JPH07225185A - バイオセンサ - Google Patents

バイオセンサ

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JPH07225185A
JPH07225185A JP31576394A JP31576394A JPH07225185A JP H07225185 A JPH07225185 A JP H07225185A JP 31576394 A JP31576394 A JP 31576394A JP 31576394 A JP31576394 A JP 31576394A JP H07225185 A JPH07225185 A JP H07225185A
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JP
Japan
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light
biosensor
glass substrate
reflected
substrate
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Application number
JP31576394A
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English (en)
Inventor
Kenichi Uchiyama
兼一 内山
Taiji Osada
泰二 長田
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Toto Ltd
Original Assignee
Toto Ltd
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Publication date
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    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/17Systems in which incident light is modified in accordance with the properties of the material investigated
    • G01N21/55Specular reflectivity
    • G01N21/552Attenuated total reflection
    • G01N21/553Attenuated total reflection and using surface plasmons

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By The Use Of Chemical Reactions (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 センサの小型化およびその使い勝手の向上を
図る。 【構成】 バイオセンサ10は、ガラス基板14表面の
ガラス基板表層部16に表面プラズモン共鳴現象を利用
した基質の測定に必要な導波形レンズ18,光導波路2
0,クラッド22等の総ての光学デバイスを形成して備
え、また、光量の検出に用いるCCD撮像素子28をも
ガラス基板表層部16に備え付ける。よって、各光学デ
バイスを剛性の高い部材で固定したりする必要がなく、
各光学デバイスの相対的な位置関係をセンサ完成後に調
整する必要がない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学系を用いて被測定
溶液中の測定対象基質を測定するバイオセンサに関し、
詳しくは、金属薄膜が設けられた光反射面において幾何
学的な全反射条件で光を反射する透光性の光透過媒体を
有し、該光透過媒体と前記金属薄膜で形成されるエバネ
ッセント波結合を有する光学系を用いたものに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、バイオセンサでは、血液中の特
定蛋白や抗原等の血液中成分、或いは尿中のグルコー
ス,アスコルビン酸等の尿中成分である測定対象基質
を、これら基質に対する識別機能を有し当該基質と生物
化学的反応を起こす生体物質が用いられている。そし
て、この生物化学的反応の進行に伴う種々の物理化学的
な変位量を物理化学デバイスにより検出し、測定対象基
質の特定やその濃度等が検出される。例えば、生物化学
的反応により消費或いは生成する電極活性物質の電極反
応を介して基質濃度を検出するものや、生物化学的反応
の進行に伴って起きるエンタルピー変化をサーミスタで
検出して基質濃度を検出するものなどがあり、これらの
バイオセンサは早くから実用化されている。
【0003】その一方で、近年では、生物化学的反応の
進行に伴う誘電率の変化に着目し、光学的なデバイスを
用いて被測定溶液中の測定対象基質を測定するバイオセ
ンサが提案されている(特開昭61−292045)。
このバイオセンサでは、光学系として、金属薄膜が設け
られた光反射面において幾何学的な全反射条件で光を反
射する透光性の光透過媒体を有し、この光透過媒体と金
属薄膜で形成されるエバネッセント波結合を有する光学
系が用いられている。その測定原理は、次の通りであ
る。
【0004】エバネッセント波結合を有する光学系の光
透過媒体にp偏光された光を全反射条件を満たした種々
の入射角で光反射面に照射すると、入射角がある値のと
きに特異な現象が起きる。即ち、p偏光された光が光反
射面に照射されると、金属薄膜の光透過媒体側膜面には
入射角θを変数とする波数のエバネッセント波が生じ
る。そして、金属は固体プラズマと見なすことができる
ので、金属薄膜の反光透過媒体側膜面には、量子論的な
電荷密度の波としての表面プラズモン波が光のトンネル
効果により生じる。この表面プラズモン波は、金属薄膜
と反光透過媒体側膜面を境界面として接触する媒質との
間の波動として生じる。
【0005】そして、入射角θがある値のときには、こ
のエバネッセント波と表面プラズモン波とがその波数が
一致して共鳴する表面プラズモン共鳴現象が起き、光の
エネルギが表面プラズモン波の励起エネルギに使われ
る。この際、エネルギ的には、光反射面に入射した光の
エネルギは表面プラズモン波の励起に使われたエネルギ
と反射面からの反射光のエネルギの和に等しいという関
