JPH07232984A - 有機質肥料およびその製造方法 - Google Patents

有機質肥料およびその製造方法

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JPH07232984A
JPH07232984A JP31241094A JP31241094A JPH07232984A JP H07232984 A JPH07232984 A JP H07232984A JP 31241094 A JP31241094 A JP 31241094A JP 31241094 A JP31241094 A JP 31241094A JP H07232984 A JPH07232984 A JP H07232984A
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究 椎葉
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健 神前
Kenzo Okada
憲三 岡田
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 アラビノキシラン含量20%以上の有機物から
なる発酵原料、或いは前記有機物とその等重量量以下の
吸着性鉱物材料及び/又は炭類との混合物からなる発酵
原料に、ストレプトミセス属放線菌、シュードモナス属
細菌及びバシルス属細菌のうちの1種又は2種以上を加
え、発酵原料のpHを6.0〜12.0に調整して発酵を開始
させ、発酵中に発酵原料のpHを6.0〜9.5に保って発酵
を進めて有機質肥料を製造する方法、並びに前記方法に
より得られる有機質肥料。 【効果】 本発明の方法による場合は、異臭がなくサラ
サラとした微粒子からなっていて取り扱い性に優れ、し
かも肥料効果が極めて高く、環境汚染の心配のない有機
質肥料を1段の発酵工程で極めて簡単に且つ極めて短期
間に製造することができ、特に本発明により得られた有
機質肥料は芝草用の肥料として適する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は有機質肥料およびその製
造方法に関する。詳細には、肥料効果の優れた有機質肥
料を1段の発酵工程で簡単に且つ短期間に製造すること
のできる方法およびそれにより得られた有機質肥料に関
する。
【0002】
【従来の技術】これまで多用されてきた化成肥料は、即
効性はあるものの濃度障害による植物の成育不良や枯
れ、連用による土のやせ、環境汚染等の問題を生じてい
る。そこで、化成肥料のそのような欠点を解消するもの
として、鶏フン、豚フン、牛フン、骨粉等の動物由来の
有機質物や、油カス、麦かん、稲藁、落葉等の植物由来
の有機質物を原料とする有機質肥料が見直されている。
しかしながら、これらの有機質肥料は、分解し易い糖類
などを多量に含みその分解中に土中の酸素を奪うために
一時的な酸欠状態を生じ易く、また堆肥化するのに長い
時間(一般に2週間〜3カ月)を必要とし、さらに臭気
があるという欠点がある。
【0003】そして、近年になって、有機質原料の堆肥
化の促進のために、発酵装置の改良や微生物資材の添加
による方法が開発されており、その一例として、水産加
工場や酒造工場等の食品工場から排出される有機質廃物
にそれを分解する菌を植えて堆肥化を促進する方法が知
られている。しかしながら、この方法は高価な発酵反応
機を使用して平均75℃以上の温度で発酵させる必要が
あるために、熱効率や装置面で経費がかかり且つ工程的
にも複雑である。また、小麦フスマや脱脂米ヌカ等の有
機物が有機質肥料用の原料として有効であることが従来
から認識されているが、それらは分解されにくいセルロ
ースやヘミセルロースを多く含んでいるために堆肥化に
長い時間がかかり(通常約40日〜2カ月)、その堆肥
化を促進するために市販の微生物資材を加えても堆肥化
期間はさほど短縮されない。
【0004】
【発明の内容】上記のような状況下に、本発明者らはセ
ルロースやヘミセルロースを多く含む有機物、特にアラ
ビノキシランを多く含む有機物から、肥効が高く、且つ
簡単な方法で施肥できる有機質肥料を短期間で得ること
を目的として長年研究を続けてきた。そして、アラビノ
キシランを多く含む有機物に吸着性鉱物材料および/ま
たは炭類からなる発酵助材を加えて、アスペルギルス・
フラバス、アスペルギルス・オリゼーおよびアスペルギ
ルス・ソーヤからなる菌のうちの1種または2種以上の
存在下で一次発酵させた後、pHを特定の領域に調節し
てストレプトミセス属放線菌、シュードモナス属細菌お
よびバシルス属細菌のうちの1種または2種以上の存在
下で二次発酵させると、肥効が高く且つ簡単な方法で施
肥できる有機質肥料が短期間で得られることを先に見出
して出願した(特願平5−195587号)。
【0005】そして、上記の研究の一環として更に検討
を重ねた結果、上記の先願発明の二次発酵に使用した菌
類を使用して、その発酵初期および発酵途中のpHを特
定のpH値に調整しながら発酵を行った場合には、一次
発酵および二次発酵の2段の発酵工程を採用せずに、1
段の発酵工程で肥料効果の高い有機質肥料が極めて簡単
に且つ極めて短い期間(通常10日未満)で得られるこ
とを見出した。そして、本発明者らが更に研究を続けた
結果、本発明者らの見出したpH調整下でのそのような
1段発酵法による場合は、吸着性鉱物材料および/また
は炭類からなる発酵助材が存在しなくても、アラビノキ
シランを多く含む有機物が、やはり通常10日以下の短
い期間内に充分に発酵して、肥料効果の高い有機質肥料
に変わり得ることを見出し、それらの知見に基づいて本
発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、アラビノキシラン含
量が20重量%以上である有機物からなる発酵原料に、
ストレプトミセス属放線菌、シュードモナス属細菌およ
びバシルス属細菌のうちの1種または2種以上を加え、
発酵原料のpHを6.0〜12.0に調整して発酵を開
始させ、そして発酵中に発酵原料のpHが6.0〜9.
