JPH07223081A - 深絞り性に優れた成形加工用クラッド板およびその製造方法 - Google Patents
深絞り性に優れた成形加工用クラッド板およびその製造方法Info
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- JPH07223081A JPH07223081A JP3768594A JP3768594A JPH07223081A JP H07223081 A JPH07223081 A JP H07223081A JP 3768594 A JP3768594 A JP 3768594A JP 3768594 A JP3768594 A JP 3768594A JP H07223081 A JPH07223081 A JP H07223081A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 クラッド界面の酸化膜が剥離に及ぼす影響に
着目し、深絞りのプレス成形時におけるクラッド板の割
れや剥離を防止し、良好な深絞り性を得ることができる
深絞り性に優れた成形加工用クラッド板およびその製造
方法を提供する。 【構成】 板厚が０．３ｍｍ以上のフェライト系ステン
レス鋼板と、板厚が０．５ｍｍ以上の高純度アルミニウ
ム板又は１．６重量％未満のＭｎを含むアルミニウム合
金板が圧延圧接によりクラッドされ、クラッド界面の酸
化膜が冷間状態のまま圧接され、全厚みが０．８〜３．
０ｍｍであり、電磁調理器用器物に使用される深絞り性
に優れた成形加工用クラッド板とした。また、フェライ
ト系ステンレス鋼板と、高純度アルミニウム板又は１．
６重量％未満のＭｎを含むアルミニウム合金板とを、冷
間圧延圧接によりクラッドし、クラッド界面の酸化膜形
成を低減してこの深絞り性に優れた成形加工用クラッド
板を製造する。
着目し、深絞りのプレス成形時におけるクラッド板の割
れや剥離を防止し、良好な深絞り性を得ることができる
深絞り性に優れた成形加工用クラッド板およびその製造
方法を提供する。 【構成】 板厚が０．３ｍｍ以上のフェライト系ステン
レス鋼板と、板厚が０．５ｍｍ以上の高純度アルミニウ
ム板又は１．６重量％未満のＭｎを含むアルミニウム合
金板が圧延圧接によりクラッドされ、クラッド界面の酸
化膜が冷間状態のまま圧接され、全厚みが０．８〜３．
０ｍｍであり、電磁調理器用器物に使用される深絞り性
に優れた成形加工用クラッド板とした。また、フェライ
ト系ステンレス鋼板と、高純度アルミニウム板又は１．
６重量％未満のＭｎを含むアルミニウム合金板とを、冷
間圧延圧接によりクラッドし、クラッド界面の酸化膜形
成を低減してこの深絞り性に優れた成形加工用クラッド
板を製造する。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、深絞り性に優れた成形
加工用クラッド板に関し、さらに詳細には、軽量・高耐
食性・高熱伝導性等の各金属材料の機能を利用した電磁
調理器用器物等に最適な深絞り成形性に優れた成形加工
用クラッド板に関するものである。
加工用クラッド板に関し、さらに詳細には、軽量・高耐
食性・高熱伝導性等の各金属材料の機能を利用した電磁
調理器用器物等に最適な深絞り成形性に優れた成形加工
用クラッド板に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】軽量性・耐食性・熱伝導性等の各金属材
料の機能を利用した、例えば電磁調理器用器物等には、
ステンレス鋼板とアルミニウム板とをクラッドした板材
がプレス加工等の成形加工を施されて汎用されている。
例えば実公平２−２７５１８号公報や実公昭６１−２７
１０８号公報には、ステンレス鋼板とこのステンレス鋼
板よりも厚いアルミニウム板とをロール圧接してプレス
成形した電磁調理器用器物が開示されている。なお、上
記公報にはロール圧接の状態を明記していないが、クラ
ッド界面で凹凸が機械的に強固に結合するように、熱間
又は温間でロール圧接していた。
料の機能を利用した、例えば電磁調理器用器物等には、
ステンレス鋼板とアルミニウム板とをクラッドした板材
がプレス加工等の成形加工を施されて汎用されている。
例えば実公平２−２７５１８号公報や実公昭６１−２７
１０８号公報には、ステンレス鋼板とこのステンレス鋼
