JPH0722837Y2 - パッファ式ガス開閉器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、可動接触子と固定接触子との開極時に発生し
たアークをパッファ室からの絶縁性ガスの吹付けにより
消弧するようにしたパッファ式ガス開閉器に関する。

〔従来の技術〕

従来のこの種ガス開閉器においては、パッファ室を可動
接触子側に設けるのが一般的であり、例えば第５図及び
第６図に示すような構成になっている。

すなわち、パイプ状の固定接触子（ａ）とこれに接離す
る往復動自在の可動接触子（ｂ）とがSF₆ガス等の絶縁
性ガス雰囲気中において同軸状に配設され、可動接触子
（ｂ）の外側に、この基部外周面に摺接する固定ピスト
ン（ｃ）を備えた固定のパッファシリンダ（ｄ）が配置
されると共に、可動接触子（ｂ）の先端部外周に一体に
可動ピストン（ｅ）が設けられ、これがシリンダ（ｄ）
の内周面に摺接し、シリンダ（ｄ）内の両ピストン
（ｃ），（ｅ）間にパッファ室（ｆ）が形成されてい
る。

固定ピストン（ｃ）にはパッファ室（ｆ）に連通する吸
込口（ｇ）が形成され、これが逆止弁（ｈ）により閉塞
され、又、可動ピストン（ｅ）には可動接触子（ｂ）の
先端部を覆うようにノズル（ｉ）が一体に設けられると
共に、可動ピストン（ｅ）にパッファ室（ｆ）とノズル
（ｉ）の内側とを連通する吹出口（ｊ）が形成されてい
る。

そして、投入動作時、可動接触子（ｂ）が固定接触子
（ａ）側に移動すると、これに伴なって可動ピストン
（ｅ）も移動するため、パッファ室（ｆ）内が膨張して
負圧になり、逆止弁（ｈ）が開き、外部の絶縁性ガスが
吸込口（ｇ）を通してパッファ室（ｈ）内に吸込まれ
る。

次に、第５図の投入状態から可動接触子（ｂ）が前述と
は逆方向すなわち遮断方向に移動すると、これに伴なっ
て移動する可動ピストン（ｅ）によりパッファ室（ｆ）
内が圧縮されるため、パッファ室（ｆ）内の絶縁性ガス
が吹出口（ｊ）より流出し、これがノズル（ｉ）により
可動接触子（ｂ）の先端に案内され、第６図に示すよう
に、両接触子（ａ），（ｂ）が開離することより発生し
たアーク（ｋ）に絶縁性ガスが吹付けられ、アークがこ
のガスの消弧力により消弧され、遮断が完了する。

尚、従来においては、前述したようなパッファ室（ｆ）
を固定接触子（ａ）側に設けるようにしたものもある。

〔考案が解決しようとする課題〕

従来のパッファ式ガス開閉器にあっては、遮断動作時，
可動接触子（ｂ）側又は固定接触子（ａ）側のいずれか
一方のみに設けられたパッファ室（ｆ）より絶縁性ガス
を吹付ける構成であるため、シリンダ（ｄ）の外径に制
限のある場合や開閉ストローク長に制限のある場合に
は、電流の遮断に必要な十分なガス流が得られず、遮断
性能の低下を招く問題がある。

本考案は、従来の技術の有するこのような問題点に留意
してなされたものであり、その目的とするところは、パ
ッファシリンダの外径及び開閉ストローク長に制限のあ
る場合においても両接触子間に十分なガス流の吹付けが
行えるパッファ式ガス開閉器を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

前記目的を達成するために、本考案のパッファ式ガス開
閉器においては、絶縁性ガス雰囲気中に同軸上に配設さ
れた固定側導体の先端部の固定接触子及びこの固定接触
子に接離する往復動自在の可動接触子と、可動接触子の
外側にこの可動接触子の先端部外周の第１可動ピストン
を介して一体に設けられ先端に固定側導体の外周に摺接
する第２可動ピストンが形成されたパッファシリンダ
と、固定接触子の外周に一体に設けられ前記シリンダ内
に前記第２可動ピストンとの間で固定側パッファ室を形
成した第１固定ピストンと、可動接触子の基部外側に配
設され可動接触子が摺接すると共に前記シリンダ内に前
記第１可動ピストンとの間で可動側パッファ室を形成し
た第２固定ピストンと、両パッファ室にそれぞれ連通し
て形成され，可動接触子の投入方向の移動に伴なって両
パッファ室内にそれぞれ前記ガスを吸込む吸込口及び可
動接触子の遮断方向の移動に伴なって両パッファ室内の
前記ガスをそれぞれ両接触子間に吹付ける吹出口とを備
えたことを特徴とするものである。