5範囲に保たれるようにpHを調整しながら発酵を進め
ることを特徴とする有機質肥料の製造方法である。
【0007】そして、本発明は、アラビノキシラン含量
が20重量%以上である有機物と、該有機物に対して等
重量以下の吸着性鉱物材料および炭類から選ばれる少な
くとも1種との混合物からなる発酵原料に、ストレプト
ミセス属放線菌、シュードモナス属細菌およびバシルス
属細菌のうちの1種または2種以上を加え、発酵原料の
pHを6.0〜12.0に調整して発酵を開始させ、そ
して発酵中に発酵原料のpHが6.0〜9.5範囲に保
たれるようにpHを調整しながら発酵を進めることを特
徴とする有機質肥料の製造方法である。そして、本発明
は、上記のいずれかの方法により製造された有機質肥料
を包含する。
【0008】本発明で使用するアラビノキシラン含量が
20重量%(以後「重量%」を単に「%」という)以上
である有機物(以下これを「アラビノキシラン含有有機
物(A)」ということがある)としては、小麦フスマ
(アラビノキシラン含量:通常約30〜40%)、米ヌ
カ(同約35〜45%)、トウモロコシ外皮(同約35
〜45%)等を挙げることができるが、これらに限定さ
れずアラビノキシラン含量が20%以上の有機物はいず
れも使用できる。アラビノキシラン含有有機物(A)
は、1種類のみを使用しても、または2種以上を使用し
てもよい。有機物中のアラビノキシラン含量が20%よ
り低いと、放線菌等の有用菌叢を多く含む有機質肥料が
得られず、水溶性糖類の含有量が高過ぎて堆肥化が進み
にくくなり、しかも生成する有機質肥料は異臭を有する
ものとなる。ここで、本発明では、有機物中のアラビノ
キシラン含量を、Tario, Bhattiらの方法[Biochim. Bi
ophys. Acta. 222 (1970) 339-347]で測定した。
【0009】そして本発明では、有機質肥料を製造する
際の発酵原料として、(i) アラビノキシラン含有有
機物(A)からなる発酵原料;または(ii) アラビノ
キシラン含有有機物(A)と、該アラビノキシラン含有
有機物(A)に対して等重量以下の吸着性鉱物材料およ
び炭類から選ばれる少なくとも1種[以下吸着性鉱物材
料および炭類を総称して「発酵助材(B)」ということ
がある]との混合物;が用いられる。
【0010】本発明では、発酵原料として、アラビノキ
シラン含有有機物(A)と該アラビノキシラン含有有機
物(A)に対して等重量以下の発酵助材(B)との混合
物[上記の(ii)]を用いると、特に発酵が極めて速や
かに行われて、通常10日に満たない極めて短い期間で
肥料効果の高い有機質肥料を得ることができる。しかし
ながら、それに限定されるわけではなく、発酵助材
(B)を使用せずに、アラビノキシラン含有有機物
(A)からなる発酵原料[上記の(i)]を用いた場合
にも、従来法等に比べて充分に速やかに発酵が行われ
て、通常10日以内の極めて短い期間で肥料効果の高い
有機質肥料を円滑に得ることができる。
【0011】本発明では、発酵原料として、アラビノキ
シラン含量が20%以上である有機物[アラビノキシラ
ン含有有機物(A)]と共に、吸着性鉱物材料および/
または炭類[発酵助材(B)]を用いる場合は、吸着性
鉱物材料として例えば天然または合成によるゼオライ
ト、バーミキュライト等の鉱物材料を用いることがで
き、また炭類としては例えば木炭、クン炭、モミガラ
炭、活性炭、骨炭等を使用することができる。吸着性鉱
物材料および/または炭類は、1種のみを使用してもま
たは2種以上を併用してもよい。吸着性鉱物材料および
炭類のうちの2種以上を併用するのが好ましく、特に吸
着性鉱物材料と炭類の両方を用いるのが望ましい。発酵
助材(B)は、発酵生成物の通気性の向上および過度の
固化の防止、有用微生物の繁殖の促進、発酵により生成
した有用栄養分の保持能の向上等をもたらし、それによ
って発酵の一層の促進がなされる。
【0012】しかしながら、アラビノキシラン含有有機
物(A)と共に発酵助材(B)を併用する場合は、発酵
助材(B)の使用量[2種以上の発酵助材(B)を使用
する場合はその合計重量]を、上記のように、アラビノ
キシラン含有有機物(A)に対してその等重量以下とす
る[すなわちアラビノキシラン含有有機物(A)100
重量部当たり発酵助材(B)を100重量部以下とす
る]ことが必要であり、発酵助材(B)をアラビノキシ
ラン含有有機物(A)よりも多く使用すると、有用な放
線菌等の増殖が少なくなり有用菌叢の多く含まれる肥料
を得ることができなくなる。特に、本発明では、アラビ
ノキシラン含有有機物(A)100重量部に対して、発
酵助材(B)を約40〜70重量部の割合で含む混合物
を発酵原料として用いるのが好ましく、その場合には有
