JPH07233293A - エチレン‐酢酸ビニル系共重合体ケン化物溶液及びその用途 - Google Patents

エチレン‐酢酸ビニル系共重合体ケン化物溶液及びその用途

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JPH07233293A
JPH07233293A JP6052866A JP5286694A JPH07233293A JP H07233293 A JPH07233293 A JP H07233293A JP 6052866 A JP6052866 A JP 6052866A JP 5286694 A JP5286694 A JP 5286694A JP H07233293 A JPH07233293 A JP H07233293A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 長時間での放置安定性、塗膜の透明性及びガ
スバリヤー性に優れ、更に各種基材への接着性が非常に
向上したエチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物溶液
及び該溶液をコーティングした積層体を提供すること。 【構成】 特定の融点(Tm)をもつエチレン−酢酸ビ
ニル系共重合体ケン化物、ホウ酸、及び水と炭素数1〜
4の低級アルコールの混合溶媒からなるエチレン−酢酸
ビニル系共重合体ケン化物溶液及び該EVOH溶液をコ
ーティングした積層体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エチレン−酢酸ビニル
系共重合体ケン化物(以下、EVOHと略記する。)溶
液に関し、更に詳しくは、基材との接着性に優れたEV
OH溶液及びそのコーティング積層体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】EVOHから得られる皮膜は透明性、酸
素遮断性などに優れ、食品、医療品、工業薬品等の各種
包装材料としてあるいはプラスチックフィルム、紙、金
属箔とラミネートした複合材料として有用である。しか
して、EVOHの皮膜を形成させる場合、任意の方法が
実施可能であるが、比較的膜厚の薄い皮膜が形成できる
点、中空容器等の複雑な形の基材に対しても容易に皮膜
の形成ができる点、及び比較的簡単な装置で塗工操作が
できる点で、EVOHを溶剤に溶解した溶液を基材に塗
布する溶液コーティング法が注目されている。
【0003】かかる方法においては、基材への密着性を
上げるために従来から基材表面に対して、火炎処理、コ
ロナ処理、アンカーコート処理、プライマー処理等が実
施されており、中でもアンカーコート処理剤としてポリ
ウレタン系化合物やポリエステル・イソシアネート系が
好適に利用されている。しかし、上記のアンカーコート
処理を施すと工程が長くなったり、該処理剤や処理装置
が必要となり、コストアップにつながる。この欠点を解
決すべく特開平4−8745号公報ではEVOHにポリ
オキサゾリン化合物を配合することが提案されている。
【0004】又、溶液コーティング法を行うに際して、
EVOH溶液の貯蔵安定性や放置安定性等が問題とな
り、EVOHの沈殿物が析出し、使用時に高温で再溶解
する必要がある等の欠点が生じたりする。この解決策と
して、特開平2−47144号公報においてEVOH溶
液にホウ酸を配合することが記載されている。
【0005】更に、本出願人も特開平5−295119
号公報において、特定の融点をもつEVOH溶液を用い
ることにより、放置安定性や基材への接着性、塗膜の透
明性等が改善されることを提案している。
【0006】
【問題を解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者等が上記の特開平4−8745号公報に開示の技術を
詳細に検討したところ、EVOH溶液の安定性や成形後
の塗膜の透明性等が不十分であることが判明した。又、
特開平2−47144号公報開示の技術はEVOH溶液
の安定性向上を目的としたものであり、基材への接着性
の改善については考慮されておらず、まだまだ不十分な
