JPH0723521B2 - 振動減衰特性に優れた溶接構造用鋼 - Google Patents

振動減衰特性に優れた溶接構造用鋼

Info

Publication number
JPH0723521B2
JPH0723521B2 JP16265890A JP16265890A JPH0723521B2 JP H0723521 B2 JPH0723521 B2 JP H0723521B2 JP 16265890 A JP16265890 A JP 16265890A JP 16265890 A JP16265890 A JP 16265890A JP H0723521 B2 JPH0723521 B2 JP H0723521B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel
vibration damping
less
damping characteristics
content
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP16265890A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0456748A (ja
Inventor
虔一 天野
智也 小関
Original Assignee
川崎製鉄株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 川崎製鉄株式会社 filed Critical 川崎製鉄株式会社
Priority to JP16265890A priority Critical patent/JPH0723521B2/ja
Publication of JPH0456748A publication Critical patent/JPH0456748A/ja
Publication of JPH0723521B2 publication Critical patent/JPH0723521B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)
  • Arc Welding In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、溶接構造物の部材に用いて好適な溶接構造
用鋼に関し、特に振動や騒音を抑制し得る振動減衰特性
に優れる、引張強度が41kgf/mm2以上の溶接構造用鋼を
提案しようとするものである。
近年、鉄道橋梁や自動車用道路橋など大重量の通過車両
の移動に伴う激しい振動をはじめとして、特に居住地域
に近接して立地した工場や作業場などの施設ないしは機
械構造物に生じる振動ないしはそれらに伴われる騒音
が、社会問題とされる風潮が著しい。
このための対策としては、吸音材料や遮音材料あるいは
振動絶縁材料を使用したり、また構造物の剛性を増大さ
せて共鳴を回避したりする種々な手法が講ぜられている
けれども、実際にはその騒音源となる振動は複雑で、そ
の原因を排除することは一般には困難である。
そこで構造部材としての材料自体に振動減衰特性いわゆ
る制振性を付与して、それによる構造物の振動、騒音の
抜本的な改善を図ろうとする方法が注目されている。
(従来の技術) 上記の制振性を付与した鋼材について、既にいくつかの
提案が行われている。
例えば特公昭60-26813号公報には、低降伏点でかつ粗大
粒とする防振鋼材の製造方法が提案されている。
しかしこの鋼材は、低強度でありまたじん性が劣るため
に構造部材としては使用できない。
また特開昭52-144317号公報には、3〜40wt%(以下単
に%で示す)CrでさらにTi、Alを添加した防振鋼が、さ
らに特開昭57-181360号公報には、1.5〜9%Alを含有す
る制振厚鋼板が、そして特公昭57-22981号公報には、4
〜7%Cr、3〜5%Alを含有する制振性を有する鋼材が
それぞれ開示されている。
しかしいずれの鋼材も溶接性に難点があったり、じん性
の改善を必要としたり、また制振性が十分でなかった
り、合金成分が多量に添加されて高価であるという問題
を残していた。
以上のべたほか特開昭53-1621号公報には、粒界酸化に
より振動減衰特性を付与した18-8ステンレス鋼が提案さ
れているが、溶接性に問題がありまた大量生産には適さ
ないという問題があった。
(発明が解決しようとする課題) 量産が可能であり、高い制振性を有し、しかも溶接構造
用鋼材として必要な溶接性を具備してしかもじん性に優
れる、比較的安価な、振動減衰特性に優れた引張強度が
41kgf/mm2以上の溶接構造用鋼を提案することがこの発
明の目的である。
(課題を解決するための手段) さて強磁性体の鋼では、磁気スピンが揃うのに対応して
結晶格子には歪(磁歪)が生じていて、主にこの影響を
受けて内部は磁区に分割されている。
かような鋼に外力(振動)が加わると、磁歪との相互作
用によって磁区壁が移動する。すると強磁性体内部に生
じるこの磁区壁の移動すなわち磁化の変化を打ち消すよ
うに渦電流が生じ、この渦電流は、逆に磁歪を通じて歪
を引き起こす。この歪は、外力に対して位相が遅れるの
