JPH07227250A - 練り製品の物性のコントロール剤および練り製品の製造方法 - Google Patents

練り製品の物性のコントロール剤および練り製品の製造方法

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JPH07227250A
JPH07227250A JP6052449A JP5244994A JPH07227250A JP H07227250 A JPH07227250 A JP H07227250A JP 6052449 A JP6052449 A JP 6052449A JP 5244994 A JP5244994 A JP 5244994A JP H07227250 A JPH07227250 A JP H07227250A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 アンセリン、カルノシンおよび/またはバレ
ニンからなる練り製品の物性のコントロール剤。それを
使用する練り製品の製造方法。トランスグルタミナーゼ
などのタンパクのゲル化促進物質を使用する製造方法に
おいて有効である。それらを多量に含む水産脊椎動物筋
肉および/または組織の水抽出物の形で使用する。アン
セリン、カルノシンおよび/またはバレニンを酵素的に
分解してその含有量を調整したすり身を使用する練り製
品の製造方法。無晒しすり身を利用できる。 【効果】 魚肉練り製品の製造において、坐り現象を高
進させたり、抑制させたり制御できる。すりみ水晒し排
液などからアンセリンなどのジペプチドの回収による有
効利用ができる。アンセリナーゼ、カルノシナーゼによ
る筋肉中のアンセリン、カルノシンの分解促進による筋
肉あるいは肉製品の物性改善をすることができる。ゲル
形成抑制物質を水晒し以外の方法で除去することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は練り製品の物性のコント
ロール剤および練り製品の製造方法に関する。詳しく
は、本発明は、アンセリン、カルノシンおよび/または
バレニンからなる練り製品の物性のコントロール剤、ア
ンセリン、カルノシンおよび/またはバレニンを練り製
品の物性のコントロール剤として使用する練り製品の製
造方法、ならびに、アンセリンおよび/またはカルノシ
ンの含有量を調整したすり身を使用する練り製品の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】魚肉練り製品の主原料となる魚肉すり身
は、魚肉を採肉し、これを水晒しして、ゲル形成阻害因
子を除いた後、砂糖などの糖類を混合し、冷凍された物
である。ゲル形成の阻害因子としては、特定されている
訳ではないが、すり身のゲル形成の主体となる筋原繊維
タンパク質よりもゲル形成の劣る水溶性タンパク質、お
よび、ゲルのタンパク質マトリックスを分解するプロテ
アーゼであると一般に考えられていた。この水晒し工程
により、魚肉中のタンパク質の約20%が流出してい
る。
【0003】資源を有効に利用し、魚肉の味を活かした
利用を進めるためにも、すり身製造法の改善は、重要な
課題である。ゲル形成阻害因子を特定しこれを効率よく
除くことが、先ず必要とされる技術である。一方、近
年、すり身のゲル形成に関するタンパク質化学的な研究
が飛躍的に進歩し、すり身の塩ずり肉を40℃以下の温
度帯で保持したときのゲル物性の増大(この現象を坐り
と称している。)に、すり身中に含まれるタンパク質架
橋酵素の一つであるトランスグルタミナーゼ酵素が関与
することが明らかにされた。
