JPH07230289A - アクティブ・ノイズ・コントロール・システム - Google Patents

アクティブ・ノイズ・コントロール・システム

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JPH07230289A
JPH07230289A JP6314287A JP31428794A JPH07230289A JP H07230289 A JPH07230289 A JP H07230289A JP 6314287 A JP6314287 A JP 6314287A JP 31428794 A JP31428794 A JP 31428794A JP H07230289 A JPH07230289 A JP H07230289A
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JP
Japan
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step size
noise
signal
engine
coefficient
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Application number
JP6314287A
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English (en)
Inventor
Takaaki Yanagisawa
隆晃 柳沢
Tsutomu Ito
務 伊藤
Yoshinori Nagai
良典 永井
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Faurecia Clarion Electronics Co Ltd
Original Assignee
Clarion Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 エンジン状態に対応したステップサイズの変
更を行なうことができるアクティブ・ノイズ・コントロ
ール・システムを提供することにある。 【構成】 自動車の車室等における閉空間で適応フィル
タADSG1〜4を用いてエンジン騒音を相殺して低減
するシステムであって、前記エンジン騒音の騒音源であ
るエンジンの回転数及び回転状態を検出する監視手段
と、前記回転数及び回転状態を段階化し、各段階毎に予
め設定された最適なステップサイズを記憶する記憶手段
と、前記監視手段からの検出結果に基づいて前記記憶手
段からステップサイズを選択し、当該選択されたステッ
プサイズに基づいて適応フィルタのフィルタ係数を更新
する制御手段とを有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、適応フィルタを用いて
自動車、船舶等のエンジン騒音を空間で相殺することに
より、当該エンジン騒音を低減するアクティブ・ノイズ
・コントロール・システム(以下、単にANCと称す
る)に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、このようなANCにおけるエンジ
ン騒音を低減するキャンセル信号(以下、単に消音信号
と称する)を生成する適応フィルタとしては、前記エン
ジン騒音に同期したエンジンパルスである参照信号及び
マイクロホンより抽出されたエラー信号に基づいて前記
消音信号を生成するのであるが、当該参照信号に相関性
のない信号が入力された場合、前記適応フィルタより生
成された消音信号にエンジン騒音以外のエコーが混入し
てしまうといった事態が生じた。
【0003】そこで、このような事態を打開すべく、前
記適応フィルタのフィルタ係数の更新量を設定するステ
ップサイズを小さくして、当該更新量を小さくして前記
混入されるエコーを抑制するようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のANCによれば、参照信号に相関性のない信号が入
力された際に対応し得るステップサイズの変更を行なっ
ているが、当該エンジンの加減速に追従する性能には対
応することができないといった第1の問題点があった。
【0005】また、上記従来のANCによれば、エラー
検出用マイクロホンにエンジン騒音以外の音、例えば人
の声等が混入された場合に、当該適応フィルタのフィル
タ係数の更新量を設定するステップサイズを小さくし
て、当該更新量を小さくして当該混入される声によるエ
コーを抑止するようにしているが、若干のエコーが出力
されてしまうといった第2の問題点があった。
【0006】第1の発明は上記第1の問題点に鑑みてな
されたものであり、その第1の目的とするところは、エ
ンジン状態に対応したステップサイズの変更を行なうこ
とができるアクティブ・ノイズ・コントロール・システ
ムを提供することにある。
【0007】また、第2の発明は上記第2の問題点に鑑
みてなされたものであり、その第2の目的とするところ
は、閉空間における騒音を低減する際に、不要なエコー
の発生を確実に抑止するアクティブ・ノイズ・コントロ
ール・システムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るために第1の発明は、自動車の車室等における閉空間
で適応フィルタを用いてエンジン騒音を相殺して低減す
るシステムであって、前記エンジン騒音の騒音源である
エンジンの回転数及び回転状態を検出する監視手段と、
前記回転数及び回転状態を段階化し、各段階毎に予め設
定された最適なステップサイズを記憶する記憶手段と、
前記監視手段からの検出結果に基づいて前記記憶手段か
らステップサイズを選択し、当該選択されたステップサ
イズに基づいて適応フィルタのフィルタ係数を更新する
制御手段とを有することを特徴とする。