ものである。
【0007】特開平5−29119号公報についても、
特定の融点をもつEVOH溶液のみの使用ではポリエス
テルフィルム等の極性ポリマーを基材とする場合には採
用され得るが、ポリオレフィン等の非極性ポリマーを基
材にする場合には接着性の点でまだまだ満足のいくもの
ではなく、酸素遮断性、塗膜の透明性、放置安定性に優
れ、かつポリオレフィン等の基材への接着性にも非常に
優れたEVOH溶液の開発が期待されているのが実情で
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等はかかる目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、エチレン含有量が
20〜60モル%で、ケン化度が90モル%以上、かつ
融点(Tm)が下式(I)を満足するエチレン−酢酸ビ
ニル系共重合体ケン化物、ホウ酸、及び水と炭素数1〜
4の低級アルコールの混合溶媒からなり、ホウ酸の配合
量がエチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物100重
量部に対して0.05〜50重量部であるエチレン−酢
酸ビニル系共重合体ケン化物溶液が、前記の目的を達成
し得るという事実を見出し、本発明を完成した。 −209−1.46Et+3.31Sv<Tm<−109−1.46Et +3.31Sv ・・・・(I) Tm:示差走査型熱量計による融点(℃) Et:エチレン含有量(モル%) Sv:ケン化度(モル%)
【0009】本発明では、上記の如き特定の融点(T
m)をもつEVOH溶液にホウ酸を配合することが最大
の特徴であり、かかる組み合わせにすることにより従来
技術をはるかに上回る基材との接着性を示すという本発
明の効果が得られるものである。上記以外のEVOHで
は本発明の効果は得られない。以下、本発明について具
体的に説明する。
【0010】本発明で用いるEVOHは、エチレン含有
量が20〜60モル%、好ましくは25〜55モル%、
更に好ましくは27〜50モル%、酢酸ビニル成分のケ
ン化度90モル%以上、好ましくは95モル%以上でな
ければならない。エチレン含有量が20モル%未満では
高湿時のガスバリヤー性が低下し、一方60モル%を越
えると充分なガスバリヤー性や印刷適性等の塗膜物性等
が劣化する。又、ケン化度が90モル%未満ではガスバ
リヤー性や耐湿性が低下する。
【0011】しかも、本発明では、該EVOHの示差走
査型熱量計(DSC)で測定されるピーク温度より求め
た融点(Tm)が、エチレン含有量(Etモル%)及び
ケン化度(Svモル%)で規定される下式(I)を満足
する範囲のEVOHを用いている。 −209−1.46Et+3.31Sv<Tm<−109−1.46Et +3.31Sv ・・・・(I)
【0012】Tm値が上記の範囲よりも小さくなると酸
素等のガスバリヤー性が低下し、逆に大きくなると溶液
の安定性が悪くなり、室温下で固化したり、又基材への
接着力が低下し、本発明の目的を達し得ない。即ち、該
EVOHのTm値が上記の範囲に限り、かかるEVOH
とホウ酸との組み合わせで得られるEVOH溶液により
ガスバリヤー性、透明性、放置安定性等に優れ、かつポ
リオレフィン等の基材との接着性にも優れるという本発
明特有の効果が得られるのである。かかるEVOH以外
では本発明の効果は得られない。
【0013】本発明で規定されるようなEVOHは一般
には市販されていない。即ち、市販されている通常のE
VOHでは、いかなるエチレン含有量やケン化度のもの
であっても、その融点は本発明の融点よりも高くなって
おり、かかる融点の高いEVOHの使用では、本発明の
効果は得られない。又、該EVOHは、更に少量のプロ
ピレン、イソブテン、α−オクテン、α−ドデセン、α
−オクタデセン等のα−オレフィン、不飽和カルボン酸
又はその塩・部分アルキルエステル・完全アルキルエス
テル・ニトリル・アミド・無水物、不飽和スルホン酸又
はその塩等のコモノマーを共重合体成分として含んでい
ても差し支えない。
【0014】本発明において、上記EVOHの溶媒とし
