JPH07233136A - メチレン架橋ポリフェニレンポリイソシアネートの製造方法 - Google Patents

メチレン架橋ポリフェニレンポリイソシアネートの製造方法

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JPH07233136A JP6025020A JP2502094A JPH07233136A JP H07233136 A JPH07233136 A JP H07233136A JP 6025020 A JP6025020 A JP 6025020A JP 2502094 A JP2502094 A JP 2502094A JP H07233136 A JPH07233136 A JP H07233136A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 酸触媒の存在下、アニリンとホルムアルデヒ
ドとの縮合により生成するポリアミン混合物を不活性溶
媒の存在下、ホスゲンと反応させてメチレン架橋ポリフ
ェニレンポリイソシアネートを連続的に製造する方法に
おいて、 1)ホスゲン化終了後、残存ホスゲンを除去した後、 2)塩化水素ガス存在下、加熱処理を多段階で行う メチレン架橋ポリフェニレンポリイソシアネートの製造
方法。 【効果】 酸分および加水分解性塩素が低いだけでな
く、色相も優れたメチレン架橋ポリフェニレンポリイソ
シアネートを連続的に製造出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はメチレン架橋ポリフェニ
レンポリイソシアネートの製造方法の改良に関する。特
に不純物である酸分および加水分解性塩素含有化合物が
少なく、且つ着色の少ないメチレン架橋ポリフェニレン
ポリイソシアネートを連続的に製造する方法に関する。
酸分とは室温でアルコールと反応し遊離する酸成分を塩
酸に換算して示した値であり、加水分解性塩素含有化合
物とは水沸点下で加水分解して塩酸を遊離する化合物で
あり塩素に換算して示し、HCと略す。したがって、酸
分はHCに含まれる。メチレン架橋ポリフェニレンポリ
イソシアネートは極めて反応性に富む物質で、ポリウレ
タンフォーム、エラストマー、接着剤および塗料等の広
範囲の製品製造に利用されている。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】メチレ
ン架橋ポリフェニレンポリイソシアネート(以下、ポリ
MDIと略記)は、工業的には酸触媒の存在下、アニリ
ンとホルムアルデヒドとの縮合により生成するポリアミ
ン混合物を溶媒の存在下、ホスゲンと反応させることに
よって製造されており、続いて減圧蒸留によってジフェ
ニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略記)を
分離し、必要に応じたMDI含有量および粘度を有する
ポリMDIに調製されるのが一般的である。しかし、こ
の方法により得られたポリMDIは不純物として酸分、
HCを含んでおり、これら不純物が多いとウレタン製造
時の反応性が悪くなることが知られている。
【0003】酸分およびHCを低減する方法としては数
多くの方法があり、工業的には最も簡単で且つ安価であ
る減圧高温下での加熱処理が行われている。しかし、ポ
リMDIはこの高温下での処理あるいはMDI分離時の
加熱によって色相悪化を引き起こし、これがウレタン形
成時の着色原因にもなるため、着色が少なく且つ酸分、
HCの少ないポリMDIを製造する方法の開発が望まれ
ている。
【0004】一方、ポリMDIの色相改善については、
代表的なものとしてポリMDIから着色成分を除去する
方法(特開昭60−58955号公報)が開示されてい
る。この方法はポリMDIを炭素数8以上の脂肪族炭化
水素を用い、80℃以上で抽出し、タール分を除去する
方法であるが、抽出溶媒の除去や抽出されたタール分の
処理が必要になるため工業的製法としては好ましい方法
ではない。
【0005】また、塩化水素ガスによる脱ガス法が特開
昭54−70220号公報に記載されているが、この方
法はホスゲンが存在する状態で高い温度で塩化水素ガス
を通じるもので、酸分、HCの低減および色相改善が充
分でなく、多大な時間が必要になるため、連続製造方法
としては好ましくない。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、酸分、H
Cが少なく且つ着色の少ないポリMDIを製造する方法
を鋭意検討した。その結果、ポリMDI中の酸分、HC
成分および着色成分はホスゲン化時に副生するウレア化
合物とホスゲンの反応によって生成したカルボジイミド
化合物のホスゲン付加物または、それが熱によって分解
