JPH07214262A - 連続鋳造鋳片の中心偏析防止方法 - Google Patents
連続鋳造鋳片の中心偏析防止方法Info
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- JPH07214262A JPH07214262A JP1100694A JP1100694A JPH07214262A JP H07214262 A JPH07214262 A JP H07214262A JP 1100694 A JP1100694 A JP 1100694A JP 1100694 A JP1100694 A JP 1100694A JP H07214262 A JPH07214262 A JP H07214262A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 この発明は、電磁力を利用し溶鋼流動を制動
して連続鋳造鋳片の中心偏析を防止する技術を提供す
る。 【構成】 本発明は、鋼の連続鋳造において、最終凝固
位置近傍で鋳片中心の固相率が80%未満の位置で鋳造
方向と直角方向に静磁場を印加する。これにより、鋳造
方向と直角に交わる鋳片断面に対して、濃化溶鋼の吸引
される方向と反対方向に電磁力を作用させることができ
るので、濃化溶鋼流動に制動力が働いて中心偏析を防止
できる。 【効果】 本発明により、最終凝固位置における濃化溶
鋼流動を抑制できるので中心偏析を防止でき、中心偏析
に起因する製品欠陥を防止できる。
して連続鋳造鋳片の中心偏析を防止する技術を提供す
る。 【構成】 本発明は、鋼の連続鋳造において、最終凝固
位置近傍で鋳片中心の固相率が80%未満の位置で鋳造
方向と直角方向に静磁場を印加する。これにより、鋳造
方向と直角に交わる鋳片断面に対して、濃化溶鋼の吸引
される方向と反対方向に電磁力を作用させることができ
るので、濃化溶鋼流動に制動力が働いて中心偏析を防止
できる。 【効果】 本発明により、最終凝固位置における濃化溶
鋼流動を抑制できるので中心偏析を防止でき、中心偏析
に起因する製品欠陥を防止できる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、鋼の連続鋳造におけ
る中心偏析の防止方法に関する。
る中心偏析の防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼の連続鋳造において、鋳片内部に現出
する中心偏析は、製品品質そのものに悪影響を及ぼす。
連鋳片の中心偏析防止方法として、ロールアライメント
の整備適正化によるバルジング防止が必須条件であり、
この他に低温鋳造法、凝固末期の鋳片軽圧下法、電磁力
を利用した凝固組織改善技術や溶鋼流動を制動する技術
が提案されている。
する中心偏析は、製品品質そのものに悪影響を及ぼす。
連鋳片の中心偏析防止方法として、ロールアライメント
の整備適正化によるバルジング防止が必須条件であり、
この他に低温鋳造法、凝固末期の鋳片軽圧下法、電磁力
を利用した凝固組織改善技術や溶鋼流動を制動する技術
が提案されている。
【0003】低温鋳造法は、タンディッシュ内溶鋼温度
を下げて鋳造することにより、鋳片中心部を等軸晶化し
て線状の中心偏析を防止する技術である。鋳片軽圧下法
は、クレーターエンド近傍位置に相当するストランド内
ロールに圧下装置を配設し、この範囲を通過する鋳片を
1メートル当り1mm程度圧下し、凝固収縮に伴う濃化
溶鋼流動を抑制して中心偏析を防止する技術であり、他
の中心偏析防止技術に比べ信頼性の高い技術である。
を下げて鋳造することにより、鋳片中心部を等軸晶化し
て線状の中心偏析を防止する技術である。鋳片軽圧下法
は、クレーターエンド近傍位置に相当するストランド内
ロールに圧下装置を配設し、この範囲を通過する鋳片を
1メートル当り1mm程度圧下し、凝固収縮に伴う濃化
溶鋼流動を抑制して中心偏析を防止する技術であり、他
の中心偏析防止技術に比べ信頼性の高い技術である。
【0004】電磁力による凝固組織改善技術には、モー
ルド〜最終凝固までの範囲の未凝固溶鋼に電磁力を利用
して溶鋼を攪拌し、溶鋼/凝固シェル界面の柱状晶を攪
拌力によって切断することにより、核生成を促進し等軸
晶化を促進する技術である。
ルド〜最終凝固までの範囲の未凝固溶鋼に電磁力を利用
