JPH07220866A - 電子レンジ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高圧トランスの近傍に導波管を設けた構成に
あって、導波管の振動音の発生を防止する。 【構成】 外箱１内に、調理室３を構成するオーブン庫
２を設ける。オーブン庫２の右側の機械室６内に、マグ
ネトロン７や、高圧トランス８を含む駆動回路等を配設
する。マグネトロン７から発振されたマイクロ波を調理
室３内に供給するための導波管９を、オーブン庫２の右
外側壁部に上下に延びて設け、オーブン庫２の右側壁部
に、上部供給口１０及び下部供給口１１を設ける。導波
管９の下部を、機械室６から後退する形状に絞り、その
導波管９の絞られた部分に高圧トランス８を配置する。
導波管９を、非磁性体材料であるＳＵＳ３０４から構成
し、高圧トランス８からの交番磁界の影響をなくす。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、調理室に隣合う機械室
内に、マグネトロン及びその駆動用の高圧トランス等を
配設した電子レンジに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、電子レンジは、外箱内に、調理
室を構成する例えばステンレス製のオーブン庫を配設
し、そのオーブン庫の右側に形成された機械室内に、マ
グネトロンやその駆動回路，冷却ファン等を配設して構
成されている。また、前記マグネトロンから発振された
マイクロ波は、オーブン庫の上部を延びて設けられたメ
ッキ鋼板製の導波管を通して、調理室の天井部に位置す
る供給口から調理室内に供給されるようになっていた。

【０００３】ところで、近年では、マイクロ波の供給口
を、調理室の天井部でなく右側壁部に設けて、被加熱物
の均一加熱を図るようにしたものが考えられてきてい
る。このものの場合、導波管は、マグネトロンの駆動回
路を構成する高圧トランスの近傍に位置して、オーブン
庫の右外壁部に配設されることになる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上述のよう
に、高圧トランスの近傍に導波管を配設したものでは、
高圧トランスからの交番磁界の影響により、導波管が振
動し、振動音が発生するという不具合を招いてしまうこ
とになる。

【０００５】そこで、このような不具合を防止するため
に、高圧トランスと導波管との間に磁気遮蔽板を設けた
り、防振ゴムを設ける構成が考えられる。しかしなが
ら、そのような構成では、部品数が多くなると共に組立
て工数が増加し、コスト高になってしまう欠点がある。
また、防振ゴムを用いた場合、経年変化によるクッショ
ン性の悪化により、防振効果が低下してしまう問題点が
ある。

【０００６】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的は、高圧トランスの近傍に導波管を設けた
構成にあっても、導波管の振動音の発生を安定して防止
することができると共に、そのための構成を複雑にする
ことなく済ませることができる電子レンジを提供するに
ある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の電子レンジは、
調理室を構成するオーブン庫と、このオーブン庫に隣合
う機械室と、この機械室内に設けられたマグネトロン
と、前記機械室内に設けられたマグネトロン駆動用の高
圧トランスと、この高圧トランスの近傍に設けられ前記
マグネトロンから発振されたマイクロ波を前記調理室内
に導く導波管とを具備すると共に、前記導波管は、非磁
性体材料から構成されているところに特徴を有する（請
求項１の発明）。

【０００８】この場合、導波管を、オーブン庫の外側壁
部に上下に延びて設けると共に、調理室に対するマイク
ロ波の供給口を上下に複数個設けることもできる（請求
項２の発明）。また、導波管を、その下部の機械室側に
位置する部分が機械室から後退する形状に設けると共
に、その後退部分に高圧トランスの一部を配置するよう
に構成すれば、より効果的である（請求項３の発明）。
さらには、導波管を、アルミニウムから構成すると共
に、その端部に溶接用部材を設け、その溶接用部材を介
してオーブン庫に溶接するように構成しても良い（請求
項４の発明）。

【０００９】

【作用】本発明の請求項１の電子レンジによれば、高圧
トランスの近傍に位置する導波管を、非磁性体材料から
構成するようにしたので、導波管が高圧トランスからの
交番磁界の影響を受けなくなり、高圧トランスの交番磁
界の影響に起因する導波管の振動の発生がなくなる。

