JPH07215894A - 創傷治療剤 - Google Patents

創傷治療剤

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JPH07215894A
JPH07215894A JP6009916A JP991694A JPH07215894A JP H07215894 A JPH07215894 A JP H07215894A JP 6009916 A JP6009916 A JP 6009916A JP 991694 A JP991694 A JP 991694A JP H07215894 A JPH07215894 A JP H07215894A
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直規 臼井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 瘢痕拘縮防止、創傷被覆及び止血が簡便に行
ない得る優れた新規創傷治療剤の提供。 【構成】 トランスグルタミナーゼと蛋白質または/お
よび粒子とを有効成分とする創傷治療剤(特に瘢痕拘縮
防止剤、創傷被覆剤及び止血剤)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有効成分としてトラン
スグルタミナーゼと蛋白質または/および粒子とを含有
することを特徴とする創傷治療剤、瘢痕拘縮防止剤、創
傷被覆剤及び止血剤に関する。
【0002】
【従来の技術】トランスグルタミナーゼの医療関連用途
に関しては、次のような事実が知られている。まず、特
開昭62-74360号明細書には、蛋白質および/またはペプ
チドを含有する溶液にトランスグルタミナーゼを添加し
て得られる膜を成分として含有する人工皮膚が開示さ
れ、この人工皮膚は、引張強度、伸度、柔軟性や酸素透
過性にすぐれているのみならず、すぐれた水蒸気透過性
を有する生体適合性の強いものである。また、特開平2-
108631号明細書には、トランスグルタミナーゼを有効成
分とする免疫抑制剤が開示されているが、開示されてい
るところはin vitroの実験でしかも免疫学的な
考察にとどまっているに過ぎず、in vivo での
現実の創傷治療は示唆さえするものではない。また、こ
のようなトランスグルタミナーゼの用途は、後述すると
ころから理解されるように、本発明のそれとは明らかに
異なっている。
【0003】ところで、創傷治療に関しては、消毒後一
次縫合等の治療法が一般的に施されるが、これには外科
手術が必須である。しかしながら、皮膚破損が大きい場
合や熱傷等には、外科縫合は難しい。
【0004】一方、創傷治療においては、いかにして創
傷の後を残さずに治療するかということが器質的、機能
的観点からのみならず、美容的観点からも極めて重要で
ある。
【0005】このような、瘢痕拘縮防止には植皮、矯正
装具の使用、薬物療法、放射線治療などが知られている
が、いずれにも難点がある。すなわち、植皮には、外科
療法が必要であるのに加えて、重度熱傷のように創傷が
広範囲に及ぶ場合は恵皮部に著しい制限があって理想的
な植皮は困難である、また植皮により直ちに創収縮が停
止せず、植皮片と創面との接着癒合部をはじめ植皮片縁
の縫合線などにかなりの期間にわたって創収縮が進行す
る、といった問題点が指摘される。矯正装具の使用につ
いては、それが補助的手段であり、長期使用が必要であ
るにも拘わらず、実際には長期使用が困難である、とい
った問題点がある。薬物療法に関しては、ステロイド軟
膏剤は明確な効果が期待できず、肥満細胞の脱顆粒を抑
制する作用を有するトラニラストは補助的な効果しか期
待できない。放射線治療は、創収縮の機転を抑制する
が、他方、創の治癒を阻害するという難点がある。
【0006】また、創傷被覆剤もいくつか提案され、使
用されているが、いずれも難点がある。すなわち、凍結
乾燥豚皮は、創傷面で融解するために張りかえの必要が
