JPH0722217Y2 - 二つ折りとじ縫い装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は繊維布帛類、特に内耳巻きの強い編物等の精錬
染色加工時に発生する耳巻きを防止するために予め行う
被処理物の準備処理装置に関し、該布帛を予め長手方向
に二つ折りにして重ね合わせた後両耳部を連続してとじ
縫いしたり、任意の間隔で単とじ縫いする二つ折りとじ
縫い装置に関するものである。

（従来技術） 従来よりこの種とじ縫いの方法には第１図及び第２図に
示すように二枚の布帛の耳端部を一本の糸で環状にくぐ
らせた後糸の端を揃えて結ぶ方法と第３図及び第４図に
示すように二枚の布帛の耳端部を連続した糸で縫合する
方法がある。このとじ縫いの作業は布帛を長手方向に二
つ折りする装置と、布帛を長手方向にミシンを並べて置
き、予め布帛の両耳巻き部を手で引き延ばしながら両耳
を揃えた後ミシンにてとじ縫いを行う方法が実施されて
おり、布帛特に編組織上耳部のカールが強い編物におい
ては不可欠の作業になっている。

しかしながらこの作業は指先の熟練を必要とする手作業
であるために生産性が低く、とじ縫いミシンのミシン針
直前で行わねばならなために危険性も大きいなど本作業
に対する改善が強く要望されていた。

（考案が解決すべき課題） 本考案はかかる従来技術の諸欠点に鑑みなされたもので
あり、特に未熟練者でも極めて生産性よく安全にとじ縫
い作業ができるようにした二つ折りとじ縫い装置を提供
するものである。

（課題を解決するための手段） 本考案は、布帛を逆三角型二つ折り器を用いて長手方向
に二つ折りにして重ね合わせ耳端部を連続してもしくは
任意の間隔で糸にとじ縫いする装置において、逆三角型
二つ折り器で二つ折りされつつある二枚の布帛の左右耳
端部をそれぞれ挟み込むようにして左右対称に設けた耳
端ガイド板、内側ガイド板に取りつけたスリット型ノズ
ル、耳端ガイド板の下方に設けた耳端検知器、耳端ガイ
ド板と耳端検知器とに連結とガイドバー上を前後に移動
すべく設けたスライド装置およびガイドバーの一端を左
右に揺動するための揺動装置を有すると共に、とじ縫い
装置本体として布帛の進行方向と直角に移動可能とした
駆動付きスライド装置と耳部検知器（12）を取り付けた
とじ縫いミシン（36）を用い、該ミシンの直前にとじ縫
い直前にある布帛二枚の各々の内耳巻きを連続して吹き
延ばすためのスリット状高速エアーノズル（38）を配し
た耳延ばしガイド器（37）を設けたことを特徴とする二
つ折りとじ縫い装置である。

次に本考案を実施例に基づいて詳細に説明する。

第５図は従来の作業方法を示すものであり、二つ折りと
じ縫いされる布帛は周知の拡布センタリング装置（図示
せず）からガイドロール４を経て布帛の逆三角型の二つ
折り器５で二つ折りされ下方に設けられた２本のガイド
バー６、駆動ロール７及びガイドロール８を介してとじ
縫い工程へ送られる。しかしながら、該二つ折りにされ
た該布帛の両耳はとじ縫いに必要な精度で耳揃えがされ
ていないばかりでなく両耳部それぞれが二つ折りにされ
た布帛の内側へ10〜30cm程度強く耳巻きしているのが常
である。

従って該布帛をとじ縫いミシン９で効率よくとじ縫いす
るためにはとじ縫いミシン９の直前で該布帛の両耳部の
内巻きを手で引き延ばしながら両耳を揃えた後、とじ縫
いミシン９の布帛押え板10の下へ送り込まねばならない
が、この作業は指先の熟練を要する手作業であるために
生産性が低いばかりでなくとじ縫いミシン９のミシン針
直前で行わねばならないために危険性も大きく極めて問
題の多い作業であった。

かくしてとじ縫いミシン９へ送り込まれた布帛両耳部11
は布帛押え板10の前方上部に接近して取り付けられた該
布帛の耳部検知器12によって検知され、予め設定された
布帛耳深さで連続してとじ縫いできるように布帛進行方
向に直角に前後移動可能なとじ縫いミシン９が連続して
該布帛耳部に機械的に追従し第１図〜第４図に示される
とじ縫い形態が形成されていくことになる。このように
してとじ縫いされた布帛は順次ガイドロール13及び布帛
の振り落とし具14等によって積載または移送されること
になる。

