JPH0720237U - 主軸スルークーラント方式の交換ヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 マシニングセンタ等の交換ヘッドの深穴加工
用工具などに対して、割出し角度に制約されずに主軸ス
ルークーラント方式により切削水を供給する。 【構成】 主軸ラムの本機主軸に対して直角ないし傾斜
角をつけて連結される第２主軸を保持する交換ヘッドに
おいて、本機主軸と第２主軸を連結する中間主軸を保持
する縦ハウジングの円筒部の外周に継手部材を回転自在
に嵌合し、継手部材にクーラント通路を設けて主軸ラム
のクーラント通路とチェックバルブ付き接続手段で連通
させるとともに、縦ハウジングのクーラント通路とは相
互の嵌合面に形成した環状溝で連通させ、さらに、縦ハ
ウジングのクーラント通路と第２主軸内部のクーラント
パイプとをロータリジョイントを介して接続した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、マシニングセンタの五面加工機等の交換ヘッドに関し、特に主軸 ラムの本機主軸に対して直角ないし任意の傾斜角をつけて連結される第２主軸の 中心を経由して工具の中心にクーラントを供給する主軸スルークーラント方式の 交換ヘッドに関する。

【０００２】

【従来の技術】

工作機械におけるドリル加工、エンドミル加工などの深穴加工の場合は、工作 機械の固定部に設けたクーラントノズルから工具先端へクーラントを噴射する方 式では冷却効果が不十分であり、また、このような外部のクーラントノズル方式 では、工具交換などで刃先の位置が変わるとノズルの吐出方向を変更しなければ ならない不便がある。このため工具の内部から先端へクーラントを供給する手段 が講じられている。 工具の内部へクーラントを供給する手段としては、クーラント通路を有する非 回転部を工具ホルダの外周部に接続する機構を設けたオイルホールホルダがある 。しかしこの工具ホルダは複雑な構成のため高価であり、一般的ではない。 そこで一般の工具ホルダで保持された工具の内部へクーラントを供給する手段 として、主軸の中心を経由してクーラントを供給する主軸スルークーラント方式 が採用されている。

【０００３】 しかしながら、ワークを一度取り付けた後は上面加工のほか４側面ないし多側 面の加工も連続して行なえる五面加工マシニングセンタ等の場合、主軸ラム先端 の着脱可能な主軸ヘッド（以下、交換ヘッドという）に対するクーラント通路の 接続が困難なため、主軸スルークーラント方式の切削水供給装置は適用されてい ない。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】 本考案は、五面加工マシニングセンタ等の交換ヘッドに装着された工具の内部 へ切削水を供給できる主軸スルークーラント方式の交換ヘッドの提供を目的とす る。 さらに本考案は、９０°毎４ポジションないし５°毎７２ポジションの割り出 し可能な水平交換ヘッドおよび任意の角度を持った交換ヘッドに装着された工具 内部へ切削水を供給できる主軸スルークーラント方式の交換ヘッドの提供を目的 とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記課題は、工作機械の本機主軸１１に対して直角ないし任意の傾斜角をつけ て連結される第２主軸４４を保持し、主軸ラム１０に着脱自在にかつ割り出し自 在に取り付けられる交換ヘッド２０において、前記本機主軸と着脱自在に連結さ れるとともに前記第２主軸と傘歯車２６，４５を介して連結される中間主軸２５ と、前記中間主軸を回転自在に支持するとともに内部に潤滑油、クーラント等流 体の通路２４を有する縦ハウジング２１と、内部に前記流体の通路３４を有し前 記縦ハウジングの上部に設けられた円筒部２２の外周に回転自在に嵌合され、相 互の嵌合面に形成された環状溝２３，３５を介して前記縦ハウジングの各流体通 路とそれ自体の対応する各流体通路が回転時も連通する継手部材３０と、該継手 部材と前記主軸ラムの相互の対応する各流体通路を連通する接続手段１３，１４ と、前記縦ハウジングの下端部に結合され前記第２主軸を回転自在に支持する横 ハウジング４１と、前記第２主軸の中心に沿って挿入され、それ自体の中心に沿 ってクーラントパイプ４８を有する主軸ドローバ４７と、該主軸ドローバの後方 で前記横ハウジングに固定され、前記クーラントパイプとロータ５１を介して接 続されたロータリジョイント５０と、該ロータリジョイントの入口５２と前記縦 ハウジングのクーラント通路の出口５３とを接続したホース５４とからなる構成 としたことによって解決できる。

