JPH0723598Y2 - 自吸式ポンプ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、自吸式ポンプ装置に関し、特に、ベース上
に、内部に気水分離室を有するポンプヘッドを備えたポ
ンプ本体と、吸込及び吐出両フランジを備えた集合管を
それぞれ固定し、上記ポンプヘッドと集合管との間を吸
込側と吐出側の両パイプで接続するようにした自吸式ポ
ンプ装置に関する。

〔従来の技術〕 従来のポンプヘッドの内部に気水分離室を備えた自吸式
ポンプの一例は、第４図に示すように、周縁に多数の溝
を切った円板からなる羽根車１が、隔壁２によって吸込
口３と吐出口４に２分された開口を有するポンプケーシ
ング５内に、同心状に収納され、上記吸込口３と吐出口
４の上部にはヘッドカバー６が蓋するようにして装着さ
れ、該ヘッドカバー６の内部には、ポンプケーシング５
の吸込口３に接続される吸込流路７と、吐出口４に接続
される気水分離室８の上部に通じる吐出流路９とが形成
されている。また、気水分離室８に至る上記吐出口４
は、分流壁10により分割され、自吸運転中に気水混合液
を矢印イのように気水分離室８へ流入させる吐出流路4a
と、気水分離後の水を矢印ロのようにポンプケーシング
５内に戻す戻し通路4bを形成している。

一方、上記ポンプ本体は、第３図に示すように、ベース
11に据付けられ、該ベース11には、揚水管12と送水管13
とに両端がそれぞれ接続された集合管14が、断面Ｌ形フ
ランジ14aによって取付けられている。

上記集合管14は、図示しないが内部が中央部で仕切られ
ており、該仕切部の両側で吸込側管路と吐出側管路とが
それぞれ立上がるように形成されて、フランジ部14bを
形成している。そして、上記したポンプ本体の吸込流路
７と吐出流路９とは、それぞれ吸込接続パイプ15と吐出
接続パイプ16を介して上記集合管14の立上がりフランジ
部14bと接続されており、これら両接続パイプ15,16の上
下接続部には、それぞれフランジ17,18が介在されてい
る。

ポンプの始動時（自吸運転時）、ポンプケーシング５内
に貯溜された保有水（呼び水）は、羽根車１の回転によ
り、吐出通路4aより矢印イのように、気水分離室８へ吐
出され、ここで気水分離され、水が戻し通路4bより再び
ポンプケーシング５内へ戻され、ここで吸込流路７より
吸込まれた空気と混合され、気水混合液となって再び吐
出通路4aより気水分離室８へ放出され、水の一部とここ
で気水分離された空気とは、吐出流路９と吐出接続パイ
プ16を経て外部へ放出され、分離された残水（保有水）
は、前記のように戻し通路4bより再びポンプケーシング
５内へ戻され、このような作用を繰り返えしながら、自
吸作用が継続される。そして吸込側の空気が次第に排除
されて、やがて自吸作用が完了して正規の揚水作用が行
われる。

次いで、正規の運転時には、第３図の矢印に示すよう
に、揚水管12より水を吸込み、集合管14の立上がりフラ
ンジ部14b、吸込接続パイプ15、吸込流路７を経てポン
プケーシング５に吸込まれ、羽根車１によって昇圧さ
れ、吐出流路９、吐出接続パイプ16、集合管14を経て、
送水管13より外部へ送り出されるようになっている。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記した従来例では、ポンプヘッドカバー６の吸込流路
７及び吐出流路９と、ベース11に取付けられる集合管14
との間を、吸込接続パイプ15及び吐出接続パイプ16によ
ってそれぞれフランジ17b,18を介して接続されている。

ところが、上記のように吸込接続パイプ15と吐出接続パ
イプ16の各両端接続部には、それぞれフランジ17b,18を
介して取付けているので、該フランジの平行度や同芯度
等の加工精度を高くしないと確実に取付けることができ
ず、結果的にコストが上がるという問題点があった。