したジクロルイミン体であることを見いだした。これら
の知見をもとに原因物質であるカルボジイミド化合物の
ホスゲン付加物の低減方法を検討した。その結果、該当
付加物はホスゲンが存在する状態で加熱すると増加する
こと、ホスゲンが存在しない状態では、塩化水素ガス気
流下で加熱処理すると、ホスゲン付加物は塩酸付加物に
変換され、さらに塩酸付加物は熱によって分解し、カル
ボジイミド化合物になること、ホスゲン付加物が塩酸付
加物に変換されるとき、ホスゲンが発生するので、特定
の濃度までホスゲン付加物を減らさないで、140℃を
越えて加熱すると可逆反応が起こりホスゲン付加物が減
少しないこと、しかし、特定の濃度までホスゲン付加物
を減少させると、150℃以上の温度で塩酸処理して
も、未反応ホスゲン付加物が塩酸付加物に変換され、カ
ルボジイミド化合物になることを見いだし本発明に至っ
た。
【0007】すなわち、本発明は酸触媒の存在下、アニ
リンとホルムアルデヒドとの縮合により生成するポリア
ミン混合物を不活性溶媒の存在下、ホスゲンと反応させ
てメチレン架橋ポリフェニレンポリイソシアネートを連
続的に製造する方法において、 1)ホスゲン化終了後、残存ホスゲンを除去した後、 2)塩化水素ガス存在下、加熱処理を多段階で行う、 メチレン架橋ポリフェニレンポリイソシアネートの製造
方法である。
【0008】以下に本発明を詳細に説明する。ホスゲン
化反応に使用されるポリアミンは、酸触媒の存在下、ア
ニリンとホルムアルデヒドとの縮合により生成するメチ
レン架橋ポリフェニレンポリアミン(以下ポリMDAと
略記)である。このポリアミンの組成は縮合時のアニリ
ン/塩酸/ホルムアルデヒド比および縮合温度によって
異なるが、本発明のホスゲン化反応原料としてはいかな
る組成のポリMDAも使用できる。
【0009】ホスゲン化に使用される不活性溶媒は、有
機イソシアネート類の製造に一般的に用いられる溶媒で
あればよく、何ら制限されることはない。例えば、トル
エン、キシレン等の芳香族炭化水素、クロルトルエン、
クロルベンゼン、ジクロルベンゼン等のハロゲン化炭化
水素、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル類およびメ
チルイソブチル等のケトン類等が挙げられる。
【0010】ホスゲン化の方法も一般的に連続で運転さ
れている方法であれば何ら限定はなく、塩酸塩法、冷熱
2段法、ホスゲン加圧法などいかなる方法にも適用でき
る。
【0011】反応終了後の残存ホスゲンの除去は140
℃以下で加熱することにより行われる。好ましくは10
0〜130℃である。ホスゲンの存在下で140℃より
高い温度に加熱されると、カルボジイミド化合物のホス
ゲン付加物の生成量が増大し、後の塩化水素による処理
が長時間になる傾向がある。
【0012】具体的な除去方法としては100〜140
℃に加熱下、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス
を挿入する方法や減圧下で溶媒の沸点まで加熱する方法
があるが、減圧法が効率良い。
【0013】ホスゲンを実質上、完全に除去した後、反
応液は塩化水素ガス気流下、多段階の温度勾配の下に処
理される。好ましくは1段目を60〜140℃、2段目
を140℃を越える温度、好ましくは150〜170℃
で加熱処理する。ホスゲン付加物を塩酸付加物に変換す
る反応は、反応液中の塩化水素濃度が大きいほど、また
温度が高いほど速くなる。しかし、カルボジイミドホス
ゲン付加物が特定量以上存在する状態で、140℃を越
える温度条件で塩化水素処理すると、塩化水素処理によ
って生成したホスゲンがカルボジイミド化合物と反応し
て、再びホスゲン付加物を生成する傾向がある。また、
塩化水素濃度を大きくするためにはできるだけ低温が好
ましいが、60℃より低くなると塩酸付加物への変換効
率が低下する傾向がある。
【0014】供給される塩化水素ガス量は好ましくは反
応液1重量部に対し、0.01〜0.2重量部の範囲で
ある。
【0015】塩化水素処理により、下記反応式(化1)
に従い、ホスゲン付加物は塩酸付加物に変わり、ホスゲ
ンを発生する。
【0016】
【化1】
【0017】処理時間は、処理温度とホスゲン化中に生
成したホスゲン付加物の量によって異なる。例えば、1
30〜140℃の温度で30〜50分滞留時間を与え塩
化水素処理を行った場合、充分な濃度までホスゲン付加
物が減少していない。即ち、満足する、着色度、HC、
酸分の数値を達成することはできない。長時間の処理を
すれば、ホスゲン付加物は充分な濃度まで減少し、目標
の着色度、HC、酸分の数値を達成するが、多量生産の
工業的製法としては好ましくない。短時間で効率よく処
