JPH07211526A - 鉄−希土類−窒素系永久磁石材料およびその製造方法 - Google Patents

鉄−希土類−窒素系永久磁石材料およびその製造方法

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JPH07211526A
JPH07211526A JP6003385A JP338594A JPH07211526A JP H07211526 A JPH07211526 A JP H07211526A JP 6003385 A JP6003385 A JP 6003385A JP 338594 A JP338594 A JP 338594A JP H07211526 A JPH07211526 A JP H07211526A
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iron
rare earth
permanent magnet
nitrogen
magnetic field
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JP6003385A
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Masao Iwata
雅夫 岩田
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Hitachi Metals Ltd
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Publication date
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/032Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials
    • H01F1/04Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials metals or alloys
    • H01F1/047Alloys characterised by their composition
    • H01F1/053Alloys characterised by their composition containing rare earth metals
    • H01F1/055Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5
    • H01F1/059Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and Va elements, e.g. Sm2Fe17N2

Abstract

(57)【要約】 【目的】 粒径がある程度大きくても磁気異方性を示す
ような鉄−希土類−窒素系永久磁石合金の粉末を得る。 【構成】 RをY,Thおよびすべてのランタノイド元
素からなる群の中から選ばれた1種類または2種類以上
の元素の組合せとするとき、原子百分率で、R:3〜3
0%、N:0.3〜25%を含み、残部が実質的にFe
から成る鉄−希土類−窒素系永久磁石材料を製造するに
際して、磁場の作用下において含N化処理を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、すぐれた磁気特性を有
する鉄−希土類−窒素系永久磁石材料の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】Fe,Co等の3d遷移金属とR(Y,
Thおよびすべてのランタノイド元素からなる群の中か
ら選ばれた1種類または2種類以上の元素の組合せ)と
からなる金属間化合物の中には高い結晶磁気異方性と大
きな飽和磁化とを示すものがあり、高保磁力、高エネル
ギ−積を有する永久磁石材料として有望である。中で
も、CoとRとの合金であるSmCo磁石(SmCo5
またはSm2Co17が主相)は実用材として広く用いら
れてきている。
【0003】しかし、FeとRとの合金については、F
