JP3467078B2 - 刺繍データ作成装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、刺繍模様の基となる原
画を読み取り装置で読み取って刺繍データを作成する、
ミシンのための刺繍データ作成装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来より、例えば工業用刺繍ミシンの分
野においては、マイコンを利用して、精度の高い刺繍デ
ータを短時間で作成することができる刺繍データ作成装
置が供されている。この刺繍データ作成装置は、例えば
汎用のパーソナルコンピュータシステムに、イメージス
キャナやハードディスクドライブ等を接続して構成され
ており、任意の刺繍図柄の原画から、刺繍データを簡単
に作成することができるようになっている。

【０００３】ところで、近年では、需要者の嗜好の多様
化、高級化、刺繍ミシンの性能の向上等の事情により、
家庭用の刺繍ミシンにあっても、予め記憶されている刺
繍データに基づく図柄の刺繍形成だけでなく、使用者の
所望する図柄の刺繍を形成することを可能とする比較的
安価で操作が簡単な刺繍データ作成装置が要望されてい
る。このような要望に応えるため、本出願人は先に特願
平６−２７７３４に特許出願されるような刺繍データ作
成装置を発明した。この刺繍データ作成装置は、マイコ
ンを内蔵し小型のディスプレイや数個の操作キーを有す
るコンパクトな本体に、白黒二値のイメージスキャナを
接続して構成されている。

【０００４】このような刺繍データ作成装置における刺
繍縫いのためのデータを作成する方法として、特開平３
−２９５５８７号公報に開示されるような方法が提案さ
れている。この方法は、原画を画像入力装置を用いて読
み込み、周知の細線化処理を施して刺繍形状を規定する
ベクトルデータを作成した後に、縫い目データを作成す
るものである。例えば、まず図４に示すようなアルファ
ベットの「Ｍ」を表す原画を画像入力装置としてのイメ
ージスキャナを用いて読み取った後、その画像データに
対して細線化処理を施して、図５に示すようなベクトル
データＰ１Ｐ２、Ｐ２Ｐ３、Ｐ３Ｐ４、Ｐ４Ｐ５を得
る。そのベクトルデータを基に、周知の刺繍ブロックデ
ータを作成し、縫い目データを作成するのである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た細線化処理を施してベクトルデータを得る方法で刺繍
模様データを作成する場合には、図５からも明らかなよ
うに、端部のベクトルデータの長さは、原画の対応部分
の長さに比べて短くなる。つまりベクトルＰ１Ｐ２或い
はベクトルＰ４Ｐ５の長さは、図４の原画の示す「Ｍ」
の縦棒の長さよりも短くなる。従って、ベクトルＰ１Ｐ
２を基にして刺繍ブロックデータを作成して、さらに縫
い目データを作成すると、原画が表す形状とは異なる形
状の刺繍縫い目を形成する縫い目データが作成されるこ
ととなり、満足のいく刺繍結果が得られなかった。

【０００６】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的は、原画に対して細線化処理を施してベク
トルデータを得る方法で刺繍縫いの縫い目データを作成
する方法においても、原画の表す形状と同じ形状の刺繍
結果を得ることができるミシンのための刺繍データ作成
装置を提供するにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明の請求項１に係るミシンのための刺繍データ作成
装置は、刺繍の原画から画像を読み取るための画像読み
取り手段と、画像読み取り手段で読み取られた画像デー
タに対して細線化処理を施す細線化処理手段と、細線化
処理手段により細線化された画像データに基づいて刺繍
形状を規定する形状規定データを作成する形状規定デー
タ作成手段と、形状規定データに対応する刺繍形状の端
部を判断する端部判断手段と、 端部判断手段により判
断された刺繍形状の端部を細線化処理される前の画像デ
ータに基づく図形に近づけるデータ補正手段と、データ
補正手段によって近づけられた図形に対応する刺繍デー
タを作成する刺繍データ作成手段とを備えている。

