JPH0333395Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、主としてATC（自動工具交換装置）
を備えた数値制御工作機械、即ち所謂NCマシニ
ングセンタの主軸（スピンドル）に取付けて使用
される工具ヘツドに関する。

従来の技術 この種のNCマシニングセンタの主軸に取付け
られる工具ヘツドは、一般に主軸に嵌合連結され
る基端連結部と工具を保持する先端保持部とを有
してなり、ワーク（工作物）の加工条件に応じて
マガジン（工具の格納庫）から選択的に取出さ
れ、ATCの自動工具着脱装置により主軸に取付
けられるようになつている。

かかる工具ヘツドの中には、次のようにして
NCマシニングセンタによる切削加工の能率化を
図つたものがある。即ち、工具を主軸に対して鉛
直方向に所定角度傾いた状態で取付けれるように
して、一連の切削工程において、ワークのワーク
台に対する取付け態様を変更するといつたような
煩わしい段取り作業を要することなく、主軸に対
して所定の傾き角を有するワークの加工面を態率
よく切削できるようにしたものがある。以下、こ
のような工具ヘツドをアングルヘツドという。

また、増速機構を組込んで、快削鋼、アルミ合
金、プラスチツク等の切削性に優れたワークの高
速加工を可能にして、切削加工の能率化を図ると
ともに、ワークへの微細な穴明加工或いは研磨加
工を可能にしたものがある。

考案が解決しようとする問題点 しかしながら、従来のアングルヘツドは工具ヘ
ツドに保持された工具の主軸に対する傾き角が変
更できない構造であつたため、種々の相異なる傾
斜加工面を有するワークの切削を行う場合には、
これらの傾斜加工面に対応した複数の工具ヘツド
が必要になり、またその都度工具ヘツドの主軸に
対する着脱作業を要するという煩わしさがある。
このため、切削作業の能率化を図る上で限界があ
つた。

また、従来の増速機構はベルト伝動装置或いは
多数の平歯車、はすば歯車を組合わせた歯車機構
によるものであつたため、機械的振動を伴い加工
精度が悪くなる、主軸及びこれに連繋された増速
機構を駆動して工具を回転させる形態をとるため
主軸の回転数により工具の回転数が制限されるこ
とになり、高速加工を行う上で限界があるという
問題があつた。

本考案はかかる従来技術の問題点を解決するた
めなされたものであり、工具の主軸に対する水平
方向及び鉛直方向の傾き角度を変更し得、この結
果切削作業の能率を大幅に向上でき、また工具の
振動を可及的に抑止し得て加工精度を格段に向上
でき、更には高速加工が可能となる工具ヘツドを
提供することを目的とする。

問題点を解決するための手段 本考案に係る工具ヘツドは、基端に設けたテー
パシヤンクを工作機械の主軸に嵌合連結してある
基端連結部と、該基端連結部の先端側を支持し、
且つ支持部を介して前記工作機械に固定支持して
ある中間ハウジングと、該中間ハウジングの先端
側に連結してある内筒と、基端側を該内筒の外周
面に回動自在に、且つ位置決め可能に連結してあ
り、先端側にロータリ・アクチユエータ取付部を
有するハウジングと、該ロータリ・アクチユエー
タ取付部に鉛直方向への回動自在に、且つ位置決
め可能に連結してあるロータリ・アクチユエータ
と、該ロータリ・アクチユエータの駆動軸に連結
してある工具とを有してなる。

ここに、ロータリ・アクチユエータとはエアー
モータ及び油圧モータをいう。

作 用 しかるときは、ワークの加工面の傾きに応じて
工具を所望の角度に追随させることができること
になる。また、工具はロータリ・アクチユエータ
により直接回転駆動されることになる。。

実施例 以下本考案の一実施例を図面に基づき説明す
る。

第１図は本考案に係る工具ヘツドの斜視図、第
２図はその片断面図である。

この工具ヘツド１はNCマシニングセンタの主
軸（図示せず）に取付けられる基端連結部１０
と、基端連結部１０の先端側を支持する中間ハウ
ジング２０と、中間ハウジング２０に連設した支
持部３０と、中間ハウジング２０の先端側に連結
した内筒４０と、基端側を内筒４０の先端外周面
に嵌合連結したエアーモータ取付用のハウジング
５０と、ハウジング５０内に回動自在に、且つ位
置決め可能に支持され、先端にエンドミル、ドリ
ル、グラインダ等の工具７０を連結したエアーモ
ータ６０とを有してなる。

工具ヘツド１の主軸に対する取付けは、上述し
た自動工具着脱装置で基端連結部１０を上にした
状態で保持し、基端連結部１０の基端に設けたテ
ーパシヤンク１１を主軸のテーパ穴に嵌入して行
われる。

このとき、同時に支持部３０の基端側に設けた
位置決めピン３１がNCマシニングセンタの位置
決めブロツク３３のピン溝（又は穴）３４に押込
まれ、これで支持部３０に連設された中間ハウジ
ング２０の回り止めが確実に行われることにな
る。

