JPH07232032A - 排煙脱硫法 - Google Patents

排煙脱硫法

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JPH07232032A
JPH07232032A JP6327292A JP32729294A JPH07232032A JP H07232032 A JPH07232032 A JP H07232032A JP 6327292 A JP6327292 A JP 6327292A JP 32729294 A JP32729294 A JP 32729294A JP H07232032 A JPH07232032 A JP H07232032A
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JP
Japan
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heater
compound
absorption
sulfite
liquid
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JP6327292A
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Jiyungo Sueyoshi
潤五 末吉
Takanori Kitamura
隆範 北村
Takao Moriya
隆夫 守屋
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 硫黄酸化物を含む燃焼排ガスを湿式吸収法に
より脱硫するにあたり、亜硫酸塩で硫黄酸化物を吸収し
た吸収液から二酸化硫黄を再生する工程に、EDTA−
4Na塩、ピロリン酸4Na塩などの有機および/また
は無機の複数の配位座を有する化合物を10ppm以上
存在させて行う排煙脱硫法、および硫黄酸化物を含む燃
焼排ガスを湿式吸収法により脱硫するにあたり、亜硫酸
塩で硫黄酸化物を吸収した吸収液をキレ−ト樹脂で処理
する排煙脱硫法。 【効果】蒸発器チュ−ブの閉塞などの問題がなく、ウエ
ルマンロ−ド法による排煙脱硫を長期に安定に実施する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は排煙脱硫法に関する。さ
らに詳しくは、硫黄酸化物を含む燃焼排ガスを湿式吸収
法により脱硫するにあたり、亜硫酸塩で硫黄酸化物を吸
収した吸収液から二酸化硫黄ガスを再生する工程に、有
機および/または無機の複数配位座を有する化合物を特
定量存在させて行う改良された湿式排煙脱硫法、及び該
吸収液をキレ−ト樹脂で処理して行う改良された湿式排
煙脱硫法に関する。
【0002】
【従来の技術】硫黄酸化物による大気汚染の防止を目的
として種々の排煙脱硫法が考案され稼働中であるが、湿
式法による排煙脱硫法の一つにウエルマンパワ−ガス社
(Wellman-Power Gass)によって開発され、1970年
代初頭に日本に技術導入されたウエルマンロ−ド法があ
る。
【0003】ウエルマンロ−ド法には、カリウムを使用
するウエルマンK法とナトリウムを使用するウエルマン
Na法があり、例えばウエルマンNa法は、温度60
℃前後で次の(I)の反応により、飽和に近い亜硫酸ソ
−ダ(Na2SO3)の濃厚溶液を用いて、燃焼排ガス中
の主として二酸化硫黄ガスからなる硫黄酸化物を吸収さ
せる吸収工程、
【化1】 硫黄酸化物を吸収した吸収液を加熱器に送り、100
℃程度に蒸気加熱して次の(II)の反応により二酸化
硫黄ガスを回収すると同時に、析出した亜硫酸ソ−ダを
濾過分離後、結晶を水に再溶解し、吸収液として循環使
用する吸収液の再生工程、及び吸収液再生工程で発生
する二酸化硫黄ガスを回収して硫酸を製造する硫酸製造
工程からなっている。
【化2】
【0004】この方法においては、吸収液は循環再使用
されるので、薬剤の損失が少ないこと、吸収液の二酸化
硫黄ガス吸収能力が高いため、液循環量が少なくてすむ
こと、副生品として硫酸が利用できること、プラントが
コンパクトで建設費、運転費が安価であること、負荷変