して溶鋼を攪拌し、溶鋼/凝固シェル界面の柱状晶を攪
拌力によって切断することにより、核生成を促進し等軸
晶化を促進する技術である。
【0005】電磁力により溶鋼流動を制動する技術とし
て、特開昭63−10050号公報の中で、鋳片の固相
率(固相率%=〔固相/(固相+液相)〕×100で定
義される)が80〜95%の位置で、鋳片正面の垂直方
向に電磁力を付与する技術、言い換えると、鋳造方向と
直角に交わる鋳片断面に対して、鋳造方向と反対方向に
電磁力を作用させる技術が開示されている。
て、特開昭63−10050号公報の中で、鋳片の固相
率(固相率%=〔固相/(固相+液相)〕×100で定
義される)が80〜95%の位置で、鋳片正面の垂直方
向に電磁力を付与する技術、言い換えると、鋳造方向と
直角に交わる鋳片断面に対して、鋳造方向と反対方向に
電磁力を作用させる技術が開示されている。
【0006】この技術によれば、印加磁場と濃化溶鋼流
動との相互作用による誘導電流が発生し、この誘導電流
と印加磁場によるローレンツ力により鋳造方向と逆向き
の制動力が濃化溶鋼流動に働く。これにより、凝固収縮
や鋳片バルジングによって発生する鋳造方向への濃化溶
鋼流動を抑制して中心偏析を防止するものである。
動との相互作用による誘導電流が発生し、この誘導電流
と印加磁場によるローレンツ力により鋳造方向と逆向き
の制動力が濃化溶鋼流動に働く。これにより、凝固収縮
や鋳片バルジングによって発生する鋳造方向への濃化溶
鋼流動を抑制して中心偏析を防止するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術には、以
下のような問題点がある。低温鋳造法においては、鋳造
開始時や鋳造終了時等の非定常時に鋳造温度が低下して
しまい、1ヒートの鋳造時間全体を狭い範囲に制御出来
ないし、これら非定常時にノズル詰まり事故や鋳片品質
低下を招く。このため、当該鋳造法の実施は制約が多く
困難である場合が多い。この問題に対して、プラズマヒ
ーター等の加熱装置を導入し、タンディッシュ内溶鋼温
度を加熱する技術が提案されている。しかし、この技術
を採用すると、莫大な設備投資がかかるし、溶鋼加熱の
ための電力コストも必要となる。
下のような問題点がある。低温鋳造法においては、鋳造
開始時や鋳造終了時等の非定常時に鋳造温度が低下して
しまい、1ヒートの鋳造時間全体を狭い範囲に制御出来
ないし、これら非定常時にノズル詰まり事故や鋳片品質
低下を招く。このため、当該鋳造法の実施は制約が多く
困難である場合が多い。この問題に対して、プラズマヒ
ーター等の加熱装置を導入し、タンディッシュ内溶鋼温
度を加熱する技術が提案されている。しかし、この技術
を採用すると、莫大な設備投資がかかるし、溶鋼加熱の
ための電力コストも必要となる。
【0008】鋳片軽圧下法は、物理的に凝固末期の濃化
溶鋼流動を抑制するもので、中心偏析低減効果も上記技
術に比べると信頼性、安定性に優れており、現在最も一
般的に利用されている技術である。しかし、この技術
は、最適圧下量やストランド内圧下位置が鋼種や鋳造条
件により異なり、限られた圧下帯に最終凝固部が入るよ
うに鋳造速度を落として生産性を低下するなどの非効率
的操業をしなければならない。また、鋳片巾方向に凝固
条件が異なる場合でも限られた同一圧下位置で圧下をか
けるため、鋳片偏析度が巾方向でばらついてしまうとい
う問題点がある。
溶鋼流動を抑制するもので、中心偏析低減効果も上記技
術に比べると信頼性、安定性に優れており、現在最も一
般的に利用されている技術である。しかし、この技術
は、最適圧下量やストランド内圧下位置が鋼種や鋳造条
件により異なり、限られた圧下帯に最終凝固部が入るよ
うに鋳造速度を落として生産性を低下するなどの非効率
的操業をしなければならない。また、鋳片巾方向に凝固
条件が異なる場合でも限られた同一圧下位置で圧下をか
けるため、鋳片偏析度が巾方向でばらついてしまうとい
う問題点がある。
【0009】電磁撹拌による鋳片組織改善技術は、モー
ルド〜最終凝固までのストランド全体にわたって十分な
撹拌を続けないと、粗大化した等軸晶が鋳片中心部にお
いてブリッジングを作り、最終凝固部までの溶鋼供給を
阻害して引け巣の発生原因となったり、また、最適な電
磁撹拌条件を選択しないとホワイトバンド生成や偏析の