次に本考案を第５図から第11図で説明まする。

先ず二つ折りとじ縫いされる布帛は前述した従来の作業
方法と同様にして周知の拡布センタリング装置（図示せ
ず）からガイドロール４を経て布帛の逆三角型の二つ折
り器５で二つ折りされるが、この時点では、該布帛の両
耳はとじ縫いに必要な精度で耳揃えされていないばかり
でなく両耳部それぞれが二つ折りの内側へ10〜30cmの範
囲内で強く耳巻きしているのが常であり、このままの布
帛耳部をとじ縫いミシン９で機械的に効率よくとじ縫い
することは不可能である。本考案は連続して二つ折りさ
れつつある該布帛の両内耳部のカールを引き延ばしなが
ら両耳部を精度よく耳揃えしていくことができる効率的
な機械装置を提供することになる。

第６図に示す如く、逆三角型の二つ折り器５で二つ折り
されつつある布帛15の左右耳端部をそれぞれ挾み込むよ
うにして左右対称に設けた耳端ガイド板16,17,18,19各
対の内側ガイド板16,18に取りつけられているスリット
型ノズル20,21から吹き出す高速エアーによって該布帛
の左右耳端部のカール22,23が連続して効率よく完全に
耳延ばしされる。（高速エアーホース30以前については
図示せず）。

次いで左右の耳端ガイド板16,17,18,19各対の下方に接
近して一直線上に設けられているそれぞれの耳端検知器
24,25にそれぞれの布帛耳部が検知されることになる。

しかしながらもし左右の布帛耳部が両方共に検知される
か、或はいずれも検知されない場合には、これらの耳端
ガイド板と耳端検知器とに連結されて２本のガイドバー
６上を前後に移動すべく設けられたスライド装置26がこ
れに固定されたメスネジ部27を介して適宜正逆転するモ
ーター29に連なるスクリュー軸28の回転により所定量だ
け前後して常に左右どちらか一方の布帛耳部が検知され
るような位置に保たれる。

またどちらか一方の布帛耳部が検知されないという状態
は、左右の布帛耳部が揃っていないということになり、
これを修正するために設けられた支軸31を軸とする揺動
装置32に組み込まれた適宜正逆転可能なモーター35によ
り揺動装置32がそのスライド台33上を駆動輪34を介して
左右に揺動し、これに連結された２本のガイドバー６が
所定量だけ左右に揺動することによってこの２本のガイ
ドバー６に挾み込まれた左右２枚の布帛それぞれに作用
する張力が変化することでこの左右２枚の布帛耳部が互
いに揃えられることになる。

以上のような動作が同時に且つ連続して行われることに
より二つ折りされつつある布帛15の耳揃えが精度よくか
つ効率よく連続してなされることになる。

かくして耳端ガイド板部分で完全に耳延ばしされた布帛
耳部も耳端検知器の部分を通過すると間もなく布帛送り
張力の作用によって再び耳巻きをし始め、駆動ロール７
に達して二つ折りされた布帛の両耳部が密着される。こ
のような状態の布帛が連続して次のとじ縫い工程へ送ら
れることになるが、この時点の布帛耳端は再び内耳巻き
の状態を程しているとは言うものの、再度内耳巻きを引
き延ばしさえすれば十分精度よく耳揃えがなされる状態
にある。

次に上述の如く得られた二つ折り布帛がガイドロール８
によって布帛形状を保持されながらとじ縫いミシン９に
接近すると再び布帛耳部の内耳巻きが連続して効率よく
完全に耳延ばしされることになる。これを第７図〜第９
図で説明すると二つ折りされた布帛41の隙間に挿入され
たようにして設けられている高速エアー配管39によって
該布帛は連続して上下２枚に分離される。該高速エアー
配管の一端は高速エアーフレキシブルチューブ40を介し
て高速空気発生機（図示せず）に連なり、他端は布帛の
耳延ばしガイド器37を介してミシン縫製台36に固定され
ている。