板よりも厚いアルミニウム板とをロール圧接してプレス
成形した電磁調理器用器物が開示されている。なお、上
記公報にはロール圧接の状態を明記していないが、クラ
ッド界面で凹凸が機械的に強固に結合するように、熱間
又は温間でロール圧接していた。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】ところで、発明者等の
知見によれば、例えば深い器物のプレス成形時に要求さ
れる剥離強度は、安定的に６００N/in. 以上であるにも
拘らず、これら従来技術のクラッド板の剥離強度は、せ
いぜい５００N/in. 程度であって、成形加工の高加工率
化という厳しさに対応できずに深絞りのプレス成形時に
クラッド板が割れたり、剥離する等の問題が生じてい
る。
知見によれば、例えば深い器物のプレス成形時に要求さ
れる剥離強度は、安定的に６００N/in. 以上であるにも
拘らず、これら従来技術のクラッド板の剥離強度は、せ
いぜい５００N/in. 程度であって、成形加工の高加工率
化という厳しさに対応できずに深絞りのプレス成形時に
クラッド板が割れたり、剥離する等の問題が生じてい
る。
【０００４】このような接合強度の低さの原因を究明す
る過程でなされたものであり、ロール圧延によるプレス
成形が熱間あるいは温間の圧延により行われた場合、ス
テンレス鋼板およびアルミニウム板の表面に酸化膜が生
成し、この酸化膜がクラッドの接合界面に残存して剥離
強度を安定的に高いものにすることができないという知
見を得た。
る過程でなされたものであり、ロール圧延によるプレス
成形が熱間あるいは温間の圧延により行われた場合、ス
テンレス鋼板およびアルミニウム板の表面に酸化膜が生
成し、この酸化膜がクラッドの接合界面に残存して剥離
強度を安定的に高いものにすることができないという知
見を得た。
【０００５】本発明は、上記知見に基づいて、クラッド
の接合界面に形成される酸化膜を低減させることによっ
て、深絞りのプレス成形時におけるクラッド板の割れや
剥離を防止し、良好な深絞り性を得ることができる深絞
り性に優れた成形加工用クラッド板およびその製造方法
を提供しようとするものである。
の接合界面に形成される酸化膜を低減させることによっ
て、深絞りのプレス成形時におけるクラッド板の割れや
剥離を防止し、良好な深絞り性を得ることができる深絞
り性に優れた成形加工用クラッド板およびその製造方法
を提供しようとするものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】上記目的を解決するため
に、本発明者らは、冷間圧延圧接によりクラッド界面の
酸化膜の形成を低減する方法を検討した。原理的には冷
間圧延圧接による大幅な酸化膜形成の低減を利用するこ
とによって、深絞り性に優れ、電磁調理器用器物の如き
多くの実用製品に供することのできる深絞り性に優れた
成形加工用クラッド板およびその製造方法を発明した。
に、本発明者らは、冷間圧延圧接によりクラッド界面の
酸化膜の形成を低減する方法を検討した。原理的には冷
間圧延圧接による大幅な酸化膜形成の低減を利用するこ
とによって、深絞り性に優れ、電磁調理器用器物の如き
多くの実用製品に供することのできる深絞り性に優れた
成形加工用クラッド板およびその製造方法を発明した。
【０００７】即ち、ステンレス鋼板とアルミニウム板と
を冷間圧延圧接によりクラッドして成形加工用クラッド
板を製造することによって、クラッド界面の酸化膜形成
を低減化させると共に、圧延時のステンレス鋼板が冷間
であることから変形しにくい状態を保って加工硬化を低
減させ、この結果エクセリン値が９．５以上および剥離
強度が６００N/in. 以上である深絞り性に優れた成形加
工用クラッド板を発明した。尚、この成形加工用クラッ
ド板は、電磁調理器用器物の如き多くの実用製品に供す
るため、発熱性、保温性、成形加工性の観点から全板厚
が０．８〜３．０mmの範囲となるように形成されること
が望ましい。
を冷間圧延圧接によりクラッドして成形加工用クラッド
板を製造することによって、クラッド界面の酸化膜形成
を低減化させると共に、圧延時のステンレス鋼板が冷間
であることから変形しにくい状態を保って加工硬化を低
減させ、この結果エクセリン値が９．５以上および剥離
強度が６００N/in. 以上である深絞り性に優れた成形加
