JPH07230184A - トナー用バインダー樹脂およびトナー - Google Patents

トナー用バインダー樹脂およびトナー

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JPH07230184A
JPH07230184A JP6020666A JP2066694A JPH07230184A JP H07230184 A JPH07230184 A JP H07230184A JP 6020666 A JP6020666 A JP 6020666A JP 2066694 A JP2066694 A JP 2066694A JP H07230184 A JPH07230184 A JP H07230184A
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JP
Japan
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toner
binder resin
temperature
styrene
molecular weight
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Application number
JP6020666A
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English (en)
Inventor
Koichi Ito
弘一 伊藤
Takayuki Tajiri
象運 田尻
Hitoshi Iwasaki
等 岩崎
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 定着性、非オフッセット性および耐ブロッキ
ング性のバランス性に優れたトナーを得る。 【構成】 スチレン系モノマー単位、(メタ)アクリル
系モノマー単位および2官能以上のビニル系モノマー単
位からなるスチレン−アクリル系共重合体であって、軟
化温度が115〜155℃、ガラス転移温度が50〜7
0℃、ゲル分率が10〜40%、溶剤可溶分のゲルパー
ミエーションクロマトグラフィーによる分子量分布の最
大ピークの分子量が10000以下、175〜177℃
での貯蔵弾性率が4000以上、175〜177℃での
損失弾性率が4000以上であるトナー用バインダー樹
脂および該バインダー樹脂を含有するトナー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真法、静電印刷
法等によるプリンター、コピー機、ファクシミリ等に使
用されるトナーおよびそれに用いられるバインダー樹脂
に関し、更に詳しくは、定着性、非オフセット性および
耐ブロッキング性に優れたトナー用バインダー樹脂およ
びトナーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真法、静電記録法、静電印刷法等
に用いられるコピー機、プリンター、ファクシミリ等で
は、その印刷の高速化が進み、現像工程での帯電発生時
にトナーとキャリアとが激しく撹拌混合され、定着工程
では定着温度が低温化されてきている。これに伴い、使
用されるトナーにおいても、低温での定着性や定着強度
等の定着性能をはじめとして、加熱ローラーおよび他の
紙等にトナーが移行しない非オフセット性、トナーの保
存中に凝固を起こさない耐ブロッキング性等の性能が要
求されてきている。
【0003】このような要求に対して、トナーの主成分
であるバインダー樹脂の種々の特性をコントロールする
ことによって、トナー特性を向上させる試みが盛んに行
われてきている。例えば、バインダー樹脂の分子量およ
びガラス転移温度を低下させてトナーの定着性を改良す
る方法、バインダー樹脂を高分子量化することによって
トナーの非オフセット性を改良する方法等が行われてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、トナー
の定着性を改良するためにバインダー樹脂の分子量を低
下させた場合には、トナーの非オフセット性が損なわれ
るという問題点を有している。また、バインダー樹脂の
ガラス転移温度を低下させて定着性の改良を行う場合に
は、トナーの耐ブロッキング性が損なわれるという問題
点を有している。さらに、トナーの非オフセット性を改
良するためにバインダー樹脂を高分子量化する場合に
は、トナーの定着性が損なわれるという問題点を有して
いる。このように、バインダー樹脂の分子量やガラス転
移温度をコントロールすることによっては、定着性、非
オフセット性および耐ブロッキング性のバランス性に優
れたトナーを得ることは非常に困難であった。
【0005】一方、トナーの定着性と非オフセット性と
のバランスをとるために、例えば、特開平1−3034
47号公報に提案されているように、バインダー樹脂の
分子量、貯蔵弾性率および損失弾性率をコントロールす
