JP3620055B2 - 創傷治療剤 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、有効成分としてトランスグルタミナーゼと蛋白質または/および粒子とを含有することを特徴とする創傷治療剤、瘢痕拘縮防止剤、創傷被覆剤及び止血剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
トランスグルタミナーゼの医療関連用途に関しては、次のような事実が知られている。まず、特開昭62−74360号明細書には、蛋白質および/またはペプチドを含有する溶液にトランスグルタミナーゼを添加して得られる膜を成分として含有する人工皮膚が開示され、この人工皮膚は、引張強度、伸度、柔軟性や酸素透過性にすぐれているのみならず、すぐれた水蒸気透過性を有する生体適合性の強いものである。また、特開平2−108631号明細書には、トランスグルタミナーゼを有効成分とする免疫抑制剤が開示されているが、開示されているところはin vitroの実験でしかも免疫学的な考察にとどまっているに過ぎず、in vivo での現実の創傷治療は示唆さえするものではない。また、このようなトランスグルタミナーゼの用途は、後述するところから理解されるように、本発明のそれとは明らかに異なっている。
【0003】
ところで、創傷治療に関しては、消毒後一次縫合等の治療法が一般的に施されるが、これには外科手術が必須である。しかしながら、皮膚破損が大きい場合や熱傷等には、外科縫合は難しい。
【0004】
一方、創傷治療においては、いかにして創傷の後を残さずに治療するかということが器質的、機能的観点からのみならず、美容的観点からも極めて重要である。
【0005】
このような、瘢痕拘縮防止には植皮、矯正装具の使用、薬物療法、放射線治療などが知られているが、いずれにも難点がある。すなわち、植皮には、外科療法が必要であるのに加えて、重度熱傷のように創傷が広範囲に及ぶ場合は恵皮部に著しい制限があって理想的な植皮は困難である、また植皮により直ちに創収縮が停止せず、植皮片と創面との接着癒合部をはじめ植皮片縁の縫合線などにかなりの期間にわたって創収縮が進行する、といった問題点が指摘される。矯正装具の使用については、それが補助的手段であり、長期使用が必要であるにも拘わらず、実際には長期使用が困難である、といった問題点がある。薬物療法に関しては、ステロイド軟膏剤は明確な効果が期待できず、肥満細胞の脱顆粒を抑制する作用を有するトラニラストは補助的な効果しか期待できない。放射線治療は、創収縮の機転を抑制するが、他方、創の治癒を阻害するという難点がある。
【0006】
また、創傷被覆剤もいくつか提案され、使用されているが、いずれも難点がある。すなわち、凍結乾燥豚皮は、創傷面で融解するために張りかえの必要があり、また使用前に生理食塩水で再生する必要がある。コラーゲン製人工皮膚は、ときに軽い疼痛や不快感をきたすことがある。人の血液からつくったプラズマ膜やフィブリン膜は、分泌のある創面の場合は分泌液流出が十分でなく、また人血を原料とするため供給に限度がある。また、装着時の疼痛や不快感は、これらの創傷被覆剤に共通してみられる。更に、これらの創傷被覆剤は、患部の乾燥、止血、感染防止、その他の治療過程に必要な作用を十分には有していない。
【0007】
止血剤としては、ゼラチン、微繊維性コラーゲン、トロンビン、などが知られているが、更により優れた止血剤の開発が望まれている。
【0008】
【発明か解決しようとする課題】
本出願人は、従来からトランスグルタミナーゼの製造法及びその広汎な用途開発に注力し、その成果につき既に多数の特許出願を行なっているが、本発明の目的は、このような背景下において、かつ前記の従来技術の背景下において、トランスグルタミナーゼに新たな用途を加えることともなる、トランスグルタミナーゼを有効成分とする新規な創傷治療剤を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本出願人は、前項記載の課題を達成すべく鋭意研究の結果、トランスグルタミナーゼが広く創傷治療作用を有すること、この作用には瘢痕拘縮防止作用、さらには疼痛抑制、患部乾燥、止血などの作用を合せ有する創傷被覆作用が含まれることを見出し、このような知見に基いてトランスグルタミナーゼを有効成分として含有することを特徴とする創傷治療剤の発明を完成し、これについて既に特許出願を行なっていたところ(国際公開番号WO93/20837)、今回このような創傷治療剤の作用が蛋白質または/および粒子を配合することで顕著に向上することをも見出し、本発明を完成するに至った。なお、止血作用について若干付言すれば、トランスグルタミナーゼに蛋白質または/および粒子を併用したものの止血作用は、創傷被覆の作用による場合のみならず、外科的領域や事故などによる創傷の救急処置等においてももちろん有用である。