【０００８】また、請求項２に係るミシンのための刺繍
データ作成装置は、形状規定データ作成手段として、細
線化処理手段によって細線化された画像データに基づ
き、刺繍形状を規定するベクトルデータを作成するベク
トルデータ作成手段と、ベクトルデータ作成手段によっ
て作成されたベクトルデータに基づき、刺繍縫い目を形
成する縫い目データ作成の基準となる刺繍ブロックデー
タを作成する刺繍ブロックデータ作成手段とを具備し、
ベクトルデータ或いは刺繍ブロックデータを補正するデ
ータ補正手段とを備えている。

【０００９】更に、請求項３に係るミシンのための刺繍
データ作成装置は、ベクトルデータに基づくベクトルの
端部に位置するベクトルデータを伸張するデータ補正手
段を備えている。

【００１０】請求項４に係るミシンのための刺繍データ
作成装置は、ベクトルデータに基づくベクトルの端部に
位置するベクトルデータに補正ベクトルデータを付加す
るデータ補正手段を備えている。

【００１１】請求項５に係るミシンのための刺繍データ
作成装置は、前記刺繍ブロックデータに基づく刺繍ブロ
ックの端部を構成する刺繍ブロックデータを伸張するデ
ータ補正手段を備えている。

【００１２】請求項６に係るミシンのための刺繍データ
作成装置は、前記刺繍ブロックデータに基づく刺繍ブロ
ックの端部を構成する刺繍ブロックデータに補正刺繍ブ
ロックデータを付加するデータ補正手段を備えている。

【００１３】

【作用】上記の構成を有する本発明の請求項１に係るミ
シンのための刺繍データ作成装置においては、画像読み
取り手段は、刺繍の原画から画像を読み取る。細線化処
理手段は、画像読み取り手段で読み取られた画像データ
に対して細線化処理を施す。形状規定データ作成手段
は、細線化された画像データに基づいて刺繍形状を規定
する形状規定データを作成する。端部判断手段は、形状
規定データに対応する刺繍形状の端部を判断する。デー
タ補正手段は、形状規定データに対応する刺繍形状の端
部を細線化処理される前の画像データに基づく図形に近
づける。刺繍データ作成手段は、データ補正手段によっ
て近づけられた図形に対応する刺繍データを作成する。

【００１４】また、請求項２に係るミシンのための刺繍
データ作成装置においては、ベクトルデータ作成手段
は、細線化処理手段によって細線化された画像データに
基づき、刺繍形状を規定するベクトルデータを作成す
る。刺繍ブロックデータ作成手段は、ベクトルデータ作
成手段によって作成されたベクトルデータに基づき、刺
繍縫い目を形成する縫い目データ作成の基準となる刺繍
ブロックデータを作成する。データ補正手段は、ベクト
ルデータ或いは刺繍ブロックデータを補正する。

【００１５】更に、請求項３に係るミシンのための刺繍
データ作成装置においては、データ補正手段はベクトル
データに基づくベクトルの端部に位置するベクトルデー
タを伸張する。

【００１６】請求項４に係るミシンのための刺繍データ
作成装置においては、データ補正手段はベクトルデータ
に基づくベクトルの端部に位置するベクトルデータに補
正ベクトルデータを付加する。

【００１７】請求項５に係るミシンのための刺繍データ
作成装置においては、データ補正手段は刺繍ブロックデ
ータに基づく刺繍ブロックの端部を構成する刺繍ブロッ
クデータを伸張する。

【００１８】請求項６に係るミシンのための刺繍データ
作成装置においては、データ補正手段は刺繍ブロックデ
ータに基づく刺繍ブロックの端部を構成する刺繍ブロッ
クデータに補正刺繍ブロックデータを付加する。

【００１９】

【実施例】以下、本発明を家庭用刺繍ミシン用の刺繍デ
ータ作成装置に適用した実施例について、図１ないし図
１２を参照して説明する。

【００２０】まず、図示はしないが、家庭用刺繍ミシン
について簡単に触れておく。刺繍ミシンは、ミシンベッ
ド上に配置され加工布を保持する刺繍枠を、水平移動機
構により装置固有のｘ，ｙ座標系で示される所定位置に
移動させつつ、縫い針及び釜機構による縫い動作を行う
ことにより、その加工布に所定の図柄の刺繍を施すよう
になっている。