用な放線菌等を多く含む肥料効果の高い有機質肥料を極
めて短い期間で得ることができる。
【0013】また、本発明では、アラビノキシラン含有
有機物(A)、またはアラビノキシラン含有有機物
(A)と発酵助材(B)との混合物に、必要に応じて1
種または2種以上の他の材料を加えた発酵原料を用いて
発酵を行ってもよい。その場合に加え得る他の材料とし
ては、例えば、硫酸アンモニウムや過リン酸石灰等のチ
ッソ源、リン源、カリ源、鉄源となる無機質肥料成分等
を挙げることができ、これらは1種類のみを加えてもま
たは2種以上を加えてもよい。これらの無機質肥料成分
の添加によって本発明の肥料の肥効を高めることができ
る。また、これらの他の材料を加える場合は、アラビノ
キシラン含有有機物(A)および発酵助材(B)の合計
重量に基づいて、約5%以下にするのがよい。
【0014】そして、上記した発酵原料を用いて発酵を
行うに当たっては、発酵原料を滅菌処理せずそのまま直
接使用してもよいが、ストレプトミセス属放線菌、シュ
ードモナス属細菌およびバシルス属細菌の1種または2
種以上を加える前に滅菌処理を施して雑菌等を死滅させ
ておくのが望ましい。滅菌処理を行う場合は加熱水蒸気
による方法が発酵原料に適度な水分を同時に付与するこ
とができ好ましい。
【0015】本発明では上記のようにして得られた発酵
原料に対してストレプトミセス属放線菌、シュードモナ
ス属細菌およびバシルス属細菌の1種または2種以上を
添加し、更に水を加えてその水分含量を発酵に適したも
のにすると共に、発酵原料のpHを6.0〜12.0の
範囲に調整してから発酵を開始させることが重要であ
る。発酵開始時の発酵原料のpHが6.0未満であった
り、12.0を超える場合には発酵が円滑に進まず肥料
化に長い時間を要するようになる。発酵開始時の発酵原
料のpHは7.0〜9.5の範囲になるように調整して
おくのがより好ましい。
【0016】発酵原料のpHの調整に当たっては、加水
した発酵原料のpHが6.0未満の場合は塩基性化合物
を添加してpHを6.0〜12.0の範囲に調整するの
がよく、その際の塩基性化合物としては塩基性無機化合
物および塩基性有機化合物のいずれもが使用でき、その
うちでも経済的で安全性が高いことから消石灰を使用す
るのが好ましい。また、加水した発酵原料のpHが1
2.0よりも高い場合は、酸性化合物を添加してpHを
6.0〜12.0の範囲に調整するのがよく、その際の
酸性化合物としては酸性無機化合物および酸性有機化合
物のいずれもが使用できる。そのうちでも弱酸性無機化
合物が好ましく、入手し易くしかも植物に対する障害が
少ないことから、リン酸一ナトリウムなどの弱酸性リン
酸塩がより好ましい。また、リン酸一ナトリウムは消臭
効果を有しており、かかる点からも好ましい。
【0017】発酵原料のpHを6.0〜12.0に調整
するに当たっては、塩基性化合物または酸性化合物を粉
末等の固体状で発酵原料に添加して混合する方法、塩基
性化合物または酸性化合物を水等の液体に溶解または分
散させて発酵原料に添加混合する方法などを用いること
ができる。発酵原料のpHの調整は、発酵原料に上記し
た放線菌および/または細菌を加え更に水を加えた後に
行うのが好ましい。しかし場合によっては、発酵原料に
水を加えた後にpHを6.0〜12.0に調整し、その
後に上記の放線菌および/または細菌を加えてもよい。
【0018】本発明で用いるストレプトミセス(Strept
omyces)属の放線菌としては、特にストレプロミセス・
ヘイミ(Streptomyces heimi)、ストレプトミセス・フ
ラベオラス(Streptomyces flaveolus)、ストレプトミ
セス・ミシオネンシス(Streptomyces misionensis)、
ストレプトミセス・ヒューマナス(Streptomyces fuman
us)、ストレプトミセス・アルブラス(Streptomyces a
lbulus)およびストレプトミセス・グリセオフスカス
(Streptomyces griseofuscus)等の菌類が資化効果が
高く有用である。また、有用なシュードモナス(Pseudo
monas)属の細菌の例としてはシュードモナス・フルオ
レセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナ
ス・プチダ(Pseudomonas putida)等を、そして有用な
バシルス(Bacillus)属の細菌の例としてはバシルス・
サーキュランス(Bacillus circulans)、バシルス・ズ
ブチルス(Bacillus subtilis)等を挙げることができ
る。
【0019】本発明で用いるストレプトミセス属の放線
