JPH07234198A - ガスセンサおよびその製造方法 - Google Patents

ガスセンサおよびその製造方法

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JPH07234198A JP6026424A JP2642494A JPH07234198A JP H07234198 A JPH07234198 A JP H07234198A JP 6026424 A JP6026424 A JP 6026424A JP 2642494 A JP2642494 A JP 2642494A JP H07234198 A JPH07234198 A JP H07234198A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】特性の異なるガス検出素子を複数有するガスセ
ンサを、少種類のセンサ材料および触媒物質を用いて、
簡単な製造工程で実現する。 【構成】複数の同一金属酸化物半導体ガスセンサ112
〜152上に、担持面積を変えて触媒物質を積層させた
触媒層113〜133、134〜154を形成し、特性
の異なるガス検出素子110〜150を複数形成する。
担持面積を変えるだけなので、センサ材料および各触媒
物質に付1度の製膜工程でよく、ガス検出素子の数だけ
製膜工程を行う必要がない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、単独あるいは混合のガ
スの成分を検知するガスセンサに関し、特に、多種類の
ガスを同時的に検知でき、さらに製造工程が簡単なガス
センサおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】様々な産業分野や家庭などにおいて、可
燃性ガス・有毒ガスの漏れ検出、自動制御、環境計測な
どのために、ガスや臭いを選択性よく検出できるガスセ
ンサの要求が高まっている。そして従来、半導体素子の
電気抵抗がガスとの接触により変わることを利用した半
導体ガスセンサが、素子の構造が単純である上に、信号
増幅のための特別の回路も必要としないため、使い易く
安価なガスセンサとして広く用いられている。その動作
原理は、SnO2 (酸化スズ)、ZnO(酸化亜鉛)な
どのn型半導体の活性部に水素や炭化水素などの電子供
与性の還元気体が吸着した場合には、電子密度が増加し
て導電率が増大し、また酸素などの電子吸引性気体が吸
着した場合には、電子密度が減少し導電率が低下する現
象を利用するものである。さらに、前記半導体にPt
(白金)、Pd(パナジウム)などの貴金属を触媒とし
て添加し、被検ガスを活性化し、ガス検出感度を向上あ
るいは制御する方法もしばしば用いられている。
【0003】しかし、前記半導体ガスセンサにおいて、
特定のガスに対してのみ感度を有するセンサ材料はほと
んどなく、1つのセンサ材料は、特性は異なるものの種
々のガスに対して導電率の変化を示すものが普通であ
る。したがって、特定のガスを選択的に検出するガスセ
ンサを構成する場合には、その検出対象のガス以外のガ
スに対するそのガスセンサの反応を考慮し、対策を講ず
る必要があり、それがガスセンサの性能、特に選択性を
高めるための技術的課題となっている。
【0004】前記課題を解決し、選択性よくガスの識別
を可能とするガス識別装置として、複数の特性の異なる
ガス検出素子を用いたガス検出装置が提案されている。
そのようなガス検出装置としては、たとえば、特公平4
─39029号に開示されたガス検出装置がある。この
ガス検出装置は、LaNiO3 (ニッケル酸ランタ
ン)、WO3 (タングステン)、SnO2 をガス検知材
料とし3種類のガス検出素子を形成する。そして、それ
ら複数のガス検出素子の出力値の組合せを1つの検出パ
ターンとし、予め成分ガスの種類および濃度の組合せを
想定して記憶しておいた標準パターンと前記検出パター
ンとを比較し、最も類似した標準パターンから被検ガス
の種類を識別するようにしたものである。なお、前記ガ
ス検知材料に、さらに、PdあるいはPtの貴金属触媒
を添加し6種類のガス検出素子を形成する方法も示され
ている。また、特開平4─127048号においては、
複数のガス種を高い信頼性で識別するセンサとして、S
nO3 系半導体薄膜上にPt−Al2 −O3 、Rh−A
2 3 、Cu−W−Al2 3 、Cu−Al2 3
触媒層として形成した4種類のガス検知素子を用いるガ
ス検知素子も開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記従来の方
法により、特性の異なる複数のガス検出素子を設けるた
めには、多数のセンサ材料や触媒物質が必要となり、セ
ンサ材料のコストが高くなるという問題があった。たと
えば、特公平4─39029号の方法においては3種類
の検知素子を形成するために3種類、6種類の検知素子