【００２１】この場合、前記水平移動機構や針棒など
は、マイコン等から構成される制御装置により制御され
るようになっており、従って、一針毎の加工布のｘ，ｙ
方向の移動量（針落ち位置）を指示する刺繍データ（ス
テッチデータ）が与えられることにより、制御装置は、
刺繍動作を自動的に実行することが可能となるのであ
る。また、本実施例では、刺繍ミシンにはフラッシュメ
モリ装置が設けられ、後述するフラッシュメモリ（カー
ドメモリ）により、外部からその刺繍データが与えられ
るように構成されている。後述する刺繍データ作成装置
は、このような刺繍データを作成する機能を備えるもの
である。尚、この刺繍ミシンには、各種のメッセージを
表示するための表示部が設けられており、使用者に対し
て刺繍糸の色替えの指示等が行われるようになってい
る。

【００２２】次に、本実施例に係る刺繍データ作成装置
の全体構成について、図２ないし図３を参照して述べ
る。図２は刺繍データ作成装置の外観を示し、図３は電
気的構成を示しており、ここで、作成装置本体１は、マ
イコンを主体として成り、ＣＰＵ２、ＲＯＭ３、ＲＡＭ
４、フラッシュメモリ装置（ＦＭＤ）５、入出力インタ
ーフェイス６（Ｉ／Ｏ）をバスを介して相互に接続して
構成されている。

【００２３】この作成装置本体１の上面部には、原画の
図柄等を画面７ａに表示するための表示手段としての液
晶ディスプレイ（ＬＣＤ）７が設けられている。この液
晶ディスプレイ７は表示制御装置（ＬＣＤＣ）８により
制御されるようになっており、この表示制御装置８には
表示記憶装置（ＶＲＡＭ）９が接続されている。また、
前記フラッシュメモリ装置５には、記憶媒体としてのフ
ラッシュカードメモリ１０が着脱可能にセットされるよ
うになっている。さらに、作成装置本体１には、使用者
が処理の選択や実行等の指示を行うための操作キー１１
が設けられ、入出力インターフェイス６を介してＣＰＵ
２に接続されている。

【００２４】そして、作成装置本体１には、原画の図柄
画像データを読み込むための画像読み取り手段としての
二値のイメージスキャナ１２が、前記入出力インターフ
ェイス６を介して接続されている。この場合、イメージ
スキャナ１２は、白黒の単色画像を読み取るハンドスキ
ャナからなり、オペレータがその上部を手で持って、下
部の読み取り部を原画上に宛がい、ボタンを押しながら
原画に沿ってなぞるように一方向に移動させることによ
り、原画に描かれた図柄をラスター形式のデジタル図柄
画像データとして読み取るようになっている。読み取ら
れた図柄画像データは、画素毎に、白或いは黒の濃度値
（０或いは１）を備え、ＲＡＭ４に記憶されるようにな
っている。

【００２５】次に、このように構成された刺繍データ作
成装置のうち、本発明の請求項１ないし請求項３におけ
るミシンのための刺繍データ作成装置の動作について、
図１０を参照しながら説明する。

【００２６】作成装置本体１の電源がオンされて、ＲＯ
Ｍ３内に記憶された刺繍データ作成のためのプログラム
が起動されると、図１０のフローチャートに示す処理が
実行される。まず、ステップＳ１において、イメージス
キャナ１２を用いて、図４に示すアルファベット「Ｍ」
を表す原画の読み取り作業が使用者によって行われる。
ここで読み取られた原画の画像データは、ＲＡＭ４に記
憶される。次にステップＳ２において、原画の画像デー
タに対して細線化処理が施される。この細線化処理によ
って、原画（の図形）はその外周より内側に向かって予
め決められた幅ｄで、予め決められた回数ｋだけ細くさ
れる。この細線化処理は周知方法であるためここでの詳
細な説明は省略する。

【００２７】尚、図形が予め決められた幅ｄで、予め決
められた回数ｋだけ細線化処理されるように構成されて
いるが、細線化する回数ｋは予め決めておく必要はな
く、図形がある条件を満たすまで行えば良く、その際
に、回数ｋをカウント及び記憶して、後述の図形の補正
処理に用いれば良い。