理するためには、例えば、115℃の温度で約30分程
度滞留時間を与え、塩化水素処理を行った後、140℃
を越える温度、好ましくは150〜170℃の範囲で約
3〜5分、多段階で塩化水素ガス処理を行うことが好ま
しい。ホスゲン付加物を特定の濃度以下(ホスゲンに換
算して50ppm)まで塩酸付加物への変換を行った
後、脱溶媒を行い粗製のポリMDIを得る。
【0018】脱溶媒処理によって得られた粗製のポリM
DIまたはそれからMDIを分離したものを180〜2
40℃でさらに加熱することは酸分およびHCを減少さ
れる点で好ましい態様である。本発明方法により得られ
たポリMDIはこのような加熱処理またはMDIを分離
するための加熱を伴う処理を受けてもほとんど色相悪化
をおこすことはない。
【0019】本発明の残存ホスゲン除去および塩化水素
ガス処理の具体的態様としては、連続法、バッチ法のい
ずれでも可能であるが、工業的に実施する場合の設備
面、省力面等から連続法の方が好ましい。
【0020】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明する。実施例中、ポリMDIの酸分、HCおよび色相
は次のようにして測定し、表示した。 酸分測定法:試料約2gを精秤しアセトン+エタノール
(1:1)溶液150mlに溶解し、室温で60分間反
応された後1/100(mol/l)水酸化カリウムメ
タノール溶液で滴定する。値は塩酸としての%で示す。 HC測定方法:試料約0.4gを精秤しアセトン+メタ
ノール(1:1)溶液100mlに溶解し、電熱板上で
加熱する。沸騰が始まったら蒸留水60mlを加え、さ
らに2時間加水分解を行った後に、1/100(mol
/l)硝酸銀水溶液で滴定する。値は塩素としての%で
示す。 色相:試料1重量部をトルエン100重量部に溶解し、
20℃で波長430nmで吸光度を測定し、その値を示
す。 ホスゲン定量方法:試料約50gを精秤し、160℃で
120ml/minの窒素を2時間吹き込み、σ−トル
イジン/テトラヒドロフラン溶液で排ガス中のホスゲン
をトラップする。このトラップ溶液中のウレア成分をH
PLCを使って、内部標準法により定量し、ホスゲン量
に換算して求める。
【0021】以下の実施例で使用するポリMDAは次の
方法で製造した。97%アニリン(93.3kg)と3
7%ホルムアルデヒド水溶液(33.8kg)を35%
塩酸(46.9kg)の存在下、温度30〜120℃で
縮合反応させ、得られた反応液に32%水酸化ナトリウ
ム溶液(70.7kg)を加え中和し、オイル相を取り
出した。続いてオイル相を湯洗後、減圧蒸留によって
水、過剰のアニリンを留去し、粗製のポリMDA(7
2.6kg)を得た。その組成は2核体:76.4%、
3核体:16.1%、4核体:3.5%、5核体以上
0.7%であった。
【0022】実施例1 第1図(図1)に示す反応装置を用い、第1反応槽
(1)に20重量%のポリMDAのODCB溶液を2
7.6kg/hr、ホスゲン(リサイクルホスゲンを含
む)23.7kg/hr、ODCB(リサイクルODC
Bを含む)20.8kg/hrを供給した。反応温度は
ジャケットおよび外部加熱器により80℃、第2反応槽
は140℃に維持し、圧力は両反応槽と共に5.0kg
/cm2Gに維持した。この反応液は54.3kg/h
rをフラッシュタンク(3)にて大気圧に戻し、ホスゲ
ン濃度を3.6%に低減した。この液を49.8kg/
hrで減圧脱ガス塔(4)に供給し、115torrの
減圧下に120℃、滞留時間2分で残存ホスゲンを完全
に除去した(反応液中のホスゲンはガスクロマトグラフ
ィーで測定の結果、不検出であった)。ついでこの脱ホ
スゲン液を第1塩化水素処理槽(5)に送入した。塩化
水素処理槽(5)には塩化水素を5.0kg/hrで供
給し、温度115℃、滞留時間30分で処理を行った。
このときの、残存ホスゲン量(ホスゲン付加物の量をホ
スゲンに換算した量)は200ppmであった。さら
に、この脱ホスゲン液を第2塩化水素処理槽(6)に送
入した。塩化水素処理槽(6)には塩化水素を5.0k
g/hrで供給し、温度160℃、滞留時間3分で処理
を行った。このときの、残存ホスゲン量(ホスゲン付加
物の量をホスゲンに換算した量)は20ppmであっ
た。脱溶媒塔(7)へ送液しODCBを減圧除去して粗
製のポリMDIを得た。このようにして処理して得られ
た粗製ポリMDIから、230℃・5torrの条件下
に薄膜蒸留装置を用い30重量%のMDIを留去した。
得られたポリMDIの吸光度は0.02、酸分は50p
pm、HCは700ppmであった。
【0023】実施例2 実施例1の反応装置を用い、第1塩化水素処理槽(5)
と第2塩化水素処理槽(6)への塩化水素供給量を3.
