから、塗潰し部分の段階的変化に基づいて各
部分図柄が認識される。このときには、順次読取られた
加工画像データを１回前の加工画像データと比較するこ
とにより、各部分図柄を確実に認識することができる。

【００１３】従って、使用者は、まず、１番目の部分図
柄部分が塗潰された加工原画を作成し、その後、その加
工原画の残りの各部分図柄に対して、段階的に塗潰しを
行っていきながら、順次読取りを行わせていけば良いの
で、１枚の原画で済ませることができ、原画の準備作業
を簡単に済ませることができる。

【００１４】そして、本発明の刺繍データ作成装置にお
ける図柄画像データ読取装置によれば、図柄を構成する
各部分図柄毎に段階的に塗潰しが付加された加工原画か
ら、画像読取手段によって読取られた各段階の加工画像
データが、加工画像データ記憶手段により記憶される。
そして、部分図柄認識手段により、各加工画像データの
相違部分に基づいて各部分図柄が認識される。

【００１５】従って、使用者は、まず、１番目の部分図
柄部分が塗潰された加工原画を作成し、その後、その加
工原画の残りの各部分図柄に対して、段階的に塗潰しを
行っていきながら、順次読取りを行わせていけば良いの
で、１枚の原画で済ませることができ、原画の準備作業
を簡単に済ませることができる。

【００１６】

【実施例】以下、本発明を家庭用刺繍ミシン用の刺繍デ
ータ作成装置に適用した一実施例について、図１乃至図
５を参照して説明する。尚、本実施例では、従来例で述
べたと同様に、図５に示すような「花」の図柄Ａにおけ
る刺繍データを作成する場合を具体例としてあげながら
説明する。

【００１７】この図柄Ａは、「花の中央」の部分Ａ１，
「花びら」の部分Ａ２，「茎」の部分Ａ３，左右２枚の
「葉」の部分Ａ４及びＡ５の５つの閉領域（輪郭線によ
り囲まれた閉じた領域）から成り、同図にハッチングの
形態を変えて示すように、閉領域Ａ４及びＡ５のみを同
色としその他は相互に異なる色の刺繍糸（計４色）によ
り刺繍したいものとする。従って、閉領域Ａ１〜Ａ３は
夫々が単独の部分図柄となり、閉領域Ａ４及びＡ５は一
つの部分図柄（一種類の同一の糸で刺繍されるべき図
柄）とされ、図柄Ａは相互に異なる刺繍糸により刺繍さ
れるべき４つの部分図柄から構成されるものとなる。

【００１８】まず、図示はしないが、家庭用刺繍ミシン
について簡単に触れておく。刺繍ミシンは、ミシンベッ
ド上に配置され加工布を保持する刺繍枠を、水平移動機
構により装置固有のｘ，ｙ座標系で示される所定位置に
移動させつつ、縫針及び釜機構による縫い動作を行うこ
とにより、その加工布に所定の図柄Ａの刺繍を形成する
ようになっている。

【００１９】この場合、前記水平移動機構や針棒など
は、マイコン等から構成される制御装置により制御され
るようになっており、従って、一針毎の加工布のｘ，ｙ
方向の移動量（針落ち位置）を指示する刺繍データ（ス
テッチデータ）が与えられることにより、制御装置は、
刺繍動作を自動的に実行することが可能となるのであ
る。また、本実施例では、刺繍ミシンにはフラッシュメ
モリ装置が設けられ、後述するフラッシュメモリ（カー
ドメモリ）により、外部から刺繍データが与えられるよ
うに構成されている。後述する刺繍データ作成装置は、
このような刺繍データを作成する機能を備えるものであ
る。尚、この刺繍ミシンには、各種のメッセージを表示
するための表示部が設けられており、使用者に対して刺
繍糸の色替えの指示などが行われるようになっている。

【００２０】次に、本実施例に係る刺繍データ作成装置
の全体構成について、図２及び図３を参照して述べる。
図２は刺繍データ作成装置の外観を示し、図３は電気的
構成を示しており、ここで、作成装置本体１は、マイコ
ンを主体として成り、ＣＰＵ２，ＲＯＭ３，ＲＡＭ４，
フラッシュメモリ装置（ＦＭＤ）５，入出力インターフ
ェイス６をバスを介して相互に接続して構成されてい
る。