〔作用〕

前述した構成のパッファ式ガス開閉器にあっては、可動
接触子の投入方向の移動時、第1,第２可動ピストンがそ
れぞれ可動側パッファ室，固定側パッファ室を膨張させ
るように移動するため、両パッファ室がそれぞれ負圧と
なってそれぞれの吸込口より絶縁性ガスを両パッファ室
内に吸込む。

そして、遮断動作時、可動接触子の移動に伴なって両可
動ピストンが両パッファ室をそれぞれ圧縮するため、両
パッファ室内の絶縁性ガスがそれぞれの吹出口より両接
触子間に吹出され、可動接触子の固定接触子からの開離
により発生したアークに両パッファ室からのガスが同時
に吹付けられる。

〔実施例〕

本考案の実施例につき、第１図ないし第４図を参照して
説明する。

まず、第１の実施例を第１図及び第２図により説明す
る。

これらの図面において、（１）は中実丸棒状の固定側導
体であり、先端部が固定接触子（１）′として円筒状チ
ューリップ構造に形成され、この固定接触子（１）′の
基部外周に第１固定ピストン（２）が一体に設けられて
いる。

（３）は固定接触子（１）′の先端側に同軸的に対向し
て配設され軸方向に往復動自在に支持された中実丸棒状
の可動接触子であり、固定接触子（１）′に接離する先
端部が円筒状に形成され、この外周に第１可動ピストン
（４）が一体に設けられている。

（５）は可動接触子（３）の外側に第１可動ピストン
（４）を介して同軸かつ一体に設けられた円筒状のパッ
ファシリンダであり、第１可動ピストン（４）を介して
可動接触子（３）と同電位に保持され可動接触子（３）
の外側を覆った導電筒部（６）と，この先端に一体に連
設され固定接触子（１）′の外側を覆った絶縁筒部
（７）とからなり、導電筒部（６）の先端は可動接触子
（３）の先端位置とほぼ同一に配置され、可動接触子
（３）の先端における電界緩和を図っている。

（８）はシリンダ（５）の先端つまり絶縁筒部（７）の
先端に一体に設けられ固定側導体（１）の基部外周に気
密に摺接した第２可動ピストンであり、シリンダ（５）
内にシリンダ（５）の内周面に気密に摺接した第１固定
ピストン（２）と第２可動ピストン（８）とにより固定
側パッファ室（９）が形成されている。

（10）は可動接触子（３）の基部外側に配設された固定
の可動側電極であり、可動接触子（３）に摺接する摺動
接触子（11）が内装されている。（12）は可動側電極
（10）に一体に形成され可動接触子（３）の基部外周面
及びシリンダ（５）の内周面に気密に摺接した第２固定
ピストンであり、シリンダ（５）内の第１可動ピストン
（４）と第２固定ピストン（12）との間に可動側パッフ
ァ室（13）が形成されている。

（14）及び（15）は第２可動ピストン（８）及び第２固
定ピストン（12）に形成されそれぞれ固定側パッファ室
（９）及び可動側パッファ室（13）に連通した吸込口で
あり、両吸込口（14），（15）にはそれぞれ外部からの
絶縁性ガスをパッファ室（９），（13）内に吸込む時の
み開く逆止弁（16），（17）が取付けられている。

（18）は固定接触子（１）′の第１固定ピストン（２）
より基部側に透設され固定側パッファ室（９）と固定接
触子（１）′内の中空部とを連通した吹出口、（19）は
可動接触子（３）の第１可動ピストン（４）より基部側
に透設され可動側パッファ室（13）と可動接触子（３）
の先端部の中空部とを連通した吹出口、（20）はシリン
ダ（５）内の第１固定ピストン（２）と第１可動ピスト
ン（４）との間に形成されたガス空間であり、遮断時，
両接触子（１）′，（３）の中空部及び吹出口（18），
（19）を介して両パッファ室（９），（13）に連通す
る。（21）はシリンダ（５）にガス空間（20）に連通し
て形成されたガス置換孔である。

尚、これらは、SF₆ガス等の絶縁性ガス雰囲気中に配置
されている。

以上の構成において、投入動作時、可動接触子（３）が
固定接触子（１）′側に移動すると、これに伴なってシ
リンダ（５）も移動し、両可動ピストン（４），（８）
がパッファ室（13），（９）を膨張させるため、これら
が負圧になり、両パッファ室（９），（13）内にそれぞ
れ吸込口（14），（15）から絶縁性ガスが吸込まれる。

可動接触子（３）が固定接触子（１）′に接触すると、
これ以降の移動によりガス空間（20）内が圧縮される
が、ガス置換孔（21）を介して圧縮が放出されるため、
投入完了状態においてはガス空間（20）は常圧に戻され
る。

そして、遮断動作時、可動接触子（１）が前述とは反対
方向に移動すると、両可動ピストン（４），（８）も同
時に移動するため、ガス空間（20）が膨張して負圧にな
る一方、両パッファ室（９），（13）が圧縮されて正圧
となり、可動接触子（３）が固定接触子（１）′より開
離すると、両パッファ室（９），（13）がそれぞれガス
空間（20）に連通するため、両パッファ室（９），（1
3）内の絶縁性ガスがそれぞれ第２図の矢印のように両
接触子（１）′，（３）間を通ってガス空気（20）に流
込む。

