JPH07216786A - 柔軟性を有する繊維ウェブおよびその製造方法 - Google Patents

柔軟性を有する繊維ウェブおよびその製造方法

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JPH07216786A JP742494A JP742494A JPH07216786A JP H07216786 A JPH07216786 A JP H07216786A JP 742494 A JP742494 A JP 742494A JP 742494 A JP742494 A JP 742494A JP H07216786 A JPH07216786 A JP H07216786A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】皮膚に対する安全性が高く、柔軟で肌触り、特
にしっとり感に優れ、かつ紙粉の発生が少なく、花粉症
や鼻炎用途に好適なティッシュペーパーを得る。 【構成】流動パラフィン5〜20%と、多価アルコール
類50〜85%と、糖類3〜30%と、非イオン界面活
性剤5%以下を主剤とする薬液が、温度20℃、湿度6
5%RH基準における米坪10〜55g/m2のティッシ
ュペーパー素材に対して、1〜130%含浸されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、皮膚に対する安全性が
高く、柔軟で肌触り、特にしっとり感に優れ、かつ紙粉
の発生が少なく、花粉症や鼻炎用途に好適なローション
を含有する柔軟性を有する繊維ウェブ、およびその製造
方法に関する。
【0002】本発明における繊維ウェブとしては、不織
布も含むが、好ましくはセルロース系繊維ウェブ、特に
ティッシュペーパーである。
【0003】
【従来の技術】ティッシュペーパーやトイレットペーパ
ー等の家庭紙は、生活の簡便性や快適性の点で、その消
費量が増大している。この場合における、ティッシュペ
ーパーは、トイレットペーパーと比較して、耐水性が必
要となり、かつ強度が必要となる。
【0004】さらに、ティッシュペーパーの柔軟性を高
め感触をソフト化させるに、従来から、柔軟剤を使用す
ることが知られている。この柔軟剤としては、界面活性
剤、ワックスエマルジョン、反応型柔軟剤(セルロース
と強固に反応して、脂肪族炭化水素を規則正しく繊維の
周囲に配向させるもの)、シリコーン系のものなどが知
られている。
【0005】しかし、この種の柔軟剤は化学合成品であ
るために、敏感な肌に対して、必ずしも適切とは言えな
い。また、柔軟性の発現を期待するあまり、逆に、紙粉
が発生しやすい傾向を招き、吸水性が低下するなどの問
題がある。
【0006】そこで、特開平5−156596号公報
(第1先行例という)においては、吸湿性を有する塩類
(塩化ナトリウム、塩化カルシウム、ピロリン酸カリウ
ム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ポリ
リン酸ナトリウム)と、吸湿性を有する多価アルコール
及び糖類(グリセリン、D−ソルビット、マルチトー
ル、還元麦芽糖水飴、還元澱粉加水分解物)と、保水性
を有する糊料(アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸
ナトリウム、メチルセルロース、アルギン酸プロピレン
グリコールエステル、繊維素グリコール酸ナトリウム
(CMC)、繊維素グリコール酸カルシウム、澱粉グリ
コール酸ナトリウム、澱粉リン酸エステルナトリウム、
カゼイン、カゼインナトリウム)とを含有する薬液を、
不織布または紙に含浸させることを開示している。
【0007】この場合における、吸湿性を有する塩類、
多価アルコール及び糖類、保水性を有する糊料は、いず
れも吸湿性、柔軟性、肌触り性等を付与し、もしくは向
上させる作用をなすものであるとしている。また、薬液
の含浸を行う手段として、スプレー方式によるとしてい
る。
【0008】一方、特開平2−104511号(第2先
行例という)には、メイクアップや皮膚の汚れ落としの
ために、ポリアルキレングリコール、エタノール、水溶
性多価アルコール、界面活性剤および水を配合したクレ
ンジングティッシュ用組成物が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、第1先行例
