JPH07227101A - 畦塗機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 塗り残しのない能率良好な畦塗機による畦塗
作業を可能とする。 【構成】 畦整形板によって畦の上面及び一側法面を連
続形成する畦塗装置１１ａ、１１ｂを走行車に備えた畦
塗機において、走行車の前後一端側で左右両側に左右の
畦塗装置１１ａ、１１ｂを各別に配備させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば保水用或いは境
界用として圃場などに畦を連続的に形成する畦塗機に関
する。

【０００２】

【従来の技術】例えばロータリによって元畦に土盛りを
行い、バイブレータによって畦整形板を振動させて畦を
連続的に形成する畦塗装置を、トラクタ後方の左右一側
に装備させてトラクタの走行時に畦塗作業を行うように
した手段がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】この種トラクタの後部
に装備する畦塗装置による畦塗作業にあっては、トラク
タの前進走行時のみ作業が行われる結果、トラクタの前
進終端の圃場端において、トラクタの略全長分の塗り残
しが発生し、このためトラクタでの畦塗作業後に塗り残
し分の畦を手作業で畦塗りする手間の煩わしさがあっ
た。

【０００４】また、土盛り用ロータリや、畦整形板を加
振するバイブレータを有する構造の畦塗装置の場合、こ
れらロータリやバイブレータからの反力によって、トラ
クタは左右横方向の大きな偏向作用力を受けて、機体が
傾いたり左右に横すべりするなどして、走行作業中の直
進性を損わせて、作業精度を悪いものとさせるなどの欠
点があった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】したがって本発明は、畦
整形板によって畦の上面及び一側法面を連続形成する畦
塗装置を走行車に備えた畦塗機において、走行車の前後
一端側で左右両側に左右の畦塗装置を各別に配備させる
ことによって、走行車の前端側に畦塗装置を設けたもの
にあって、左或いは右側の畦塗装置によって畦塗作業を
行うとき、圃場の各元畦走行始端側に残る走行車略全長
分の塗り残し部分を、走行車を反転して走行方向を逆と
させて、走行方向が正時の畦塗装置とは逆側の右或いは
左側の畦塗装置によって畦塗可能とさせ、また走行車の
後端側に畦塗装置を設けたものにあって、左或いは右側
の畦塗装置によって畦塗作業を行うとき、圃場の各元畦
走行終端側に残る走行車略全長分の塗り残し部分を、走
行車を反転して走行方向が逆で、走行方向が正時の畦塗
装置とは逆側の右或いは左側の畦塗装置によって行うと
き畦塗可能とさせて、従来の如く塗り残し部分を別途手
作業で畦塗りするなどの手間の煩わしさを解消させて、
畦塗作業の能率向上化を図ることができる。また、走行
車の前部に畦塗装置を装備させる場合、前方作業の視認
性を良好とさせて作業精度を向上させることができる。

【０００６】さらに、畦の上面及び一側法面を連続形成
する畦整形板の整形面を左右内向きとして一対に設ける
ことによって、畦の左右法面に対する両面塗りを１行程
で行うことを可能とさせて、圃場内部を区画する中畦な
どの畦塗作業での能率向上化を図ることができる。

【０００７】また、元畦に土盛りを行うロータリと、土
盛り後の畦の整形を行う畦整形板とを有する畦塗装置を
走行車に備えた畦塗機において、走行車の前後一端側で
左右両側に左右の畦塗装置を各別に配備させると共に、
左右の畦塗装置の駆動系に左右畦塗用クラッチをそれぞ
れ介設させて、左右何れか一方の畦塗装置の駆動を可能
とさせることによって、左右畦塗装置のうち必要とする
左右一方の畦塗装置のみ、或いは左右畦塗装置の両方同
時の駆動を可能とさせ、片面塗り或いは両面塗りの何れ
の形態による塗り残しのない良好な畦塗作業を可能とさ
せて、作業能率と安全性の向上を図ることができる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述
する。図１は畦塗機の正面図、図２は同側面図、図３は
同平面図であり、図中（１）は左右走行クローラ（２）
を装設するトラックフレーム、（３）は前記トラックフ
レーム（１）上に支持する機台、（４）は運転席（５）
を上面に設ける運転台、（６）は前記運転席（５）前方
の運転操作コラム（７）に設ける運転操作部、（８）は
前記運転台（４）に内設するエンジン、（９）は前記走
行クローラ（２）を駆動するミッションケースであり、
機台（３）前端側に上下揺動自在に基端を連結支持する
左右の畦塗駆動ケース（１０ａ）（１０ｂ）に左右の畦
塗装置（１１ａ）（１１ｂ）を左右独立昇降自在に装設
している。