【0009】また、第2の目的を達成するために第2の
発明は、閉空間で適応フィルタを用いて騒音を相殺して
低減するシステムであって、当該閉空間にて発生する音
声信号を含む騒音信号を抽出する騒音信号抽出手段と、
前記適応フィルタのフィルタ係数を更新するための予め
各段階に対応したステップサイズを記憶する記憶手段
と、前記抽出された騒音信号から音声信号を抽出し、当
該抽出された音声信号に基づいて音声レベルを検出する
音声レベル検出手段と、当該検出された音声レベルに基
づいて前記記憶手段からステップサイズを選択し、当該
選択されたステップサイズに基づいて前記適応フィルタ
のフィルタ係数を更新する制御手段とを有することを特
徴とする。
【0010】
【作用】かかる構成により、第1の発明によれば、エン
ジン回転数及び回転状態を各段階毎に対応した最適なス
テップサイズを予め設定しておき、前記監視手段からの
検出結果に基づいて、前記記憶手段から最適なステップ
サイズを選択し、当該選択されたステップサイズに基づ
いて適応フィルタのフィルタ係数を更新するようにした
ので、エンジンの動作状態に対応したステップサイズの
変更が可能である。
【0011】また、第2の発明によれば、音声レベル検
出手段により、騒音信号に含まれる、例えば人の声等の
音声信号の音声レベルを検出し、当該検出された音声レ
ベルに基づいて記憶手段から最適なステップサイズを選
択し、当該選択されたステップサイズに基づいて適応フ
ィルタのフィルタ係数を更新するようにしたので、閉空
間における騒音を低減する際に、前記音声信号による不
要なエコーの発生を確実に抑止することができる。
【0012】
【実施例】
(第1実施例)以下、本発明に係るアクティブ・ノイズ
・コントロール・システムの第1実施例について説明す
る。
【0013】車載用アクティブ・ノイズ・コントロール
・システム(Active Noise・ControlSystem;以下、AN
Cと称する)を例に説明する。これは適用フィルタを応
用し、エンジン騒音を空間で相殺することにより乗員の
頭部付近の騒音を低減するシステムである。本システム
のANCモードの信号処理上の特徴を列記すると下記の
ようになる。
【0014】1)一括更新型SFX−LMSアルゴリズ
ムを考案し演算量を削減した。
【0015】2)不連続音対策、適応フィルタの発散防
止、不要な低周波数音の成長防止用としての係数安定化
FIRフィルタ(STF)を採用した。
【0016】3)回転数、回転状態感応型、STF、ス
テップサイズ変更方式を採用した。
【0017】4)エンジンパルス割り込みによるサンプ
リングタイミング調整機能の採用した。
【0018】図1は第1実施例の構成を立体的に表わす
斜視図である。図1において、エンジン騒音の騒音源で
あるエンジン100と、該エンジン100の回転状態や
回転数を検出するエンジンコントロールユニット200
と、当該車内の任意の位置に設置されたスピーカ300
と、各座席の上部に設けて当該車内の騒音を収音するマ
イクロホン400と、該ANC全体を制御するANCコ
ントローラ500とを有している。
【0019】図2は当該第1実施例のANCにおける概
略構成を示すブロック図である。図2において、SP1
〜4はキャンセル音出力用スピーカであり、MIC1〜
4はエラー検出用マイクロホン(以下、単にマイクロホ
ンと称する)である。
【0020】C11〜44はスピーカSP1〜4及びマ
イクロホンMIC1〜4間の実際の伝達関数であり、C
hat11〜44はスピーカSP1〜4及びマイクロホ
ンMIC1〜4間のシステム同定により推定された伝達
関数である。
【0021】「ADSG1〜4」は適応フィルタ(キャ
ンセル信号発生器)[Adaptive Digital Signal Genera
tor )であり、従来より一般的に使用されているもので
ある。
【0022】「STF」はADSG係数安定化FIRフ
ィルタ、「UPF」は一括更新型SFX−LMS係数更
新用FIRフィルタ、「SS1」はステップサイズ1、
各パス毎にかかる固定のステップサイズ、「SS2」は
ステップサイズ2であり、回転数、回転状態により変化
するステップサイズである。
【0023】w1 (n)〜w4 (n)は更新前のADS
G係数である。11はADSG1〜4から出力された出
力値の位相を180度反転させる位相反転部である。1
0は監視手段及び制御手段であるエンジン回転数・回転
状態判断部である。
【0024】尚、ENGINE PULSEはADSG
1〜4及びエンジン回転数・回転状態判断部10に入力
されるエンジン回転数に同期したパルスである。
【0025】また、図2に示すANCにて実行される演
算はデジタル信号処理にて行われるのであるが、図2に
おいてはA/D変換器、D/A変換器、アナログフィル
タ、アンプ等は図示しないものとする。
【0026】このシステムは図1に示すように1個のエ
ンジン100を騒音源とし、4個のエラーマイクロホン
400と4個のスピーカ300を使うCASE(1,
4,4)である。
【0027】では、次に図2に示すブロック図の動作に
ついて簡単に説明する。
【0028】エンジン騒音とスピーカSP1〜4より発
せられる消音信号の空間での和を、マイクロホンMIC
1〜4で取り込み、A/D変換してエラー信号とする。
そして、推定した伝達関数(Chat)を時間軸上で逆
並べ(Data Reverse)した数値とエラー信号との畳み込
み演算を行う。これが一括更新型SFX−LMSの特徴
である。このFIRフィルタをUPFと呼ぶ。(このS
FX−LMSについての詳細は後述する)。さらに、畳
み込んだ値にステップサイズ1を乗算する。
【0029】ステップサイズ1の乗算した結果を各マイ
クロホンMIC1〜4入力毎に加算し、エンジン回転
数、回転状態に応じたステップサイズ2(SS2)を乗
算する。これが、エンジン回転数、回転状態感応型ステ
ップサイズ変更方式である。また、この計算結果が、A