では、人体の皮膚に対する安全性については優れている
ものの、吸湿性を要求するあまり、塩化カルシウムなど
の無機物を添加しており、滑らかさが低下し、また、し
っとり感(湿潤感)、柔軟性が充分でない。
【0010】他方、第2先行例のものは、水をベースと
するものであり、揮発しないように予め密封容器に入れ
ておき、一枚ごとその容器から取り出すタイプのもので
ある。したがって、メイクアップなどには適しているも
のの、鼻炎などの人のために、鼻をかむ用途などに適す
るものではない。
【0011】一方、第2先行例は湿潤型のものであるた
めに、無関係であるが、第1先行例では、スプレーによ
り薬液を塗布するとしているが、単位面積当たりにおけ
る塗布量がばらつき根本的な問題がある。
【0012】したがって、本発明の第1の課題は、皮膚
に対する安全性が高く、柔軟で肌触り、特にしっとり感
に優れ、かつ紙粉の発生が少なく、花粉症や鼻炎用途に
好適な乾燥型(すなわち密封容器内に収納しておく必要
がない)ティッシュペーパーなどの繊維ウェブを提供す
ることにある。
【0013】第2の課題は、薬液を繊維ウェブ素材に対
して均一に塗布することが可能な繊維ウェブの製造方法
を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、流動パラ
フィン5〜20%と、多価アルコール類50〜85%
と、糖類3〜30%とを主剤とする薬液が、温度20
℃、湿度65%RH基準における米坪10〜55g/m2
の繊維ウェブ素材に対して、1〜130%含浸されてい
ることで解決できる。
【0015】この場合、前記薬液中に、さらに非イオン
界面活性剤を5%以下含有させることができる。
【0016】多価アルコールを、グリセリンまたはプロ
ピレングリコールあるいはそれらの混合物から選択し、
糖類を、ソルビトールまたはグルコースあるいはそれら
の混合物から選択し、非イオン界面活性剤を、グリセリ
ンエステルまたは脂肪酸エステルあるいはそれらの混合
物から選択できる。
【0017】また、かかる繊維ウェブは、温度20℃、
湿度65%RH基準における米坪10〜55g/m2の繊
維ウェブ素材を圧胴を巡らせ、この繊維ウェブ素材に対
して、バットに収容した湿潤感を与える薬液をピックア
ップして塗布する転写印刷方式により、特にフレキソ転
写印刷方式により、1〜130%含浸させることにより
得ることができる。
【0018】
【作用】本発明では、第2先行例の水ベース型のものと
は異なり、通常のティッシュペーパーと同様に、紙箱内
に収容して、一枚ごと取り出して使用に供するものであ
る。
【0019】しかるに、本発明においては、5〜20%
と、多価アルコール類50〜85%と、糖類3〜30%
と、さらに必要ならば5%以下の非イオン界面活性剤と
を主剤とする薬液を用いる。これらが、あるいは成分相
互が関連して本発明が主たる目的とする「しっとり感」
(湿潤感)特性を示すのか、必ずしも明確ではない。
【0020】とれあれ、本発明においては、流動パラフ
ィンを5〜20%の範囲で使用する。流動パラフィンの
添加量が5%未満であると、しっとり感が低下し、また
滑らかさが低下し、ざらつく。逆に20%を超えると、
ねばつき感(べとつき感)を与えるとともに、ざらつ
き、さらに硬い感じを与えるようになる。より好適な範
囲は、8〜15%である。本発明では、第2先行例のよ
うに、多価アルコールによる皮膚の油分の除去特性を過
度にすることなく、流動パラフィンを混入することによ
り、皮膚の油分の除去特性を抑制しているために、ほど
よいしっとり感を得ることができる。
【0021】多価アルコール類の添加量は50〜85%
とされる。50%未満では、清拭効果としっとり感が劣
る。85%を超えると、他の成分の添加量が少なくな
り、全体の特性のバランスが悪くなる。また、強度の劣
化が起こり、破れ易くなるとともに、べたついた感じを
与えるようになる。多価アルコール類としては、特にグ
リセリンまたはプロピレングリコールあるいはそれらの
混合物からなるのが好ましい。
【0022】糖類の添加量は3〜30%とされる。3%
未満では、しっとり感とやわらかさが低下し、30%を
超えると、全体の特性のバランスが悪くなり、強度劣化
が起こり、破れ易くなる。糖類としては、特にソルビト
ールまたはグルコースあるいはそれらの混合物からなる
ものが好適である。
【0023】さらに必要ならば5%以下の非イオン界面