係がある。このため、反射角とエネルギ(光量)の変化
の様子を測定することで、表面プラズモン共鳴現象の有
無、延いては当該現象が起きた時の入射角を求めること
ができる。その一方、表面プラズモン共鳴現象が起きる
際の入射角と媒質の屈折率とは相関関係にあり、この屈
折率は、マクスウェルの方程式から媒質の誘電率で規定
でき、生体物質による生物化学的反応の進行と誘電率と
は相関関係にある。よって、反射光の光量が急激に減少
したときの反射角からその時の入射角が決まり、上記の
各相関関係から生体物質による生物化学的反応の進行の
程度、即ち基質濃度が算出される。
【0006】ところで、このようなバイオセンサにあっ
ては、金属薄膜の反光透過媒体側膜面のごく近傍、詳し
くはトンネル効果を起こすエバネッセント領域(約10
0nm)において基質と生体物質との生物化学的反応が
起こる必要がある。このため、特許出願公表平4−50
1605に提案されているように、生体物質を固定した
層いわゆるリガンド層を金属薄膜の上記膜面に固定化す
ることが一般に行なわれている。
【0007】このように、エバネッセント波結合を有す
る光学系を用いて被測定溶液中の測定対象基質を測定す
るバイオセンサは、被測定溶液の着色程度や不透明さな
どの影響を受けない、或いは金属薄膜の反光透過媒体側
膜面に基質と生物化学的反応を起こす生体物質を固着し
ておくだけでよい等の利点を有するので、急速に普及し
つつある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このバイオセンサにあ
っては、基質濃度の測定精度は、光反射面に到る入射光
の入射角と光反射面から反射して光透過媒体から出射す
る反射光の光量変化との対応の精度に依存する。従っ
て、光透過媒体としてのプリズムやレンズ、p偏光子等
の光学デバイスを、相互の位置関係が崩れないように構
成する必要がある。また、上記公報に提案されているよ
うに、入射光の入射角を変えつつ光反射面に光を入射す
る場合には、反射光を受光する素子を入射角の変化に正
確に適合させて移動させなければならない。
【0009】従って、各光学デバイス相互の位置関係を
維持するために、振動等の影響を受けないよう剛性の高
い部材で固定する必要があり装置の大型化が避けられな
いと共に、高い組み付け精度や頻繁な保守点検を必要と
する。また、駆動機器を高い精度で駆動するためその制
御が複雑となる。なお、高い組み付け精度や制御の複雑
化により、量産性にかけコストアップを招いていた。
【0010】本発明は、上記問題点を解決するためにな
され、センサの小型化およびその使い勝手の向上を図る
ことを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに本発明の採用した手段は、請求項1記載のバイオセ
ンサにあっては、金属薄膜が設けられた光反射面におい
て幾何学的な全反射条件で光を反射する透光性の光透過
媒体を有し、該光透過媒体と前記金属薄膜で形成される
エバネッセント波結合を有する光学系を用いて、前記金
属薄膜に接触した被測定溶液中の測定対象基質を測定す
るバイオセンサであって、前記光透過媒体は、隣接する
部位と区画して形成され、該部位の屈折率より大きな屈
折率を有することで外部の光源から入射した光の波動を
一定領域に閉じ込め、前記入射した光を前記光反射面に
向けて伝送する光導波路と、該光導波路を伝送される光
をp偏光する偏光手段と、該p偏光された光を前記全反
射条件を満たした種々の入射角の光として一度に前記光
反射面に照射するよう形成された導波形レンズとを備え
ることをその要旨とする。
【0012】請求項2記載のバイオセンサでは、前記光
反射面で反射し前記光透過媒体から外部に出射する反射
光を、前記光反射面における反射角ごとに一度に受光
し、該反射光の光量を反射角ごとに検出する受光手段を
備え、該受光手段を、前記光透過媒体から反射光が出射
する出射面に設けられているものとした。
【0013】請求項3記載のバイオセンサでは、前記光
透過媒体を、光の透過性を有する基板からなるものと
し、該基板の表面に対して傾斜した端面を前記光反射面
で反射した反射光が達する側に備え、該傾斜した端面
に、反射膜を備えるものとした。
【0014】
【作用】上記構成を有する請求項1記載のバイオセンサ
にあっては、光源から照射され光透過媒体に入射した光
は、以下の挙動を採る。
【0015】外部の光源から照射された光は、光透過媒
体に入射すると、この光透過媒体において隣接する部位
と区画して形成された光導波路により、光の波動がこの
光導波路の領域に閉じ込められ光反射面に向けて伝送さ
れる。そして、この光は光導波路の伝送途中で偏光手段
によりp偏光され、このp偏光された光(p偏光光)
は、光透過媒体に形成された導波形レンズにより、全反
射条件を満たした種々の入射角で、エバネッセント波結
合における光透過媒体の光反射面に一度に到る。つま
り、光反射面に光を到らしめて当該光反射面にて全反射
させ、特定の入射角で入射した入射光による表面プラズ
モン共鳴現象を起こさせるに当たり、請求項1記載のバ
イオセンサでは、光を光反射面に到らしめるに必要な光
学デバイスは、総て光透過媒体に形成されて存在し、そ
の相対的な位置関係は外部からの振動等に左右されず維
持されたままとなる。
【0016】そして、光反射面に到った以降の光の挙動
は、以下の通りである。p偏光光は、光反射面に入射す
ると当該光反射面で全反射して光透過媒体から出射する
が、所定の入射角θで入射したp偏光光については、金
属薄膜の光透過媒体側膜面のエバネッセント波と金属薄
膜の露出面における表面プラズモン波とをその波数が一
致して共鳴する表面プラズモン共鳴現象を引き起こす。
この表面プラズモン共鳴現象が起きると、光のエネルギ
は表面プラズモン波の励起エネルギに使われるので、光
反射面から反射光のエネルギは減少する。この場合、金
属薄膜の露出面が測定対象基質の被測定溶液にリガンド
層を介して接触すると、この基質と生体物質との生物化
学反応が進行して被測定溶液の誘電率、延いては屈折率
が変化するので、上記入射角θは被測定溶液における基
質濃度が反映したものとなる。
【0017】光反射面には種々の入射角の光が一度に入
射して反射するので、光反射面からはそれぞれの入射角
に対応する種々の反射角で全反射した反射光が光透過媒
体から一度に出射する。この際、上記入射角θに対応す
る反射角の反射光のみは、エネルギが損失した光量の低
い光として光透過媒体から出射し、θ以外の角度の入射
角に対応する反射角の反射光は、エネルギ損失のない高
