JPH07214251A - 金属薄帯製造装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】得られた金属薄帯を連続的に巻き取ると共に製
造途中であっても良品と不良品とを選別できる金属薄帯
製造装置を提供する。 【構成】第１の真空吸引式コンベヤ２０の先端部を冷却
ロール１６の外周に近接して配置し、さらに、中心軸２
０ｅを中心にして、シリンダ２１により後端部を金属薄
帯巻取位置と金属薄帯廃棄位置との間で回動する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、高速回転している冷却
ロールの外周に溶融金属を接触させ急冷凝固させて金属
薄帯を製造する金属薄帯製造装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】金属薄帯の製造方法として、高速回転し
ている冷却ロールの外周に溶融金属を噴出させて接触さ
せ、この冷却ロールの抜熱作用により急冷凝固させる方
法が知られている。また、得られた金属薄帯を巻き取る
技術に関しては数多くの技術が提案されている。ところ
が、金属薄帯の製造開始直後は金属薄帯の品質が安定し
ないことが多い。

【０００３】そこで、製品不良部を巻取りリールとは異
なる方向に案内する技術が特開平２−５５６４７号公報
に開示されている。この技術は、金属薄帯の製造開始直
後に発生する不良部を樋状のガイドの移動により選別
し、良品発生以降は、金属薄帯が冷却ロールから剥離し
た際に保持する運動エネルギーによりこの金属薄帯をガ
イドで案内して巻取りリールまで搬送する技術である。

【０００４】また、製造開始直後の金属薄帯の不良部を
粉砕、分離して、品質安定以降の金属薄帯を巻取りリー
ルに搬送する技術として、真空吸引コンベヤ及びこのコ
ンベヤに接続した薄帯粉砕ブロワーを本出願人が特願平
４−３４０５６９号に提案している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】金属薄帯の製造開始直
後のみならず製造途中においても金属薄帯の品質不良あ
るいは破断等が発生することがある。このため、金属薄
帯の巻取り過程においては、金属薄帯の製造を中断せず
に不良部を選別すると共に破断等が発生した際は破断発
生点以降の薄帯を再度巻取りリールに搬送することが必
要である。

【０００６】しかし、上述の従来技術では、金属薄帯を
安定生産する上で、以下に示す問題点がある。特開平２
−５５６４７号公報に提案された技術では、冷却ロール
から剥離した金属薄帯を巻取りリールへ搬送する手段と
して樋状のガイドを用いているが、一般的に冷却ロール
における金属薄帯の剥離点は一定でない。このため、冷
却ロールから離れて設置された巻取りリールへ樋状のガ
イドによって金属薄帯を搬送することは困難である。ま
た、金属薄帯をガイドによって巻取りリールへ搬送でき
ても、巻取りリールに金属薄帯を巻き付ける際に金属薄
帯に急激に発生する張力を緩和することは困難であり、
このため、巻取りリールに巻付けることが極めて困難で
ある。また、この技術では、金属薄帯の製造途中で不良
部や薄帯の破断が発生した場合は、金属薄帯の搬送、巻
付が困難である。

【０００７】一方、本出願人が提案した真空吸引コンベ
ヤ及びこのコンベヤに接続した薄帯粉砕ブロワーを使用
すると、金属薄帯の製造開始直後の不良部の粉砕、分離
および品質安定以降の巻取りリールへの搬送は安定して
達成できるが、コンベヤの移動開始以降に不良部や破断
が発生した場合は、金属薄帯の製造を中止して再度金属
薄帯を捕捉して搬送する必要がある。

【０００８】本発明は、上記事情に鑑み、得られた金属
薄帯を連続的に巻き取ると共に製造途中であっても良品
と不良品とを選別できる金属薄帯製造装置を提供するこ
とを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の金属薄帯製造装置は、回転している冷却ロー
ルの外周に溶融金属を接触させて金属薄帯を製造する金
属薄帯製造装置において、吸引開始位置が前記冷却ロー
ルの外周に近接して配置されると共に先端部を中心にし
て後端部が金属薄帯巻取位置と金属薄帯廃棄位置との間
を回動する、前記冷却ロールから金属薄帯を剥離して吸
着し前記吸引開始位置から前記後端部まで搬送する第１
の真空吸引コンベヤと、前記金属薄帯巻取位置に位置し
た前記後端部に近接して配置された先端部を有し、前記
第１の真空吸引コンベヤによって搬送されてきた金属薄
帯を吸着して搬送する第２の真空吸引コンベヤとを備え
たことを特徴とするものである。