菌、シュードモナス属の細菌およびバシルス属の細菌は
いずれも既知のものを使用すればよく、市販のものまた
は分譲入手可能なものを使用することができる。ストレ
プトミセス・ヘイミの例としてはIFO 13048、ATCC 2546
0を、ストレプトミセス・フラベオラスの例としてはIFO
3408、IFO 3715、IFO 12768、ATCC 3319を、ストレプ
トミセス・ミシオネンシスの例としてはIFO 13063、ATC
C 14991、ATCC 25475を、ストレプトミセス・ヒューマ
ナスの例としてはIFO 13042、ATCC 19904、ATCC 25454
を、ストレプトミセス・アルブラスの例としてはIFO 13
410、IFO 14147、ATCC 12757を、ストレプトミセス・グ
リセオフスカスの例としてはIFO 12870、ATCC 23916を
挙げることができる。また、シュードモナス・フルオレ
センスの例としてはIFO 13922、IFO 14160、IAM 1092、
IAM 1154を、シュードモナス・プチダの例としてはIFO
3738、IFO 12653、IF0 12996、IFO 13696、IFO 14164、
IFO 14796、ATCC 8209、ATCC 12633を挙げることができ
る。更にバシルス・サーキュランスの例としてはIFO 33
29、IFO 3967、IFO 13625〜13640、IAM 1140、AHU 136
3、AHU 1365、AHU 1646、ATCC 4513、ATCC 8384、ATCC
9966、ATCC 14175、ATCC 14176を、バシルス・ズブチル
スの例としてはIFO 13722、IFO 14117、IFO 14140、IFO
14144、IFO14191、IFO 14192、IFO 14357、IFO 14411
〜14419、ATCC 19659等を挙げることができる。
【0020】発酵に用いる菌の量は、乾燥菌体に換算し
て、加水した後の発酵原料の重量に基づいて約0.05
〜0.2%程度とするのがよい。発酵に用いる菌として
は、上記した純粋な乾燥菌体の他に、それらの菌体の少
なくとも1種を含む発酵製品であってもよい。例えば、
本発明の方法により得られる発酵生成物(有機質肥料)
の一部を採取して、それをそのまま次回の発酵処理にお
ける菌体として用いてもよい。その場合には、加水後の
発酵原料の重量に基づいて約5〜20%の割合で発酵生
成物(本発明の有機質肥料)を加えて発酵工程を行うと
よい。
【0021】発酵は通常好気性発酵であり、発酵に際し
ては原料中の水分含量の調節および発酵温度の調節が必
要である。水分量が多過ぎると発酵熱が発生しにくくな
って嫌気性発酵が主として起こり異臭を有し且つ肥効の
低い腐敗物を生じ易くなり、一方水分含量が少ないと発
酵温度が急激に上昇して有効成分であるチッソ分等の揮
発や有用微生物の死滅を招く。一般的には水を加えた後
の発酵原料の全重量に基づいて水分含量を約30〜45
%、特に約35〜40%に調整して発酵を開始するのが
よい。また、発酵開始時点から発酵終了時点までの間、
発酵原料の品温を約20〜75℃に保って発酵を行うの
が好ましく、約45〜70℃とするのがより好ましい。
【0022】発酵に当たっては、水分含量を調節し、上
記した放線菌および/または細菌を添加し且つpHを上
記のようにして調整した発酵原料を所定の厚さに堆積さ
せ、品温を上記した温度範囲に維持するように堆積物の
切り返しや撹拌を発酵の終了まで数回行うのがよく、発
酵の終了は粒度の細かいサラサラした粒状生成物が得ら
れることにより知ることができる。より厳密にいうと、
発酵生成物の全糖量の割合が1%以下(乾物重量1g当
たりの全糖量が10mg以下)になった時点をもって発
酵の終了とするとよい。一般に、発酵生成物またはその
抽出液中の全糖量の割合が0%に近いほど有機質肥料と
しての効果が高く望ましい。
【0023】pHを6.0〜12.0に調整して発酵を
開始した発酵原料は、発酵の初期には発酵が進むにつれ
てpHが低下してくるが、pHが6.0未満、好ましく
は6.5未満になった場合には上記した消石灰などの塩
基性化合物を用いてpHが6.0〜9.5、好ましくは
6.5〜8.5の範囲になるように調整する。また一般
に発酵開始後約2〜4日経過するとpHが上昇し始める
ので、pHが9.5を超えた場合、好ましくは8.5を
超えた場合には上記したリン酸一ナトリウムなどの酸性
化合物を添加してpHが6.0〜9.5、好ましくは
6.5〜8.5の範囲に保たれるように調整しながら発
酵を行う。その際に発酵原料のpHの測定は継続的にま
たは断続的に行うことができる。
【0024】上記したpH条件下で発酵を行うと、発酵
の終了時に発酵生成物中で発酵に使用した上記の放線菌