動に対して追随性が良好であることなどの特徴を有して
いることから、硫黄酸化物による大気汚染を防止しうる
有効な方法として注目されている。
【0005】ウエルマンロ−ド法による排煙脱硫は、上
述した利点を有しているが、吸収液再生工程における結
晶の析出による加熱器チュ−ブの閉塞と伝熱効率の低下
が問題点として指摘されている。加熱器は多数のチュ−
ブから構成されており、加熱器のチュ−ブが閉塞される
と、プラントを停止して全チュ−ブを洗浄する必要があ
る。加熱器を複数基準備して交互に使用するとしても、
煩雑で定期的な加熱器チュ−ブの洗浄は不可避であり、
とくにプラントを停止することによる各生産部門などへ
の影響は多大であり、本方法を採用する際の大きな難点
となっている。
【0006】湿式排煙脱硫法を改善するものとして、特
開昭49−83674号公報明細書に、二酸化硫黄ガス
の吸収剤として亜硫酸塩を使用する吸収工程において、
アミン系またはフェノ−ル系の酸化防止剤を添加するこ
とが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記方法は、亜硫酸塩
の酸化を防止する目的でアミン系などの酸化防止剤を添
加するものであるので、添加剤は必然的に吸収工程に添
加される。この方法により、吸収工程にアミン系の酸化
防止剤を添加する場合は、全系の保有液に対して濃度管
理を行わねばならず、そのため応答が遅くなり、添加量
調整などの的確な判断が困難となる。また、吸収液は残
渣その他の不純物の蓄積を避けるために、通常液の一部
がパ−ジされており、添加剤は吸収液のパ−ジに伴って
一部消失することと、全系の保有液に対して添加剤を供
給しなければならないため、添加剤を過大に添加する必
要がある。さらに、吸収工程は一般に高温であるため添
加剤の一部が熱分解することにより添加効果が低減す
る。
【0008】したがって、本発明の目的は、加熱器チュ
−ブの閉塞がなく、V、Fe、Niなどの金属の含有量
の変動によっても吸収液の処理量が変動せず、燃料中の
硫黄酸化物の含有量変動(加熱器の負荷の増減)にも速
やかに追随し、効率よく添加剤の濃度を管理することが
でき、長期に安定運転可能で工業的に有利な湿式排煙脱
硫法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題、
とくに加熱器チュ−ブの閉塞の問題を解決するため、二
酸化硫黄ガスを回収する循環液の再生工程においては、
二酸化硫黄ガスの発生とともに生成される亜硫酸塩の循
環液への溶解度が重亜硫酸塩のそれに比べて小さいこ
と、系中の水分が二酸化硫黄ガスの発生と同時に留去さ
れることにより亜硫酸塩が結晶となって系外に析出する
こと、および亜硫酸塩の析出過程においては、結晶が微
細化し易くなることなどに着目して鋭意検討し、有機お
よび/または無機の複数の配位座を有する化合物を吸収
液中に共存させると、結晶の肥大化が生じ、上記目的が
達成されることを見出した。
【0010】すなわち、本発明は、硫黄酸化物を含む燃
焼排ガスを湿式吸収法により脱硫するにあたり、亜硫酸
塩で硫黄酸化物を吸収した吸収液から二酸化硫黄ガスを
再生する工程に、有機および/または無機の複数の配位
座を有する化合物を10ppm以上存在させることを特
徴とする排煙脱硫法である。
【0011】また、本発明は、硫黄酸化物を含む燃焼排
ガスを湿式吸収法により脱硫するにあたり、亜硫酸塩で
硫黄酸化物を吸収した吸収液をキレ−ト樹脂で処理する
ことを特徴とする排煙脱硫法である。
【0012】本発明の改良された排煙脱硫法のフロ−シ
−トを図1に示す。図1に従って本発明を詳細に説明す
る。図1において、1から集塵器でダストが除去された
燃焼排ガスを吸収塔2へ導入する。燃焼排ガスはC重油
を燃料とするものが一般的であるが、V、Fe、Niな
どの金属類を含有するピッチコ−クスを混合して燃焼さ
せた排ガスであってもなんら差支えない。燃焼排ガスは
吸収塔で、主として二酸化硫黄ガスからなる硫黄酸化物
が亜硫酸塩で吸収され、吸収後の排ガスは3より煙突へ
導かれる。
【0013】吸収液は、1部が吸収液パ−ジ管4からパ
−ジされ、加熱器供給槽6から、加熱器供給ポンプ7に
より熱交換器8を経由して第一加熱器10および第二加