本考案は、ポンプ本体上部のポンプヘッドと、ベースに
取付けられ両端をそれぞれ揚水管及び送水管に接続され
る集合管との間をつなぐ吸込及び吐出の各接続パイプに
係る加工がし易く、且つ組立し易い自吸式ポンプ装置を
提供することを目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的を達成するために、本考案は、ベース上にポ
ンプ本体と、吸込側フランジ及び吐出側フランジをもつ
集合管とを固定し、内部に気水分離室を備えたポンプヘ
ッドと集合管とを吸込側及び吐出側両パイプで接続する
自吸式ポンプにおいて、上記吸込側接続パイプ及び吐出
側接続パイプの上下両端部分を、ポンプヘッド部及び集
合管にそれぞれ筒状面で嵌合接続させると共に、これら
の筒状嵌合面のシールにＯリングを用い、管軸方向の当
接位置を異にした長短２種類のストッパを、ポンプヘッ
ド及び集合管のそれぞれの嵌合面内部に、管軸方向及び
隣接方向にそれぞれ異ったストッパが対向するように交
互に配置して取付け、各接続パイプの一端が、短軸スト
ッパの内側端面に当接したとき、該接続パイプの他端が
長軸ストッパを嵌着させたポンプヘッド又は集合管の嵌
合面の内端面の内側に位置し、また接続パイプの一端が
長軸ストッパの内側端面に当接したとき、該接続パイプ
の他端が短軸ストッパを嵌着させたポンプヘッド又は集
合管の嵌合面の内端面の外側に位置するように構成し、
両接続パイプをそれぞれ長軸ストッパに当接させた状態
で両パイプを互いに固定するようにしたことを特徴とし
ている。

〔作用〕

本考案は上記のように構成されているので、ポンプ組立
時、先ず、短軸ストッパがそれぞれ取付けられたポンプ
ヘッドと集合管の両嵌合面に、吸込側接続パイプと吐出
側接続パイプを上記短軸ストッパに当接するまで予め挿
入し、次いで、ベースにポンプ本体及び集合管を固定し
たあと、上記吸込側及び吐出側両接続パイプを対向する
他方の長軸ストッパに向けて移動させて当接させた所定
位置で両接続パイプを一体に固定して取付ける。

この状態で、互いに固定された吸込側及び吐出側両パイ
プは、ポンプヘッド部及び集合管の嵌合部内において両
端が長軸ストッパに当接しているので、管軸方向に固定
されて当該ポンプ装置と一体に組立てられる。

上記のようにして組立てられた当該自吸式ポンプ装置の
運転時、ポンプ羽根車の回転により、自吸作用時には、
ポンプケーシング内に貯溜された保有水が気水分離室と
ポンプケーシング内を往復しながら、揚水管から吸込ん
だ空気を吐出側接続パイプ及び集合管を経て送水管から
外部へ放出し、同様に、正規の運転時には、揚水管から
集合管と吸込側接続パイプを経て吸込まれた水を、羽根
車で昇圧して吐出側接続パイプ及び集合管を経て送水管
へ送り出す。

この際、上記吸込側及び吐出側両接続パイプの上下両端
部は、ポンプヘッド及び集合管内に嵌合接続され、且つ
これらの嵌合部のシールにＯリングが用いられているの
で、これらの両接続パイプがポンプヘッド及び集合管内
で水平方向の僅かの変位を許容されながら、各接続部
は、流体密に結合される。

上記のようにして、従来装置に用いられたフランジを介
して締結される個所がないので、平行度、同芯度等の加
工精度も向上し、吸込側及び吐出側両接続パイプに係る
加工がし易く、且つ組立も容易である。

〔実施例〕

次に、本考案の実施例を図面と共に説明する。

第１図は本考案の一実施例を示す縦断面図、第２図は第
１図II-II線断面図である。

図において、上部のポンプヘッドカバー26には、吸込流
路７に連通する個所に、第２図に示すように断面楕円形
をした筒状の吸込側接続パイプ21の嵌合面26aが、また
吐出流路９に連通する個所には、吐出側接続パイプ22の
嵌合面26bがそれぞれ形成され、同様に、下方の集合管2
4にも両接続パイプ21,22用の嵌合面24aと24bが形成され
ている。そしてこれらの嵌合面に嵌合する両接続パイプ
21,22の断面楕円形の筒状周面には、Ｏリング27が取付
けられている。