【０００６】

【作用】

主軸ラム１０に交換ヘッド２０を取り付けると、接続手段１３，１４により継 手部材３０と主軸ラム１０の相互の対応する各流体通路３４，１２が連通する。 継手部材の各流体通路３４は、嵌合面に形成された環状溝３５，２３を介して縦 ハウジング２１の対応する各流体通路２４に連通する。対応する各流体通路は環 状溝によって接続しているので、縦ハウジングを継手部材に対して相対回転して も常時連通が保たれ、交換ヘッドは主軸ラムに対して任意のポジションに割り出 し可能である。したがって、主軸ラムのクーラント通路１２を通ったクーラント は、継手部材のクーラント通路３４を経由して縦ハウジングのクーラント通路２ ４の出口まで導かれる。クーラントはさらにホース５４を介して第２主軸４４後 方のロータリジョイント５０に入り、ロータ５１を介して接続された主軸ドロー バ４７のクーラントパイプ４８に送り込まれる。このロータリジョイントを経由 することによって高速回転中の第２主軸の中心に常時クーラントが供給され、さ らに先端の切削工具４６の内部にクーラントが供給され、工具先端から吐出され る。

【０００７】

【実施例】

以下、図面に基ずいて本考案の実施例を説明する。図１は、五面加工マシニン グセンタの主軸ラムに装着された、本考案による主軸スルークーラント方式の交 換ヘッドの縦断面図である。図２は、図１のＡ−Ａ断面図である。縦形マシニン グセンタのＺ軸に沿って主軸ラム１０の下端部に、交換ヘッド２０が取付機構に より着脱自在に取り付けられている。本考案の交換ヘッド２０は、先に本出願人 が提案した９０°毎４ポジションないし５°毎７２ポジションの割出しが可能な 取付機構を備えている。 交換ヘッド２０は、縦ハウジング２１と継手部材３０とを有し、縦ハウジング ２１の上部に形成される円筒部２２の外周に、継手部材３０の円筒部３１が回転 自在に嵌合されている。円筒部２２の外面には、後述する継ぎ手部材の環状溝３ ５に対応する複数の環状溝２３が形成され、縦ハウジング２１の内部には潤滑油 、クーラント等流体の通路２４が設けられている。各流体通路２４は対応する環 状溝２３に連通している。縦ハウジング２１の中空部内面には支持部材２７が固 着され、支持部材２７はベアリングを介して中間主軸２５をＺ軸まわりに回転自 在に支持している。中間主軸２５の上端部は主軸ラム１０の本機主軸１１の下端 部に着脱自在に連結されている。中間主軸２５の下端部には傘歯車２６が取り付 けられている。 縦ハウジング２１の下端部には、Ｚ軸に直交するＹ軸に沿って中心を有する横 ハウジング４１が固着され、横ハウジング４１の両端部に支持部材４２，４３が 固着されている。支持部材４２，４３は、ベアリングを介して第２主軸４４をＹ 軸周りに回転自在に支持している。第２主軸４４は傘歯車４５を備え、中間主軸 ２５の傘歯車２６と噛み合って回転力が伝達される。第２主軸４４の先端には適 宜の切削工具４６が装着される。

【０００８】 縦ハウジング２１の外周部に配設された継手部材３０は、円筒部３１の上端部 にフランジ部３２が一体に形成され、これを介して主軸ラム１０に着脱自在に固 定されている。フランジ部３２の上面には開口３３が設けられている。開口３３ は座ぐり穴として形成され、主軸ラム１０側の流体供給通路１２の本数に応じて 複数個設けられている。各開口３３はジョイント部材１４およびジョイント係合 部材１３を介して、それぞれ主軸ラム１０側の各流体通路１２に連結される。一 方、各開口３３は円筒部３１に設けられた縦穴３４に連通し、各縦穴３４は円筒 部３１の内面に設けられた複数の環状溝３５にそれぞれ連通している。これらの 環状溝３５は、縦ハウジング２１の円筒部外面に対応して設けられた環状溝２３ に連通し、各環状溝２３はそれぞれ潤滑油通路、エア通路などとして縦ハウジン グ２１内部の流体通路２４に連通している。