【００２８】ステップＳ３においては、細線化された画
像データを基にして刺繍形状を規定するベクトルデータ
（形状規定データ及びベクトルデータに相当）が作成さ
れる。これは細線化された画像データの点列を順にたど
ることにより作成されるのである。ここで作成されるベ
クトルデータを図５に示す。つまり、破線で示す原画の
元の形状に対して、４つのベクトルＰ１Ｐ２，Ｐ２Ｐ
３，Ｐ３Ｐ４，Ｐ４Ｐ５が作成されるのである。次にス
テップＳ４において、作成されたベクトル数「４」がカ
ウントされ、ステップＳ５で処理制御のためのカウンタ
の値が初期化され、まず最初のベクトルＰ１Ｐ２につい
ての処理が行われる。ステップＳ６においては現在の処
理ベクトルがベクトル列の端部にあるものであるかどう
かが判断される。

【００２９】ここでベクトルＰ１Ｐ２はベクトル列の最
初に存在するものであるので、端部ベクトルであると判
断され、ステップＳ７の処理に進む。ステップＳ７にお
いては、ベクトルＰ１Ｐ２に対する補正処理が行われ
る。これは図５に示す様に、細線化処理の特性として、
原画の形状に対して対応するベクトルの長さが短くなる
ことに基づいて行われるものである。

【００３０】ここで、本発明の請求項３に係るミシンの
ための刺繍データ作成装置におけるデータ補正手段は、
ベクトルＰ１Ｐ２に対して伸張処理を施すことにより補
正を行う。これは図６に示す様に、ベクトルＰ１Ｐ２の
端点Ｐ１の座標値を端部Ｐ１から「Ｍ」の縦棒の先端方
向に幅ｄと回数ｋとの積の距離だけ離れた点Ｐ０の位置
に補正することにより行われる。つまりベクトルＰ１Ｐ
２はベクトルＰ０Ｐ２に補正されるのである。このよう
な補正処理が行われると、原画の形状に対して対応する
ベクトルの長さが短くなることが防止されるのである。

【００３１】また、本発明の請求項４に係るミシンのた
めの刺繍データ作成装置におけるデータ補正手段は、こ
のステップＳ７において、図７に示すように、ベクトル
Ｐ１Ｐ２に対して平行で幅ｄと回数ｋとの積の長さの補
正ベクトルＰ０Ｐ１を付加する処理を施すことにより補
正を行う。つまりベクトルＰ１Ｐ２は、ベクトルＰ０Ｐ
１とベクトルＰ１Ｐ２の２つのベクトルに補正されるの
である。先の本発明の請求項３に係るミシンのための刺
繍データ作成装置におけるデータ補正手段による補正処
理と同様に、この補正処理によっても、原画の形状に対
して対応するベクトルの長さが短くなることが防止され
るのである。

【００３２】そしてステップＳ８において、カウンタの
値がインクリメントされ、ステップＳ９において、カウ
ンタの値が全ベクトル数（＝４）に達していないことが
判断されて、ステップＳ６の処理に戻る。ステップＳ６
においては、現在カウンタが示しているベクトルＰ２Ｐ
３が端部ベクトルでないことを判断して、ステップＳ８
の処理に進む。ステップＳ８においては、カウンタの値
をインクリメントし、ステップＳ９においてカウンタの
値が全ベクトル数に達していないことが判断されて、ス
テップＳ６の処理に戻る。以降同様にしてステップＳ６
ないしステップＳ９の処理が繰り返され、カウンタの値
がベクトルＰ４Ｐ５を示す段階になったとき、ステップ
Ｓ６において、ベクトルＰ４Ｐ５が端部ベクトルである
ことが判断されると、ステップＳ７の処理に進む。