【０００９】図４乃至図７にも示す如く、左右の畦塗装
置（１１ａ）（１１ｂ）は、正面視反時計及び時計方向
にそれぞれ回転させるロータリ爪（１２）によって削り
取った土を元畦（Ａ）に飛散せて盛土するロータリ（１
３）と、この盛土をバイブレータ（１４）の振動でもっ
て整形して新畦（Ｂ）を形成する畦整形板（１５）とを
備え、内側整形面（１５ａ）によって畦（Ｂ）の上面及
び一側法面を整形する略逆Ｌ形の整形板（１５）の外側
コーナ部にバイブレータ（１４）を固設させ、フレキシ
ブルワイヤ（１６）を介して駆動するバイブレータ（１
４）によって整形板（１５）を振動させるように構成し
ている。

【００１０】また、前記バイブレータ（１４）をバイブ
レータ取付座（１７）に枢軸（１８）及び揺振バネ（１
９）を介して吊下げ、正面視山形状の左右駆動ケース
（１０ａ）（１０ｂ）上面に立設固定する左右の支持フ
レーム（２０ａ）（２０ｂ）に、上下一対の平行リンク
（２１）（２２）を介して各取付座（１７）を昇降自在
に連結させると共に、左右駆動ケース（１０ａ）（１０
ｂ）にシリンダ取付座（２３）を介し支持する電動モー
タ付の昇降シリンダ（２４）のピストンロッド（２５）
先端を、平行リンク（２１）（２２）の上部リンク（２
１）と取付座（１７）との枢支軸（２６）に連結させ
て、昇降シリンダ（２４）の伸縮操作によってバイブレ
ータ（１４）と一体に整形板（１５）を適正高さに昇降
させるように構成している。

【００１１】さらに、左右畦塗装置（１１ａ）（１１
ｂ）の各ロータリ（１３）を、前記駆動ケース（１０
ａ）（１０ｂ）の左右両端にロータリ軸（２７）を介し
て回転自在に設け、各ロータリ（１３）の内側上減を覆
うロータリカバー（２８）を駆動ケース（１０ａ）（１
０ｂ）前側面に固定させると共に、畦の略上面上方に配
置させる土カバー（２９）を、前記バイブレータ取付座
（１７）に土カバーフレーム（３０）を介して固定支持
させ、各ロータリカバー（２８）の外側上方に延設する
土飛散防止カバー（３１）を、土カバー（２９）の内側
上面及び前後面に重合させて、前記ロータリ（１３）か
らの飛散する土を土カバー（２９）内の土シャッタ（３
２）の案内によって畦上面に落下させるように構成して
いる。

【００１２】図８にも示す如く、前記ミッションケース
（９）はエンジン（８）の出力軸（８ａ）にベルト伝達
機構（３３）を介してミッション入力軸（９ａ）を連動
連結させると共に、ミッションケース（９）のロータリ
出力軸（３４ａ）にロータリ駆動系（３５）を介し前記
ロータリ（１３）を、またミッションケース（９）のバ
イブレータ出力軸（３４ｂ）にフレキシブルワイヤ（１
６）を介して偏荷重状態に加振ウエイト（３６）を駆動
軸（３７）に有するバイブレータ（１４）をそれぞれ連
動連結させて、これらロータリ（１３）及びバイブレー
タ（１４）の各駆動を行うように構成している。

【００１３】ところで、左右の畦塗駆動ケース（１０
ａ）（１０ｂ）は機台（３）前端側に固設する畦塗フレ
ーム（３８）に基端のケース駆動入力軸（３９）を中心
として上下揺動自在に支持させ、前記畦塗フレーム（３
８）の上面の左右用シリンダ取付座（４０ａ）（４０
ｂ）と左右支持フレーム（２０ａ）（２０ｂ）間に電動
モータ付の左右昇降シリンダ（４１ａ）（４１ｂ）を介
設して、該シリンダ（４１ａ）（４１ｂ）の伸縮操作に
よって左右畦塗装置（１１ａ）（１１ｂ）を左右独立に
昇降可能とさせるように構成している。