る方法が提案されているが、このような方法において
も、トナーの定着性と非オフセット性とのバランスを微
妙にコントロールできるものではないとともに、併せて
トナーの耐ブロッキング性をコントロールすることは困
難なものであった。そこで、本発明は、定着性、非オフ
ッセット性および耐ブロッキング性のバランス性に優れ
たトナーおよびトナー用バインダー樹脂を提供すること
を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明のトナ
ー用バインダー樹脂は、スチレン系モノマー単位、(メ
タ)アクリル系モノマー単位および2官能以上のビニル
系モノマー単位からなるスチレン−アクリル系共重合体
であって、軟化温度が115〜155℃、ガラス転移温
度が50〜70℃、ゲル分率が10〜40%、溶剤可溶
分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分
子量分布の最大ピークの分子量が10000以下、17
5〜177℃での貯蔵弾性率が4000以上、175〜
177℃での損失弾性率が4000以上であることを特
徴とするものである。本発明のトナー用バインダー樹脂
は、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル系モノマー
および2官能以上のビニル系モノマーを含有する重合性
モノマー混合物を重合することによって得られる、スチ
レン系モノマー単位、(メタ)アクリル系モノマー単位
および2官能以上のビニル系モノマー単位からなるスチ
レン−アクリル系共重合体からなる。
【0007】本発明で使用されるスチレン系モノマーと
しては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−
メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシス
チレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、
3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,
4ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−t
ertブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p
−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p
−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、α
ーメチルスチレン等が挙げられ、これらを単独または2
種以上を組み合わせて使用することができる。中でも、
バインダー樹脂のガラス転移温度のコントロールや(メ
タ)アクリル系モノマーとの反応性等の点で、スチレ
ン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレンが好まし
く、特に好ましくはスチレンである。これらスチレン系
モノマーを使用することによって、トナーの耐湿性を向
上させることができるものである。
【0008】また、(メタ)アクリル系モノマー(アク
リル系モノマーあるいはメタクリル系モノマー)として
は、アクリル酸、メタクリル酸;アクリル酸エチル、ア
クリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イ
ソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸2−エチル
ヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリ
ル、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸2−メ
トキシエチル、アクリル酸2−ブドキシエチル等のアク
リル酸エステル;メタクリル酸エチル、メタクリル酸メ
チル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチ
ル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸2−エチルヘ
キシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリ
ル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸シクロヘキ
シル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル
酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸2−エトキシエ