【００１０】ここで、第１の真空吸引コンベヤの吸引終
了位置と前記第２の真空吸引コンベヤの吸引開始位置と
を一致させることが好ましい。また、第２の真空吸引コ
ンベヤの吸引開始位置の近傍に、前記金属薄帯を切断す
るカッタを備えることが好ましい。さらに、本発明の構
成要素の真空吸引コンベヤは、例えば抄紙設備の通紙に
用いられる通紙用コンベヤに類似する構造にし、通気性
のあるベルトを２本または３本以上のプーリで保持して
回転させ、コンベヤに内蔵された吸引箱を用いてベルト
を介して空気を吸引する構造にすることが好ましい。

【００１１】さらにまた、第１の真空吸引コンベヤの後
端部が回動する際の中心軸を冷却ロールの中心軸に対し
て平行にすることが好ましい。尚、吸引開始位置とは、
上記吸引箱の端部のうち金属薄帯搬送の上流側にある端
部の位置をいい、一方、吸引終了位置とは、上記吸引箱
の端部のうち金属薄帯搬送の下流側にある端部の位置を
いう。

【００１２】

【作用】本発明の金属薄帯製造装置によれば、冷却ロー
ルの外周部に近接して第１の真空吸引コンベヤの吸引開
始位置を配置しているので、金属薄帯を一定の場所で剥
離できる。また、金属薄帯を吸着して搬送するので、こ
の金属薄帯に張力を付与して搬送でき、さらに、金属薄
帯を第２の真空吸引コンベヤにしわ、折れ、ばたつきの
無い安定した状態で受渡しできる。

【００１３】第１の真空吸引コンベヤの後端部は、先端
部を中心にして金属薄帯巻取位置と金属薄帯廃棄位置と
の間を回動できるので、金属薄帯の製造初期や製造途中
で不良部や破断が発生したときは、上記後端部を金属薄
帯廃棄位置に回動することにより第２の真空吸引コンベ
ヤに不良品が搬送されることを防止できる。また、金属
薄帯が良品になった時点で、上記後端部を金属薄帯巻取
位置に回動することにより第２の真空吸引コンベヤに良
品を搬送できる。このようにして、金属薄帯の製造初期
や製造途中で発生した不良部等を良品と選別でき、しか
も、金属薄帯に破断が発生しても製造を中断せずに第２
の真空吸引コンベヤに良品を搬送でき、再び巻き付けで
きる。

【００１４】ここで、第１の真空吸引コンベヤの吸引終
了位置と第２の真空吸引コンベヤの吸引開始位置とを一
致させた場合は、第１の真空吸引コンベヤから第２の真
空吸引コンベヤへの金属薄帯の受渡しが一層確実にでき
る。また、第２の真空吸引コンベヤの吸引開始位置の近
傍に金属薄帯を切断するカッタを備えた場合は、第１の
真空吸引コンベヤの後端部を回動させて金属薄帯の搬送
方向を切換える際に金属薄帯を切断でき、これにより金
属薄帯の選別を一層確実に行える。

【００１５】さらに、第１の真空吸引コンベヤの後端部
が回動する際の中心軸を冷却ロールの中心軸に対して平
行にした場合は、ロールの接線方向に沿って金属薄帯を
搬送できるので搬送をスムーズに行える。

【００１６】

【実施例】以下、図面を参照して本発明の金属薄帯製造
装置の実施例を説明する。図１、図２は第１実施例の金
属薄帯製造装置を示す概略構成図であり、図１は金属薄
帯巻取位置に第１の真空吸引コンベヤの後端部が位置し
ている状態を示し、図２は金属薄帯廃棄位置に第１の真
空吸引コンベヤの後端部が位置している状態を示す。