【００２１】この作成装置本体１の上面部には、図５に
も示すように、図柄Ａ等を表示するための表示手段とし
ての液晶ディスプレイ（ＬＣＤ）７が設けられている。
この液晶ディスプレイ７は、表示制御装置（ＬＣＤＣ）
８により制御されるようになっており、この表示制御装
置８には表示記憶装置９が接続されている。また、前記
フラッシュメモリ装置５には、フラッシュメモリ１０が
着脱可能にセットされるようになっている。さらに、作
成装置本体１には、使用者が「はい」，「いいえ」等の
指示を行うための操作キー１１が設けられ、入出力イン
ターフェイス６を介してＣＰＵ２に接続されている。

【００２２】そして、作成装置本体１には、図柄Ａの原
画の図柄画像データを読取るための画像読取手段として
のイメージスキャナ１２が、前記入出力インターフェイ
ス６を介して接続されている。この場合、イメージスキ
ャナ１２は、白黒の単色（二値）画像を読取るハンドス
キャナからなり、オペレータがその上部を手で持って、
下部の読取部を原画上に宛がい、ボタンを押しながら原
画に沿ってなぞるように一方向に移動させることによ
り、原画に描かれた図柄をラスター形式のデジタル図柄
画像データとして読取るようになっている。読取られた
図柄画像データは、画素毎に、白あるいは黒の濃度値
（０あるいは１）を備え、ＲＡＭ４に記憶されるように
なっている。

【００２３】さて、前記作成装置本体１は、そのソフト
ウエア的構成により、前記イメージスキャナ１２と共
に、刺繍データの作成に必要な図柄画像データを読取る
ための図柄画像データ読取装置として機能するようにな
っている。そして、多色の刺繍に係る刺繍データを作成
する場合には、作成装置本体１は、図柄Ａを構成する各
部分図柄を認識し、それら各部分図柄に対応する刺繍デ
ータを夫々自動的に作成するようになっている。

【００２４】このとき、詳しくは後述するように、多色
の刺繍に係る図柄画像データを読取るにあたっては、図
柄を構成する各部分図柄を段階的に塗潰した１以上の加
工原画から順次加工画像データを読取る行程と、各加工
画像データの相違部分に基づいて各部分図柄を認識する
認識行程とを実行するようになっている。また、作成装
置本体１が本発明にいう加工画像データ記憶手段及び部
分図柄認識手段として機能するようになっているのであ
る。

【００２５】次に、このように構成された刺繍データ作
成装置の動作について、図１及び図４をも参照しながら
述べる。ここでは、図５に示した多色刺繍に係る図柄Ａ
を具体例としながら説明する。まず、使用者は、図柄Ａ
の刺繍データを作成したい場合には、予め図４（ａ）に
示すような初期原画Ｃを作成しておく。この初期原画Ｃ
は例えば白色の原紙に、イメージスキャナ１２により読
取り不可能な色例えば赤色のカーボン紙を用いて、図柄
Ａの各閉領域Ａ１〜Ａ５の輪郭及び境界を示す輪郭線Ｄ
（図４では便宜上破線で示す）を描いたものである。

【００２６】この輪郭線Ｄは、詳細には、「花の中央」
の閉領域Ａ１の輪郭（閉領域Ａ１とＡ２との境界）とな
る輪郭線Ｄ１、「花びら」の閉領域Ａ２の輪郭となる輪
郭線Ｄ２、「茎」の閉領域Ａ３の輪郭となる輪郭線Ｄ
３、「左の葉」の閉領域Ａ４の輪郭となる輪郭線Ｄ４、
「右の葉」の閉領域Ａ５の輪郭となる輪郭線Ｄ５の、５
つの輪郭線から構成される。そして、使用者は、前記初
期原画Ｃの輪郭線で囲まれた閉領域のうちの、１色目の
部分図柄となる部位を、イメージスキャナ１２により読
取り可能な色例えば黒色のペンで塗潰し、１段階目の加
工原画を作成する。図４の例では、１色目の部分図柄と
して例えば輪郭線Ｄ１の内部（閉領域Ａ１）を塗潰す
（便宜上ハッチングを付して示す）ことにより、図４
（ｂ）に示すように、初期原画Ｃは１段階目の加工原画
Ｃ１となる。

【００２７】さて、作成装置本体１の電源がオンされて
刺繍データ作成のプログラムが起動されると、図１のフ
ローチャートに示す処理が実行される。まず、ステップ
Ｓ１では、部分図柄の数（刺繍の色数）を示すための変
数Ｎに１がセットされる。引続いて、ステップＳ２〜Ｓ
６では、加工画像データを読取る行程が実行されるので
ある。