工用クラッド板を発明した。尚、この成形加工用クラッ
ド板は、電磁調理器用器物の如き多くの実用製品に供す
るため、発熱性、保温性、成形加工性の観点から全板厚
が０．８〜３．０mmの範囲となるように形成されること
が望ましい。
【０００８】また、同時に最近普及が急速に高まってい
る電磁調理器用の器物としての機能を充分に持たせるた
め、上記の内容を具備し、さらに以下の素材特徴を有す
る成形加工用クラッド板を発明した。即ち、成形加工用
クラッド板は、ステンレス鋼板がフェライト系ステンレ
スからなっている。また、成形加工用クラッド板は、ア
ルミニウム板が高純度のアルミニウムからなっている。
成形加工用クラッド板は、アルミニウム板が１．６重量
％未満のＭｎを含むアルミニウム合金からなっている。
成形加工用クラッド板は、ステンレス鋼板が効率的な電
磁誘導加熱特性のために０．３mm以上、アルミニウム板
が効率的な熱伝導特性のために０．５mm以上の板厚を有
している。
る電磁調理器用の器物としての機能を充分に持たせるた
め、上記の内容を具備し、さらに以下の素材特徴を有す
る成形加工用クラッド板を発明した。即ち、成形加工用
クラッド板は、ステンレス鋼板がフェライト系ステンレ
スからなっている。また、成形加工用クラッド板は、ア
ルミニウム板が高純度のアルミニウムからなっている。
成形加工用クラッド板は、アルミニウム板が１．６重量
％未満のＭｎを含むアルミニウム合金からなっている。
成形加工用クラッド板は、ステンレス鋼板が効率的な電
磁誘導加熱特性のために０．３mm以上、アルミニウム板
が効率的な熱伝導特性のために０．５mm以上の板厚を有
している。
【０００９】
【作用】クラッド板を構成するアルミニウム板に高純度
のアルミニウムや１．６重量％未満のＭｎを含む合金が
用いられることによって、アルミ面の酸化膜が少なくな
り、クラッド界面の酸化膜形成が低減化されて高い接合
強度が得られることになる。
のアルミニウムや１．６重量％未満のＭｎを含む合金が
用いられることによって、アルミ面の酸化膜が少なくな
り、クラッド界面の酸化膜形成が低減化されて高い接合
強度が得られることになる。
【００１０】ところで、クラッドが熱間あるいは温間の
圧延で行われた場合には、ステンレス鋼板とアルミニウ
ム板とのクラッド界面の生成が避けられず、この結果、
剥離強度が低下する。これにより、前記従来の実公平２
−２７５１８号公報や実公昭６１−２７１０８号公報に
記載されたステンレス鋼板とこのステンレス鋼板よりも
厚いアルミ板とをロール圧接したクラッド板は、成形時
に剥離やプレス割れが生じるため、成形加工性の安定性
に欠けていた。
圧延で行われた場合には、ステンレス鋼板とアルミニウ
ム板とのクラッド界面の生成が避けられず、この結果、
剥離強度が低下する。これにより、前記従来の実公平２
−２７５１８号公報や実公昭６１−２７１０８号公報に
記載されたステンレス鋼板とこのステンレス鋼板よりも
厚いアルミ板とをロール圧接したクラッド板は、成形時
に剥離やプレス割れが生じるため、成形加工性の安定性
に欠けていた。
【００１１】これに対し、冷間圧延圧接による成形加工
用クラッド板であれば、剥離強度が６００N/in. 以上で
あることから高い接合強度を有することになり、さら
に、接合時のロール圧延時のステンレスの加工硬度が低
減されるため、エリクセン値９．５以上の特性により良
好な成形加工性が達成される。
用クラッド板であれば、剥離強度が６００N/in. 以上で
あることから高い接合強度を有することになり、さら
に、接合時のロール圧延時のステンレスの加工硬度が低
減されるため、エリクセン値９．５以上の特性により良
好な成形加工性が達成される。
【００１２】成形加工用クラッド板を構成するステンレ
ス鋼板の材質は、例えばこれらのクラッド板が絞り後、
電磁調理器あるいはその応用製品に使用される場合、電
磁誘導発熱特性の観点から有磁性であるフェライト系ス
テンレス鋼板であることが必要となる。さらに、その
際、クラッド板を構成するフェライト系ステンレス鋼板
の厚みが０．３mm以下では、効率的な電磁誘導加熱特性
が得られない。従って、フェライト系ステンレス鋼板の
厚みを０．３mm以上に設定することによって、成形加工
用クラッド板は、効率的な電磁誘導加熱特性により電磁
調理器あるいはその応用製品に好適に使用できることに
なる。
ス鋼板の材質は、例えばこれらのクラッド板が絞り後、