DSG係数の更新値である。
【0030】現在のADSG係数[w1 (n)]〜[w
4 (n)]に更新値を、それぞれ加算する。
【0031】その加算結果を安定させるために、STF
でフィルタリングし、そのフィルタリング結果を新しい
ADSG係数[w1 (n+1)]〜[w4 (n+1)]
とする。STFの特性はエンジン回転数、回転状態によ
り変化する。これが回転数感応型STF変更方式であ
る。
【0032】さらにADSGから出力された信号の出力
値の位相を位相反転部11により180度反転させる。
そして、当該反転された出力信号をD/A変換後にスピ
ーカSP1〜SP4より出力する。以上がANCモード
の基本動作である。
【0033】次にFiltered−X LMSについ
て説明する。
【0034】通常のFiltered−X LMSで
は、3次元空間のANCを実現する場合、消音したい信
号(騒音)に相関性のある信号を参照信号として取り込
む。この場合の信号処理アルゴリズムを図3に示す。こ
れが一般的なFiltered−X LMSのアルゴリ
ズムである。
【0035】このFiltered−X LMSの係数
更新式を(数1)、(数2)に示す。
【0036】
【数1】
【0037】
【数2】 但し、ここでwは適応フィルタ係数、iはフィルタ係数
の番号、μはステップサイズ、eはエラー信号、rは伝
達関数補正用フィルタ出力信号、cはマイクロホンとス
ピーカとの間の推定された伝達関数、Xは参照信号、j
はcのインパルス応答の番号、kはcのタップ数であ
る。
【0038】(数2)がFiltered−Xの特徴で
ある空間(スピーカ〜マイクロホン間)の伝達関数cと
入力データ(参照信号)Xの畳込み演算である。
【0039】ここで参照信号に次式のようなインパルス
を入力したとする。ただし、このインパルスは消音対象
である周期性騒音に同期して繰り返される。
【0040】X(0)=1 X(i)=0 i<0 i>0 上記式の条件を満たすということは、次式が成り立つ。
【0041】n=j→X(n−j)=1 n≠j→X(n−j)=0 とすると(数2)は次式になる。
【0042】r(n)=cn すなわち、r(n)は伝達関数cのインパルスレスポン
スcn を順次出力することであり、畳込み演算を必要と
しない。フィルタWに関しても、これと同様に畳込み演
算をせずにフィルタ係数wi を順次出力すればよく、演
算量を大幅に削減できかつ、図3のような通常のFil
tered−Xの参照入力にパルスが入力した場合と演
算結果は等価である。これがSynchronized Filtered-X
(SFX) LMSアルゴリズムである。
【0043】次に、一括更新型SFX−LMSについて
説明する。
【0044】SFXでは(数1),(数2)は、(数
3)になる。
【0045】
【数3】 従来のアルゴリズムでは、図3(H部)に示すように
(数3)をk+1回、1サンプル毎に更新していた。従
って、フィルタWの係数wi の更新が完了するために
は、Cのタップ数であるk+1回分更新しなければなら
ない。この説明を図4を交えて説明する。図4は(数
3)を図式化した説明図である。
【0046】図4において縦に並ぶeとcが(数3)の
右辺第2項の乗算を示すものであり、これはCを8タッ
プ(k=7)とし、参照信号のパルスが22サンプル目
に入力した場合の例であり、縦軸がサンプル数(n)、
横軸がフィルタWのタップ番号(i)である。P1、P
2、P3はポインタの位置を示している。これらポイン
タについては後で説明する。
【0047】例えば、図4において11サンプル目のw
i 、つまりw12を更新する場合を考える。従来型のSF
X−LMSアルゴリズムでは(数3)にしたがって、w
19からw12までの計8個の係数を更新する(図4の点線
で囲んだ部分の演算)。この処理で1つの参照信号のパ
ルスに対する係数w12の更新は終了する。
【0048】次に係数w12に着目すると、このタップ
は、4サンプル目から更新が始まり、11サンプル目で
更新が終了する。更新が完了したw12´は(数4)のよ
うに示される。尚、wi ´の更新が終了したことを示す
ものである。
【0049】
【数4】 (数4)を一般式に直すと(数5)で表される。
【0050】
【数5】 (数5)式の右辺第2項はエラー信号eと伝達関数Cの
係数cj を逆並べした係数列との畳込み演算である。
(図4の実線で囲んだ部分の演算を示す。)ここで、
(数5)は従来の(数3)をk+1回演算するのに比
べ、乗算、減算ともk+1回削減することができる。
【0051】また、DSPの特徴として、畳込み演算を
得意とするアーキテクチャを採用しているため、実際
は、削減された演算数以上に、演算結果を短縮すること
ができる。
【0052】これが、一括更新型SFX−LMSアルゴ
リズムである。図2のUPFが当該一括更新型SFX−
LMSによる更新係数演算部であり、処理としては、伝
達関数Cを推定したChatのインパルスレスポンスを
逆並べした数列を係数とするFIRフィルタである。
【0053】なお、図4において、P1は係数出力用ポ
インタ、P2は一括更新する係数wを示す係数更新用ポ
インタ、P3はSTF出力をADSGに格納するポイン
タである。ポインタはフィルタ係数wi の内容を入出力
するために、当該フィルタ係数w列上を1サンプル毎に
インクリメントされる。SFXなので畳込み演算を行わ
ず、P1の示す値wi を出力すればよい。
【0054】また、このポインタP1は、参照入力にパ
ルスが入力するとw0 に戻る。すなわち適応フィルタ
(ADSG)のタップ数が可変である。図4の説明から
明らかなようにポインタP3が示す係数wi (図4の場
合だとw12)が1サンプルで一括して更新される。
【0055】では、次に当該係数wi を安定化させるA
DSG係数安定化FIRフィルタ(STF)について説
明する。