【００２８】即ち、ステップＳ２では、液晶ディスプレ
イ７の画面７ａに、例えば「加工原画の読取を開始して
ください」のメッセージが表示される。そこで、使用者
は、既に作成されている加工原画Ｃ１（図４（ｂ）参
照）を、イメージスキャナ１２により読取らせる操作を
行う（ステップＳ２にてＹｅｓ）。

【００２９】すると、作成装置本体１には、加工画像デ
ータ（ビットマップ）が読取られていき（ステップＳ
３）、それと同時に、その加工画像データによる画像が
液晶ディスプレイ７に表示されていく（ステップＳ
４）。所定の距離だけイメージスキャナ１２が移動され
ると読取り作業が完了したと判定される（ステップＳ５
にてＹｅｓ）。

【００３０】この時点では、読取られた加工原画Ｃ１全
体の画像が液晶ディスプレイ７に表示されているはずで
あり、そこで、液晶ディスプレイ７に「正しく読取られ
ましたか？」のメッセージが併せて表示される。使用者
は、正しく読取られていると判断すれば、「はい」の操
作キー１１を操作し（ステップＳ６にてＹｅｓ）、これ
にて、加工画像データの読取りが完了するのである。
尚、正しく読取られなかった場合には（ステップＳ６に
てＮｏ）、再びステップＳ２からの処理が繰返される。

【００３１】そして、次のステップＳ７では、変数Ｎの
値が１かどうかが判断され、Ｎ＝１の場合には（Ｙｅ
ｓ）、今回読取った加工画像データがそのまま１色目の
部分領域に相当するので、ステップＳ８にて、その画像
データが１色目のメモリに記憶される。さらに、ステッ
プＳ９にて、バッファに、今回読取った加工画像データ
即ち閉領域Ａ１部分のみが黒レベルとされたビットマッ
プデータが記憶される。この画像データは、後に加工画
像データの変化（相違）を検出するために利用される。

【００３２】続いて、ステップＳ１０にて、変数Ｎの値
がインクリメントされ、再びステップＳ２からの加工画
像データを読取る行程に戻る。２回目の読取り行程（Ｎ
＝２）にあたっては、使用者は、前記１段階目の加工原
画Ｃ１のうち２色目の部分図柄を新たに塗潰すことによ
り、２段階目の加工原画を作成しておく。図４の例で
は、（ｃ）に示すように、２段階目の加工原画Ｃ２は、
上記加工原画Ｃ１に例えば閉領域Ａ２の塗潰しが付加さ
れ、閉領域Ａ１及びＡ２（輪郭線Ｄ２の内側全体）が塗
潰されたものとなる。

【００３３】上記と同様にして、２段階目の加工原画Ｃ
２の読取りの処理が行われると（ステップＳ２〜Ｓ
６）、今度は、ステップＳ７にてＮｏとなり、ステップ
Ｓ１１に進む。このステップＳ１１では、今回読取られ
た画像データの、バッファに記憶されている画像データ
からの変化を検出することにより、新規画像データ（新
たに塗潰された部分図柄）の認識が行われる。この処理
は、ビットマップデータの対応する各画素毎に、排他的
論理和を演算することにより行われ、図４の例では、ほ
ぼリング状をなす閉領域Ａ２が、新たな部分図柄として
認識され、ステップＳ１２にて、その画像データが、２
色目のメモリに記憶される。

【００３４】ステップＳ１３では、今回読取られた画像
データがバッファに記憶（更新）され、ステップＳ１４
にて、変数Ｎの値がインクリメントされる。次のステッ
プＳ１５では、液晶ディスプレイ７に例えば「終了しま
すか？」のメッセージが表示され、使用者の操作キー１
１の操作により、終了するか否かが判断される。図柄画
像データの読取りの処理を続ける場合には（ステップＳ
１５にてＮｏ）、再びステップＳ２からの処理が繰返さ
れるのである。

【００３５】このようにして、初期原画Ｃにおいて、図
柄Ａを構成する各部分図柄が段階的に塗潰されていきな
がら、画像データの読取りが行われていく。３回目にあ
っては、３色目の部分図柄として閉領域Ａ３の塗潰しが
付加された３段階目の加工原画Ｃ３（図４（ｄ）参照）
から、加工画像データが読取られ（ステップＳ２〜Ｓ
６）、同様に、新規画像データ（新たに塗潰された部分
図柄）の認識が行われてその新規画像データが３色目の
メモリに記憶される（ステップＳ１１〜Ｓ１３）。最後
に、４色目の部分図柄として閉領域Ａ４及びＡ５の塗潰
しが付加された４段階目の加工原画Ｃ４（図４（ｅ）参
照）から、４色目の部分図柄の認識が行われるのであ
る。