【0010】
すなわち、本発明は、トランスグルタミナーゼと蛋白質または/および粒子とを有効成分とすることを特徴とする創傷治療剤、瘢痕拘縮防止剤、創傷被覆剤及び止血剤に関する。
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明の創傷治療剤の有効成分の1つであるトランスグルタミナーゼには、カルシウム非依存性のものと依存性のものとがある。前者の例としては、微生物由来のもの(例えば、特開昭64−27471 参照)を挙げることができ、後者の例としては、モルモット由来のもの(例えば、特公平1−50382 参照)、魚由来のもの(例えば、関信夫ら「昭和63年度日本水産学会秋季大会講演要旨集」 167頁及び「平成2年度日本水産学会春季大会講演要旨集」 219頁参照)及びヒト由来のもの(例えば、血液のXIII因子など)を挙げることができる。これらのうち、カルシウム非依存性のものが好ましく、その製造は、例えば上記特開昭64−27471の方法によることができる。
【0013】
他の有効成分である蛋白質としては、トランスグルタミナーゼの基質となり得るアミノ酸残基、すなわちグルタミン残基およびリジン残基を有する蛋白質、例えばコラーゲンを挙げることができる。
【0014】
粒子としては、溶液中に存在するトランスグルタミナーゼが分配しない性質を有する粒子を挙げることができ、このような性質を有するものであれば固体粒子および液体粒子のいずれでもよい。このような性質を有する固体粒子の具体例には、セルロースの粒子がある。また、同様の性質を有する液体粒子の具体例には、水溶液中に界面活性剤等の添加により分散させた油よりなる滴(油滴)がある。油滴は例えばエマルジョンの形態で配合することができる。
【0015】
もちろん、本発明の効果の奏せられる限りは、蛋白質は複数種類を併用することができ、粒子も2種以上を併用することができ、更には蛋白質および粒子はいずれか一方を単独にまたは双方を同時にトランスグルタミナーゼに配合することができる。
【0016】
本発明の創傷治療剤の剤形には、本発明の効果の奏せられる限りは特別の制限はなく、有効成分の混合物そのもの、これを含有する溶液、半液体の賦形剤もしくは補助剤を用いた局所適用に適した投与形態のもの、などを挙げることができるが、溶液、軟膏、有効成分の混合物を含有するガーゼなどの局所保護剤、スプレー、エマルジョンなどの形態が投与上好ましい。溶液は、滅菌水、各種緩衝液、などの溶媒にトランスグルタミナーゼ及びその他の有効成分を溶解するなどして調製することができる。軟膏は、その基剤には特別の制限はなく、脂肪、脂肪油、ラノリン、ワセリン、パラフィン、蝋、硬膏剤、樹脂、プラスチック、グリコール類、高級アルコール、グリセリン、水、乳化剤、懸濁化剤など通常の原料から適宜採用して基剤とすることができる。
【0017】
これらの溶液、軟膏、局所保護剤、スプレー、エマルジョンなどにおけるトランスグルタミナーゼの含有量にも特別の制限はないが、 0.1〜1,000 U/g、好ましくは 0.5〜500 U/g程度とするのが投与に便利である。また、蛋白質および粒子の配合量にも、創面に適用する以前には反応を進行させず、またトランスグルタミナーゼの失活も起さない限りは特別の制限はなく、当業者であれば所与の場合に応じて適当な配合量を容易に定めることができる。
【0018】
本発明の創傷治療剤は、散布、噴霧、塗布、湿布、などの方法により創傷に投与する。
【0019】
本発明の創傷治療剤を特に瘢痕拘縮防止剤として使用する場合、対象となる創傷は、例えば、熱傷、外科的手術などの外傷などの創傷である。
【0020】