【0004】坐りは、蒲鉾などの練り製品の物性を左右
する重要な現象であり、坐りの制御は、蒲鉾の製造上、
最も重要な工程の一つである。つまり、各練り製品の特
徴に合わせて坐りを高進させたり、抑制させたりする技
術が必要である。現状では、温度・時間管理等で対応し
ているに過ぎず、経験に頼るところが大きい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、練り製品の
物性のコントロール剤、ならびに坐り現象を高進させた
り、抑制させたり制御できる魚肉練り製品の製造方法の
提供を目的とする。さらに本発明は、ゲル形成抑制物質
を水晒し以外の方法で除去する方法の提供を目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は魚肉練り製品
の原料の魚肉に含まれるゲル形成阻害因子を明らかにす
ることを目的に研究を行ったところ、魚肉筋肉中に多量
に含まれるジペプチドのアンセリン、カルノシンおよび
バレニンがゲル形成、特に、坐り現象の進行に抑制作用
を示すことを発見した。この発見に基づき練り製品の製
造上最も重要な工程の一つである、つまり、各練り製品
の特徴に併せて坐りを高進させたり、抑制させたりする
練り製品の製造方法を完成させた。
【0007】従来のすり身、練り製品製造に関する技術
では、水溶性タンパク質の除去がゲル形成性の増大につ
ながることが知られているが、その原因の一つがアンセ
リン、カルノシン、バレニンの除去であることが初めて
明らかになった訳である。これらのジペプチドがゲル形
成性に大きく関与することから、これらジペプチドの濃
度を測定するなど、すり身製造時の品質管理の一手法と
して応用できる。また、練り製品製造時の坐りのマイル
ドな制御方法が、天然魚肉中に存在するアンセリン、カ
ルノシン、バレニンを添加あるいは除去することにより
可能になった。したがって本発明は、アンセリン、カル
ノシンおよび/またはバレニンからなる練り製品の物性
のコントロール剤またはトランスグルタミナーゼの酵素
活性抑制剤を提供することができる。
【0008】また、タンパク質のクロスリンク反応を触
媒する酵素の一つであるトランスグルタミナーゼの酵素
活注の制御方法として、Ca感受性を示すトランスグル
タミナーゼ(以下、TGaseと略することもある。魚
肉由来のTGase、動物肝臓TGaseなど。)につ
いては、一般にCa濃度を制御することにより行われて
いる。しかし、食品などでは、Ca濃度をコントロール
する場合に、Ca濃度に依存する物性に影響が出てしま
うこともあり、Ca濃度制御に代わる方法の開発が望ま
れている。
【0009】また、放線菌由来のTGase酵素(特開
昭64−27471号公報)は、酵素活性の発現がCa
非感受性であるためCa濃度制御ではうまくいかず、食
品などへ応用する際の制御方法が課題となっていた。本
発明は、アンセリンなどによりCa非感受性放線菌由来
のTGase酵素も有効に抑制する方法に係わる。
【0010】本発明で使用するアンセリン、カルノシン
および/またはバレニンは、魚類や鯨類の筋肉中に含ま
れるジペプチドとして周知のものである(水産生物化
学、東京大学出版会、山口勝己編、1991、p99参
照)。カルノシンはβ−アラニルヒスチジンと表され、
アンセリンはβ−アラニル−π−メチルヒスチジン、バ
レニンはβ−アラニル−τ−メチルヒスチジンで表せる
ジペプチドである。本発明で用いるジペプチドはカルノ
シン、アンセリンおよびバレニンは単独ないしはこれら
の組み合わせで使用する。
【0011】アンセリン、カルノシン、バレニンの抽出
