JPH07215038A - 耐久性に優れた中空スタビライザー - Google Patents

耐久性に優れた中空スタビライザー

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JPH07215038A
JPH07215038A JP2632594A JP2632594A JPH07215038A JP H07215038 A JPH07215038 A JP H07215038A JP 2632594 A JP2632594 A JP 2632594A JP 2632594 A JP2632594 A JP 2632594A JP H07215038 A JPH07215038 A JP H07215038A
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俊彦 福井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動車等の中空スタビライザーの耐久性、特
に疲労寿命を向上する。 【構成】 中空スタビライザーの素材として熱間圧延し
た継目無鋼管を用いる。継目無鋼管はその内面が、25
〜500μm研削加工されている

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車の安定走行の
ために用いられるスタビライザーに関し、特に、疲労寿
命の優れた中空スタビライザーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】乗用車、トラック等の自動車の走行を安
定化させるため用いられるスタビライザーは、従来、中
実棒鋼を曲げ加工して製造されるが、車体の軽量化のた
めに最近中空鋼管を素材とする中空スタビライザーが開
発されつつある。
【0003】スタビライザーは、通常強度が100kg
/mm2 以上と高強度で、しかも、繰り返し荷重が負荷
されるため、疲労寿命で代表される耐久性が問題になる
が、疲労寿命は表面性状に大きく影響される。それゆ
え、中空スタビライザーにおいては、外面と同時に内面
も良好な性状であることが要求される。その素材となる
鋼管としては表面性状の良好な電縫鋼管および冷間引抜
き鋼管が用いられている。
【0004】肉厚の厚いスタビライザーに対しては、素
材である鋼管のコストから、熱間鍛造(鍛接管等)、継
目無成形など安価な方法で製造される鋼管を使用するこ
とが検討されている。
【0005】しかしながら、熱間鍛造、継目無成形等で
製造される鋼管は、電縫鋼管および冷間引抜き鋼管に比
べ表面性状が良好でなく、また、鋼管製造時の酸化スケ
ールの生成度合い、熱間成形中の表面の脱炭層の生成度
合いにばらつきがあるため、これらを素材とする中空ス
タビライザーの耐久性は必ずしも満足できるものではな
かった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】中空スタビライザー用
鋼管用素材として熱間加工で製造した鋼管を使う場合、
熱間加工特有の、(1)表面粗さが粗い。(2)脱炭層
が存在する。という2点を解決する必要がある。
【0007】更に、中空であるために、外面のみならず
内面に対しても上記の問題点を解決する必要がある。
【0008】従って、この発明の目的は、中空スタビラ
イザー用素材である鋼管の表面のうち、特に内面につい
ての問題点を解決し、熱間加工した鋼管のように、内面
の表面粗さが粗く且つ内面に脱炭層がある素材であって
も、十分な疲労寿命を持つ耐久性に優れた中空スタビラ
イザーを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1発明は、自動車の中
空スタビライザーであって、その素材である鋼管の内面
が、25〜1200ミクロン研削加工されていることに
特徴を有するものである。第2発明は、自動車の中空ス
タビライザーであって、その素材として熱間圧延した継
目無鋼管を用い、前記継目無鋼管はその内面が、25〜
500ミクロン研削加工されていることに特徴を有する
ものである。
【0010】
【作用】次に、この発明を上述のように構成した理由を
説明する。中空スタビライザー用の素材鋼管のうち、熱
間加工で製造されたものは、その内面が粗く、且つ、表
面が脱炭しており、中空鋼管の内側の表面層を研削除去
することにより疲労寿命が向上する。
【0011】研削量が、25ミクロン(μm)未満で
は、脱炭層の除去が不十分で疲労寿命の向上がみられな
い。従って、25ミクロン以上の研削量が必要である。
しかしながら、1200ミクロンを超えて研削しても、
疲労寿命の向上作用が飽和するため最大1200ミクロ