【００１４】また前記ロータリ駆動系（３５）は、左右
駆動ケース（１０ａ）（１０ｂ）内の左右ロータリ駆動
軸（４２ａ）（４２ｂ）を中央部の前記入力軸（３９）
位置で自在継手（４３）を介して折曲自在に連結させ、
前記畦塗フレーム（３８）に支持して駆動軸（４２ｂ）
にベベルギヤ（４４）を介して連動連結する駆動入力軸
（３９）に、自在継手軸（４５）を介し前記ロータリ出
力軸（３４ａ）を連動連結させると共に、左右ロータリ
駆動軸（４２ａ）（４２ｂ）の両端に各ベベルギヤ（４
６）を介して左右ロータリ（１３）の各ロータリ軸（２
７）を連動連結させ、左右ロータリ（１３）の駆動を各
別に停止させる左右爪クラッチであるロータリクラッチ
（４７ａ）（４７ｂ）をロータリ駆動軸（４２ａ）（４
２ｂ）に介設させて、左或いは右クラッチ（４７ａ）
（４７ｂ）の切操作によって右或いは左ロータリ（１
３）のみの駆動を行わしめるように構成している。

【００１５】なお、前記ロータリクラッチ（４７ａ）
（４７ｂ）は爪クラッチに換え、ボールクラッチなどの
噛合せ式或いは摩擦クラッチなど何れでも良い。さらに
左右のバイブレータ（１４）の各駆動系にもクラッチ
（４７ａ）（４７ｂ）と略同機能のクラッチをそれぞれ
介設する構造として、ロータリクラッチ（４７ａ）（４
７ｂ）の切時にはこれに対応するバイブレータ（１４）
のクラッチも切とさせて、ロータリ（１３）及びバイブ
レータ（１４）両方の駆動を同時に停止させる構造とし
ても良い。またさらに、ロータリ駆動軸（４２ａ）（４
２ｂ）に換えスプロケット及びチェンによるチェン伝達
手段を用いて入力軸（３９）とロータリ軸（２７）間を
連動連結させても良い。

【００１６】本実施例は上記の如く構成するものにし
て、図９に示す如く左側の畦塗装置（１１ａ）を上動位
置に保持して機体右側で下降させる畦塗装置（１１ｂ）
によって正（ａ）方向に機体を走行時新畦（Ｂ）を形成
する畦塗作業にあっては、機体前端側に畦塗装置（１１
ｂ）が装備される結果、圃場の走行始端側においては畦
塗装置（１１ｂ）の後端部と機体最後部との間の寸法
（Ｌ）だけ畦塗りが行われず塗り残しが発生する。

【００１７】このような場合１行程終了後寸法（Ｌ）の
塗り残し部分を機体姿勢を反転させ、左側の畦塗装置
（１１ａ）を下降使用状態して逆（ｂ）方向に畦塗作業
を行うことによって、正（ａ）方向に畦塗作業を行った
場合に未処理となる塗り残し部の畦塗りが行われる。つ
まり手間が煩わしい手塗り作業の必要のない全面塗り作
業が１機の畦塗機によって可能にできる。

【００１８】またこの場合走行部をクローラ（２）タイ
プとすることによって、ロータリ（１３）及びバイブレ
ータ（１４）からの反力によって機体に大きな横方向の
力を受けても、機体は横ズレすることなく安定して直進
性を良好維持する。

【００１９】また、機体前方の左右両側に畦塗装置（１
１ａ）（１１ｂ）を装備させるため、前方作業の視認性
を良好とさせて作業精度を向上させることができると共
に、専用機のため畦塗装置（１１ａ）（１１ｂ）の着脱
の煩わしさや、踏み代の心配をする必要がない。

【００２０】また前述実施例にあっては左右畦塗装置
（１１ａ）（１１ｂ）を機体の前側に装備させたが、後
側に装備させることによって前実施例と略同様に塗り残
し部を畦塗り可能とさせることができる。

【００２１】図１０は左右の畦塗装置（１１ａ）（１１
ｂ）をそれぞれ左右反転状態とさせて機体前端側に装備
させたもので、左右畦塗装置（１１ａ）（１１ｂ）の各
整形板（１５）の内側整形面（１５ａ）を、前述実施例
では外向きとしたものに対し内向きに設けて、これら左
右整形板（１５）によって１つの畦の両面塗りを可能と
させて、圃場内部を仕切する中畦などを容易に形成可能
とさせる畦塗機を提供するものである。またこの場合左
右駆動ケース（１０ａ）（１０ｂ）を中央部で左右摺動
自在に結合連結させると共に、左右駆動ケース（１０
ａ）（１０ｂ）間に電動モータ付の間隔調節シリンダ
（４８）を介設して、１つの新畦（Ｂ）の畦巾を調節自
在とするように設けている。