【００１０】この場合、導波管を、オーブン庫の外側壁
部に上下に延びて設け、マイクロ波の供給口を上下に複
数個設けるようにすれば（請求項２の発明）、調理室内
のマイクロ波の分布を良好として、均一加熱等を図るこ
とができる。また、導波管の下部の機械室側に位置する
部分を機械室から後退する形状とすると共に、その後退
部分に高圧トランスの一部を配置するように構成すれば
（請求項３の発明）、高圧トランスをコンパクトに配設
することができ、機械室の空間を有効に利用することが
できる。

【００１１】さらには、導波管の材質として、電気抵抗
の小さいアルミニウムを用いれば、電波ロスを小さくす
ることができるが、オーブン庫との直接の溶接が困難と
なる。このような場合、導波管の端部に溶接用部材を設
け、その溶接用部材を介してオーブン庫に溶接するよう
にすれば（請求項４の発明）、溶接を容易に行うことが
できる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の第１の実施例について、図１
及び図２を参照して説明する。図１は本実施例に係る電
子レンジの右半部部分の内部構成を示しており、ここ
で、電子レンジの外箱１内には、前面が開放した矩形箱
状をなす例えばステンレス製のオーブン庫２が配設さ
れ、このオーブン庫２内が調理室３とされている。ま
た、前記調理室３内の底部には、駆動用モータ４により
回転駆動される回転板５が配設されている。

【００１３】そして、前記外箱１内には、前記オーブン
庫２の右側に隣合って機械室６が設けられている。この
機械室６内には、マグネトロン７及びその駆動回路、冷
却ファン装置、マイコン等からなる制御装置などが設け
られている。前記駆動回路は高圧トランス８を含んで構
成され、この高圧トランス８が機械室６内の下部に、前
記マグネトロン７がその上方に配設されている。そし
て、前記マグネトロン７から発振されたマイクロ波は、
導波管９を通して前記調理室３内に供給されるようにな
っている。

【００１４】さて、前記導波管９は、非磁性体材料であ
るステンレス板（ＳＵＳ３０４）から構成され、図２に
も示すように、図で左側面部が開放した全体として上下
に長いほぼ矩形箱状をなし、その左側面部には全周に渡
ってフランジ部９ａが一体に設けられている。この導波
管９は、図１に示すように、前記オーブン庫２の右外側
壁部に上下に延びて前記フランジ部９ａの複数箇所にて
スポット溶接により取付けられており、これにて、その
下部部分が前記高圧トランス８の近傍に配置されてい
る。

【００１５】そして、本実施例では、図１に示すよう
に、前記マグネトロン７のアンテナ７ａは、導波管９の
上端部に位置されていると共に、前記オーブン庫２の右
側壁部には、調理室３の中間部及び下部に位置して、夫
々マイクロ波を供給するための上部供給口１０及び下部
供給口１１が設けられている。また、図示はしないが、
前記上部供給口１０及び下部供給口１１の開閉を制御す
る開閉制御手段として、開閉板や、モータ等からなるそ
の駆動機構が設けられている。

【００１６】さらに、本実施例では、前記導波管９の下
部の機械室６側に位置する部分即ち図で右側部分が、機
械室６から後退する形状に絞られた絞り部９ｂとされて
いる。この場合、図２に示すように、この絞り部９ｂ
は、上部の左右方向の深さ寸法Ａに対して、１／３以上
絞られている。そして、図１に示すように、前記高圧ト
ランス８は、その左上の角部部分が、その導波管９の絞
り部９ｂのすぐ右側に配置されるように設けられてい
る。

【００１７】尚、図示はしないが、前記外箱１の前面に
は、前記調理室３を開閉するための扉が設けられ、ま
た、前記機械室６の前面に位置して、使用者が調理態様
の選択や指示等を行ったり使用者に対して必要なメッセ
ージ等を表示するための操作パネルが設けられている。

【００１８】次に、上記構成の作用について述べる。電
子レンジ調理を実行させるにあたっては、使用者は、回
転板５上に被加熱物を載置し、操作パネルを操作して調
理をスタートさせる。すると、マグネトロン７が駆動さ
れてアンテナ７ａからマイクロ波が発振され、そのマイ
クロ波が導波管９を通して調理室３内に供給され、被加
熱物のあたため調理が行われる。このとき、例えば被加
熱物の種類等に応じて、上部供給口１０及び下部供給口
１１の開閉が制御され、調理室３内の電波の強度分布を
被加熱物に適したものとした加熱が行われるようになっ
ている。