熱器18へ供給される。第一加熱器をスチ−ム9で加熱
することにより、重亜硫酸塩を亜硫酸塩と硫黄酸化物と
に再生する。
【0014】留出液は、第一蒸発缶11に入り、第一加
熱器循環ポンプ13により、第一加熱器を循環する。循
環液からは収支に見合う量の液が抜き出され、14より
固液分離工程へ導かれる。加熱器チュ−ブが閉塞される
と循環液の抜出量が低下してくる。第一加熱器から発生
する蒸気は第二加熱器の熱源として利用される。このよ
うに、加熱器で発生する蒸気を次の加熱器の加熱用に利
用する多重効用缶形式を採用するのが熱的に有利で、望
ましく、図1はこのような例を示したものである。
【0015】第二加熱器においても、前述した第一加熱
器と同様の操作を行い、第二蒸発缶20からのガスは二
酸化硫黄ガス回収ライン22へ送られる。加熱器は減圧
系で実施する方が反応効率および消費エネルギ−の面か
ら好ましい。
【0016】本発明で使用する有機および/または無機
の複数の配位座を有する化合物は、循環液中の濃度が所
定の範囲に維持されるよう12および/または19から
連続的または間歇的に供給される。
【0017】24は、循環液の一部をキレ−ト樹脂で処
理する場合に使用する充填塔の例を示したものである。
図1においては充填塔が1基の例を示しているが、充填
塔を複数基準備し、使用中のキレ−ト樹脂が破過点に達
した時点で、別の充填塔を使用するのが好ましい。破過
点に達したキレ−ト樹脂は1N硫酸を通液することによ
って賦活再生することができるので、充填塔の交互使用
は効率的である。
【0018】本発明で使用する有機および/または無機
の複数の配位座を有する化合物は、分子内に有機および
/または無機の複数の配位座を有する化合物であればよ
く、有機化合物の一例としては、一般式(III)
【化3】 で示される化合物をあげることができる。式中、Rは炭
素数1〜5のアルキレン基を表し、l、m、nおよびo
は1〜3の整数であり、MはNa、KまたはLi原子で
ある。
【0019】一般式(III)で示される化合物におい
て、Rは炭素数1〜5のアルキレン基を表すが、Rは炭
素原子及び水素原子からなる炭素数1〜6のアルキル又
はアルキレン基を側鎖に有してもよい。このような化合
物は、分子内に2個の窒素原子を有する4官能のカルボ
ン酸のアルカリ金属塩であり、窒素原子およびカルボキ
シルイオンにより、2価以上の金属イオンにキレ−ト型
の多座配位が可能である。
【0020】このような化合物の具体例としては、エチ
レンジアミンテトラプロピオン酸4Na塩、エチレンジ
アミンテトラプロピオン酸4K塩、エチレンジアミンジ
プロピオン酸ジ酢酸4Li塩、エチレンジアミンジプロ
ピオン酸ジ酢酸4Na塩、1,2−シクロヘキサンジア
ミンテトラ酢酸4Na塩、1,2−シクロヘキサンジア
ミンテトラ酢酸4K塩、トリメチレンジアミンテトラ酢
酸4Li塩、トリメチレンジアミンテトラ酢酸4Na
塩、エチレンジアミンテトラ酢酸4Na塩、エチレンジ
アミンテトラ酢酸4K塩、エチレンジアミンテトラ酢酸
4Li塩などを例示することができる。
【0021】また、本発明で使用する無機の複数の配位
座を有する化合物は、分子内に無機の複数の配位座を有
する化合物であり、ピロリン酸、トリポリリン酸、トリ
メタリン酸、テトラメタリン酸などの各種リン酸塩、ジ
チオン酸、トリチオン酸、テトラチオン酸などのポリチ
オン酸の塩などを例示することができる。
【0022】これらの化合物のうち、操作条件下での2
価以上の金属イオンとで形成される錯塩の安定度、添加
量、価格などの観点から、エチレンジアミンテトラプロ
ピオン酸4Na塩、エチレンジアミンテトラプロピオン
酸4K塩、エチレンジアミンテトラ酢酸4Na塩、エチ
レンジアミンテトラ酢酸4K塩、エチレンジアミンテト
ラ酢酸4Li塩が好適な化合物であるが、なかでもエチ
レンジアミンテトラ酢酸4Na塩、エチレンジアミンテ
トラ酢酸4K塩が好ましい。
【0023】これらの化合物は、水溶液の形態、例えば
45重量%程度の水溶液で吸収液を再生する工程に添加
される。本願の第1の発明においては、該化合物は吸収
液を再生する工程に添加することが重要であり、かかる