形態を中心部の線偏析からV偏析に変えるだけの効果し
か得られないので、信頼性の高い中心偏析防止技術とは
言い難い。
ルド〜最終凝固までのストランド全体にわたって十分な
撹拌を続けないと、粗大化した等軸晶が鋳片中心部にお
いてブリッジングを作り、最終凝固部までの溶鋼供給を
阻害して引け巣の発生原因となったり、また、最適な電
磁撹拌条件を選択しないとホワイトバンド生成や偏析の
形態を中心部の線偏析からV偏析に変えるだけの効果し
か得られないので、信頼性の高い中心偏析防止技術とは
言い難い。
【0010】特開昭63−10050号公報の中で開示
されている電磁力による溶鋼流動制動技術は、磁場印加
の部位が鋳片の固相率が80〜95%の高固相率域であ
る。しかしながら、後に述べるように、実際のプロセス
においては、前述の高固相率域部位に磁場を印加して
も、中心偏析防止効果がないことが判明した。その理由
は、この領域の溶鋼は等軸晶を多量に含有する固/液共
存領域なので粘性が高く、また、溶鋼が流動出来る通路
は狭くかつ複雑なので、実際の流動は発生し難い。その
ため、このタイミングに磁場を印加しても、溶鋼流動に
対する逆向きの制動力はほとんど働かないので、中心偏
析低減効果は期待できないということによるものと考え
られる。
されている電磁力による溶鋼流動制動技術は、磁場印加
の部位が鋳片の固相率が80〜95%の高固相率域であ
る。しかしながら、後に述べるように、実際のプロセス
においては、前述の高固相率域部位に磁場を印加して
も、中心偏析防止効果がないことが判明した。その理由
は、この領域の溶鋼は等軸晶を多量に含有する固/液共
存領域なので粘性が高く、また、溶鋼が流動出来る通路
は狭くかつ複雑なので、実際の流動は発生し難い。その
ため、このタイミングに磁場を印加しても、溶鋼流動に
対する逆向きの制動力はほとんど働かないので、中心偏
析低減効果は期待できないということによるものと考え
られる。
【0011】本発明は、上記従来技術の問題点を解決す
るために提案されたものであって、電磁力を利用して最
終凝固位置近傍の濃化溶鋼流動を制動して、信頼性の高
い中心偏析防止技術を提供するものである。
るために提案されたものであって、電磁力を利用して最
終凝固位置近傍の濃化溶鋼流動を制動して、信頼性の高
い中心偏析防止技術を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、最終凝固位置
近傍に静磁場を印加する鋼の連続鋳造において、鋳片中
心の固相率が80%未満の位置で、鋳造方向と直角に交
わる鋳片断面に対して、鋳造方向と反対方向に電磁力を
作用させることを特徴とする連続鋳造鋳片の中心偏析防
止方法である。
近傍に静磁場を印加する鋼の連続鋳造において、鋳片中
心の固相率が80%未満の位置で、鋳造方向と直角に交
わる鋳片断面に対して、鋳造方向と反対方向に電磁力を
作用させることを特徴とする連続鋳造鋳片の中心偏析防
止方法である。
【0013】
【作用】一般に、溶鋼は凝固する過程で、P、S、Mn
等の溶質元素が溶鋼中に排出され溶鋼は濃化する。この
濃化は最終凝固する鋳片中心部で最大となる。同時に、
溶鋼は凝固する過程で数%の体積収縮をする。この体積
収縮により、最終凝固位置であるクレーター先端部近傍
の等軸晶を多量に含有する固/液共存領域では、負圧の
空隙が発生する。この負圧により濃化溶鋼は上記固/液
共存領域における狭い通路を潜り抜けて吸引され、中心
偏析が発生する。
等の溶質元素が溶鋼中に排出され溶鋼は濃化する。この
濃化は最終凝固する鋳片中心部で最大となる。同時に、
溶鋼は凝固する過程で数%の体積収縮をする。この体積
収縮により、最終凝固位置であるクレーター先端部近傍
の等軸晶を多量に含有する固/液共存領域では、負圧の
空隙が発生する。この負圧により濃化溶鋼は上記固/液
共存領域における狭い通路を潜り抜けて吸引され、中心
偏析が発生する。
【0014】本発明では、連続鋳造鋳片の最終凝固位置
近傍に、静磁場発生装置を設置して、鋳造方向と直角方
向に静磁場を印加する。この結果、前述の狭い通路を通
過する濃化溶鋼流動は、上記静磁場内を横切るので、印
加磁場との相互作用によって誘導電流が発生する。この
誘導電流と印加磁場により、鋳造方向と直角に交わる鋳
片断面に対して、鋳造方向と反対方向に、即ち、吸引さ