【００３３】ステップＳ７において、本発明の請求項３
に係るミシンのための刺繍データ作成装置におけるデー
タ補正手段は、図６に示すように、ベクトルＰ４Ｐ５の
端点Ｐ５の座標値を「Ｍ」の縦棒の先端方向に幅ｄと回
数ｋとの積に基づき点Ｐ６に補正する処理を同様に行
う。また、本発明の請求項４に係るミシンのための刺繍
データ作成装置におけるデータ補正手段は、図７に示す
ように、ベクトルＰ４Ｐ５に対して、ベクトルＰ４Ｐ５
に対して平行で、幅ｄと回数ｋとの積に基づく補正ベク
トルＰ５Ｐ６を同様に付加する補正処理を行う。そして
ステップＳ８において、カウンタの値がインクリメント
され、ステップＳ９において、カウンタの値が全ベクト
ル数に達したことが判断され、ステップＳ１０の処理に
進む。ステップＳ１０においては、今までに作成された
ベクトルデータを基にして、刺繍縫い目データを作成す
る基となる刺繍ブロックデータが作成される。この刺繍
ブロックデータの作成方法は周知であるため、ここでの
説明は省略する。

【００３４】この後、作成された刺繍ブロックデータを
刺繍データに展開した後に（Ｓ１１）、その刺繍データ
をフラッシュカードメモリ１０に記憶する処理が行われ
て、刺繍データ作成処理が終了する。尚、以上の様にし
て作成された刺繍データを記憶したフラッシュカードメ
モリ１０を、刺繍ミシンにセットすることにより、加工
布に対して刺繍の形成が可能となる。

【００３５】また、上記した処理の各ステップのうち、
ステップＳ２の処理が細線化処理手段に相当し、ステッ
プＳ３の処理が形状規定データ作成手段及び請求項２記
載のベクトルデータ作成手段に相当するものである。ま
た、ステップＳ７の処理が請求項３及び４記載のデータ
補正手段に相当し、ステップＳ１０の処理が請求項２記
載の刺繍ブロックデータ作成手段に相当するものであ
る。そしてステップＳ１１の処理が、請求項１記載の刺
繍データ作成手段に相当するものである。

【００３６】このように本実施例によれば、ステップＳ
７の処理によって、ベクトルデータが補正されるので、
使用者は、図４に示す原画の形状とほぼ合致した形状を
なす刺繍データを自動的に作成することができる。

【００３７】次に、本発明の請求項５ないし請求項６に
おけるミシンのための刺繍データ作成装置の動作につい
て、上述の実施例と重複する部分の説明は省略して、図
１１を参照しながら説明する。

【００３８】作成装置本体１の電源がオンされて、ＲＯ
Ｍ３内に記憶された刺繍データ作成のためのプログラム
が起動されると、図１１のフローチャートに示す処理が
実行される。まず、ステップＳ３１において、イメージ
スキャナ１２を用いて、図４に示す原画の読み取り作業
が使用者によって行われる。ここで読み取られた原画の
画像データは、ＲＡＭ４に記憶される。次にステップＳ
３２において、原画の画像データに対して細線化処理が
施される。ステップＳ３３においては、細線化された画
像データを基にして刺繍形状を表す図５に示されるよう
なベクトルデータが作成される。

【００３９】次にステップＳ３４（形状規定データ作成
手段に相当）において、作成されたベクトルデータを基
にして、刺繍ブロックデータ（形状規定データ及び刺繍
ブロックデータに相当）が作成される。ここで作成され
た刺繍ブロックデータを図８に示す。すなわち、ｂｐ１
ｂｐ２ｂｐ３ｂｐ４，ｂｐ３ｂｐ４ｂｐ５ｂｐ６，ｂｐ
５ｂｐ６ｂｐ７ｂｐ８，ｂｐ７ｂ８ｂｐ９ｂｐ１０の４
つの刺繍ブロックデータが作成されるのである。そして
ステップＳ３５において、作成された刺繍ブロック数４
がカウントされ、ステップＳ３６で処理制御のためのカ
ウンタの値が初期化され、まず最初の刺繍ブロックｂｐ
１ｂｐ２ｂｐ３ｂｐ４についての処理が行われる。ステ
ップＳ３７（端部判断手段に相当）においては現在カウ
ンタの値が示している刺繍ブロックｂｐ１ｂｐ２ｂｐ３
ｂｐ４が刺繍ブロック列の端部にあるものであるかどう
かが判断される。ここで刺繍ブロックｂｐ１ｂｐ２ｂｐ
３ｂｐ４は刺繍ブロック列の最初に存在するものである
ので、端部刺繍ブロックであると判断され、ステップＳ
３８の処理に進む。