【００１７】金属薄帯製造装置１０は、溶融金属１２を
貯えるタンディッシュ１４と、溶融金属１２が接触する
冷却ロール１６と、金属薄帯１８を搬送する第１の真空
吸引コンベヤ２０及び第２の真空吸引コンベヤ２２とを
備えて構成されている。また、タンディッシュ１４の下
端部には、溶融金属１２を噴出させるための注湯ノズル
２４が設けられている。また、第１の真空吸引コンベヤ
２０はその吸引開始位置が冷却ロール１６の外周に近接
して配置されており、さらに吸引箱２０ａが内蔵され、
通気孔が形成されたベルト２０ｂがプーリ２０ｃ，２０
ｄで保持されて回転する構造になっている。さらに、第
１の真空吸引コンベヤ２０はその吸引開始位置の先端部
にある中心軸２０ｅを中心にして、シリンダ２１により
後端部を金属薄帯巻取位置（図１に示す位置）と金属薄
帯廃棄位置（図２に示す位置）との間で回動できる構造
になっている。また、第２の真空吸引コンベヤ２２の先
端部は、第１の真空吸引コンベヤ２０が金属薄帯巻取位
置に位置したときにこの第１の真空吸引コンベヤ２０の
後端部に近接して配置されており、第１の真空吸引コン
ベヤ２０によって搬送されてきた金属薄帯を吸着して搬
送するように構成されている。尚、第２の真空吸引コン
ベヤ２２は、第１の真空吸引コンベヤ２０と同様に、吸
引箱２２ａが内蔵され、通気孔が形成されたベルト２２
ｂがプーリ２２ｃ，２２ｄで保持されて回転する構造に
なっている。

【００１８】金属薄帯１８を製造するに当っては、２０
〜３０ｍ／ｓ程度の速度で回転している冷却ロール１６
の外周に注湯ノズル２４から溶融金属１２を噴出させ急
冷凝固させて金属薄帯１８を得る。冷却ロール１６の外
周近傍に設置したエアスリットノズル２６から金属薄帯
１８に向けて圧縮空気を噴射し、第１の真空吸引コンベ
ヤ２０により金属薄帯１８を吸引して剥離し搬送する。
この吸引は、吸引箱２０ａを用いてベルト２０ｂを介し
て空気を吸引することにより行われる。これにより金属
薄帯１８を一定の場所で剥離できる。第１の真空吸引コ
ンベヤ２０の後端部まで搬送された金属薄帯１８は続い
て、第２の真空吸引コンベヤ２２により巻取リール（図
示せず）まで搬送される。

【００１９】金属薄帯の製造初期や製造途中で製品不良
あるいは破断が発生した際は、図２に示すように、第１
の真空吸引コンベヤ２０の後端部を金属薄帯廃棄位置ま
で回動し、第２の真空吸引コンベヤ２２には金属薄帯１
８を搬送しない。これにより、金属薄帯の不良部を分離
する時や破断発生時において金属薄帯の製造を中断せず
に不良部等を廃棄でき、良品になった後は、第１の真空
吸引コンベヤ２０の後端部を金属薄帯巻取位置まで回動
して巻取リールに再度巻き付けできる。

【００２０】尚、金属薄帯の不良部としては、一般的に
は、薄帯への孔の発生、厚み不良、幅不良或いは粗大化
したエアポケット（凹み）の発生等の表面性状の不良が
あり、これらの検出の手段としては作業者の目視並びに
専用の検出器を冷却ロール部、第１、第２の真空吸引コ
ンベヤ部或いは第２の真空吸引コンベヤの出側に設置し
て検出することが考えられ、不良部の発生及び解消に伴
って第１の真空吸引コンベヤを巻取り位置と廃棄位置の
間で回動することで、不良部の分離を行うことができ
る。

【００２１】次に、図３、図４を参照して本発明の金属
薄帯製造装置の第２実施例を説明する。図３、図４は第
２実施例の金属薄帯製造装置を示す概略構成図であり、
図３は金属薄帯巻取位置に第１の真空吸引コンベヤの後
端部が位置している状態を示し、図４は金属薄帯廃棄位
置に第１の真空吸引コンベヤの後端部が位置している状
態を示す。尚、第１実施例の金属薄帯製造装置と同じ要
素は同じ符号で示す。