e−Rのみの2元系からなる合金では、高いキュリー点
や一軸の結晶磁気異方性を得ることは難しいという問題
点を抱えている。このために、第3の元素としてB(硼
素)を添加することによりその点を改良した材料がすで
に提案されており(特開昭59−46008号)、この
Fe−R−B系磁石(Nd2Fe14Bが主相)は実用材
として既に広く用いられてきている。
【0004】また、N(窒素)を添加することにより上
記の問題点を改良した材料(特開昭60−131949
号)もすでに提案されており、このFe−R−N系磁石
(Sm2Fe173やNdFe11TiN等が主相)も実用
化を目前に控えている。このFe−R−N系磁石材料に
おいては、Nは格子間侵入型の原子として存在し、その
ことによって合金の飽和磁化が著しく増加しキュリー点
が高められるとともに保磁力もまた顕著に向上させられ
る。このように、Nは合金中において格子間侵入型の原
子として存在することが極めて重要な点である。そのた
めには、Nを材料中に含有させる方法としては、Nをも
ともと含むようなものを原材料として用いての溶解法に
よるよりも、むしろ、Nを実質的に含まないR−Fe合
金、またはNを含んでも所望のN含有量より少ないR−
Fe−N合金を作成後、この合金をNを含む適宜な気
体,固体または液体と反応させることによ材料中にNを
侵入させて、所望のN含有量とする方法の方が適してい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記したよう
な材料中にNを侵入させるために行なう、Nを含む適宜
な気体,固体または液体と反応させることにより材料中
にNを侵入させて、所望のN含有量とする処理(本明細
書中で「含N化処理」と呼ぶ)においては、その熱処理
条件をかなり厳密にコントロールする必要がある。即
ち、例えば処理温度が低すぎると反応がなかなか進まな
いし、一方それが高すぎるとNは格子間侵入型の原子と
して存在するよりはRとの化合物を作ってしまう。(後
者の場合、余ったFeはα-Feとして遊離する。これ
らの反応は一般に「分解」と称されている。)
【0006】また、Fe−R−N系磁石合金は上記分解
の問題があるので、高温に加熱する必要のある焼結磁石
として利用することは容易でないことから、微粉化した
上で適宜なバインダー(Zn等の低融点金属やプラスチ
ックなど)で固めてボンド磁石として用いるのが一般的
である。上記の後者において微粉化することが必要であ
る一つの理由は、一つの粒子の中で磁化容易軸が幾つか
の方向に分散しているという状態を避けるためである。
そのような状態では、異方性ボンド磁石とすべくバイン
ダー固化の前に磁場を印加して粒子を配向させても、全
体としての磁化容易軸の揃い方は不十分なものにしかな
らないので、高性能な異方性磁石とすることができな
い。そこで、一つの粒子の中には一つの磁化容易軸しか
含まれないようにするために、1.5μm以下の微粉と
することが必要なのであるが、このとき、一方では、微
粉にすればするほど比表面積が大きくなることから酸化
が激しくなるという問題点がクローズアップされてく
る。従って、あまり微粉とはせずに一つの粒子の中には
たとえ幾つかの磁化容易軸が含まれていようとも、それ
ら磁化容易軸の方向ができるだけ揃っているような状態
を実現することができれば極めて好都合である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願発明者は、上記した
ような点の改良を計るべく鋭意検討を進めた結果、上記
含N化処理を磁場の作用下において実施するようにすれ
ば、上に述べたような問題点に対し顕著な改善効果が得
られることを見い出して本願を完成させたものである。
【0008】すなわち、本発明は、RをY,Thおよび
すべてのランタノイド元素からなる群の中から選ばれた
1種類または2種類以上の元素の組合せとするとき、原
子百分率で、R:3〜30%、N:0.3〜25%を含
み、残部が実質的にFeから成る鉄−希土類−窒素系永
久磁石材料を製造する方法であって、R−Fe材料また
はR−Fe−N材料に磁場の作用下において含N化処理
を施すことを特徴とする鉄−希土類−窒素系永久磁石材
料の製造方法である。
