JPH0722443Y2 - 壁面剥離装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は壁面剥離装置に関するものであり、一層詳細
には、天井面、壁面などのアスベストを含む内装材、塗
膜等を剥離除去する際に好適に使用される装置に関する
ものである。

〔従来技術およびその問題点〕

従来より、天井面あるいは壁面の耐火材や塗料の添加剤
として広範に使用されているアスベストは、その微粉末
が肺ガン等の発生原因になることが解明されて以来、学
校など公共建造物では剥離除去して張り替える作業が急
速に行われている。

ところで、この有害なアスベストを剥離する手段として
は、例えば、アスベストを吸引除去する排気筒を備える
円筒体内にモータ駆動の回転切削刃とウオータジェット
噴射ノズルを収容配置した装置（特開平１−94156号公
報）、あるいは自動走査機構によって構造体面上を移動
可能に形成したケーシング内に複数の回転式高圧水噴射
ノズルを配置するとともに剥離粉砕したアスベストを吸
引回収するための吸引部を該ケーシングに付設した装置
（特開平１−165875号公報）などが提案されている。

しかしながら、前者は構造的には簡単であるものの広い
壁面の塗膜除去には不向きな装置であり、また後者は自
動走査機構に水平方向に移動するメイントラバーサーと
垂直方向に移動するサブトラバーサーとを使用している
ため装置が大型化して高価となり、さらにはギア機構に
よって高圧水噴射ノズルを回動操作する構成となってい
るので保守管理が煩雑となるなど種々の問題点があっ
た。

〔問題点の解決手段〕

そこでこの考案では、一側面を開口した箱型匡体の内部
に配設した流体噴射ノズル装置をスイベルジョイントを
介して駆動モータに接続するとともにこの箱型匡体に汚
水回収系の接続部を設けた装置本体を備える壁面剥離装
置において、走行手段を付設したパンタグラフ型昇降機
構の頂部に箱型匡体の底部一側部を枢着するとともに他
側部側を油圧シリンダーの操作ロッドに取り付けて前記
装置本体を傾動自在に形成し、一方噴射ノズル装置は、
ノズル本体に対して旋回ヘッドを回転自在に装着すると
ともにこの旋回ヘッドに複数対の噴射口を形成し、これ
らの噴射口から噴射される高圧流体を被剥離面に対して
夫々異なる角度でしかも周方向に対して各対毎に対称的
にかつ所定角度偏倚させることによりその噴射反力で前
記旋回ヘッドを回転させるように構成することにより、
構造および保守管理の簡略化とともに壁面の剥離作業の
能率化を図ろうとするものである。

〔作用〕

この考案に係る壁面剥離装置では、パンタグラフ式昇降
機構と油圧シリンダーのロッド操作によって箱型匡体の
開口部を被剥離面に当接し、噴射反力で旋回するノズル
装置から噴射される高圧水で被剥離面の剥離除去ないし
洗浄を行うものである。

〔実施例〕

次に、本考案に係る壁面剥離装置の好適な実施例とし
て、アスベスト剥離装置を例示し添付図面を参照しなが
ら以下詳細に説明する。

第１図において、本考案に係るアスベスト剥離装置10
は、高圧水によりアスベスト壁Ａを剥離除去すると共に
洗浄も行う装置本体12を油圧装置14により昇降操作され
るパンタグラフ型昇降機構16に取着するとともにこの昇
降機構16に移動用車輪18を付設することにより基本的に
構成されている。

この場合、車輪18に適宜のロック装置（図示せず）を付
設して剥離装置10を作業中に固定し得るように構成す
る。

装置本体12は、箱型匡体20の頂部を開口してこの開口部
に、例えば、板状スポンジを素材とするシール部材22を
周設するとともに内部に高圧水の噴射ノズル機構24を配
置し、この噴射ノズル機構24をスイベルジョイント26を
介して接続した駆動モータ28により回動可能に構成し、
さらに前記箱型匡体20の底部に配設した接続部30を可撓
性排出管32を介して回収槽34を接続する。

また、この箱型匡体20は、その底部一側部を昇降機構16
の頂部に枢着するとともに他側部側を前記昇降機構16に
取着した油圧シリンダー36の操作ロッド38に取り付けて
昇降機構16頂面に対して傾動自在に構成する。

一方、噴射ノズル機構24は、送水路を有するアーム部材
40に沿って配設した三つの旋回ノズル装置42、42、42を
備え、これらの旋回ノズル装置42には図示しない高圧水
発生装置から高圧水供給管43およびスイベルジョイント
26を介して高圧水が供給されるようになっている（第２
図参照）。

また、各旋回ノズル装置42は、第３図および第４図に示
すように、ノズル本体44に対し旋回ヘッド46を回転自在
に装着し、この旋回ヘッド46に前記ノズル本体44におけ
る高圧水供給路48の軸線Ｂに対して、例えば、夫々60度
および90度の角度に偏倚させた二対の噴射水路50、50、
52、52を各対ごとに対向させて穿設し、これらの噴射水
路50、50、52、52の先端部に装着した各ノズル54の高圧
水噴射方向Ｃを周方向に対して対称的に、例えば、２度
程度偏倚させることにより構成する。なお、各旋回ノズ
ル装置42のノズル54の高圧水噴射方向Ｃを周方向に対し
て対称的に偏倚させる具体策としては、各ノズル54の取
付面56を56a、56b、56c、56dの如く４分割し、夫々対向
する面部分56aと56c、56bと56dを対称的に２度傾斜させ
ると共にこれらの面部分56a、56b、56c、56dとノズル54
の噴射軸Ｄとを直交させれば良い。