【0056】本システムの適応フィルタが不安定になる
条件としては、次のようなことが考えられる。
【0057】1)騒音の周波数帯域をスピーカSP1〜
4の特性がカバーできない場合、フィルタ係数が発散す
る。例えば、騒音の周波数が50Hzで、スピーカSP
1〜4が50Hzのような低域を発生できない場合、適
応フィルタは50Hzの信号を生成するが、エラー信号
は減少しないために、適応フィルタが発散してしまう。
【0058】2)Filtered−X LMSの特性
として、高音域が発散しやすい。
【0059】3)マイクロホンMIC1〜4入力に何ら
かの理由でオフセットがかかった場合、適応フィルタに
もDC成分が重畳してしまう。
【0060】4)エンジン回転数が変化した場合、適応
フィルタの出力に不連続点が生じてしまう。
【0061】これらの問題点を解決する方法として、フ
ィルタ係数安定化フィルタ(STF)を採用した。
【0062】このフィルタ係数安定化フィルタ(ST
F)の原理について説明する。
【0063】一括更新型SFX−LMSアルゴリズムに
より更新される値を直線位相のFIRフィルタでフィル
タリングする。このFIRフィルタの特性は基本的には
バンドパスフィルタとし、スピーカSP1〜4の再生で
きない低音域と、空間で消音できない高音域の更新をカ
ットする。このフィルタにより、低音域や高音域の発散
を防止し、また、エンジン回転数が変化した場合の不連
続音の発生を減少させることができる。
【0064】つまり、当該フィルタは、高音域を減衰さ
せることで不連続により発生する高調波成分を除いて、
ノイズの発生を抑制し、高音域の発散を防止することが
できると共に、低音域を減衰させることでスピーカが再
生できない帯域での適応フィルタの成長及びDC成分の
成長を抑止することができる。
【0065】当該STFに直線位相のFIRフィルタを
使うことで、位相状態は保たれたまま周波数のフィルタ
リングが可能となる。このSTFによる遅延はタップ数
の半分のサンプル数となるため、その時間経過後に、適
応フィルタの更新を行わなければならない。
【0066】当該遅延時間は、T:タップ数、D:遅延
時間とした場合、次に示すような式にて求められる。
【0067】タップ数が偶数の場合: D=T/2 タップ数が奇数の場合: D=(T−1)/2+1 この説明を図4を使い説明する。STFを7タップのF
IRフィルタとした場合、フィルタリングされた結果は
3サンプル後に出力される、つまり遅延サンプル数は3
である。従って、(数5)の結果であるwi ´(n+
1)をフィルタリングした値は、3サンプル後に更新さ
れれば良く、P3が更新されるアドレスである。
【0068】次に回転数、回状態感応型ステップサイ
ズ、STF変更方式について説明する。
【0069】SFXアルゴリズムの欠点として、その構
造上、エラー信号の影響が直接出力信号に反映される。
言い換えると、エラー信号に参照信号と相関性のない信
号が入力された場合、出力信号にその相関性のない信号
が重畳されてしまっていた。
【0070】本システムのようなANCの場合、マイク
ロホンに向かって声を発するようなことを行うと、スピ
ーカよりエコーが発生する場合がある。このような対策
として、ステップサイズを小さくし、更新量を小さくす
ることでエコーを抑える方法があるが、この処理は、シ
ステムの性能を劣化させてしまう。
【0071】従来は、これらのバランスを考えてステッ
プサイズを決定していた。その結果、エンジンの加減速
に追従する性能を出すことができなかった。
【0072】また、もう一つの問題として、アルゴリズ
ムの構成上、加減速時にキャンセル信号に不連続点が発
生する場合がある。その対策として、STFを付加した
が、単一の特性では効果的に不連続音を低減させること
ができなかった。
【0073】そこで、当該第1実施例においてはエンジ
ン回転数、回転状態を監視し、これによりステップサイ
ズ、STFを変更することで、前記の問題点が緩和させ
た。
【0074】この方式の原理について説明する。
【0075】エンジン回転数、回転状態をDSPを使い
監視し、それにより、ステップサイズ、STFを制御さ
せた。回転数は低回転、中回転、高回転の3段階に、回
転状態は、定常回転、加速、減速、急減速の4段階に分
け、これらの組み合わせの計12通りの場合分けを行
い、夫々に最適なステップサイズ、STFの係数を図示
せぬ記憶手段であるメモリに記憶しておき、当該メモリ
から夫々を選択した。
【0076】図5にエンジン回転数、回転状態に対する
ステップサイズ、STFの例を、図6にSTFの周波数
特性を示す。例えば、加減速時は、不連続点が発生しや
すいため、ローパス・フィルタのカットオフ周波数を低
く設定する。この時のカットオフ周波数は、200〜4
00Hzが適当である。また騒音の変化に対する追従性
を上げるため、ステップサイズを大きく設定する。
【0077】対して、定常回転時は、なるべく高い周波
数まで消音するため、ローパス・フィルタのカットオフ
周波数を高くし、エコーを抑えるために、ステップサイ
ズを小さくする。ギアチェンジ等の急減速時は、適応処
理が追従できないとして、ADSGの係数をすべてクリ
アする。なお、図5、図6は説明のための例であり、こ
の値にとらわれるものではない。
【0078】次にエンジンパルス割り込みによるサンプ
リングタイミング調整機能について説明する。
【0079】本システムのアルゴリズム(一括更新型S
FX−LMS)は適応フィルタのタップ長をエンジン回
転数により変化させる可変タップアルゴリズムである。
適応フィルタのタップ長はエンジン二回転の周期に一致
させるのであるが、これは、サンプリング周期を単位と
して離散的になる。従って、従来の方法では騒音の周期
とキャンセル音の周期を正確に一致させることができ
ず、ビート音を発生するという問題があった。
【0080】そこで、この対策として、エンジンパルス