および/または細菌が増殖しており、それらの菌数の合
計が通常1×107個/g以上になった時点をもって発
酵の終了とすることもできる。例えば、pHを7.0に
調整した水分含量が35%の発酵原料に対して、その
0.1%に相当する乾燥した上記の放線菌および/また
は細菌を加え、これを約20cmの厚さに堆積して、雰
囲気温度約25〜30℃で発酵原料のpHを6.5〜
8.5に調整しながら発酵を行った場合には、通常、発
酵開始約7〜10日後に肥料効果の高い有機質肥料を得
ることができる。
【0025】上記で得られた本発明の有機質肥料は、そ
のまま早めに使用するか、または有用微生物を殺さない
条件下で充分に乾燥した後に湿気を通さない袋や他の容
器に入れて保存しておくとよい。また、上記したように
その一部を次回の発酵処理における菌体として用いても
よい。本発明の有機質肥料は、悪臭のないサラサラした
微粒状であって、取り扱いが極めて容易である。本発明
の有機質肥料は、草花、野菜、稲、麦、豆類、樹木、果
樹等のいずれの植物に対しても有効に使用できる。その
うちでも、本発明の肥料は、特に芝草用肥料として適し
ている。芝草に施す場合は、そのまま散布等の手段で直
接芝草に施肥でき、通常、芝草1m2当り約50〜50
0gの割合で施す。更に、芝草の目土の代わりに芝草1
2当り約100g〜1000gの割合で施すと、目土
の効果と施肥の効果を同時に得ることができる。
【0026】
【実施例】
《実施例 1》アラビノキシラン含量35%の小麦フス
マ50kg、ゼオライト4.8kgおよびバーミキュラ
イト30.0kgからなる混合物(合計84.8kg:
混合物中の小麦フスマ含量59%)を大型ミキサーを使
用して均一に混合した後、水を35.0kg加え加熱蒸
気により滅菌処理した。滅菌処理後の混合物の水分含量
は約40%であった。この混合物にストレプトミセス・
フラベオラス(Streptomyces flaveolus)菌(IFO 1276
8)およびバシルス・サーキュランス(bacilluscircula
ns)菌(IFO 13640)を各々80gずつ添加して均一に
混合した後、消石灰のの粉末を添加して混合物のpHを
9.2に調整した。これを雰囲気温度25℃に調整した
発酵室内に20cmの厚さに堆積して発酵を開始した。
【0027】発酵中に混合物のpHを継続的に測定する
と共に混合物のpHが6.5〜8.5の範囲から外れそ
うになった場合には消石灰の粉末またはリン酸一ナトリ
ウムの水溶液を用いて混合物のpHが常に6.5〜8.
5になっているようにpH調整しながら、好気的条件下
に15日間発酵を行った。発酵開始15日後の発酵生成
物のpHは8.5であった。発酵期間中にほぼ1日毎に
返しを行って堆積物の温度の均一化を図った。発酵開始
7日後、9日後、10日後および15日後に発酵生成物
の全糖量を下記の方法で測定した。また発酵開始20日
後の発酵生成物中に含まれる一般生菌、糸状菌および放
線菌の菌数を下記の方法で測定した。さらに発酵開始2
0日後の発酵生成物中に含まれる窒素分含量(全窒素含
量、アンモニア態窒素含量および硝酸態窒素含量)およ
びカリウムイオン濃度を下記のようにして求めた。それ
らの結果を下記の表1に示す。また発酵開始20日後の
発酵生成物の性状を併せて表1に記載した。
【0028】〈菌数の測定方法〉菌数は次のようにして
希釈寒天平板培養法により測定した。一般生菌数 :水1リットル当りポリペプトン5g、イー
ストエキス2.5g、ブドウ糖1gおよび寒天15gを
加えて調製した標準寒天平板培地(pH7.0)を使用
して、37℃で24時間培養した時のコロニー数を測定
した。糸状菌数 :水1リットル当り麦芽エキス20g、イース
トエキス5g、ブドウ糖10gおよび寒天25gを加え
て調製したMYG寒天平板培地(pH4.3)を使用し
て、37℃で3日間培養した時のコロニー数を測定し
た。放線菌数 :水1リットル当り殿粉10g、カゼイン0.
3g、KNO32g、NaCl 2g、K2HPO4 2g、MgSO4・7H
2O 0.05g、CaCO3 0.02g、FeSO4・7H2O 0.
01g、寒天18gおよびサイクロヘキシミド(防黴
剤)0.06gを加えて調製した寒天平板培地(pH
7.2)を使用して、30℃で6日間培養した時のコロ
ニー数を測定した。
【0029】〈全糖量の測定〉西尾道徳著「土壌微生物
の基礎知識」第74〜75頁、社団法人 農山漁村文化
協会発行(1989年)に記載された方法に従って、発
酵させる前の混合物、発酵開始7日後の発酵生成物また
は発酵開始9日後の発酵生成物を1g採取して水30m
lに入れ、撹拌した後に60℃で3時間放置する。次い
で東洋濾紙No.5を使用して濾過し、得られた濾液0.