7kg/hrにする以外は実施例1と同じ操作を行っ
た。第1塩化水素処理後の残存ホスゲン(ホスゲン付加
物の量をホスゲンに換算した量)は250ppmであ
り、160℃以上で塩酸処理した場合の残存ホスゲン
(ホスゲン付加物の量をホスゲンに換算した量)は30
ppmであった。得られたポリMDIの吸光度は0.0
2、酸分は60ppm、HCは800ppmであった。
【0024】比較例1 実施例1の反応装置を用い、第2塩化水素処理槽(6)
は作動せずに第1塩化水素処理槽(5)から脱溶媒塔に
直接送液する以外は実施例2と同じ操作を行った。第1
塩化水素処理後の残存ホスゲン(ホスゲン付加物の量を
ホスゲンに換算した量)は約250ppmであった。得
られたポリMDAの吸光度は0.03、酸分は110p
pm,HCは900ppmであった。
【0025】比較例2 実施例1の反応装置を用い、減圧脱ガス塔(4)を作動
せずにフラッシュタンク(3)から塩化水素処理槽
(5)へ直接送液する以外は比較例1と同じ操作を行っ
た。第1塩化水素処理後の残存ホスゲン(ホスゲン付加
物の量をホスゲンに換算した量)は約450ppmであ
った。得られたポリMDIの吸光度は0.08、酸分は
300ppm、HCは1000ppmであった。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば酸分およびHCが低いだ
けでなく、色相にも優れたメチレン架橋ポリフェニレン
ポリイソシアネートが連続的に製造でき、その製法も簡
単かつ経済的であり、工業的に大量に製造されるメチレ
ン架橋ポリフェニレンポリイソシアネートの製造方法と
して有効な方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における連続反応装置の模式図であ
る。
【符号の説明】
1. 第1反応槽 2. 第2反応槽 3. フラッシュタンク 4. 減圧脱ガス塔 5. 第1塩化水素処理槽 6. 第2塩化水素処理槽 7. 脱溶媒塔 8. ガス分離器 9. ガス分離器 10.冷却器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高崎 道哉 福岡県大牟田市浅牟田町30 三井東圧化学 株式会社内 (72)発明者 黒田 一元 福岡県大牟田市浅牟田町30 三井東圧化学 株式会社内 (72)発明者 宮田 勝治 福岡県大牟田市浅牟田町30 三井東圧化学 株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸触媒の存在下、アニリンとホルムア
    ルデヒドとの縮合により生成するポリアミン混合物を不
    活性溶媒の存在下、ホスゲンと反応させてメチレン架橋
    ポリフェニレンポリイソシアネートを連続的に製造する
    方法において、 1)ホスゲン化終了後、残存ホスゲンを除去した後、 2)塩化水素ガス存在下、加熱処理を多段階で行う、 メチレン架橋ポリフェニレンポリイソシアネートの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 140℃以下で残存ホスゲンを除去する
    請求項1の製造方法。
  3. 【請求項3】 塩化水素ガス存在下、加熱処理を一段目
    60〜140℃、二段目140℃を越える温度で行う請
    求項1の製造方法。
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