をサンプリング周期の基準とし、強制的に騒音の周期と
キャンセル音の周期とを一致させる。この動作を図6に
示す。
【0081】具体的には、エンジンパルスをDSPの外
部割り込みに入力し、エンジンパルスにサンプリング周
期(A/D変換器、D/A変換器のタイミング)を同期
させる。エンジンパルスが入力されると、図7のN番目
のサンプルの処理を中断し、新たなサンプリングを開始
する。これにより、エンジンパルス入力時のみ疑似的に
サンプリング周波数が高くなることになり、ビート音の
発生を抑えることができる。
【0082】また、先に前記フィルタ係数安定化フィル
タ(STF)の原理説明にて説明したように、いかなる
場合であれ、図4に示すように係数出力用ポインタP1
と係数更新用ポインタP2との間隔は、FIRフィルタ
(UPF)のタップ数分であり、係数更新用ポインタP
2とSTFの出力結果をADSGに格納するポインタP
3との間隔は、前記STFのタップ数の半分であり、こ
のような各ポインタ間の間隔におけるSTF及びUPF
のタップ数における因果律は不変である。
【0083】また、前記係数出力用ポインタP1から係
数を出力した結果、係数更新用ポインタP2の係数が算
出され、当該係数更新用ポインタP2の係数をSTFに
入力した結果、ポインタP3にて前記算出された値がA
DSGに格納される。
【0084】ところが、エンジンの回転数が上がると、
当該エンジン回転数に同期したエンジンパルスの間隔が
短くなり、係数出力用ポインタP1がポインタP3を追
い抜いてしまう場合が発生する。この場合には、先に説
明した各ポインタ間の間隔におけるSTF及びUPFの
タップ数における因果律を満たせなくなり、正確な適応
が行えなくなって、ノイズが発生するといった問題があ
った。
【0085】そこで、当該第1実施例のANCによれ
ば、このような場合に限り、エンジンパルスを一つ無視
して、つまり当該一つのエンジンパルスを読み飛ばすこ
とにより、係数出力用ポインタP1がポインタP3を追
い抜いてしまうといった事態の発生を無くすようにした
ので、ノイズの発生を防止することができる。
【0086】また、エンジンパルス間隔で、騒音が繰り
返されるので、キャンセル音も繰り返される。そこで、
はじめのエンジンパルス間隔分のキャンセル信号を読み
飛ばされたエンジンパルス以降に複写することにより、
不連続音に対してより一層の効果を上げることができ
る。
【0087】当該第1実施例のANCによれば、閉空間
にて発生する騒音を抑圧する場合、適応フィルタのフィ
ルタ係数更新時に発生する、高音域での係数の発散、D
C成分の成長及びエンジン回転数の加減速時の不連続音
によるノイズを防止することができる。 (第2実施例)では、次に当該エンジン回転数の加減速
時の不連続音をより一層平滑にすることができる第2実
施例のANCについて説明する。図8は第2実施例のA
NCの概略構成を示すブロック図である。図10は当該
第2実施例に使用されるSTFの周波数振幅特性を示す
説明図である。尚、前記第1実施例と重複するものに
は、同一名称及び同一符号を付すと共に、その構成及び
動作の説明を省略する。
【0088】図8に示すように当該第2実施例のANC
のブロック構成は、図2に示すように第1実施例のAN
Cに設けられた前記ステップサイズ2(SS2)及びエ
ンジン回転数・回転状態判断部10を無くすと共に、各
ADSG1〜4の前段に夫々設けられていた適応安定化
フィルタ(STF)を各ADSG1〜4の後段に夫々設
けるようにしたことにある。尚、エンジン騒音に同期し
たエンジンパルスをエンジンコントロールユニット20
0、又はイグニッション等から取り込むことでSFX−
LMSアルゴリズムを採用することができる。
【0089】では、当該第2実施例のANCにおける動
作を図8に基づいて説明する。
【0090】エンジン騒音及びスピーカSP1〜4より
発せられるキャンセル信号の空間での和を、マイクロホ
ンMIC1〜4で取り込みA/D変換してエラー信号と
する。当該エラー信号に対して推定した伝達関数(Ch
at)を時間軸上で逆並べ(Data Reverse)した数値と
エラー信号との畳み込み演算を行う。さらに、当該畳み
込み演算結果にステップサイズ1(SS1)を乗算す
る。
【0091】当該ステップサイズ1(SS1)の乗算結
果を各スピーカが共通な組み合わせで加算する。この値
が各ADSG1〜4におけるADSG係数の更新値とす
る。当該加算結果にて得られたADSG係数の更新値と
各現在のADSG係数値w1(n)〜w4 (n)とを夫
々加算し、当該加算結果にて夫々得られる更新値を各A
DSG1〜4に夫々格納する。このように更新値を演算
し、一度で更新する方法が一括更新型である。
【0092】当該ADSG1〜4は、当該格納された更
新値に基づいて出力信号を生成し、当該生成された出力
信号を各STFに供給する。当該STFは、当該ADS
G1〜4からの出力信号をフィルタリングし、当該フィ
ルタリング結果を前記位相反転部11に供給すると共
に、一方で当該STF入力前の位置に入力されるように
STFによる遅延を補正して前記フィルタリング結果を
格納する。尚、図8に示すようにADSGにかかる矢印
は、適応処理演算でのADSG係数更新と、STFでの
ADSG係数フィルタリング結果の格納を意味するもの
とする。
【0093】前記位相反転部11は、当該フィルタリン
グ結果の位相を180度反転させ、図示せぬD/A変換
器及びアンプ部を介して各スピーカSP1〜4より音声
出力する。
【0094】このようなSTFの動作によれば、前記A
DSG1〜4のADSG係数をフィルタリングされるこ
とにより安定化することができ、かつ、エンジン回転数
の変動時の出力信号の不連続も平滑化することができ
る。
【0095】では、当該第2実施例における一括更新型
SFX−LMSについて説明する。図9は当該第2実施
例における一括更新型SFX−LMSを図式化した説明