い光量の光として光透過媒体から出射する。
【0018】このため、入射角ごとの光反射面からの反
射光を受光してその光量を検出すれば入射角とその光量
との相関がとれるので、反射光の光量が最低レベルのと
きの入射角θを求めることができる。この結果、この入
射角θと、この入射角と媒質の屈折率との相関関係,媒
質の屈折率と誘電率との関係,生体物質による生物化学
的反応の進行と誘電率との相関関係等から、基質濃度の
算出が可能となる。
【0019】請求項2記載のバイオセンサでは、受光手
段により反射角ごとの反射光を一度に受光し、その光量
を反射角ごとに検出するので、この受光手段を介して入
射角とその光量との相関をとることが可能となる。そし
て、この受光手段を反射光が出射する光透過媒体の出射
面に設けたので、全反射した光を受光する受光手段と光
を光反射面に到らしめるに必要な光学デバイスとの相対
的な位置関係は、外部からの振動等に左右されず維持さ
れたままとなる。
【0020】請求項3記載のバイオセンサでは、光反射
面で反射した反射光の挙動は、以下のようになる。この
反射光は、基板の表面に対して傾斜した端面に至ると、
当該端面の反射膜によりこの傾斜端面で反射する。この
ため、光反射面で反射した反射光は、傾斜端面での反射
を経て基板表面に向けてその進行方向を変え、基板表面
から光透過媒体外部に出射する。よって、基板表面側に
て反射光の受光が可能となる。
【0021】
【実施例】次に、本発明に係るバイオセンサの好適な実
施例について、図面に基づき説明する。図1は第1実施
例のバイオセンサ10の概略斜視図である。
【0022】図示するように、バイオセンサ10は、1
つのコーナーが面とりされた面を光源11から照射され
た光の入射端面12とする直方体であり、その大きさは
縦×横がほぼ名刺サイズの55mm×90mm、厚みが
5mm以下である。バイオセンサ10は、ガラス基板1
4の両面にガラス基板表層部16を備え、このガラス基
板表層部16は、ガラス基板14の両面に後述のイオン
交換法により形成されたものであり、ガラス基板14と
は異なる屈折率を有する。このガラス基板表層部16が
形成されるガラス基板14としては、ソーダガラス,ハ
イレックス,溶融石英からなるガラスを例示することが
できる。なお、入射端面12の両隣の側面は、光源11
からの光が入射しないよう、マスキングされている。
【0023】ガラスの屈折率は組成イオンの単位体積当
たりの電子分極率によって決まるので、その組成を変え
ることによってガラスの屈折率は変更制御可能である。
このようなガラスの性質を利用して、ガラス基板14の
両面には、熱イオン交換,電解イオン交換等のイオン交
換法によりガラス基板表層部16が異なる屈折率の層状
部として形成される。そして、このガラス基板表層部1
6の一部が、後述の工程を経て導波形レンズ18や光導
波路20とされる。また、光導波路20の経路の途中に
は、光導波路20を伝送される光をp偏光するために、
高い複素誘電率を有する材料、例えばNb25,Al,
方解石等の薄膜がクラッド22として光導波路20を覆
うようガラス基板表層部16表面に設けられている。つ
まり、光導波路20は、クラッド22の上流側では3次
元光導波路として機能し、クラッド22の下流側では光
反射面24に垂直な入射面内の2次元光導波路として機
能する。なお、導波形レンズ18,光導波路20,クラ
ッド22の形成工程については、後述する。
【0024】導波形レンズ18は、その焦点がガラス基
板表層部16下面の光反射面24に結ぶように、それぞ
れ配設・形成されている。また、光導波路20は、図示
するように、少なくとも入射端面12から導波形レンズ
18の他方の焦点に到るまでの間に亘って形成されてい
る。光源11は単一波長の光を照射する半導体レーザで
あり、この光源11から照射された光は、入射端面12
からガラス基板表層部16の光導波路20に入射し、そ
の波動がこの光導波路20の領域に閉じ込められて光導
波路20内を伝送される。そして、この光導波路20を
伝送される間にクラッド22によりp偏光される。この
p偏光された光(p偏光光)は、光導波路20の終端か
ら放射状にガラス基板表層部16内を進み、その後、導
波形レンズ18により収束されてガラス基板表層部16
の光反射面24に到る。つまり、この光反射面24に
は、クラッド22によりp偏光されて入射面内の波動と
しての光が、導波形レンズ18の焦点距離fや開口長
D,光導波路20の角度等で定まる所定範囲の入射角
(θ1 〜θ2 )で到達する。
【0025】また、光反射面24で全反射した反射光が
ガラス基板表層部16から出射する出射側端面26に
は、受光した光量を検出して電気信号に変換するCCD
撮像素子28が密着固定されている。このため、ガラス
基板表層部16に入射端面12から入射した光は、光導
波路20,導波形レンズ18を経て光反射面24で全反
射し、ガラス基板表層部16の出射側端面26に到る。
そして、このCCD撮像素子28により、その光量が検
出される。出射側端面26に到る光は、光反射面24に
おける入射光と同様、入射面内の振幅の波動であり、C
CD撮像素子28では、反射角ごとの光量、即ち上記範
囲の入射角(θ1 〜θ2 )ごとの光量が検出される。こ
のCCD撮像素子28をエリアセンサ(2次元マトリッ
スク状のセンサ)とすれば、撮像素子を複数設ける必要
がない。
【0026】なお、ガラス基板14両側の各ガラス基板
表層部16は、後述するように、基質測定用とその補正
用に用いられる。そして、この2対のガラス基板表層部
16における上記各光学デバイスで1組の測定系を形成
する。
【0027】ガラス基板表層部16の光反射面24に
は、金の薄膜(Au薄膜)30が50nmの膜厚で蒸着
形成されている。つまり、ガラス基板表層部16とこの
Au薄膜30で、光反射面24においてエバネッセント
波結合が形成されている。更に、このAu薄膜30の露
出膜面(以下、単に表面という)には、測定対象基質に
対する識別機能を有し該基質と生物化学的反応を起こす
生体物質を固定化したリガンド層(図示省略)が形成さ
れている。なお、一方のガラス基板表層部16、例えば
図1における手前側のガラス基板表層部16のAu薄膜
30には、活性のある生体物質を固定化したリガンド層
が形成されており、他方のガラス基板表層部16のAu
薄膜30には、失活した生体物質を固定化したリガンド
層が形成されている。つまり、基質測定用センサ部とし
ては手前側のガラス基板表層部16が用いられ、その補
正用センサ部には他方のガラス基板表層部16が用いら
れる。なお、生体物質の失活は、強酸や強アルカリによ