ては水が10〜90重量%と炭素数1〜4の低級アルコ
ール特にプロピルアルコール又はブチルアルコール、メ
チルアルコール、エチルアルコールの少なくとも1種が
90〜10重量%の混合物を使用する。該水の量は10
〜90重量%、好ましくは30〜70重量%であり、1
0重量%以下又は90重量%以上では均一な溶液が得難
く塗膜が不透明となるという問題点が生じる。
【0015】アルコール成分のプロピルアルコールとし
てはn−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコ
ールが、又ブチルアルコールとしてはn−ブチルアルコ
ール、iso−ブチルアルコール、sec−ブチルアル
コール、tert−ブチルアルコール等があげられる
が、iso−プロピルアルコールが好適に使用される。
【0016】上記のTm値を満足するEVOHを得る方
法としては任意の方法があり、EVOHの重合時やケン
化時に重合度をコントロールしたり、ケン化度分布を考
慮したりすればよいが、実用的には通常の工業的製造法
により得られるEVOHを過酸化物等で処理することが
有利である。以下、かかる方法について詳細に述べる。
【0017】エチレン含有量が20〜60モル%、ケン
化度が90モル%以上で融点(Tm)が前式の−109
−1.46Et+3.31Svより算出される値よりも
高い融点をもつもの(一例を挙げれば、エチレン含有量
が38モル%、ケン化度が99.6モル%の場合、上式
の値は165.2℃となり、それより高い例えば融点が
173℃のもの)を前記の水と低級アルコールの混合溶
媒に溶解させる。該EVOHの濃度は、1〜50重量
%、好ましくは10〜40重量%が適当である。該溶液
に過酸化水素(通常は35重量%水溶液)をEVOHに
対してEVOH/過酸化水素水(35重量%水溶液)=
1/0.03〜1/3(重量比)になるように添加し、
撹拌下で40〜90℃、1〜50時間、好ましくは1〜
20時間処理する。又、場合によっては、反応速度を調
整するため金属触媒(CuCl2、CuSO4、Mo
3、FeSO4、TiCl4、SeO2等)を溶液当たり
1〜5000ppm、好ましくは10〜3000ppm
程度添加することが好ましい。又、この時の水、アルコ
ール、EVOH、過酸化水素の添加順序は上記の順序に
限定されるものではない。勿論、上記配合物を一括に仕
込むことも可能である。処理の終了時点は、スタート時
の溶液の粘度が初期粘度の1割程度以下となった点を1
つの目安とする。
【0018】こうして得られたEVOH溶液は、そのま
まホウ酸と配合し本発明のEVOH溶液とすることもで
きるが、好ましくはカタラーゼ等の酵素を添加して残存
過酸化水素を分解除去したほうが良い。尚、残存過酸化
水素の除去方法は上記方法に限るものではなく、本発明
の効果を阻害しない限り公知の除去方法が採用され得
る。又、該溶液の溶媒置換を行い、本発明で規定される
水とアルコールの混合溶媒等に溶解されて任意の溶液を
つくることもできる。あるいは該溶液より流動層乾燥
機、気流乾燥機、凍結乾燥機等による公知の方法により
水、アルコールの溶媒を除去し目的とする固形のEVO
Hを得ることもできる。
【0019】本発明では、上記の如く得られたEVOH
あるいはEVOH溶液と、ホウ酸と、水と炭素数1〜4
の低級アルコールとの混合溶媒とが混合され、該ホウ酸
の配合量はEVOH100重量部に対して0.05〜5
0重量部、好ましくは0.05〜20重量部、更に好ま
しくは0.1〜10重量部である。かかるホウ酸の配合
量が0.05重量部未満では基材との接着力が不十分と
なり、一方50重量部を越えると溶液がゲル化し、塗工
困難となり、本発明の効果が得られない。水と炭素数1
〜4の低級アルコールとの混合溶媒とは前述した如き混
合溶媒である。EVOH、ホウ酸、混合溶媒の混合順序
については、特に制限されず一括仕込みや、EVOHを
混合溶媒で溶解した溶液にホウ酸を添加したり、EVO
Hを後から添加する等、適宜選択される。
【0020】又、本発明では、特にホウ酸の配合量がE
VOH100重量部に対して1.00重量部未満の場
合、pH調整剤の添加によりEVOH溶液のpHを3.