チル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸
2ーブドキシエチル等のメタクリル酸エステル等が挙げ
られ、これらを単独または2種以上を組み合わせて使用
することができる。中でも、バインダー樹脂のガラス転
移温度および軟化温度のコントロールの点で、アクリル
酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタク
リル酸メチル、メタクリル酸n−ブチルが好ましい。
【0009】これらスチレン系モノマーと(メタ)アク
リル系モノマーとの使用量は、特に限定されるものでは
ないが、トナーの耐湿性の観点から、スチレン系モノマ
ーと(メタ)アクリル系モノマーとの総量に対してスチ
レン系モノマーが50重量%以上であることが好まし
く、さらに好ましくは63〜95重量%の範囲である。
さらに、架橋モノマーである2官能以上のビニル系モノ
マー、すなわち一分子中に反応性二重結合を2個以上有
する反応性ビニル系モノマーしては、例えば、ジビニル
ベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合
物、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メ
タ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)ア
クリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリ
ル酸ポリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジ
プロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3−
ブチレングリコール、ビスフェノールA誘導体系ジ(メ
タ)アクリル酸等が挙げられ、これらを単独または2種
以上を組み合わせて使用することができる。中でも、バ
インダー樹脂の軟化温度のコントロールの点で、ジメタ
クリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−
ブチレングリコールが好ましい。これら2官能以上のビ
ニル系モノマーは、全モノマー成分に対して1〜2.8
重量%の範囲で用いることが好ましく、さらに好ましく
は1.6〜2.6重量%の範囲である。これは、1重量
%未満では、バインダー樹脂の架橋構造が不足してトナ
ーの非オフセット性が劣る傾向にあり、2.8重量%を
超えるとバインダー樹脂の軟化温度が高くなり、トナー
の定着性が損なわれる傾向にあるためである。
【0010】これら重合性モノマーの重合は、懸濁重合
法、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法等の公知の重
合方法によって行うことができるが、残存溶剤による臭
気の問題がないとともに、発熱の制御が容易であり、分
散剤の使用量も少なく耐湿性を損なうこともない等の点
から懸濁重合法が好ましい。本発明において、バインダ
ー樹脂の重合に使用される重合開始剤としては、一般的
に用いられている過酸化物系重合開始剤やアゾ系重合開
始剤が使用でき、例えば、ラウリルパーオキサイド、ク
メルパーオキシオクトエイト、ベンゾイルパーオキサイ
ド、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエイ
ト)、m−トルオイルパーオキサイド、t−ブチルパー
オキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパー
オキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等の1
0時間半減期温度が60〜90℃の過酸化物系重合開始
剤;t−ブチルパーオキシラウレート、シクロヘキサノ
ンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピル
カーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−
ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオ
キシイソフタレート等の10時間半減期温度が95〜1
10℃の過酸化物系重合開始剤;アゾビスイソブチルニ
トリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロ
ニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチルニ
トリル等のアゾ系重合開始剤が挙げられ、これらを単独
あるいは2種以上を組み合わせて使用することができ
る。中でも、バインダー樹脂の重合のモノマー成分の反
応性の点から、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチル
パーオキシベンゾエートが特に好ましい。これら重合開
始剤は、スチレン系モノマーおよび(メタ)アクリル系
モノマーの合計量に対して3.2〜11重量%の範囲で
使用することが好ましく、さらに好ましくは3.7〜1
0重量%の範囲である。これは、重合開始剤が3.2重
量%未満であると、バインダー樹脂の分子量を十分に高
めることができない傾向にあり、11重量%を超える
と、バインダー樹脂の強度が低下しトナーとしての定着
性に劣る傾向にあるためである。
【0011】また、本発明においては、10時間半減期
温度が60〜90℃、好ましくは80〜90℃の過酸化
物系開始剤と、10時間半減期温度が95〜110℃、
好ましくは96〜107℃の過酸化物系開始剤とを併用
することが、バインダー樹脂の分子量およびガラス転移
温度のコントロール等の点で好ましく、ベンゾイルパー
オキサイドとt−ブチルパーオキシベンゾエートとの組
合せが特に好ましい。10時間半減期温度が60〜90
℃の過酸化物系開始剤は、バインダー樹脂の溶剤可溶分
の分子量を低くすることができるものであって、スチレ
ン系モノマーおよび(メタ)アクリル系モノマーの合計
量に対して3〜9重量%の範囲で使用することが好まし
く、さらに好ましくは3.5〜8.5重量%の範囲であ
る。10時間半減期温度が95〜110℃の過酸化物系
開始剤は、バインダー樹脂の重合を完結させガラス転移
温度を高くすることができるものであって、スチレン系
モノマーおよび(メタ)アクリル系モノマーの合計量に
対して0.2〜2重量%の範囲で使用することが好まし
く、さらに好ましくは0.2〜1.5重量%の範囲であ
る。
【0012】バインダー樹脂を懸濁重合法で重合する場
合に使用される分散剤としては、通常の懸濁重合に使用
されるものでよく、例えば、ポリビニルアルコール、ポ
リアクリル酸ナトリウム系分散剤、ポリエーテル系分散
剤等が挙げられる。さらに、分散助剤として硫酸ナトリ
ウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、硫酸マンガ
ン、過酸化水素水、ほう酸等を併用することもできる。
懸濁重合に使用する脱イオン水の使用量は、重合中の発
熱を緩和して反応の安定化を図るために、重合性モノマ
ー成分に対する重量比率で1.5〜2.5の範囲とする
ことが好ましく、さらに好ましくは1.8〜2.3の範
囲である。また、100℃以上の反応温度で2〜4Kg
/cm2 程度の加圧下で重合を行うことが好ましい。こ
れは、このような条件下で懸濁重合を行うことによっ
て、バインダー樹脂の分子量を低下させることができト
ナーの定着性を向上させるとともに、重合開始剤が効率
よく消費され生産性を向上させることができるものであ
り、さらに好ましくは110〜145℃の範囲である。
さらに、室温から反応温度に到達するまでの昇温時間と
しては、20〜90分程度とすることが好ましい。これ
は、20分未満ではバインダー樹脂の架橋構造が得られ
難くなる傾向にあり、90分を超えるとバインダー樹脂
の分子量を低下させる効果が少なくなる傾向にあるため
である。
【0013】本発明においては、重合開始剤の分解副生
物である安息香酸等を低減して、トナーの帯電安定性を
向上させる目的で、バインダー樹脂の重合を行った後に
85℃以上の温度でアルカリ処理を施すことが好まし
い。アルカリ処理温度が85℃未満では、安息香酸等の
低減効果が十分でなく、好ましくは88℃以上である。
使用されるアルカリとしては、例えば、リチウム、ナト
リウム、カリウム、ルビジウム等のアルカリ金属の水酸
化物等が挙げられ、中でも水酸化ナトリウムが好まし
い。これらアルカリの使用量は、スチレン系モノマーお
よび(メタ)アクリル系モノマーの総量に対して0.1
〜2重量%の範囲であることが好ましく、さらに好まし
くは0.3〜1.5重量%の範囲である。また、重合を
行った後に、反応系内から脱イオン水および残存モノマ
ーを流出させる蒸留を行うことによって、残存するモノ
マーを低減させることもできる。蒸留工程とアルカリ処
理を併用する場合には、アルカリ処理の前あるいはアル
カリ処理と同時に蒸留を行うことが好ましい。蒸留は、
脱イオン水の沸点である100℃以上の温度で行うこと
が好ましく、重合に使用した脱イオン水量の5〜30重
量%の量を流出させることが好ましく、さらに好ましく
は10〜25重量%の範囲である。
【0014】上記のようにして得られた本発明のバイン
ダー樹脂は、軟化温度が115〜155℃であり、好ま
しくは120〜145℃の範囲である。これは、バイン
ダー樹脂の軟化温度が115℃未満であるとトナーとし
ての非オフセット性が低下し、逆に155℃を超えると
トナーの定着性に劣るためである。また、バインダー樹
脂のガラス転移温度が50〜70℃であり、好ましくは
55〜68℃の範囲である。これは、バインダー樹脂の
ガラス転移温度が50℃未満であるとトナーとしての耐
ブロッキング性が低下し、逆に70℃を超えるとトナー