り、或いは紫外線等の電子線照射や超音波処理,70℃
程度での加熱処理等の失活処理によりなされる。
【0028】それぞれのCCD撮像素子28が接続され
た電子制御装置40は、周知のCPU,ROM等をコモ
ンバスを介して相互に接続して構成された論理演算回路
を備える。そして、電子制御装置40は、CCD撮像素
子28からの電気信号を受けて、反射角ごとの光量の分
布から反射光の光量が最低レベルのときの反射角、即ち
光量が最低レベルのときの入射角を演算する。なお、こ
の演算は、各CCD撮像素子28からの信号に基づき別
個に行なわれる。また、電子制御装置40は、光源11
を点灯制御すると共に、図示しない測定開始スイッチの
押圧操作を受けて、基質濃度の測定を開始する。
【0029】ここで、ガラス基板14におけるガラス基
板表層部16および当該表層部の導波形レンズ18,光
導波路20の形成工程(製造工程)について説明する。
まず、既述した大きさに屈折率ns (>1)のガラス板
をカッティングして、図2に示すように、ガラス基板1
4を用意する。次いで、このガラス基板14の一方の表
面(図における上面)に、図3に示すようにレジストを
筋状に2筋塗布しレジスト層50を設ける。この場合、
図示するように、2筋のレジスト層50は、図1におけ
る光導波路20を挟んで対向するするよう設けられてお
り、レジスト層50間にはスリット52が形成されるこ
とになる。
【0030】次に、レジスト層50で覆われていない範
囲の領域に亘って、熱イオン交換によりガラス表面近傍
のNa+ イオンをAg+ ,Tl+ ,K+ 等の一価の金属
イオンに置換し、ガラス表面近傍を高い屈折率nf (>
ns )の高屈折率層とする。つまり、Ag+ ,Tl+
+ 等の金属イオンを含む中性塩(AgNO3 ,TlNO
3 ,KNO3 )を用意し、これを融点以上に加熱して溶
融する。そして、融点以上の温度のままの中性塩溶融液
に、ガラス基板14のレジスト層形成側表面を所定時間
浸漬する。この間に、レジスト層50で覆われていない
範囲の領域に亘っては、当該領域のガラス表面近傍にお
いて、金属イオンが表面近傍のガラス内部に入り込んで
Na+ イオンと置換されるので、置換後の金属イオンの
電子分極率に応じてガラス表面近傍の屈折率が増大す
る。
【0031】従って、所定時間経過後に、中性塩溶融液
からガラス基板14を取り出して中性塩溶融液を除去
し、次いでレジスト層50を除去すると、図4およびそ
の5−5線拡大断面図である図5に示すように、レジス
ト層50の設置箇所21の領域のガラス表面近傍は、当
初の屈折率ns のままであるが、この設置箇所21の間
のスリット52領域および設置箇所21外側の領域のガ
ラス表面近傍は、当初の屈折率ns より大きな屈折率n
f となる。この結果、屈折率nf (>ns )となった領
域(スリット52領域および設置箇所21外側の領域)
のガラス表面近傍が、ガラス基板表層部16となり、こ
のうちスリット52領域のガラス表面近傍には、当初の
屈折率ns のままのガラス基板14の部位から区画され
この屈折率ns より大きな屈折率nf を有する光導波路
20が形成される。
【0032】その後、光導波路20の形成されたガラス
基板表層部16の表面に、図6に示すように、再度レジ
ストを塗布しレジスト層54を設ける。この場合、図示
するように、図1におけるクラッド22の形成位置に該
当する範囲に亘ってはレジストは塗布されず、その位置
には欠損パターン56が残る。そして、この欠損パター
ン56に向けて、スパッタリング等の適宜な方法で、高
い複素誘電率を有する材料(Nb25,Al,方解石
等)の薄膜を形成し、その後、レジスト層54を除去す
る。すると、図7に示すように、光導波路20を一部の
範囲に亘って覆うクラッド22がガラス基板表層部16
表面に形成される。このクラッド22は、高い複素誘電
率を有する材料の薄膜であることから、光導波路20を
伝送される光をp偏光する。
【0033】次に、図8に示すように、レジストを塗布
しレジスト層58を設ける。この場合、図示するよう
に、図1における導波形レンズ18の形成位置に該当す
る範囲に亘ってはレジストは塗布されず、その位置には
欠損パターン60が残る。そして、この欠損パターン6
0領域のガラス表面近傍に、導波光の実行屈折率が異な
るモードインデックスレンズを形成する。こうして形成
されたモードインデックスレンズが導波形レンズ18で
あり、このモードインデックスレンズの形成に当たって
は、欠損パターン60領域のガラス表面に金属イオン等
の不純物を拡散したりすればよい。そして、上記した工
程をガラス基板14の他方の面についても行なうこと
で、ガラス基板14の両面には、ガラス基板表層部16
および当該表層部の導波形レンズ18,光導波路20が
形成される。
【0034】上記したバイオセンサ10による基質濃度
の測定に際しては、それぞれのガラス基板表層部16に
おけるAu薄膜30が、それぞれ被測定溶液に浸漬され
る。すると、活性のある生体物質を固定化したリガンド
層がAu薄膜30表面に形成された一方のガラス基板表
層部16(図1における手前側)では、Au薄膜30の
表面において基質と生体物質との生物化学的反応が進行
し、被測定溶液の誘電率、延いてはその屈折率が変化す
る。しかしながら、他方のガラス基板表層部16では、
生体物質が失活しているために測定対象基質との生物化
学的反応は進行せず、そのAu薄膜30の表面において
被測定溶液の誘電率、延いてはその屈折率は変化しな
い。
【0035】次に、上記した構成を備える第1実施例の
バイオセンサが行う基質濃度測定ルーチンについて、図
9のフローチャートに基づき説明する。図9は、当該ル
ーチンの処理を示すフローチャートであり、当該ルーチ
ンは、電源投入後から開始される。
【0036】電源が投入されると、図示しない光源点灯
ルーチンで点灯制御される光源11が安定した点灯状態
にあるか否かを、例えば点灯開始からの経過時間等で判
断し(ステップS100)、肯定判断するまで待機す
る。光源11が安定して点灯していると判断すれば、基
質濃度の測定が開始できるとして、測定開始スイッチが
押圧操作されたか否かを判断し(ステップS110)、
当該スイッチがオンされるまで待機する。
【0037】基質濃度の測定に当たっては、つまりこの
測定開始スイッチがオンされるまでには、測定を行なう
操作者にて、既述したように各ガラス基板表層部16に
おけるAu薄膜30の被測定溶液の浸漬が行なわれる。
そして、この作業が終わると、測定開始スイッチがオン
される。
【0038】こうして操作者により測定開始スイッチが