図である。
【0096】図9において縦に並ぶeとcが(数3)の
右辺第2項の乗算を示すものであり、これはCを8タッ
プ(k=7)とし、参照入力のパルスが20サンプル目
に入力した場合の例であり、縦軸がサンプル数(n)、
横軸がフィルタWのタップ番号(i)である。P1はS
TF入力用ポインタ、P2はSTFフィルタリング結果
格納用ポインタ、P3は係数更新演算用ポインタであ
る。
【0097】例えば、17サンプル目の係数wi 、つま
りw8 を更新する場合を考える。従来のSFX−LMS
アルゴリズムでは(数3)にしたがって、図9の点線で
囲んだ部分に示すように係数w8 からw15までの計8個
の係数を更新する。この処理で一つの参照信号のパルス
に対する係数w8 の更新は終了する。
【0098】次に係数w8 に着目すると、このタップ
は、10サンプル目から更新が始まり、17サンプル目
で更新が終了する。更新が終了したw8 ´は(数6)の
ように示す。尚、wi ´はwi の更新が終了したことを
示すものである。
【0099】
【数6】 当該(数6)を一般式に直すと、前述した(数5)に示
すようになる。
【0100】従って、(数5)からも明らかなように当
該第2実施例においても第1実施例と同様に一括更新型
SFX−LMSアルゴリズムの効果を得ることができ
る。
【0101】図9に示すようにポインタはフィルタ係数
i の内容を入出力するために、当該フィルタ係数w列
上を1サンプル毎にインクリメントされる。前記ポイン
タP1が示す値は適応フィルタ(ADSG)からの出力
値であり、当該出力値が前記STFに入力されるもので
ある。
【0102】また、前記ポインタP1は参照信号のパル
スが入力されるとw0 に戻る。すなわち適応フィルタ
(ADSG)のタップ数が可変である。図9の説明から
明らかなようにポインタP3が示す係数wi (図9の場
合だとw8 )が1サンプルで一括して更新される。
【0103】前記STFは、当該ADSGの出力信号を
フィルタリングすることにより、前記係数wを安定化さ
せるものである。すなわち、前記ポインタP1が示す係
数wを当該STFに入力する。当該STFは直線位相の
FIRフィルタであるためにタップ数の半分のサンプル
の遅延を持つ。尚、当該遅延時間は、第1実施例にて説
明したように、タップ数が偶数の場合にはD=T/2、
タップ数が奇数の場合にはD=(T−1)/2+1にて
求められる。
【0104】そこでポインタP1が示す係数wのADS
G出力はSTF入力後に、上記遅延サンプル後に出力さ
れる。図9に示すように当該STFを7タップとする
と、遅延サンプル数は3である。14サンプル目で出力
されたw15はSTFに入力され、17サンプル目で出力
される。この結果を一つは適応フィルタからの出力と
し、もう一方をw15に格納し、STFによるフィルタリ
ングを終了する。
【0105】前記ポインタP2は、STFの出力を係数
wに格納する位置を示すポインタである。また、図9に
示すように前記ポインタP1及びP2は必ず3タップ離
れている。当該ポインタP2及びP3は、前記ポインタ
P1がw0 に戻ったタップまでくると、次のサンプルで
はw0 に戻る。
【0106】従って、当該第2実施例のANCによれ
ば、上記第1実施例の効果はもちろんのこと、ADSG
1〜4の出力段にSTFを設けるようにしたので、エン
ジン回転数の加減速時による不連続をより平滑にするこ
とができる。 (第3実施例)では、次に第3実施例のANCについて
説明する。図11は当該第3実施例のANCにおける概
略構成を示すブロック図である。
【0107】当該第3実施例のANCの目的とするとこ
ろは、マイクロホンに車室等の閉空間内における例えば
エンジン騒音以外の音、例えば人の声等の音声が混入さ
れた場合に、当該混入された人の声による不要なエコー
を確実に抑止することにある。
【0108】図11において当該第3実施例のANC
は、例えば騒音を発生するエンジン等の騒音源21と、
当該騒音源21からの騒音に相関性のある信号を参照信
号として抽出するピックアップ22と、前記閉空間23
における前記騒音源21からの騒音の他に、音声信号及
び後述するスピーカ24から出力される消音信号を有す
る騒音信号であるエラー信号を抽出する騒音信号抽出手
段であるマイクロホン25と、当該マイクロホン25に
て抽出されたエラー信号に予め定められた係数μ(ステ
ップサイズ)を乗算する乗算部26と、前記エラー信号
に含まれる前記音声信号に基づいて当該乗算部26のス
テップサイズを制御するエコー処理演算部27と、当該
乗算部26からの出力信号及び前記ピックアップ22か
らの参照信号に基づいて後述する適応フィルタ28のフ
ィルタ係数を更新制御する係数更新演算部29と、当該
係数更新演算部29にて更新されたフィルタ係数に基づ
いて前記参照信号をフィルタリングする適応フィルタ2
8と、当該適応フィルタ28のフィルタリング結果の位
相を180度反転させる位相反転部29と、当該位相反
転されたフィルタリング結果を音声出力するスピーカ2
4と、当該音声出力されたフィルタリング結果に前記ス
ピーカ24及びマイクロホン25間の伝達関数を畳み込
んだ信号を消音信号とする畳み込み部30とを有してい
る。尚、当該ANCにて実行される演算はデジタル信号
処理にて行われるのであるが、図11においてはA/D
変換器、D/A変換器、アナログフィルタ、アンプ等は
図示しないものとする。
【0109】図12は前記エコー処理演算部27の内部
構成を示すブロック図である。
【0110】また、前記エコー処理演算部27は、図1
2に示すように前記エラー信号中に含まれる音声帯域の
音声信号を抽出するバンドパスフィルタ(以下、単にB
PFと称する)41と、当該BPF41にて抽出された
音声信号を絶対値化する絶対値化部42と、当該絶対値
化された音声信号に低域成分を抽出するローパスフィル
