JP2991853B2 - アルミニウム箔積層鋼板の製造法 - Google Patents

アルミニウム箔積層鋼板の製造法

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JP2991853B2
JP2991853B2 JP4035870A JP3587092A JP2991853B2 JP 2991853 B2 JP2991853 B2 JP 2991853B2 JP 4035870 A JP4035870 A JP 4035870A JP 3587092 A JP3587092 A JP 3587092A JP 2991853 B2 JP2991853 B2 JP 2991853B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建材あるいは耐熱材料
として最適なアルミニウム箔積層鋼板の製造法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】アルミニウムは軽量で、耐食性および加
工性に優れている。これらの優れた特性を持つアルミニ
ウムに、さらに鋼板の特性を付与する目的で、アルミニ
ウム板と鋼板とのクラッド材の開発が様々な方法で進め
られている。その中で、安価に,しかも大量に生産でき
る方法が冷間圧延接合法である。一般に、冷間圧延によ
る方法は、高圧下率を要するため、軟化熱処理を行う必
要がある。その際にアルミニウムと鉄からなる脆い合金
層が成長し、アルミニウムの密着性を低下させるという
欠点がある。
【0003】そこで、特開平3−128180,特願平
2−148716では、インサート材として鋼板にニッ
ケルあるいはニッケル合金めっきをすることで合金の生
成を抑制している。その際に、めっきを施したままで
は、表層に存在している水分および水酸化物が原因で圧
着の際に膨れが発生するために、還元性雰囲気中で熱処
理を行っている。しかし、この熱処理法では、完全には
膨れの発生を抑制することができず、部分的にふくれが
発生する場合がある。また、500℃以上で長時間熱処
理を行うと合金層が成長するため、軟質なアルミニウム
箔積層鋼板を製造することができないという欠点があ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】設備面において低コス
トである冷間圧延法により、低圧下率で圧着を行う場
合、アルミニウム箔に膨れが発生することがある。ま
た、圧着のみでは密着性に劣るため、その後拡散熱処理
を行う必要があるが、アルミニウムと鉄の脆い合金層を
形成し、加工によりアルミニウムが剥離しやすい。この
際、合金の形成を抑制する目的で接合面に各種の金属を
めっきすることがあるが、長時間の熱処理ではその効果
は低下する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、インサート材
として、鋼板にニッケルあるいはニッケル合金めっきを
施した後、大気中で加熱し、ニッケルあるいはニッケル
合金を鋼中に拡散させて表層に酸化鉄を形成させること
によって、膨れの発生がなく、熱処理時にアルミニウム
と鉄との合金層を形成することのない優れた密着性を持
つアルミニウム箔積層鋼板を製造することを目的とする
ものである。
【0006】すなわち、ニッケルあるいはニッケルを主
成分とした合金をめっきした鋼板を、大気中で均熱温度
500〜600℃,均熱時間0.5〜5時間の熱処理、
あるいはその後還元性雰囲気中で均熱温度500〜60
0℃,均熱時間0.5〜5時間の熱処理を行い、次いで
該めっき鋼板にアルミニウム箔を積層して圧下率3〜1
0%で圧着し、均熱温度400〜600℃,均熱時間
0.5〜10時間の熱処理を行うことを特徴とするアル
ミニウム箔積層鋼板の製造法である。
【0007】
【作用】以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】本発明のアルミニウム箔積層鋼板に使用さ
れる鋼板とは、軟化焼鈍する前の冷間圧延鋼板あるいは
軟化焼鈍後の冷間圧延鋼板である。
【0009】一方、アルミニウムは、圧延法により製造
された厚さ5〜100μmのアルミニウム箔である。5
μm未満の厚みでは作業性が低下し、100μmを越え
ると材料費の面で不経済である。また、非接合面にはク
ロメート処理,リン酸処理などの化成処理を施すことが
できる。
【0010】鋼板とアルミニウムを冷間圧延により接合
を行う際に、まず鋼板にニッケルあるいはニッケルを主
成分とした合金めっきを0.5〜5g/m2施す。ニッ
ケルあるいはニッケルを主成分とした合金を被覆する方
法は、特に制限されるものではないが、これらの方法と
しては電気めっき法,化学めっき法がある。ニッケルを
主成分とした合金には、リン,コバルト,銅,クロム,
亜鉛,スズあるいは鉄を含むことができる。
【0011】めっきを施したままでは、表層に水分およ
び水酸化物が存在しているため、アルミニウム箔と圧着
を行う際に膨れが発生する。その対策として、特開平3
−128180,特願平2−148716ではめっきを
行った後、還元性雰囲気中で熱処理を施している。しか
し、この方法では完全に膨れの発生を防止することがで
きず、一部膨れが発生する。そこで、本発明では、大気
中で均熱温度500〜600℃,均熱時間0.5〜5時
間の熱処理を行い、ニッケルあるいはニッケル合金を鋼
板中に拡散させ、その表層に酸化鉄を形成させた。この
熱処理により、鋼板表層の水分ならびに水酸化物は酸
化,除去されるため、酸化鉄だけが存在することとな
る。一般に、接合を行う場合、酸化膜および酸化物は接
合を妨げるものとされている。しかし、ニッケルあるい
はニッケル合金めっきを施した後、大気中で熱処理を施