【００１９】而して、このマグネトロン７の駆動時にお
いて、高圧トランス８の近傍に導波管９が配置されてい
るため、高圧トランス８からの交番磁界の影響を受け、
導波管９が振動し、振動音が発生する虞が考えられる。
ところが、本実施例では、導波管９を非磁性体材料であ
るＳＵＳ３０４から構成したので、導波管９が高圧トラ
ンス８からの交番磁界の影響を受けなくなり、交番磁界
に起因する振動は起こらず、振動音の発生が未然に防止
されるのである。

【００２０】また、本実施例では、導波管９がオーブン
庫２の外側壁部に配置されるため、その分機械室６が狭
くなる事情があるが、導波管９の下部を機械室６から後
退する形状に絞り、その後退部分に高圧トランス８の一
部を配置するようにしたので、高圧トランス８をコンパ
クトに配設することができ、機械室６内の空間を有効に
利用することができるものである。

【００２１】このように本実施例によれば、高圧トラン
ス８の近傍に位置する導波管９を、非磁性体材料である
ＳＵＳ３０４から構成したので、従来のようなメッキ鋼
板からなる導波管と異なり、導波管９が高圧トランス８
からの交番磁界の影響を受けなくなり、導波管９の振動
音の発生を安定して防止することができる。そして、導
波管９の材質を変更するだけで済むので、振動音の発生
を防止するために磁気遮蔽板や防振ゴム等の他の部材を
設ける構成と異なり、部品数が少なく済みまた組立て工
数も増加することがなく、安価に済ませることができる
ものである。

【００２２】また、特に本実施例では、導波管９を、オ
ーブン庫２の外側壁部に上下に延びて設け、上部供給口
１０及び下部供給口１１の２個の供給口を設けるように
したので、調理室３内のマイクロ波の強度分布を、被加
熱物に応じた良好なものとすることができ、調理の出来
具合の向上を図ることができる。そして、機械室６が導
波管９の分だけ左右方向に狭くなる事情があるが、導波
管９の下部を機械室６から後退する形状に絞り、その後
退部分に高圧トランス８の一部を配置するようにしたの
で、高圧トランス８をコンパクトに配設することがで
き、機械室６ひいては全体の大形化を未然に防止するこ
とができるものである。

【００２３】図３及び図４は、本発明の第２の実施例に
係る導波管２１を示すものであり、この導波管２１は、
次の点で上記第１の実施例の導波管９と相違している。
即ち、本実施例の導波管２１は、上記のＳＵＳ３０４に
代えて、やはり非磁性体材料であるアルミニウムから構
成されている。

【００２４】ここで、上記のＳＵＳ３０４からなる導波
管９では、電気抵抗が比較的高い（６０×１０^−８Ω
ｍ）ため、電波ロスにより効率が若干劣ってしまう。こ
れに対し、アルミニウム製の導波管２１にあっては、電
気抵抗が低い（２．７×１０^{− ８}Ωｍ）ので、電波ロス
を小さくすることができ、効率の向上を図ることができ
るものである。

【００２５】また、このアルミニウム製の導波管２１で
は、ステンレス製のオーブン庫２との直接の直接の溶接
が困難となる。そこで、本実施例では、導波管２１の端
部であるフランジ部２１ａの全周に、ステンレス板製の
溶接用部材２２を設けるようにしている。この溶接用部
材２２は、図４に示すように、二つ折りの板状に形成さ
れ、前記フランジ部２１ａを外側から挟み込むようにし
てかしめ固着されている。

【００２６】そして、溶接用部材２２の図４で上面部分
には、所定の間隔で半円形の切欠部２２ａが形成されて
いると共に、前記フランジ部２１ａには、その切欠部２
２ａに対応して円形孔２１ｂが形成されている。これに
て、ステンレス製の溶接用部材２２が、前記円形孔２１
ｂ内に位置する部分にてオーブン庫２にスポット溶接さ
れることにより、導波管２１がオーブン庫２の外側壁部
に取付けられるようになっているのである。

【００２７】かかる実施例によれば、上記第１の実施例
と同様に、導波管２１が高圧トランス８の近傍に位置す
る事情があっても、導波管２１を非磁性体材料であるア
ルミニウムから構成したので、導波管２１が高圧トラン
ス８からの交番磁界の影響を受けなくなり、導波管２１
の振動音の発生を安定して防止することができると共
に、そのための構成を安価に済ませることができるもの
である。