【0009】
【作用】以下、本発明の鉄−希土類−窒素系永久磁石材
料の製造方法につき詳細に説明する。本発明において、
含N化処理の間に印加する磁場は、次のように作用する
ことにより効果を生じているものと考えられる。即ち、
まず本発明の対象とする鉄−希土類−窒素系永久磁石合
金の磁化容易軸の方向は合金の結晶方位に依存する。な
お、その磁化容易軸の方向は含N化処理によりNを侵入
させる前と後とでは変化する場合が多い。
【0010】また、これらの鉄−希土類−窒素系永久磁
石合金は、Nを侵入させる前には一般に300℃よりも
低いキュリー点を有する。ところが、含N化処理により
それにNを侵入させると、キュリー点は合金の組成にも
依存するが多くの場合470℃程度にまで上昇する。従
って、Nを侵入させる前の合金のキュリー点よりも高
く、かつ、Nを侵入させた後の合金のキュリー点よりは
低いような温度において含N化処理する場合、合金は含
N化処理の間において非磁性(正確に言うと、常磁性,
反磁性など)材料から強磁性材料へと変化することにな
る。
【0011】従って、このときに磁場が印加されていれ
ば、印加磁場の方向と含N化処理された後の合金が示す
磁化容易軸の方向とが平行であるような結晶粒において
は、その含N化プロセスは強く促進される傾向を有す
る。しかし、印加磁場の方向と含N化処理された後の合
金が示す磁化容易軸の方向とが垂直であるような結晶粒
においては、その含N化プロセスは上記平行な結晶粒ほ
どには促進されない。従って、このような含N化処理の
結果として生成される構造は、一つの粒子の中に複数の
結晶粒を含むようなものであっても、全体としては含N
化処理の間の印加磁場方向に磁化容易方向を有するよう
な異方性を示すものとなる。
【0012】また、上記のように、Nを侵入させる前の
合金のキュリー点よりは高くかつNを侵入させた後の合
金のキュリー点よりは低いような温度で含N化処理する
ことにより、合金が含N化処理の間において非磁性材料
から強磁性材料へと変化するような場合には、磁場の印
加がNの侵入を促進させることから、磁場の印加がない
ときよりはより低い温度でも反応が進行しやすくなるこ
とから処理温度の許容幅が広くなる。
【0013】Nを侵入させるために気体を用いる場合に
は、NH3ガス、N2+H2混合ガス、N2ガス、およびこ
れらの混合ガス等(H2ガスもしくはその他の不活性ガ
ス等で希釈する場合を含む)を用いることが出来る。ま
た、その場合の処理温度としては、上に述べたことから
明らかなようにNを侵入させる前の合金のキュリー点よ
りは高くかつNを侵入させた後の合金のキュリー点より
は低いような温度に選ぶ必要があるが、200〜500
℃、特に350〜450℃とすれば多くの場合に好結果
が得られる。また、その場合の処理時間としては通常
0.2〜100h程度でよいが、材料の所望特性に応じ
て適宜選択すればよい。
【0014】含N化処理の間に作用させる磁場の強度に
ついては、300Oe以上とするのがよい。これ以下の
磁場強度では本発明の効果が十分得られない。言うまで
もなく、本発明の効果を最大限に得るためには磁場強度
は高ければ高いほど好ましい。好ましくは500Oe以
上、さらに好ましくは1,000Oe以上、できること
なら2,000Oe以上であることが望ましい。もちろ
んこれ以上の、例えば5,000Oe、10,000O
eを作用させることができるならばそれに越したことは
ない。しかし、本発明方法において高い磁場を作用させ
ようとすると装置に相応の工夫が必要となってくるとと
もに、本発明方法では一般には粉末にを処理する場合が
多いので必要以上に強い磁場は粉同士の強い凝集を招く
という問題が生じてくるので、効果が得られる範囲で適
宜な磁場強度に留めておくのが賢明である。それは約
1,000Oe程度を目安にすればよい場合が多い。本
発明方法は、微粉化されていない粉末に含まれる磁化容
易軸の方向を揃え、磁気特性の向上を促進する。具体的
には、平均粒径5〜1000μm程度の粉末に適用する
ことができる。
【0015】また、Nを侵入させるために固体を用いる
場合には、有機アミン類、ヒドラジン類またはシアノ化
合物類を用いることが出来る。また、その場合の処理温