タ(以下、単にLPFと称する)43と、当該LPF4
3にて抽出された音声信号のエンベロープを算出するエ
ンベロープ監視部44と、当該算出されたエンベロープ
に基づいて前記乗算部26のステップサイズ(係数μ)
を制御するANCステップサイズ制御部45とを有して
いる。尚、請求項4記載の音声レベル検出手段は主に前
記BPF41、絶対値化部42、LPF43及びエンベ
ロープ監視部44に相当するものであり、請求項4記載
の制御手段は主にANCステップサイズ制御部45に相
当するものである。
【0111】では、当該第3実施例のANCにおける動
作を図11乃至図13に基づいて説明する。図13は前
記ANCステップサイズ制御部45にて行われるステッ
プサイズ制御に係わる動作を示す説明図である。
【0112】図11において騒音源21から発生した騒
音である信号(Np)は、空間を伝搬して消音点である
マイクロホン25に到達する。次に前記ピックアップ2
2は前記騒音源21の信号(Np)に相関性のある信号
(Nr)を抽出し、当該抽出された信号(Nr)を参照
信号として前記適応フィルタ28に供給する。
【0113】当該適応フィルタ28は、当該参照信号
(Nr)をフィルタリングし、当該フィルタリング結果
(Nr' )を前記位相反転部29に供給する。当該位相
反転部29は、当該フィルタリング結果(Nr' )の位
相を反転させ、当該位相反転されたフィルタリング結果
(Nr' )を前記スピーカ24より音声出力する。
【0114】当該スピーカ24より音声出力された信号
(Nr' )は、空間を伝搬して消音点に到達する。この
際、当該消音点に到達する信号は、前記スピーカ24よ
り音声出力された信号(Nr' )に当該スピーカ24及
びマイクロホン25間の伝達関数を畳み込んだ信号(N
r'')、すなわち消音信号となる。前記マイクロホン2
5は、空間で騒音である信号(Np)と消音信号(N
r'')とが加算されたエラー信号(E)を収音する。
尚、前記適応フィルタ28は、当該エラー信号(E)を
最小にするように係数更新するものである。
【0115】前記マイクロホン25は、当該エラー信号
(E)を乗算部26に供給する。当該乗算部26は、前
記エラー信号(E)に係数μ(ステップサイズ)を乗算
し、当該乗算結果を係数更新演算部29に供給する。当
該係数更新演算部29は、前記ピックアップ22からの
参照信号(Nr)及び前記乗算部26の乗算結果に基づ
いて前記適応フィルタ28の係数更新を制御している。
尚、前記乗算部26にて乗算される係数μ(ステップサ
イズ)は、当該適応フィルタ28の係数更新精度及び速
度に係わる値である。
【0116】最終的に前記消音信号(Nr'')は、前記
騒音である信号(Np)と同一周波数及び同一振幅で1
80度位相が異なる信号に近づくように更新される。
【0117】だが、前記乗算部26のステップサイズ
(係数μ)をある程度上げると、消音の速度が上昇し、
騒音の変動に対する追従性が良くなる。しかしながら、
本発明の抑止対象である前記音声信号によるエコーが発
生する。
【0118】また、前記乗算部26のステップサイズ
(係数μ)を上げすぎると、前記適応フィルタ28が発
散してノイズを発生する。前記乗算部26のステップサ
イズ(係数μ)を下げすぎると、前記消音の速度が劣化
するが、エコーが小さくなる。
【0119】そこで、前記マイクロホン25に消音対象
の騒音以外の音である音声信号を混入されると、その信
号が適応フィルタに取り込まれて、スピーカ24より音
声出力され、エコーとして聞こえる現象がある。このよ
うな現象への対策として前記エコー処理演算部27を設
けるようにした。尚、当該第3実施例においては騒音の
周波数帯域を例えば500Hz以下とする。
【0120】図2において前記エコー処理演算部27の
BPF41は、前記マイクロホン25にて収音されたエ
ラー信号から音声信号の影響が強い周波数帯域を抽出す
る。尚、この際の周波数帯域は、例えば中心周波数を3
50Hz〜500Hz付近に設定するのが妥当である。
【0121】さらに前記絶対値化部42は、当該BPF
41にて抽出された音声信号を絶対値化して前記LPF
43に供給する。当該LPF43は、当該絶対値化され
た音声信号の低域成分を抽出し、当該抽出された低域成
分をエンベロープ監視部44に供給する。
【0122】当該エンベロープ監視部44は、当該音声
信号の低域成分に基づいてエンベロープを算出し、当該
算出されたエンベロープを前記ANCステップサイズ制
御部45に供給する。
【0123】当該ANCステップサイズ制御部45は、
当該算出されたエンベロープAに基づいて図13に示す
ように騒音の最大値付近に閾値Bを設定し、当該設定さ
れた閾値Bよりも当該算出されたエンベロープAが大き
い場合には、前記ANCの乗算部26のステップサイズ
(係数μ)を大幅に小さくする。
【0124】従って、当該第3実施例のANCによれ
ば、騒音よりも大きい音声等が前記マイクロホン25に
混入されたとしても、エコーの発生を確実に防止するこ
とができる。
【0125】尚、当該第3実施例の適応フィルタ28に
おいては、LMS法、RLS法等の多数が提案されてい
るが、本機能はマイクロホンにより信号を収音して、そ
れを係数更新に用いる適応処理アルゴリズム全てに適用
することができる。
【0126】また、当該第3実施例においては、マイク
ロホンが一つの場合を例にとり説明したが、前述した第
1及び第2実施例のような複数のマイクロホンを要する
ような場合にも適用可能であり、前記第1及び第2実施
例に当該第3実施例を適用した場合には、より一層の効
果が得られることはいうまでもない。
【0127】
【発明の効果】上記のように構成された第1の発明のア
クティブ・ノイズ・コントロール・システムによれば、
エンジン回転数及び回転状態を各段階毎に対応した最適
なステップサイズを予め設定しておき、前記監視手段か
らの検出結果に基づいて、前記記憶手段から最適なステ