【０００９】 次に交換ヘッド２０の第２主軸４４を詳細に説明する。第２主軸４４の内部に は切削工具４６のプルスタッドをクランプして固定する主軸ドローバ４７が配設 されている。本考案の交換ヘッド２０は、主軸ドローバ４７の後部に流体用ロー タリジョイント５０が配設されている。ロータリジョイント５０は横ハウジング ４１の支持部材４３に取り付けられ、これに対して主軸ドローバ４７は相対移動 可能になっている。ロータリジョイント５０のロータ５１出口部は、主軸ドロー バ４７の中心に配設されたクーラントパイプ４８に接続され、切削工具４６の中 心に形成されたクーラント通路（図示しない）に連通している。一方、ロータリ ジョイント５０の入口部５２は、ホース５４を介して縦ハウジング２１のクーラ ント通路２４の出口部５３に接続されている。

【００１０】 第２主軸４４に装着された切削工具４６は、プルスタッドを主軸ドローバ４７ のコレットで把持され、皿ばねの付勢力により固定されている。切削工具４６を 交換するときは、主軸ドローバ４７の後端部にアンクランプシリンダ５５が配設 され、アンクランプシリンダ５５の先端部５６が、皿ばねの付勢力に抗して主軸 ドローバ４７の後端部を押圧してコレットのクランプを解除する。この場合、ロ ータリジョイント５０は主軸ドローバ４７の円筒状後端部の内部に位置している のでアンクランプシリンダ先端部５６の作動を妨げない。

【００１１】 上記のように構成された主軸スルークーラント方式の交換ヘッド２０の作用を 説明する。主軸ラム１０に配設されたパイプ１２の先端は、チェックバルブ（図 示しない）を内蔵するジョイント係合部材１３に連結されている。交換ヘッド２ ０を取り付けるとき、交換ヘッド２０が主軸ラム１０側に引き上げられることに より、継手部材３０側に立設されたジョイント部材１４がジョイント係合部材１ ３に自動的に連結されるとともに、継手部材３０が主軸ラム１０に固定される。 このときジョイント部材１４がチェックバルブを押し開けて、主軸ラム１０の流 体通路１２と継手部材３０の流体通路３４を連通させる。

【００１２】 継手部材の各流体通路３４は、嵌合面に形成された環状溝３５，２３を介して 縦ハウジング２１の対応する各流体通路２４に連通する。対応する各流体通路３ ４および２４は環状溝３５および２３によって接続しているので、縦ハウジング ２１を継手部材３０に対して相対回転しても常時連通が保たれ、交換ヘッド２０ は主軸ラム１０に対して任意のポジションに割り出し可能である。したがって、 主軸ラム１０のクーラント通路を通ったクーラントは、継手部材３０のクーラン ト通路３４を経由して縦ハウジング２１のクーラント通路２４の出口部５３まで 導かれる。クーラントはさらにホース５４（図２参照）を介して第２主軸４４後 方のロータリジョイント５０に入り、ロータ５１を介して接続された主軸ドロー バ４７のクーラントパイプ４８に送り込まれる。このロータリジョイント５０を 経由することによって高速回転中の第２主軸４４の中心に常時クーラントが供給 され、さらに先端の切削工具４６の内部にクーラントが供給され、工具先端から 吐出される。

【００１３】 図３は別の実施例の要部を示す部分断面図である。この実施例では、継手部材 ３０の円筒部３１外側にさらにリング部材６１が嵌合されている。リング部材６ １は縦ハウジング２１に固着され、継手部材３０の円筒部３１に対しては回転自 在になっている。リング部材６１も内部に設けられた縦穴６２と内面に形成され た環状溝６３を有している。各環状溝６３は対応する縦穴６２に接続され、縦穴 ６２の出口は縦ハウジング２１に設けられた流体通路２４に接続している。この 実施例の継手部材３０は、その外面にリング部材６１の環状溝６３と対応する環 状溝３６が形成されている。