活性剤を添加することができる。非イオン活性剤として
は、ソルビタン脂肪酸エステル、ジエチレングリコール
モノステアレート、ジエチレングリコールモノオレエー
ト、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノオレ
ート、プロピレングリコールモノステアレート等の多価
アルコールモノ脂肪酸エステル、N−(3−オレイロキ
シ−2−ヒドロキシプロピル)ジエタノールアミン、ポ
リオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソ
ルビット蜜ロウ、ポリオキシエチレンソルビタンセスキ
ステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポ
リオキシエチレンソルビタンセスキステアレート、ポリ
オキシエチレングリセリルモノオレート、ポリオキシエ
チレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノラウ
レート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキ
シエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリ
ルエーテル等を挙げることができる。
【0024】これらの薬液に対して、陰イオン界面活性
剤、香料、着色料、防腐剤、酸化防止剤などの副次的添
加剤を、1%以下の割合で添加することができる。
【0025】前記の薬液は、ティッシュペーパー素材に
対して、含浸させる。対象のティッシュペーパー素材と
しては、温度20℃、湿度65%RH基準における米坪
10〜55g/m2とされる。より好ましくは、10〜2
0g/m2である。米坪量が低いと、コシが無くなり、ま
た破断を生じるなどの問題を生じる。逆に米坪量が過度
に高いと、柔軟性が悪くなる。
【0026】かかるティッシュペーパー素材は、常法に
より製造できるが、好ましくは100%パルプからなる
ものである。この場合、NBKP:LBKPの割合とし
ては、50:50〜100:0、特に85:15〜9
3:7が望ましい。NBKPの割合が高いほど、柔らか
な感触性を得ることができる。もちろん、湿式抄造後
に、クレープ加工が行われる。この場合のクレープ率と
しては、15〜25%、特に17〜23%が好ましい。
【0027】ティッシュペーパー素材に対して、前記薬
液が1〜130%含浸される。特に好適な含浸割合は、
15〜25%である。含浸割合が少ないと、しっとり感
が充分でなく、逆に過度に多いと、しっとり感は充分で
あるものの、柔らかな感触性が得にくくなる。
【0028】含浸の態様としては、第1先行例に係る公
報記載の通り、スプレー塗布が可能であるが、図1に示
すように、ティッシュペーパー素材1に対して、各スプ
レーノズル2,2…からの薬液の塗布量が、中心部分が
多く、周辺部分が少なくなるので、ラップされるとして
も、そのラップ部分のコントロールが困難であり、ラッ
プ部分において、シワが発生し、また、塗布量の全体的
なばらつきを根本的に避けることができない。
【0029】この点で、ティッシュペーパー素材1を圧
胴3を巡らせ、このティッシュペーパー素材1に対し
て、バット4に収容した湿潤感を与える薬液5をピック
アップして塗布する転写印刷方式により、特に、フレキ
ソ転写印刷方式を採用するのが好ましい。
【0030】図2は、グラビア転写印刷方式を示したも
ので、アニロックスロール(彫刻ロール)6に薬液を転
移させ、ドクターブレード7により掻取り均一化を図っ
た後、圧胴3との間を通るティッシュペーパー素材1に
塗布することができる。しかし、この場合、塗布量を調
整するためには、ドクターブレード7による掻取量では
ごく微量であり、異なる刻印を有する別のアニロックス
ロール6に変更することが必要となり、ロール替えの時
間が必要となる。しかも、多数のアニロックスロール6
を用意することは不経済である。
【0031】このために、図3に示すフレキソ転写印刷
方式が最適である。すなわち、ゴムロールまたは金属ロ
ールからなる絞りロール8によりピックアップして、こ
れをアニロックスロール6に転移させた後、版胴9に移
行させ、これをティッシュペーパー素材1に塗布するも
のである。このフレキソ転写印刷方式では、絞りロール
8とアニロックスロール6との間隙を調整することによ