次いで前述の上下２枚に分離された布帛の耳巻き部がミ
シン縫製台36に固定された布帛の耳延ばしガイド器37に
達すると該布帛の上下２枚の内耳巻き部が布帛の耳延ば
しガイド器37のガイド板37aと37b及び37aと37cの間にそ
れぞれ導入され、高速エアー配管39に連なりガイド板37
aの面に表裏対称に設けられたスリット型高速エアー吹
き出しノズル38から常時吹き出している高速エアーによ
って完全に効率よく連続して耳延ばしされることにな
る。この時の該布帛41の耳巻き部の形状変化を第10図及
び第11図に示す。

かくして布帛の耳巻きを連続して完全に効率よく耳延ば
しされた上下２枚の耳は、既述の如く精度よく耳揃えさ
れている。即ち布帛の耳延ばしガイド器37のミシン縫製
台36側上方に設けられた布帛の耳端検知器12は該布帛41
の耳揃えられた耳端を十分に精度よく検知することがで
き、なおかつ布帛の２枚の内耳巻きが耳延ばしガイド器
37内で連続して完全に効率よく耳延ばしされた状態でと
じ縫いミシン９の布帛押さえ板10の下へ送り込まれるこ
とによって予め設定された布帛耳深さで連続してとじ縫
いできるように布帛の進行方向に直角に前後移動可能な
とじ縫いミシン９が連続して布帛41の耳部を機械的に追
従し前述のとじ縫い形態図第１図〜第４図のいずれかが
形成されてくることになる。

かくの如くして機械的に連続して効率よくとじ縫いされ
た布帛は順次ガイドロール及び布帛の振り落とし具を経
て積層または移送されることになる。

本考案は上述の如くまず内耳巻きのある二つ折りの布帛
の耳揃えを内耳巻きを連続して完全に吹き延ばしながら
十分に精度よく行い、続いてとじ縫いを同様に内耳巻き
を吹き延ばしながらきわめて精度よく行うことができる
ので、未熟練者でも極めて生産性よく安全に能率的にと
じ縫い作業ができる特徴を有するものでありその実用的
価値は甚だ大なるものがある。

なお二つ折りとじ縫い作業について従来法と本考案法の
生産性比較を次表に示す。

上表より明らかなように本考案によるとじ縫い装置にて
作業をすることによりその生産性は従来法に比較して約
７倍に向上した。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図、第３図及び第４図は本考案によるとじ
縫いの形態を示す説明図であり、第５図は従来のとじ縫
い作業を示す説明図、第６図は本考案による布帛の耳揃
え装置、第７図及び第８図は布帛の耳延ばし・とじ縫い
装置、第９図は耳延ばし装置、第10図及び第11図は布帛
の耳延ばし状態を示す説明図である。 ５……二つ折り器 ９……とじ縫いミシン 10……布帛押さえ板 11……布帛両耳部 12……耳端検知器 15……二つ折りされつつある布帛 16,18……耳部ガイド板（内側） 17,19……耳部ガイド板（外側） 20,21……スリット型ノズル 22,23……耳端部のカール 24,25……耳部検知器 26……フィード装置 30……高速エアホース 36……ミシン縫製台 37……耳延ばしガイド器 38……スリット型エアー吹き出しノズル 39……高速エアー配管 41……二つ折りされた布帛

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】布帛を逆三角型二つ折り器を用いて長手方
   向に二つ折りにして重ね合わせ耳端部を連続してもしく
   は任意の間隔で糸にてとじ縫いする装置において、逆三
   角型二つ折り器で二つ折りされつつある二枚の布帛（1
   5）の左右耳端部をそれぞれ挟み込むようにして左右対
   称に設けた耳端ガイド板（16,17,18,19）、内側ガイド
   板（16,18）に取りつけたスリット型ノズル（20,21）、
   耳端ガイド板の下方に設けた耳端検知器（24,25）、耳
   端ガイド板と耳端検知器とに連結しガイドバー（６）上
   を前後に移動すべく設けたスライド装置（26）およびガ
   イドバー（６）の一端を左右に揺動するための揺動装置
   を有すると共に、とじ縫い装置本体として布帛の進行方
   向と直角に移動可能とした駆動付きスライド装置と耳部
   検知器（12）を取り付けたとじ縫いミシン（36）を用
   い、該ミシンの直前にとじ縫い直前にある布帛二枚の各
   々の内耳巻きを連続して吹き延ばすためのスリット状高
   速エアーノズル（38）を配した耳延ばしガイド器（37）
   を設けたことを特徴とする二つ折りとじ縫い装置。