基端連結部１０の先端側は中空軸１２になつて
おり、この中空軸１２は中間ハウジング２０の基
端部及び先端部の内周面に嵌着された軸受２１，
２１に回転自在に支持されている。軸受２１，２
１はオリエンテーシヨン（工具ヘツド１の交換時
において主軸を一定の回転角度に設定すること）
を行う際に、操作ミスにより主軸の回転角度が設
定角度と異なる事態を生じる場合であつても、支
障なく工具ヘツド１と主軸との連結を行わせるべ
く機能する。中空軸１２の内部にはサイレンサ１
３を設けてある。サイレンサ１３は後述するよう
にしてエアーモータ６０から排出される圧縮空気
の排気音を消音する。

中間ハウジング２０の先端には基端側がこれと
等径になつた内筒４０をボルト２２を用いて連結
してある。内筒４０の先端側は基端側よりも小径
になつており、この小径部４１の外周面にエアー
モータ取付用のハウジング５０の基端部５１を嵌
合連結してある。

この連結は周方向の３等配位置に堅締した水平
角度調整部材５２，５２（図面では２個現れてい
る）により行われる。堅締状態において、水平角
度調整部材５２の先端に設けたピン部５２ａの先
端テーパ部５２ｂの図上右側に相当する傾斜面が
内筒４０の外周面に形成した環状溝４２の対応す
る傾斜面に当接係合した状態にある。つまり、水
平角度調整部材５２はこれの軸心が環状溝４２の
溝中心から少し右側に偏位した位置に締結されて
いる。しかして、堅締状態において水平角度調整
部材５２から与えられる左側方向への押付け力に
より、エアーモータ取付用のハウジング５０の端
面が内筒４０の端面に強く押付けられることにな
るので、エアーモータ取付用のハウジング５０の
内筒４０に対する回り止めが確実に行われること
になる。

水平角度調整部材５２を少し緩めて当接係合状
態を解除すると、エアーモータ取付用のハウジン
グ５０が内筒４０、即ちこれに連繋された主軸に
対して水平回動できることになる。内筒４０の外
周面にはこの水平回動量を設定するための目盛４
３を刻設してある。かくして、工具７０の主軸に
対する水平方向における傾き角度の調整が行える
ことになり、主軸に対して水平方向に所定角度傾
いたワーク（図示せず）の加工面の切削が行える
ことになる。なお、上述するようにして当接係合
状態を解除する場合は、依然として水平角度調整
部材５２の先端が環状溝４２内にあるのでエアー
モータ取付用のハウジング５０が下方に抜け外れ
ることがない。

エアーモータ取付用のハウジング５０の先端部
は、第１図に示すような割り構造のエアーモータ
取付部５３になつており、先端側が半円状になつ
た両側板部５４，５４間に装置したエアーモータ
６０、具体的には徳利状のエアーモータ収容部６
０ａをボルト５５で鉛直方向への回動自在に取付
けてある。両側板部５４，５４の板面にはボルト
５５を中心にして、４個の長穴５６，５６，５６
及び該長穴５６の中央とこれらの長穴５６間の中
央に相当する位置に合計８個のねじ穴５９（図面
では合計５個が現れている）を周方向の等配位置
に形成してある。これらのねじ穴５９にはエアー
モータ６０の主軸に対する鉛直方向の傾き角度、
即ちチヤツク７１を介してエアーモータ６０の駆
動軸６２の先端に連結された工具７０の主軸に対
する傾き角度を調整するための角度調整ボルト５
７，５７，５７，５７を夫々締結してある。この
角度調整は、第２図に示すように対応する２本の
角度調整ボルト５７，５７間にエアーモータ６０
の円筒状をなすエアーモータ本体部６１を挟圧固
定して行う。即ち、ワークの鉛直方向の傾き角度
に応じて、適宜の位置にある４個のねじ穴５９，
５９，５９，５９を選定し、また長穴５６内にお
いて、鉛直角度調整ボルト５７の締結位置を変更
することによりエアーモータ６０の固定位置、つ
まり工具７０の主軸に対する鉛直方向の傾き角度
を調整できるようになつている。エアーモータ収
容部６０ａの図上上側周端縁にはこの調整量を設
定するための目盛５８を刻設してある。かくし
て、エアーモータ６０を後述するようにして駆動
し、工具７０を回転すると主軸に対して鉛直方向
に所定角度傾いた傾斜面を有するワークの切削が
行えることになる。

なお、長穴５６の個数及びねじ穴５９の個数は
４個、８個に夫々限定されるものではなく、切削
対称のワークの傾斜面に応じて適宜の個数を選定
すればよく、例えば主軸に対して工具７０を±90
度の範囲内で角度調整できる構成をとつてもよ
い。エアーモータ６０の駆動は、前記支持ブロツ
ク３３側に設けた圧搾空気供給源（図示せず）か
ら給気ホース６３ａ、支持ブロツク３３に設けた
空気孔３３ａ、支持部３０に設けた図外の空気孔
及びエアーモータ６０の基端に接続した給気ホー
ス６３ｂを介して与えられる圧搾空気により行わ
れる。６４は排気を前記サイレンサ１３に排出す
る排気ホースである。