【００２８】そして、特に本実施例では、導波管２１の
材質としてアルミニウムを用いたので、電波ロスを小さ
くすることができて効率の向上を図ることができるもの
である。また、導波管２１をアルミニウム製としたこと
に伴うオーブン庫２との直接の溶接が困難となるといっ
た不具合も、導波管２１の端部に溶接用部材２２を設け
たことにより解決でき、溶接を容易に行うことができる
ものである。

【００２９】尚、上記実施例では、マイクロ波の供給口
として上部供給口１０及び下部供給口１１の２つを設け
るようにしたが、マイクロ波の供給口の位置や個数等に
ついては種々変更することができる。また、グリルヒー
タやオーブンヒータ等を備えた電子レンジにも適用する
ことができる。その他、本発明は上記した各実施例に限
定されるものではなく、例えば導波管の材質としては各
種の非磁性体材料の中から適宜選択することができ、さ
らには溶接用部材の形状や取付構造なども様々な変形例
が考えられる等、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更し
て実施し得るものである。

【００３０】

【発明の効果】以上の説明にて明らかなように、本発明
によれば、次のような優れた効果を奏する。即ち、請求
項１の電子レンジによれば、マグネトロンからのマイク
ロ波を調理室内に導くための導波管を、非磁性体材料か
ら構成するようにしたので、高圧トランスの近傍に導波
管を設けた構成にあっても、導波管が高圧トランスから
の交番磁界の影響を受けなくなり、この結果、導波管の
振動音の発生を安定して防止することができると共に、
そのための構成を複雑にすることなく済ませることがで
きるものである。

【００３１】この場合、導波管を、オーブン庫の外側壁
部に上下に延びて設け、マイクロ波の供給口を上下に複
数個設けるようにすれば（請求項２の発明）、調理室内
のマイクロ波の強度分布を、被加熱物に応じた良好なも
のとすることが可能となり、均一加熱等を図ることがで
きる。

【００３２】また、導波管の下部の機械室側に位置する
部分を機械室から後退する形状とすると共に、その後退
部分に高圧トランスの一部を配置するように構成すれば
（請求項３の発明）、高圧トランスをコンパクトに配設
することができ、機械室ひいては全体の大形化を未然に
防止することができるものである。

【００３３】さらには、導波管をアルミニウムから構成
すると共に、その端部にオーブン庫と溶接のための溶接
用部材を設けるようにすれば（請求項４の発明）、電波
ロスを小さくすることができて効率の向上を図ることが
でき、また、導波管をアルミニウム製としたことに伴う
オーブン庫との直接の溶接が困難となるといった不具合
も溶接用部材により解決でき、容易に溶接を行うことが
できるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例を示すもので、電子レン
ジの要部の縦断正面図

【図２】導波管の正面図（ａ）及び側面図（ｂ）を並べ
て示す図

【図３】本発明の第２の実施例を示すもので、導波管の
下半部を破断して示す斜視図

【図４】図３のＢ−Ｂ線に沿う縦断面図

【符号の説明】 図面中、１は外箱、２はオーブン庫、３は調理室、６は
機械室、７はマグネトロン、８は高圧トランス、９，２
１は導波管、９ａ，２１ａはフランジ部、９ｂは絞り
部、１０は上部供給口、１１は下部供給口、２２は溶接
用部材を示す。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 調理室を構成するオーブン庫と、このオ
   ーブン庫に隣合う機械室と、この機械室内に設けられた
   マグネトロンと、前記機械室内に設けられたマグネトロ
   ン駆動用の高圧トランスと、この高圧トランスの近傍に
   設けられ前記マグネトロンから発振されたマイクロ波を
   前記調理室内に導く導波管とを具備すると共に、前記導
   波管は、非磁性体材料から構成されていることを特徴と
   する電子レンジ。
2. 【請求項２】 前記導波管は、オーブン庫の外側壁部に
   上下に延びて設けられていると共に、調理室に対するマ
   イクロ波の供給口が上下に複数個設けられていることを
   特徴とする請求項１記載の電子レンジ。
3. 【請求項３】 前記導波管は、その下部の機械室側に位
   置する部分が機械室から後退する形状に設けられている
   と共に、その後退部分に高圧トランスの一部が配置され
   ていることを特徴とする請求項１又は２に記載の電子レ
   ンジ。
4. 【請求項４】 前記導波管は、アルミニウムから構成さ
   れていると共に、その端部に溶接用部材を備え、その溶
   接用部材を介してオーブン庫に溶接されていることを特
   徴とする請求項１乃至３のいずれかに記載の電子レン
   ジ。