ン研削すれば十分である。
【0012】特にシームレス鋼管においては、その熱間
圧延時および熱処理時の熱履歴がほぼ一定であるため、
形成される脱炭層の厚みは500ミクロン以下と一定し
ている。それゆえ、熱間圧延で製造する継目無鋼管にお
いては、最大研削量としては500ミクロンで十分であ
る。
【0013】この発明の中空スタビライザーにおいて最
も重要なことは、素材鋼管の内面を、25〜1200ミ
クロン、または、25〜500ミクロン、研削すること
であって、研削方法はそれほど重要でない。従って、研
削の方法については、特に限定しないが、例えば、ショ
ットブラスト、液体ホーニング、グラインダー研削、機
械的研削等、種々の方法を適用できる。
【0014】
【実施例】次に、この発明を図面に示す実施例に基づい
て説明する。
【0015】中空スタピライザーの素材用鋼管として、
継目無鋼管および熱間鍛造で製造した鋼管を用意し、こ
の鋼管の内側の表面全体をショットブラストで研削し
た。素材の鋼管の寸法は、外径40mm、内径24mm
であった。
【0016】次いで、これを図3に示す略コの字型の形
状に加工した。即ち、平行部1の長さが800mm、両
側の腕部2の長さが400mmとなるよう熱間曲げ加工
を施した。R部3の曲げ半径は40mmであった。これ
を焼入れおよび焼き戻し処理したものを試験片として疲
労試験に供した。
【0017】疲労試験は、試験片平行部の2か所を支持
し、片側の腕部を固定し、もう一方の腕部回転ピンを介
して油圧シリンダーに接続して、試験片平行部に垂直な
方向の繰り返し荷重を加え、破断までの繰返数を測定し
た。加えた応力は、試験片平行部外面で測定した捩り応
力値で50kg/mm2 とした。測定結果を表1に示
す。表1中において、“SMLS”は継目無鋼管、“鍛
造”は熱間鍛造で製造した鋼管を示す。なお、本発明を
A1〜A18、比較例をB1〜B4とした。
【0018】
【表1】
【0019】また、表1の内容をグラフにしたものを図
1に示す。図1中●印は、継目無鋼管の結果を示し、△
印は、熱間鍛造で製造した鋼管の結果を示す。
【0020】表1、図1より、内面研削量が25ミクロ
ン以上であれば、鋼管の製造方法にかかわらず疲労寿命
(破断繰返数)が25万回以上となることがわかる。ま
た、内面研削量が1200ミクロンを超えると鋼管の製
造方法にかかわらず、それ以上研削しても疲労寿命は向
上せず、従って、疲労寿命向上のためには最大1200
ミクロン鋼管の内面を研削すれば十分であることがわか
る。
【0021】ただし、図1のデータにおいて、研削量2
5〜1200ミクロンの範囲のデータにバラツキが見ら
れる。これは、熱間鍛造で製造した鋼管の内面性状(粗
さ、脱炭層厚み)にバラツキがあるためである。そこ
で、鍛造で製造した鋼管の結果のデータをとらず、継目
無鋼管の結果(●印)のみに着目すると図2のようにな
る(図2中に○印で示す)。即ち、必要な最小研削量は
25ミクロンと同じであるが、研削量が500ミクロン
を超えると疲労寿命は最早飽和し、それ以上研削しても
疲労寿命向上効果は無いことがわかる。以上の実施例に
より、この発明の有効性が確認された。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、熱間加工で製造された鋼管を用いても、疲労寿命に
代表される耐久性に優れた中空スタピライザーが得ら
れ、かくして、工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】中空スタピライザー用素材として継目無鋼管お
よび熱間鍛造で製造した鋼管を用いた場合の内面研削厚
さと疲労寿命との関係を示すグラフである。
【図2】中空スタピライザー用素材として図1のうち継
目無鋼管のみをとりだした場合の内面研削厚さと疲労寿
命との関係を示すグラフである。
【図3】疲労試験に供した試験片の形状を示す正面図で
ある。
【符号の説明】
1 平行部 2 腕部 3 R部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空スタビライザーであって、その素材
    である鋼管の内面が、25〜1200ミクロン研削加工
    されていることを特徴とする耐久性に優れた中空スタビ
    ライザー。
  2. 【請求項2】 中空スタビライザーであって、その素材
    として熱間圧延した継目無鋼管を用い、前記継目無鋼管
    はその内面が、25〜500ミクロン研削加工されてい
    ることを特徴とする耐久性に優れた中空スタビライザ
    ー。
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