度としては通常200〜500℃、特に350〜450
℃とすればよい。その場合の処理雰囲気としては非酸化
性ガス雰囲気であればよい。また、その場合の処理時間
としては通常0.2〜100h 程度でよいが、材料の所
望特性に応じて適宜選択すればよい。以上のような処理
を施すことにより、平均粒径5〜1000μm、σP
σVが2.5以上(ただし、σP,σVは、それぞれ振動資
料型磁力計を用い最大印加磁場を14kOeとして測定
したときの配向磁場に平行方向の飽和磁化、垂直方向の
飽和磁化を示す。)という異方性の優れた鉄−希土類−
窒素系永久磁石材料が得られる。ここで、平均粒径が5
μm未満では酸化防止に効果がなく、1000μmを越
えるとボンド磁石製造時に不都合を生じるからである。
望ましい平均粒径は10〜500μm、さらに望ましく
は15〜100μmである。、これを周知の方法により
バインダーで結合、固化してボンド磁石とすることがで
きる。。
【0016】本発明の製造方法は、RをY,Thおよび
すべてのランタノイド元素からなる群の中から選ばれた
1種類または2種類以上の元素の組合せとするとき、原
子百分率で、R:3〜30%、N:0.3〜25%を含
み、残部が実質的にFeから成る鉄−希土類−窒素系永
久磁石合金に適用して効果を有する。また、MをTi,
V,Mo,Nb,Ga,Cr,Al,Mn,Ta,W,
Mg,Sn,Ge,Zr,Hf,Si,P,Biからなる群
の中から選ばれた1種類または2種類以上の元素の組合
せ、XをCもしくはBまたはこれらの元素の組合せとす
るとき、上記の合金のFeの一部を置換して、原子百分
率で、M:18%以下、X:25%以下、Ag:5%以
下、Co:50%以下、Ni:30%以下を含むように
した鉄−希土類−窒素系永久磁石合金に適用することも
できる。
【0017】Rは、磁気異方性を生み保磁力を発生させ
る上で本質的な役割を担う、極めて重要な構成元素であ
る。Rとしては、Y,Thおよびすべてのランタノイド
元素、すなわち、Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,
Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Y
b,LuおよびThが含まれ、これらからなる群の中か
ら選ばれた1種類または2種類以上の元素の組合せとし
て用いればよい。Rは、原子百分率で3〜30%、好ま
しくは5〜18%、さらに好ましくは6〜12%の範囲
にあることが必要である。
【0018】Rが3%未満では保磁力が得られないの
で、Rの下限は3%とする。一方、Rが30%を超える
と飽和磁化が小さくなりすぎるとともに、材料の酸化が
激しく耐食性がきわめて悪くなるので、Rの上限は30
%とする。安定した磁気特性を得るためには、Rの量は
通常5〜18%の範囲に選ぶことが望ましい。とりわけ
Rの量を6〜12%とするときは高い飽和磁化が得られ
やすい。なお、Rを7〜9%に選択することによりTh
Mn12型正方晶構造が安定に得られやすい。ThMn12
型正方晶構造の鉄−希土類−窒素系合金は優れた永久磁
石特性を示すものである(特開平5−65603号)。
【0019】Nは、本発明の合金においては、格子を伸
長する点で大いに効果のある格子間侵入型の原子として
作用する。磁気特性面からいうと飽和磁化を著しく増し
キュリー点を高めるとともに保磁力を顕著に向上させる
という点で、永久磁石特性の向上に対して極めて重要な
役割を果たすところの元素である。これらの中でも特に
Nはその効果が極めて顕著であり、有効な元素である。
Nの添加量は、原子百分率で0.3〜25%、好ましく
は5〜20%、さらに好ましくは4〜15%の範囲にあ
ることが望ましい。
【0020】Nが0.3%未満では上記したようなNの
添加効果が認められないので、Nの下限は0.3%とす
る。一方、Nが25%を超えると飽和磁化がかえって小
さくなりすぎるので、Nの上限は25%とする。上記し
たようなNの添加効果を安定的に発揮させるためには、
Nの量は通常5〜20%、とりわけ4〜15%の範囲に
選ぶことが望ましい。
【0021】Mは、ThMn12型正方晶構造を生成する
上で大きな効果を持つ元素である。ThMn12型正方晶