オンされれば、その信号を受けてCCD撮像素子28か
らのセンサ出力を読み取りを開始しその値を記憶する
(ステップS130)。そして、読み取りを開始してか
らの経過時間を計時し所定時間経過(例えば、3〜10
分)したか否かを判断して(ステップS140)、肯定
判断するまでセンサ出力の読取・記憶を継続する。この
センサ出力の読取・記憶の間に、各ガラス基板表層部1
6におけるAu薄膜30の表面では、被測定溶液の誘電
率が生体物質の活性の有無により以下に説明するよう変
化して変化後の値に安定し、この様子がそれぞれのCC
D撮像素子28から検出される。
【0039】活性のある生体物質が固定された側である
一方のガラス基板表層部16(手前側)のAu薄膜30
表面では、この生体物質と測定対象基質との生物化学的
反応が基質濃度で規定される程度だけ進行するので、被
測定溶液の誘電率、延いてはその屈折率は、生物化学的
反応の進行に伴い変化し基質濃度で規定される値になる
と安定する。この際の被測定溶液の誘電率、延いてはそ
の屈折率の変化は、ガラス基板表層部16と光反射面2
4のAu薄膜30とで形成されるエバネッセント波結合
により、表面プラズモン共鳴現象が起きた場合の反射光
のエネルギの現象として観察される。
【0040】つまり、光源11から照射された光は入射
端面12からガラス基板表層部16に入射した後に、光
導波路20を伝送される間にクラッド22によりp偏光
される。このp偏光された光(p偏光光)は、上記した
範囲(θ1 〜θ2 )の入射角で、導波形レンズ18によ
りエバネッセント波結合における光反射面24に到る。
このとき、上記した範囲のうちのある角度(θS1)の入
射角で入射したp偏光光は、Au薄膜30の光反射面2
4側膜面のエバネッセント波とAu薄膜30の被測定溶
液側の表面プラズモン波とを、その波数を一致させて共
鳴させ表面プラズモン共鳴現象を引き起こす。この表面
プラズモン共鳴現象が起きると、入射角がθS1の光のエ
ネルギは表面プラズモン波の励起エネルギに使われて、
光反射面24からの反射角がθS1の反射光のエネルギは
減少する。
【0041】このため、入射角(θ1 〜θ2 )ごとの光
反射面からの反射光をθ1 〜θ2 の反射角で受光してい
るCCD撮像素子28からは、上記の一方のガラス基板
表層部16に対応するCCD撮像素子28にあっては、
図10に示すように、入射角(θ1 〜θ2 )のうちの各
入射角とその光量との相関が得られる(図10
(A))。
【0042】一方、失活した生体物質が固定された側の
他方のガラス基板表層部16のAu薄膜30表面では、
測定対象基質との生物化学的反応は進行しないので、被
測定溶液の誘電率、延いてはその屈折率は初期の値のま
ま一定である。しかし、ある角度(θS0)の入射角で入
射したp偏光光により表面プラズモン共鳴現象は起き、
他方のガラス基板表層部16に対応するCCD撮像素子
28からは、図10に示すように、入射角(θ1 〜θ2
)のうちの各入射角とその光量との相関が得られ(図
10(B))、入射角がθS0のとき反射光のエネルギが
減少する。
【0043】次に、ステップS140に続いては、両C
CD撮像素子28から得られた反射角と光量との相関関
係に基づいて、それぞれのガラス基板表層部16に対応
する被測定溶液について、反射光の光量が最低レベルの
ときの入射角(θS1,θS0)を求める(ステップS15
0)。そして、この入射角(θS1,θS0)と、光量が最
低レベルとなる入射角と媒質(被測定溶液)の屈折率と
の相関関係,媒質の屈折率と誘電率との関係,生体物質
による生物化学的反応の進行と誘電率との相関関係等か
ら、基質濃度を算出する(ステップS160)。なお、
光量が最低レベルとなる入射角と媒質(被測定溶液)の
屈折率との相関関係,媒質の屈折率と誘電率との関係,
生体物質による生物化学的反応の進行と誘電率との相関
関係等は、予め電子制御装置40のROMに記憶されて
いる。
【0044】その後、算出した基質濃度を図示しないデ
ィスプレイに表示し、或いは表示と共にプリントアウト
したり(ステップS170)して、本ルーチンを一旦終
了する。この後には、新たな被測定溶液へのAu薄膜3
0の浸漬等の準備を経て測定開始スイッチが押圧される
と、上記した処理を繰り返して基質濃度を算出する。
【0045】測定対象基質が抗原であれば、上記した第
1実施例のバイオセンサ10では一方のガラス基板表層
部16のAu薄膜30表面にはこの抗原に対する抗体が
固定されたリガンド層を設け、他方のガラス基板表層部
16のAu薄膜30表面には熱により失活させた抗体が
固定されたものとすることで、抗原濃度を測定すること
ができる。
【0046】以上説明したように第1実施例のバイオセ
ンサ10では、光源11から照射された光がガラス基板
表層部16に入射してから光反射面24に到るまでに必
要な総ての光学デバイスをガラス基板表層部16自体に
形成して備えると共に、光反射面24で全反射した光を
受光するCCD撮像素子28をもガラス基板表層部16
に備え付けた。このため、各光学デバイスの相対的な位
置関係をガラス基板表層部16において一旦定めれば、
当該位置関係を外部からの振動等に左右されることなく
維持することができる。よって、第1実施例のバイオセ
ンサ10によれば、ガラス基板表層部16以外の構成部
材を必要としないのでセンサの小型化を図ることができ
ると共に、保守点検をもセンサ完成後に必要としないの
でその使い勝手を向上させることができる。また、セン
サが小型化しAu薄膜30も小さくて済むので、少量の
被測定溶液で基質濃度を正確に測定することができる。
【0047】更に、導波形レンズ18,光導波路20等
を熱イオン交換により形成したので、センサの量産性を
向上させ、低コスト化を図ることができる。加えて、ガ
ラス基板14の両面にガラス基板表層部16を形成した
ので、ガラス基板表層部16を有するガラスの接着等を
必要とせず、工程の省略を通して量産性の向上や低コス
ト化を図ることができる。
【0048】また、第1実施例のバイオセンサ10で
は、光反射面24で全反射させてその光量を検出するに
当たり、導波形レンズ18によりp偏光光を種々の入射
角(θ1 〜θ2 )で一度に光反射面24に照射すると共
に、光反射面24から種々の反射角(θ1 〜θ2 )で反
射する反射光を一度にCCD撮像素子28で受光してそ
の反射角ごとの反射光の光量を検出する。よって、第1
実施例のバイオセンサ10によれば、入射角を変更して
光を照射するための駆動機構や、反射光を受光する光学