れる濃化溶鋼に対して逆方向に電磁力による制動力(ロ
ーレンツ力)が働き、クレーター先端部への濃化溶鋼流
動が抑制されるので中心偏析の生成を防止できる。
近傍に、静磁場発生装置を設置して、鋳造方向と直角方
向に静磁場を印加する。この結果、前述の狭い通路を通
過する濃化溶鋼流動は、上記静磁場内を横切るので、印
加磁場との相互作用によって誘導電流が発生する。この
誘導電流と印加磁場により、鋳造方向と直角に交わる鋳
片断面に対して、鋳造方向と反対方向に、即ち、吸引さ
れる濃化溶鋼に対して逆方向に電磁力による制動力(ロ
ーレンツ力)が働き、クレーター先端部への濃化溶鋼流
動が抑制されるので中心偏析の生成を防止できる。
【0015】更に、本発明では、鋳片中心の固相率が8
0%未満の範囲で、前述の条件で印加する。鋳片中心の
固相率80%未満の範囲で印加すると、溶鋼の粘性はそ
れ程高くなく、最終凝固位置近傍で発生する吸引力によ
って、前述の狭い通路を濃化溶鋼は流動する。この結
果、濃化溶鋼に対して逆方向に制動力(ローレンツ力)
が働くので、濃化溶鋼流動は抑えられて中心偏析の生成
を防止出来る。
0%未満の範囲で、前述の条件で印加する。鋳片中心の
固相率80%未満の範囲で印加すると、溶鋼の粘性はそ
れ程高くなく、最終凝固位置近傍で発生する吸引力によ
って、前述の狭い通路を濃化溶鋼は流動する。この結
果、濃化溶鋼に対して逆方向に制動力(ローレンツ力)
が働くので、濃化溶鋼流動は抑えられて中心偏析の生成
を防止出来る。
【0016】
【実施例】本発明では、実験室及び2ストランドの垂直
型ブルーム連続鋳造機を使用して鋳造し効果を確認し
た。図1は、鋳片中心の固相率と偏析粒径との関係を図
示したもである。この結果は、実験室において、炭素含
有量0. 6重量%の溶鋼を直径150mm、有効長さ1
000mmの垂直砂型小型モールド内に鋳造して得たも
のである。ここで、鋳片中心の固相率を0〜100%の
範囲に大きく変動させた場合の偏析粒径を調査するた
め、モールド中心部の溶鋼温度を連続測定して凝固進行
途中の鋳片中心の固相率を計算し、目的とする固相率が
得られるタイミングに静磁場発生装置に電流を流した。
型ブルーム連続鋳造機を使用して鋳造し効果を確認し
た。図1は、鋳片中心の固相率と偏析粒径との関係を図
示したもである。この結果は、実験室において、炭素含
有量0. 6重量%の溶鋼を直径150mm、有効長さ1
000mmの垂直砂型小型モールド内に鋳造して得たも
のである。ここで、鋳片中心の固相率を0〜100%の
範囲に大きく変動させた場合の偏析粒径を調査するた
め、モールド中心部の溶鋼温度を連続測定して凝固進行
途中の鋳片中心の固相率を計算し、目的とする固相率が
得られるタイミングに静磁場発生装置に電流を流した。
【0017】この結果、凝固収縮に伴って濃化溶鋼が吸
引される方向と逆向きに、即ち、垂直上向き方向に電磁
力による制動力が働くように、モールド長手方向と直角
方向に静磁場は印加された。そして、その磁束密度は鋳
片がない状態のストランド内中心部で0.42テスラと
した。また、偏析粒径は鋳片L断面のマクロ組織内のマ
クロ・セミマクロ偏析粒を画像処理解析により、この偏
析粒の円相当直径を計測し評価した。
引される方向と逆向きに、即ち、垂直上向き方向に電磁
力による制動力が働くように、モールド長手方向と直角
方向に静磁場は印加された。そして、その磁束密度は鋳
片がない状態のストランド内中心部で0.42テスラと
した。また、偏析粒径は鋳片L断面のマクロ組織内のマ
クロ・セミマクロ偏析粒を画像処理解析により、この偏
析粒の円相当直径を計測し評価した。
【0018】図1の結果より、鋳片中心の固相率が増加
するに従って、偏析粒径は増加する傾向を示している。
ここで、固相率が80%未満の範囲では、偏析粒径の増
加傾向は小さく、偏析粒径は2〜3mm以下となり中心
偏析は防止され良好な組織が得られるが、固相率が80
%を越えると、偏析粒径は急激に増大し中心偏析は防止
されていない。一方、固相率が70%以下の範囲では、
偏析粒径は2mmを越えるものはほとんどなく、安定し
て中心偏析は防止されている。以上述べた結果より、中
心偏析を防止するためには、磁場を印加するタイミング
は鋳片中心の固相率が80%未満の範囲でないと効果が
ない。
するに従って、偏析粒径は増加する傾向を示している。