電磁調理器あるいはその応用製品に使用される場合、電
磁誘導発熱特性の観点から有磁性であるフェライト系ス
テンレス鋼板であることが必要となる。さらに、その
際、クラッド板を構成するフェライト系ステンレス鋼板
の厚みが０．３mm以下では、効率的な電磁誘導加熱特性
が得られない。従って、フェライト系ステンレス鋼板の
厚みを０．３mm以上に設定することによって、成形加工
用クラッド板は、効率的な電磁誘導加熱特性により電磁
調理器あるいはその応用製品に好適に使用できることに
なる。
【００１３】また、成形加工用クラッド板は、酸化膜の
少ない高純度のアルミニウムからなるアルミニウム板を
用いることによって、クラッド界面の酸化膜形成を低減
させ、高い接合強度を得ることが可能である。一方、Ｍ
ｎを含むアルミニウム合金によりアルミニウム板が形成
されている場合には、Ｍｎを１．６wt％以上含むと、不
溶性の金属間化合物が粗大化し、プレス成形時の割れの
起点になり易く、成形性が著しく低下する。従って、成
形加工用クラッド板は、１．６wt％未満のＭｎを含むア
ルミニウム合金からなるアルミニウム板を用いることに
よって、高い成形性を得ることができる。
少ない高純度のアルミニウムからなるアルミニウム板を
用いることによって、クラッド界面の酸化膜形成を低減
させ、高い接合強度を得ることが可能である。一方、Ｍ
ｎを含むアルミニウム合金によりアルミニウム板が形成
されている場合には、Ｍｎを１．６wt％以上含むと、不
溶性の金属間化合物が粗大化し、プレス成形時の割れの
起点になり易く、成形性が著しく低下する。従って、成
形加工用クラッド板は、１．６wt％未満のＭｎを含むア
ルミニウム合金からなるアルミニウム板を用いることに
よって、高い成形性を得ることができる。
【００１４】
【実施例】本発明の具体的実施例を以下に説明する。先
ず、表１に示すように、ＳＵＳ４３０からなる０．５mm
厚のフェライト系ステンレス鋼板を用意すると共に、高
純度のアルミニウム（純アルミ９９．５％）、Ａｌ−
０．５Ｍｎ、Ａｌ−１．０Ｍｎ、およびＡｌ−１．４Ｍ
ｎの４種類のアルミニウム板とを用意した。そして、ス
テンレス鋼板と各アルミニウム板とを室温にて冷間圧延
圧接することによりクラッドさせ、クラッド界面の酸化
膜形成を低減化させた成形加工用クラッド板を作製した
（実施例１〜４）。
ず、表１に示すように、ＳＵＳ４３０からなる０．５mm
厚のフェライト系ステンレス鋼板を用意すると共に、高
純度のアルミニウム（純アルミ９９．５％）、Ａｌ−
０．５Ｍｎ、Ａｌ−１．０Ｍｎ、およびＡｌ−１．４Ｍ
ｎの４種類のアルミニウム板とを用意した。そして、ス
テンレス鋼板と各アルミニウム板とを室温にて冷間圧延
圧接することによりクラッドさせ、クラッド界面の酸化
膜形成を低減化させた成形加工用クラッド板を作製した
（実施例１〜４）。
【００１５】また、上記の実施例１〜４と同様に、フェ
ライト系ステンレス鋼板と、高純度のアルミニウム（純
アルミ９９．５％）およびＡｌ−０．５Ｍｎのアルミニ
ウム板とを用意し、３００℃および４５０℃の高温の圧
延圧接を施すことにより両板をクラッドさせ、クラッド
界面に酸化膜を形成した成形加工用クラッド板を作製し
た（比較例１〜３）。さらに、フェライト系ステンレス
鋼板と、Ａｌ−1.0 ＭｎおよびＡｌ−1.0 Ｍｎ−1.0 Ｍ
ｇのアルミニウム板とを用意し、室温にて冷間圧延圧接
することによりクラッドさせて成形加工用クラッド板を
作製した（比較例５・６）。
ライト系ステンレス鋼板と、高純度のアルミニウム（純
アルミ９９．５％）およびＡｌ−０．５Ｍｎのアルミニ
ウム板とを用意し、３００℃および４５０℃の高温の圧
延圧接を施すことにより両板をクラッドさせ、クラッド
界面に酸化膜を形成した成形加工用クラッド板を作製し
た（比較例１〜３）。さらに、フェライト系ステンレス
鋼板と、Ａｌ−1.0 ＭｎおよびＡｌ−1.0 Ｍｎ−1.0 Ｍ
ｇのアルミニウム板とを用意し、室温にて冷間圧延圧接
することによりクラッドさせて成形加工用クラッド板を
作製した（比較例５・６）。
【００１６】この後、３５０℃×２hrの拡散焼鈍を実施
し、レベラーにより矯正を行った。そして、これらのク
ラッド板からサンプル片を取り出し、これらサンプル片
の特性を評価した。尚、クラッド板の製造は、コイル圧
延圧接により実施した。