デバイスを入射角に追従して移動するための駆動機構が
不要となり構成の簡略化を図ることができる。
【0049】また、バイオセンサ10では、活性のある
生体物質を固定した側のガラス基板表層部16と失活し
た生体物質を固定した側のガラス基板表層部16とを併
用し、それぞれのガラス基板表層部16に対応するAu
薄膜30部分の光反射面24からの反射光を受光する。
よって、第1実施例のバイオセンサ10によれば、失活
した生体物質を固定した側の入射角と光量との関係によ
り、生物化学的反応以外の要因(溶液の温度,誘電率
等)に起因する測定誤差を排除して測定精度の向上を図
ることができる。
【0050】次に、上記の第1実施例の変形例について
説明する。第1実施例では、二つのガラス基板表層部1
6を用いて一つの基質濃度を測定する場合について説明
したが、次のように変形することができる。まず、2×
N枚のガラス基板14を用意し、各ガラス基板14を、
イオン交換法によるイオンの拡散を経て屈折率が異なる
よう形成されたガラス基板表層部16を片面にのみ有す
るものとする。このガラス基板表層部16を片面に有す
る2×N枚のガラス基板14を、図11に示すように、
それぞれのガラス基板表層部16とガラス基板14裏面
とが接合するよう接着する。この際に用いる接着剤は、
ガラス基板14と同一の屈折率を有するものが好まし
く、例えばエポキシ系の接着剤である。そして、活性の
ある生体物質が固定された側のガラス基板表層部16の
ガラス基板14と失活した生体物質が固定された側のガ
ラス基板表層部16のガラス基板14とを対とすれば、
具体的には、隣合うガラス基板14を対とすれば、N種
類の基質濃度を同時に測定することができる。しかも、
このような多種類の基質濃度測定が可能なセンサを小型
化することができる。
【0051】次に、第2実施例のバイオセンサについて
説明する。なお、以下の実施例の説明に当たっては、上
記した第1実施例のバイオセンサ10と同一の機能を果
たす部材については、バイオセンサ10と同一の数値符
号を用い、必要に応じてアルファベットの添え字符号を
付してその説明を簡略化することとする。
【0052】第2実施例のバイオセンサ10Aは、図1
2に示すように、紙面の手前側のガラス基板14AR
(屈折率ns >1)と紙面の奥側のガラス基板14AL
(屈折率ns >1)とを接合して備える。このガラス基
板14AR ,14AL は、図に示すように対称に形成さ
れており、それぞれその一方の表面のみがガラス基板表
層部16AR ,16AL (屈折率nf >ns )とされて
いる。つまり、これらガラス基板14AR ,14AL
は、ガラス基板表層部16を一方の表面にのみ備えるバ
イオセンサ10におけるガラス基板14に相当する。そ
して、両ガラス基板14AR ,14AL は、ガラス基板
表層部16AR ,16AL を一方の表面にのみ備えれば
よいことから、その厚みが1.5〜2.0mmとされて
おり、その大きさについてはガラス基板14とほぼ同一
である。以下、両ガラス基板14AR,14AL につい
て説明するが、両ガラス基板は対称であるので、説明の
便宜上、ガラス基板14AR についての説明に止めるこ
ととする。
【0053】ガラス基板14AR のガラス基板表層部1
6AR は、ガラス基板14におけるガラス基板表層部1
6と同様に、その一部が、導波形レンズ18AR や光導
波路20AR とされる。また、光導波路20AR の経路
の途中にはクラッド22ARが設けられている点や、光
反射面24AR にはAu薄膜30AR が蒸着形成されて
いる点も、ガラス基板14におけるガラス基板表層部1
6と同様である。そして、光源11Aから照射された光
が光導波路20AR に入射してから光反射面24AR で
全反射されるまでの光の挙動および光反射面24におけ
るエバネッセント波結合の形成についても、ガラス基板
14におけるガラス基板表層部16と同様である。更
に、Au薄膜30AR の表面に活性のある或いは失活し
た生体物質を固定化したリガンド層が形成されている点
も、同様である。
【0054】一方、第2実施例のバイオセンサ10Aに
おけるガラス基板14AR では、第1実施例のバイオセ
ンサ10におけるガラス基板14と異なり、光反射面2
4AR で全反射した反射光がガラス基板表層部16AR
から出射する側の端面は、ガラス基板表層部16AR に
対して傾斜した出射側傾斜端面27R とされている。こ
の場合、図13に示すように、ガラス基板表層部16A
R の形成側基板表面15R に対する出射側傾斜端面27
R の傾斜は45゜とされている。この出射側傾斜端面2
7R の表面には、クロムの薄膜が蒸着形成されており、
出射側傾斜端面27R は光の反射面となる。そして、図
12のX方向の矢視図である図14にも示すように、こ
の出射側傾斜端面27R と向かい合うよう、CCD撮像
素子28AR がガラス基板表層部16AR の表面に密着
固定されている。
【0055】従って、光導波路20AR ,導波形レンズ
18AR を経て光反射面24AR で全反射した光(p偏
光光)は、図14に示すように、出射側傾斜端面27R
にて反射されてガラス基板表層部16AR に向けてその
進行方向を変え、ガラス基板表層部16AR から外部に
出射する。そして、この外部に出射した光の光量が、ガ
ラス基板表層部16AR 表面のCCD撮像素子28AR
により、光反射面24AR における入射角(θ1 〜θ2
)ごとの光量として検出される。
【0056】なお、両ガラス基板14AR ,14AL は
基質測定用とその補助用に用いられる点、両ガラス基板
14AR ,14AL のガラス基板表層部16AR ,16
ALにおける上記各光学デバイスで1組の測定系を形成
する点、および、電子制御装置40Aにて基質濃度測定
の演算(図9)を行なう点については、第1実施例のバ
イオセンサ10と同様である。また、第2実施例のバイ
オセンサ10Aの製造工程は、出射側傾斜端面27R ,
27L を有するガラス基板14AR ,14ALを用いる
点でのみ第1実施例と異なるが、ガラス基板表層部16
AR ,16ALを始めとする光導波路20AR ,20AL
、導波形レンズ18AR ,18AL 等の形成工程は、
第1実施例のバイオセンサ10と同様である。
【0057】以上説明したように第2実施例のバイオセ
ンサ10Aにあっても、第1実施例のバイオセンサ10
と同様に、センサの小型化や使い勝手の向上のほか、量
産性の向上や工程省略を通したコスト低減に加え、構成
の簡略化,測定制度の向上等を図ることができる。
【0058】また、第2実施例のバイオセンサ10Aで