5mlに対して5%フェノール水溶液0.5mlおよび
濃硫酸3mlを加えて撹拌する。これを30分間放置し
た後、波長490nmにおける吸光度を測定して全糖量
(mg)をグルコース換算量として求め、全糖量の割合
を求めた。
【0030】〈発酵生成物の窒素分含量(全窒素;アン
モニア態窒素;硝酸態窒素)の測定〉全窒素含量 :試料(有機質肥料)0.5gを採取し、こ
れに分解触媒(日本ゼネラル社製)1個と硫酸4mlを
加えて30分〜1時間かけて加熱分解処理し、緑色にな
った時点で分解を終了する。放冷後、水40mlを加
え、その結果得られた試料液を用いて、日本ゼネラル社
製「KJELTEC AUTO 1030 Analyzer」により測定を行って
全窒素含量(%)を求めた。アンモニア態窒素含量 :試料(有機質肥料)2gに蒸留
水40mlを加えて30分間振盪した後、遠心分離(3
000rpmで10分間)し、上澄み液を濾過し、その
結果得られた濾液20mlを用いて、日本ゼネラル社製
「KJELTEC AUTO 1030 Analyzer」により測定を行ってア
ンモニア態窒素含量(%)を求めた。硝酸態窒素含量 :試料(有機質肥料)6gに蒸留水30
mlを加えて30分間混合した後、遠心分離(3000
rpmで10分間)し、その結果得られた上澄み液を用
いて、(株)堀場製作所製「COMPACT ION METER C-14
1」により測定を行って硝酸態窒素含量(%)を求め
た。
【0031】〈発酵生成物のカリウムイオン濃度の測
定〉試料(有機質肥料)6gに蒸留水30mlを加えて
30分間混合した後、遠心分離(3000rpmで10
分間)し、その結果得られた上澄み液を用いて、(株)
堀場製作所製「COMPACT ION METER C-131」により測定
を行ってカリウムイオン濃度(%)を求めた。
【0032】《参考例 1》アラビノキシラン含量35
%の小麦フスマ50kg、ゼオライト4.8kgおよび
バーミキュライト30.0kgからなる混合物(合計8
4.8kg:混合物中の小麦フスマ含量59%)を大型
ミキサーを使用して均一に混合した後、水を35.0k
g加え加熱蒸気により滅菌処理した。滅菌処理後の混合
物の水分含量は約40%であった。次に、アスペルギル
ス・オリゼー(Aspergillus oryzae)(IFO 30105)の
乾燥菌体80gを加えて均一に混合した後、雰囲気温度
を27℃にコントロールした室内に20cmの厚さに堆
積して好気的条件下に48時間一次発酵させた。一次発
酵の途中に2回切り返しを行った。
【0033】次いで、ストレプトミセス・フラベオラス
(Streptomyces flaveolus)菌(IFO 12768)およびバ
シルス・サーキュランス(bacillus circulans)菌(IF
O 13640)を各々80gずつ添加して均一に混合したのち
20cmの厚さに堆積して、好気的条件下に雰囲気温度
を25℃にコントロールして15日間発酵を行った。発
酵終了時の発酵生成物のpHは8.2であった。発酵期
間中にほぼ1日毎に返しを行って堆積物の温度の均一化
を図った。発酵開始7日後、9日後、10日後および1
5日後に発酵生成物の全糖量を上記の方法で測定した。
また発酵開始20日後の発酵生成物中に含まれる一般生
菌、糸状菌および放線菌の菌数、並びに発酵開始20日
後の発酵生成物中に含まれる窒素含量(全窒素含量、ア
ンモニア態窒素含量および硝酸態窒素含量)およびカリ
ウムイオン濃度を上記の方法で測定した。それらの結果
を発酵開始20日後の発酵生成物の性状と共に下記の表
1に示す。
【0034】
【表1】 実施例 参考例 1 1 全糖量の割合(%): 発酵開始7日後 0.6 1.4 発酵開始9日後 0.5 1.1 発酵開始10日後 0.5 0.9 発酵開始15日後 0.4 0.5 ○菌数(個/g): 一般生菌 1×109 7×108 糸 状 菌 1×105 4×105 放 線 菌 1×107 1×107窒素分含量: 全窒素(%) 1.8 1.7 アンモニア態窒素(%) 0.14 0.13 硝酸態窒素(%) 0.7 0.7 ○カリウムイオン濃度(%): 0.3 0.2 ○性 状: 異 臭 なし なし 色 黒褐色 黒褐色 ○判 定 1): ◎ ○ 1) 判定: ◎:7日以内で全糖量が1%以下にまで低下し、発酵状
態が極めて良好 ○:10日以内で全糖量が1%以下にまで低下し、発酵
状態が良好
【0035】上記表1の結果から、実施例1による場合
は参考例1に比べて短い発酵時間で参考例1とほぼ同様
の物性を有する肥料効果の高い有機質肥料が得られるこ
とがわかる。
【0036】《実施例 2》発酵開始時の混合物のpH
および発酵時の混合物のpHを下記の表2に示したpH
に調整した以外は実施例1と同様にして発酵を行って、
発酵開始7日後、9日後および15日後の発酵生成物に
おける全糖量の割合(%)を上記した方法で求めた。そ
の結果を下記の表2に示す。
【0037】
【表2】 pH 全糖量の割合(%) 実験番号 発酵開始時 発 酵 中 発酵開始 発酵開始 発酵開始 判定1) 7日後 9日後 15日後 1 5.5 5.5 2.0 1.9 1.9 × 2 7.0 6.5〜8.5 0.6 0.5 0.4 ◎ 3 9.5 6.5〜8.5 0.8 0.7 0.5 ◎ 4 12.0 6.5〜8.5 1.7 1.3 0.9 ○ 5 12.5 6.5〜8.5 1.7 1.6 1.5 × 6 9.5 8.5〜9.5 1.8 1.4 1.0 ○ 7 12.0 10.0 2.8 2.7 2.7 × 8 12.0 10.5 3.2 3.2 3.2 × 1) 判定: ◎:7日以内で全糖量が1%以下にまで低下し、発酵状
態が極めて良好 ○:15日以内で全糖量が1%以下にまで低下し、発酵
状態が良好 ×:15日経過しても全糖量が1%よりも高く、発酵状
態が不良
【0038】上記表2の結果から、本発明の有機質肥料
の製造に当たっては、発酵開始時の発酵原料のpHを
6.0〜12.0に調整し、そして発酵中には発酵原料
のpHが6.0〜9.5の範囲に保たれるようにして発
酵を行うことが重要であることがわかる。
【0039】《実施例 3》アラビノキシラン含量35
%の小麦フスマ70kgおよびゼオライト7.8kgか
らなる混合物(合計77.8kg:混合物中の小麦フス
マ含量90%)を大型ミキサーを使用して均一に混合し
た後、水を33.0kg加え加熱蒸気により滅菌処理し
た。滅菌処理後の混合物の水分含量は約40%であっ
た。この混合物にストレプトミセスフ・ヘイミ(Strept
omyces heimi)菌(IFO 25460)およびバシルス・ズブ
チルス(bacillus subtilis)菌(IFO 14144)を各々8
0gずつ添加して均一に混合した後、消石灰のの粉末を
添加して混合物のpHを9.5に調整した。これを雰囲
気温度25℃に調整した発酵室内に20cmの厚さに堆
積して発酵を開始した。
【0040】発酵中に混合物のpHを継続的に測定する
と共に混合物のpHが6.5〜8.5の範囲から外れそ
うになった場合には消石灰の粉末またはリン酸一ナトリ
ウムの水溶液を用いて混合物のpHが常に6.5〜8.