あり、また使用前に生理食塩水で再生する必要がある。
コラーゲン製人工皮膚は、ときに軽い疼痛や不快感をき
たすことがある。人の血液からつくったプラズマ膜やフ
ィブリン膜は、分泌のある創面の場合は分泌液流出が十
分でなく、また人血を原料とするため供給に限度があ
る。また、装着時の疼痛や不快感は、これらの創傷被覆
剤に共通してみられる。更に、これらの創傷被覆剤は、
患部の乾燥、止血、感染防止、その他の治療過程に必要
な作用を十分には有していない。
【0007】止血剤としては、ゼラチン、微繊維性コラ
ーゲン、トロンビン、などが知られているが、更により
優れた止血剤の開発が望まれている。
【0008】
【発明か解決しようとする課題】本出願人は、従来から
トランスグルタミナーゼの製造法及びその広汎な用途開
発に注力し、その成果につき既に多数の特許出願を行な
っているが、本発明の目的は、このような背景下におい
て、かつ前記の従来技術の背景下において、トランスグ
ルタミナーゼに新たな用途を加えることともなる、トラ
ンスグルタミナーゼを有効成分とする新規な創傷治療剤
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本出願人は、前項記載の
課題を達成すべく鋭意研究の結果、トランスグルタミナ
ーゼが広く創傷治療作用を有すること、この作用には瘢
痕拘縮防止作用、さらには疼痛抑制、患部乾燥、止血な
どの作用を合せ有する創傷被覆作用が含まれることを見
出し、このような知見に基いてトランスグルタミナーゼ
を有効成分として含有することを特徴とする創傷治療剤
の発明を完成し、これについて既に特許出願を行なって
いたところ(国際公開番号WO93/20837)、今
回このような創傷治療剤の作用が蛋白質または/および
粒子を配合することで顕著に向上することをも見出し、
本発明を完成するに至った。なお、止血作用について若
干付言すれば、トランスグルタミナーゼに蛋白質または
/および粒子を併用したものの止血作用は、創傷被覆の
作用による場合のみならず、外科的領域や事故などによ
る創傷の救急処置等においてももちろん有用である。
【0010】すなわち、本発明は、トランスグルタミナ
ーゼと蛋白質または/および粒子とを有効成分とするこ
とを特徴とする創傷治療剤、瘢痕拘縮防止剤、創傷被覆
剤及び止血剤に関する。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】本発明の創傷治療剤の有効成分の1つであ
るトランスグルタミナーゼには、カルシウム非依存性の
ものと依存性のものとがある。前者の例としては、微生
物由来のもの(例えば、特開昭64−27471 参照)を挙げ
ることができ、後者の例としては、モルモット由来のも
の(例えば、特公平1-50382 参照)、魚由来のもの(例
えば、関信夫ら「昭和63年度日本水産学会秋季大会講演
要旨集」 167頁及び「平成2年度日本水産学会春季大会
講演要旨集」 219頁参照)及びヒト由来のもの(例え
ば、血液のXIII因子など)を挙げることができる。これ
らのうち、カルシウム非依存性のものが好ましく、その
製造は、例えば上記特開昭64-27471の方法によることが
できる。
【0013】他の有効成分である蛋白質としては、トラ
ンスグルタミナーゼの基質となり得るアミノ酸残基、す
なわちグルタミン残基およびリジン残基を有する蛋白
質、例えばコラーゲンを挙げることができる。
【0014】粒子としては、溶液中に存在するトランス
グルタミナーゼが分配しない性質を有する粒子を挙げる
ことができ、このような性質を有するものであれば固体
粒子および液体粒子のいずれでもよい。このような性質
を有する固体粒子の具体例には、セルロースの粒子があ
る。また、同様の性質を有する液体粒子の具体例には、
水溶液中に界面活性剤等の添加により分散させた油より
なる滴(油滴)がある。油滴は例えばエマルジョンの形
態で配合することができる。