創傷被覆剤として使用する場合、対象となる創傷は、上記創傷に加えて、例えば、糖尿病アンジオパシー、慢性皮膚潰瘍、血栓症後の潰瘍、褥瘡潰瘍などの創傷である。本発明の創傷被覆剤は、創傷感染防止作用、創傷鎮痛作用、患部乾燥作用、などを有する。因みに、従来知られている感染防止処置中、消毒薬等を使用する創の清浄化は一時的処置に過ぎず、抗菌剤の使用には耐性菌汚染の懸念がある。また、従来の創傷被覆剤などによる創の保護は、接着のための固定が必要であり、また使用時及び着脱等の疼痛、不快感、分泌液の流出などの問題がある。
【0021】
止血剤として使用する場合は、外科的領域をはじめとした各種の出血の止血に有効である。
【0022】
本発明の創傷治療剤は、その他の創傷にも広く治療効果を呈する。
【0023】
本発明の創傷治療剤によれば、瘢痕拘縮防止、創傷被覆及び止血を極めて簡便に行ない得る。
【0024】
本発明の創傷治療剤は、ヒトの創傷治療に使用されるのみならず、ヒト以外の動物の創傷治療にも使用されることは勿論である。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に説明する。
【0026】
本実施例において使用したトランスグルタミナーゼは、前掲特開昭64−27471号公報に記載の実施例1の方法に準じて製造した微生物由来のトランスグルタミナーゼであり、以下、TGと略記する。
【0027】
実施例1(治療剤の調製)
治療剤3、4および6〜9が本発明のものであり、治療剤1、2および5はコントロールである。
【0028】
(a)治療剤1(ネガティブコントロール):
実施例2の検査において、ガーゼの交換のみを行なう場合であるが、便宜上治療剤1と称する。
【0029】
(b)治療剤2(治療剤3および4に対するポジティブコントロール):
50mM HEPES buffer(pH7.0)のTG3ユニット/ml液で、この溶液1mlをガーゼ1枚に滴下した。
【0030】
(c)治療剤3(固体粒子配合):
約20w/v%セルロースTG3ユニット/ml溶液で、旭化成工業(株)製白色粉末セルロース「アビセルPH−M15」3gにTG3ユニット/ml液15ml加えて溶解して作成したもの。その総容量を15で除した値(1匹当り約1.1〜1.2ml)をガーゼ1枚に滴下した。
【0031】
(d)治療剤4(液体粒子配合):
TG3ユニット/ml・エマルジョン溶液で、TG30ユニット/ml液0.1mlとエマルジョン液1mlをシリンジで採取し、混合して作成したもの。この1.1mlをガーゼ1枚に滴下した後、広げた。なお、このエマルジョン液の組成は、コーン油30w/w%、水70w/w%および乳化剤(対コーン油)0.6w/w%(「シュガーエステルS−1170」0.3w/w%およびキサンタンガム0.3w/w%)で、平均エマルジョン径5μmであった。
【0032】
(e)治療剤5(治療剤6〜9に対するポジティブコントロール):
TG30ユニット/ml・HEPES buffer溶液で、TG30ユニット/ml液1mlと50mM HEPES buffer(pH7.0)1mlをシリンジで採取し、混合して作成したもの。これをガーゼ2枚に滴下した。
【0033】
(f)治療剤6(蛋白質配合(その1)):
TG30ユニット/ml・コラーゲン1.5mg/ml溶液で、TG30ユニット/ml液1mlとコラーゲン1.5mg/ml溶液1mlをシリンジで採取し、混合して作成したもの。これをガーゼ2枚に滴下した。なお、コラーゲン溶液は、高研製「アテロコラーゲン」で、蛋白質純度99%以上、50mM HEPES buffer(pH7.0)の3%溶液であった。
【0034】
(g)治療剤7(蛋白質配合(その2)):
TG30ユニット/ml・コラーゲン3mg/ml溶液で、TG30ユニット/ml液1mlとコラーゲン3mg/ml溶液1mlをシリンジで採取し、混合して作成したもの。これをガーゼ2枚に滴下した。なお、コラーゲン溶液は、濃度以外は治療剤6におけると同じであった。
【0035】
(h)治療剤8(蛋白質配合(その3)):
TG30ユニット/ml・コラーゲン10mg/ml溶液で、TG30ユニット/ml液1mlとコラーゲン10mg/ml溶液1mlをシリンジで採取し、混合して作成したもの。これをガーゼ2枚に滴下した。なお、コラーゲン溶液は、濃度以外は治療剤6におけると同じであった。
【0036】
(i)治療剤9(蛋白質配合(その4)):
TG30ユニット/ml・コラーゲン30mg/ml溶液で、TG30ユニット/ml液1mlとコラーゲン30mg/ml溶液1mlをシリンジで採取し、混合して作成したもの。これをガーゼ2枚に滴下した。なお、コラーゲン溶液は、濃度以外は治療剤6におけると同じであった。