【００２２】金属薄帯製造装置３０の特徴は、第１の真
空吸引コンベヤ２０の吸引終了位置２０ｆと第２の真空
吸引コンベヤ２２の吸引開始位置２２ｅとを一致させた
点にある。これにより、第１の真空吸引コンベヤ２０か
ら第２の真空吸引コンベヤ２２への金属薄帯１８の受渡
しがより確実にできる。金属薄帯製造装置３０の他の特
徴は、第２の真空吸引コンベヤ２２の吸引開始位置２２
ｅの近傍に、金属薄帯１８を切断するカッタ３２を備え
た点にある。これにより、第１の真空吸引コンベヤ２０
の後端部を回動させて金属薄帯１８の搬送方向を切換え
る際に金属薄帯１８を切断でき、金属薄帯１８の選別を
より確実に行える。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように本発明の金属薄帯製
造装置では、冷却ロールの外周部に近接して第１の真空
吸引コンベヤの吸引開始位置が配置され、金属薄帯を吸
着して搬送するので、金属薄帯を一定の場所で剥離で
き、また、金属薄帯に張力を付与して搬送してこの金属
薄帯を第２の真空吸引コンベヤにしわ、折れ、ばたつき
の無い安定した状態で受渡しできる。さらに、第１の真
空吸引コンベヤの後端部は、先端部を中心にして金属薄
帯巻取位置と金属薄帯廃棄位置との間を回動できるの
で、金属薄帯の製造初期や製造途中で発生した不良部等
を良品と選別でき、しかも、金属薄帯に破断が発生して
も製造を中断せずに第２の真空吸引コンベヤに良品を搬
送でき、再び巻き付けできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例の金属薄帯製造装置を示す
概略構成図であり、金属薄帯巻取位置に第１の真空吸引
コンベヤの後端部が位置している状態を示す。

【図２】本発明の第１実施例の金属薄帯製造装置を示す
概略構成図であり、金属薄帯廃棄位置に第１の真空吸引
コンベヤの後端部が位置している状態を示す。

【図３】本発明の第２実施例の金属薄帯製造装置を示す
概略構成図であり、金属薄帯巻取位置に第１の真空吸引
コンベヤの後端部が位置している状態を示す。

【図４】本発明の第２実施例の金属薄帯製造装置を示す
概略構成図であり、金属薄帯廃棄位置に第１の真空吸引
コンベヤの後端部が位置している状態を示す。

【符号の説明】

１０，３０ 金属薄帯製造装置 １２ 溶融金属 １６ 冷却ロール １８ 金属薄帯 ２０ 第１の真空吸引コンベヤ ２０ｆ 第１の真空吸引コンベヤの吸引終了位置 ２２ 第２の真空吸引コンベヤ ２２ｅ 第２の真空吸引コンベヤの吸引開始位置 ３２ カッタ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 一之 千葉市中央区川崎町１番地 川崎製鉄株式 会社千葉製鉄所内 (72)発明者 田村 望 千葉市中央区川崎町１番地 川崎製鉄株式 会社千葉製鉄所内 (72)発明者 森脇 三郎 千葉市中央区川崎町１番地 川崎製鉄株式 会社千葉製鉄所内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転している冷却ロールの外周に溶融金
   属を接触させて金属薄帯を製造する金属薄帯製造装置に
   おいて、 吸引開始位置が前記冷却ロールの外周に近接して配置さ
   れると共に先端部を中心にして後端部が金属薄帯巻取位
   置と金属薄帯廃棄位置との間を回動する、前記冷却ロー
   ルから金属薄帯を剥離して吸着し前記吸引開始位置から
   前記後端部まで搬送する第１の真空吸引コンベヤと、 前記金属薄帯巻取位置に位置した前記後端部に近接して
   配置された先端部を有し、前記第１の真空吸引コンベヤ
   によって搬送されてきた金属薄帯を吸着して搬送する第
   ２の真空吸引コンベヤとを備えたことを特徴とする金属
   薄帯製造装置。
2. 【請求項２】 前記第１の真空吸引コンベヤの吸引終了
   位置と前記第２の真空吸引コンベヤの吸引開始位置とを
   一致させてなることを特徴とする請求項１記載の金属薄
   帯製造装置。
3. 【請求項３】 前記第２の真空吸引コンベヤの吸引開始
   位置の近傍に、前記金属薄帯を切断するカッタを備えた
   ことを特徴とする請求項１記載の金属薄帯製造装置。