し、レベラーにより矯正を行った。そして、これらのク
ラッド板からサンプル片を取り出し、これらサンプル片
の特性を評価した。尚、クラッド板の製造は、コイル圧
延圧接により実施した。
【００１７】
【表１】
【００１８】引張試験は、ＪＩＳ１３号試験片を用い、
接合強度は、１インチ幅のピール試験により評価した。
また、成形性は、Ａｌ面をポンチ側にしたエリクセン試
験および限界深絞り試験により評価し、さらに、曲げ戻
しによる耐剥離性を評価した。耐剥離性は、良好なもの
から順に“〇”、“△”、“×”で評価した。これらの
結果を表２に示す。
接合強度は、１インチ幅のピール試験により評価した。
また、成形性は、Ａｌ面をポンチ側にしたエリクセン試
験および限界深絞り試験により評価し、さらに、曲げ戻
しによる耐剥離性を評価した。耐剥離性は、良好なもの
から順に“〇”、“△”、“×”で評価した。これらの
結果を表２に示す。
【００１９】
【表２】
【００２０】上記の結果によれば、３００℃または４５
０℃で接合した比較例１・２・３の剥離強度（ N/in ）
は、４７９、２８３、４２１であるのに対し、室温で接
合した実施例１・２・３・４の剥離強度（ N/in ）は、
１１３５、１０２１、１０１７、１０１４であり、比較
例１・２・３よりも大きな剥離強度（接合強度）を有し
ていることが確認された。これにより、実施例１・２・
３・４のように冷間圧延圧接によりクラッド界面の酸化
膜形成を低減化させたクラッド板は、熱間圧延圧接や温
間圧延圧接により形成されたクラッド界面に酸化膜を有
するクラッド板よりも、大きな剥離強度（接合強度）を
有していることが明らかになった。
０℃で接合した比較例１・２・３の剥離強度（ N/in ）
は、４７９、２８３、４２１であるのに対し、室温で接
合した実施例１・２・３・４の剥離強度（ N/in ）は、
１１３５、１０２１、１０１７、１０１４であり、比較
例１・２・３よりも大きな剥離強度（接合強度）を有し
ていることが確認された。これにより、実施例１・２・
３・４のように冷間圧延圧接によりクラッド界面の酸化
膜形成を低減化させたクラッド板は、熱間圧延圧接や温
間圧延圧接により形成されたクラッド界面に酸化膜を有
するクラッド板よりも、大きな剥離強度（接合強度）を
有していることが明らかになった。
【００２１】さらに、比較例１・２・３は、エリクセン
値が９．３〜１０．０の範囲、ＬＤＲが１．７〜２．０
の範囲、耐曲げ戻し特性が“×”または“△”であるの
に対し、実施例１・２・３・４は、エリクセン値が１
０．４〜１１．１の範囲、ＬＤＲが２．０〜２．１の範
囲、耐曲げ戻し特性が“〇”である。従って、冷間圧延
圧接により形成されたクラッド板は、エリクセン値、Ｌ
ＤＲ、および耐曲げ戻し特性においても、熱間圧延圧接
や温間圧延圧接により形成されたクラッド板よりも優れ
ていることが明らかになった。
値が９．３〜１０．０の範囲、ＬＤＲが１．７〜２．０
の範囲、耐曲げ戻し特性が“×”または“△”であるの
に対し、実施例１・２・３・４は、エリクセン値が１
０．４〜１１．１の範囲、ＬＤＲが２．０〜２．１の範
囲、耐曲げ戻し特性が“〇”である。従って、冷間圧延
圧接により形成されたクラッド板は、エリクセン値、Ｌ
ＤＲ、および耐曲げ戻し特性においても、熱間圧延圧接
や温間圧延圧接により形成されたクラッド板よりも優れ
ていることが明らかになった。
【００２２】また、比較例４・５は、実施例１・２・３
・４と同様に、室温により接合されたものであるが、エ
リクセン値（８．５・７．６）およびＬＤＲ（１．６・
１．６）が実施例１・２・３・４よりも低い値を示して
いる。これにより、比較例４の結果から、Ｍｎを増量す
ると、エリクセン値およびＬＤＲが低下することが判明
した。さらに、比較例４の結果から、Ｍｇを添加する
と、エリクセン値およびＬＤＲの低下に加えて、剥離強
度が極端に低下することが判明した。尚、この理由は、
ＭｇがＡｌよりも酸化の度合いが大きいため、室温でも
酸化膜により接合性を低下させるからであると考えられ
る。
・４と同様に、室温により接合されたものであるが、エ
リクセン値（８．５・７．６）およびＬＤＲ（１．６・
１．６）が実施例１・２・３・４よりも低い値を示して
いる。これにより、比較例４の結果から、Ｍｎを増量す
ると、エリクセン値およびＬＤＲが低下することが判明