り容易にかつ微妙に塗布量をコントロールすることがで
きる。また、版胴9を代えることによっても、塗布量の
コントロールが可能である。版胴9の変更は迅速かつ容
易に行うことができる。
【0032】
【実施例】以下実施例により本発明の効果を明らかにす
る。 (実施例1) NBKP:LBKP=90:10、クレープ率20%、
米坪12.5g/m2(温度20℃、湿度65%RH基
準)のティッシュペーパー素材に対して、各種薬液を塗
布した。その結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】この結果によれば、本発明に係る配合が特
に好ましいことが判る。
【0035】(実施例2) NBKP:LBKPの割合、クレープ率、米坪が異なる
ティッシュペーパー素材に対して、実施例1を含む各種
の実験により得られた最適と考えられる配合、すなわち
流動パラフィン12%、グリセリン68%、ソルビトー
ル18%、グリセリンエステル2%の薬液を、パルプ配
合、クレープ率、米坪および塗布量を変えて塗布した。
その結果を表2〜表4に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】この結果によれば、薬液の配合のみなら
ず、パルプ配合、クレープ率、米坪、および塗布量によ
って、特性が大きく変化することが判る。これらの諸要
因についての傾向は、備考の欄に追記した。
【0040】また、繊維ウェブとしてティッシュペーパ
ーを対象とする場合における最適の仕様としては、NB
KP:LBKP=85:15〜93:7、クレープ率=
17〜23%、米坪=11〜14g/m2、塗布量=15
〜25%であることが判った。
【0041】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、皮膚に対
する安全性が高く、柔軟で肌触り、特にしっとり感に優
れ、かつ紙粉の発生が少なく、花粉症や鼻炎用途に好適
な乾燥型(すなわち密封容器内に収納しておく必要がな
い)繊維ウェブ、好適にはティッシュペーパーを提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】薬液のスプレー塗布による含浸例を示す概要図
である。
【図2】薬液のグラビア転写印刷方式による含浸例を示
す概要図である。
【図3】薬液のフレキソ転写印刷方式による含浸例を示
す概要図である。
【符号の説明】
1…ティッシュペーパー素材、3…圧胴、5…薬液、6
…アニロックスロール、8…絞りロール、9…版胴。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】流動パラフィン5〜20%と、多価アルコ
    ール類50〜85%と、糖類3〜30%とを主剤とする
    薬液が、温度20℃、湿度65%RH基準における米坪
    10〜55g/m2の繊維ウェブ素材に対して、1〜13
    0%含浸されていることを特徴とする柔軟性を有する繊
    維ウェブ。
  2. 【請求項2】前記薬液中に、さらに非イオン界面活性剤
    を5%以下含有されている請求項1記載の柔軟性を有す
    る繊維ウェブ。
  3. 【請求項3】多価アルコールが、グリセリンまたはプロ
    ピレングリコールあるいはそれらの混合物からなる請求
    項1記載の繊維ウェブ。
  4. 【請求項4】糖類が、ソルビトールまたはグルコースあ
    るいはそれらの混合物からなる請求項1記載の繊維ウェ
    ブ。
  5. 【請求項5】非イオン界面活性剤が、グリセリンエステ
    ルまたは脂肪酸エステルあるいはそれらの混合物からな
    る請求項2記載の繊維ウェブ。
  6. 【請求項6】温度20℃、湿度65%RH基準における
    米坪10〜55g/m2の繊維ウェブ素材を圧胴を巡ら
    せ、この繊維ウェブ素材に対して、バットに収容した湿
    潤感を与える薬液をピックアップして塗布する転写印刷
    方式により、1〜130%含浸させることを特徴とする
    柔軟性を有する繊維ウェブの製造方法。
  7. 【請求項7】前記転写印刷方式がフレキソ転写印刷方式
    である請求項6記載の柔軟性を有する繊維ウェブの製造
    方法。
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