【００２２】

【発明の効果】以上実施例からも明らかなように本発明
は、畦整形板（１５）によって畦（Ｂ）の上面及び一側
法面を連続形成する畦塗装置（１１ａ）（１１ｂ）を走
行車に備えた畦塗機において、走行車の前後一端側で左
右両側に左右の畦塗装置（１１ａ）（１１ｂ）を各別に
配備させたものであるから、走行車の前進作業時一側の
畦塗装置（１１ａ）（１１ｂ）で未処理となる塗り残し
部を、走行車を反転させ他側の畦塗装置（１１ｂ）（１
１ａ）を使用することによって畦塗り可能にでき、した
がって塗り残しなどのない全面塗りを可能とさせてこの
畦塗り作業での能率向上化が図れる。

【００２３】また、左右の畦塗装置（１１ａ）（１１
ｂ）は、畦（Ｂ）の上面及び一側法面を連続形成する畦
整形板（１５）の整形面（１５ａ）をそれぞれ外向き或
いは内向きとして一対に設けたものであるから、畦
（Ｂ）の左右法面に対する両面塗りを１行程で行うこと
を可能とさせて、圃場内部を区画する中畦などの畦塗作
業での能率向上化を図ることができる。

【００２４】また、元畦（Ａ）に土盛りを行うロータリ
（１３）と、土盛り後の畦の整形を行う畦整形板（１
５）とを有する畦塗装置を走行車に備えた畦塗機におい
て、走行車の前後一端側で左右両側に左右の畦塗装置
（１１ａ）（１１ｂ）を各別に配備させると共に、左右
の畦塗装置（１１ａ）（１１ｂ）の駆動系（３５）に左
右畦塗用クラッチ（４７ａ）（４７ｂ）をそれぞれ介設
させて、左右何れか一方の畦塗装置（１１ａ）（１１
ｂ）の駆動を可能とさせたものであるから、左右畦塗装
置（１１ａ）（１１ｂ）のうち必要とする左右一方の畦
塗装置（１１ａ）或いは（１１ｂ）のみ、或いは左右畦
塗装置（１１ａ）（１１ｂ）の両方同時の駆動を可能と
させ、片面塗り或いは両面塗りの何れの形態による塗り
残しのない良好な畦塗作業を可能とさせて、作業能率と
安全性の向上を図ることができるなど顕著な効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】全体の正面図である。

【図２】全体の側面図である。

【図３】全体の平面図である。

【図４】全体の正面説明図である。

【図５】畦塗装置の平面説明図である。

【図６】畦塗装置の正面説明図である。

【図７】整形板部の説明図である。

【図８】駆動系の説明図である。

【図９】作業状態を示す説明図である。

【図１０】他の変形構造例を示す説明図である。

【符号の説明】

（１１ａ）（１１ｂ） 畦塗装置 （１３） ロータリ （１５） 整形板 （１５ａ） 整形面 （４７ａ）（４７ｂ） クラッチ （Ａ）（Ｂ）畦

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 畦整形板によって畦の上面及び一側法面
   を連続形成する畦塗装置を走行車に備えた畦塗機におい
   て、走行車の前後一端側で左右両側に左右の畦塗装置を
   各別に配備させたことを特徴とする畦塗機。
2. 【請求項２】 左右の畦塗装置は、畦の上面及び一側法
   面を連続形成する畦整形板の整形面をそれぞれ外向き或
   いは内向きに一対に設けたことを特徴とする請求項１記
   載の畦塗機。
3. 【請求項３】 元畦に土盛りを行うロータリと、土盛り
   後の畦の整形を行う畦整形板とを有する畦塗装置を走行
   車に備えた畦塗機において、走行車の前後一端側で左右
   両側に左右の畦塗装置を各別に配備させると共に、左右
   の畦塗装置の駆動系に左右畦塗用クラッチをそれぞれ介
   設させて、左右何れか一方の畦塗装置の駆動を可能とさ
   せたことを特徴とする畦塗機。