【００４０】ステップＳ３８においては刺繍ブロックｂ
ｐ１ｂｐ２ｂｐ３ｂｐ４に対する補正処理が行われる。
ここで、本発明の請求項５に係るミシンのための刺繍デ
ータ作成装置におけるデータ補正手段は、刺繍ブロック
ｂｐ１ｂｐ２ｂｐ３ｂｐ４に対して伸張処理を施すこと
により補正を行う。これは図８に示す様に、刺繍ブロッ
クｂｐ１ｂｐ２ｂｐ３ｂｐ４の頂点ｂｐ１および頂点ｂ
ｐ２の座標値をそれぞれ点ｂｐ１’と点ｂｐ２’の位置
に補正する事により行われる。つまり刺繍ブロックｂｐ
１ｂｐ２ｂｐ３ｂｐ４は、「Ｍ」の縦棒の先端方向に幅
ｄと回数ｋの積の距離だけ広がった刺繍ブロックｂｐ
１’ｂｐ２’ｂｐ３ｂｐ４に補正されるのである。この
ような補正処理が行われると、原画の形状に対して対応
する刺繍ブロックの長さが短くなることが防止されるの
である。

【００４１】また、本発明の請求項６に係るミシンのた
めの刺繍データ作成装置におけるデータ補正手段は、こ
のステップＳ３８において、図９に示すように、刺繍ブ
ロックｂｐ１ｂｐ２ｂｐ３ｂｐ４に対して、補正刺繍ブ
ロックｂｐ１’ｂｐ２’ｂｐ１ｂｐ２を付加する処理を
施すことにより補正を行う。つまり刺繍ブロックｂｐ１
ｂｐ２ｂｐ３ｂｐ４は、それと同一の幅を有し「Ｍ」の
縦棒の先端方向に幅ｄと回数ｋの積の長さを有する刺繍
ブロックｂｐ１’ｂｐ２’ｂｐ１ｂｐ２と刺繍ブロック
ｂｐ１ｂｐ２ｂｐ３ｂｐ４の２つの刺繍ブロックに補正
されるのである。先の本発明の請求項４に係るミシンの
ための刺繍データ作成装置におけるデータ補正手段によ
る補正処理と同様に、この補正処理によっても、原画の
形状に対して対応する刺繍ブロックの長さが短くなるこ
とが防止されるのである。

【００４２】そしてステップＳ３９において、カウンタ
の値がインクリメントされ、ステップＳ４０において、
カウンタの値が全刺繍ブロック数（＝４）に達していな
いことが判断されて、ステップＳ３７の処理に戻る。ス
テップＳ３７においては、現在カウンタが示している刺
繍ブロックｂｐ３ｂｐ４ｂｐ５ｂｐ６が端部刺繍ブロッ
クでないことが判断されて、ステップＳ３９の処理に進
む。ステップＳ３９においては、カウンタの値をインク
リメントし、ステップＳ４０においてカウンタの値が全
ベクトル数に達していないことが判断されて、ステップ
Ｓ３７の処理に戻る。

【００４３】以降同様にしてステップＳ３７ないしステ
ップＳ４０の処理が繰り返され、カウンタの値が刺繍ブ
ロックｂｐ７ｂｐ８ｂｐ９ｂｐ１０を示す段階になった
とき、ステップＳ３７において、刺繍ブロックｂｐ７ｂ
ｐ８ｂｐ９ｂｐ１０が端部刺繍ブロックであることを判
断すると、ステップＳ３８の処理に進む。次にステップ
Ｓ３８において、本発明の請求項５に係るミシンのため
の刺繍データ作成装置におけるデータ補正手段は、図８
に示すように、刺繍ブロックｂｐ７ｂｐ８ｂｐ９ｂｐ１
０の頂点ｂｐ９および頂点ｂｐ１０の座標値を、縦棒の
先端方向に幅ｄ及び回数ｋに基づきそれぞれ点ｂｐ９’
と点ｂｐ１０’の位置に補正する処理を行う。