【0037】
実施例2(創傷治療効果の検査)
(a)試験動物:年令
7週齢のCrj:CD(SD)系SPFラット(日本チャールス・リバー(株)の雄108匹を各群同数(12匹)の群9つに分けて試験に供した。
【0038】
(b)創傷の作製方法:
創傷部位は、ラットをpentobarbital sodium(40mg/kg, i.p.)で麻酔した後、背部をバリカンで刈毛(約7cm×7cm)し、ヒビテンで消毒後、ハサミを用いて約5cm四方の大きさに皮膚を剥離して作製した。
【0039】
(c)投与方法および検査期間:
治療剤1〜9を9つの群を使用して検査した。各群を被検治療剤の番号に対応して群1〜9とそれぞれ称する。
【0040】
治療剤は、創傷部位を完全に覆う程度の大きさのガーゼ1枚(群2〜4)あるいは2枚(群5〜9)に、1匹あたり約1ml(群2〜4)あるいは2ml(群5〜9)をしみこませて、創傷部位に貼付した。その後、貼付部位を粘着性伸縮繃帯(「ハイラテックス中」イワツキ(株)製)で覆い、さらにその上にサージカルテープ(3M Medical−Surgical Division製)を用いて約24時間固定した。
【0041】
投与期間は、群2〜4で創傷作製後0〜14日の毎日、そして群5〜9で創傷作製後、0、4、8および12日目とし、群5〜9の非投与日にはガーゼの交換のみを行った。群1(対照群)はガーゼ1枚のみを貼付し、連日交換した。
【0042】
なお、動物は創傷作製後2、7および14日に各群各4匹について採血と創傷部位の採取を行った。
【0043】
群構成は、上記の如く、各治療剤を連日あるいは4日間隔にそれぞれ投与する計8群に、無投与の対照群を加え9群を設けた。1群の動物数は雄12匹としたことは前記の通りである。
【0044】
(d)創傷の観察:
創傷部位は、観察期間中毎日、下記第1〜4表に掲げる状態を指標として観察した。なお、観察結果を数量化するためのスコアも各表に併記する。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
(e)観察結果:
(1) 創傷面における被膜様物質の形成状態についての結果を図1A〜図1Iに示す。
【0050】
創傷面の被膜様層のの形成は、群4>群3>群2>群9≧群8≧群7≧群6>群5>群1(対照群)の順により広範囲に、より厚く認めた。なお、群2および3の被膜は創傷作製後6〜9日に黄色調を帯びる動物がみられるとともに、被膜の一部がガーゼ交換時に剥離し、剥離部位は鮮桃〜赤色調で不整であった。その後、被膜様層の一部は痂皮状となり、被膜様層と同じくガーゼ交換時に一部が剥離し、剥離部位は白みを帯びていた。群4の被膜も同様の経過を示したが、被膜の黄色調変化およびその一部剥離した時期が創傷作製後7〜12日と延長し、被膜様層が痂皮状あるいはその一部が剥離した時期も創傷作製後13または14日と延長した。一方、被膜様層の薄かった群5〜9では、被膜の一部剥離、部分的な痂皮形成およびその痂皮の一部剥離が極少数例にみられたのみであった。
【0051】
(2) 創傷面における滲出液の状態についての結果を図2A〜図2Iに示す。
【0052】
創傷面における滲出液は、被膜様層が広範囲に厚くなった群4で創傷作製後7または8日に、群3で創傷作製後4〜8日に、群2で創傷作製後7日に少なくなったが、対照群を含む他の投与群の滲出状態については、常に滲出液が認められ、差はないものと考えられた。
【0053】
(3) 疼痛の状態についての結果を、図3A〜図3Iに示す。
【0054】
貼付ガーゼを取る時に痛がる動物数は、創傷面の被膜様層が広範囲に厚かった群4で最も少なく、以下群9≦群8=群7=群6=群5=群3=群2<群1(対照群)の順であった。
【0055】
(4) 創傷面における出血状態についての結果を、図4A〜図4Iに示す。
【0056】
貼付ガーゼを取り除いた後の創傷面の出血は、創傷面の被膜様層が広範囲に厚くなる程少なくなり、平均スコアは群4<群3<群2=群9=群8=群7=群6=群5<群1(対照群)の順で、群4が最も出血は少なかった。各群の出血は創傷作製後11日以降少なくなった。
【0057】
(f)考察およびまとめ