【0015】もちろん、本発明の効果の奏せられる限り
は、蛋白質は複数種類を併用することができ、粒子も2
種以上を併用することができ、更には蛋白質および粒子
はいずれか一方を単独にまたは双方を同時にトランスグ
ルタミナーゼに配合することができる。
【0016】本発明の創傷治療剤の剤形には、本発明の
効果の奏せられる限りは特別の制限はなく、有効成分の
混合物そのもの、これを含有する溶液、半液体の賦形剤
もしくは補助剤を用いた局所適用に適した投与形態のも
の、などを挙げることができるが、溶液、軟膏、有効成
分の混合物を含有するガーゼなどの局所保護剤、スプレ
ー、エマルジョンなどの形態が投与上好ましい。溶液
は、滅菌水、各種緩衝液、などの溶媒にトランスグルタ
ミナーゼ及びその他の有効成分を溶解するなどして調製
することができる。軟膏は、その基剤には特別の制限は
なく、脂肪、脂肪油、ラノリン、ワセリン、パラフィ
ン、蝋、硬膏剤、樹脂、プラスチック、グリコール類、
高級アルコール、グリセリン、水、乳化剤、懸濁化剤な
ど通常の原料から適宜採用して基剤とすることができ
る。
【0017】これらの溶液、軟膏、局所保護剤、スプレ
ー、エマルジョンなどにおけるトランスグルタミナーゼ
の含有量にも特別の制限はないが、 0.1〜1,000 U/
g、好ましくは 0.5〜500 U/g程度とするのが投与に
便利である。また、蛋白質および粒子の配合量にも、創
面に適用する以前には反応を進行させず、またトランス
グルタミナーゼの失活も起さない限りは特別の制限はな
く、当業者であれば所与の場合に応じて適当な配合量を
容易に定めることができる。
【0018】本発明の創傷治療剤は、散布、噴霧、塗
布、湿布、などの方法により創傷に投与する。
【0019】本発明の創傷治療剤を特に瘢痕拘縮防止剤
として使用する場合、対象となる創傷は、例えば、熱
傷、外科的手術などの外傷などの創傷である。
【0020】創傷被覆剤として使用する場合、対象とな
る創傷は、上記創傷に加えて、例えば、糖尿病アンジオ
パシー、慢性皮膚潰瘍、血栓症後の潰瘍、褥瘡潰瘍など
の創傷である。本発明の創傷被覆剤は、創傷感染防止作
用、創傷鎮痛作用、患部乾燥作用、などを有する。因み
に、従来知られている感染防止処置中、消毒薬等を使用
する創の清浄化は一時的処置に過ぎず、抗菌剤の使用に
は耐性菌汚染の懸念がある。また、従来の創傷被覆剤な
どによる創の保護は、接着のための固定が必要であり、
また使用時及び着脱等の疼痛、不快感、分泌液の流出な
どの問題がある。
【0021】止血剤として使用する場合は、外科的領域
をはじめとした各種の出血の止血に有効である。
【0022】本発明の創傷治療剤は、その他の創傷にも
広く治療効果を呈する。
【0023】本発明の創傷治療剤によれば、瘢痕拘縮防
止、創傷被覆及び止血を極めて簡便に行ない得る。
【0024】本発明の創傷治療剤は、ヒトの創傷治療に
使用されるのみならず、ヒト以外の動物の創傷治療にも
使用されることは勿論である。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に説明する。
【0026】本実施例において使用したトランスグルタ
ミナーゼは、前掲特開昭64−27471号公報に記載
の実施例1の方法に準じて製造した微生物由来のトラン
スグルタミナーゼであり、以下、TGと略記する。
【0027】実施例1(治療剤の調製) 治療剤3、4および6〜9が本発明のものであり、治療
剤1、2および5はコントロールである。
【0028】(a)治療剤1(ネガティブコントロー
ル):実施例2の検査において、ガーゼの交換のみを行
なう場合であるが、便宜上治療剤1と称する。
【0029】(b)治療剤2(治療剤3および4に対す
るポジティブコントロール):50mM HEPES
buffer(pH7.0)のTG3ユニット/ml液
で、この溶液1mlをガーゼ1枚に滴下した。
【0030】(c)治療剤3(固体粒子配合):約20