添加により、該化合物の濃度を的確に管理することが可
能となり、長期に安定運転をすることができる。具体的
には、前述したように、加熱器の循環液中における濃度
を確認しながら、図1の12及び/または19から定常
的又は間歇的に循環液中に添加する。加熱器供給槽6か
ら供給することも可能である。
【0024】該化合物をこの再生工程に添加する場合
は、吸収工程に添加する場合に比べて、全系の保有液の
30%程度の範囲内で化合物の濃度管理をすることがで
きるので、応答が速く、加熱器の負荷の増減に対し、速
やかに対応することができる。これらの化合物は、操作
条件下において該化合物に変換可能な形(例えば4カル
ボン酸、2カルボン酸2アルカリ金属塩、4カルボン酸
エステルなど)で添加することもできる。
【0025】本発明において、吸収液を再生する工程に
添加される有機および/または無機の複数の配位座を有
する化合物の添加量は、循環液中に存在する2価以上の
金属イオン量、該化合物と2価以上の金属イオンとの錯
塩の安定度定数、循環液のpHなどに依存し、一義的に
設定できないが、循環液中の化合物の濃度が所定の濃度
範囲に維持されるよう燃焼排ガスの処理規模にあわせた
流量で添加される。また、該化合物は2価以上の金属イ
オンと錯塩を形成していない形態で添加するのが好まし
い。
【0026】吸収液から二酸化硫黄ガスおよび亜硫酸塩
を再生する工程において存在する有機および/または無
機の複数の配位座を有する化合物の濃度は、あまり小さ
いと効果が少ないので、10ppm以上存在するように
添加される。また、あまり大きいと経済的に得策でな
く、また排水のCODが過多となることもあるので、好
ましくは100〜10000ppm、さらに好ましく
は、500〜5000ppmの範囲に維持するよう実施
される。ここで、ppmは重量基準である。
【0027】操業においては、上記有機および/または
無機の複数の配位座を有する化合物が2価以上の金属イ
オンと錯塩を形成していない形態、すなわち遊離の状態
での化合物の濃度を特定の範囲幅で管理することが重要
であり、本発明においては、上記有機および/または無
機の複数の配位座を有する化合物はこのような状態で1
0ppm以上存在させる必要がある。該化合物の濃度を
管理するにはキレ−ト滴定の手法が採用されるが、本発
明者らの詳細な検討によれば、該化合物が2価以上の金
属イオンと錯塩を形成していない形態での濃度は、例え
ばメチルチモ−ルブル−指示薬の存在下にpH5〜6で
亜鉛標準液で滴定することにより好適に測定することが
できることを見出だした。
【0028】上記化合物の濃度を特定の範囲幅で管理す
るには、上記の滴定法によるのが確実であるが、該化合
物の循環液中における濃度と循環液中の亜硫酸塩の結晶
サイズには概ね相関関係があるので、循環液中の亜硫酸
塩の結晶サイズをみることによっても確認できる。すな
わち、上記化合物を添加することにより、循環液中の結
晶が大きくなることから、操業における簡便法として、
例えば循環液を採取し、1000mlのメスシリンダ−
に入れて静置後、結晶が沈降した層の高さを測定するこ
とによって迅速に確認することも可能である。結晶の平
均粒径は、標準篩分法、沈降法、ピペット法、秤量法な
ど公知の方法により粒径分布曲線を描き、求めることが
できる。
【0029】本発明の目的は、硫黄酸化物を含む燃焼排
ガスを湿式吸収法により脱硫する際に、吸収液をキレ−
ト樹脂で処理することによっても達成される。前述した
ように、図1における24は循環液の一部をキレ−ト樹
脂で処理する場合に使用する充填塔の例である。
【0030】本発明で使用するキレ−ト樹脂とは、カル
ボキシル基またはその塩を含有する親水性または疎水性
重合体を多価アミン類、アミノアルコ−ル類、エポキシ
化合物などと反応させて得られる樹脂である。具体例と
しては、無水マレイン酸−イソブテン共重合体(MA−
IB)とポリエチレンイミンから得られる一般式(I
V)で示される複合樹脂をあげることができる。
【0031】
【化4】
【0032】複合樹脂における窒素とカルボキシル基と
の当量比は1より小さい方が金属陽イオンの吸着能に優
れる傾向があり、好ましい。
【0033】本発明においてキレ−ト樹脂を使用して硫