の定着性に劣るためである。さらに、バインダー樹脂の
ゲル分率が10〜40%であり、好ましくは15〜37
%の範囲である。これは、バインダー樹脂のゲル分率が
10%未満であるとトナーとしての非オフセット性が低
下し、逆に40%を超えるとトナーの定着性に劣るため
である。
【0015】本発明においては、バインダー樹脂の溶剤
可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにお
ける分子量分布の最大ピークの分子量が10000以下
であり、好ましくは9500以下、さらに好ましくは5
100〜8900の範囲である。これは、この分子量が
10000を超える場合にはトナーの定着性が劣るため
である。また、本発明のバインダー樹脂は、貯蔵弾性率
が4000以上、好ましくは5000以上、さらに好ま
しくは8000〜20000の範囲であり、損失弾性率
が4000以上、好ましくは4500以上、さらに好ま
しくは4500〜8500の範囲であることが、トナー
としての定着性および非オフセット性の点から重要であ
る。これは、貯蔵弾性率が4000未満ではトナーとし
ての非オフセット性が低下するためであり、損失弾性率
が4000未満ではトナーとしての強度が低下し定着性
に劣るためである。さらに、本発明のバインダー樹脂に
おいては、損失弾性率と貯蔵弾性率との比(損失弾性率
/貯蔵弾性率)であるtanδが1以下であることが好
ましい。これは、バインダー樹脂のtanδが1を超え
ると、トナーとしての非オフセット性が低下する傾向に
あるためであり、さらに好ましくは0.9以下の範囲で
ある。
【0016】本発明のトナーは、上記のようなバインダ
ー樹脂、すなわち、スチレン系モノマー単位、(メタ)
アクリル系モノマー単位および2官能以上のビニル系モ
ノマー単位からなるスチレン−アクリル系共重合体であ
って、軟化温度が115〜155℃、ガラス転移温度が
50〜70℃、ゲル分率が10〜40%、溶剤可溶分の
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量
分布の最大ピークの分子量が10000以下、175〜
177℃での貯蔵弾性率が4000以上、175〜17
7℃での損失弾性率が4000以上であるバインダー樹
脂を含有してなることを特徴とするものである。
【0017】バインダー樹脂は、トナー中に88〜97
重量%の範囲で含有されることが好ましく、さらに好ま
しくは90〜95重量%の範囲である。これは、バイン
ダー樹脂の含有量が88重量%未満であると、トナーと
しての非オフセット性が低下する傾向にあり、逆に97
重量%を超えるとトナーの帯電安定性に劣る傾向にある
ためである。本発明のトナーは、バインダー樹脂ととも
に着色剤、顔料、荷電制御剤、オフセット防止剤、磁性
粉等の添加剤を、例えば、二軸押出機やミキサー等の混
練機を用いて、バインダー樹脂の軟化温度よりも15〜
30℃程度高い温度で混練した後、微粉砕、分級を行い
トナー化される。得られたトナー粒子は、平均粒径が5
〜20μm程度、好ましくは8〜15μm程度であり、
粒径が5μm以下の微粒子が3重量%未満であることが
好ましい。
【0018】トナーに使用される着色剤、顔料、荷電制
御剤、オフセット防止剤、磁性粉は、通常使用されてい
るものでよく、例えば、カーボンブラック、ニグロシン
染料、ランプ黒、スーダンブラックSM、ネーブルイエ
ロー、ミネラルファーストイエロー、リソールレッド、
パーマネントオレンジ4R等の着色剤あるいは顔料、ニ
グロシン、アルキル基含有アジン系染料、塩基性染料、
モノアゾ染料あるいはその金属錯体、サリチル酸あるい
はその金属錯体、アルキルサルチル酸あるいはその金属
錯体、ナフトエ酸あるいはその金属錯体等の荷電制御
剤、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ポリプ
ロピレン共重合体等のオフセット防止剤、フェライト、
マグネタイト等の磁性粉が挙げられる。
【0019】なお、本発明においては、ガラス転移温度
は、サンプルを100℃まで昇温しメルトクエンチした
後、DSC法(昇温速度10℃/min)により求め
た。軟化温度は、1mmφ×10mmのノズルを有する
フローテスター(島津製作所社製CFT−500)を用
い、荷重30Kgf、昇温速度3℃/minの条件下
で、サンプル量の1/2が流出した時の温度で示した。
ゲル分率は、試料0.5gをテトラヒドロフラン(TH
F)50ml中に入れ、温度60℃で3時間加熱溶解し
た後、セライト#545を敷き詰めたガラスフィルター
で濾過し、真空乾燥機を用いて80℃で十分に乾燥させ
たときの重量の最初の重量に対する百分率で示した。
【0020】分子量は、ゲルパーミエーションクロマト
グラフィー(東ソ社製HCL−8020)を用いポリス
チレン換算により求めた。詳細には、分子量測定におけ
る測定方法に関して、数種類の単分散ポリエチレン標準