w/v%セルロースTG3ユニット/ml溶液で、旭化
成工業(株)製白色粉末セルロース「アビセルPH−M
15」3gにTG3ユニット/ml液15ml加えて溶
解して作成したもの。その総容量を15で除した値(1
匹当り約1.1〜1.2ml)をガーゼ1枚に滴下し
た。
【0031】(d)治療剤4(液体粒子配合):TG3
ユニット/ml・エマルジョン溶液で、TG30ユニッ
ト/ml液0.1mlとエマルジョン液1mlをシリン
ジで採取し、混合して作成したもの。この1.1mlを
ガーゼ1枚に滴下した後、広げた。なお、このエマルジ
ョン液の組成は、コーン油30w/w%、水70w/w
%および乳化剤(対コーン油)0.6w/w%(「シュ
ガーエステルS−1170」0.3w/w%およびキサ
ンタンガム0.3w/w%)で、平均エマルジョン径5
μmであった。
【0032】(e)治療剤5(治療剤6〜9に対するポ
ジティブコントロール):TG30ユニット/ml・H
EPES buffer溶液で、TG30ユニット/m
l液1mlと50mM HEPES buffer(p
H7.0)1mlをシリンジで採取し、混合して作成し
たもの。これをガーゼ2枚に滴下した。
【0033】(f)治療剤6(蛋白質配合(その
1)):TG30ユニット/ml・コラーゲン1.5m
g/ml溶液で、TG30ユニット/ml液1mlとコ
ラーゲン1.5mg/ml溶液1mlをシリンジで採取
し、混合して作成したもの。これをガーゼ2枚に滴下し
た。なお、コラーゲン溶液は、高研製「アテロコラーゲ
ン」で、蛋白質純度99%以上、50mM HEPES
buffer(pH7.0)の3%溶液であった。
【0034】(g)治療剤7(蛋白質配合(その
2)):TG30ユニット/ml・コラーゲン3mg/
ml溶液で、TG30ユニット/ml液1mlとコラー
ゲン3mg/ml溶液1mlをシリンジで採取し、混合
して作成したもの。これをガーゼ2枚に滴下した。な
お、コラーゲン溶液は、濃度以外は治療剤6におけると
同じであった。
【0035】(h)治療剤8(蛋白質配合(その
3)):TG30ユニット/ml・コラーゲン10mg
/ml溶液で、TG30ユニット/ml液1mlとコラ
ーゲン10mg/ml溶液1mlをシリンジで採取し、
混合して作成したもの。これをガーゼ2枚に滴下した。
なお、コラーゲン溶液は、濃度以外は治療剤6における
と同じであった。
【0036】(i)治療剤9(蛋白質配合(その
4)):TG30ユニット/ml・コラーゲン30mg
/ml溶液で、TG30ユニット/ml液1mlとコラ
ーゲン30mg/ml溶液1mlをシリンジで採取し、
混合して作成したもの。これをガーゼ2枚に滴下した。
なお、コラーゲン溶液は、濃度以外は治療剤6における
と同じであった。
【0037】実施例2(創傷治療効果の検査) (a)試験動物:年令 7週齢のCrj:CD(SD)系SPFラット(日本チ
ャールス・リバー(株)の雄108匹を各群同数(12
匹)の群9つに分けて試験に供した。
【0038】(b)創傷の作製方法:創傷部位は、ラッ
トをpentobarbital sodium(40mg/kg, i.p.)で麻酔し
た後、背部をバリカンで刈毛(約7cm×7cm)し、
ヒビテンで消毒後、ハサミを用いて約5cm四方の大き
さに皮膚を剥離して作製した。
【0039】(c)投与方法および検査期間:治療剤1
〜9を9つの群を使用して検査した。各群を被検治療剤
の番号に対応して群1〜9とそれぞれ称する。
【0040】治療剤は、創傷部位を完全に覆う程度の大
きさのガーゼ1枚(群2〜4)あるいは2枚(群5〜
9)に、1匹あたり約1ml(群2〜4)あるいは2m
l(群5〜9)をしみこませて、創傷部位に貼付した。
その後、貼付部位を粘着性伸縮繃帯(「ハイラテックス
中」イワツキ(株)製)で覆い、さらにその上にサージ
カルテープ(3M Medical-Surgical Division製)を用い
て約24時間固定した。