【００４４】また、本発明の請求項６に係るミシンのた
めの刺繍データ作成装置におけるデータ補正手段は、図
９に示すように、刺繍ブロックｂｐ７ｂｐ８ｂｐ９ｂｐ
１０に対して、幅ｄと回数ｋとの積にその大きさが基づ
く補正刺繍ブロックｂｐ９ｂｐ１０ｂｐ９’ｂｐ１０’
を「Ｍ」の縦棒の先端方向に付加する補正処理を行う。
そしてステップＳ３９において、カウンタの値がインク
リメントされ、ステップＳ４０において、カウンタの値
が全刺繍ブロック数に達したことが判断され、その後、
この刺繍ブロックデータに基づき刺繍データが作成され
る（Ｓ４１）。更に、刺繍データをフラッシュカードメ
モリ１０に記憶する処理が行われて、刺繍データ作成処
理が終了する。

【００４５】尚、以上の様にして作成された刺繍データ
を記憶したフラッシュカードメモリ１０を、刺繍ミシン
にセットすることにより、加工布に対して刺繍の形成が
可能となる。また、上記した処理の各ステップのうち、
ステップＳ３８の処理が、請求項５及び６記載のデータ
補正手段に相当するものである。

【００４６】このように本実施例によれば、ステップＳ
３８の処理によって、刺繍ブロックデータが補正される
ので、使用者は、図４に示す原画の形状とほぼ合致した
形状をなす刺繍データを自動的に作成することができ
る。

【００４７】上述した実施例においては、細線化処理さ
れた画像データに対して伸張処理や付加処理が行われ
て、実際の刺繍の大きささが原画の長さより細線化のた
めに短くなってしまうことを防止している。しかし、図
１２に示すように、原画の端部に対する細線化を部分的
に禁止して、画像データに対して細線化処理を行っても
良い。即ち、「Ｍ」の左右の２つの縦棒部分に対して
は、横方向の細線化は行われるが、縦方向の細線化が禁
止されるようにプログラムを構成しても良い。

【００４８】また、上述した実施例では、細線化の幅ｄ
及び回数ｋに基づき伸張する長さや、付加するベクトル
及びブロックの大きさが決定されているが、イメージス
キャナ１２に読み取られた画像データをＲＡＭ４に記憶
しておき、その細線化前の画像データと細線化後の画像
データとの差を解消するように、伸張する長さや、付加
するベクトル及びブロックの大きさを決定しても良い。

【００４９】更に、上述した実施例では、作成した刺繍
データをフラッシュカードメモリ１０に記憶させるよう
にしたが、刺繍ブロックデータを刺繍データに展開する
機能を有する刺繍ミシンに用いる場合、刺繍ブロックデ
ータをフラッシュカードメモリ１０に記憶させるように
しても良い。その場合、ミシン本体内で、刺繍ブロック
データに対して上述したような補正を行っても良い。

【００５０】尚、本発明は上記した二つの実施例に限定
されるものではなく、例えば作成装置本体を汎用のパー
ソナルコンピュータ等から構成したり、設置型の汎用の
イメージスキャナを採用するようにしてもよく、さらに
は画像データの読み取り装置と刺繍データ作成装置とを
別の装置から構成することもできるなど、本発明は要旨
を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものであ
る。

【００５１】

【発明の効果】以上詳述したことから明らかなように、
本発明のミシンのための刺繍データ作成装置によれば、
使用者は、原画に対して細線化処理を施して刺繍形状を
規定するベクトルデータを得て、刺繍縫いの縫い目デー
タを作成する方法においても、原画の表す形状と同じ形
状の刺繍結果を得ることができる刺繍データを作成する
ことができるという優れた実用的効果を奏するものであ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の請求項１におけるミシンのための刺繍
データ作成装置の構成を示すクレーム対応図である。