5になっているようにpH調整しながら、好気的条件下
に20日間発酵を行った。発酵開始20日後の発酵生成
物のpHは8.2であった。発酵期間中にほぼ1日毎に
返しを行って堆積物の温度の均一化を図った。発酵開始
7日後、10日後、15日後および20日後の発酵生成
物における全糖量の割合を上記した方法で求めた。また
発酵開始20日後の発酵生成物中に含まれる一般生菌、
糸状菌および放線菌の菌数を上記した方法で測定した。
それらの結果を下記の表3に示す。
【0041】《比較例 1》アラビノキシラン含量35
%の小麦フスマ70kgおよびゼオライト7.8kgか
らなる混合物(合計77.8kg:混合物中の小麦フス
マ含量90%)を大型ミキサーを使用して均一に混合し
た後、水を33.0kg加え加熱蒸気により滅菌処理し
た。滅菌処理後の混合物の水分含量は約40%であっ
た。次に、上記の混合物にアスペルギルス・オリゼー
(Aspergillus oryzae)菌(IFO 30105)の乾燥菌体8
0gを加えて均一に混合した後、雰囲気温度を27℃に
調整した発酵室内に20cmの厚さに堆積して、好気的
条件下に72時間一次発酵させた。一次発酵の途中に3
回切り返しを行った。
【0042】次いで、ストレプトミセス・ヘイミ(Stre
ptomyces heimi)菌(IFO 025460)およびバシルス・ブ
スチルス(Bacillus subtilis)菌(IFO 014144)を各々
80gずつ添加して均一に混合した後、これを雰囲気温
度25℃に調整した発酵室内に20cmの厚さに堆積し
て発酵を開始した。発酵開始20日後の発酵生成物のp
Hは8.2であった。発酵期間中にほぼ一日毎に切り返
しを行って堆積物の温度の均一化および好気的条件を図
った。発酵開始7日後、10日後、15日後および20
日後の発酵生成物における全糖量の割合を上記した方法
で求めた。また発酵開始20日後の発酵生成物中に含ま
れる一般生菌、糸状菌および放線菌の菌数を上記した方
法で測定した。それらの結果を下記の表3に示す。
【0043】《実施例 4》発酵原料として、実施例3
で用いたのと同じ小麦フスマ80kg(小麦フスマ10
0%)を用いた以外は実施例3と同様に20日間発酵処
理した。発酵開始20日後の発酵生成物のpHは8.0
であった。発酵開始7日後、10日後、15日後および
20日後の発酵生成物における全糖量の割合を上記した
方法で求めた。また発酵開始20日後の発酵生成物中に
含まれる一般生菌、糸状菌および放線菌の菌数を上記し
た方法で測定した。それらの結果を下記の表3に示す。
【0044】《比較例 2》アラビノキシラン含量35
%の小麦フスマ80kg(小麦フスマ100%)に水を
33.0kg加え加熱蒸気により滅菌処理した。滅菌処
理後の混合物の水分含量は約40%であった。次に、ア
スペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)菌(IF
O 30105)の乾燥菌体80gを加えて均一に混合した
後、雰囲気温度を27℃に調整した発酵室内に20cm
の厚さに堆積して、好気的条件下に72時間一次発酵さ
せた。一次発酵の途中に3回切り返しを行った。
【0045】次いで、ストレプトミセス・ヘイミ(Stre
ptomyces heimi)菌(IFO 025460)およびバシルス・ブ
スチルス(Bacillus subtilis)菌(IFO 014144)を各々
80gずつ添加して均一に混合した後、これを雰囲気温
度25℃に調整した発酵室内に20cmの厚さに堆積し
て発酵を開始した。発酵開始20日後の発酵生成物のp
Hは8.2であった。発酵期間中にほぼ一日毎に切り返
しを行って堆積物の温度の均一化および好気的条件を図
った。発酵開始7日後、10日後、15日後および20
日後の発酵生成物における全糖量の割合を上記した方法
で求めた。また発酵開始20日後の発酵生成物中に含ま
れる一般生菌、糸状菌および放線菌の菌数を上記した方
法で測定した。それらの結果を下記の表3に示す。
【0046】
【表3】 実施例 比較例 実施例 比較例 3 1 4 2 (小麦フスマ90%) (小麦フスマ100%) 全糖量の割合(%): 発酵開始7日後 1.0 2.3 1.2 2.7 発酵開始10日後 0.8 2.0 0.9 2.5 発酵開始15日後 0.6 1.9 0.8 2.3 発酵開始20日後 0.6 1.7 0.7 2.2 ○菌数(個/g): 一般生菌 5×109 2×108 7×109 9×107 糸 状 菌 6×104 2×105 5×103 6×105 放 線 菌 2×107 3×105 5×107 4×104判 定 1): ◎ × ○ × 1) 判定: ◎:7日以内で全糖量の割合が1%以下に低下してお