は、基質測定のための光量検出を行なうCCD撮像素子
28AR ,28AL を各ガラス基板表層部16AR ,1
6AL に設ければよい。よって、このバイオセンサ10
Aによれば、その取付箇所が広いことからCCD撮像素
子28AR ,28AL の組付け作業の簡略化を図ること
ができると共に、用いるCCD撮像素子28AR ,28
AL の形状や大きさ等の制約を緩和して汎用性を高める
ことができる。
【0059】次に、上記の第2実施例のバイオセンサ1
0Aの変形例について説明する。まず、第1の変形例の
バイオセンサ10Bでは、図15と図16に示すよう
に、バイオセンサ10Aに、シリンダレンズ29R ,2
9L を付加した。つまり、このバイオセンサ10Bは、
ガラス基板表層部16AR ,16AL の表面に出射側傾
斜端面27R ,27L と向かい合うよう、シリンダレン
ズ29R ,29L を密着固定して備える。そして、CC
D撮像素子28AR ,28AL を、その光の受光箇所に
シリンダレンズ29R ,29L が焦点を結ぶよう、シリ
ンダレンズ29R,29L と対向して備える。従って、
この変形例のバイオセンサ10Bによれば、ガラス基板
表層部16AR ,16AL からの出射光を集光してその
光量を得ることができるので、各入射角(θ1 〜θ2 )
ごとの測定光量が増し、検出感度を向上することができ
る。
【0060】次に、第2実施例のバイオセンサ10Aの
第2の変形例のバイオセンサ10Cでは、図17に示す
ように、バイオセンサ10Aの両ガラス基板14AR ,
14AL の出射側傾斜端面27R ,27L を、以下のよ
うにして形成した。つまり、出射側傾斜端面27R ,2
7L は、導波形レンズ18AR ,18AL の光軸に沿っ
た光が光反射面24AR ,24AL で反射して進行する
軌跡と直交するコーナー端面において、ガラス基板表層
部16AR ,16AL に対して45゜で傾斜するよう形
成されている。この変形例のバイオセンサ10Cによれ
ば、CCD撮像素子28AR ,28AL では、光反射面
24AR ,24AL で反射してからの光路長がほぼ同じ
の光として、各入射角(θ1 〜θ2 )ごとの光量を測定
することができる。
【0061】図18に示す第3の変形例のバイオセンサ
10Dでは、第2実施例のバイオセンサ10Aの両ガラ
ス基板14AR ,14AL をN枚ずつ用いた(図には4
枚の例を示す)。ガラス基板14AR1,14AR2,14
AR3,14AR4とガラス基板14AL1,14AL2,14
AL3,14AL4は、それぞれ高さが同じで長さがこの順
に長くされている。そして、これら各ガラス基板のそれ
ぞれは、図示するように重ね合わせて接合されている。
このバイオセンサ10Dであつても、ガラス基板14A
R1とガラス基板14AL1とを対とし、ガラス基板14A
R2とガラス基板14AL2とを対とし、ガラス基板14A
Riとガラス基板14ALiとを対として基質測定用とその
補正用のセンサ部とすることで、図11に示す第1実施
例のバイオセンサ10の変形例と同様に、N種類の基質
濃度を同時に測定することができる。しかも、このよう
な多種類の基質濃度測定が可能なセンサを小型化するこ
とができる。なお、対とするガラス基板の組み合わせは
任意である。
【0062】以上本発明のいくつかの実施例について説
明したが、本発明はこの様な実施例になんら限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において
種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0063】例えば、上記した実施例では、Au薄膜3
0の表面(露出膜面)に生体物質を固定したリガンド層
を直接設けたが、Au薄膜30のこの表面に、光反射面
24からのエバネッセント領域(約100nm)を越え
ないごく薄い膜厚(2〜3nm)でカルボン酸アルコー
ルや有機物の単分子膜或いは窒化シリコン等の無機物の
薄膜を形成することもできる。このように単分子膜等を
設けても、表面プラズモン共鳴現象が生じるので基質測
定に影響はない。そして、このように単分子膜等を設け
れば、Au薄膜30の表面に基質を付着させないので、
前回の測定時の基質の残存による影響を受けることがな
く、測定精度の向上を図ることができる。
【0064】また、ガラス基板表層部16を形成するた
めのガラス基板14としては、ガラスの他に、サファイ
ア,LiNbO3 ,LiTaO3 等の基板や透光性の高
分子材料を用いることもできる。この場合、透光性の高
分子材料にあっては、ある屈折率の高分子材料でガラス
基板表層部16を形成し、本実施例のバイオセンサ10
における光導波路20の形成箇所に異なる屈折率の高分
子材料からなる透光体を埋設すればよい。導波形レンズ
18は、既述したモードインデックスレンズの他、ジオ
デシックレンズ,グレーティングレンズ等であってもよ
い。
【0065】更に、リガンド層を設けることに替えて、
次のように構成することもできる。つまり、被測定溶液
の保水が可能な濾紙等を積層した3次元網目構造体を備
え付け、この3次元網目構造体をAu薄膜30の表面に
近接・離間可能とする。そして、この3次元網目構造体
には予め生体物質を固定化しておき、基質測定時には、
被測定溶液を保水済みの3次元網目構造体をAu薄膜3
0の表面に密着させればよい。このように構成すれば、
リガンド層を必要とせずリガンド層における生体物質の
活性の維持および回復等の処置が不要なことから、セン
サ構成の簡略化を図ることができる。また、生体物質が
劣化すれば新たな3次元網目構造体を交換して測定に供
することで測定精度の信頼性を維持することができる。
更に、3次元網目構造体を市販の濾紙から容易に調達で
き、その入手や交換を手軽なものとして使い勝手を高め
ることができる。
【0066】また、上記の各実施例では、活性のある生
体物質を用いた基質測定用センサ部と失活した生体物質
を用いた補正用センサ部とを併用したが、基質測定用セ
ンサ部のみを有するバイオセンサとすることもできる。
【0067】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1に記載した
本発明のバイオセンサでは、光が光透過媒体に入射して
から光反射面に到るまでに必要な総ての光学デバイスを
光透過媒体に形成して存在させるので、その相対的な位
置関係を外部からの振動等に左右されることなく維持す
ることができる。このため、請求項1に記載した本発明
のバイオセンサによれば、各光学デバイスを剛性の高い