試料により作成された検量線とカウントされた数値との
関係から、分子量の算出及び分子量分布を得た。この時
のポリエチレン標準試料としては、分子量が6×10
2 、2.1×103 、4×103 、1.75×104
5.1×104 、1.1×105 、3.9×105
8.6×105 、2×106、4.48×106 のもの
が挙げられ、10個以上選択して使用することが好まし
い。また、カラムとしては、TSKgel、G1000
H、G2000H、G2500H、G3000H、G4
000H、G5000H、G6000H、G7000
H、GMH等が挙げられ、これらを組み合わせて使用す
ることが好ましい。貯蔵弾性率、損失弾性率およびta
nδは、直径25mmの平行板により温度175〜17
7℃、周波数1Hz、ストレイン0.28%の条件下
で、レオメーター(レオメトリックス社製RDA70
0)を用いて測定した。
【0021】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明
する。実施例において、定着性は、定着ローラーの温
度、速度を自由に変えることの可能な複写機を使用し
て、定着速度を250mm/秒として、ヒートローラー
に紙が巻き付く状態から巻き付かない状態になった時の
温度を最低定着温度とし、その最低定着温度によって以
下の基準に従って評価した。 ◎:140℃未満 ○:140℃以上160℃未満 △:160℃以上180℃未満 ×:180℃以上。
【0022】非オフセット性は、定着性と同様にして、
紙への二重転写が発現し後続の紙まで汚すホットオフセ
ット現象が生じた時の温度を求め、以下の基準に従って
評価した。 ◎:210℃以上 ○:195℃以上210℃未満 △:180℃以上195℃未満 ×:180℃未満 耐ブロッキング性は、トナー約1gをガラス容器に入
れ、約50℃に保った熱風乾燥機に入れ約48時間放置
後、取出したガラス容器を逆さにしときのトナーの凝集
状態を、以下の基準に従って評価した。
【0023】◎:トナーが均一に分散する ○:2回叩くとトナーが均一に分散する △:4回叩くとトナーが均一に分散する ×:トナーが凝集して分散しない なお、定着性、非オフセット性および耐ブロッキング性
ともに、上記評価基準で△以上であれば実用レベルであ
るとした。
【0024】実施例1〜11 脱イオン水220重量部、ポリビニルアルコール(鹸化
度88%)0.2重量部を混合溶解し、蒸留塔、攪拌機
が備え付けてある反応容器に投入した。次いで、表1に
示した通りの重合性モノマーの各成分を、混合し反応容
器に投入した。さらに、攪拌回転数を200rpmとし
て、表1に示した重合開始剤を添加した後、反応容器を
密封状態にし、約30分間この状態を保持した。次い
で、反応系の昇温を開始し、昇温開始から約30分で反
応系内の温度を130℃、圧力3.5Kg/cm2 とし
て懸濁重合を開始した。懸濁重合を開始してから約3時
間後に、反応系内の温度を90℃まで降下させ、反応容
器内を常圧にし、撹拌回転数を300rpmとした。そ
の後、反応系内の温度を100℃まで昇温し蒸留工程に
移った。反応系内から脱イオン水と残存したモノマーと
の混合液を約2時間流出させ、流出量が44重量部とな
った時点で、反応系内の温度を約90℃に保持して、水
酸化ナトリウムを0.5重量部投入しアルカリ処理を約
30分間行った。その後、反応系内の温度を室温まで冷
却し得られた樹脂を取り出し、脱イオン水で十分に洗浄
を行った後、脱イオン水を十分に脱水して50℃の条件
下で約48時間乾燥を行いバインダー樹脂を得た。得ら
れたバインダー樹脂のガラス転移温度、軟化温度、ゲル
分率、溶剤可溶分のゲルパーミエーションクロマトグフ
ィーによる分子量分布における最大ピークの分子量、貯
蔵弾性率、損失弾性率およびtanδは、表1に示す通
りであった。
【0025】さらに、得られたバインダー樹脂92重量
部、カーボンブラック(三菱化成社製#44)4重量
部、荷電制御剤(オリエント化学社製S−34)1重量
部および低分子量ポリプロピレンワックス(三洋化成社
製660P)3重量部を混合し、インターナルミキサー
を用いて、バインダー樹脂の軟化温度よりも15℃高く
なるようにして、約30分間混練した。次いで、微粉
砕、分級を行い平均粒径が10〜12μmのトナーを得
た。得られたトナーを用いて、定着性、非オフセット性
および耐ブロキイング性の評価を行い、その結果を表1
に示した。
【0026】比較例1〜11 脱イオン水220重量部、ポリビニルアルコール(鹸化
度88%)0.2重量部を混合溶解し、蒸留塔、攪拌機
が備え付けてある反応容器に投入した。次いで、表2に
示した通りの重合性モノマーの各成分を、混合し反応容
器に投入した。さらに、攪拌回転数を200rpmとし
て、表2に示した重合開始剤を添加した後、反応容器を
密封状態にし、約30分間この状態を保持した。次い
で、反応系の昇温を開始し、昇温開始から約30分で反
応系内の温度を130℃、圧力3.5Kg/cm2 とし