した。さらに、比較例４の結果から、Ｍｇを添加する
と、エリクセン値およびＬＤＲの低下に加えて、剥離強
度が極端に低下することが判明した。尚、この理由は、
ＭｇがＡｌよりも酸化の度合いが大きいため、室温でも
酸化膜により接合性を低下させるからであると考えられ
る。
【００２３】次に、上述の実施例１〜４と同様の方法に
より表３に示す構成のクラッド板（実施例５〜７・比較
例６〜８）を作製した。そして、これらのクラッド板か
らサンプル片を取り出し、誘導加熱特性および熱伝動性
を比較した。誘導加熱特性は、一般の電磁調理器による
加熱特性を調べた。また、熱伝導性は、絞りカップを用
い、電磁調理器による水温を水面近くにて測定し、熱の
伝達性能を比較調査した。尚、誘導加熱特性および熱伝
導性の評価は、各々相対比較で行い、良好なものから順
に“〇”、“△”、“×”で評価した。これらの結果を
表３に示す。
より表３に示す構成のクラッド板（実施例５〜７・比較
例６〜８）を作製した。そして、これらのクラッド板か
らサンプル片を取り出し、誘導加熱特性および熱伝動性
を比較した。誘導加熱特性は、一般の電磁調理器による
加熱特性を調べた。また、熱伝導性は、絞りカップを用
い、電磁調理器による水温を水面近くにて測定し、熱の
伝達性能を比較調査した。尚、誘導加熱特性および熱伝
導性の評価は、各々相対比較で行い、良好なものから順
に“〇”、“△”、“×”で評価した。これらの結果を
表３に示す。
【００２４】
【表３】
【００２５】上記の結果によれば、実施例５・６・７お
よび比較例６・７には、フェライト系ステンレスのＳＵ
Ｓ４３０が共に用いられているが、板厚が０．２mmと薄
い比較例７は、充分な発熱特性が得られないことが確認
された。また、アルミニウム板厚が０．４mmの比較例６
は、誘導加熱特性が実施例５〜７と同様に優れている
が、伝熱特性が実施例５〜７よりも劣ることが確認され
た。さらに、オーステナイト係ステンレスＳＵＳ３０４
を用いた比較例８は、全く加熱されないことが確認され
た。これにより、フェライト系ステンレスの板厚を増加
させることによって、良好な発熱特性を獲得できること
が判明し、アルミニウム板厚を増加させることによっ
て、良好な誘導加熱特性を獲得できることが判明した。
よび比較例６・７には、フェライト系ステンレスのＳＵ
Ｓ４３０が共に用いられているが、板厚が０．２mmと薄
い比較例７は、充分な発熱特性が得られないことが確認
された。また、アルミニウム板厚が０．４mmの比較例６
は、誘導加熱特性が実施例５〜７と同様に優れている
が、伝熱特性が実施例５〜７よりも劣ることが確認され
た。さらに、オーステナイト係ステンレスＳＵＳ３０４
を用いた比較例８は、全く加熱されないことが確認され
た。これにより、フェライト系ステンレスの板厚を増加
させることによって、良好な発熱特性を獲得できること
が判明し、アルミニウム板厚を増加させることによっ
て、良好な誘導加熱特性を獲得できることが判明した。
【００２６】
【発明の効果】本発明は、以上のように、冷間圧延圧接
によりクラッド間の酸化膜形成の低減化を可能にしてい
るため、プレス成形時におけるクラッド板の割れや剥離
を防止し、良好な深絞り性を得ることができるという効
果を奏する。
によりクラッド間の酸化膜形成の低減化を可能にしてい
るため、プレス成形時におけるクラッド板の割れや剥離
を防止し、良好な深絞り性を得ることができるという効
果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｈ０５Ｂ 6/12 ３１４
Claims (4)
- 【請求項１】 ステンレス鋼板とアルミニウム板とが圧
延圧接によりクラッドされ、クラッド界面の酸化膜が冷
間状態のまま圧接されてることを特徴とする深絞り性に
優れた成形加工用クラッド板。 - 【請求項２】 上記ステンレス鋼板が、フェライト系ス
テンレスであり、上記アルミニウム板が、高純度のアル
ミニウム又は１．６重量％未満のＭｎを含むアルミニウ
ム合金である請求項１の深絞り性に優れた成形加工用ク
ラッド板。 - 【請求項３】 板厚が０．３ｍｍ以上のフェライト系ス
テンレス鋼板と、板厚が０．５ｍｍ以上の高純度アルミ
ニウム板又は１．６重量％未満のＭｎを含むアルミニウ
ム合金板が圧延圧接によりクラッドされ、クラッド界面
の酸化膜が冷間状態のまま圧接され、全厚みが０．８〜