ップサイズを選択し、当該選択されたステップサイズに
基づいて適応フィルタのフィルタ係数を更新するように
したので、エンジンの動作状態に対応したステップサイ
ズの変更が可能である。
【0128】また、第2の発明のアクティブ・ノイズ・
コントロール・システムによれば、音声レベル検出手段
により、騒音信号に含まれる、例えば人の声等の音声信
号における音声レベルを検出し、当該検出された音声レ
ベルに基づいて記憶手段から最適なステップサイズを選
択し、当該選択されたステップサイズに基づいて適応フ
ィルタのフィルタ係数をを更新するようにしたので、閉
空間における騒音を低減する際に、前記音声信号による
不要なエコーの発生を確実に抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の構成を立体的に表わした斜視図で
ある。
【図2】第1実施例におけるANCの概略構成を示すブ
ロック図である。
【図3】第1実施例におけるSFX−LMSの基本的な
アルゴリズムを示すブロック図である。
【図4】第1実施例における一括更新型SFX−LMS
を図式化した説明図である。
【図5】第1実施例におけるエンジン回転数、回転状態
のチューニング結果を示す説明図である。
【図6】第1実施例におけるSTFの周波数振幅特性を
示す説明図である。
【図7】第1実施例におけるエンジンパルス割り込み状
態を示す概念図である。
【図8】第2実施例におけるANCの概略構成を示すブ
ロック図である。
【図9】第2実施例における一括更新型SFX−LMS
を図式化した説明図である。
【図10】第2実施例におけるSTFの周波数振幅特性
を示す説明図である。
【図11】第3実施例におけるANCの概略構成を示す
ブロック図である。
【図12】第3実施例のANCにおけるエコー処理演算
部の内部構成を示すブロック図である。
【図13】第3実施例のANCのステップサイズ制御に
係わる動作を示す説明図である。
【符号の説明】
SP1〜4 キャンセル音出力用スピーカ MIC1〜4 エラーマイクロホン C11〜44 伝達関数 Chat11〜44 推定伝達関数 ADSG1〜4 適応フィルタ STF ADSG係数安定化フィルタ UPF 一括更新型SFX−LMS係数更新用FIRフ
ィルタ MYU2 R ステップサイズ2 ENGINE PULSE エンジンパルス 10 エンジン回転数・回転状態判断部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自動車の車室等における閉空間で適応フ
    ィルタを用いてエンジン騒音を相殺して低減するシステ
    ムであって、 前記エンジン騒音の騒音源であるエンジンの回転数及び
    回転状態を検出する監視手段と、 前記回転数及び回転状態を段階化し、各段階毎に予め設
    定された最適なステップサイズを記憶する記憶手段と、 前記監視手段からの検出結果に基づいて前記記憶手段か
    らステップサイズを選択し、当該選択されたステップサ
    イズに基づいて適応フィルタのフィルタ係数を更新する
    制御手段とを有することを特徴とするアクティブ・ノイ
    ズ・コントロール・システム。
  2. 【請求項2】 前記記憶手段には、前記ステップサイズ
    の他に各段階毎に対応した最適な安定化フィルタを構成
    する情報が記憶されていることを特徴とする請求項1記
    載のアクティブ・ノイズ・コントロール・システム。
  3. 【請求項3】 前記閉空間におけるエンジン騒音に混入
    された音声帯域の信号を抽出して、当該抽出された音声
    帯域の信号に基づいて音声レベルを検出する音声レベル
    検出手段を有し、 前記制御手段は、当該検出された音声レベルに基づいて
    前記記憶手段からステップサイズを選択することを特徴
    とする請求項1又は2記載のアクティブ・ノイズ・コン
    トロール・システム。
  4. 【請求項4】 閉空間で適応フィルタを用いて騒音を相
    殺して低減するシステムであって、 当該閉空間にて発生する音声信号を含む騒音信号を抽出
    する騒音信号抽出手段と、 前記適応フィルタのフィルタ係数を更新するための予め
    各段階に対応したステップサイズを記憶する記憶手段
    と、 前記抽出された騒音信号から音声信号を抽出し、当該抽
    出された音声信号に基づいて音声レベルを検出する音声
    レベル検出手段と、 当該検出された音声レベルに基づいて前記記憶手段から
    ステップサイズを選択し、当該選択されたステップサイ
    ズに基づいて前記適応フィルタのフィルタ係数を更新す
    る制御手段とを有することを特徴とするアクティブ・ノ
    イズ・コントロール・システム。
  5. 【請求項5】 前記制御手段は、前記音声レベル検出手
    段からの音声レベルが所定レベルを超えたとき、前記記
    憶手段から小さいステップサイズを選択することを特徴
    とする請求項4記載のアクティブ・ノイズ・コントロー
    ル・システム。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012093477A1 (ja) * 2011-01-06 2012-07-12 パイオニア株式会社 能動型振動騒音制御装置、能動型振動騒音制御方法及び能動型振動騒音制御プログラム
WO2013108294A1 (ja) * 2012-01-20 2013-07-25 三菱電機株式会社 能動振動騒音制御装置
US9318095B2 (en) 2010-02-18 2016-04-19 Pioneer Corporation Active vibration noise control device
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