ここで、固相率が80%未満の範囲では、偏析粒径の増
加傾向は小さく、偏析粒径は2〜3mm以下となり中心
偏析は防止され良好な組織が得られるが、固相率が80
%を越えると、偏析粒径は急激に増大し中心偏析は防止
されていない。一方、固相率が70%以下の範囲では、
偏析粒径は2mmを越えるものはほとんどなく、安定し
て中心偏析は防止されている。以上述べた結果より、中
心偏析を防止するためには、磁場を印加するタイミング
は鋳片中心の固相率が80%未満の範囲でないと効果が
ない。
【0019】前述したように、特開昭63−10050
号公報の中で開示された鋳片の固相率が80%を越える
領域の溶鋼は、等軸晶を多量に含有する固/液共存領域
なので粘性が高く、また、溶鋼が流動出来る通路は狭く
かつ複雑なので実際の溶鋼流動は発生し得ない。言い換
えると、鋳片中心の固相率が80%未満の範囲で濃化溶
鋼流動は発生しているが、この範囲で印加していないの
で、溶鋼流動は制動できず、中心偏析は防止出来ない。
一方、固相率80%未満の範囲で印加すると、溶鋼の粘
性はそれ程高くなく、前述の狭い通路を濃化溶鋼は流動
できるので、濃化溶鋼に対して逆方向に制動力(ローレ
ンツ力)が働き、濃化溶鋼流動は抑えられて中心偏析の
生成を防止出来る。
号公報の中で開示された鋳片の固相率が80%を越える
領域の溶鋼は、等軸晶を多量に含有する固/液共存領域
なので粘性が高く、また、溶鋼が流動出来る通路は狭く
かつ複雑なので実際の溶鋼流動は発生し得ない。言い換
えると、鋳片中心の固相率が80%未満の範囲で濃化溶
鋼流動は発生しているが、この範囲で印加していないの
で、溶鋼流動は制動できず、中心偏析は防止出来ない。
一方、固相率80%未満の範囲で印加すると、溶鋼の粘
性はそれ程高くなく、前述の狭い通路を濃化溶鋼は流動
できるので、濃化溶鋼に対して逆方向に制動力(ローレ
ンツ力)が働き、濃化溶鋼流動は抑えられて中心偏析の
生成を防止出来る。
【0020】図2には、垂直型ブルーム連続鋳造機のN
o1ストランドの最終凝固位置近傍に静磁場発生装置を
設置した状況の概略図を示す。1はモールドで、520
×400mmのサイズである。2は溶鋼、3は凝固シェ
ル、4はガイドロール帯、5はピンチロール、6は静磁
場発生装置で、最終凝固位置近傍に設置されている。図
3には図示しないが、ガイドロール帯4の全域に渡り、
スプレー方式による2次冷却帯が設置されている。
o1ストランドの最終凝固位置近傍に静磁場発生装置を
設置した状況の概略図を示す。1はモールドで、520
×400mmのサイズである。2は溶鋼、3は凝固シェ
ル、4はガイドロール帯、5はピンチロール、6は静磁
場発生装置で、最終凝固位置近傍に設置されている。図
3には図示しないが、ガイドロール帯4の全域に渡り、
スプレー方式による2次冷却帯が設置されている。
【0021】No1ストランドに設置された静磁場発生
装置は、実験室における小型モールド実験と同様、凝固
収縮によって濃化溶鋼が吸引される方向、即ち、鋳造方
向と逆方向(上向き方向)に電磁力による制動力が働く
ように、鋳造方向と直角方向に磁場を印加した。その磁
束密度は鋳片がない状態のストランド内中心部で0.4
2テスラとし、実験室における印加条件と同一とした。
装置は、実験室における小型モールド実験と同様、凝固
収縮によって濃化溶鋼が吸引される方向、即ち、鋳造方
向と逆方向(上向き方向)に電磁力による制動力が働く
ように、鋳造方向と直角方向に磁場を印加した。その磁
束密度は鋳片がない状態のストランド内中心部で0.4
2テスラとし、実験室における印加条件と同一とした。
【0022】
【表1】
【0023】表1には、上記ブルーム連続鋳造機におけ
る本発明に係わる固相率が80%未満の範囲で印加した
実施例、固相率が80%を越える範囲で印加した比較例
(以上はNo1ストランドで鋳造)及び印加しない比較
例(No2ストランドで鋳造)の結果を示す。これら
は、炭素含有量0. 6重量%の硬鋼線素材用の溶鋼を鋳
造し、静磁場発生装置を設置した最終凝固位置近傍にお
ける鋳片中心固相率を変えるため、引き抜き速度を0.
42〜0.60m/minの範囲で変更し、4〜100
%の範囲の鋳片中心の固相率を得た。
る本発明に係わる固相率が80%未満の範囲で印加した
実施例、固相率が80%を越える範囲で印加した比較例