３．０ｍｍであり、電磁調理器用器物に使用される深絞
り性に優れた成形加工用クラッド板。 - 【請求項４】 フェライト系ステンレス鋼板と、高純度
アルミニウム板又は１．６重量％未満のＭｎを含むアル
ミニウム合金板とを、冷間圧延圧接によりクラッドし、
クラッド界面の酸化膜形成を低減したことを特徴とする
深絞り性に優れた成形加工用クラッド板の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3768594A JPH07223081A (ja) | 1994-02-10 | 1994-02-10 | 深絞り性に優れた成形加工用クラッド板およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3768594A JPH07223081A (ja) | 1994-02-10 | 1994-02-10 | 深絞り性に優れた成形加工用クラッド板およびその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH07223081A true JPH07223081A (ja) | 1995-08-22 |
Family
ID=12504445
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP3768594A Pending JPH07223081A (ja) | 1994-02-10 | 1994-02-10 | 深絞り性に優れた成形加工用クラッド板およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH07223081A (ja) |
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2003181652A (ja) * | 2001-12-12 | 2003-07-02 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 被誘導加熱部材用クラッド板およびその製造方法ならびに誘導加熱調理器用被加熱調理具 |
| US20170014941A1 (en) * | 2014-04-01 | 2017-01-19 | Toyo Kohan Co., Ltd. | Method for producing metal laminate material |
| JPWO2017057665A1 (ja) * | 2015-09-30 | 2018-07-26 | 東洋鋼鈑株式会社 | 金属積層材及びその製造方法 |
| JP2018196907A (ja) * | 2017-03-29 | 2018-12-13 | 東洋鋼鈑株式会社 | 圧延接合体及びその製造方法 |
| KR20190125439A (ko) * | 2017-03-14 | 2019-11-06 | 후아웨이 테크놀러지 컴퍼니 리미티드 | 단말기 하우징 및 단말기 |
-
1994
- 1994-02-10 JP JP3768594A patent/JPH07223081A/ja active Pending
Cited By (7)
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| US10259073B2 (en) * | 2014-04-01 | 2019-04-16 | Toyo Kohan Co., Ltd. | Method for producing metal laminate material |
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| JP2020515061A (ja) * | 2017-03-14 | 2020-05-21 | 華為技術有限公司Ｈｕａｗｅｉ Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｉｅｓ Ｃｏ．，Ｌｔｄ． | 端末ハウジング及び端末 |
| JP2018196907A (ja) * | 2017-03-29 | 2018-12-13 | 東洋鋼鈑株式会社 | 圧延接合体及びその製造方法 |
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