上記ポンプヘッドカバー26の嵌合面26aには、軸方向の
当接位置を短くした（図で低くした）短軸ストッパ28が
形成され、また下方の集合管24の嵌合面24aには軸方向
の当接位置を長くした（図で高くした）長軸ストッパ29
が形成されている。そして上方の短軸ストッパ28の下端
面28aと、下方の長軸ストッパ29の上端面29aとの管軸方
向の距離Ａは、吸込側接続パイプ21の長さＢより長く、
また該接続パイプ21の長さＢは、ヘッドカバー26の嵌合
面26aの下端面26cと、下方の集合管24の嵌合面24aの上
端面24cとの距離Ｃより長く形成されている（つまりＡ
＞Ｂ＞Ｃ）。そして該接続パイプ21の上端面21aが、上
方の短軸ストッパ28の下端面28aに当接した状態（第１
図実線位置）で、下端面26bは集合管24の上端面24cの上
方位置にあり、また該接続パイプ21の下端面21bが下方
の長軸ストッパ29の上端面29aに当接した状態（第１図
の２点鎖線21A位置）で、該接続パイプ21の上下の両Ｏ
リング27,27が、ヘッドカバー26の下端面26cの外側と集
合管24の上端面24cの外側にそれぞれ位置するように設
定されている。

一方、吐出側接続パイプ22については、ヘッドカバー26
の嵌合面26bに長軸ストッパ39が形成され、集合管24の
嵌合面24bに短軸ストッパ38が形成されており、前記し
た吸込側接続パイプ21とは逆関係になっている点を除い
て前記とほぼ同様のことがいえるように構成されてい
る。上記のように、短軸ストッパ28,38と長軸ストッパ2
9,39とは、管軸方向（図で上下方向）と隣接方向（図で
左右方向）でそれぞれ交互に配置されている。

また、吸込側接続パイプ21が集合管24の長軸ストッパ29
の上端面29aに当接し且つ吐出側接続パイプ22がヘッド
カバー26の長軸ストッパ39の下端面39aに当接する図で
２点鎖線21A,22Aの位置で、両接続パイプ21,22はボルト
30によって固定されるようになっている。図中、21c,22
cはボルト30の貫通孔を穿設した支持体である。

次に、作用について説明すると、ポンプ組立時、先ず、
短軸ストッパ28が取付けられたヘッドカバー26の吸込側
嵌合面26aに、吸込側接続パイプ21を、その上端面21aが
短軸ストッパ28の下端面28aに当接するようにして予め
挿入し、同様に、短軸ストッパ38が取付けられた集合管
24の吐出側嵌合面24bに、吐出側接続パイプ22を、その
下端面22bが短軸ストッパ38の上端面38aに当接するよう
にして予め挿入する。

次いで、ベース11にポンプ本体及び集合管24を固定した
あと、上記吸込側接続パイプ21を、下方の集合管嵌合面
24aに形成された長軸ストッパ29の上端面29aに当接する
まで、つまり２点鎖線21Aの位置まで下降させ、一方、
吐出側接続パイプ22を、上方のヘッドカバー26の嵌合面
26bに形成された長軸ストッパ39の下端面39aに当接する
まで、つまり２点鎖線22Aの位置まで上昇させたあと、
両接続パイプ21,22をボルト30によって固定する。これ
によって当該自吸式ポンプ装置は組立を完了する。

上記のようにして組立てられた当該自吸式ポンプ装置の
運転時、ポンプ羽根車の回転により、自吸作用時には、
ポンプケーシング内に貯溜された保有水が気水分離室と
ポンプケーシング５（第３図）内を往復しながら、揚水
管12から吸込んだ空気を吐出側接続パイプ22（第１図）
及び集合管24を経て送水管12から外部へ放出し、同様
に、正規の運転時には、揚水管12から集合管24と、吸込
側接続パイプ21を経て吸込まれた水を、羽根車で昇圧し
て、吐出側接続パイプ22及び集合管24を経て送水管13へ
送り出す。

この際、上記吸込側及び吐出側両接続パイプ21,22の上
下両端部は、ヘッドカバー26及び集合管24内に嵌合接続
され、且つこれらの嵌合面26a,26b,24a,24bのシールに
Ｏリング27が用いられているので、吸込側及び吐出側両
接続パイプ21,22が、ポンプヘッドカバー26及び集合管2
4内で水平方向の僅かの変位を許容されながら、各接続
部は流体密に結合される。