【0041】投与期間は、群2〜4で創傷作製後0〜1
4日の毎日、そして群5〜9で創傷作製後、0、4、8
および12日目とし、群5〜9の非投与日にはガーゼの
交換のみを行った。群1(対照群)はガーゼ1枚のみを
貼付し、連日交換した。
【0042】なお、動物は創傷作製後2、7および14
日に各群各4匹について採血と創傷部位の採取を行っ
た。
【0043】群構成は、上記の如く、各治療剤を連日あ
るいは4日間隔にそれぞれ投与する計8群に、無投与の
対照群を加え9群を設けた。1群の動物数は雄12匹と
したことは前記の通りである。
【0044】(d)創傷の観察:創傷部位は、観察期間
中毎日、下記第1〜4表に掲げる状態を指標として観察
した。なお、観察結果を数量化するためのスコアも各表
に併記する。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】(e)観察結果: (1) 創傷面における被膜様物質の形成状態についての
結果を図1A〜図1Iに示す。
【0050】創傷面の被膜様層のの形成は、群4>群3
>群2>群9≧群8≧群7≧群6>群5>群1(対照
群)の順により広範囲に、より厚く認めた。なお、群2
および3の被膜は創傷作製後6〜9日に黄色調を帯びる
動物がみられるとともに、被膜の一部がガーゼ交換時に
剥離し、剥離部位は鮮桃〜赤色調で不整であった。その
後、被膜様層の一部は痂皮状となり、被膜様層と同じく
ガーゼ交換時に一部が剥離し、剥離部位は白みを帯びて
いた。群4の被膜も同様の経過を示したが、被膜の黄色
調変化およびその一部剥離した時期が創傷作製後7〜1
2日と延長し、被膜様層が痂皮状あるいはその一部が剥
離した時期も創傷作製後13または14日と延長した。
一方、被膜様層の薄かった群5〜9では、被膜の一部剥
離、部分的な痂皮形成およびその痂皮の一部剥離が極少
数例にみられたのみであった。
【0051】(2) 創傷面における滲出液の状態につい
ての結果を図2A〜図2Iに示す。
【0052】創傷面における滲出液は、被膜様層が広範
囲に厚くなった群4で創傷作製後7または8日に、群3
で創傷作製後4〜8日に、群2で創傷作製後7日に少な
くなったが、対照群を含む他の投与群の滲出状態につい
ては、常に滲出液が認められ、差はないものと考えられ
た。
【0053】(3) 疼痛の状態についての結果を、図3
A〜図3Iに示す。
【0054】貼付ガーゼを取る時に痛がる動物数は、創
傷面の被膜様層が広範囲に厚かった群4で最も少なく、
以下群9≦群8=群7=群6=群5=群3=群2<群1
(対照群)の順であった。
【0055】(4) 創傷面における出血状態についての
結果を、図4A〜図4Iに示す。
【0056】貼付ガーゼを取り除いた後の創傷面の出血
は、創傷面の被膜様層が広範囲に厚くなる程少なくな
り、平均スコアは群4<群3<群2=群9=群8=群7
=群6=群5<群1(対照群)の順で、群4が最も出血
は少なかった。各群の出血は創傷作製後11日以降少な
くなった。
【0057】(f)考察およびまとめ 7週齢のCrj:CD(SD)系SPFラット(1群雄
12匹)の背部創傷に治療剤2〜4を14日間反復貼付
し、また、治療剤5〜9を4日間隔で4回それぞれ24
時間反復貼付し、創傷作製後2、7および14日に各群
各4匹について採血と創傷部位の採取を行い、最も効果
的な治療効果が得られる治療剤を検討した。因みに、治
療剤3〜4および6〜9が本発明に係わるものであるこ
とは先に述べた通りである。
【0058】創傷面の被膜様層の形成は、群4>群3>
群2>群9≧群8≧群7≧群6>群5>群1の順により
速く、より広範囲に、より厚く形成された。
【0059】この被膜様層の形成が最も厚かった群4で
は、貼付ガーゼを取る時動物は痛がらず(鳴かない)、
貼付ガーゼを取り除いた後の創傷面の出血も少なかっ
た。しかし、創傷作製後7または8日に滲出液が少なく
なり、創傷作成後7日の創傷面積の縮小が遅延する弱点
が認められた。