【図２】本発明のミシンのための刺繍データ作成装置の
外観を示す斜視図である。

【図３】本発明のミシンのための刺繍データ作成装置の
電気的構成を示すブロック図である。

【図４】本発明の実施例における原画を表す図である。

【図５】本発明を構成する細線化処理手段およびベクト
ルデータ作成手段が行う処理を表す図である。

【図６】本発明のうち請求項３におけるデータ補正手段
が行う補正処理を表す図である。

【図７】本発明のうち請求項４におけるデータ補正手段
が行う補正処理を表す図である。

【図８】本発明のうち請求項５におけるデータ補正手段
が行う補正処理を表す図である。

【図９】本発明のうち請求項６におけるデータ補正手段
が行う補正処理を表す図である。

【図１０】本発明のうち請求項３及び請求項４に係る発
明の一実施例を示すもので、刺繍データの作成手順を示
すフローチャートである。

【図１１】本発明のうち請求項５及び請求項６に係る発
明の一実施例を示すもので、刺繍データの作成手順を示
すフローチャートである。

【図１２】本発明の一形態を示すもので、刺繍データの
作成手順を示すフローチャートである。

【符号の説明】

１ 作成装置本体 ２ ＣＰＵ ３ ＲＯＭ ４ ＲＡＭ ５ フラッシュメモリ装置 ７ 液晶ディスプレイ １０ フラッシュカードメモリ １１ 操作キー １２ イメージスキャナ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平３−295587（ＪＰ，Ａ) 特開 平７−236784（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−149673（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−77580（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) D05B 19/08

Claims (6)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 刺繍ミシンの動作に必要なデータを作成
   する刺繍データ作成装置であって、 刺繍の原画から画像を読み取るための画像読み取り手段
   と、 前記画像読み取り手段で読み取られた画像データに対し
   て細線化処理を施す細線化処理手段と、前記細線化処理手段により細線化された画像データに基
   づいて、刺繍形状を規定する形状規定データを作成する
   形状規定データ作成手段と、 前記形状規定データに対応する刺繍形状の端部を判断す
   る端部判断手段と、 前記端部判断手段により判断された前記形状規定データ
   に対応する刺繍形状の端部を、細線化処理される前の画
   像データに基づく図形に近づけるデータ補正手段と、 前記データ補正手段によって近づけられた図形に対応す
   る刺繍データを作成する刺繍データ作成手段とを備える
   ことを特徴とするミシンのための刺繍データ作成装置。
2. 【請求項２】 前記形状規定データ作成手段として、前
   記細線化処理手段によって細線化された画像データに基
   づき、刺繍形状を規定するベクトルデータを作成するベ
   クトルデータ作成手段と、前記ベクトルデータ作成手段
   によって作成されたベクトルデータに基づき、刺繍縫い
   目を形成する縫い目データ作成の基準となる刺繍ブロッ
   クデータを作成する刺繍ブロックデータ作成手段とを備
   え、 前記データ補正手段は、前記ベクトルデータ或いは前記
   刺繍ブロックデータを補正することを特徴とする請求項
   １記載のミシンのための刺繍データ作成装置。
3. 【請求項３】 前記データ補正手段は、前記ベクトルデ
   ータに基づくベクトルの端部に位置する前記ベクトルデ
   ータを伸張することを特徴とする請求項２記載のミシン
   のための刺繍データ作成装置。
4. 【請求項４】 前記データ補正手段は、前記ベクトルデ
   ータに基づくベクトルの端部に位置する前記ベクトルデ
   ータに補正ベクトルデータを付加することを特徴とする
   請求項２記載のミシンのための刺繍データ作成装置。
5. 【請求項５】 前記データ補正手段は、前記刺繍ブロッ
   クデータに基づく刺繍ブロックの端部を構成する前記刺
   繍ブロックデータを伸張することを特徴とする請求項２
   記載のミシンのための刺繍データ作成装置。
6. 【請求項６】 前記データ補正手段は、前記刺繍ブロッ
   クデータに基づく刺繍ブロックの端部を構成する前記刺
   繍ブロックデータに補正刺繍ブロックデータを付加する
   ことを特徴とする請求項２記載のミシンのための刺繍デ
   ータ作成装置。