次に、当該ポンプ装置を分解する際には、両接続パイプ
21,22を固定しているボルト30を外し、吸込側接続パイ
プ21を、短軸ストッパー28の下端面28aに当接する元の
位置まで上昇させ、一方、吐出側接続パイプ22を短軸ス
トッパ38の上端面38aに当接する元の位置まで下降させ
ることにより、ポンプ本体と集合管24をベース11より容
易に取外すことができる。

この実施例によれば、当該自吸式ポンプ装置には、従来
装置に用いられるフランジを介して締結される個所がな
く、且つ吸込、吐出両接続パイプとポンプヘッドカバー
26及び集合管24との嵌合面にＯリング27を使用している
ので、従来のフランジ形に比べ水平方向の変位が可能で
あるため、精度が粗の形状でも確実に組立て可能であ
り、また分解時にも、接続パイプ固定を解き、パイプを
軸方向へずらすだけで、ポンプ本体、集合管の着脱が容
易である。

上記した実施例において、吸込側及び吐出側両接続パイ
プ21,22の断面形状を楕円状に形成した構造について説
明したが、円形その他の筒形断面でもよいことは勿論で
ある。

また、短軸ストッパ28,39及び長軸ストッパ29,39は、図
示のように管状体のものを各嵌合面に嵌着して固定して
もよく、或いは該嵌合面にストッパを一体に形成しても
よい。

また、Ｏリング27は、弾性リング状体からなり液体圧に
よって変形してシール作用を強化するものであればよ
い、 〔考案の効果〕 以上説明したように、本考案によれば、吸込側及び吐出
側両接続パイプの上下両端部分を、ポンプヘッド部及び
集合管に嵌合接続させると共に、これらの嵌合面のシー
ルにＯリングを用い、ポンプヘッド及び集合管のそれぞ
れの嵌合面内部に長短２種類のストッパを、管軸方向及
び隣接方向に交互に配置して取付けるようにしたことに
より、ポンプヘッド及び集合管の接続パイプ取付けに関
し、従来例のフランジ形に比べ水平方向の変位が可能で
あるため、精度が粗の形状でも確実に組立可能であり、
また分解時にも、接続パイプ固定を解き、該接続パイプ
を軸方向へずらすだけで、ポンプ本体と集合管の着脱が
容易となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す自吸式ポンプ装置の要
部縦断面図、第２図は第１図II-II線断面図、第３図は
従来例の自吸式ポンプ装置の斜視図、第４図は同自吸式
ポンプ本体の内部を示す断面図である。 ５……ポンプケーシング、７……流入流路、８……気水
分離室、９……吐出流路、11……ベース、12……揚水
管、13……送水管、21……吸込側接続パイプ、22……吐
出側接続通路、24……集合管、26……ポンプヘッドカバ
ー、27……Ｏリング、28,38……短軸ストッパ、29,39…
…長軸ストッパ、30……ボルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ベース上にポンプ本体と、吸込側フランジ
   及び吐出側フランジをもつ集合管とを固定し、内部に気
   水分離室を備えたポンプヘッドと集合管とを吸込側及び
   吐出側両パイプで接続する自吸式ポンプにおいて、上記
   吸込側接続パイプ及び吐出側接続パイプの上下両端部分
   を、ポンプヘッド部及び集合管にそれぞれ筒状面で嵌合
   接続させると共に、これらの筒状嵌合面のシールにＯリ
   ングを用い、管軸方向の当接位置を異にした長短２種類
   のストッパを、ポンプヘッド及び集合管のそれぞれの嵌
   合面内部に、管軸方向及び隣接方向にそれぞれ異ったス
   トッパが対向するように交互に配置して取付け、各接続
   パイプの一端が、短軸ストッパの内側端面に当接したと
   き、該接続パイプの他端が長軸ストッパを嵌着させたポ
   ンプヘッド又は集合管の嵌合面の内端面の内側に位置
   し、また接続パイプの一端が長軸ストッパの内側端面に
   当接したとき、該接続パイプの他端が短軸ストッパを嵌
   着させたポンプヘッド又は集合管の嵌合面の内端面の外
   側に位置するように構成し、両接続パイプをそれぞれ長
   軸ストッパに当接させた状態で両パイプを互いに固定す
   るようにしたことを特徴とする自吸式ポンプ装置。