構造の磁石合金を得るためにはMを原子百分率で3%以
上用いることが好ましい。MとしてはTi,V,Mo,
Nb,Ga,Cr,Al,Mn,Ta,W,Mg,S
n,Ge,Zr,Hf,Si,P,Biからなる群の中から
選ばれた1種類または2種類以上の元素の組合せとして
用いればよい。Mについての上記の効果を発揮させるた
めには、Mの合計量は原子百分率で3〜18%であるこ
とが望ましく、通常は5〜15%であることが好まし
い。Mが3%未満ではThMn12型正方晶構造安定化の
効果が得られにくい。一方、Mが18%を超えると飽和
磁化が小さくなりすぎ本発明の目的から逸脱するので、
Mの上限は18%とする。
【0022】X即ちCもしくはBは、本発明の合金にお
いては、Nと同様に格子を伸長する点で大いに効果のあ
る格子間侵入型の原子として作用する。磁気特性面から
いうと飽和磁化を著しく増しキュリー点を高めるととも
に保磁力を顕著に向上させるという点で、永久磁石特性
の向上に対して重要な役割を果たすところの元素であ
る。本発明の合金においては、Xを用いないことも可能
であるが、Xを用いた場合には上記したような効果を得
ることが可能となる。Xを用いる場合のその添加量は、
原子百分率で0.3〜25%、好ましくは5〜20%、
さらに好ましくは4〜15%の範囲にあることが望まし
い。
【0023】Xが0.3%未満では上記したようなXの
添加効果が認められないので、Xの下限は0.3%とす
る。一方、Xが25%を超えると飽和磁化がかえって小
さくなりすぎるので、Xの上限は25%とする。上記し
たようなXの添加効果を安定的に発揮させるためには、
Xの量は通常5〜20%、とりわけ4〜15%の範囲に
選ぶことが望ましい。
【0024】Cを含有させる方法については、前記Nの
場合と同様に、Cを含む適宜な気体,固体または液体と
反応させることにより材料中にCを侵入させるという方
法によってもよいし、Cをもともと含むようなものを原
材料として用いることも通常に可能である。ただし、C
をもともと含むようなものを原材料として用いる場合で
も、もしCの化合物の形のものを用いる場合には、極め
て安定な化合物,例えばM元素との炭化物,R元素との
炭化物,等は合金中においてC原子単体の形に解離せ
ず、従って格子間侵入型の原子として存在させることが
困難な場合が多いので、あまり好ましくない。Cの原材
料としては、黒鉛等の純元素,または比較的安定度の低
い化合物,例えばFe3C等のようなFeとの炭化物,
等が推奨される。
【0025】格子間侵入型元素として、N,C,Bの元
素を組み合わせて用いるといっそう効果的である場合も
ある。NおよびCはいずれも格子間侵入型に存在し得る
原子であるという点では共通点を有するのであるが、C
は上記のように原材料から、Nは気体から、というふう
に敢えて異なった機構を通じて合金中に含有させるよう
にすれば、それらの各々の機構で占めやすい格子間位置
を各々の原子に占めさせ得ることから、性格の異なる両
機構をともに利用することにより格子間侵入型構造の形
成をより確実なものとするようにできることが期待され
る。また、そのような機構の違いに由来して、また、N
とCとの間の原子径・原子価(即ち,電子構造)等の違
いに由来して、NとCとの間にはその効果の細部につい
ては当然差異があることが予想される。
【0026】Agは合金の粉砕性を顕著に向上させるの
に有効な元素である。Agによる粉砕性の改善効果は、
AgとFeとの固溶度が低く両者は分離する傾向がある
ので、AgはFeを主成分とする結晶粒の周囲に存在す
るようになることから実現されるものと考えられる。さ
らに、このAgは粒界に存在するその他の元素(粒界は
Fe以外の元素,即ちR等に富んでいる場合が多い)と
の化合物を作り、それが脆性に富む性質を持つので粉砕
性が向上するものとも考えられる。一方、このAgは、
結晶粒を微細化させることによってそれを単磁区化させ
るのに有効な元素でもある。Agによる結晶粒の微細化
は、上記したようにAgとFeとの固溶度が低く両者は
分離する傾向があるので、AgはFeを主成分とする結
晶粒の周囲に存在するようになることから実現されるも
のと考えられる。また、他方では、AgはThMn12