0以上、好ましくは7.0以上、更に好ましくは9.0
以上にすることが望ましく、かかる処理により本発明の
効果が顕著に現れる。該処理に用いられるpH調整剤と
しては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カ
ルシウム等のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、ア
ミン類、アンモニア水溶液等が使用されるがこれらに限
定されることはない。
【0021】更に、本発明においては、EVOH、ホウ
酸、混合溶媒に加えて、トリメチロールプロパン、トリ
フェニルメタントリイソシアネート、エチレンジイソシ
アネート、1,4−ブタンジイソシアネート、1,6−
ヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジ
イソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メ
チルシクロヘキサンジイソシアネート、2,4−及び
2,6−トリレンジイソシアネート、メチレンジフェニ
ルジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジ
イソシアネート、キシレンジイソシアネート等のイソシ
アネート化合物;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒ
ド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、グリオ
キシル酸等のモノアルデヒド類;グリオキザール、マロ
ンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルジア
ルデヒド、マレインジアルデヒド、フタルアルデヒド等
のジアルデヒド類;澱粉等の多価アルデヒド類;ヘキサ
メチレンテトラミン、エチレンジアミン、トリメチレン
ジアミンフェニレンジアミン等のジアミン類;N−メチ
ロール尿素、ジメチロール尿素、アルキル化メチロール
尿素、N−メチロールメラニン、アルキル化メチロール
メラニン等のメチロール化合物;エピクロルヒドリン、
プロピレンオキシド、スチレンオキシド、シクロヘキセ
ンオキシド、シクロペンテンオキシド等のエポキシ化合
物;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジ
ピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等のジカルボ
ン酸類等から選ばれる少なくとも1種類を0.1〜20
重量%程度配合させることも可能であり、本発明の効果
を示す。
【0022】かくして得られた本発明のEVOH溶液は
基材に塗布されるわけであるが、該EVOH溶液の濃度
は特に制限はないが、各種基材への塗工性や放置安定性
等を考慮すれば、1〜50重量%、好ましくは10〜4
0重量%、更に好ましくは20〜30重量%程度が望ま
しい。
【0023】本発明においてEVOHが塗布される基材
としては特に制限はなく、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ナ
イロン等の各種プラスチックの延伸あるいは未延伸フィ
ルム、シート、中空容器あるいは紙、セロファン、セル
ロース、セルローズアセテート、天然ゴム、合成ゴム、
金属等が挙げられる。かかる基材の膜厚は10〜100
0μ程度が適当である。
【0024】本発明では、かかる塗工時に従来技術の様
に基材にアンカーコート処理を施さなくてもEVOH塗
膜と基材を強固に接着させることができる。この際の塗
布方法としては、マイヤーバー、グラビヤ及びリバース
ロール方式等のローラーコーティング法、スプレーコー
ティング法、ディップコーティング法その他任意の公知
方法が適用できる。そして、EVOHの溶液を基材に塗
布した後、公知の方法で乾燥が行われる。一例を挙げる
と乾燥温度が30〜150℃、好ましくは70〜120
℃程度の温度で3秒〜5分程度加熱すれば良い。かかる
乾燥において塗膜中の揮発分、即ち水、アルコールが除
去されるのであるが通常、揮発分が2重量%以下となる
まで行えば良い。
【0025】かくしてEVOHの透明な塗膜が形成され
るわけであるが、その膜厚は0.5〜500μ程度、好
ましくは1〜100μ程度が実用的である。0.5μ以
下では充分なガスバリヤー性が発揮し難く、一方500
μ以上ではその膜厚のコントロールに困難を生じる。
又、必要に応じて該塗膜上に更に塩化ビニリデン樹脂コ
ート、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体コート等によっ
て防湿層を形成させることも勿論可能である。
【0026】本発明のEVOH溶液の塗膜は、各種基材
との接着性にも非常に優れ、アンカーコート無しで塗工
することは勿論可能であるが、より以上の接着性向上を
目的としてポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン
イミン等のアンカーコート剤を併用しても良い。
【0027】各種基材にEVOH溶液をコーティングし
た積層体は食品、飲料、薬品、医薬、電機部品、機械部
品等の包装用あるいは容器用、又暖房用パイプ用、壁紙
用等の各種用途として有用である。実用性が高い包装材
料、容器の層構成としては代表的には膜厚10〜100
0μの基材(ポリエステル、ポリエチレン等)/膜厚
0.5〜500μのEVOH(揮発分含量0.5〜5重
量%)あるいは上記の構造のEVOH層の上に更に膜厚
0.5〜3μ程度の塩化ビニリデン樹脂層、あるいは塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体層を設けたものである。
その形状はフィルム状、シート状、中空ビン、チューブ
等任意のものであって良い。
【0028】
【作用】本発明は、特定の融点をもつEVOHとホウ酸
と水−アルコールの混合溶媒からなるEVOH溶液を用
いているため、長時間での放置安定性や塗膜の透明性、
ガスバリヤー性に優れているのに加え、ポリオレフィン
等の各種基材への接着性も非常に優れている。
【0029】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。尚、実施例中、「部」、「%」とあるのは特に断
りのない限り重量基準である。 実施例1〜3 水22部、アルコール35部の混合溶媒にEVOH(エ
チレン含有量30モル%、ケン化度99.6モル%、融
点188℃)30部を加え70〜80℃にて約2時間撹
拌し、透明な溶液を調製した。次に、該溶液に過酸化水
素水(35%水溶液)13部及び硫酸鉄・7水和物50
ppmを添加し、80℃で約5時間撹拌下で反応させた
後、40℃に冷却し、更にカタラーゼを3000ppm
になるように添加し、残存過酸化水素を除去して、最終
的に20%のEVOH溶液を調製し、これに表2に示す
如きホウ酸を添加して本発明のEVOH溶液を得た。該
EVOH溶液中のEVOHのエチレン含有量は30モル
%、ケン化度99.6モル%であり、融点TmをDSC
で測定したところ148℃であった。このTm値は本願
規定の77℃<Tm<177℃を満足するものであっ
た。
【0030】次に、延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ
20μ)のコロナ処理表面に、かかるEVOH溶液をア
プリケーターコート法によりコーティングし、100℃
で3分間乾燥を行い、EVOHの膜厚が3μの積層体を
得た。かくして得られたEVOH溶液及びその積層体に
ついて下記の諸物性を測定した。
【0031】(放置安定性)得られたEVOH溶液を2
0℃の恒温室に放置し、EVOHがゲル化し始めるまで
の日数を調べた。 (透明性)ヘイズメーターによるヘイズ値で評価した
(%)。
【0032】(層間接着力)EVOH表面にセロハンテ
ープを貼着し、該セロハンテープとポリプロピレンフィ
ルムを引張り接着力を測定した(g/15mm)。30
0mm/min引張速度である。 (酸素バリヤー性)延伸ポリプロピレン(厚さ20μ)
にEVOH溶液を厚さ3μでコーティングしたときの酸
素透過度を20℃、65%RHで測定した(cc/m2・atm・
24hr)。
【0033】実施例4〜7 実施例1において、エチレン含有量30モル%、ケン化
度99.5モル%、融点187℃のEVOH(原料)を
用い、反応時間を4時間に変えた以外は同様に20%の
EVOH溶液を調製し、次に、表2に示す如きホウ酸を
各量添加し、更に水酸化ナトリウムでpHを調整して本
発明のEVOH溶液及びその積層体を得た。これらEV
OH溶液及びその積層体について実施例1と同様の測定
を行った。尚、該EVOH溶液中のEVOHのエチレン
含有量は30モル%、ケン化度99.5モル%であり、
融点TmをDSCで測定したところ148℃であった。
このTm値は本願規定の77℃<Tm<177℃を満足
するものであった。
【0034】比較例1 市販のEVOH(エチレン含有量30モル%、ケン化度
99.5モル%、融点188℃、実施例1と同様に77
℃<Tm<177℃となり、該融点は本願の規定外であ
る)20部を水40部、アルコール40部に加え、70
〜80℃にて約2時間撹拌し、20%濃度の透明なEV
OH溶液を調製し、これにホウ酸をEVOH100部に
対して4.00部添加してEVOH溶液及びその積層体
を得た。得られたEVOH溶液及びその積層体について
実施例1と同様の測定を行った。
【0035】比較例2 実施例4において、ホウ酸及び水酸化ナトリウムを添加
しなかった以外は同様に行い、EVOH溶液及びその積
層体を得た。得られたEVOH溶液及びその積層体につ
いて実施例1と同様の測定を行った。
【0036】比較例3 実施例1において、EVOH(エチレン含有量30モル
%、ケン化度99.5モル%、融点188℃)を用い、
硫酸鉄・7水和物を用いず、反応時間も4時間にした以
外は同様に行い、Tm値180℃の20%濃度のEVO
H溶液を得た。かかるTm値は本願規定の77℃<Tm
<177℃の範囲外である。該EVOH溶液にホウ酸を
EVOH100部に対して4.00部添加してEVOH