黄酸化物を吸収した吸収液を処理するには、結晶粒径に
注意しながら、循環液の全量又は一部をキレ−ト樹脂を
充填した充填塔に単に流通させればよい。充填塔に流通
させる条件はとくに限定されるものではなく、金属の含
有量に応じて通常はSV1hr-1程度で流通させればよ
い。前述したように、充填塔を複数基準備し、キレ−ト
樹脂が破過点に達した時点で充填塔を切り換えて使用す
ると効率的に実施できる。破過点に達したキレ−ト樹脂
は1Nの硫酸で洗浄することによって賦活再生すること
ができる。また、循環液中に有機および/または無機の
複数配位座を有する化合物を存在させて行なう方式を併
用することは自由である。
【0034】
【作用】有機および/または無機の複数配位座を有する
化合物を吸収液に存在させるか、または吸収液をキレ−
ト樹脂で処理することによって、加熱器チュ−ブの閉塞
が大幅に改善される理由を必ずしも明確に説明すること
ができないが、加熱器で析出する亜硫酸塩の結晶サイズ
は循環液中に存在する2価以上の金属イオンとりわけ
V、Fe、Niなどに代表される遷移金属イオンの濃度
に依存し、金属イオン濃度の上昇に伴って結晶は微細化
することから、該化合物を吸収液中に共存させることに
より、金属イオンの結晶サイズの微細化を抑止する効果
が発現し、固液分離を容易にする結晶サイズに保持でき
ることによるものと推定される。以下、実施例により本
発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何等
限定されるものではない。
【0035】
【実施例】
実施例1および比較例1 V、Fe、Niなどの金属類1600ppmを含有する
ピッチコ−クス60〜80%およびC重油40〜20%
からなる燃料を燃焼した排ガスを集塵器でダストを除去
した後、35万Nm3/hr、温度170℃の条件で吸
収塔に供給した。吸収塔において、亜硫酸ソ−ダ水溶液
からなる吸収液を1000m3/hrで循環し、二酸化
硫黄ガスを主とする硫黄酸化物を吸収した。
【0036】スチ−ム加熱された加熱器に吸収液を供給
し、主として重亜硫酸ソ−ダ水溶液からなる吸収液を加
熱することによって二酸化硫黄ガスおよび亜硫酸ソ−ダ
を再生した。加熱器は2基使用し、発生した蒸気を次の
加熱器の加熱用に利用する多重効用缶形式で実施した。
加熱器を循環する吸収液中にエチレンジアミンテトラ酢
酸4Na塩(EDTA−4Na)の45重量%水溶液を
大略4l/hrの速度で、循環液中のEDTA−4Na
の濃度が1200ppmに維持されるように供給した。
循環液中のEDTA−4Naの濃度は、前述したメチル
チモ−ルブル−指示薬の存在下での亜鉛標準液による滴
定、および結晶沈降層の高さ測定によって十分管理可能
であった。結果を表1および表2に示す。
【0037】比較のため、EDTA−4Naなどの一般
式(III)で示される化合物を全く添加しない場合の
結果を併せて表に示すが、これらの結果から本発明の効
果は明らかである。なお、本発明の方法を実施すること
により、蒸気の使用原単位は向上しており、本法がエネ
ルギ−的にも有利な方法であることが明らかである。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】 (注)循環液抜出量1は第1加熱器からの抜出量であ
り、循環液抜出量2は第2加熱器からの抜出量である。
また、結晶沈降層の高さは1lのメスシリンダ−に加熱
器の循環液を入れ、30分間静置した後の沈降層の高さ
である。なお、循環液中の結晶の平均粒径は、採取した
循環液を乾燥してJIS標準網篩にかけ、標準篩分法に
よって測定した。
【0040】実施例2〜12 EDTA−4Naの濃度を変え、またEDTA−4Na
に代えて表3に示す化合物を用いる以外は実施例1と同
様に操作した。結果を表3に示す。なお、表中各化合物
は次のとおりである。
【0041】EDTP−4Na:エチレンジアミンテト
ラプロピオン酸4Na塩 EDTP−4K:エチレンジアミンテトラプロピオン酸
4K塩 EDTA−4K:エチレンジアミンテトラ酢酸4K塩 EDTA−4Li:エチレンジアミンテトラ酢酸4Li
塩 CDTA−4Na:1,2−シクロヘキサンジアミンテ