正方晶構造を生成する上でも大きな効果を持つ元素であ
ることが分かった。特にMと共同した場合にその効果が
顕著である。
【0027】本発明の製造方法はAgを添加しない合金
に対して適用することも可能ではあるが、Agを添加し
た合金に対して適用することによって、上記したAgの
効果を得るようにすることが、より好ましい。本発明の
異方性化効果がAgによる結晶粒微細化効果と相俟った
ときには実用上特に大きな意義を有する。それらの効果
を発揮させるためには、Agの添加量は原子百分率で
0.05〜5%であればよいが、通常は0.1%以上,
3%未満、好ましくは0.2%以上,1%未満、特に好
ましくは0.3%以上,0.8%未満であることが望ま
しい。Agが0.05%未満では上記した効果が得られ
ないので、Agの下限は0.05%とする。一方、Ag
が5%を超えると飽和磁化の減少を来たすとともに原材
料費の高騰を招くので、Agの上限は5%とする。Ag
を0.1%以上、特に0.2%以上添加することにより
粉砕性が顕著に改善されてくる。またAgを0.3以上
添加することによりThMn12型正方晶構造が安定に得
られやすくなる。
【0028】一方、Agの添加量が1%以上になると次
第に飽和磁化が低下してくるようになるので、Agの添
加量は可能な限り少ない範囲で用いることが望ましい。
なおAgの添加量が3%以上では効果が飽和してくる傾
向があるので通常は3%未満で用いることが好ましい。
Agの添加量としては0.8%未満でも十分に有効な効
果を得られる場合が多いので、その範囲で効果的な添加
量を見い出して用いることが推奨される。
【0029】なお、本発明合金から得られる永久磁石特
性をいっそう確実なものとし、所望の特性を得るため
に、本発明と超急冷法やメカニカルアロイング法等の処
理を組み合わせてもよいことは言うまでもない。
【0030】本発明の鉄−希土類−窒素系永久磁石材料
において、Feの一部をCoで置換することにより、保
磁力を向上させると共に材料磁気特性の温度特性を向上
させることができる。このためにはCoの量は原子百分
率で1〜50%、好ましくは5〜30%の範囲にあるこ
とが望ましい。Co含有量が1%未満では保磁力を向上
する効果が小さく、また50%を越えると飽和磁束密度
が次第に低下してくる。Coの量を5〜30%に選ぶこ
とにより材料磁気特性の温度特性が向上する。
【0031】本発明の鉄−希土類−窒素系永久磁石材料
において、Feの一部をNiで置換することにより、材
料の耐食性を改善させることができる。このためにはN
iの量は原子百分率で0.5〜30%、好ましくは2〜
10%の範囲にあることが望ましい。0.5%未満では
耐食性の向上効果が少なく、また30%を越えると飽和
磁束密度が低下する。
【0032】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明は特にこれらに限定されるものではな
い。
【0033】(実施例1)合金組成が原子比でSm1
0.44%,Ag0.78%,残Feとなるように原料
を配合し、これをアルゴン雰囲気中で溶製した。得られ
たインゴットを1080℃で16h 焼鈍した後、鉄製乳
鉢中で粗粉砕し、さらにディスクミルで粉砕して、約2
0μm径の粉体とした。この粉体にNを含有させるため
に、これをNH3ガス中において430℃で48h 処理
した。この場合、処理中に磁場を作用させるために、上
記合金粉体をステンレス金網で軽く包みその外側にアル
ニコ磁石を配置した。試料粉体は430℃に昇温しても
アルニコからの磁束による磁場が800Oeを下回らな
いような範囲内に配した。この処理により合金中にNが
2.586重量%含有された。これから計算すると、材
料全体としての組成は、原子比でSm9.28%,Ag
0.70%,N11.1%,残Feに相当する。この粉
体を15kOeの磁場中で配向させワックスで固化した
後、磁気特性をVSM(Vibrating Samp
le Magnetometer:振動試料型磁力計)
によって最大印加磁場=14kOeで測定したところ、
配向磁場に平行な方向での特性は、飽和磁化143emu/
g,保磁力2.6kOeであった。また、配向磁場に垂
直な方向での特性は、飽和磁化47emu/g,保磁力1.