なお、上記実施例ではエアーモータ６０で工具
７０の回転駆動を行う形態をとるが、油圧モータ
で行うことにしてもよいし、またこの場合の給油
は上述の給気系と同様の構成をとつてもよいし、
テーパシヤンク１１の中心或いはこれの外周に嵌
合したリング部１４の端面を利用して行うことに
してもよい。また、上記実施例では本考案工具ヘ
ツドをNCマシニングセンタに適用する場合につ
いて説明したが、工具の取替を手動で行う形態の
マシニングセンタ及び一般の工作機械についても
同様に適用できる。

考案の効果 以上の本考案工具ヘツドによる場合は、工具の
主軸に対する水平方向及び鉛直方向の傾きを可変
できるので、主軸に対して水平方向及び／又は鉛
直方向に所定角度傾斜した加工面を一又は複数有
するワークの切削を行う際に、ワークのワーク台
に対する取付け態様をを変更するといつたような
煩わしい段取り作業を要することなくワークの切
削が能率よく行えることなる。従つて、従来例に
よる場合に比べて加工作業を格段に能率化するこ
とができる。

また、ロータリ・アクチユエータで工具を直接
回転駆動する形態をとるので、空気圧又は油圧を
適宜の値に選定することにより、主軸を回転駆動
する形態をとる従来例では下可能であつた高速加
工が行えることになる。従つて、加工能率の向上
を更に向上できることは勿論のこと、機械的振動
を可及的に抑止できるので微細な穴明加工或いは
研磨加工の加工精度を格段に向上することができ
る。また、主軸を回転する必要がないので、これ
の発熱を防止できるとともに軸受の延命化が図れ
る。また、主軸駆動用の電動機の消費電力を節約
できることになる。

アングルヘツド以外の工具ヘツドのなかには、
ロータリ・アクチユエータで工具を駆動するもの
がある。しかし、その工具ヘツドは、ロータリ・
アクチユエータの駆動流体（エア）が工作機械の
主軸から、工具ヘツド軸心部を通つてロータリ・
アクチユエータへ供給されるようになつている。
工作機械の主軸内を通るエアは、一般に主軸テー
パー部のクリーニングに使用されるため、ドライ
エアとされる。しかして、ロータリ・アクチユエ
ータがエアモータの場合、内蔵されているベアリ
ングを潤滑するために、駆動エアはエアと油とが
混合された所謂エアミストとすることが望まれる
が、上記従来の工具ヘツドは、ドライエアの使用
が前提となるために、ロータリ・アクチユエータ
内のベアリングが充分に潤滑されないという問題
を避け得ない。これに対し、本考案にかかる工具
ヘツドは、駆動流体が中間ハウジングの外を通つ
て供給され、主軸を通らずに駆動流体が供給され
るので、ロータリ・アクチユエータがエアモータ
の場合にエアミストが使用できる。従つて、エア
モータ内のベアリングは充分に潤滑される。しか
も、駆動流体が中間ハウジングの外を通つて供給
されることにより、中間ハウジング内が空洞とな
る。本考案にかかる工具ヘツドは、その空洞をサ
イレンサー収容部として利用することにより、サ
イレンサがコンパクトに工具ヘツド内へ組み込ま
れる利点も有する。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の実施例を示すもの
であり、第１図は本考案工具ヘツドの斜視図、第
２図はその片断面図である。 １……工具ヘツド、１０……基端連結部、１１
……テーパシヤンク、２０……中間ハウジング、
３０……支持部、４０……内筒、４２……環状
溝、５０……エアーモータ取付用のハウジング、
５２……水平角度調整部材、５２ａ……ピン部、
５２ｂ……先端テーパ部、５３……エアーモータ
取付部、５７……鉛直角度調整ボルト、６０……
エアーモータ、６１……エアーモータ本体部、６
２……駆動軸、７０……工具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 工作機械の主軸に取付けられる工具ヘツドにお
   いて、基端に設けたテーパシヤンクを前記主軸に
   嵌合連結してある基端連結部と、該基端連結部の
   先端側を支持し、且つ支持部を介して前記工作機
   械に固定支持してある中間ハウジングと、該中間
   ハウジングの先端側に連結してある内筒と、基端
   側を該内筒の外周面に回動自在に、且つ位置決め
   可能に連結してあり、先端側にロータリ・アクチ
   ユエータ取付部を有するハウジングと、該ロータ
   リ・アクチユエータ取付部に鉛直方向への回動自
   在に、且つ位置決め可能に連結してあるロータ
   リ・アクチユエータと、該ロータリ・アクチユエ
   ータの駆動軸に連結してある工具とを具備し、前
   記ロータリ・アクチユエータへは、その駆動流体
   が前記中間ハウジングの外を通つて供給され、中
   間ハウジングの内部は、サイレンサー収容部とし
   たことを特徴とする工具ヘツド。