を形成するために5種類の材料を必要とする。また、特
開平4─127048号の方法においては4種類の検知
素子を形成するために5種類の材料を必要としている。
検知素子の数が多くなり、センサ材料と触媒物質を組み
合わせて検知素子の種類を増やせれば少ない材料で済む
ものの、一般には、検知素子の数とそれに加える数種類
の触媒物質の数だけ材料が必要となる。
【0006】また、前記従来の方法では、センサ材料と
触媒物質にさらに結晶化ガラスやバインダガラスなどを
加えて混練しぺースト状にし、このペーストを基板上に
厚膜印刷や蒸着、スパッタリングなどの製膜手段により
堆積させる。たとえば、同一基板上に5種類の異なるガ
ス検出素子を形成する場合には、5種類のペーストを作
成し、5回の製膜工程により形成する。したがって、こ
のような方法で同一基板上に複数の特性の異なるガス検
出素子を形成するのは、製造工程が複雑になり、製造に
手間がかかるという問題もあった。このように、同一基
板上に特性の異なるセンサ材料を厚膜や薄膜状に形成す
るには、通常、形成しようとするセンサの数程度のセン
サ材料と製膜工程が必要となるため、材料コスト、製造
コストの低減が困難であるという問題があった。
【0007】したがって、本発明の目的は、少種類のセ
ンサ材料および触媒物質を用い、同一基板上に特性の異
なるガス検出素子を複数形成したガスセンサを提供する
ことにある。また、本発明の目的は、簡単な製造工程
で、同一基板上に特性の異なるガス検出素子を複数形成
する、ガスセンサの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記問題を解決するため
に、本願発明者は、ガス検出感度の制御・増感用に用い
られる触媒の添加量により、その検出素子の複数の被検
ガスに対する相対検出感度が変化することに着目した。
この現象は、従来より知られているものの、ただ単にガ
ス検出感度を向上させることを期待して用いられている
場合がほとんどであった。そこで本願発明者は、この添
加量の違いによる相対検出感度の違いを用いて、少種類
のセンサ材料で、多種類の特性の異なるガス検出素子を
構成することに成功した。さらに、簡単な工程で、前記
添加量を異にし特性の異なるガス検出素子を作成する方
法を発明した。
【0009】つまり、本発明のガスセンサは、基板上に
同一金属酸化物半導体ガス検出素子を複数形成し、触媒
物質を前記複数のガス検出素子各々に異なった担持面積
となるように積層することにより、前記複数のガス検出
素子が互いに異なる特性を示すようにしたものである。
また、本発明のガスセンサの製造方法は、同一基板上に
金属酸化物半導体ガス検出素子を複数形成し、その金属
酸化物半導体ガス検出素子各々に対応して所定の面積で
触媒物質を堆積させることにより、特性の異なる複数の
ガス検出素子を製造するものである。好適には、本発明
のガスセンサの製造方法は、他の触媒物質についても同
様に、前記金属酸化物半導体ガス検出素子各々に対応し
た所定の面積で堆積させ、さらに特性の異なる複数のガ
ス検出素子を製造するものである。
【0010】
【作用】本発明のガスセンサは、基板上に同一物質の金
属酸化物半導体のガス検出素子を複数形成し、触媒物質
を積層する時の担持面積を前記各ガス検出素子ごとに変
えることにより、前記複数のガス検出素子の特性を互い
に異なるものにする。したがって、センサ材料として
は、ベースとなる金属酸化物半導体と、触媒としての1
また数種類の物質のみでよく、少種類の材料で、多数の
特性の異なるガス検出素子を形成できる。
【0011】また、本発明のガスセンサの製造方法にお
いては、まず最初の製膜工程により、同一基板上に、同
一金属酸化物半導体を用いたガス検出素子を複数個形成
する。次に、たとえば、前記各ガス検出素子に対応して
所定の大きさの開口部を有するマスクを用意し、そのマ
スクを介して触媒物質を積層させる。その結果、半導体
ガス検出素子上の前記マスクの開口部にのみ、触媒物質
が堆積することになり、一度の製膜工程により、前記複
数のガス検出素子各々に、異なる担持面積で触媒物質を
堆積できる。その結果、前記各担持面積に応じて異なる
特性を有するガス検出素子が形成できる。このように、
ガス検出素子の数ではなく、使用するセンサ材料の数だ
け製膜工程を繰り返せばよいため、前記特性の異なるガ
ス検出素子を複数有するガスセンサを簡単に製造でき
る。
【0012】
【実施例】本発明のガスセンサの一実施例を図1〜図6
を参照して説明する。図1は、本実施例のガスセンサ1
00の構成を示す概略図である。ガスセンサ100には
第1〜第5の5つのガス検出素子110〜150が設け
られている。第1のガス検出素子110は電極111と
ガス検出部よりなる。ガス検出部は、SnO2 (酸化ス
ズ)層の上にPd(パラジウム)層113が積層された
構造になっている。第2〜第5のガス検出素子120〜
150は、第1のガス検出素子110と同様の構造であ