8kOeであった(σP/σV=3.04)。なお、含N
化処理前後の材料のキュリー温度は、それぞれ120
℃、470℃である。
【0034】なお、比較のために、上記のNH3ガス中
430℃処理においてアルニコ磁石を配置しなかった他
には上記と同様に処理することにより、比較材の粉体を
得た。この処理により材料中にNが2.848重量%含
有された。これから計算すると、材料全体としての組成
は、原子比でSm9.17%,Ag0.69%,N1
2.2%,残Feに相当する。この粉体を上記と同様に
15kOeの磁場中で配向させワックスで固化した後、
同様に磁気特性をVSMによって測定したところ、配向
磁場に平行な方向での特性は、飽和磁化136emu/g,
保磁力2.1kOeであった。また、配向磁場に垂直な
方向での特性は、飽和磁化65emu/g,保磁力1.9k
Oeであった(σP/σV=2.09)。本発明材は比較
材に比較して、配向磁場に平行な方向と垂直な方向との
間の特性の差が大きく、磁気異方性が大きいことが判
る。また特性の値そのものも本発明材の方が比較材より
も高い。
【0035】(実施例2)合金組成が原子比でNd7.
69%,Ti3.08%,Mo3.08%,V3.08
%,残Feとなるように原料を配合し、これをアルゴン
雰囲気中で溶製した。得られたインゴットを1080℃
で16h 焼鈍した後、鉄製乳鉢中で粗粉砕し、さらにデ
ィスクミルで粉砕して、約20μm径の粉体とした。こ
の粉体にNを含有させるために、これをN290%+H2
10%混合ガス中において440℃で64h 処理した。
この場合、処理中に磁場を作用させるために、上記合金
粉体をステンレス金網で軽く包みその外側にアルニコ磁
石を配置した。試料粉体は440℃に昇温してもアルニ
コからの磁束による磁場が800Oeを下回らないよう
な範囲内に配した。この処理により材料中にNが1.4
55重量%含有された。これから計算すると、材料全体
としての組成は、原子比でNd7.21%,Ti2.8
8%,Mo2.88%,V2.88%,N6.27%,
残Feに相当する。この粉体を15kOeの磁場中で配
向させワックスで固化した後、実施例1と同様に磁気特
性をVSMによって測定したところ、配向磁場に平行な
方向での特性は、飽和磁化134emu/g,保磁力2.3
kOeであった。また、配向磁場に垂直な方向での特性
は、飽和磁化43emu/g,保磁力1.8kOeであった
(σP/σV=3.12)。なお、含N化処理前後の材料
のキュリー温度は、それぞれ240℃、460℃であ
る。
【0036】なお、比較のために、上記のN290%+
210%混合ガス中420℃処理においてアルニコ磁
石を配置しなかった他には上記と同様に処理することに
より、比較材の粉体を得た。この処理により材料中にN
が1.488重量%含有された。これから計算すると、
材料全体としての組成は、原子比でNd7.20%,T
i2.88%,Mo2.88%,V2.88%,N6.
41%,残Feに相当する。この粉体を上記と同様に1
5kOeの磁場中で配向させワックスで固化した後、磁
気特性をVSMによって測定したところ、配向磁場に平
行な方向での特性は、飽和磁化129emu/g,保磁力
2.1kOeであった。また、配向磁場に垂直な方向で
の特性は、飽和磁化56emu/g,保磁力1.9kOeで
あった(σP/σV=2.30)。本発明材は比較材に比
較して、配向磁場に平行な方向と垂直な方向との間の特
性の差が大きく、磁気異方性が大きいことが判る。また
特性の値そのものも本発明材の方が比較材よりも高い。
また、得られた粉体をCuKα線を用いてX線回折した
ところ、本発明材も比較材も結晶構造はThMn12型正
方晶であることが確認された。
【0037】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、粒径がある程度大きくても磁気異方性を示すような
鉄−希土類−窒素系永久磁石合金の粉体を得ることがで
きるので、ボンド永久磁石を製作する場合等において実
用上きわめて有用なものである。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 RをY,Thおよびすべてのランタノイ
    ド元素からなる群の中から選ばれた1種類または2種類
    以上の元素の組合せとするとき、原子百分率で、R:3
    〜30%、N:0.3〜25%を含み、残部が実質的に
    Feから成る鉄−希土類−窒素系永久磁石材料を製造す
    る方法であって、R−Fe材料またはR−Fe−N材料
    に磁場の作用下において含N化処理を施すことを特徴と
    する鉄−希土類−窒素系永久磁石材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 含N化処理温度が、含N化処理前の材料