部材で固定する必要がなくなりセンサの小型化を図るこ
とができる。また、各光学デバイスの相対的な位置関係
に関する保守点検をセンサ完成後に必要としないので、
その使い勝手を向上させることができる。
【0068】請求項2記載のバイオセンサでは、光が光
透過媒体に入射してから光反射面に到るまでに必要な光
学デバイスに加え、光反射面で全反射した光を受光する
光学デバイスをも光透過透過媒体に備え付けたので、い
っさいの光学デバイスの相対的な位置関係を外部からの
振動等に左右されることなく維持することができる。こ
のため、請求項2記載のバイオセンサによれば、いっさ
いの光学デバイスを剛性の高い部材で固定する必要がな
くなりセンサの小型化を図ることができる。また、各光
学デバイスの相対的な位置関係に関する保守点検をセン
サ完成後に必要としないので、その使い勝手を向上させ
ることができる。
【0069】また、請求項2記載のバイオセンサでは、
光反射面から種々の反射角で反射する反射光を一度に受
光してその反射角ごとの反射光の光量を検出する。よっ
て、請求項2記載のバイオセンサによれば、入射角に追
従して受光手段を移動するための駆動機構が不要となり
構成の簡略化を図ることができる。
【0070】請求項3記載のバイオセンサでは、光反射
面で反射した反射光を、光の透過性を有する基板からな
る光透過媒体の外部に、基板表面から出射する。よっ
て、請求項3記載のバイオセンサによれば、基板表面側
への受光手段の設置ができるので、受光手段の制約、例
えばその形状や大きさ等を緩和して汎用性を高めること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例のバイオセンサ10の概略斜視図。
【図2】バイオセンサ10の製造工程を説明するための
説明図。
【図3】バイオセンサ10の製造工程を説明するための
説明図。
【図4】バイオセンサ10の製造工程を説明するための
説明図。
【図5】図4の5−5線拡大断面図。
【図6】バイオセンサ10の製造工程を説明するための
説明図。
【図7】バイオセンサ10の製造工程を説明するための
説明図。
【図8】バイオセンサ10の製造工程を説明するための
説明図。
【図9】基質濃度測定ルーチンの処理を示すフローチャ
ート。
【図10】基質濃度測定ルーチンにおける処理の際に、
CCD撮像素子28から得られる入射角とその光量との
相関関係を示すグラフ。
【図11】変形例のバイオセンサ10の概略斜視図。
【図12】第2実施例のバイオセンサ10Aの概略斜視
図。
【図13】バイオセンサ10Aに用いるガラス基板14
AR の斜視図。
【図14】図12のX方向の拡大矢視図。
【図15】第2実施例の第1の変形例であるバイオセン
サ10Bの概略斜視図。
【図16】図15のX方向の拡大矢視図。
【図17】第2実施例の第2の変形例であるバイオセン
サ10Cの概略斜視図。
【図18】第2実施例の第3の変形例であるバイオセン
サ10Dの要部概略斜視図。
【符号の説明】
10,10A,10B,10C,10D…バイオセンサ 11…光源 12…入射端面 14,14AL,14AR…ガラス基板 16,16AR,16AL…ガラス基板表層部 18,18AR,18AL…導波形レンズ 20,20AR,20AL…光導波路 22,22AR,22AL…クラッド 24,24AR,24AL…光反射面 26…出射側端面 27R,27L…出射側傾斜端面 28,28AR,28AL…CCD撮像素子 29R,29L…シリンダレンズ 30,30AR…Au薄膜 40,40A…電子制御装置 50…レジスト層 52…スリット 54…レジスト層 56…欠損パターン 58…レジスト層 60…欠損パターン nf…屈折率 ns…屈折率 θ…入射角

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属薄膜が設けられた光反射面において
    幾何学的な全反射条件で光を反射する透光性の光透過媒
    体を有し、該光透過媒体と前記金属薄膜で形成されるエ
    バネッセント波結合を有する光学系を用いて、前記金属
    薄膜に接触した被測定溶液中の測定対象基質を測定する
    バイオセンサであって、 前記光透過媒体は、 隣接する部位と区画して形成され、該部位の屈折率より
    大きな屈折率を有することで外部の光源から入射した光
    の波動を一定領域に閉じ込め、前記入射した光を前記光
    反射面に向けて伝送する光導波路と、 該光導波路を伝送される光をp偏光する偏光手段と、 該p偏光された光を前記全反射条件を満たした種々の入
    射角の光として一度に前記光反射面に照射するよう形成
    された導波形レンズとを備えることを特徴とするバイオ
    センサ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のバイオセンサであって、 前記光反射面で反射し前記光透過媒体から外部に出射す
    る反射光を、前記光反射面における反射角ごとに一度に
    受光し、該反射光の光量を反射角ごとに検出する受光手
    段を備え、 該受光手段は、前記光透過媒体から反射光が出射する出
    射面に設けられているものであるバイオセンサ。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のバイオセンサであって、 前記光透過媒体は、 光の透過性を有する基板からなり、 該基板の表面に対して傾斜した端面を前記光反射面で反
    射した反射光が達する側に備え、 該傾斜した端面に、反射膜を備えるものであるバイオセ
    ンサ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6424418B2 (en) 1998-05-29 2002-07-23 Canon Kabushiki Kaisha Surface plasmon resonance sensor apparatus using surface emitting laser
JP2006292562A (ja) * 2005-04-12 2006-10-26 Fujikura Ltd 表面プラズモンセンサ
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CN114994833A (zh) * 2022-05-07 2022-09-02 上海图灵智算量子科技有限公司 波导及包含其的激光器

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