【００３６】このように刺繍データを作成すべき対象と
なる部分図柄が全て認識されると（ステップＳ１５にて
Ｙｅｓ）、ステップＳ１６にて、各部分図柄（１〜４色
目の部分図柄）に関する刺繍データが作成される。この
刺繍データの作成方法としては、画像データから輪郭線
を検出して針落ち点を求める方法や、ビットマップから
直接針落ち点を求める方法など各種の手法が公知とされ
ており、詳しい説明を省略する。作成された刺繍データ
は、Ｎ（１〜４）色目の刺繍データとしてフラッシュメ
モリ１０に記憶されるようになっている。

【００３７】尚、以上のようにして作成された刺繍デー
タを記憶したフラッシュメモリ１０を、刺繍ミシンにセ
ットすることにより、加工布に対する図柄Ａの刺繍の形
成が可能となる。刺繍形成の動作は、例えばまず閉領域
Ａ１の部分図柄が所定の色の刺繍糸で縫われ、その縫製
動作が終了すると、刺繍ミシンは一旦停止して糸換えを
指示するメッセージが表示され、この後の使用者の指示
により次の部分図柄の縫製動作を行うといった手順にて
行われる。閉領域Ａ４及びＡ５に関しては一の部分図柄
なので、糸換えを行うことなく、両閉領域が連続して縫
製されることになる。

【００３８】このように本実施例によれば、使用者は、
まず、図柄Ａの輪郭線Ｄを赤色で描いた初期原画Ｃを作
成し、その後、その初期原画Ｃの各部分図柄に対して、
段階的に塗潰しを行って加工原画Ｃ１〜Ｃ４を得ること
により、多色の刺繍に係る図柄画像データの読取りに必
要な原画を用意することができる。従って、使用者が複
数枚の分割原画Ｂ１〜Ｂ４を作成しなければならなかっ
た従来のものと異なり、１枚の原画で済ませることがで
き、使用者の作業の大幅な簡単化を図ることができるも
のである。

【００３９】また、装置構成としても、白黒の単色画像
を読取るイメージスキャナ１２を用いているので、カラ
ーの読取りが可能なイメージスキャナを用いる場合と比
べてイメージスキャナ１２自体を安価に済ませることが
できると共に、作成装置本体１のハード的，ソフト的な
構成も比較的簡単なもので済むことは勿論である。

【００４０】図６は本発明の他の実施例に係る液晶ディ
スプレイ７の画面表示の一例を示しており、ここでは、
１個の加工原画の読取りが終了すると、液晶ディスプレ
イ７に「次の色の領域を塗ってください」のメッセージ
が表示されるようになっている。これによれば、使用者
は、そのメッセージに従って次の作業を行うようにすれ
ば良く、使いやすいものとなる。

【００４１】尚、上記実施例では、部分図柄（閉領域）
の内部に関する刺繍データを作成するように構成した
が、これに加えて、輪郭線に沿っていわば縁取りを行う
ような輪郭線刺繍データを併せて作成するようにしても
良く、これにより、バラエティに富んだ刺繍データを作
成することができるようになる。この場合、輪郭を縫う
かどうか及びその縫い方（ジグザグ縫い，三重縫い，一
重縫い等）を使用者に選択させる行程を設けても良い。
輪郭線のデータは、部分図柄のデータから抽出すること
ができる。

【００４２】また、上記実施例では、段階的に塗潰し付
加していった加工原画Ｃ１〜Ｃ４の画像データを読取る
ように構成したが、塗潰された部分図柄を段階的に消去
していった加工原画を用いて同様の画像データの読取り
を行って、各部分図柄を認識するように構成することも
できる。

【００４３】そして、上記実施例では、各画像データを
読取る都度、部分図柄の認識を行うように構成したが、
全ての加工画像データを読取った後に、各部分図柄の認
識処理を行うように構成しても良い。さらには、刺繍デ
ータの作成を、ステップＳ１６にてまとめて行うように
したが、各部分図柄を認識する都度、その部分図柄に対
する刺繍データを作成するようにしても良い。また、上
記実施例では、刺繍糸の色毎に部分図柄を分けるように
したが、刺繍に用いられる糸の種類（太さや素材）の相
違によって部分図柄を分けたり、刺繍の縫い方向や縫い
方の相違によって部分図柄を分けることもできる。