    のキュリー点よりも高く、かつ、含N化処理後の材料の
    キュリー点よりも低いものである請求項1に記載の鉄−
    希土類−窒素系永久磁石材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 作用させる磁場の強さが300Oe以上
    である請求項1または2に記載の鉄−希土類−窒素系永
    久磁石材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 含N化処理をNを含む気体中で行う請求
    項1ないし3の何れかの項に記載の鉄−希土類−窒素系
    永久磁石材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 Nを含む気体が、NH3ガス、N2ガスと
    2ガスの混合気体、またはN2ガスである請求項4に記
    載の鉄−希土類−窒素系永久磁石材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 含N化処理は、R−Fe材料またはR−
    Fe−N材料からなる粉末に施す請求項1ないし5の何
    れかの項に記載の鉄−希土類−窒素系永久磁石材料の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 鉄−希土類−窒素系永久磁石材料が、 MをTi,V,Mo,Nb,Ga,Cr,Al,Mn,
    Ta,W,Mg,Sn,Ge,Zr,Hf,Si,P,Bi
    からなる群の中から選ばれた1種類または2種類以上の
    元素の組合せ、 XをCもしくはBまたはこれらの元素の組合せとすると
    き、 M:18%以下、X:25%以下、Ag:5%以下、C
    o:50%以下、Ni:30%以下を含むものである請
    求項1〜6のいずれかの項に記載の鉄−希土類−窒素系
    永久磁石材料の製造方法。
  8. 【請求項8】 RをY,Thおよびすべてのランタノイ
    ド元素からなる群の中から選ばれた1種類または2種類
    以上の元素の組合せとするとき、原子百分率で、R:3
    〜30%、N:0.3〜25%を含み、残部が実質的に
    Feから成る鉄−希土類−窒素系永久磁石粉末とこれを
    結合固化するバインダーとからなる永久磁石材料を製造
    する方法であって、R−Fe材料またはR−Fe−N材
    料からなる粉末に磁場の作用下において含N化処理を施
    し、しかる後バインダーにより当該粉末を結合固化する
    ことを特徴とする鉄−希土類−窒素系永久磁石材料の製
    造方法。
  9. 【請求項9】 RをY,Thおよびすべてのランタノイ
    ド元素からなる群の中から選ばれた1種類または2種類
    以上の元素の組合せとするとき、原子百分率で、R:3
    〜30%、N:0.3〜25%を含み、残部が実質的に
    Feからなり、平均粒径5〜1000μm、σP/σV
    2.5以上(ただし、σP,σVは、それぞれ振動資料型
    磁力計を用い最大印加磁場を14kOeとして測定した
    ときの配向磁場に平行方向の飽和磁化、垂直方向の飽和
    磁化を示す。)であることを特徴とする鉄−希土類−窒
    素系永久磁石粉末。
  10. 【請求項10】 RをY,Thおよびすべてのランタノ
    イド元素からなる群の中から選ばれた1種類または2種
    類以上の元素の組合せとするとき、原子百分率で、R:
    3〜30%、N:0.3〜25%を含み、残部が実質的
    にFeからなり、平均粒径5〜1000μm、σP/σV
    が2.5以上(ただし、σP,σVは、それぞれ振動資料
    型磁力計を用い最大印加磁場を14kOeとして測定し
    たときの配向磁場に平行方向の飽和磁化、垂直方向の飽
    和磁化を示す。)である鉄−希土類−窒素系永久磁石粉
    末とこれを結合固化するバインダーとからなる鉄−希土
    類−窒素系永久磁石材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013042721A1 (ja) * 2011-09-22 2013-03-28 戸田工業株式会社 強磁性窒化鉄粒子粉末の製造方法、異方性磁石、ボンド磁石及び圧粉磁石

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CN103814417A (zh) * 2011-09-22 2014-05-21 户田工业株式会社 强磁性氮化铁颗粒粉末的制造方法、各向异性磁铁、粘结磁铁和压粉磁铁

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