て懸濁重合を開始した。懸濁重合を開始してから約3時
間後に、反応系内の温度を90℃まで降下させ、反応容
器内を常圧にし、撹拌回転数を300rpmとした。そ
の後、反応系内の温度を100℃まで昇温し蒸留工程に
移った。反応系内から脱イオン水と残存したモノマーと
の混合液を約2時間流出させ、流出量が44重量部とな
った時点で、反応系内の温度を約90℃に保持して、水
酸化ナトリウムを0.5重量部投入しアルカリ処理を約
30分間行った。その後、反応系内の温度を室温まで冷
却し得られた樹脂を取り出し、脱イオン水で十分に洗浄
を行った後、脱イオン水を十分に脱水して50℃の条件
下で約48時間乾燥を行いバインダー樹脂を得た。得ら
れたバインダー樹脂のガラス転移温度、軟化温度、ゲル
分率、溶剤可溶分のゲルパーミエーションクロマトグフ
ィーによる分子量分布における最大ピークの分子量、貯
蔵弾性率、損失弾性率およびtanδは、表2に示す通
りであった。
【0027】さらに、得られたバインダー樹脂92重量
部、カーボンブラック(三菱化成社製#44)4重量
部、荷電制御剤(オリエント化学社製S−34)1重量
部および低分子量ポリプロピレンワックス(三洋化成社
製660P)3重量部を混合し、インターナルミキサー
を用いて、バインダー樹脂の軟化温度よりも15℃高く
なるようにして、約30分間混練した。次いで、微粉
砕、分級を行い平均粒径が10〜12μmのトナーを得
た。得られたトナーを用いて、定着性、非オフセット性
および耐ブロキイング性の評価を行い、その結果を表2
に示した。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】なお、表1および表2に示したモノマーの
記号は、それぞれ以下の化合物を示す。 St ;スチレン nBMA;メタクリル酸n−ブチル MMA ;メタクリル酸メチル 2EHA;アクリル酸2−エチルヘキシル BDMA;1,3−ブチレングリコールジメタクリレー
ト ED ;ジメタクリル酸エチレングリコール BPO ;ベンゾイルパーオキサイド PZ ;t−ブチルパーオキシベンゾエート
【0031】
【発明の効果】本発明は、トナー用バインダー樹脂に、
特定の軟化温度、ガラス転移温度、ゲル分率、分子量分
布、貯蔵弾性率および損失弾性率を付与することによっ
て、定着性、非オフッセット性および耐ブロッキング性
のバランス性に優れたトナーを提供できるものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系モノマー単位、(メタ)アク
    リル系モノマー単位および2官能以上のビニル系モノマ
    ー単位からなるスチレン−アクリル系共重合体であっ
    て、軟化温度が115〜155℃、ガラス転移温度が5
    0〜70℃、ゲル分率が10〜40%、溶剤可溶分のゲ
    ルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量分
    布の最大ピークの分子量が10000以下、175〜1
    77℃での貯蔵弾性率が4000以上、175〜177
    ℃での損失弾性率が4000以上であることを特徴とす
    るトナー用バインダー樹脂。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のトナー用バインダー樹脂
    を含有することを特徴とするトナー。
JP6020666A 1993-10-22 1994-02-17 トナー用バインダー樹脂およびトナー Pending JPH07230184A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1184716A (ja) * 1997-09-01 1999-03-30 Tomoegawa Paper Co Ltd 静電荷現像用トナー
JP2003173042A (ja) * 2001-09-27 2003-06-20 Mitsubishi Chemicals Corp 静電荷像現像用トナーの製造方法
US7608373B2 (en) 2005-01-25 2009-10-27 Ricoh Company, Ltd. Toner for developing electrostatic latent image, developer using the toner, and process cartridge, image forming apparatus and image forming method using the developer
US11458755B2 (en) * 2018-02-22 2022-10-04 Ferro Gmbh Printing process for transferring a printing substance

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