7週齢のCrj:CD(SD)系SPFラット(1群雄12匹)の背部創傷に治療剤2〜4を14日間反復貼付し、また、治療剤5〜9を4日間隔で4回それぞれ24時間反復貼付し、創傷作製後2、7および14日に各群各4匹について採血と創傷部位の採取を行い、最も効果的な治療効果が得られる治療剤を検討した。因みに、治療剤3〜4および6〜9が本発明に係わるものであることは先に述べた通りである。
【0058】
創傷面の被膜様層の形成は、群4>群3>群2>群9≧群8≧群7≧群6>群5>群1の順により速く、より広範囲に、より厚く形成された。
【0059】
この被膜様層の形成が最も厚かった群4では、貼付ガーゼを取る時動物は痛がらず(鳴かない)、貼付ガーゼを取り除いた後の創傷面の出血も少なかった。しかし、創傷作製後7または8日に滲出液が少なくなり、創傷作成後7日の創傷面積の縮小が遅延する弱点が認められた。
【0060】
群4の次に被膜様層の形成が厚かった群3および2では、貼付ガーゼを取り除いた後の創傷面の出血は少なかったが、その効果は群4より弱かった。また、貼付ガーゼを取る時の痛みも抑えたが、その効果は群4および9より弱く、創傷作製後4〜8日の間に一時的に滲出液が少なくなる弱点が認められた。
【0061】
群5〜9では、コラーゲン濃度が最も高かった群9で貼付ガーゼを取る時の痛みを抑えたが、その効果は群4より弱く、また、貼付ガーゼを取った後の創傷面の出血も抑えたが、その効果は群4および3より弱かった。しかし、創傷面の滲出液は常に認められ、創傷面積の縮小にも影響を与えなかった。群8、7、6および5では、群9と比べ痛みおよび出血を抑える効果は同程度もしくはやや弱いものであった。
【0062】
【発明の効果】
本発明により、創傷治療剤、特に瘢痕拘縮防止、創傷被覆及び止血が簡便に行ない得る優れた創傷治療剤が新たに提供されるところとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1A】実施例2における検査結果を示す。
【図1B】実施例2における検査結果を示す。
【図1C】実施例2における検査結果を示す。
【図1D】実施例2における検査結果を示す。
【図1E】実施例2における検査結果を示す。
【図1F】実施例2における検査結果を示す。
【図1G】実施例2における検査結果を示す。
【図1H】実施例2における検査結果を示す。
【図1I】実施例2における検査結果を示す。
【図2A】実施例2における検査結果を示す。
【図2B】実施例2における検査結果を示す。
【図2C】実施例2における検査結果を示す。
【図2D】実施例2における検査結果を示す。
【図2E】実施例2における検査結果を示す。
【図2F】実施例2における検査結果を示す。
【図2G】実施例2における検査結果を示す。
【図2H】実施例2における検査結果を示す。
【図2I】実施例2における検査結果を示す。
【図3A】実施例2における検査結果を示す。
【図3B】実施例2における検査結果を示す。
【図3C】実施例2における検査結果を示す。
【図3D】実施例2における検査結果を示す。
【図3E】実施例2における検査結果を示す。
【図3F】実施例2における検査結果を示す。
【図3G】実施例2における検査結果を示す。
【図3H】実施例2における検査結果を示す。
【図3I】実施例2における検査結果を示す。
【図4A】実施例2における検査結果を示す。
【図4B】実施例2における検査結果を示す。
【図4C】実施例2における検査結果を示す。
【図4D】実施例2における検査結果を示す。
【図4E】実施例2における検査結果を示す。
【図4F】実施例2における検査結果を示す。
【図4G】実施例2における検査結果を示す。
【図4H】実施例2における検査結果を示す。
【図4I】実施例2における検査結果を示す。
Claims (4)
- カルシウム非依存性トランスグルタミナーゼとセルロース粒子または油滴とを有効成分として含有することを特徴とする創傷治療剤。
- カルシウム非依存性トランスグルタミナーゼとセルロース粒子または油滴とを有効成分として含有することを特徴とする瘢痕拘縮防止剤。
- カルシウム非依存性トランスグルタミナーゼとセルロース粒子または油滴とを有効成分として含有することを特徴とする創傷被覆剤。
- カルシウム非依存性トランスグルタミナーゼとセルロース粒子または油滴とを有効成分として含有することを特徴とする止血剤。
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