で、いわゆる磁気−力学的ヒステリシス型の内部摩擦に
より振動減衰特性があらわれる。これについては、例え
ば純鉄が制振性に優れることについて知られているとお
りである。
しかし純鉄は、強度が低く、またじん性の面からも構造
用部材としての適用は不可能である。
これに対し発明者らは先に、Mn量を0.08%以下に低減し
たほぼ純鉄の組成になる鋼にCuを添加することで、純鉄
の高い振動減衰能を維持しつつ、しかも溶接構造用鋼材
としての強度とじん性とをも兼ね備える鋼板を提案した
(特願平1-246575号明細書参照)。
発明者は、上記の鋼の振動減衰特性を更に向上させるべ
く種々検討を重ねた結果、上記の鋼にAlを1%以上添加
するのが有効であること、さらにTi、Nb及びVは、それ
ぞれ炭化物としてCuと同様に制振性を低下させることな
く高強度化に寄与することを見出し、この発明を完成さ
せた。
すなわちこの発明は、C:0.15%以下、Si:0.1%以下、M
n:0.4%以下、Al:1.0〜7.0%及びN:0.008%以下を含
み、かつTi:0.005〜0.2%、Nb:0.005〜0.2%及びV:0.00
5〜0.2%のうち1種又は2種以上を含有し、さらにC
を、次式 α≦C≦α+0.02(%)、ここで を満足する範囲で含有し、残部はFe及び不可避的不純物
よりなる振動減衰特性に優れた溶接構造用鋼(第1発
明)及び この第1発明の鋼にCuを0.05〜1.5%加えた、C:0.15%
以下、Si:0.1%以下、Mn:0.4%以下、Cu:0.05〜1.5%、
Al:1.0〜7.0%及びN:0.008%以下を含み、かつTi:0.005
〜0.2%、Nb:0.005〜0.2%及びV:0.005〜0.2%のうち1
種又は2種以上を含有し、さらにCを、次式 α≦C≦α+0.02(%)、ここで を満足する範囲で含有し、残部はFe及び不可避的不純物
よりなる振動減衰特性に優れた溶接構造用鋼(第2発
明)及び この第2発明の鋼にNiを0.05〜1.5%加えた、C:0.15%
以下、Si:0.1%以下、Mn:0.4%以下、Cu:0.05〜1.5%、
Ni:0.05〜1.5%、Al:1.0〜7.0%及びN:0.008%以下を含
み、かつTi:0.005〜0.2%、Nb:0.005〜0.2%及びV:0.00
5〜0.2%のうち1種又は2種以上を含有し、さらにC
を、次式 α≦C≦α+0.02(%)、ここで を満足する範囲で含有し、残部はFe及び不可避的不純物
よりなる振動減衰特性に優れた溶接構造用鋼(第3発
明)である。
(作 用) この発明の振動減衰特性に優れた溶接構造用鋼におい
て、成分組成を上記の範囲に限定した理由について説明
する。
C:0.15%以下、かつα≦C≦α+0.02(%)、 ここで Cは、その量が固溶した状態で0.02%を超えると制振性
を著しく劣化させる。またこの発明ではTi、Nb及びVの
炭化物の析出によって鋼を強化することに特徴がある。
したがって炭化物としてのC量すなわちαを確保した上
で、固溶C量を0.02%以下となるようにC量を制限する
ことが必要である。Cの上限の具体的数値は、Ti、Nb及
びVの各上限値から算出されるα上限値に、固溶Cとし
ての上限値すなわち0.02%を加えた値つまり0.15%であ
る。一方下限は、炭化物による析出強化に必要な量とし
てαである。
Si:0.1%以下 Siは、0.1%を超えて含有させると、制振性を劣化させ
るので、0.1%を上限とした。
Mn:0.4%以下 Mnは、制振性に悪影響を与えるので、その含有量は低い
ほど好ましく、0.4%を超えて含有させると制振性を著
しく劣化させるので0.4%をその上限とした。
Al:1.0〜7.0% Alは、Mnを低減し、ほぼ純鉄の組成になる鋼において振
動減衰特性を向上させるがその含有量が1.0%に満たな
いとその効果がなく、一方7.0%を超える含有では、溶
接部のじん性が劣化するのでAl含有量は1.0〜7.0%の範
囲とした。
N:0.008%以下 Nは、その含有量が低いほうが母材及び溶接部のじん性
の面から好ましく、許容できる上限は、0.008%であ
る。
Ti:0.005〜0.2%、Nb:0.005〜0.2%及びV:0.005〜0.2% Ti、Nb及びVは、いずれも炭化物として析出し、前述の
ように制振性を劣化させることなく高強度化に寄与する
ことから同効成分であり、これらの1種又は2種以上を
含有させる。それぞれ0.005%に満たないと、この効果
がなく、またそれぞれ0.2%を超えて含有させると鋼の
じん性を劣化させるので上限は0.2%である。
この発明の鋼は、第2発明において、以上の成分に加え
てさらにCuを0.05〜1.5%含有させることで、さらなる
高強度が可能となる。
Cuは、時効処理により微細なε‐Cuとして析出させて、
鋼を強化させる成分であり、Mn含有量を低下させた鋼に
Cuを含有させることにより、制振性を損なうことなしに
強度とじん性とを両立させることができる。Cu含有量が
0.05%に満たないとその効果に乏しく、一方1.5%を超
えて含有させると熱間割れを生じるおそれがあるので0.
05〜1.5%の範囲とした。
この発明の鋼は、第3発明において、第2発明の成分に
加えてさらにNiを0.05〜1.5%含有させる。