るが、前記ガス検出部の構成が多少異なる。第1のガス
検出素子110においては、前記Pd層113は、Sn
2 層全面にわたって積層されていたが、第2のガス検
出素子120のガス検出部ではSnO2 層122の50
%の面積についてのみ、Pd層123が積層されてい
る。
【0013】さらに、第3のガス検出素子130におい
ては、SnO2 層132の30%の面積についてのみP
d層133が積層されており、さらに、SnO2 層13
2の30%の面積についてはLa23 (酸化ランタン)
層134が積層されている。第4のガス検出素子140
においては、SnO2 層142の50%の面積について
La23 層144が積層されており、第5のガス検出素
子150においては、SnO2 層全面にわたってLa2
3 層154が積層されている。
【0014】次に、図2〜図5を参照してガスセンサ1
00の製造方法を説明する。図2〜図5は本実施例のガ
スセンサ100の構造および製造方法を説明する図であ
り、図2はヒータ形成面の説明をする図、図3は金属酸
化物半導体を積層したガス検出素子を示す図、図4は第
1の触媒の積層方法を説明する図、図5は第2の触媒の
積層方法を説明する図である。まず、平坦で厚さ0.1
25mmのアルミナ基板101の裏面にプラチナ(Pt)厚膜
よりなるヒータ102を形成する。このPt(白金)厚
膜の形成は、厚膜印刷など任意の製膜方法でよい。次
に、アルミナ基板101の表面に、スクリーン印刷によ
り、SnO2 層112〜152を5個同時に形成する。
各SnO2 層112〜152の両端には電極111〜1
51を設ける。
【0015】次に、各SnO2 層112〜152に対応
して、各々所定の大きさの開口部を有するマスク200
を、図4に示すようにアルミナ基板101上に重ね、そ
の上からPdを約0.5μmの厚さに真空蒸着する。本
実施例においては、マスク200には、第1〜第3のガ
ス検出素子110〜130のSnO2 層112〜132
に対応して、開口部210〜230が設けてある。開口
部210はSnO2 層112の領域に等しい形状の開口
部である。開口部220はその領域がSnO2層122
の面積の50%を包含する開口部である。開口部230
はその領域がSnO2 層132の面積の30%を包含す
る開口部である。
【0016】前記真空蒸着を行うと、アルミナ基板10
1上には、図4に示すように、各々前記SnO2 層11
2〜132を各々100%、50%、30%覆うPd層
113〜133が形成される。なお、マスク200には
第4および第5のガス検出素子140,150のSnO
2 層142、152に対応しては、開口部は設けられて
おらず、したがって、それらSnO2 層142、152
上にはPd層は形成されない。
【0017】次に、各SnO2 層112〜152に対応
して、各々所定の大きさの開口部を有するマスク300
を図5に示すようにアルミナ基板101上に重ね、その
上からLa23 を約0.5μmの厚さに真空蒸着する。
本実施例においては、マスク300には、第3〜第5の
ガス検出素子130〜150のSnO2 層132〜15
2に対応して、開口部310〜330が設けてある。開
口部310はその領域がSnO2 層132の面積の30
%を包含する開口部である。開口部320はその領域が
SnO2 層142の面積の50%を包含する開口部であ
る。開口部330はSnO2 層152の領域に等しい形
状の開口部である。
【0018】前記真空蒸着を行うと、アルミナ基板10
1上には、図5に示すように、各々前記SnO2 層13
2〜152を各々30%、50%、100%覆うLa2
3 層134〜154が形成される。なお、マスク300
には第1および第2のガス検出素子110、120のS
nO2 層112、122に対応しては、マスク300に
開口部は設けられておらず、したがって、それらSnO
2 層112、122上にはLa23 層は形成されない。
そして、このアルミナ基板101を500度の大気中に
1時間放置することにより、酸化処理を行う。以上の工
程により、図1に示すような本実施例のガスセンサ10
0が形成できる。
【0019】本実施例のガスセンサ100の被検ガスに
対する出力特性を図6を参照して説明する。図6は、本
実施例のガスセンサ100の各被検ガスに対する検出パ
ターンを示す図である。図6(A)はイソブタンに対す
る検出パターンを示す図、(B)はメタンに対する検出
パターンを示す図、(C)はエタノールに対する検出パ
ターンを示す図である。図6において、縦軸は各センサ
素子の感度を示す。図6(A)〜(C)に示すように、
第1〜第5のガス検出素子110〜150は、SnO2
を基本センサ材料として、PdおよびLa23 の、いず
れかまたは両方の触媒を担持させて作られたガス検出素
子であるが、イソブタン、メタン、エタノールの各被検
ガスに対して異なる感度を示している。すなわち、触媒