【００１４】 上記のような構成を有するので、この実施例の場合、縦ハウジング２１の内側 に何らかの制約があるとき、あるいは多数の流体通路を必要とするときなど、ク ーラントを縦ハウジング２１外側のリング部材６１を経由させて第２主軸に供給 することができる。

【００１５】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案の主軸スルークーラント方式による交換ヘッドは 、主軸ラムのクーラント通路とチェックバルブ付き接続手段で連通するとともに 縦ハウジングのクーラント通路とは相互の嵌合面に形成された環状溝で連通する クーラント通路を備えた円筒状の継手部材を設けたことにより、割り出し角度に 制約されずに主軸ラムからクーラントの供給を受け、９０°毎４ポジションない し５°毎７２ポジションの割り出しが可能である。 さらに本考案の交換ヘッドは、縦ハウジングのクーラント通路と第２主軸内部 のクーラントパイプとをロータリジョイントを介して接続したことにより、高速 回転中の第２主軸の中心を通って切削工具に常時クーラントを供給することがで き、工作機械の深穴加工において十分な冷却作用を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による主軸スルークーラント方式の交換
ヘッドの実施例を示す縦断面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線による断面図である。

【図３】本考案による交換ヘッドの別の実施例の要部を
示す部分縦断面図である。

【符号の説明】

１０ 主軸ラム １１ 本機主軸 １３ ジョイント係合部材（接続手段） １４ ジョイント部材（接続手段） ２０ 交換ヘッド ２１ 縦ハウジング ２２ 円筒部 ２３，３５，３６，６３ 環状溝 ２４，３４，６２ 流体通路 ２５ 中間主軸 ２６，４５ 傘歯車 ３０ 継手部材 ４１ 横ハウジング ４４ 第２主軸 ４７ 主軸ドローバ ４８ クーラントパイプ ５０ ロータリジョイント ５１ ロータ ５２ ロータリジョイント入口 ５３ クーラント通路出口 ５４ ホース

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 工作機械の本機主軸に対して直角ないし
   任意の傾斜角をつけて連結される第２主軸を保持し、主
   軸ラムに着脱自在にかつ割り出し自在に取り付けられる
   交換ヘッドであって、 前記本機主軸と着脱自在に連結されるとともに前記第２
   主軸と傘歯車を介して連結される中間主軸と、 前記中間主軸を回転自在に支持するとともに内部に潤滑
   油、クーラント等流体の通路を有する縦ハウジングと、 内部に前記流体の通路を有し前記縦ハウジングの上部に
   設けられた円筒部の外周に回転自在に嵌合され、相互の
   嵌合面に形成された環状溝を介して前記縦ハウジングの
   各流体通路とそれ自体の対応する各流体通路が回転時も
   連通する継手部材と、 該継手部材と前記主軸ラムの相互の対応する各流体通路
   を連通する接続手段と、 前記縦ハウジングの下端部に結合され前記第２主軸を回
   転自在に支持する横ハウジングと、 前記第２主軸の中心に沿って挿入され、それ自体の中心
   に沿ってクーラントパイプを有する主軸ドローバと、 該主軸ドローバの後方で前記横ハウジングに固定され、
   前記クーラントパイプとロータを介して接続されたロー
   タリジョイントと、 該ロータリジョイントの入口と前記縦ハウジングのクー
   ラント通路の出口とを接続したホースとからなる主軸ス
   ルークーラント方式の交換ヘッド。
2. 【請求項２】 前記縦ハウジングが前記円筒部の外側に
   結合されたリング部材を有し、該リング部材は内部に少
   なくとも一つの流体通路を備えて前記継手部材の外周に
   回転自在に嵌合され、相互の嵌合面に形成された環状溝
   を介して前記継手部材の流体通路とそれ自体の流体通路
   が回転時も連通し、該リング部材の流体通路の一つをク
   ーラント通路として前記縦ハウジングのクーラント通路
   に接続した、請求項１に記載の主軸スルークーラント方
   式の交換ヘッド。