(以上はNo1ストランドで鋳造)及び印加しない比較
例(No2ストランドで鋳造)の結果を示す。これら
は、炭素含有量0. 6重量%の硬鋼線素材用の溶鋼を鋳
造し、静磁場発生装置を設置した最終凝固位置近傍にお
ける鋳片中心固相率を変えるため、引き抜き速度を0.
42〜0.60m/minの範囲で変更し、4〜100
%の範囲の鋳片中心の固相率を得た。
【0024】ここで、静磁場発生装置の設置された位置
における引抜き速度に対応する鋳片中心の固相率は計算
によって求めた。また、溶鋼過熱度は20℃とし、その
他の鋳造条件は両ストランドとも同一条件とした。バル
ジングによる偏析を防止するためモールド〜ピンチロー
ル間のロールアライメントは事前に適正基準内に整備さ
れた。
における引抜き速度に対応する鋳片中心の固相率は計算
によって求めた。また、溶鋼過熱度は20℃とし、その
他の鋳造条件は両ストランドとも同一条件とした。バル
ジングによる偏析を防止するためモールド〜ピンチロー
ル間のロールアライメントは事前に適正基準内に整備さ
れた。
【0025】偏析粒径は、前述の実験室における場合と
同様の規準で計測し評価した。偏析粒面積率は、偏析粒
の相当直径より面積を計算し、一定視野に占める偏析粒
の面積の割合を百分率で評価した。
同様の規準で計測し評価した。偏析粒面積率は、偏析粒
の相当直径より面積を計算し、一定視野に占める偏析粒
の面積の割合を百分率で評価した。
【0026】図3は、表1に示した鋳片中心の固相率と
偏析粒径との関係を図示したもである。参考のため図2
の横軸には、各々の固相率に対応する引き抜き速度を付
記した。ここで、○印は本発明に係わる実施例の結果を
示す。△印は、鋳片中心固相率が80〜95%の範囲で
印加した比較例の結果を示す。●印は、印加しない条件
で鋳造した比較例の結果を示す。
偏析粒径との関係を図示したもである。参考のため図2
の横軸には、各々の固相率に対応する引き抜き速度を付
記した。ここで、○印は本発明に係わる実施例の結果を
示す。△印は、鋳片中心固相率が80〜95%の範囲で
印加した比較例の結果を示す。●印は、印加しない条件
で鋳造した比較例の結果を示す。
【0027】表1及び図2より、実験室における小型モ
ールド実験結果(図1)と同様に、鋳片中心固相率が8
0%未満の範囲では偏析粒径、偏析粒面積率ともに2m
m以下、1.5%以下と小さく良好で、中心偏析は防止
できるが、固相率が80%を越える範囲で印加した比較
例では、これらの偏析指標は急激に増大し中心偏析は防
止できない。また、印加しない場合は、固相率に関係な
く0〜100%の全範囲において、前記偏析指標は高
く、中心偏析は防止できていない。
ールド実験結果(図1)と同様に、鋳片中心固相率が8
0%未満の範囲では偏析粒径、偏析粒面積率ともに2m
m以下、1.5%以下と小さく良好で、中心偏析は防止
できるが、固相率が80%を越える範囲で印加した比較
例では、これらの偏析指標は急激に増大し中心偏析は防
止できない。また、印加しない場合は、固相率に関係な
く0〜100%の全範囲において、前記偏析指標は高
く、中心偏析は防止できていない。
【0028】
【発明の効果】本発明により、凝固末期の濃化溶鋼流動
に起因する中心偏析は、鋳片中心の固相率が80%未満
の範囲で、凝固収縮によって濃化溶鋼が吸引される方向
と逆方向に電磁力による制動力を働かせることにより防
止できる。これにより、中心偏析に起因する圧延加工工
程における割れや製品欠陥を防止できる。
に起因する中心偏析は、鋳片中心の固相率が80%未満
の範囲で、凝固収縮によって濃化溶鋼が吸引される方向
と逆方向に電磁力による制動力を働かせることにより防
止できる。これにより、中心偏析に起因する圧延加工工
程における割れや製品欠陥を防止できる。
【図1】小型モールド実験より得られた、鋳片中心固相
率と偏析粒径との関係を示した図である。
率と偏析粒径との関係を示した図である。
【図2】ブルーム連続鋳造機の最終凝固位置近傍に静磁
場発生装置を設置した状況を示した図である。
場発生装置を設置した状況を示した図である。
【図3】ブルーム連続鋳造機における実施例及び比較例
より得られた、鋳片中心固相率と偏析粒径との関係を示
した図である。
より得られた、鋳片中心固相率と偏析粒径との関係を示
した図である。