原料としては、サケ、カツオ、マグロ、スケトウダラな
どの各種水産脊椎動物の筋肉、水晒し液排液などが使用
できる。好ましくは、アンセリン、カルノシンおよび/
またはバレニンは、アンセリン、カルノシンおよび/ま
たはバレニンを多量に含む水産脊椎動物筋肉および/ま
たは組織の水抽出物である。アンセリン、カルノシン、
バレニンの精製は、各種のイオン交換クロマトグラィ
ー、酸処理、熱処理等による除蛋白などにより行うこと
ができる。また、用途によっては、サケ、カツオ、マグ
ロなどの筋肉の水晒し液、煮熟液などをそのまま使用し
てもかまわない。
【0012】また、本発明において、アンセリン、カル
ノシンおよび/またはバレニンを酵素的に分解するため
に使用する、例えばカルノシナーゼおよびアンセリナー
ゼは、Biochemistry 60,(1955)
81−87およびComp.,Biochem.,Ph
ysiol.61B,1978,253−258に示さ
れる方法や、各種のイオンロマトグラフィー、硫安分
角、pH沈殿法、有機溶媒分画法などの方法によって、
部分精製、あるいは、精製された物を利用できる。
【0013】上記Biochemistry 60,
(1955)81−87に記載されたアンセリナーゼの
調整法(アセトン分画)は以下のとおりである。 (1)新鮮なタラの筋肉1kgに、 (2)水2lを添加し、0℃でホモジナイズ(クロロホ
ルム20ml添加脱脂)する。 (3)絞って、減圧下濃縮する。 (4)遠心分離して、上清50ml(pH7.5)を得
る。温度0℃に保持する。 (5)アセトンを添加する(アセトン25ml〜50m
lを−4℃以下にして一滴づつ撹拌しながら添加す
る。)。 (6)遠心分離して、沈殿を得る。即座に沈殿を蒸留水
(0℃)25mlに懸濁し、2日間水で透析する。 (7)遠心分離して上清を得、凍結乾燥し、凍結乾燥品
を得る(収量300mg)。
【0014】上記Comp.Biochem.Phys
iol,61B,1978,253−258に記載され
たアンセリナーゼの調整法は以下のとおりである。 (1)タラ筋肉63g肉に、 (2)120mlバッファ(0.05M 塩化ナトリウ
ム pH7.0)を添加する。ホモジナイズして310
00×g、25分間遠心分離する。 (3)上清を上記バッファで透析する。 (4)ゲル濾過セファデックスG−100(8×75c
mカラム)処理する。 (5)DEAE−セルロースカラム(1.5×30c
m)処理する。0.1M塩化ナトリウムで洗浄し、0.
4M 塩化ナトリウムで溶出する。 (6)透析(脱塩のため、10mM N−エチルモルフ
ォリンpH7.0)する。 (7)ECTEOLA−セルロース(1.5×10c
m)カラム処理する。塩濃度0〜0.6Mグラジエント
溶出する。
【0015】本発明は水産脊椎動物の筋肉中に多量に含
まれるジペプチドのアンセリン、カルノシンおよび/ま
たはバレニンを抽出し、部分精製し、これをかまぼこ等
の練り製品の物性コントロールに使用する。したがっ
て、本発明は、アンセリン、カルノシンおよび/または
バレニンからなることを特徴とする練り製品の物性のコ
ントロール剤である。本発明は、アンセリン、カルノシ
ンおよび/またはバレニンを多量に含む水産脊椎動物筋
肉および/または組織の水抽出物からなることを特徴と
する練り製品の物性のコントロール剤である。
【0016】また本発明は、すり身および/または魚肉
を利用した練り製品の製造に際して、アンセリン、カル
ノシンおよび/またはバレニンを練り製品の物性のコン
トロール剤として使用することを特徴とする練り製品の
製造方法である。本発明は、すり身および/または魚肉
を利用した練り製品の製造に際して、アンセリン、カル