り、発酵状態が極めて良好 ○:10日以内で全糖量が1%以下にまで低下し、発酵
状態が良好 ×:20日経過しても全糖量の割合が1%よりも高く、
発酵状態が不良
【0047】上記表3の結果から、実施例3による場合
は7日以内および実施例4による場合は10日以内の極
めて短い発酵期間で発酵物中の全糖量の割合が1%以下
にまで低下し、充分に発酵した肥料効果の高い有機質肥
料が極めて短期間で得られることがわかる。それに対し
て、比較例1および比較例2による場合は、発酵開始2
0日後でも発酵物中の全糖量の割合が1%よりも高く、
発酵がなかなか進行せず、発酵に長い期間を要すること
がわかる。
【0048】
【発明の効果】本発明の有機質肥料は、複雑で手間のか
かる工程や装置を使用せずに、1段の発酵工程で極めて
簡単に且つ極めて短い期間(通常10日以内の発酵期
間)で製造することができる。そして、本発明の方法に
よる場合は、互いに異なった微生物を用いて一次発酵お
よび二次発酵を行う2段発酵法に比べて、使用する微生
物の種類が少なくて済むために微生物の管理が容易であ
る。また、本発明の有機質肥料は、従来の化成肥料のよ
うな濃度障害による植物の成育不良や枯れをおこさず肥
効が持続し植物を極めて良好に生育させることができ
る。本発明の有機質肥料は、異臭が全くなくサラサラと
して微細な粒子からなっているために、取り扱いが極め
て容易であり、施肥しても周囲に悪臭を放たない。本発
明の有機質肥料では、発酵によりアラビノキシラン含有
有機物の成分が肥料としてより有効な成分に変換されて
いるので、従来の有機質肥料におけるような一時的な酸
欠状態およびメタンガスやアンモニアガスの発生による
植物の発育不良や根の衰弱を生起することがない。
【0049】本発明の有機質肥料は、特に芝草に適して
おり、連用しても土の痩せおよび環境汚染等の問題を生
じない。そして、本発明において、発酵原料として、特
にアラビノキシラン含有有機物(A)と共にその等重量
以下の吸着性鉱物および炭類の少なくとも1種を含む発
酵原料を用いた場合には、発酵が一層促進され、それと
同時に、有用菌、特にアラビノキシランを資化する放線
菌等の生育を促進することができ、これによって、本発
明の有機物肥料には、植物の成長に必要な栄養成分が吸
収され易い形態で多量に含まれているとともに、植物の
生育にとって有害な病原菌やその他の生物の繁殖や生息
を阻止する有用な放線菌等を極めて多量に含有している
ので、植物を丈夫に且つ良好に生育させることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神前 健 茨城県つくば市大久保13番地 日清製粉株 式会社つくば研究所内 (72)発明者 岡田 憲三 茨城県つくば市大久保13番地 日清製粉株 式会社つくば研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アラビノキシラン含量が20重量%以上
    である有機物からなる発酵原料に、ストレプトミセス属
    放線菌、シュードモナス属細菌およびバシルス属細菌の
    うちの1種または2種以上を加え、発酵原料のpHを
    6.0〜12.0に調整して発酵を開始させ、そして発
    酵中に発酵原料のpHが6.0〜9.5範囲に保たれる
    ようにpHを調整しながら発酵を進めることを特徴とす
    る有機質肥料の製造方法。
  2. 【請求項2】 アラビノキシラン含量が20重量%以上
    である有機物と、該有機物に対して等重量以下の吸着性
    鉱物材料および炭類から選ばれる少なくとも1種との混
    合物からなる発酵原料に、ストレプトミセス属放線菌、
    シュードモナス属細菌およびバシルス属細菌のうちの1
    種または2種以上を加え、発酵原料のpHを6.0〜1
    2.0に調整して発酵を開始させ、そして発酵中に発酵
    原料のpHが6.0〜9.5範囲に保たれるようにpH
    を調整しながら発酵を進めることを特徴とする有機質肥
    料の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2の方法により製造され
    た有機質肥料。
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