1 モールド 2 溶鋼 3 凝固シェル 4 ガイドロール帯 5 ピンチロール 6 静磁場発生装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中田 正之 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内
Claims (1)
- 【請求項1】 最終凝固位置近傍に静磁場を印加する鋼
の連続鋳造において、鋳片中心の固相率が80%未満の
位置で、鋳造方向と直角に交わる鋳片断面に対して、鋳
造方向と反対方向に電磁力を作用させることを特徴とす
る連続鋳造鋳片の中心偏析防止方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1100694A JPH07214262A (ja) | 1994-02-02 | 1994-02-02 | 連続鋳造鋳片の中心偏析防止方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1100694A JPH07214262A (ja) | 1994-02-02 | 1994-02-02 | 連続鋳造鋳片の中心偏析防止方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07214262A true JPH07214262A (ja) | 1995-08-15 |
Family
ID=11766039
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1100694A Pending JPH07214262A (ja) | 1994-02-02 | 1994-02-02 | 連続鋳造鋳片の中心偏析防止方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07214262A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1997043064A1 (fr) * | 1996-05-13 | 1997-11-20 | Ebis Corporation | Procede et appareil de coulee en continu |
US6905558B2 (en) * | 1998-12-28 | 2005-06-14 | Nippon Steel Corporation | Billet by continuous casting and manufacturing method for the same |
JP2006272357A (ja) * | 2005-03-28 | 2006-10-12 | Jfe Steel Kk | 鋼の連続鋳造方法及び装置 |
JP2008221278A (ja) * | 2007-03-13 | 2008-09-25 | Jfe Steel Kk | 鋼の連続鋳造方法 |
US7735544B2 (en) * | 2007-01-08 | 2010-06-15 | Anastasia Kolesnichenko | Method and system of electromagnetic stirring for continuous casting of medium and high carbon steels |
-
1994
- 1994-02-02 JP JP1100694A patent/JPH07214262A/ja active Pending
Cited By (8)
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US6508299B2 (en) | 1996-05-13 | 2003-01-21 | Ebis Corporation | Method and apparatus for continuous casting |
US6530418B2 (en) | 1996-05-13 | 2003-03-11 | Ebis Corporation | Method and apparatus for continuous casting |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 19981110 |