Niは、Cuの添加に由来する熱間割れの傾向を制振性を損
なうことなしに抑えることができる。Ni量が0.05%に満
たないとその効果に乏しく、一方1.5%を超えると経済
的でないという不都合が生じるのでNi含有量は、0.05〜
1.5%の範囲とした。
上記の成分のほか、この発明では不純物成分としてP、
Sをそれぞれ0.01%、0.005%まで許容できる。
Pは、その含有量の増加とともに制振性を劣化させる
が、0.01%までは許容できるので上限を0.01%とする。
Sは、P同様、制振性に好ましくない成分であり、その
含有量が0.005%を超えると制振性が特に劣化する。し
たがってS含有量は0.005%を上限とする。
この発明の材料は、転炉、電気炉など通常の溶製、次い
で連続鋳造、造塊等の鋳造、さらに圧延により厚鋼板と
することができる。また厚鋼板に限らず薄鋼板、形鋼、
棒鋼、線材などにも用いることができる。なおCuを含有
させる場合には、Cuの析出のために通常の焼きもどしを
施すのが好ましい。
(実施例) 表1に示す種々の成分組成になる鋼を転炉で溶製した
後、鋳造し、さらに通常の熱間圧延にて厚さ25mmの厚鋼
板とした。Cuを含有した鋼は更に析出時効処理として57
5℃で1hの熱処理を行った。
表1において、記号A〜Zはこの発明の鋼の成分組成に
なる鋼板であり、A〜F、I〜N、P〜U及びZは第1
発明、G、O、V及びWは第2発明、H、X及びYは第
3発明の鋼板である。
一方記号AA〜FFは比較例であり、AAはAlの含有量が少な
いもの、BBはTi、Nb又はVの何れも含まないもの、CCは
Mn量が高いもの、DDはN量が高いもの、EEはC量が高い
もの、FFはSi量が高いものである。
また記号GGに従来例としてSS41鋼を示した。
さてこれらの鋼板について、母材の引張特性、衝撃特
性、溶接部のじん性及び内部摩擦Q-1を測定し、得られ
た結果を表2に示す。なお溶接部のじん性については、
入熱量10kJ/mmのサブマージアーク溶接を行って、溶接
継手ボンド部について測定したものである。
同表から明らかなように、この発明の成分組成範囲にな
る鋼A〜Zは、いずれも溶接構造用鋼板として要求され
る引張強度41kgf/mm2以上を満足し、じん性も0℃の吸
収エネルギー5kgf・m以上を母材、溶接部共に満足して
いる。また従来例GGのSS41鋼に比較して格段に優れた内
部摩擦値を示し、制振性が向上している。
これに対して、この発明の成分組成範囲を満足しない比
較例AAは内部摩擦値が、BBは強度が、CCは内部摩擦値
が、DDは溶接部じん性が、EE及びFFは内部摩擦値がそれ
ぞれ劣り、この発明の目的を達成することができなかっ
た。
(発明の効果) この発明の鋼は、優れた制振性と、構造用材料として十
分なじん性及び引張強度が41kgf/mm2以上の強度を有
し、しかも溶接可能で溶接部じん性も優れているという
工業上有用な特性を有する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.15wt%以下、 Si:0.1wt%以下、 Mn:0.4wt%以下、 Al:1.0〜7.0wt%及び N:0.008wt%以下 を含み、かつ Ti:0.005〜0.2wt%、 Nb:0.005〜0.2wt%及び V:0.005〜0.2wt% のうち1種又は2種以上を含有し、さらにCを、次式 α≦C≦α+0.02(wt%)、ここで を満足する範囲で含有し、残部はFe及び不可避的不純物
    よりなる振動減衰特性に優れた溶接構造用鋼。
  2. 【請求項2】C:0.15wt%以下、 Si:0.1wt%以下、 Mn:0.4wt%以下、 Cu:0.05〜1.5wt%、 Al:1.0〜7.0wt%及び N:0.008wt%以下 を含み、かつ Ti:0.005〜0.2wt%、 Nb:0.005〜0.2wt%及び V:0.005〜0.2wt% のうち1種又は2種以上を含有し、さらにCを、次式 α≦C≦α+0.02(wt%)、ここで を満足する範囲で含有し、残部はFe及び不可避的不純物
    よりなる振動減衰特性に優れた溶接構造用鋼。
  3. 【請求項3】C:0.15wt%以下、 Si:0.1wt%以下、 Mn:0.4wt%以下、 Cu:0.05〜1.5wt%、 Ni:0.05〜1.5wt%、 Al:1.0〜7.0wt%及び N:0.008wt%以下 を含み、かつ Ti:0.005〜0.2wt%、 Nb:0.005〜0.2wt%及び V:0.005〜0.2wt% のうち1種又は2種以上を含有し、さらにCを、次式 α≦C≦α+0.02(wt%)、ここで を満足する範囲で含有し、残部はFe及び不可避的不純物
    よりなる振動減衰特性に優れた溶接構造用鋼。
JP16265890A 1990-06-22 1990-06-22 振動減衰特性に優れた溶接構造用鋼 Expired - Lifetime JPH0723521B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16265890A JPH0723521B2 (ja) 1990-06-22 1990-06-22 振動減衰特性に優れた溶接構造用鋼