ノシンおよび/またはバレニンを多量に含む水産脊椎動
物筋肉および/または組織の水抽出物を練り製品の物性
のコントロール剤として使用することを特徴とする練り
製品の製造方法である。
【0017】本発明は、アンセリン、カルノシン、バレ
ニンによりトランスグルタミナーゼの酵素活性を抑制す
ることによってタンパク質食品の物性のコントロールす
る。すなわち本発明は、タンパクのゲル化促進物質を添
加したすり身および/または魚肉を利用した練り製品の
製造に際して、アンセリン、カルノシンおよび/または
バレニンを練り製品の物性のコントロール剤として使用
することを特徴とする練り製品の製造方法である。上記
タンパクのゲル化促進物質は好ましくはトランスグルタ
ミナーゼである。
【0018】本発明は、魚肉中のアンセリン、カルノシ
ン、バレニンをアンセリナーゼ、カルノシナーゼなどで
分解することにより、無晒しすり身とこれを利用した弾
力に富んだ練り製品を製造する。本発明は、すり身およ
び/または魚肉を利用した練り製品の製造において、ア
ンセリン、カルノシンおよび/またはバレニンの含有量
を調整したすり身を使用することを特徴とする練り製品
の製造方法を提供する。さらに本発明は、すり身および
/または魚肉を利用した練り製品の製造において、アン
セリン、カルノシンおよび/またはバレニンの含有量を
酵素的に分解して調整したすり身を使用することを特徴
とする練り製品の製造方法を提供する。その酵素的分解
はアンセリナーゼ(EC3.4.13.3)および/ま
たはカルノシナーゼ(EC3.4.13.5)を使用し
て行う。また、本発明は、すり身および/または魚肉を
利用した練り製品の製造において、アンセリン、カルノ
シンおよび/またはバレニンの含有量を調整した無晒し
すり身を使用することを特徴とする練り製品の製造方法
を提供する。
【0019】
【実施例】本発明を実施例で詳しく説明する。本発明
は、実施例によって何ら限定されない。
【0020】実施例1 坐り現象を全く示さないサケすりみから以下の方法で非
タンパク質画分を調製した。サケすりみ(50g)に5
0mlの冷水を加え、ホモジナイズ後、15%トリクロ
ロ酢酸を終濃度5%になるように添加した。形成される
沈殿、不溶物を遠心にて除き、得られる上清液に、ジエ
テルエーチルを加え、混合し、トリクロロ酢酸画分を除
去した。トリクロロ酢酸の除去操作を数回繰り返しした
後、少量の水を加え、水酸化ナトリウムで中和し、凍結
乾燥を行い、粉末を得た。これを50mM トリス−塩
酸緩衝液(pH7.5)に溶解し、10mlに定容し非
タンパク質画分を得た。これは、1ml当たり5gのす
りみの非タンパク質画分に相当する。
【0021】また、以下の方法で水溶性タンパク質画分
を調製した。サケすりみ250gに250mlの0.1
M 塩化ナトリウム−50mM トリス−塩酸緩衝液
(pH7.5)溶液を加え、ホモジナイズ後、遠心分離
し上清液を得た。これに60%飽和硫酸濃度になるよう
に硫安を添加し、塩析物を遠心分離にて沈殿として回収
した。この沈殿物を少量の50mM トリス−塩酸緩衝
液(pH7.5)に溶解後、同液に対して透析し、10
0,000×g 60分間遠心分離後、得られた上清画
分を水溶性タンパク質画分とした。
【0022】実施例2 実施例1で得られたサケすりみの非タンパク質画分、水
溶性タンパク質画分のコイTGase酵素活性に及ぼす
影響を測定した。反応条件は、終濃度2mg/mlアセ
チル化カゼイン、0.55mM モノダンシルカダベリ
ン、5mM 塩化カルシウム、 5mM ジチオトレイ
トール、50mM トリス−塩酸緩衝液(pH7.