次に、このように構成される本考案に係るアスベスト剥
離装置を使用して、建造物の内壁に付設されたアスベス
ト材を剥離する作業につき説明する。

まず、作業の開始に際しては箱形匡体20の接続部30に排
水管32を介して回収槽34を接続するとともに剥離作業を
行う天井面（アスベスト壁面）の下方に剥離装置10を配
置したのち車輪18をロックする。

次に油圧装置14の操作により昇降機構16を伸長させて箱
形匡体20のシール部材22を前記天井面に当接し、高圧水
発生装置を駆動して、例えば、500Kg〜700kg/cm²に昇圧
した高圧水を各ノズル装置42の旋回ヘッド46を介して噴
射させ、さらにこの噴射に同期させて駆動モータ28で噴
射ノズル機構24自体を略180度の範囲で往復回動する。
この場合、各ノズル装置42のノズル54の噴射口から噴射
される高圧水は、噴射水路50、50および52、52が高圧水
供給路48の軸線Ｂに対して60度および90度の角度で偏倚
しているだけでなく噴射方向Ｃが周方向に対称的にしか
も所定角度偏倚しているため、旋回ヘッド46がその噴射
反力により高速で回転しながら壁面を剥離する。

従って、従来のように、モータ駆動の回転破砕刃やギア
機構によって噴射ノズルを回動させる必要もなく、アス
ベスト材Ａは噴射高圧水により洗浄されながら順次剥ぎ
取られることになり、しかも、この作業区画は箱形匡体
で包囲されているので剥離粉末などを含んだ汚水の飛散
も確実に阻止することができる（第１図参照）。

そしてこの区画部分の剥離作業が終了したら昇降機構16
および車輪18を操作して装置本体12を隣接する区画部分
に移動し、次の剥離作業を行う。

また、このようにして天井面の剥離作業が終了したら、
第５図に示すように、油圧シリンダー36の操作ロッド38
を延出して箱形匡体20を垂直に傾動させて保持し、前述
と同様の操作で壁面の剥離作業を行う。

なお、この剥離作業により生じたアスベストを含む汚水
は接続部30から回収槽34に順次回収し、アスベスト自体
はフィルタープレトなど適宜の手段で分離して廃棄すれ
ば良い。

〔考案の効果〕

先に述べたように、本考案に係る壁面剥離装置は、被剥
離面に箱形匡体の開口部を当接して高圧水により剥離洗
浄するので有害なアスベストなど剥離する場合でも微粉
末が飛散するのを可及的に阻止することができるだけで
なく作業により能率された内壁材を含む汚水も全て回収
するので周辺環境の汚染防止とともに作業の効率化を図
ることができる。また、装置本体の昇降あるいは傾動操
作機構も構造が簡単なので小型化と製造コストの低減化
を図ることができ、さらには高圧流体噴射ノズル装置も
旋回ヘッドの噴射反力を利用して回転しながら壁面を剥
離するので剥離洗浄作業を能率的に行えるだけでなく保
守管理も容易化できる。

さらには噴射ノズル装置の剥離洗浄能力が極めて高いの
で、例えば、高速道路のトンネル壁面の清掃洗浄など各
種洗浄作業にも好適に採用できる等種々の利点を有しそ
の実用的効果は極めて大きい。

以上本考案に係る壁面剥離装置の好適な実施例につき説
明したが、本考案はこの実施例に限定されるものではな
く、本考案の精神を逸脱しない範囲内において種々の改
変をなし得ることは勿論である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る壁面剥離装置の好適な実施例とし
てのアスベスト剥離装置の側面図、第２図は第１図に示
す剥離装置のII−II線断面説明図、第３図は第１図に示
す剥離装置の旋回ノズル装置の縦断面図、第４図は第３
図に示す旋回ノズル装置の斜視図、第５図は第１図に示
す装置で側壁面の剥離作業を行う場合の説明図である。 10……剥離装置、12……装置本体、14……油圧装置、16
……昇降機構、18……車輪、20……箱形匡体、22……シ
ール部材、24……噴射ノズル機構、26……スイベルジョ
イント、28……モータ、30……接続部、32……可撓性排
出管、34……回収槽、36……油圧シリンダー、38……操
作ロッド、40……アーム部材、42……旋回ノズル装置、
43……高圧水供給管、44……ノズル本体、46……旋回ヘ
ッド、48……高圧水供給路、50,52……噴射水路、54…
…噴射ノズル、56……取付面、

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】一側面を開口した箱形匡体の内部に配設し
   た高圧流体噴射ノズル装置をスイベルジョイントを介し
   て駆動モータに接続するとともにこの箱形匡体に汚水回
   収系の接続部を設けた装置本体を備える壁面剥離装置に
   おいて、走行手段を付設したパンタグラフ型昇降機構の
   頂部に箱形匡体の底部一側部を枢着するとともに他側部
   側を油圧シリンダーの操作ロッドに取り付けて前記装置
   本体を傾動自在に形成し、一方噴射ノズル装置は、ノズ
   ル本体に対して旋回ヘッドを回転自在に装着するととも
   にこの旋回ヘッドに複数対の噴射口を形成し、これらの
   噴射口から噴射される高圧流体を被剥離面に対して夫々
   異なる角度でしかも周方向に対して各対毎に対称的にか
   つ所定角度偏倚させることによりその噴射反力で前記旋
   回ヘッドを回転させるように構成することを特徴とする
   壁面剥離装置。