の担持面積を変えることにより、前記3つの材料を用い
て同一基板上に5つの異なる特性を有するガス検出素子
を構成することができた。また、これら5つのガス検出
素子の出力を1つの検出パターンとした時には、これら
図6(A)〜(C)に示すパターンの差異は明らかであ
り、以降、パターン認識の手法によりこれらのガスの識
別は容易に行われる。
【0020】また、前述したような、ガスセンサ100
においては、SnO2 、Pd、La23 の3種類の材料
について各々1回、製膜工程を実施するのみで、同一基
板上に5種類のガス検出素子を形成することができた。
したがって、従来の少なくともガスセンサの種類の数だ
け製膜工程を行わなければならない方法に比べて簡単に
製造することができる。
【0021】なお、前記金属酸化物半導体として、本実
施例ではSnO2 を用いたが、これに限られるものでは
なく、たとえば、ZnO(酸化亜鉛)、WO3 (酸化タ
ングステン)、V2 5 (酸化バナジウム)、In23
(酸化インジウム)、TiO 2 (二酸化チタン)、Cr2
3 (酸化クロム)、CdO(酸化カドミウム)、Fe
OOH(水酸化鉄)などでもよく、検出対象とするガス
の種類に応じて任意に選択することが可能である。ま
た、金属酸化物半導体に担持させる触媒物質として、本
実施例においてはPd、および、La23 を用いたがこ
れに限られるものではない。一般に、触媒としては貴金
属や金属酸化物が知られており、これも検出対象とする
ガスの種類に応じて任意に選択することが可能である。
【0022】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明のガ
スセンサは、基板上に形成した複数の同一金属酸化物ガ
ス検出素子上に、触媒物質を異なった担持面積となるよ
うに積層することにより、前記複数のガス検出素子が互
いに異なる特性を示すようにした。したがって、少種類
のセンサ材料および触媒物質で、同一基板上に特性の異
なるガス検出素子を複数形成したガスセンサを実現でき
た。
【0023】また、本発明のガスセンサの製造方法は、
同一基板上に金属酸化物ガス検出素子を複数形成し、そ
の金属酸化物ガス検出素子各々に対応して所定の面積の
開口部を有するマスクを用意し、そのマスクを介して触
媒物質を堆積させることにより、触媒物質を前記複数の
金属酸化物ガス検出素子各々に所定の担持面積となるよ
うに積層し、複数のガス検出素子の特性を変えた。した
がって、少ない種類のセンサ材料および触媒物質を用
い、簡単な製造工程で、特性の異なる複数のガス検出素
子を同一基板上に形成することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例のガスセンサの構成を示す概略図であ
る。
【図2】ヒータ形成面の説明をする図である。
【図3】金属酸化物半導体を積層したガス検出素子を示
す図である。
【図4】第1の触媒の積層方法を説明する図である。
【図5】第2の触媒の積層方法を説明する図である。
【図6】本実施例のガスセンサの各被検ガスに対する検
出パターンを示す図であり、(A)はイソブタンに対す
る検出パターンを示す図、(B)はメタンに対する検出
パターンを示す図、(C)はエタノールに対する検出パ
ターンを示す図である。
【符号の説明】
100 ガスセンサ 110,120,130,140,150 ガス検出素
子 111,121,131,141,151 電極 112,122,132,142,152 酸化物半導
体ガス検出素子 113,123,133 第1の触媒層 134,144,154 第2の触媒層 200,300 マスク 210,220,230,310,320,330
開口部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の金属酸化物半導体検出素子(11
    2,122,132,142,152)と、 これら金属酸化物半導体検出素子の任意のものの上に検
    出特性が異なるように担持面積を異ならせて触媒物質を
    形成した少なくとも1つの触媒層(113,123,1
    33,134,144,154)とを有するガスセン
    サ。
  2. 【請求項2】同一基板上に複数の金属酸化物半導体検出
    素子(112,122,132,142,152)を形
    成し、 前記金属酸化物半導体検出素子上に、同種触媒
    について同時に異なる担持面積を有した触媒層(11
    3,123,133)を形成するガスセンサの製造方
    法。
  3. 【請求項3】他の同種触媒について、前記金属酸化物半
    導体検出素子上に、同時に異なる担持面積で触媒層(1
    34,144,154)をさらに形成する請求項2記載
    のガスセンサの製造方法。
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