5)、0.76ユニット/mlコイ筋肉由来TGas
e、1ml非タンパク質画分、あるいは、1mlの水溶
性タンパク質画分(10mg/2ml)、全反応液量2
mlにて、25℃、60分間反応させた。TGase酵
素活性は、モノダンシルカダベリンのアセチル化カゼイ
ンへの取り込み量を蛍光法により測定して求めた。
【0023】その結果、試験に用いたコイTGase活
性を100%と表すと、非タンパク質画分を添加した系
では、活性が10%となったのに対して、水溶性タンパ
ク質画分を添加した系では、活性が116%に増大し
た。以上の結果から、サケすりみの非タンパク質画分に
TGase抑制作用を示す物質が存在することが確認さ
れた。水溶性タンパク質画分を添加したときのTGas
e活atの増大は、サケすりみ中のTGase活性が表
れたことが推察される。
【0024】実施例3 生白サケ筋肉から実施例1と同様に抽出した非タンパク
質画分について、実施例2と同様に、コイTGase活
性に及ぼす影響を測定した。非タンパク質画分を添加す
ると、添加濃度に従ってTGase活性は低下し、反応
液中にサケ筋肉2.5gに相当する非タンパク質画分を
添加すると活性が18%以下まで低下することを確認し
た。
【0025】実施例4 実施例3で調製した白サケ筋肉から抽出した非タンパク
質画分のアミノ酸分析を行ったところ、ジペプチドのア
ンセリンが81%を占めることを確認した。アミノ酸分
析結果を表1に示した。
【0026】
【表1】
【0027】実施例5 魚肉から抽出したアクトミオシンにCa共存下でTGa
seを作用させるとミオシン分子のクロスリンク反応が
起こる。ミオシンのクロスリンク量をドデシル硫酸ナト
リウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により測定
することによりTGase活性を表すことが出来る。ク
ロスリンク反応を起こすとミオシン分子は巨大分子とな
り、通常のミオシン分子(ミオシンヘビーチェイン)の
検出量は低下する。サケ筋肉から調製したアクトミオシ
ンに、コイ筋肉から抽出したTGaseをCa存在下で
作用させると、ミオシン分子のクロスリンク反応が進行
する。このクロスリンク反応に対するサケ筋肉から抽出
した非タンパク質画分の影響を測定した。以下の反応組
成条件で測定した。
【0028】サケアクトミオシン5mg/ml、0.5
M 塩化ナトリウム、5mM 塩化カルシウム、5mM
ジチオトレイトール、25℃24時間反応させ、ドデ
シル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
分析を行った。結果を図1[サケアクトミオシンのコイ
TGaseによるミオシンクロスリンク反応のサケ筋肉
非タンパク質画分による阻害作用(ドデシル硫酸ナトリ
ウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動分析)]に示し
たが、コントロールの非タンパク質画分を添加しない系
では、ミオシンのクロスリンク反応が進行するのに対し
て、非タンパク質画分を添加した系では、ミオシンのク
ロスリンク反応が抑制されることが確認でき、非タンパ
ク質画分にTGase酵素の抑制作用があることが示さ
れた。
【0029】実施例6 実施例5と同様に、サケアクトミオシンのコイTGas
eによるミオシンクロスリンク反応に対するアンセリン
(sigma社製)の影響を測定した。終濃度5mM付
近からミオシンクロスリンク反応の抑制効果が確認さ
れ、アンセリンにTGase酵素抑制作用が確認され
た。
【0030】実施例7 魚肉アクトミオシンにTGaseを作用させると、ゲル
が形成される。試験管の中での坐り現象と考えられる。
サケアクトミオシンのコイTGaseによるゲル化に対
するサケ筋肉の非タンパク質画分、アンセリン(sig
ma社製)の影響を測定した。
【0031】ゲル化の程度は、試験管倒置法により測定
し、ゲル化の状態を次のように表現した。 (−) :倒置するとすぐ流れだしゲル化していない状
態 (+−):倒置しても形を保っているが、弱い振動を加
えると崩れてしまうゲル化の程度が弱い状態 (+) :倒置しても形を保っているが、強い振動を加
えると崩れてしまうゲル化の程度が強い状態 (++):倒置しても形を保っていて、強い振動を加え
ても形が崩れないゲル化の程度の非常に強い状態
【0032】ゲル化に対するサケ筋肉非タンパク質画
分、アンセリンの影響を次の反応組成で測定した。 反応組成(全量 2ml) 8mg/mlサケアクトミオシン0.14ユニット、5
mM 塩化カルシウム、5mM ジチオトレイトール、
50mM トリス−塩酸緩衝液(pH 7.5)、0.