トラ酢酸4Na塩 ピロリン酸−4Na:ピロリン酸4Na塩 トリポリリン酸−5Na:トリポリリン酸5Na塩 ジチオン酸−2Na:ジチオン酸2Na塩
【0042】
【表3】
【0043】実施例13 MA−IB(無水マレイン酸含有率50モル%、分子量
6万)とポリエチレンイミン(30%水溶液でアミノ
基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基の比率1:
2:1、分子量7万〜8万)から、日本化学会誌(19
85(9),p1763−1769)に記載された方法
によって複合樹脂を得た。該複合樹脂を充填した充填塔
に、比較例1における循環液の10%を供給して循環液
を処理し、処理後の液は再び吸収塔の循環液へリサイク
ル使用した。加熱器チュ−ブの洗浄は1回/年で充分で
あった。
【0044】比較例2 EDTA−4Na塩を吸収工程に添加する以外は実施例
1と同様に実施したところ、化合物の濃度管理は全系の
液にわたるため、応答が遅く、しかも吸収液のパ−ジに
伴って消失するため、化合物の濃度の低下をきたし、加
熱器チュ−ブの閉塞を生じた。また、化合物の濃度の低
下を防ぐため、化合物の添加量を増加させたところ、応
答が遅いため、化合物の濃度が上がり過ぎて排水COD
が過多となった。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、二酸化硫黄ガスの再生
工程に特定の化合物を存在させることにより、ウエルマ
ンロ−ド法による排煙脱硫において生ずる加熱器チュ−
ブの閉塞などの問題がなく、吸収液の処理量が変動せ
ず、燃料中の硫黄酸化物の含有量変動(加熱器の負荷の
増減)に対し、速やかに追随し、効率よく該化合物の濃
度管理が可能で長期に安定運転可能な湿式排煙脱硫方法
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の改良された排煙脱硫法のフロ−シ−ト
である。
【符号の説明】
1 燃焼排ガス 2 吸収塔 3 煙突への導出管 4 吸収液パ−ジ管 5 吸収塔循環ポンプ 6 加熱器供給槽 7 加熱器供給ポンプ 8 熱交換器 9 スチ−ム 10 第一加熱器 11 第一蒸発缶 12 第一加熱器への化合物供給管 13 第一加熱器循環ポンプ 14 固液分離機への導出管 15 均圧槽 16 回収液系への供給ポンプ 17 第二加熱器循環ポンプ 18 第二加熱器 19 第二加熱器への化合物供給管 20 第二蒸発缶 21 固液分離機への導出管 22 二酸化硫黄ガス回収ライン 23 キレ−ト樹脂充填塔供給ポンプ 24 キレ−ト樹脂充填塔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 45/00 S C01B 17/62

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫黄酸化物を含む燃焼排ガスを湿式吸収
    法により脱硫するにあたり、亜硫酸塩で硫黄酸化物を吸
    収した吸収液から二酸化硫黄ガスを再生する工程に、有
    機および/または無機の複数の配位座を有する化合物を
    10ppm以上存在させることを特徴とする排煙脱硫
    法。
  2. 【請求項2】 硫黄酸化物を含む燃焼排ガスを湿式吸収
    法により脱硫するにあたり、亜硫酸塩で硫黄酸化物を吸
    収した吸収液をキレ−ト樹脂で処理することを特徴とす
    る排煙脱硫法。
JP6327292A 1993-12-29 1994-12-28 排煙脱硫法 Pending JPH07232032A (ja)

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JP (1) JPH07232032A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103830982A (zh) * 2013-12-26 2014-06-04 李佩强 湿式挤压扩散洗涤so2降解除尘装置

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