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16265890A JPH0723521B2 (ja) 1990-06-22 1990-06-22 振動減衰特性に優れた溶接構造用鋼

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0456748A JPH0456748A (ja) 1992-02-24
JPH0723521B2 true JPH0723521B2 (ja) 1995-03-15

Family

ID=15758819

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP16265890A Expired - Lifetime JPH0723521B2 (ja) 1990-06-22 1990-06-22 振動減衰特性に優れた溶接構造用鋼

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0723521B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1995336A1 (fr) 2007-05-16 2008-11-26 ArcelorMittal France Acier à faible densité présentant une bonne aptitude à l'emboutissage
CN107338401B (zh) * 2017-07-07 2018-11-27 北京科技大学 一种含Nb复合型低合金阻尼钢及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0456748A (ja) 1992-02-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3858770B2 (ja) 高張力熱延鋼板およびその製造方法
JP2947913B2 (ja) 高温蒸気タービン用ロータシャフト及びその製造法
JP2617015B2 (ja) 振動減衰特性に優れた溶接構造用鋼
JP3386514B2 (ja) 制振合金薄鋼板及びその製造方法
JP2968430B2 (ja) 高強度低熱膨張合金
JPH0723521B2 (ja) 振動減衰特性に優れた溶接構造用鋼
JPS61238942A (ja) 耐熱合金
JP3464567B2 (ja) 溶接熱影響部靱性の優れた溶接構造用鋼材
JP2617000B2 (ja) 振動減衰特性に優れた溶接構造用鋼板
JPH04143215A (ja) 高振動減衰能を有する溶接構造用鋼の製造方法
US5470528A (en) Low decarburization spring steel
JPH07316738A (ja) 振動減衰特性に優れた溶接構造用鋼
KR940004034B1 (ko) 진동감쇠특성이 우수한 용접구조용강
JPH0797624A (ja) 高振動減衰能を有する機械構造用鋼の製造方法
JPH0892635A (ja) 高振動減衰能を有する溶接構造用鋼の製造方法
JPH0790498A (ja) 振動減衰能の優れた鉄基制振合金
JPH07138703A (ja) 高振動減衰能を有する機械構造用鋼およびその製造方法
JPH0726148B2 (ja) 高振動減衰能を有する溶接構造用鋼の製造方法
JPH0849039A (ja) 制振性に優れるFe−Cu−Al鋼及びその製造方法
JPH07268458A (ja) 高振動減衰能を有し、靭性の優れた機械構造用鋼の製造方法
JPH07126808A (ja) 振動減衰特性に優れる機械構造用鋼
JPH07268548A (ja) 振動減衰特性に優れたクラッド鋼板
JP2801635B2 (ja) 高振動減衰能を有する高じん性溶接構造用鋼材
JPS5930783B2 (ja) 吸振合金
JPS6213332A (ja) 成形性のすぐれた高疲労限度比クラッド鋼板