従って、両接触子（１）′，（３）の開離時に発生した
アーク（22）には両パッファ室（９），（13）からの絶
縁性ガスが同時に吹付けられ、十分なガス流が得られる
ことになるため、アーク（22）は迅速に消弧される。

特に実施例では、パッファシリンダ（５）を構成する導
電筒部（６）が可動接触子（３）の電界緩和シールドと
して作用するため、遮断性能がより向上する。

次に、第２の実施例を第３図及び第４図により説明す
る。尚、前記と同一記号は同一もしくは相当するものを
示すものとする。

この実施例は、先端部にチューリップ構造の固定接触子
（１）′を一体に有する固定側導体（１）及び可動接触
子（３）をそれぞれパイプ状として、遮断動作時の固定
側パッファ室（９）及び可動側パッファ室（13）からの
ガスの流れを第１の実施例の場合とは逆にしたものであ
る。

すなわち、固定側パッファ室（９）に連通する吹出口
（18）を第１固定ピストン（２）に形成し、パッファ室
（９）からのガスを固定接触子（１）′の外周を通して
両接触子（１）′，（３）間に吹付けるようにすると共
に、この流れをコントロールするためのノズル（23）を
第１固定ピストン（２）に一体に設け、更に、可動側パ
ッファ室（13）に連通する吹付口（19）を第１可動ピス
トン（４）に形成し、パッファ室（13）からのガスを可
動接触子（３）の外周を通して両接触子（１）′，
（３）間に吹付けるようにしている。

従って、遮断動作時、両パッファ室（９），（13）から
の絶縁性ガスはそれぞれ両接触子（１）′，（３）の外
周面を通ってそれぞれの先端側に吹出され、両接触子
（１）′，（３）間のアーク（22）に吹付けられて両接
触子（１）′，（３）のそれぞれの中空部に流入する。

尚、以上説明した実施例ではいずれもパッファシリンダ
（５）の可動接触子（３）側に導電筒部（６）を配置し
ているが、パッファシリンダを固定接触子（１）′側の
導電筒部と可動接触子（３）側の絶縁筒部とで構成し、
固定接触子（１）′の先端における電界緩和を図るよう
にしてもよい。

〔考案の効果〕

本考案は、以上説明したように構成されているため、次
に記載する効果を奏する。

可動接触子に一体のパッファシリンダ内に、固定接触子
の外周に位置する固定側パッファ室と可動接触子の外周
に位置する固定側パッファ室とを形成し、遮断動作時，
両パッファ室からの絶縁性ガスを同時に両接触子間に吹
付けるようにしたので、パッファシリンダの外径及び開
閉ストローク長が制限される場合であっても電流遮断に
必要な十分なガス流を得ることができ、遮断性能を向上
できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図は本考案によるパッファ式ガス開閉
器の実施例を示し、第１図及び第２図は第１の実施例の
投入時及び遮断動作時の断面図、第３図及び第４図は第
２の実施例の投入時及び遮断動作時の断面図、第５図及
び第６図は従来例の投入時及び遮断動作時の断面図であ
る。 （１）…固定側導体、（１）′…固定接触子、（２），
（12）…第1,第２固定ピストン、（３）…可動接触子、
（４），（８）…第1,第２可動ピストン、（５）…パッ
ファシリンダ、（９）…固定側パッファ室、（13）…可
動側パッファ室、（14），（15）…吸込口、（18），
（19）…吹出口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】絶縁性ガス雰囲気中に同軸上に配設された
   固定側導体の先端部の固定接触子及び該固定接触子に接
   離する往復動自在の可動接触子と、 前記可動接触子の外側に該可動接触子の先端部外周の第
   １可動ピストンを介して一体に設けられ先端に前記固定
   側導体の外周に摺接する第２可動ピストンが形成された
   パッファシリンダと、 前記固定接触子の外周に一体に設けられ前記シリンダ内
   に前記第２可動ピストンとの間で固定側パッファ室を形
   成した第１固定ピストンと、 前記可動接触子の基部外側に配設され前記可動接触子が
   摺接すると共に前記シリンダ内に前記第１可動ピストン
   との間で可動側パッファ室を形成した第２固定ピストン
   と、 前記両パッファ室にそれぞれ連通して形成され前記可動
   接触子の投入方向の移動に伴なって前記両パッファ室内
   にそれぞれ前記ガスを吸込む吸込口及び前記可動接触子
   の遮断方向の移動に伴なって前記両パッファ室内の前記
   ガスをそれぞれ前記両接触子間に吹付ける吹出口と を備えたパッファ式開閉器。