【００４４】その他、本発明は上記した実施例に限定さ
れるものではなく、例えば自動的に刺繍糸を換える多針
刺繍ミシンに適用することが可能なことは勿論、作成装
置本体を汎用のパーソナルコンピュータ等から構成した
り、設置形の汎用のイメージスキャナやカラーの読取り
が可能なイメージスキャナを採用するようにしても良
く、さらには画像データの読取装置と刺繍データ作成装
置とを別の装置から構成することもできるなど、本発明
は要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るも
のである。

【００４５】

【発明の効果】以上の説明にて明らかなように、本発明
の刺繍データ作成装置における図柄画像データ読取方法
によれば、１以上の部分図柄からなる図柄に係る図柄画
像データを読取るにあたって、図柄を構成する各部分図
柄を段階的に塗潰した１以上の加工原画から順次加工画
像データを読取る行程と、各加工画像データの相違部分
に基づいて各部分図柄を認識する認識行程とを実行する
ようにしたので、使用者は、まず１番目の部分図柄部分
が塗潰された加工原画を作成し、その後その加工原画の
残りの各部分図柄に対して、段階的に塗潰しを行ってい
きながら順次読取りを行わせていけば良いので、１枚の
原画で済ませることができ、使用者の作業の簡単化を図
ることができるという優れた実用的効果を奏するもので
ある。

【００４６】そして、本発明の刺繍データ作成装置にお
ける図柄画像データ読取装置によれば、原画の画像を読
取るための画像読取手段と、図柄を構成する各部分図柄
を段階的に塗潰した１以上の加工原画を前記画像読取手
段により順次読取ることにより得られる１以上の各加工
画像データを記憶する加工画像データ記憶手段と、前記
各加工画像データの相違部分に基づいて各部分図柄を認
識する部分図柄認識手段とを具備するので、使用者は、
まず１番目の部分図柄部分が塗潰された加工原画を作成
し、その後その加工原画の残りの各部分図柄に対して、
段階的に塗潰しを行っていきながら、順次読取りを行わ
せていけば良いので、１枚の原画で済ませることがで
き、原画の準備作業を簡単に済ませることができる。ま
た、装置としての構成も簡単に済ませることができるも
のである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示すもので、刺繍データの
作成手順を示すフローチャート

【図２】刺繍データ作成装置の外観を示す斜視図

【図３】電気的構成を示すブロック図

【図４】初期原画（ａ）及び段階的な加工原画（ｂ）〜
（ｅ）を縮小状態で示す図

【図５】図柄の一例を示す図

【図６】本発明の他の実施例を示すもので、液晶ディス
プレイの画面表示の一例を示す図

【図７】従来例の分割原画を縮小状態で示す図

【符号の説明】

図面中、１は作成装置本体、２はＣＰＵ、３はＲＯＭ、
４はＲＡＭ、５はフラッシュメモリ装置、７は液晶ディ
スプレイ、１０はフラッシュメモリ、１１は操作キー、
１２はイメージスキャナ（画像読取手段）、Ａは図柄、
Ｃは初期原画、Ｃ１〜Ｃ４は加工原画を示す。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武藤 幸好 名古屋市瑞穂区苗代町15番１号 ブラザー 工業株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 刺繍ミシンの動作に必要なデータを作成
   する刺繍データ作成装置における、刺繍されるべき１以
   上の部分図柄からなる図柄の画像データを、画像読取手
   段を用いて読取るための方法であって、 前記図柄を構成する各部分図柄を段階的に塗潰した１以
   上の加工原画から、順次加工画像データを読取る行程
   と、 前記各加工画像データの相違部分に基づいて各部分図柄
   を認識する認識行程とを実行することを特徴とする刺繍
   データ作成装置における図柄画像データ読取方法。
2. 【請求項２】 刺繍ミシンの動作に必要なデータを作成
   する刺繍データ作成装置における、刺繍されるべき１以
   上の部分図柄からなる図柄の画像データを読取るための
   装置であって、 原画の画像を読取るための画像読取手段と、 前記図柄を構成する各部分図柄を段階的に塗潰した１以
   上の加工原画を、前記画像読取手段により順次読取るこ
   とにより得られる１以上の各加工画像データを記憶する
   加工画像データ記憶手段と、 前記各加工画像データの相違部分に基づいて各部分図柄
   を認識する部分図柄認識手段とを具備することを特徴と
   する刺繍データ作成装置における図柄画像データ読取装
   置。