5M 塩化ナトリウム、0〜0.6mlサケ筋肉非タン
パク質画分(実施例1と同じ物)、または0〜60mM
アンセリン(sigma社製)。
【0033】反応は、25℃、3時間行い、試験管倒置
法によりゲル化の程度を測定した。結果を表2に示し
た。サケ筋肉非タンパク質画分、アンセリンTGase
によるアクトミオシンのゲル化抑制作用があることが確
認された。
【0034】
【表2】
【0035】実施例8 放線菌由来のTGase(味の素社製、アクティバT
G)は、動物筋肉由来のTGaseとは、酵素活性中心
の構造が異なり、また、Ca非感受性である。(J.B
io.Chem.vol268.11565−1157
2.1993)アンセリンがこのTGase活性を抑制
するかどうかを検討した。実施例2と同様にアクティバ
TG酵素に対するアンセリンの作用を測定した。ただ
し、反応温度30℃、60分間反応させた。結果を表3
に示した。TGase作用機構の異なるTGaseに対
してもアンセリンは抑制作用を示すことが確認された。
【0036】
【表3】
【0037】
【発明の効果】各種のTGase酵素活性のジペプチド
によるコントロール、水産脊椎動物筋肉あるいは、すり
み水晒し排液からのアンセリンなどのジペプチドの回収
による有効利用、練り製品の物性コントロールへのジペ
プチドの応用、アンセリナーゼ、カルノシナーゼによる
筋肉中のアンセリン、カルノシンの分解促進による筋肉
あるいは肉製品の物性改善をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】サケアクトミオシンのコイTGaseによるミ
オシンクロスリンク反応のサケ筋肉非タンパク質画分に
よる阻害作用(ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリル
アミドゲル電気泳動分析)を示した説明図である。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アンセリン、カルノシンおよび/または
    バレニンからなることを特徴とする練り製品の物性のコ
    ントロール剤。
  2. 【請求項2】 アンセリン、カルノシンおよび/または
    バレニンが、アンセリン、カルノシンおよび/またはバ
    レニンを多量に含む水産脊椎動物筋肉および/または組
    織の水抽出物である請求項1記載の練り製品の物性のコ
    ントロール剤。
  3. 【請求項3】 すり身および/または魚肉を利用した練
    り製品の製造に際して、アンセリン、カルノシンおよび
    /またはバレニンを練り製品の物性のコントロール剤と
    して使用することを特徴とする練り製品の製造方法。
  4. 【請求項4】 アンセリン、カルノシンおよび/または
    バレニンが、アンセリン、カルノシンおよび/またはバ
    レニンを多量に含む水産脊椎動物筋肉および/または組
    織の水抽出物である請求項3記載の練り製品の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 練り製品の製造がタンパクのゲル化促進
    物質を添加して行われる請求項3または請求項4記載の
    練り製品の製造方法。
  6. 【請求項6】 タンパクのゲル化促進物質がトランスグ
    ルタミナーゼである請求項5記載の練り製品の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 すり身および/または魚肉を利用した練
    り製品の製造において、アンセリン、カルノシンおよび
    /またはバレニンの含有量を調整したすり身を使用する
    ことを特徴とする練り製品の製造方法。
  8. 【請求項8】 含有量の調整をアンセリン、カルノシン
    および/またはバレニンを酵素的に分解して行う請求項
    8記載の練り製品の製造方法。
  9. 【請求項9】 酵素的分解をアンセリナーゼ(EC3.
    4.13.3)および/またはカルノシナーゼ(EC
    3.4.13.5)を使用して行う請求項8記載の練り
    製品の製造方法。
  10. 【請求項10】 すり身が無晒しすり身である請求項
    7、請求項8または請求項9記載の練り製品の製造方
    法。
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JP2007181421A (ja) * 2006-01-06 2007-07-19 Yaizu Suisankagaku Industry Co Ltd イミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物、イミダゾールジペプチド類含有飲食品、及びイミダゾールジペプチド類高含有魚介抽出物の製造方法
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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