【0060】群4の次に被膜様層の形成が厚かった群3
および2では、貼付ガーゼを取り除いた後の創傷面の出
血は少なかったが、その効果は群4より弱かった。ま
た、貼付ガーゼを取る時の痛みも抑えたが、その効果は
群4および9より弱く、創傷作製後4〜8日の間に一時
的に滲出液が少なくなる弱点が認められた。
【0061】群5〜9では、コラーゲン濃度が最も高か
った群9で貼付ガーゼを取る時の痛みを抑えたが、その
効果は群4より弱く、また、貼付ガーゼを取った後の創
傷面の出血も抑えたが、その効果は群4および3より弱
かった。しかし、創傷面の滲出液は常に認められ、創傷
面積の縮小にも影響を与えなかった。群8、7、6およ
び5では、群9と比べ痛みおよび出血を抑える効果は同
程度もしくはやや弱いものであった。
【0062】
【発明の効果】本発明により、創傷治療剤、特に瘢痕拘
縮防止、創傷被覆及び止血が簡便に行ない得る優れた創
傷治療剤が新たに提供されるところとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1A】実施例2における検査結果を示す。
【図1B】実施例2における検査結果を示す。
【図1C】実施例2における検査結果を示す。
【図1D】実施例2における検査結果を示す。
【図1E】実施例2における検査結果を示す。
【図1F】実施例2における検査結果を示す。
【図1G】実施例2における検査結果を示す。
【図1H】実施例2における検査結果を示す。
【図1I】実施例2における検査結果を示す。
【図2A】実施例2における検査結果を示す。
【図2B】実施例2における検査結果を示す。
【図2C】実施例2における検査結果を示す。
【図2D】実施例2における検査結果を示す。
【図2E】実施例2における検査結果を示す。
【図2F】実施例2における検査結果を示す。
【図2G】実施例2における検査結果を示す。
【図2H】実施例2における検査結果を示す。
【図2I】実施例2における検査結果を示す。
【図3A】実施例2における検査結果を示す。
【図3B】実施例2における検査結果を示す。
【図3C】実施例2における検査結果を示す。
【図3D】実施例2における検査結果を示す。
【図3E】実施例2における検査結果を示す。
【図3F】実施例2における検査結果を示す。
【図3G】実施例2における検査結果を示す。
【図3H】実施例2における検査結果を示す。
【図3I】実施例2における検査結果を示す。
【図4A】実施例2における検査結果を示す。
【図4B】実施例2における検査結果を示す。
【図4C】実施例2における検査結果を示す。
【図4D】実施例2における検査結果を示す。
【図4E】実施例2における検査結果を示す。
【図4F】実施例2における検査結果を示す。
【図4G】実施例2における検査結果を示す。
【図4H】実施例2における検査結果を示す。
【図4I】実施例2における検査結果を示す。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トランスグルタミナーゼと蛋白質または
    /および粒子とを有効成分として含有することを特徴と
    する創傷治療剤。
  2. 【請求項2】 トランスグルタミナーゼと蛋白質または
    /および粒子とを有効成分として含有することを特徴と
    する瘢痕拘縮防止剤。
  3. 【請求項3】 トランスグルタミナーゼと蛋白質または
    /および粒子とを有効成分として含有することを特徴と
    する創傷被覆剤。
  4. 【請求項4】 トランスグルタミナーゼと蛋白質または
    /および粒子とを有効成分として含有することを特徴と
    する止血剤。
  5. 【請求項5】 トランスグルタミナーゼがカルシウム非
    依存性トランスグルタミナーゼであることを特徴とする
    請求項1〜4のいずれかに記載の創傷治療剤。
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