し、表層に酸化鉄を形成させることで圧下率5%以上の
圧着においては、接合に悪影響を及ぼすことなく、アル
ミニウム箔に膨れが発生しない。大気中で熱処理を行っ
た後、さらに還元性雰囲気中で均熱温度500〜600
℃,均熱時間0.5〜5時間の熱処理を行ってもよい。
還元性雰囲気中でさらに熱処理を行うことによって、表
層の不安定な酸化物が消滅し、緻密な酸化鉄になるため
に、3%以上の圧下率で圧着を行うことができる。
【0012】次いで、めっき面とアルミニウム箔を積層
させ、3〜10%の圧下率で圧着を行う。その際、ニッ
ケルあるいはニッケル合金めっきを施した後、還元性雰
囲気で熱処理する従来の方法では膨れが一部発生する欠
点があったが、大気中で熱処理を行い、めっき表層に酸
化鉄を形成させることにより、膨れの発生をなくすこと
ができる。また、熱処理によりニッケルあるいはニッケ
ル合金が鋼中に拡散するため密着性が向上し、さらに合
金形成を抑制できる。熱処理の均熱温度が500℃未満
では、膨れが発生する場合があり、600℃を超えると
鋼板表面の酸化鉄が不均一になり、アルミニウム箔の密
着性が劣る。
【0013】次に、アルミニウム箔と鋼板との密着性を
向上させるために均熱温度400〜600℃,均熱時間
0.5〜10時間の拡散熱処理を行う。圧着の圧下率を
10%以下にすることで、圧延により硬化した鋼板を再
結晶させるまで軟化処理を行う必要がなく、拡散熱処理
で十分な鋼板の加工性とアルミニウムの密着性を得るこ
とができる。また、めっき後に大気中で熱処理をして表
層に酸化鉄を形成させているため、アルミニウムと鉄と
の間に酸化鉄が存在することになり、この酸化鉄がアル
ミニウムと鉄の合金の形成を抑制する効果を持つ。その
ため、500℃以上で長時間熱処理を行っても合金の生
成は起こらない。ただし、600℃を超えるとその効果
が低下し、接合面に合金層を形成してアルミニウムの密
着性が劣る。一方、400℃未満では、十分なアルミニ
ウムの密着性を得ることができない。また、アルミニウ
ムと鋼板の密着性は、ニッケルあるいはニッケル合金め
っきを施すことによって向上し、そのめっき量は0.5
〜5g/m2が好ましい。5g/m2を超えると、その効
果は飽和し、経済性が悪くなる。
【0014】
【実施例】厚み0.5mmの焼鈍及び調質圧延済鋼板を
めっき原板として種々調査した結果を表1〜4に示し
た。めっき原板にアルカリ脱脂および硫酸酸洗による洗
浄化処理と活性化処理を施した後、ニッケルあるいはニ
ッケル合金めっきを施し、膨れの発生原因となる表層の
水分および水酸化物を、還元性雰囲気あるいは大気中で
熱処理を行って取り去り、30μmのアルミニウム箔
(JIS−1N30)と圧着させて、拡散熱処理を行っ
た。表1〜3は、めっき条件およびアルミニウム箔の圧
着後の表面状態を示し、表4はアルミニウム箔積層鋼板
のアルミニウムの加工密着性および機械的性質を示す。
【0015】表1〜4に示すように本発明法によるもの
は、圧着後に膨れが発生せず、合金層を形成していない
ために180゜曲げ試験によってもアルミニウム箔が剥
離することがなく、伸びも大きい。一方、比較法のよう
にめっき後に熱処理を施さないと圧着後に膨れが発生
し、還元性雰囲気で熱処理を行った場合には、一部膨れ
が発生した。また大気中で熱処理を施してもめっきを施
さない場合、加工密着性に劣った。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【発明の効果】本発明によるアルミニウム箔積層鋼板の
製造法により、膨れのない正常なアルミニウム表面状態
を有し、加工性および加工密着性に優れたアルミニウム
箔積層鋼板が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−41681(JP,A) 特開 平4−41085(JP,A) 特開 平3−128180(JP,A) 特開 平3−221275(JP,A) 特開 平3−221274(JP,A) 特開 平3−23087(JP,A) 特開 昭58−93583(JP,A) 特開 昭63−40689(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23K 20/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板に厚み5〜100μmのアルミニウ
    ム箔を積層する方法において、鋼板にニッケルあるいは
    ニッケル合金めっきを0.5〜5g/m2施し、大気中
    で、該めっき鋼板を均熱温度500〜600℃,均熱時
    間0.5〜5時間の熱処理を行い、次いで該めっき鋼板
    にアルミニウム箔を重ね合わせ、圧下率5〜10%で圧
    着し、均熱温度400〜600℃,均熱時間0.5〜1
    0時間の熱処理を行うことを特徴とするアルミニウム箔
    積層鋼板の製造法。
  2. 【請求項2】 鋼板に厚み5〜100μmのアルミニウ
    ム箔を積層する方法において、鋼板にニッケルあるいは
    ニッケル合金めっきを0.5〜5g/m2施し、大気中
    で、該めっき鋼板を加熱温度500〜600℃,加熱時
    間0.5〜5時間の熱処理を行い、さらに還元性雰囲気
    中で該めっき鋼板を均熱温度500〜600℃,均熱時
    間0.5〜5時間の熱処理を行い、次いで該めっき鋼板
    にアルミニウム箔を重ね合わせ、圧下率3〜10%で圧
    着し、均熱温度400〜600℃,均熱時間0.5〜1
    0時間の熱処理を行うことを特徴とするアルミニウム箔
    積層鋼板の製造法。
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