溶液及びその積層体を得た。得られたEVOH溶液及び
その積層体について実施例1と同様の測定を行った。
【0037】比較例4 実施例1において、EVOH(エチレン含有量30モル
%、ケン化度99.5モル%、融点187℃)30部、
アルコール35部(水0部)、過酸化水素水(35%水
溶液)35部、硫酸鉄・7水和物3000ppm、反応
時間15時間とした以外は同様に行い、Tm値60℃の
20%濃度のEVOH溶液を得た。かかるTm値は本願
規定の77℃<Tm<177℃の範囲外である。該EV
OH溶液にホウ酸をEVOH100部に対して4.00
部添加してEVOH溶液及びその積層体を得た。得られ
たEVOH溶液及びその積層体について実施例1と同様
の測定を行った。
【0038】比較例5 実施例1において、ホウ酸の配合量をEVOH100部
に対して60部にした以外は同様に行い、EVOH溶液
及びその積層体を得た。得られたEVOH溶液及びその
積層体について実施例1と同様の測定を行った。実施
例、比較例のそれぞれの測定結果を表2に示す。
【0039】
【表1】 EVOH(原料) 反応後のEVOH Tm値の範囲 Et Sv 融点(℃) のTm値 実施例1〜3 30 99.6 188 148 77<Tm<177 〃 4〜7 30 99.5 187 148 77<Tm<177 比較例 1 30 99.5 188 187 77<Tm<177 〃 2 30 99.5 187 148 77<Tm<177 〃 3 30 99.5 188 180 77<Tm<177 〃 4 30 99.5 187 60 77<Tm<177 〃 5 30 99.6 188 148 77<Tm<177 注)Et:エチレン含有量(モル%) Sv:ケン化度(モル%) Tm:DSCによる融点(℃)
【0040】
【表2】 ホウ酸 pH値 放置 層間 透明性 酸素透過度 添加量 安定性 接着力 (部) (日) (g/15mm) (%) (cc/m2・atm・24hr) 実施例1 2.00 − >60 >300 1.8 4.5 〃 2 4.00 − >60 >300 1.9 4.6 〃 3 10.0 − >60 >300 2.2 4.6 〃 4 0.05 10.6 >60 200 2.0 4.8 〃 5 0.10 10.4 >60 >300 2.2 4.4 〃 6 0.20 10.4 >60 >300 2.2 4.5 〃 7 0.40 10.0 >60 >300 2.0 4.8 比較例1 4.00 − 10 50 2.1 3.9 〃 2 − − >60 150 2.0 5.0 〃 3 4.00 − 10 50 5.1 8.5 〃 4 4.00 − >60 >300 5.5 48 〃 5 60.0 − 溶液がゲル化し、基材への塗工が不可能
【0041】
【発明の効果】本発明は、特定の融点をもつEVOHと
ホウ酸と水−アルコールの混合溶媒からなるEVOH溶
液を用いているため、長時間での放置安定性や塗膜の透
明性、ガスバリヤー性に優れているのに加え、ポリオレ
フィン等の各種基材への接着性も非常に優れており、更
に各種基材と積層して積層体として、例えば食品関係の
包装、容器等に利用することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン含有量が20〜60モル%で、
    ケン化度が90モル%以上、かつ融点(Tm)が下式
    (I)を満足するエチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン
    化物、ホウ酸、及び水と炭素数1〜4の低級アルコール
    の混合溶媒からなり、ホウ酸の配合量がエチレン−酢酸
    ビニル系共重合体ケン化物100重量部に対して0.0
    5〜50重量部であることを特徴とするエチレン−酢酸
    ビニル系共重合体ケン化物溶液。 −209−1.46Et+3.31Sv<Tm<−109−1.46Et +3.31Sv ・・・・(I) Tm:示差走査型熱量計による融点(℃) Et:エチレン含有量(モル%) Sv:ケン化度(モル%)
  2. 【請求項2】 ホウ酸の配合量がエチレン−酢酸ビニル
    系共重合体ケン化物100重量部に対して1.00〜5
    0重量部であることを特徴とする請求項1記載のエチレ
    ン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物溶液。
  3. 【請求項3】 ホウ酸の配合量がエチレン−酢酸ビニル
    系共重合体ケン化物100重量部に対して0.05〜
    1.00重量部未満でかつ、pHが3.0以上であるこ
    とを特徴とする請求項1記載のエチレン−酢酸ビニル系
    共重合体ケン化物溶液。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3記載のいずれかのエチレン
    −酢酸ビニル系共重合体ケン化物溶液を基材にコーティ
    ングしてなることを特徴とする積層体。
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